JP2010054670A - 光学素子およびこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学素子における位相差層の断面形状がテーパー形状である場合であっても、画質の劣化が生じ画質の劣化の問題が生じない光学素子、およびこれを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】開口部を区画するブラックマトリクスと、パターン化された位相差層を備える光学素子において、ブラックマトリクス間を跨いで形成される上記位相差層の断面形状における上底の寸法と、開口部の寸法との関係を規定することにより、位相差層のテーパー部に起因する画質の劣化を防止する。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶表示装置など光学装置において用いることのできる光学素子およびこれを用いた液晶表示装置に関し、より具体的には光学素子内において、開口部を区画するブラックマトリクスと、重合性液晶材料より構成される位相差層を少なくとも備える光学素子に関する。
近年、液晶表示装置などの表示装置に用いられる光学素子において、光の位相差を調整するための位相差制御機能を有する位相差フィルムに代わり、重合性液晶材料を基材面に塗布して所望の方向に配向させた後、その状態で重合させ固定化されて形成される、所謂インセルタイプの位相差層が開発されている(特許文献1)。
上記位相差層は、基材面において実質的に全面に設けることもできるし、フォトリソグラフィ法などの手法により所望の位置にパターニング形成することも可能である。
ところで液晶表示装置は、その軽量化、薄型化などの小型化技術の進歩により、近年、携帯電話やPDA等にも幅広く用いられるようになってきている。このような小型の液晶表示装置は、特に、省電力化、高輝度化や高コントラスト化といった課題を有している。そしてこれらの課題に対応するために、反射型あるいは半透過半反射型の液晶表示装置が開発され、またさらなる改善のために、これに用いられる光学素子の開発が種々行われている。
たとえば、半透過半反射型液晶表示装置の一形態として、アルミニウム等の金属膜に光が透過できる開口部を形成し、これによって反射部領域と透過部領域とを備える金属膜を、半透過半反射膜として機能させた液晶表示装置が提案されている。このような半透過半反射型の液晶表示装置は、駆動方式をVAモードとする液晶表示装置の場合には、反射部においてλ/4波長板を配置し、またIPSモードとする液晶表示装置の場合には、反射部においてλ/2波長板を配置することが一般的である。
ここで、上述のような半透過半反射型液晶表示装置は、外光からの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(反射部)により液晶表示を行うのみならず、バックライトからの光を用いて液晶表示機能を発揮する部分(透過部)によっても液晶表示を行うという特殊性から、特に透過部において液晶表示が行われる場合に、つぎのような問題がある。
すなわち、この半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光のうち、一部は反射膜に設けられた開口部の周囲の金属膜にて反射されて反射光となる。以下、VAモードの半透過半反射型液晶表示装置を例に説明すると、反射光は、反射層よりも外側(バックライト側)に配置された1/4波長板を通過するが、その際にその偏光軸が変化し、1/4波長板よりも外側(バックライト側)に設置された偏光板に吸収されてしまう。そのため、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、反射光がリサイクルできず、バックライトからの光を十分効率的に使用することができないという問題がある。また、バックライトからの光のうち開口部を通過した光についてみても、その光は、駆動用液晶層を通過すると直線偏光となってしまい、第1の基板の外側(表示画面側)に配置された1/4波長板にて円偏光となって、その円偏光の光量の半分は、第1の基板の外側(表示画面側)に設けられた偏光板で吸収され、結局、上記のような半透過半反射型液晶表示装置では、バックライトからの光を十分に効果的に用いることができないという問題があった。
こうした問題に対して、半透過半反射型液晶表示装置において、駆動用液晶層の厚み(セルギャップ)を透過部と反射部についてそれぞれに適した厚みに調整するとともに、1/4波長の位相制御機能を、反射部にのみ付与するよう、上述するインセルの位相差層が反射部を選択的に覆うようパターニングされた構造を有する半透過半反射型液晶表示装置が提案されている。
例えば、半透過半反射型液晶表示装置として、電圧無印加時において、駆動用液晶層のうち透過部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/2波長で、駆動用液晶層のうち反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が1/4波長となるように、透過部と反射部のセルギャップを調整し、更に、反射部にのみ1/4波長の位相制御機能を有する位相差層を設けることにより、明度およびコントラストに優れる半透過半反射型液晶表示装置が提案されている(非特許文献1)。そして非特許文献1の半透過半反射型液晶表示装置における上記位相差板の構成は、フォトマスクを介した光照射により、一部の樹脂を硬化させて位相差層のパターニングを行い、その後、未硬化部分の樹脂を光照射により硬化させることで得られることが開示されている。
また、半透過半反射型液晶表示装置として、反射部の形状に応じてパターニングされた反射層を形成するとともに、その反射部の領域にのみ1/4波長の位相制御機能を有する位相差層がパターン形成されたものが提案されている(特許文献2)。特この液晶表示装置によれば、反射層で反射されたバックライトからの光を偏光板に吸収させないようにすることができ、バックライトからの光のリサイクルが可能になる。なお、特許文献2の半透過半反射型液晶表示装置についても、電圧無印加時における、駆動用液晶層のうち透過部、反射部に対応する部分を通過する光に生じる位相差が、それぞれ1/2波長、1/4波長となるように、透過部と反射部でのセルギャップが調整されることで、良好な明度とコントラストが実現される。
非特許文献1や特許文献2の半透過半反射型液晶表示装置によれば、従来の半透過半反射型液晶表示装置と異なり、バックライト側と表示側との一対の位相差板を省略できるので、高輝度化に加え、装置の薄型化を実現することができる。しかも、装置内に設けられる上記位相差層が、対面する一対の基板のうちの一方の基板と駆動用液晶層との間に設けられる所謂インセルタイプの位相差層であることにより、該位相差層は、1/4波長の位相制御機能を発揮するのみならず、駆動用液晶層における透過部のセルギャップと反射部のセルギャップを調節する機能を有する層としても利用可能である。
ところで、半透過反射型液晶表示装置は、画素を反射部と透過部に分割するため、画面の輝度が低下する問題があり、画素の開口率を上げる要求が高まっている。開口率を上げるための手段としては、画素部を区画するブラックマトリクスの線幅を細くし、反射用開口部および/または透過用開口部の面積を拡大せしめることが挙げられる。
特開2000−221506号公報 特開2004−4494号公報 C.Doornkamp et. al., SDI2004 Digest, 670 (2004)
ここで、上述のように、パターニングされたインセルの位相差層を備える小型の液晶表示装置において開口率を向上させようとすると、画質が劣化する場合があり問題であった。
