JP2009227871A - 感光性組成物、該感光性組成物を用いた光学素子及び光学素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶表示装置のセルギャップの違いに応じて位相差制御調整層の複屈折率を調整する必要がある。位相差制御調整層の複屈折率を変更するには異なる液晶を用いる必要があるが必ずしも所望の複屈折率の液晶が入手できるというものではなく、従来はセルギャップの異なる液晶表示装置に対応した位相差制御調整層を形成することは容易ではなかった。本発明は異なる液晶を用いることなく容易に位相差制御調整層の複屈折率を調整することができ、セルギャップの異なる液晶表示装置に対応した位相差制御調整層を容易に形成することができる感光性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の感光性組成物は、重合性官能基を有する液晶材料と重合開始剤と複屈折率調整剤としてイソシアヌル酸及び/又イソシアヌル酸誘導体を含み、かつ複屈折調整剤が液晶材料と未反応状態で含有されていることを特徴とする。
【選択図】なし。

Description

本発明は、感光性組成物、該感光性組成物よりなる位相差制御機能層を有する光学素子、及び光学素子の製造方法に関する。
近年、液晶表示装置の小型化により、携帯電話やPDA等に液晶表示装置が幅広く用いられるようになってきている。小型の液晶表示装置においては、省電力化、高輝度化や高コントラスト化が重要な課題となる。このような課題につき、省電力化の要請に応えるための反射型または半透過型半反射の液晶表示装置が開発され、さらに、そうした液晶表示装置について、その輝度及びコントラストを改善するため、様々な光学素子が開発されている。
半透過半反射型液晶表示装置の一形態としては、アルミニウム等の金属膜に光が透過できる開口部を形成した反射膜を光半透過膜として機能させた液晶表示装置が提案されている。このような半透過半反射型の液晶表示装置の具体的な構成は、駆動方式をVAモードとする液晶表示装置を例とすると、次のようになっている。
半透過半反射型液晶表示装置は、対面する一対の基板(第1の基板、第2の基板)の間に、印加電圧に応じて液晶の光軸の向きを可変に液晶を封入してなる駆動用液晶層を形成しており、基板の外側にバックライトを備えてなる。ここに、一対の基板のうち、液晶表示面に近い基板を第1の基板とし、液晶表示面に対して遠い位置にある基板を第2の基板とする。また、第1の基板、第2の基板から駆動液晶層に向かう方向が内側方向であり、駆動液晶層から第1の基板、第2の基板に向かう方向が外側方向であるものとする。半透過半反射型液晶表示装置のバックライトは、第2の基板のさらに外側の位置に、第2の基板に向かって光を入射するように備えられる。
第1の基板、第2の基板は、いずれもガラス基板を備えており、第1の基板は、ガラス基板と駆動液晶層との間に、ITO等の透明導電膜からなる透明電極が形成され、この透明電極を覆うように配向膜が形成されており、さらにガラス基板には外側方向に向かって、1/4波長板、偏光板が配置されている。
第2の基板は、ガラス基板と駆動液晶層との間に、金属膜の所定領域に開口部を形成してなる反射膜、および、インジウム錫酸化物(ITO;Indium tin oxide)等の透明導電膜からなる透明電極が積層され、さらに、その透明電極を覆うように配向膜が形成されている。また、第2の基板において、ガラス基板には外側方向に向かって、1/4波長板、偏光板が設けられている。なお、1/4波長板は、ある波長帯域において、直線偏光を略円偏光に変換することができる機能を有する光学素子である。
駆動液晶層は、封入されている液晶の複屈折率に応じた厚み(セルギャップ)を備えて形成されている。セルギャップは、電圧無印加時においてその駆動液晶層内をその厚み方向に進行する光の位相のずれが1/4波長となるように定められる。
上記のような半透過半反射型液晶表示装置は、外光からの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(反射部)により液晶表示を行うのみならず、バックライトからの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(透過部)によっても液晶表示を行うものであるが、透過表示部にて液晶表示が行われる場合に、つぎのような問題がある。
この半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光のうち、一部は反射膜を構成する開口部の周囲の金属膜にて反射されて反射光となる。反射光は、反射層よりも外側(バックライト側)に配置された1/4波長板を通過するが、その際にその偏光軸が変化し、1/4波長板よりも外側(バックライト側)に設置された偏光板に吸収されてしまう。そのため、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、反射光がリサイクルできず、バックライトからの光を十分効率的に使用することができないという問題がある。また、バックライトからの光のうち反射層の開口部を通過した光についてみても、その光は、駆動用液晶層を通過すると直線偏光となってしまい、第1の基板の外側(表示画面側)に配置された1/4波長板にて円偏光となって、その円偏光の光量の半分は、第1の基板の外側(表示画面側)に設けられた偏光板で吸収され、結局、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光を十分に効果的に用いることができないという問題があった。
