JP2007332230A - 液晶組成物、これを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置 - Google Patents

液晶組成物、これを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、容易に且つ安価に位相差層を製造可能であるとともに硬度の点に優れた位相差層を形成可能な液晶組成物、それを用いて形成された位相差層を備えたカラーフィルタ、およびこのカラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】架橋性液晶分子と、分子構造中にカルボキシル基と重合性官能基を有する多官能分子とを含有する液晶組成物により、硬度の点に優れた位相差層を形成可能な液晶組成物が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶組成物、該液晶組成物よりなる位相差層を有するカラーフィルタ及び該カラーフィルタを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、薄型軽量、低消費電力という大きな利点を持つため、パーソナルコンピューターや携帯電話、電子手帳等の表示装置に積極的に用いられている。これらの液晶表示装置は、駆動液晶層に含まれる液晶(駆動液晶)分子の複屈折性を利用して光のスイッチングを行っている。したがって、液晶表示装置は駆動液晶の複屈折性に由来する視野角依存性の問題が存在し、この問題を、光の位相差を補償する位相差層を用いて解決するべく、各種の位相差層を形成した部材として例えば位相差層形成フィルムが開発されている。この位相差層形成フィルムは通常、ポリアクリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース等のフィルムの延伸によって作製される。そして、その位相差形成フィルムは、対面する表示側基板と駆動液晶側基板との間に液晶を封入した構造を備えた液晶セルの外側位置に、通常、設置される。このような液晶セルでは、その外側位置に位相差層が配置されることになる。
また位相差層は上記したように液晶セルの外側位置に設置される場合に限られず、最近では架橋性液晶や高分子液晶を用いて液晶セルの内側に位相差層を設置する方法が提案されており(特許文献1)、液晶セルの内側に位相差層を設置する事で、高い機械的強度と耐熱性を得る事が出来る。
液晶セルの内側に設置された位相差層については、その機械強度をさらに向上させるため、位相差層表面に保護層を積層させる方法が提案されている(特許文献2)。さらに、特殊な骨格の重合性単量体を配向膜上で配向・硬化させることにより、高い硬度の位相差層を形成する方法も提案されている(特許文献3)。
特開2000−221506号公報 特開2004−126534号公報 特開2005−309255号公報
しかしながら、特許文献2に提案された方法は、位相差層に保護膜を積層させる方法であるので、製造工程が増加し、歩留まりが低下すると共に製造コストの上昇をきたすといった問題が有った。また、特許文献3に提案された方法は、特殊な分子骨格構造を備えた重合性単量体を材料として用いることを要する方法であるので、その材料の合成が複雑であり、やはり製造コストの上昇が問題となっていた。
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、容易に且つ安価に位相差層を製造可能であるとともに硬度の点に優れた位相差層を形成可能な液晶組成物、それを用いて形成された位相差層を備えたカラーフィルタ、およびこのカラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、(1)分子構造中にカルボキシル基と重合性官能基とを有する多官能分子と、架橋性液晶分子と、を含有することを特徴とする液晶組成物、
(2)架橋性液晶分子が、少なくとも1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する上記(1)記載の液晶組成物、
(3)多官能分子を、対配合物換算値で5〜20重量%含有する上記(1)又は(2)記載の液晶組成物、
(4)多官能分子が多官能(メタ)アクリレートである、上記(1)から(3)のいずれかに記載の液晶組成物。
(5)多官能(メタ)アクリレートがペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステルである、上記(4)記載の液晶組成物、