上記画質の劣化の原因について本発明者が鋭意研究したところ、パターニングされた位相差層の形状に起因していることがわかった。より具体的に述べると、隣り合うブラックマトリクスを跨いでパターニングされた位相差層について、該ブラックマトリクスの伸長方向に対し垂直な方向において位相差層を切断し、その断面形状を観察してみると、ブラックマトリクスを下にして、上記断面形状が上すぼみのテーパー形状に形成される場合があることがわかった。すなわち、上記断面形状は、ブラックマトリクスを跨ぐ下底から、略平坦な上底に向けて、その側面が傾斜した形状で形成されていることがわかった。
ここで位相差層の位相差は、位相差層の膜厚によって規定されるものである。したがってパターニングされた位相差層の断面が略直方体であれば、該断面において上下方向の距離が均一であるため、これを透過する光は均一な位相差制御を受けると理解される。しかしながら、位相差層の断面がテーパー形状である場合、テーパー部分(傾斜する側面部分)がブラックマトリクス領域からはみ出て開口部(画素)内にかかると、当該テーパー部分においては上下方向の距離が一定ではないため、当該開口部を透過する光の位相差制御にも差異が生じる結果となり、これが上述の画質の劣化の原因となることがわかった。
ブラックマトリクスの線幅を大きく設計することができる場合には、隣り合うブラックマトリクス間を跨いでパターニングされる位相差層であっても、該ブラックマトリクス上に位相差層の端部を充分に重ねることができるため上記テーパー状の側面部は、ブラックマトリクス領域に含まれる結果、上述のような画質の劣化の問題は生じないと思われる。
しかしながら、先に述べたとおり小型の半透過半反射型の表示装置において開口率を上げる等のために、開口部(画素部)を区画するブラックマトリクスの線幅を細く設計すると、パターニングされた位相差層のテーパー部が開口部にかかり易く、その結果、画質の劣化の傾向が顕著になることを本発明者は突き止めた。
本発明は上記画質の劣化の問題を鑑みなされたものであって、パターニングされた位相差層により位相差制御を可能とする光学素子において、小型の半透過半反射型の表示装置に用いた場合であっても画質の劣化の問題が生じない光学素子、およびこれを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者は、開口部を区画するブラックマトリクスと、パターン化された位相差層を備える光学素子において、ブラックマトリクス間を跨いで形成される上記位相差層の断面形状における上底の寸法と、開口部の寸法との関係を規定することにより、上述する画質の劣化の問題を解決し得ることを見出し本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)光透過性基板と、開口部を区画するためのブラックマトリックスと、所望の方向に配向した重合性液晶材料より構成される位相差層とを少なくとも備え、上記位相差層が、隣り合うブラックマトリクスを跨いで任意の開口部を覆うようパターニングされており、且つ、ブラックマトリクスの伸長方向に対し垂直の方向において切断した上記位相差層の断面において、位相差層の該断面の上底の寸法をAμmとし、隣り合うブラックマトリクス間において示される開口部の寸法をBμmとしたときに、下記式、
B×0.95≦A
を満たすことを特徴とする光学素子、
(2)上記位相差層と上記ブラックマトリクスとの間、または上記位相差層の上面であって、上記位相差層に直接に接する位置に段差調整層を備え、上記段差調整層が、上記位相差層と同様のパターンで形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の光学素子、
(3)上記ブラックマトリクスと上記位相差層との間に、さらに着色層を備えることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の光学素子、
(4)半透過半反射型表示装置に用いられることを予定する光学素子であって、上記ブラックマトリクスが、反射部である開口部と透過部である開口部とを区画し、且つ、上記位相差層が反射部を選択的に覆うようパターニングされていることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の光学素子、
(5)上記着色層と上記位相差層との間、あるいは位相差層の上面に、段差調整層をさらに備えることを特徴とする上記(4)に記載の光学素子、
(6)上記位相差層が正の一軸を有し、且つ、該位相差層の光軸が基材に対してほぼ水平であることを特徴とする上記(4)または(5)に記載の光学素子、
(7)2枚の基板間に駆動用液晶材料が封入されることにより形成される液晶表示装置であって、一方の基板として、上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の光学素子を備え、対向する他方の基板との間に所望のセルギャップが確保されており、上記セルギャップにより形成される2つの基板間のスペースに駆動用液晶材料が封入されており、且つ、対向する2枚の基板それぞれの外側面に偏光板を備えることを特徴とする液晶表示装置、
を要旨とするものである。
尚、本発明において、位相差層の断面形状における「下底」とは、該断面形状における位相差層の底面の一方の端部から他方の端部までをいい、「上底」とは、位相差層の断面形状における上面部分のうち、上記下底の中央から垂直方向に測定した位相差層の高さを100%としたときに、これに対して90%以上110%以内の高さが示される部分を意味する。
本発明によれば、ブラックマトリクスにより区画される開口部を選択的に覆うように、隣り合うブラックマトリクスを跨いでパターニングされた位相差層において、当該位相差層がテーパー状に形成されている場合であっても、テーパー部と開口部との重複が無いか、あるいは最小限に抑えられるため、当該開口部において実質的に均一な位相差制御機能が発揮される。
本発明の光学素子は、半透過半反射型の液晶表示装置用の光学素子として利用することができ、かかる場合には、特に反射部用開口部を覆うよう位相差層を設けることによって、従来の半透過半反射型液晶表示装置において使用されていた一対の1/4波長板を省略することによって薄型化が図られるとともに、反射部と透過部のセルギャップを異ならしめることが可能である。その上、画質の劣化の原因となる位相差層のテーパー部と反射部用開口部との重複が実質的に回避されているため、良好な光学補償を提供することができる。
上述する本発明の光学素子を用いる本発明の液晶表示装置は、コントラスト性能が非常に優良であり、その結果、高品質な画質を提供することができる。特に、半透過反射液晶表示装置においても、反射部に設置されるパターン化された位相差層のテーパー部分の画素への入り込みが無い、あるいは非常に小さいため、光学補償のズレが小さく、高輝度、且つ高コントラストの画像を提供することが出来る。
以下に、図1及び図2を用い、半透過半反射型用の光学素子を例に本発明について説明する。図1は、半透過半反射型液晶表示装置に用いられる本発明の光学素子1の上面図である。光学素子1は、光透過性基板上において、矢印S方向、及び矢印T方向に伸長する格子状にパターニングされたブラックマトリクス2と、これにより区画される反射部3と透過部4とを備える。ブラックマトリクス2は、実質的に光を透過しない層であって遮光部として理解され、一方、反射部3及び透過部4はいずれも開口部として理解されるものである。そして、上記ブラックマトリクス2上であって反射部3を選択的に覆うように、紙面左右方向にストライプ状にパターニングされた位相差層5がさらに形成されている。
次に、図1に示す光学素子1のY−Y断面概略図を図2に示す。Y−Y断面外略図は、ブラックマトリクス(以下、単に「BM」ともいう)2の伸長方向Tに対して垂直の方向において光学素子1を切断した際の断面図である。図2に示されるとおり、光学素子1は、光透過性基板11上に、反射部3と透過部4とを区画するBM2からなる光学素子1の切断面が観察される。そして隣り合うBM2を跨いで反射部3を選択的に覆うよう設けられた位相差層5の断面が観察される。ここで位相差層5の断面形状は、上底部12とその両端にテーパー部13を有して形成されており、上底部12の寸法をA(μm)、隣り合うBM2間に示される反射部3(開口部)の寸法をB(μm)で示すものである。