こうした問題に対して、半透過半反射型液晶表示装置において、駆動用液晶層の厚み(セルギャップ)を透過部と反射部についてそれぞれに適した厚みに調整するとともに、1/4波長板を、反射膜の部分にのみ設けた構造の半透過半反射型液晶表示装置が提案されている。
例えば、半透過半反射型液晶表示装置として、電圧無印加時において、駆動液晶層のうち透過部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/2波長で、駆動液晶層のうち反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/4波長となるように、透過部と反射部のセルギャップを調整し、更に、反射部にのみ位相差板(1/4波長板)を設けることにより、明度およびコントラストに優れる半透過半反射型液晶表示装置が提案されている(非特許文献1)。
また、半透過半反射型液晶表示装置として、反射部に、反射部の形状に応じてパターニングされた反射層を形成するとともに、その反射部の領域にのみ位相差層として、1/4波長板としての機能を有する層を設けたものが提案されている(特許文献1)。この液晶表示装置によれば、反射層で反射されたバックライトからの光を偏光板に吸収させないようにすることができ、バックライトからの光のリサイクルが可能になる。なお、特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置についても、電圧無印加時における、駆動液晶層のうち透過部、反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が、それぞれ1/2波長、1/4波長となるように、透過部と反射部でのセルギャップが調整されることで、良好な明度とコントラストが実現される。
非特許文献1や特許文献1記載の半透過半反射型液晶表示装置によれば、従来の半透過半反射型液晶表示装置と異なり、バックライト側と表示側との一対の位相差層を省略できるので、高輝度化に加え、装置の薄型化を実現することができる。
こうした非特許文献1や特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置を作製するにあたっては、反射部のみに位相差層を設けることが必要であることから、位相差層は、反射部に応じて定められる形状とパターンにてパターニングされた、反射層に対応した形状になるようにパターンニング形成される必要がある。非特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置については、位相差板の構成は、フォトマスクを介した光照射により、一部の樹脂を硬化させて位相差層のパターニングを行い、その後、未硬化部分の樹脂を光照射により硬化させることで得られるものである。特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置は、反射部に、1/4波長板と同じ機能を発揮させる位相差層をパターニング形成した液晶表示装置である。
そして、非特許文献1や特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置において、位相差層が、対面する基板の一方と駆動用液晶層との間(インセル)に設けられる(インセルタイプの位相差層とされる)ことで、位相差層を、1/4波長板としての機能を有する層のみならず、駆動液晶層における透過部のセルギャップと反射部のセルギャップを調節する機能を有する層となすことができ、装置自体の一層の薄型化が可能となる。
ところで、インセルタイプの位相差層を設けた液晶表示装置としては、液晶材料を利用してインセルの位相差層を形成することが提案されている。例えば、ガラス転移点を有し、ガラス転移温度以下でその液晶構造を凍結することのできる液晶性高分子や、その分子構造中に不飽和結合などの反応性基を有し、該不飽和結合が液晶層状態で架橋することにより、同じく液晶構造を凍結することができる重合性液晶を用いることにより、インセル位相差層を設けることができる。重合性液晶材料としては種々の材料が提案されている。
こうしたことから、特に、液晶化合物を用いた位相差層をインセルに形成したインセルタイプの位相差層を備える半透過半反射型液晶表示装置に期待が集まっており、その汎用性をより大きくすることが望まれている。
C.Doornkamo et.al.,SDI2004 Digest,670 (2004) 特開2004−4494号公報
液晶表示装置のセルギャップは、駆動液晶の複屈折率によって規定されるため、各パネルメーカーによって異なっており、所望の位相差の位相差制御調整層を形成するためにはセルギャップの違いに応じて位相差制御調整層の複屈折率を調整する必要がある。しかしながら、位相差制御調整層の複屈折率は使用する液晶の種類に依存するため、複屈折率を変更するには種類の異なる液晶を用いる必要があるが、必ずしも所望の複屈折率を有する液晶が存在するというものではない。このため、従来はセルギャップの異なる液晶装置に対応した位相差制御調整層を形成することは容易なことではなかった。
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、所望特性を有する位相差制御調整層を容易に形成することのできる感光性組成物及び、この感光性組成物を用いた光学素子、この光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