(6)多官能(メタ)アクリレートがジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステルである、上記(4)記載の液晶組成物、
(7)光透過性を有する基板上に、着色層と位相差層が積層されており、且つ、位相差層が上記(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶組成物を硬化させ形成したものであることを特徴とするカラーフィルタ、
(8)位相差層が、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶組成物を着色層上に塗布して形成される液晶塗布膜に対し、前記液晶塗布膜の表面に向けて光を照射して、前記架橋性液晶分子を硬化させて形成されたものである、上記(7)に記載のカラーフィルタ、
(9)位相差層が、(メタ)アクリロイル基を含有する少なくとも対配合物換算値で94.9〜70重量%の架橋性液晶分子と、対配合物換算値で0.1〜10重量%の光重合開始剤、および対配合物換算値で5〜20重量%の多官能分子とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、位相差層の鉛筆硬度が、JIS K5600−5−4に準じた評価で2H以上である、ことを特徴とする上記(7)又は(8)記載のカラーフィルタ、
(10)位相差相に含まれる架橋性液晶分子がホメオトロピック配向している上記(7)から(9)のいずれかに記載のカラーフィルタ、
(11)対向する表示側基板と駆動液晶側基板の間に液晶材料を封入して駆動液晶層を形成している液晶表示装置であって、前記表示側基板が上記(7)〜(10)のいずれかに記載のカラーフィルタであることを特徴とする液晶表示装置、を要旨とする。
なお、本明細書において、液晶組成物を構成する成分として配合されるもの(配合物成分(液晶組成物に溶媒が含まれる場合には、溶媒を除く)という)についての対配合物換算値は、液晶組成物の全重量(ただし、液晶組成物に溶媒が含まれる場合には、溶媒の重量を除く)を100としたときの、対象となる配合物成分についての重量比率(重量%)の値を示す。
本発明の液晶組成物は、架橋性液晶分子と、分子構造中にカルボキシル基と重合性官能基を有する多官能分子とを含有している。したがって、本発明の液晶組成物を基板面上に塗布して膜(液晶塗布膜)を製膜するとともに液晶塗布膜に含まれる架橋性液晶分子に予め定められた配向性を与え、液晶塗布膜中の架橋性液晶分子同士を重合させて硬化させて位相差層となす場合、位相差層の優れた視野角改善機能を維持しつつ、多官能分子により位相差層の硬度を高めることができる。しかも、この液晶組成物により得られる位相差層は、容易に且つ安価に製造できるものであるとともに、長期にわたって機械強度に優れる。このため本発明の液晶組成物により位相差層を形成したカラーフィルタやこのカラーフィルタを表示側基板として用いた液晶表示装置は、長期間に亘って優れた視野角改善効果を発揮する。
また、本発明によれば、本発明によれば、多官能分子としてカルボキシル基と重合性官能基とを有するものを用いることで、液晶組成物にて位相差層を形成したカラーフィルタが製造される場合に、カラーフィルタと液晶組成物との親和性が向上するという効果を奏する。
本発明の液晶組成物は、架橋重合可能な分子構造を有する架橋性液晶分子と、多官能分子とを含有する組成物である。
本発明の液晶組成物に用いられる架橋性液晶分子としては、架橋性を有するネマチック液晶分子(架橋性ネマチック液晶分子)などをあげることができる。架橋性ネマチック液晶分子としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような架橋性液晶分子として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(I))もしくは2種以上の混合物、化2、化3に示す化合物(化合物(II))のうちの1種の化合物或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
Figure 2007332230
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Figure 2007332230