図2に示されるように、本発明の光学素子1における位相差層5は、BMの伸長方向Tに垂直な方向における断面で観察した際に、テーパー形状に形成されている。すなわち位相差層5の上記断面形状は、BM2間を跨ぎ、略平坦な上底部12とテーパー状の側面部であるテーパー部13を有して構成されている。尚、本明細書において、特段の断りなく、「位相差層の断面」というときは、上述のとおり、BMの任意の伸長方向に対し、垂直な方向に切断した位相差層の断面を指すものとする。
ここで、上記上底部12の寸法であるA(μm)と、BM2間に示される反射部3(開口部)の寸法であるB(μm)とは、下記式1の関係が保たれていることが本発明において重要である。
B×0.95≦A (式1)
すなわち、略平坦な上底部12の寸法Aが0.95×Bμmよりも小さくなると、結果として、位相差層5のテーパー部13と反射部3(開口部)との重なりが大きくなり、開口部において光学補償のズレが有意に大きくなってしまうからである。その結果、液晶表示装置において画質の劣化が問題となる。
尚、上記上底部12の寸法Aが反射部3の寸法Bより小さくても、その割合が、下記式2の範囲であれば、光学素子1を備える液晶表示装置において人間の視覚で確認されるほどの光学補償のズレが発生しないため、問題とならないことが本発明により明らかにされた。ただし下記式2は、本発明において必ずしもA<Bの関係を示すことが必要である、という趣旨ではない。本発明において、A≧Bの関係であってもよい。
B×0.95≦A<B (式2)
本発明においてパターニングされた位相差層における光学補償のズレがあるか否かは、以下のとおり評価するものとする。
(光学素子の評価)
重合性液晶材料を用いてパターニングされた位相差層を有する光学素子の光学特性は、パラレルニコル状に設置した偏光板の間に、光学素子を、該偏光板の吸収軸に対して光学素子における位相差層の光軸が45°の角度となるように挿入し、上記位相差層を透過する光のムラの有無を観察する事により評価した。すなわち、まず基板に対して垂直であって、且つ、位相差層断面の下底部略中央領域を通過する、垂線と交わる上底部を測定点xとしてa*値及びb*値(L*a*b*表色系における、色相と彩度の尺度)を測定する。次いで、位相差層の上面であって上記測定点から、端部方向に向かって任意な位置を測定点yとしてa*値及びb*値を測定していき、CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨したCIE1976(L*a*b*)表色系の規格に準じて色差ΔEa*b*を求め、ΔEa*b*が3未満の場合には正常な光学補償が示されていると理解し、ΔEa*b*が3以上となる部分では光学補償にズレが生じると評価し、当該部分を本発明におけるテーパー部分とする。
尚、本発明において、位相差層の上底部において測定されるa*値及びb*値は、オリンパス光学工業(株)製の顕微分光測定装置OSP200を用いて測定した。また測定条件は(C光源、照明視野角2度、フィルター無し)とする。
以下に、本発明の光学素子を構成する各構成層について詳細に説明する。
[位相差層]
本発明における位相差層は、重合性官能基を有する液晶材料(以下、重合性液晶材料という)を少なくとも含有する重合性液晶組成物を用いて形成される。位相差層の形成方法については後述する。
上記重合性液晶組成物に含有される液晶材料としては、棒状の分子構造を有する棒状重合性液晶材料、あるいは円盤状の分子構造を有する、所謂ディスコティック重合性液晶材料を用いることができる。特には架橋性のネマチック液晶であって、棒状重合性液晶材料を好ましく用いることができ、具体的には、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。このような棒状重合性液晶材料としては、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物や、化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物のうちの1種もしくは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物等を用いることができる。特に本発明における重合性液晶材料は、1分子中に1個または2個以上の(メタ)アクリル基を有する架橋性ネマチック液晶の少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 2010054670
Figure 2010054670
Figure 2010054670
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化1に示す一般式(1)において、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲をより広くするために、R1またはR2が水素であることが好ましい。また一般式(1)におけるX、一般式(2)におけるYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両末端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環との間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物や、d=e=0である一般式(2)の化合物は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、aおよびb、あるいはdおよびeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物、一般式(2)の化合物は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなるため、位相差層を形成するための重合性液晶組成物に用いるのは好ましくない。
上記した化1〜化4では重合性液晶材料のモノマーを例示したが、重合性液晶材料のオリゴマーや重合性液晶材料のポリマー等も、従来公知のもののなかから適宜選択して用いることができる。一般に位相制御機能層のリタデーション量及び配向特性は、位相差層を構成する重合性液晶材料の複屈折Δnと、位相差層の膜厚とにより決定される。
本発明における位相差層を形成するために用いられる重合性液晶組成物は、上記重合性液晶材料を対配合物換算値で70重量%以上、好ましくは75重量%以上含有することが好ましい。重合性液晶材料の配合量を70重量%以上とすることにより液晶性が向上し、位相差層における重合性液晶材料の配向不良の発生を無視し得る程度に低減することができる。重合性液晶材料の添加が70重量%以上では、液晶分子の配向性の観点から特に問題になることはないので、重合性液晶組成物における他の添加剤の配合量とのバランスで、添加量を適宜決定することができる。尚、本明細書において「対配合物換算値」とは、重合性液晶組成物において、溶剤中に分散または溶解される溶質成分の全重量に対する配合重量比率を意味する。
上記重合性液晶組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜、添加剤を添加することができる。一般的には、光重合開始剤などの重合開始剤が添加される。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。
上記重合開始剤としては、公知の重合開始剤を適宜選択し、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より具体的には、ベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;ケトン類;ビイミダゾール化合物類;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。市販品の例としては、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等を挙げることができる。