即ち本発明は、
(1)重合性官能基を有する液晶材料と、重合開始剤と、複屈折率調整剤としてイソシアヌル酸及び/又イソシアヌル酸誘導体を含むことを特徴とする感光性組成物、
(2)光透過性の支持材と、該支持材上に重合性液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる位相差制御機能層とを有する光学素子であって、前記位相差制御機能層が、上記(1)の感光性組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする光学素子、
(3)光透過性の支持材が、配向膜を有している上記(2)の光学素子、
(4)光透過性の支持材が、着色層を有するカラーフィルター基板である上記(2)または(3)の光学素子、
(5)光透過性の支持材と、該支持材上に重合性の官能基を有する液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる位相差制御機能層とを有する光学素子の製造方法であって、上記(1)の感光性組成物を前記支持材上に塗布し、前記重合性液晶材料を液晶状態で配向させたまま紫外線照射し、次に加熱処理を行うことにより架橋させて位相差制御機能層を形成することを特徴とする光学素子の製造方法、
(6)透明性の支持材が、配向膜を有している上記(5)の光学素子の製造方法、
(7)透明性の支持材が、カラーフィルター基板である上記(5)または(6)の光学素子の製造方法、
を要旨とするものである。
本発明の感光性組成物は、複屈折率調整剤の添加量によって複屈折率を調整することができるため、本発明感光性組成物を用いて位相差制御機能層を形成することで、位相差制御機能層を形成する液晶の配向を乱すことなく複屈折率を調整できる。このため位相差制御調整層を形成する液晶の種類を変えることなく位相差制御調整層を目的のリタデーションに調整することができ、セルギャップの異なる液晶表示装置に対応した位相差制御調整層を有する光学素子を安価に得ることができる。
本発明の感光性組成物は、重合性官能基を有する液晶材料と、重合開始剤と、複屈折率調整剤とを溶剤に溶解させたものであり、更に必要に応じて界面活性剤を含んでいても良い。
(液晶材料)
本発明の感光性組成物に用いる重合性官能基を有する液晶材料(以下、重合性液晶という)としては、架橋性のネマチック液晶を用いることができ、架橋性ネマチック液晶としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。このような重合性液晶としては、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物や、化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物のうちの1種もしくは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物等を用いることができる。特に本発明における重合性液晶は、1分子中に1個または2個以上の(メタ)アクリル基を有する架橋性ネマチック液晶の少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 2009227871
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化1に示す一般式(1)において、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲をより広くするために、R1またはR2が水素であることが好ましい。また一般式(1)におけるX、一般式(2)におけるYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両末端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環との間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物や、d=e=0である一般式(2)の化合物は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、aおよびb、あるいはdおよびeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物、一般式(2)の化合物は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなるため、位相差制御機能層を形成するための感光性組成物に用いるのは好ましくない。
上記した化1〜化4では重合性液晶のモノマーを例示したが、重合性液晶のオリゴマーや重合性液晶のポリマー等も、従来公知のもののなかから適宜選択して用いることができる。一般に位相制御機能層のリタデーション量及び配向特性は、位相差制御機能層を構成する重合性液晶の複屈折率Δnと、位相差制御機能層の膜厚とにより決定される。