化1に示す一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれに、水素またはメチル基を示すが、架橋性液晶分子が液晶相を示す温度の範囲をより広くするにはR1およびR2はともに水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環と間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物(I)は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物(I)自体の結晶性が高い。また、aおよびbがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物(I)は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物は、どちらについても液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなり、本発明の液晶組成物に用いるには好ましくない。
液晶組成物に配合される架橋性液晶分子として、上記した化1、化2、化3では重合性を備える液晶(重合性液晶)のモノマーを例示したが、重合性液晶のオリゴマーや重合性液晶のポリマー等を用いてもよく、これらについても、上記した化1、化2、化3などのオリゴマーやポリマーなどといった公知なものを適宜選択して用いることができる。
位相差層の特性を示すリタデーション量及び配向特性は、架橋性液晶分子の複屈折Δnと、位相差層の膜厚により決定されるが、架橋性液晶分子をホメオトロピック配向させた位相差層を有する光学素子、いわゆる正のCプレート、を形成する場合、架橋性液晶分子のΔnは0.03〜0.20程度が好ましく、0.05〜0.15程度が更に好ましい。なお、ホメオトロピック配向とは、架橋性液晶分子の光軸の方向が位相差層面に対してほぼ垂直な方向(理想的には垂直な方向)となるように架橋性液晶分子が位相差層中に配置されている状態を示す。
本発明の液晶組成物に用いる多官能分子は、分子構造中に重合性官能基を2以上含む分子であり、この多官能分子としては、分子構造中にカルボキシル基を含有するものを好ましく用いることができる。
また、多官能分子における重合性官能基としては、(メタ)アクリレート基またはエポキシ基、オキセタン基を挙げることができ、反応性の高さの理由から、多官能分子は、重合性官能基として(メタ)アクリレートを有する多官能(メタ)アクリレート、すなわち多官能アクリレートおよび/または多官能メタクリレート、を好ましく用いることができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1分子中にカルボキシル基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。このような多官能(メタ)アクリレートとしては、具体的に、下記化4に示す一般式で表される化合物(化合物(III))のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物を用いることができる。
Figure 2007332230
化4に示す一般式において、m、nは、それぞれ1以上の整数を示し、R1、R2は1以上の炭素原子を有してなる有機炭化水素構造を示している。化4に示す一般式は、いずれの分子量の化合物も用いる事ができ、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステルなどを挙げることができるが、架橋性液晶との相溶性の観点から、分子量は1000以下であるものが好ましい。
カルボキシル基と重合性官能基を有する多官能分子は、液晶組成物に含まれる架橋性液晶分子の配向性を大きく損なわない範囲で添加することが必要であり、対配合物換算値で5.0〜20重量%、好ましくは10〜15重量%となるように添加される。この多官能分子の配合量が5.0重量%以下の場合、液晶組成物を用いて位相差層を形成した場合に得られる位相差層の厚み方向の硬度が十分に向上せず、多官能分子の配合量が20重量%以上では、液晶組成物に含まれる架橋性液晶分子に一定の配向性を与えようとする場合に架橋性液晶分子の配向性に乱れが生じやすくなる虞がある。
液晶組成物には、通常は、光重合開始剤などの重合開始剤が配合される。光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を使用することができる。ラジカル重合性開始剤は紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましい。これらの重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないように、吸収波長の異なる重合開始剤を組み合わせるのが好ましい。