また上記重合性液晶組成物への添加剤として、必要に応じてカイラル剤を添加することができる。上記重合性液晶組成物に添加使用可能なカイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。中でも、少量でも重合性液晶材料の配向に螺旋ピッチを誘発させる効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましい。特に分子内に軸不斉を有する低分子化合物の使用が好ましい。
さらに、上記重合性液晶組成物には、基材面に対する重合性液晶組成物の塗布特性を向上させるため、適宜、液晶の配向を大きく損なわない範囲で界面活性剤を添加することが好ましい。
上記位相差層形成用の重合性液晶組成物に用いる溶剤としては、上記重合性液晶材料、重合開始剤、更には必要に応じて添加するカイラル剤、界面活性剤等を溶解または分散することが可能な溶剤であり、かつ重合性液晶組成物における重合性液晶材料の配向性能を阻害したり、重合性液晶組成物を基板に塗布した際に基板を浸食する虞のない溶剤であれば特に限定されるものではない。
単一種の溶剤を使用しただけでは、重合性液晶材料等の溶解性が不充分であったり、上述したように配向性能を有する基板が侵食される場合は、2種以上の溶剤を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。単独溶剤として好ましい例としては、炭化水素系溶剤及びグリコールモノエーテルアセテート系溶剤が挙げられる。また混合溶剤として好ましい例としては、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合溶剤が挙げられる。溶液の濃度は、重合性液晶材料の溶解性や所望する光学機能層の膜厚等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲で用いられる。
[光透過性基板]
本発明の光学素子に用いられる光透過性の基板としては、一つの基板形成材により単層で構成されているもの、あるいは複数種類の基板形成材にて多層に構成されているもののいずれを用いてもよい。また上記光透過性基板には、部分的に遮光領域等が設けられてもよい。光透過性基板の光線透過率は、適宜選定可能である。
上記光透過性基板の具体例としては、ガラス、シリコン、もしくは石英等の無機基材で構成することが好ましいが、次に列挙するような有機基材から構成することもできる。有機基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。特に光学素子を液晶表示用パネルの一方側の基板として用いる場合には、光透過性基板の材質が無アルカリガラスであることが好ましい。上記光透過性基板の厚みには、特に限定は無いが、用途に応じ、例えば、50μm〜数mm程度のものが使用されることが一般的である。
[ブラックマトリクス]
BMは、黒色着色剤を含有する樹脂組成物を用いて、対象面である光透過性基板の表面に直接又は間接に所定形状に印刷する転写方式により形成することができる。あるいは、黒色着色剤を含有する塗料タイプの感光性組成物を用いて、塗布、パターン状露光および現像を行うことにより形成することができる。上記いずれかの方法により形成されるBM2の形成パターンは、一般的には矩形格子状あるいはストライプ状が採用されるが、特に限定されるものではなく、設計変更により適宜決定することができる。尚、BMの厚みは、0.5μm〜2μm程度であることが一般的である。
[着色層]
上述する図1では、BM2上に直接位相差層5を形成した光学素子1の例を示したが、位相差層が形成されるための支持材としてはこれに限定されるものではない。例えばBMの形成された基材面にさらに着色層が形成され、次いで着色層上に位相差層を積層してもよい。上記着色層は、1色または2色以上の有色透明な光透過性着色部から構成される。例えば、赤色光透過性着色部、緑色光透過性着色部、青色光透過性着色部の3色の光透過性着色部により着色層を構成し、フルカラー可能な光学素子とすることができる。上記光透過性着色部は、開口部毎にモザイク型、トライアングル型など種々の配置パターンにより形成されるか、あるいは該開口部を覆って色毎に配列する帯状に形成することもできる。上記光透過性着色部は、それぞれ適用される着色剤が溶解もしくは分散された、好ましくは微細顔料が分散された着色画素用組成物を用いてパターン形成される。より詳しくは、所定の色に着色したインキ組成物を調製して、各色パターン毎に印刷することによって形成されるか、あるいは所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの重合性液晶組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって形成される。着色層の厚みは、1μm〜5μm程度の範囲内において略均一の厚みに形成されることが一般的である。
[段差調整層]
また特に、本発明の光学素子が半透過半反射型液晶表示装置用に用いられることを予定する場合には、反射部を覆う位置にのみ適当な高さの段差調整層を設けることにより、液晶表示装置において反射部と透過部とにおけるセルギャップに差をもたせることができる。即ち、上記段差調整層を設けることによって、セル組みされる2つの基板間において、透過部におけるセルギャップよりも反射部におけるセルギャップを小さくすることによって、電圧無印加時における、透過部と反射部とにおいてそれぞれ通過する光に生じる位相差を、それぞれ1/2波長、1/4波長となるように調整することが可能である。このとき、段差調整層の上に、選択的にパターニングされた位相差層が設けられてもよく、あるいは反射部を覆う位置にまず位相差層を形成し、次いで、該位相差層の上面に直接、段差調整層を設けてもよい。即ち、段差調整層は、位相差層と直接接する位置であって、且つ、該位相差層と同様のパターンで(即ち、反射部を覆って)設けられる透明且つ等方性の層である。
上記段差調整層は、上記光透過性の硬化性樹脂、例えば、アクリル系やウレタン系の樹脂や、アクリル系やウレタン系のモノマーなどの電離放射線を照射することにより重合可能な透明樹脂を混合した透明樹脂含有組成物を用いて形成される。上記透明樹脂含有組成物としては、光学素子内において一般的に保護層を形成する際に用いられる保護層形成材を、段差調製層形成材として用いることができ、市販品の例としては例えば、新日鐵化学株式会社製V259PAを挙げることができる。そして、上記透明樹脂含有組成物を用い、フォトリソグラフィ法により基材面に所望のパターンで上記段差調製層を形成することができる。尚、本発明、あるいは本明細書の記載において電離放射線とは、紫外線などを含む電磁波、及び電子線などを含み分子を重合し得るエネルギー量子を有する粒子線のいずれをも含む。
尚、段差調整層を有する本発明の光学素子においても、位相差層と開口部である反射部との関係が、上述する式(1)の関係にあることが重要である。ここで位相差層を段差調整層と直接接して同様のパターンで形成される場合において、式(1)の関係を維持するために、以下の点に留意する必要がある。
すなわち、位相差層および段差調整層はいずれもフォトリソグラフィ法により形成されることが一般的である。ここでブラックマトリクスを備える基材に、先に位相差層が形成され、次いで段差調整層が形成される場合には、位相差層は、自己の形成工程における焼成工程(ポストベーク)を経る際に収縮し、且つ、該位相差層上に形成される段差調整層の形成工程における焼成工程(ポストベーク)の熱の影響を受けてさらに収縮する。位相差層の収縮は、水平方向にも垂直方向にも表れるため、上記2回の収縮により結果として位相差層の側面のテーパーがより顕著になるのである。したがって、このことを予定したうえで、最終的に式(1)の関係が維持されるよう光学素子の設計時において留意する必要がある。