本発明の感光性組成物は、上記重合性液晶を対配合物換算値で70重量%(組成物中の溶剤以外の配合物中の重量)以上、好ましくは75重量%(対配合物換算値)以上含有することが好ましい。重合性液晶の配合量を70重量%(対配合物換算値)以上とすることにより液晶性が向上し、位相差制御機能層における重合性液晶の配向不良の発生を無視し得る程度に低減することができる。重合性液晶の添加が70重量%(対配合物換算値)以上では、液晶分子の配向性の観点から特に問題になることはないので、液晶組成物における他の添加剤の配合量とのバランスで、添加量を適宜決定することができる。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、通常、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましい。これらの重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないように、吸収波長の異なる重合開始剤を組み合わせるのが好ましい。
(複屈折率調整剤)
本発明の感光性組成物は、複屈折率調整剤としてイソシアヌル酸あるいはイソシアヌル酸誘導体及びそれらの混合物を用いるものである。本発明に適用するイソシアヌル酸誘導体としては、イソシアヌル酸のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドの付加物、1、3、5−トリクロロイソシアヌル酸、トリス(2、3−ジクロロプロピル)イソシアヌル酸、トリアリルイソアヌル酸、トリス(オキシメチル)イソシアヌル酸、1、3、5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸やこれらのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、1、3、5−トリスグリシジルインソシアヌル酸、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌル酸、5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等が上げられる。具体的にはM315(東亞合成社製;イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート)、M215(東亞合成社製;イソシアヌール酸EO変性ジアクリレート)、TAIC@(日本化成社製;トリアリルイソシアヌレート)、TMAIC@(日本化成社製;トリメタアリルイソシアヌレート)、TAIC@−6B(日本化成社製;トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート)が上げられる。
このような複屈折率調整剤の添加量としては、一般的に1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の範囲で重合性液晶材料に添加することができる。複屈折率調整剤の添加によって感光性組成物のΔnの値を、感光性組成物に用いる重合性液晶のΔnの値の10%〜80%程度低下させることができる。
(溶剤)
本発明の感光性組成物に用いる溶剤としては、上記重合性液晶、重合開始剤、複屈折率調整剤、更には必要に応じて添加する界面活性剤等を溶解することが可能な溶剤であり、かつ感光性組成物における重合性液晶の配向性能を阻害したり、感光性組成物を基板に塗布した際に基板を浸食する虞のない溶剤であれば特に限定されるものではない。
本発明において用いる具体的な溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。
単一種の溶剤を使用しただけでは、重合性液晶等の溶解性が不充分であったり、上述したように配向性能を有する基板が侵食される場合がある。しかし2種以上の溶剤を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。上記した溶剤のなかにあって、単独溶剤として好ましいものは、炭化水素系溶剤とグリコールモノエーテルアセテート系溶剤であり、混合溶剤として好ましいのは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合系である。溶液の濃度は、液晶性組成物の溶解性や所望する光学機能層の膜厚等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲で用いられる。
(界面活性剤)
位相差制御機能層を形成する場合には、感光性組成物の塗布特性を向上させるため、適宜、液晶の配向を大きく損なわない範囲で界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤を用いることができる。
このような界面活性剤の添加量としては、一般的に感光性組成物中の割合が0.01〜1重量%(対配合物換算値)、好ましくは0.05〜0.5重量%(対配合物換算値)の範囲で感光性組成物に添加することができる。
本発明の光学素子は、支持材と、その支持材上に重合性液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる位相差制御機能層とを有する光学素子であって、位相差制御機能層が、上記の感光性組成物を用いて形成されたものであり、配向膜を有さない光学素子であっても、配向膜を有する光学素子であっても良い。
(支持材)
本発明の光学素子に用いる支持材としては、光透過性を有する透明な基板が用いられ、従来よりカラーフィルターに用いられているガラス基板や耐熱性の透明樹脂基板が用いられる。支持材は配向膜を設けたものであっても良く、このような支持材としては、例えば透明基板上に配向膜が形成された基板、カラーフィルター層上に配向膜が形成されたカラーフィルター基板、又はカラーフィルター層上に保護膜を設け、保護膜上に配向膜が形成されたカラーフィルター基板等が用いられる。
(配向膜材料)