光重合開始剤は、液晶組成物中の架橋性液晶分子の配向性能を損なわない範囲で添加することが必要であり、一般的には、対配合物換算値で0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜12重量%、より好ましくは0.5〜10重量%となるように添加される。
尚、液晶組成物には、重合禁止剤も添加されることがあるが、これにより液晶組成物の保存安定性をより向上させることができる。また、液晶組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で光重合開始剤の他に、増感剤、界面活性剤なども適宜添加することができる。
本発明の液晶組成物を用いて、架橋性液晶分子をホメオトロピック配向させた位相差層を形成した光学素子、いわゆる正のCプレート、を作成する場合には、液晶組成物に垂直配向助剤が配合されていてもよい。垂直配向助剤は、架橋性液晶分子をホメオトロピック配向させる場合に、架橋性液晶分子の配向状態をより安定、確実なものにする効果を奏するものである。垂直配向助剤としては、垂直に整列したアルキル鎖またはフルオロカーボン鎖を有する表面カップリング剤、例えばレシチンまたは第四級アンモニウム界面活性剤、例えばHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、DMOAP(N,N−ジメチル−N−オクタデシル−3−アミノプロピルトリメトキシシリルクロリド)またはN−パーフルオロオクチルスルホニル−3−アミノプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、シランポリマー、長鎖アルキルアルコールなどを具体的に挙げることができる。
垂直配向助剤は、対配合物換算値で0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%となるように配合される。特に好ましい垂直配向助剤の配合量は、対配合物換算値で0.8〜 2重量%となる量である。配合物成分全量に対する垂直配向助剤の含有率が0.1重量%未満の場合、液晶組成物に含まれる架橋性液晶分子に対するホメオトロピック配向性の付与に十分に寄与しない場合があり、また10重量%を超える場合は、液晶組成物における架橋性液晶分子の配向性能が却って阻害され、架橋性液晶分子同士を架橋重合させて液晶組成物を硬化させる際に、硬化速度の低下や架橋密度の低下をきたすといった問題を生じる虞がある。
本発明の液晶組成物を用いて正のCプレートを作成する場合においては、架橋性液晶分子以外の配合物成分は、対配合物換算値で30重量%以下となるように添加する必要がある。架橋性液晶分子以外の配合物成分が、対配合物換算値で30重量%以上添加されると、架橋性液晶分子の配向性が悪化する虞がある。ただ、このことは、カイラル剤を添加して構成される液晶組成物を用いて所謂負のCプレートを作成するような場合等について、架橋性液晶分子以外の配合物成分が対配合物換算値で30重量%以上添加されて架橋性液晶分子の添加量が70重量%未満になること、を除外するものではない。
また、本発明の液晶組成物を用いて、架橋性液晶分子にコレステリック規則性を付与してカイラルネマチック液晶となして位相差層を形成された光学素子、いわゆる負のCプレート、を作成する場合には、液晶組成物にはカイラル剤が添加されてもよい。
カイラル剤としては、分子内に光学活性な部位を有する低分子量化合物で、分子量1500以下の化合物であることが好ましい。具体的には、カイラル剤としては下記の化5に示すような化合物を例示することができるが、化1に示す化合物(I)や化2、化3に示す化合物(II)と溶液状態或いは溶融状態で相溶性を有し、かつ架橋性ネマチック液晶の分子の液晶性を損なうことなく螺旋ピッチを誘起できるものであれば、化5に示す化合物に限定されない。ただし、カイラル剤としては、その分子構造中の両末端に架橋性官能基を有するものが、耐熱性の良い位相差層を得る上で好ましく、カイラル剤は分子構造内に光学活性な部位を有する化合物であることが重要である。
このようなカイラル剤が、化1に示す化合物(I)、または化2、化3に示す化合物(II)を架橋性液晶分子として含む液晶組成物において配合されると、その液晶組成物を用いて位相差層するにあたり、位相差層に含まれる架橋性液晶分子に対して正の一軸ネマチック規則性で螺旋ピッチを誘起することができる。