また、ブラックマトリクスを備える基材に、先に段差調整層が形成され、次いで位相差層が形成される場合には、段差調整層は、自己の形成工程における焼成工程(ポストベーク)を経る際に収縮し、且つ、該段差調整層上に形成される位相差層の形成工程においても焼成工程(ポストベーク)の熱の影響を受けてさらに収縮する。したがって、段差調整層上に積層される位相差層は、自己の形成工程における焼成工程(ポストベーク)時に、該焼成工程における熱により収縮するとともに、該位相差層の下面に存在する段差調整層の収縮につられて形状が変形し、結果として位相差層の側面のテーパーがより顕著になるのである。このことを予定したうえで、最終的に式(1)の関係が維持すされるよう光学素子の設計時において留意する必要がある。
[配向膜]
またさらに、位相差層を形成する支持材面には、適宜、位相差層を構成する重合性液晶材料を所望の方向に配向させるための配向膜を設けることができる。上記配向膜としては、従来公知の配向膜材料であるポリイミド等が用いられ、支持材上に配向膜材料を積層した後、ラビング処理や光配向処理して配向させることにより得られる。あるいは、基板上に酸化ケイ素を斜め蒸着して配向膜としてもよい。本発明で用いられる配向膜材料としては、市販の配向膜材料を用いることができる。具体的には日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
上述に説明するとおり、本発明における位相差層を設けるための支持材は、少なくとも光透過性基板とブラックマトリクスとを備えるが、さらに、着色層、段差調整層、配向膜などの他の層を設けることができる。より具体的には、例えばブラックマトリックスを有する光透過性基板上に上記配向膜が形成された支持材、ブラックマトリクス上に着色層が設けられ、さらにその上面に配向膜が形成された支持材、あるいはブラックマトリクス上に着色層が設けられ、さらにその上に段差調整層を設け、該段差調整層を覆って配向膜が形成された支持材等が実施可能である。
(本発明の光学素子の製造方法)
次に、図3を用いて、本発明の光学素子の製造方法の一例を説明する。図3は本発明の光学素子21の製造方法の一例を工程順に示す説明図であり、配向膜を有する支持材上に位相差層を形成する光学素子の製造方法を示すものである。
まず光透過性基板22上に直接、格子状のブラックマトリックス23を反射部24及び透過部25を区画するようパターニングしたBM基板26を準備する(図3a))。
次に、BM基板26にポリイミド等の配向膜材料を塗布し、ラビング処理することにより配向性能を付与した配向膜27を設けた支持材28を形成する(図3b)。尚、配向膜27は、後述する重合性液晶材料を所望の方向に配向させるための膜であって、少なくとも位相差層の形成予定位置に形成されればよい。ただし、配向膜の形成工程を少なくするために本製造工程においては、BM基板26上全面に配向膜27を形成した。
次に、支持材28における配向膜27上に、少なくとも重合性液晶材料と光重合開始剤と溶剤とを含む重合性液晶組成物を塗布し、塗布膜29を備える塗布膜付き基板30形成する(図3c)。重合性液晶組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スライドコート法、印刷法、ダイコート法等などの公知の塗布方法を適宜選択して実施することができる。
次に、上記の塗布膜付き基板30をプリベークし、塗布膜29中に含有される溶剤を除去する。このとき、プリベークの加熱による流動性を利用して塗布膜29中に含有される重合性液晶材料を一定方向に配列させる。プリベーク温度、時間は、重合性液晶組成物に含まれる材料の特性等に依存するので特に限定されるものではないが、通常、70℃〜120℃で数分〜30分間程度の範囲で行われる。
次に、重合性液晶材料を一定方向に配列させた状態のままで塗布膜29面に、所望のマスクを介して電離放射線を照射・露光し、重合性液晶材料の末端基同士を反応させて重合部を形成させ塗布膜29を硬化させる。たとえば紫外線としては、波長300〜500nm程度の照射光で、紫外線源として高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。照射光量は、重合性液晶材料の種類や組成、光重合開始剤の種類や量等によって異なるが、通常、10〜3000mJ/cm程度の範囲である。
続いて、位相差層を形成する液晶材料の良溶媒からなる現像液を用い、塗布膜29の未露光部分を現像し、水及び親水性有機溶媒、高分子分散剤とからなる混合物をリンス液に用いて現像残渣を洗い流す。更に、加熱処理を行うことにより、未反応の重合性液晶材料を架橋させ、3次元構造を有する架橋構造を液晶材料によって実現し、位相差層31を形成することによって、支持材28上に位相差層31を備える光学素子21を形成することができる(図3d)。上記加熱温度、及び時間は、重合性液晶材料の種類や組成に依存するため特に限定されるものではないが、通常、150℃〜260℃で10分〜60分間程度の範囲で行われる。
光学素子21は、液晶セルを構成する一方側の基板に利用することができ、これにより半透過半反射型液晶表示装置を製造することができる。尚、上記製造方法は、本発明を製造するための例示に過ぎず、本発明を得るための方法として制限するものではない。
次に、本発明の光学素子を用いて形成される液晶表示装置について、図4を用い、半透過半反射型液晶表示装置を例に説明する。
図4は、本発明の光学素子42を用いた半透過半反射型液晶表示装置41を構成する各層の相対的な位置関係を示すための分解斜視図である。したがって、各層が図4に示すように離れているものではない。
半透過半反射型液晶表示装置41は、表示側基板43と、これに対向する対向基板44とこれら両基板間に設けられる駆動用液晶層54とから構成される駆動方式をVAモードとする液晶表示装置の一例である。
上記表示側基板43には、光透過性基板46上に、反射部47と透過部48とを区画する矩形格子状のブラックマトリクス49と、赤色光透過性着色部50R、青色光透過性着色部50B、緑色光透過性着色部50Gがストライプ状に設けられた着色層50と、反射部47を覆うようにパターニングされた段差調整層57及び位相差層51とをこの順にそなえた光学素子42が利用されている。段差調整層57は、半透過半反射型液晶表示装置41におけるセルギャップを反射部47と透過部48とにおいて異ならしめるための段差調整層として設けられた層である。そしてさらに光学素子42の光透過性基板46の着色層50とは反対側の面に第二位相差層として位相差フィルム52が貼り付けられ、さらにその外側に、図面の手前から奥に向かう方向に対して反時計回りに135°の方向に光の吸収軸がある偏光板53aを備えて、表側基板43が形成されている。尚、図示はしないが、VAモードの液晶表示装置の場合には、着色層50と後述する駆動用液晶層54との間にさらに透明電極膜が設けられることが一般的であり、また位相差層51と着色層50との間、あるいは位相差層51と駆動用液晶層54との間には、対向する2つの基板間において一定のセルギャップを確保するための、柱状体が設けられることが一般的である。
一方、対向基板44は、薄膜トランジスタ(TFT)が設けられるとともに(TFTについては図示せず)、光透過性基板55の表示側基板43側面において、反射部47の位置に併せて設けられた反射板56を有し、反射板56の非設置領域が透過部48に対応している。さらに一般的には、反射板56の駆動用液晶層54側面には、ITO等の透明導電膜からなる透明電極(図示せず)が積層され、そしてその透明電極を覆うように配向膜(図示せず)が形成される。また光透過性基板55の反射板56と反対側の面には、光の吸収軸が図面の手前から奥に向かう方向に対して反時計回りに45°の方向である偏光板53bを備えてなる。また対向基板44の外側には、透過部48を透過する光を与えるためのバックライト(図示せず)が備えられる。