配向膜を有する光学素子の場合、上記の支持材上に設けられる配向膜としては、従来公知の配向膜材料であるポリイミド等が用いられ、支持材上に配向膜材料を積層した後、ラビング処理や光配向処理して配向させることにより得られる。あるいは、基板上に酸化ケイ素を斜め蒸着して配向膜としてもよい。本発明で用いられる配向膜材料としては、市販の配向膜材料を用いることができる。具体的には日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
(位相差制御機能層)
本発明の光学素子を構成する位相差制御機能層は、複屈折率調整剤を添加して複屈折率を調整した上記の感光性組成物を用いて形成されたものである。位相差制御機能層の膜厚は特に制限されるものではないが、生産性等を考慮すると、通常、0.5〜10μm程度が好ましく、この程度の膜厚とした時に所望のリタデーションが得られるように、複屈折率調整剤の添加によってΔnを調整した感光性組成物を用いて形成する。
(測定)
本発明の光学素子の複屈折の測定については、リタデーションと膜厚の測定より行なうことができ、リタデーションの測定としては、KOBRA−21シリーズ(王子計測機器)等の市販の装置を用いることが可能であり、測定波長は可視光域(380〜780nm)であることが好ましく、比視感度の最も大きい550nm付近で測定することが好ましい。
また膜厚測定については、ET4000A(ミカサ社製)等の触針式段差計等の市販の装置を用いることが可能である。
図1は本発明の光学素子の製造方法の一例を示す工程断面図であり、配向膜を有する支持材上に位相差制御機能層を形成する光学素子の製造方法を示すものである。以下、図1を用いて本発明の光学素子の製造方法について説明する。
透明基板1を準備する(図1(a))。透明基板1としては、従来、カラーフィルターに用いられているガラス基板や耐熱性の透明樹脂基板が用いられる。次に、透明基板1上にポリイミド等の配向膜材料を塗布し、ラビング処理することにより配向性能を付与した配向膜2を形成した支持材3とする(図1(b))。
次に、支持材3の配向膜2上に、少なくとも重合性液晶4と光重合開始剤と複屈折率調整剤5と溶剤とを含む感光性組成物を塗布し、塗布膜を形成する(図1(c))。感光性組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スライドコート法、印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
次に、上記の塗布膜を形成した基板をプリベークし、溶剤を除去する。このとき、プリベークの加熱による流動性を利用して、各重合性液晶4を一定方向に配列させる(図1(d))。プリベーク温度、時間は、感光性組成物に含まれる材料の特性とに依存するので一概には言えないが、通常、70℃〜120℃で数分〜30分間程度の範囲で行われる。
次に、各重合性液晶4を一定方向に配列させた状態のままで紫外線6を照射して露光し、各重合性液晶4の末端基同士が反応した重合部7を形成させて硬化させる(図1(e))。紫外線6としては、波長300〜500nm程度の照射光で、紫外線源として高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。照射光量は、重合性液晶4の種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によって異なるが、通常、10〜3000mJ/cm程度の範囲である。
次に、加熱処理を行うことにより、未反応の重合性液晶4を架橋させ、一定方向に配列した状態で架橋部8を形成して3次元構造を有する重合性液晶とし、位相差制御機能層9を形成し、支持材3上に位相差制御機能層9を有する光学素子10を形成する(図1(f))。加熱温度、時間としては、重合性液晶4の種類や組成、架橋剤5の反応開始温度等に依存するが、通常、150℃〜260℃で10分〜60分間程度の範囲で行われる。
光学素子10は、さらに、この上にブラックマトリックス層を有するカラーフィルター層を設けることにより、液晶セルの内側に光学素子10を設けた液晶ディスプレイとすることができる。
上記の製造方法の実施形態においては、透明な支持材1に配向膜2を設けてから位相差制御機能層9を設ける場合について説明したが、本発明の光学素子の製造方法は、支持材1が、配向膜を有するカラーフィルター基板である場合、さらに、カラーフィルター基板のカラーフィルター上に保護膜が設けられている場合についても同様に適用できるものである。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
JSR株式会社製の配向膜材料AL1254を、100×100mmのガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布し、230℃のオーブンにて1時間焼成して厚み0.065μmの膜を形成し、次いでラビング装置を用いて配向処理を施して配向膜を形成し、支持材とした。
次に、セルギャップ2.8μmの半透過反射液晶表示装置の反射部に、段差1.4μmのλ/4インセル位相差制御機能層を設置するために、ネマチック液晶相を示す重合性液晶としてRMM34(メルク社製;21.25重量部)、光重合開始剤としてイルガキュアー907(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製;1.25重量部)、複屈折率調整剤としてTMAIC@(日本化成社製;2.5重量部)、および酢酸3−メトキシブチル(75重量部)からなる感光性組成物を重合性液晶溶液として準備した。前記支持材をスピンコーターにセットして配向膜面上に、上記感光性組成物を焼成後の膜厚が1.4μmとなるようにスピンコーティングした。