本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。選択したカイラル剤の性質によっては、ネマチック規則性の破壊、配向性の低下を招き、また非重合性のカイラル剤の場合には架橋性液晶の重合による硬化性能を低下させる事態を招くばかりか、液晶組成物を用いて形成される位相差層の電気的信頼性を低下させる事態を招く虞があり、更に光学活性な部位を有するカイラル剤の多量使用はコストアップを招く。従って本発明で用いるカイラル剤としては、少量でも液晶の配向に螺旋ピッチを誘発させる効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましく、具体的には化5に記載する一般式(2)〜(4)で表されるような化合物であって、分子内に軸不斉を有する低分子化合物の使用が好ましい。なお、カイラル剤としては、より具体的には、例えばMerck社製S−811等の市販のものを用いることができる。
Figure 2007332230
一般式(2)〜(4)において、R4は水素又はメチル基を示し、Yは下記、化6、化7に示す(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、中でも式(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vii)の何れか一つであることが好ましい。またアルキレン基の繰り返し数を示すc及びdは、それぞれ個別に2〜12の範囲であることがさらに好ましい。c又はdの値が0又は1である化合物は、安定性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶性も高い。一方、c又はdの値が13以上である化合物は、融点(Tm)が低い。これにより、c及びdの値が上記好ましい範囲を外れる化合物をカイラル剤として用いると、化合物(I)又は化合物(II)に例示される架橋性液晶分子との相溶性が低下し、濃度によっては相分離等が起きる虞がある。
Figure 2007332230
Figure 2007332230
カイラル剤の配合量の最適範囲は、螺旋ピッチ誘起能力や、最終的に得ようとする位相差層に含まれる架橋性液晶分子のコレステリック規則性の程度などを考慮して適宜決められ、架橋性液晶分子の種類等により大きく異なる。具体的には、カイラル剤は、一般的に、対配合物換算値で0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%となるように配合される。特に好ましいカイラル剤の配合量は、対配合物換算値で1〜15重量%となる量である。配合物成分中におけるカイラル剤の含有率が0.01重量%未満の場合、液晶組成物に含まれる架橋性液晶分子に対して十分にコレステリック規則性を付与できない場合があり、また30重量%を超える場合は、液晶組成物における架橋性液晶分子の配向性能が阻害され、架橋性液晶分子同士を架橋重合させて液晶組成物を硬化させる際に、硬化速度の低下や架橋密度の低下をきたすといった問題を生じる虞がある。
尚、本発明で用いるカイラル剤は、特に架橋性を有することを必須とするものではないが、得られる位相差層の熱安定性等を考慮すると、液晶組成物に含まれる架橋性液晶分子と重合し、架橋性液晶分子にコレステリック規則性を付与した状態を固定化することが可能な架橋性能を有するカイラル剤を用いることが好ましい。そのようなカイラル剤としては、特に、カイラル剤の分子構造の両末端に架橋性官能基が存在するものが、位相差層の耐熱性を向上させる上でより好ましい。
本発明の液晶組成物は、これを構成する架橋性液晶分子などの各成分を混合して形成されてもよいし、適宜、溶媒に懸濁や溶解させた状態にして形成されていてもよい。液晶組成物が溶媒に溶解した溶液の状態であると、塗布性を向上させることができる。この場合、溶媒としては上述した架橋性液晶やシランカップリング剤等といった配合物成分を溶解することが可能であり、かつ塗布する相手側素材の性能を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。