ここで、光学素子42における位相差層51のごとき、半透過半反射型液晶表示装置における反射部上にパターニングされる位相差層は、正の一軸を有し、光軸が光透過性基板46に対してほぼ水平である、いわゆる正のAプレートとして形成されることが一般的である。
また本発明の光学素子は、半透過半反射型液晶表示装置に限定されず、種々のタイプの液晶表示装置に使用可能であり、この際、位相差層は、正の一軸を有し、且つ光軸が基材に対してほぼ水平である、いわゆる正のAプレートとして形成されてよい。あるいは、正のAプレートである以外にも、正の一軸を有し、且つ光軸が基材に対してほぼ垂直である、いわゆる正のCプレートとして形成されてもよく、あるいは別の態様として、負の一軸を有し、且つ位相差層の光軸が基材に対してほぼ垂直である、いわゆる負のCプレートとして形成されてもよい。さらに、本発明における位相差層を正のAプレート、正のCプレート、及び負のCプレートを任意の組合せで積層させることも可能である。位相差層は、所望の光学補償や光学機能、表示装置の種類などによって、正のAプレート、正のCプレート、及び負のCプレートあるいはこれらの2層の組合せの中から適宜選択して基材面に積層される。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
以下に示すとおり、ブラックマトリクス基板60を作製し、次いで配向膜を設けることにより、支持材を形成した。そして支持材の配向膜面上に下記のとおり位相差層を形成し、得られた光学素子を実施例1とした。
(ブラックマトリックス基板の作製)
ブラックマトリックス基板は下記材料及びガラス基板(NHテクノグラス社製NA35)を用いて作製した。
ブラックマトリックス用フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤、および溶剤を含有)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液と、クリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開示剤および溶剤)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。
調製したブラックマトリックス材料を、定法にしたがって予め洗浄した上記ガラス基板上に、スピンコート法で塗布した。膜厚は、1.2μmの厚さとなるよう塗布した。90℃、3分間の条件でプリベーク、所定のパターンを露光(100mJ/cm2)、0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベークすることで、ブラックマトリックス基板60を作製した。図4はブラックマトリクス基板60の繰り返し単位である部分上面図である。尚、上記ブラックマトリクスは、図4に示すブラックマトリクス61を形成パターンの繰り返し単位としてパターニングした。また図4中、ブラックマトリクス基板60において、符号62は透過部を、符号63は反射部をそれぞれ示し、w1は210μm、w2は210μm、w3は105μm、w4は15μm、w5は60μm、w6は60μmとした。
<ブラックマトリックス用フォトレジスト>
・黒顔料(大日精化工業(株)製TMブラック#9550)…14.0重量部
・分散剤(ビックケミー(株)製Disperbyk111)…1.2重量部
・ポリマー(昭和高分子(株)製VR60)…2.8重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)…3.5重量部
・添加剤(綜研化学(株)製L−20)…0.7重量部
・開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)…1.6重量部
・開始剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)…0.3重量部
・開始剤(2,4−ジエチルチオキサントン)…0.1重量部
・溶剤(エチレングリコールモノブチルエーテル)…75.8重量部
(配向膜の作製)
上記ブラックマトリクス基板60に下記のとおり配向膜を形成し、支持材を得た。上記配向膜は、配向膜形成用の組成物(JSR株式会社製、AL1254)を、スピンコーターを用いて塗布して膜厚約0.1μmの塗布膜を形成し、次いで230℃のオーブン内で60分焼成し、その後、ラビング装置を用いて塗布膜面にラビング処理を施して配向処理することによって形成した。尚、配向膜は、図5において図示省略する。以下に示す図面についても同様である。
(位相差層の作製)
位相差層は、下記重合性液晶組成物を上記支持材上に、波長589nm位相差が露光直後に165nmとなるようにスピンコーターを用いて塗布した後、減圧乾燥し、100℃で3分間プリベークを行い、残留溶剤を除去すると共に、塗膜を等方相とに転移させた。次に室温で3分間静置した後、塗膜中の液晶材料の配向が上記配向膜に従い所望の方向を向いた状態で、所定のマスクを用い、ブラックマトリックス基板上の反射部を主として露光した。次に未露光部を液晶組成物の良溶媒を用いて現像し、更に、純水/イソプロピルアルコール=30/70の混合溶液をリンス液に用い、現像残渣を洗い流した後、200℃のオーブンで30分間焼成し、正のAプレートとして機能する位相差層を備える光学素子を得て実施例1とした。図6aに実施例1である光学素子71の部分上面図を、図6bに図6aのY−Y断面図を、図6cに図6bの部分拡大図を示す。図6中、符号72は位相差層を、符号73は光透過性基板を、w7はY−Y断面における位相差層72の上底部の寸法を、またw8そのY−Y断面における反射部63の寸法をそれぞれ示す。尚、図6bおよび図6cでは、図面簡略化のため、光学素子71における配向膜の図示を省略した。配向膜の図示について以下、同様に省略する。
<重合性液晶組成物>
・液晶材料(メルク社製RMM34)…24.0重量部
・開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)…1.0重量部
・溶剤(トルエン)…75.0重量部
実施例1を形成後、w7及びw8について、側長機(ソキア製、AMIC−1300)を用いて、任意の5か所について測定し、その平均を算出したところ、w7は70μmm、w8は60μmであった。
(色差による評価)
得られた光学素子をパラレルニコルに設置した2枚の偏光板の間に、光軸が偏光板の吸収軸に対して45°となるように挿入し、位相差層の色度及び分布を測定した。測定は、オリンパス光学工業(株)製 顕微分光測定装置 OSP200を用いた。得られた色度の分布から、色差ΔEabをCIE1976規格に基づき算出した。尚、色差ΔEabの算出方法の詳細は、本明細書に先に示す方法と同様に行った。この結果、実施例1においてパターン形成された位相差層は色差3未満であり、均一な色度を示すことが確認された。
上術のとおりに得られた実施例1における位相差層の色差を下記のとおり評価し、表1に示した。
ΔEab<3・・・・色差の誤差が少なく液晶表示上において色ムラが生じない、あるいは肉眼では観察されない程度である(○)。
3≦ΔEab・・・・位相差層において色差が優位に大きく液晶表示画面上で色ムラが肉眼で観察される恐れがある(×)。
[実施例2]
実施例1で用いたブラックマトリクス基板に、下記のとおり着色層を形成してカラーフィルタ基板を作成し、さらに着色層上に実施例1と同様の方法で配向膜を形成した以外は実施例1と同様に光学素子を作製し、実施例2とした。
(カラーフィルタ基板の作製)