次に、80℃で3分間加熱して配向処理し、白濁状態が透明状態となる液晶転移点を目視にて確認した。液晶転移点が確認された後、液晶層に超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置により紫外線を20mW/cmで5秒照射し、重合した液晶層を形成し、次いで230℃のオーブンを用いて30分焼成し、位相差制御機能層としての硬化膜を形成した。得られた位相差制御機能層の、波長580nmにおける位相差を王子計測機器社製KOBRA−21を用い測定したところ、138nmであった。さらに、得られた位相差制御機能層の膜厚をミカサ社製ET4000Aで測定したところ、1.44μmであり、位相差制御機能層の複屈折率Δn(位相差÷膜厚)は0.10であった。また、位相差制御機能層の白化や、表面ムラがなく良好な面質であった。
実施例2
本実施例は、複屈折率調整剤にM215(東亜合成社製;2.5重量部)を含む感光性組成物を用いた以外は実施例1と同様にして位相差制御機能層を成膜したところ、位相差制御機能層の位相差は138nm、膜厚は1.37μmであり、複屈折率Δnは0.10であった。また、位相差制御機能層の白化も起こらず、良好な面質であった。
実施例3
本実施例は、複屈折率調整剤にM315(東亜合成社製;2.5重量部)を含む感光性組成物用いた以外は実施例1と同様にして位相差制御機能層を成膜したところ、位相差制御機能層の位相差は144nm、膜厚は1.42μmであり、複屈折率Δnは0.11であった。また、位相差制御機能層の白化や、表面ムラがなく良好な面質であった。
比較例1
実施例1の複屈折率調整剤を含まない感光性組成物を用いた以外は実施例1と同様に、感光性組成物を成膜したところ、形成された位相差制御調整層に白化や、表面ムラはなかったが、位相差制御機能層の位相差は186nm、膜厚は1.43μm、複屈折率Δnは0.13であり、所望の位相差を有していなかった。
比較例2
実施例1の複屈折率調整剤に変えて、4官能アクリレートであるSR−295(サートマー社製;2.5重量部)を含む感光性組成物を用いた以外は実施例1と同様に、感光性組成物を成膜したところ、膜中の重合性液晶は配向しておらず、塗膜が白濁した。
比較例3
実施例1の複屈折率調整剤に変えて、3官能アクリレートであるSR−444(サートマー社製;2.5重量部)を含む感光性組成物を用いた以外は実施例1と同様に、感光性組成物を成膜したところ、膜中の重合性液晶は配向しておらず、塗膜が白濁した。
比較例4
実施例1の複屈折率調整剤に変えて、2官能アクリレートであるSR−268(サートマー社製;2.5重量部)を含む感光性組成物を用いた以外は実施例1と同様に、感光性組成物を成膜したところ、重合性液晶は配向せず、塗膜が白濁した。
比較例5
実施例1の複屈折率調整剤に変えて、1官能アクリレートであるSR−395(サートマー社製;2.5重量部)を含む感光性組成物を用いた以外は実施例1と同様に、感光性組成物を成膜したところ、重合性液晶は配向せず、塗膜が白濁した。
本発明の光学素子の製造方法の一例を示す工程断面図である。
符号の説明
1 透明基板
2 配向膜
3 支持材
4 重合性液晶
5 複屈折率調整剤
6 紫外線
7 重合部
8 架橋部
9 位相差制御機能層
10 光学素子

Claims (7)

  1. 重合性官能基を有する液晶材料と、重合開始剤と、複屈折率調整剤としてイソシアヌル酸及び/又イソシアヌル酸誘導体を含むことを特徴とする感光性組成物。
  2. 光透過性の支持材と、該支持材上に重合性液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる位相差制御機能層とを有する光学素子であって、前記位相差制御機能層が、請求項1記載の感光性組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする光学素子。
  3. 光透過性の支持材が、配向膜を有している請求項2に記載の光学素子。
  4. 光透過性の支持材が、着色層を有するカラーフィルター基板である請求項2または3に記載の光学素子。
  5. 光透過性の支持材と、該支持材上に重合性の官能基を有する液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる位相差制御機能層とを有する光学素子の製造方法であって、請求項1に記載の感光性組成物を前記支持材上に塗布し、前記重合性液晶材料を液晶状態で配向させたまま紫外線照射し、次に加熱処理を行うことにより架橋させて位相差制御機能層を形成することを特徴とする光学素子の製造方法。
  6. 透明性の支持材が、配向膜を有している請求項5に記載の光学素子の製造方法。
  7. 透明性の支持材が、カラーフィルター基板である請求項5または6に記載の光学素子の製造方法。
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JP2012131917A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Sony Corp 塗料、位相差素子、表示装置、位相差素子の製造方法

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