配合物成分を溶解させる溶媒としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。単一種の溶媒を使用しただけでは、架橋性液晶分子等の配合物成分の溶解性が不充分である場合や、塗布する相手方の素材が侵される虞がある場合等には、2種以上の溶媒を混合使用することにより、これらの不都合を回避することができる。上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいものは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類とを混合した混合系溶媒である。液晶組成物溶液の配合物成分の濃度は、液晶組成物に用いる配合物成分の溶媒への溶解性や位相差層に望まれる層厚み等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲である。
本発明の液晶組成物によれば、これを基板に塗布して位相差層を形成して光学素子となすことができる。この光学素子は、液晶表示装置に組み込まれて視野角を調整するための位相差補償機能を発揮可能な素子として用いることができる。
また、本発明の液晶組成物によれば、液晶表示装置を構成する部材に直接に位相差層を形成することができ、例えば位相差層は、液晶表示装置を構成するカラーフィルタに設けることができる。このようにしても、位相差層は、液晶表示装置において視野角を調整するための位相差補償機能を発揮することができる。
次に、位相差層を設けたカラーフィルタについて図面に基づき説明する。
図1は、本発明におけるカラーフィルタの一実施例を示す。
このカラーフィルタ1は、基板2表面上に、ブラックマトリクス5(BM)、赤(R)のサブ画素6、緑(G)のサブ画素7、青(B)のサブ画素8を設けて着色層3を形成して、さらに着色層3の表面に、位相差層4を積層している。
基板2は、光透過性を有する透明で光学的に等方性のものであることが好ましいが、必要に応じて光学的に異方性を備えた領域や遮光性を備えた領域を局所的に設けることもできる。また光透過率はカラーフィルタの用途に応じて適宜選定可能である。
基板2は、具体的には、ガラス、シリコン、もしくは石英等といった無機物質に基づく基材の他、有機物質に基づく基材(有機基材)を用いることができる。有機基材としては例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。基板2の厚さについても、用途に応じて、例えば5μm〜3mm程度のものが使用される。
基板2上には、予め定められた位置やパターンで、ブラックマトリクス5(BM)が設けられ、さらに、赤(R)のサブ画素6、緑(G)のサブ画素7、青(B)のサブ画素8を順次設けられ、ブラックマトリクス5(BM)と、赤(R)のサブ画素6と、緑(G)のサブ画素7と、青(B)のサブ画素8とで着色層3が形成される。
ブラックマトリクス5は、基板2面上に各色のサブ画素(着色サブ画素)6、7、8の配置される位置に対応する領域を、平面視上、個々の着色サブ画素6、7、8ごとに区画化するように形成される。
このブラックマトリクス5は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜を所定形状に基板2面にパターニングすることにより、形成することができる。また、ブラックマトリクス5は、黒色樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することによりを形成することも可能である。
着色層3を構成する赤(R)のサブ画素6、緑(G)のサブ画素7、青(B)のサブ画素8は、それぞれ赤色、緑色、青色各々についての着色材料を溶媒に分散させた着色材料分散液の塗膜を、例えばフォトリソグラフィー法で、所定形状にパターニングすることで形成されるほか、着色サブ画素の各色に対応する着色材料を分散させた溶液(着色材料分散液)を所定形状に塗布することによってもパターニングできる。この着色材料分散液の塗布のパターニング形態としては、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型等種々なパターンを適宜選択することができる。
位相差層4は、本発明の液晶組成物を用いて次のように製膜して形成されたものである。
着色層3の表面上に、本発明の液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を形成させる。液晶組成物の塗布には、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法といった各種印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、ダイコート法、コンマコート法、インクジェット法、スピンコート法、スリットコート法などの方法といった塗工方法やこれらを組合せた方法を適宜用いることができる。