実施例1に用いたブラックマトリックス基板上に着色層を積層することによりカラーフィルタ基板を作製した。着色層には赤色(R)、緑色(G)、青色(B)各画素部の着色材料には顔料分散型フォトレジストを用いた。顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤、および溶剤を含有)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液と、クリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開示剤および溶剤)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。次に、赤色(R)の顔料分散型フォトレジストを、上記ブラックマトリックス基板上にスピンコート法で塗布、80℃、5分間の条件でプリベーク、所定の着色パターン用フォトマスクを用いて、アライメント露光(300mJ/cm)し、0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、60分間ポストベークすることで、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に膜厚2.6μmの赤色(R)画素パターンを形成した。
同様に、緑色(G)の顔料分散型フォトレジストを用いて、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に膜厚2.6μmの緑色(G)画素パターンを形成した。
さらに、青色(B)の顔料分散型フォトレジストを用いて、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に膜厚2.6μmの青色(B)画素パターンを形成し、カラーフィルタを作製した。
<赤色(R)画素用レジスト>
・赤顔料(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製クロモフタールDPP Red BP))…3.5重量部
・黄顔料(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))…0.6重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)…3.0重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)…4.0重量部
・ポリマー1…5.0重量部
・開始剤(チバガイギー社製イルガキュア907)…1.4重量部
・開始剤(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)…0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)…80.0重量部
<緑色(G)画素用レジスト>
・緑顔料(C.I.PG7(大日精化製セイカファストグリーン5316P))…3.7重量部
・黄顔料(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))…2.3重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)3.0重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)…4.0重量部
・ポリマー1…5.0重量部
・開始剤(チバガイギー社製イルガキュア907)…1.4重量部
・開始剤(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)…0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)…80.0重量部
<青色(B)画素用レジスト>
・青顔料(C.I.PB15:6(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))…4.6重量部
・紫顔料(C.I.PV23(クラリアント社製フォスタパームRL-NF))…1.4重量部
・顔料誘導体(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)…0.6重量部
・分散剤(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)…2.4重量部
・モノマー(サートマー(株)製SR399)…4.0重量部
・ポリマー1…5.0重量部
・開始剤(チバガイギー社製イルガキュア907)…1.4重量部
・開始剤(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)…0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)…80.0重量部
尚、上記のポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
上述のとおり作成したカラーフィルタ基板の着色層面上に実施例1と同様に配向膜を形成した支持材上に、実施例1と同様に位相差層を設けて光学素子を作製し実施例2を完成させた。図7aに実施例2である光学素子の部分上面図を、図7bに図7aのX−X断面図を、図7cに図7bの部分拡大図を示す。また図7中、符号81は、実施例2である光学素子を、符号74Rは、着色層を構成する赤色光透過性着色部、符号74Bは、着色層を構成する青色光透過性着色部、符号74Gは、着色層を構成する緑色光透過性着色部を、w9はX−X断面における位相差層72の上底部の寸法を、またw10は該X−X断面における反射部63の寸法をそれぞれ示す。
実施例2におけるw9及びw10について、実施例1と同様の方法によって測定したところ、w9は70μm、w10は60μmであった。
(色差による評価)
実施例2について、実施例1と同様に位相差層における色差を求めた。その結果、実施例2における位相差層は、色差ΔEabが3未満であり、均一な色度を示すことが確認された。また実施例1と同様に得られた色差を評価し、評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例2で用いた支持材において、着色層上であって反射部を覆う位置に段差調整層を設け、該段差調整層上に位相差層を設けたこと以外は、実施例2と同様に光学素子を作製し、実施例3とした。
(段差調整層の作製)
段差調整層を形成するために、下記組成からなる透明レジストを、実施例2で用いたカラーフィルタ基板上に0.6μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布した後、減圧乾燥し、100℃で3分間プリベークを行い、残留溶剤を除去した。次に、所定のマスクを介してアライメント露光(200mJ/cm2)し、0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、230℃、60分間ポストベークすることで、着色層上であって反射部を覆う位置に、膜厚0.5μmの段差調整層を形成した。
<段差調整層用レジスト>
・モノマー(サートマー(株)製SR399)…8.0重量部
・ポリマー1…10.0重量部
・開始剤(チバガイギー社製イルガキュア907)…1.4重量部
・開始剤(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)…0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)…80.0重量部
尚、上記のポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
上述のとおり形成した段差調整層を備える基板上に配向膜を作成して支持材を形成し、該支持材上に位相差層を設けて光学素子を作製し、実施例3を完成させた。図8aに実施例3である光学素子75の部分上面図を、図8bに図8aのX−X断面図を、図8cに図8bの部分拡大図を示す。また図8中、符号75は、実施例3である光学素子を、符号76は、段差調整層を、w14はX−X断面における位相差層72の上底部の寸法を、またw12は該X−X断面における反射部63の寸法を、w13はX−X断面における段差調整層76の上底部の寸法をそれぞれ示す。