この液晶塗布膜の形成にあたり、予め着色層3の表面に対して、UV(紫外線)を照射する処理(UV洗浄処理)や、コロナ放電を作用させる処理(コロナ処理)などが施されると、着色層3の濡れ性が向上し、着色層3と液晶塗布膜との接触をより緊密にすることができて好ましい。
着色層3上に液晶塗布膜が形成されると、液晶塗布膜に含まれる架橋性液晶分子に予め定められた配向性を付与して架橋性液晶の分子を架橋重合させる。
例えば、液晶塗布膜を正のCプレートとしての機能を有する位相差層4となす場合には、液晶塗布膜中の架橋性液晶分子をホメオトロピック配向させて架橋性液晶分子同士を重合させる。架橋性液晶分子にホメオトロピック配向を付与することは、赤外線で加熱する手段などを用いて液晶塗布膜を加熱して、その液晶塗布膜の温度を、その中に含まれる架橋性液晶が液晶相となる温度(液晶相温度)以上、架橋性液晶が等方相(液体相)となる温度未満にすることで実施できる。
また、液晶塗布膜中で配向を付与された架橋性液晶分子同士の重合(架橋重合)は、液晶組成物に含まれる架橋液晶分子や光重合開始剤などの感光波長の光を液晶塗布膜の表面に照射することで進行させることができる。このとき、液晶塗布膜に照射される光の波長は、液晶組成物の吸収波長に応じて適宜選択されるが、一般的には200〜500nm程度である。なお、液晶塗布膜に照射される光は、単色光に限らず、光重合開始剤の感光波長を含む一定の波長域を持った光であってもよい。
こうして、液晶塗布膜に含まれる架橋性液晶分子が重合されると、この液晶塗布膜が位相差層4をなし、カラーフィルタ1が製造される。
なお、液晶塗布膜を位相差層4となすにあたり、液晶塗布膜に光を照射して架橋性液晶分子の架橋重合反応を進行させたうえ、さらに、オーブンなどを用いて液晶塗布膜の焼成が行われてもよい。このような焼成を行うことで、位相差層4をより硬化させることができ、位相差層4表面を硬化させたカラーフィルタ1を得ることができる。
カラーフィルタ1は、位相差層4の鉛筆硬度が、JIS K5600−5−4の評価基準で2H以上であることが好ましい。
ここにおいて位相差層4の鉛筆硬度は、具体的に次のような試験方法にて測定された値である。まず、この鉛筆硬度の試験方法では、細長円柱状の芯と該芯の周囲を取り巻く木部でなる鉛筆を用い、鉛筆削り器にて、この鉛筆の端部より長手方向に木部を除いて5〜6mm程度芯を露出させる。このとき、鉛筆の芯が傷つけられて大きな欠けを生じずにおおよそ滑らかな円柱状になるように注意する。そして、鉛筆の芯の先端を研磨紙に対して垂直に接触させ、およそ90°の角度を保持しながら鉛筆を研磨紙に対して前後に動かし、芯の先端を平らにしておく。次に、予め硬度を測定しようとするサンプルとなる基板(サンプル基板)を用意しておき、先端を平らにした鉛筆の配設された鉛筆硬度試験器に、そのサンプル基板を設置し、45±1°の角度で鉛筆の先端がサンプル基板に接する時に、荷重が0gとなるように鉛筆硬度試験器を設定する。そうしたうえで、鉛筆に750±10gの荷重を掛ける。鉛筆の先端がサンプル基板上に載った後、サンプル基板を、鉛筆が45±1°に傾いた方向に0.5〜1mm/sの速度で7mm移動させる。サンプル基板表面上を鉛筆の先端が移動した後、サンプル基板において鉛筆を移動させて試験を行った表面(塗面)部位(試験部位)の状態を肉眼で検査して、鉛筆の圧痕の種類を調べる。鉛筆の圧痕について、圧痕を生じる場合(傷跡を生じる場合)と生じない場合があり、圧痕を生じる場合には、その状況に応じて次の(a)から(c)のとおりに分類定義する。
(a)塑性変形:サンプル基板の表面の塗布膜に永久くぼみを生じるが、凝集破壊はない。
(b)凝集破壊:サンプル基板の表面に、塗布膜の製膜に用いた塗膜材料が剥れ落ちたり
引っかき傷又は破壊が、肉眼で認められる。
(c)上記の組合せ:最終段階では、すべての欠陥が同時に生じることがある。
上記分類(a)、(b)、(c)のいずれの圧痕も生じない場合は、鉛筆の硬度スケールを上げて試験を繰り返し、分類(a)、(b)、(c)のいずれかの圧痕を生じる場合は、鉛筆の硬度スケールを下げて試験を繰り返す。ただし、このような繰り返し行われる試験においては、鉛筆の先端とサンプル基板とを接触させる位置は、試験ごとに重なりあわないような別異の位置にする。
この鉛筆硬度試験は、試験部位に、少なくとも長さ3mm以上の傷跡が生じるようになる鉛筆の硬度を特定する。なお、鉛筆硬度試験は、2回実施して、2回の結果が一単位以上異なる時は破棄し、試験を再度実施する。