w12〜w14について、実施例1と同様の方法による各寸法を求めたところ、w12は60μm、w13は70μm、w14は60μmであった。
(色差による評価)
実施例3について、実施例1と同様に位相差層における色差を求めた。その結果、実施例3における位相差層は、色差ΔEabが3未満であり、均一な色度を示すことが確認された。また実施例1と同様に得られた色差を評価し、評価結果を表1に示す。
[実施例4]
Y−Y断面における位相差層の上底部の寸法w7が57μmとなるよう作製したこと以外は実施例1と同様に光学素子を作製し、実施例4とした。
(色差による評価)
実施例4について、実施例1と同様に位相差層における色差を求めた。その結果、実施例4における位相差層は、色差ΔEabが3未満であり、均一な色度を示すことが確認された。また実施例1と同様に得られた色差を評価し、評価結果を表1に示す。
[実施例5]
X−X断面における位相差層の上底部の寸法w9が57μmとなるよう作製したこと以外は実施例2と同様に光学素子を作製し、実施例5とした。
(色差による評価)
実施例5について、実施例1と同様に位相差層における色差を求めた。その結果、実施例5における位相差層は、色差ΔEabが3未満であり、均一な色度を示すことが確認された。また実施例1と同様に得られた色差を評価し、評価結果を表1に示す。
[実施例6]
X−X断面における位相差層の上底部の寸法w14が57μmとなるよう作製したこと以外は実施例3と同様に光学素子を作製し、実施例6とした。
(色差による評価)
実施例6について、実施例1と同様に位相差層における色差を求めた。その結果、実施例6における位相差層は、色差ΔEabが3未満であり、均一な色度を示すことが確認された。また実施例1と同様に得られた色差を評価し、評価結果を表1に示す。
[比較例1]
Y−Y断面における位相差層の上底部の寸法w7が50μmとなるよう作製したこと以外は実施例1と同様に光学素子を作製し、比較例1とした。
(色差による評価)
比較例1について、実施例1と同様に位相差層における色差を求めた。その結果、比較例1における位相差層は、色差ΔEabが3以上であり、色ムラが観察された。また実施例1と同様に得られた色差を評価し、評価結果を表1に示す。
[比較例2]
X−X断面における位相差層の上底部の寸法w9が50μmとなるよう作製したこと以外は実施例2と同様に光学素子を作製し、比較例2とした。
(色差による評価)
比較例2について、実施例1と同様に位相差層における色差を求めた。その結果、比較例2における位相差層は、色差ΔEabが3以上であり、色ムラが確認された。また実施例1と同様に得られた色差を評価し、評価結果を表1に示す。
[比較例3]
X−X断面における位相差層の上底部の寸法w14が50μmとなるよう作製したこと以外は実施例3と同様に光学素子を作製し、比較例3とした。
(色差による評価)
比較例3について、実施例1と同様に位相差層における色差を求めた。その結果、比較例3における位相差層は、色差ΔEabが3以上であり、色ムラが確認された。また実施例1と同様に得られた色差を評価し、評価結果を表1に示す。
以上、実施例1〜6及び比較例1〜3の結果から、ブラックマトリクスを備える基板において、該ブラックマトリクスを跨いで形成されるようパターニングされた位相差層において、位相差層の上底部の寸法Aと、ブラックマトリクス間の開口部(実施例では特に反射部)の寸法Bとの関係において、B×0.95≦Aの関係が保たれることにより、位相差層において好ましい色度が示されることが確認された。一方、上記関係式を外れる比較例では、位相差層のテーパー部が開口部に重複する部分が増大し、かかるテーパー部と上程部とにおいて示される位相差が一開口部内において異なることによる色差の不均一が有意に示された。
Figure 2010054670
本発明の一態様である光学素子の上面図である。 図1に示す光学素子のY−Y断面図である。 本発明の光学素子の製造工程例を説明するための説明図である。 本発明の液晶表示装置の一態様を示す分解斜視図である。 実施例1におけるブラックマトリクスのパターン単位を示す説明図である。 (6a)は実施例1である光学素子の部分上面図であり、(6b)は(6a)のX−X断面図であり、(6c)は(6b)の部分拡大図である。 (7a)は実施例2である光学素子の部分上面図であり、(7b)は(7a)のX−X断面図であり、(7c)は(7b)の部分拡大図である。 (8a)は実施例3である光学素子の部分上面図であり、(8b)は(8a)のX−X断面図であり、(8c)は(8b)の部分拡大図である。
符号の説明
1、21、42、71、75、81 光学素子
2、23、49、61 ブラックマトリクス
3、24、47、63 反射部
4、25、48、62 透過部
5、31、51、72 位相差層
11、22、46、55 光透過性基板
12 上底部
13 テーパー部
26 BM基板
27 配向膜
28 支持材
29 塗布膜
30 塗布膜付き基板
41 半透過半反射型液晶表示装置
43 表示側基板
44 対向基板
45 駆動用液晶層
50 着色層
52 位相差層フィルム
53a、53b 偏光板
54 駆動用液晶層
56 反射板
57、76 段差調整層
60 ブラックマトリクス基板

Claims (7)

  1. 光透過性基板と、開口部を区画するためのブラックマトリックスと、所望の方向に配向した重合性液晶材料より構成される位相差層とを少なくとも備え、
    上記位相差層が、隣り合うブラックマトリクスを跨いで任意の開口部を覆うようパターニングされており、且つ、
    ブラックマトリクスの伸長方向に対し垂直の方向において切断した上記位相差層の断面において、位相差層の該断面の上底の寸法をAμmとし、隣り合うブラックマトリクス間において示される開口部の寸法をBμmとしたときに、下記式、
    B×0.95≦A
    を満たすことを特徴とする光学素子。
  2. 上記位相差層と上記ブラックマトリクスとの間、または上記位相差層の上面であって、上記位相差層に直接に接する位置に段差調整層を備え、
    上記段差調整層が、上記位相差層と同様のパターンで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 上記ブラックマトリクスと上記位相差層との間に、さらに着色層を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 半透過半反射型表示装置に用いられることを予定する光学素子であって、上記ブラックマトリクスが、反射部である開口部と透過部である開口部とを区画し、且つ、上記位相差層が反射部を選択的に覆うようパターニングされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 上記着色層と上記位相差層との間、あるいは位相差層の上面に、段差調整層をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の光学素子。
  6. 上記位相差層が正の一軸を有し、且つ、該位相差層の光軸が基材に対してほぼ水平であることを特徴とする請求項4または5に記載の光学素子。
  7. 2枚の基板間に駆動用液晶材料が封入されることにより形成される液晶表示装置であって、一方の基板として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子を備え、対向する他方の基板との間に所望のセルギャップが確保されており、上記セルギャップにより形成される2つの基板間のスペースに駆動用液晶材料が封入されており、且つ、対向する2枚の基板それぞれの外側面に偏光板を備えることを特徴とする液晶表示装置。
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