こうして、鉛筆硬度試験において、分類(a)、(b)、(c)のいずれの圧痕も生じなかった最も硬い鉛筆の硬度が特定され、その硬度が鉛筆硬度となる。
なお、本発明における液晶組成物を用いて位相差層を形成したカラーフィルタとして、基板2と位相差層4の間に着色層3が形成されているカラーフィルタ1を例として具体的に説明したが、これに限定されず、カラーフィルタは、図2に示すように基板2と着色層3の間に位相差層4が形成されているものであってもよい。
また、図3、図4に示すように、カラーフィルタ1には、必要に応じて、位相差層4の表面に、保護層9やスペーサ10が設けられてもよい。
保護層9は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、アミド系又はエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂材料や、多官能エポキシを含有するアクリル系、アミド系又はエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂塗料といった樹脂組成物を位相差層4表面に塗布して樹脂塗布膜を製膜し、この樹脂塗布膜を乾燥させ、さらに硬化させることによって形成することができる。樹脂塗布膜の硬化は、樹脂組成物の性質に応じて公知の硬化方法を適宜実施することができ、例えば、多官能アクリレートを含有するアクリル系ポリマーの材料からなる透明樹脂材料にて樹脂塗布膜を製膜する場合、樹脂塗布膜にUV光を照射するなどによりその樹脂塗布膜を硬化することができる。
スペーサ10は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、及びアミド系又はエステル系ポリマー等の材料からなり光硬化可能な感光性塗料を、位相差層4や保護層9の表面上に塗布してこれを乾燥させ、スペーサ10の形成を予定する位置(スペーサ形成予定位置)に対応したパターンを形成したマスクを介して露光した後、現像してスペーサ形成予定位置以外の感光性塗料を取り除き、スペーサ形成予定位置に残された感光性塗料を焼成することにより形成される。
本発明のカラーフィルタ1は、図5に示すように、対向する2枚の基板(表示側基板12、駆動液晶側基板たる駆動用回路側基板13)の間に液晶材料(駆動用液晶材料14)を封入して駆動液晶層を形成して構成される液晶セル15に直線偏向板23、32などを適宜配して形成される液晶表示装置11において、その液晶表示装置11の観察者側(図中上方に相当)に設置される表示側基板12として用いることができる。図5の例の場合、カラーフィルタ1の位相差層4は、上記のように架橋性液晶分子が透明な基板2(透明基板ということがある)に対して例えばホメオトロピック配向した状態で固定化された正のCプレートを構成している。
駆動用回路側基板13には、透明基板31のインセル側(駆動用液晶材料14の封入される側)に駆動用回路33と、これにより電圧の負荷量を制御される駆動用電極34とが設けられている。
なお、液晶表示装置11がIPSモードの場合には、表示側基板12の直線偏光板23と、駆動用回路側基板13の直線偏光板32とは、互いの透過軸が直交するように配されている。
また、液晶表示装置11には、必要に応じて、表示側基板12と直線偏向板23に挟まれるように、透明導電膜21や介在させ、また、正のAプレート22のような位相差フィルム20を介在させてもよく、さらに負のCプレートを介在させてもよい。
本発明のカラーフィルタ1によれば、位相差層4はカラーフィルタ1の透明基板2と、駆動用回路側基板13を構成する透明基板31との間に挟まれるように、液晶セルの内側に配置され、いわゆるインセル型の位相差層4を備えた液晶表示装置を形成することができる。
次に、本発明の液晶組成物を用いた位相差層につき、液晶組成物に含まれる液晶の分子をホメオトロピック配向させ、位相差層を正のCプレートとなす場合を例として詳細に説明する。
実施例1
下記化8に示す化合物(a)〜(d)の混合物を架橋性液晶分子として用い、重合禁止剤としてBHT(2,6−ジーtert−ブチルー4−ヒドロキシトルエン)、重合開始剤としてイルガキュアー907、その他添加剤としてドデカノールを用い、これらを混合して下記組成の組成物(組成物A)を作製した。組成物Aは、特表2004−524385号公報の記載に準じて作製した。
Figure 2007332230
組成物Aの構成
化合物(a) 32.67重量%
化合物(b) 18.67重量%
化合物(c) 21.00重量%
化合物(d) 21.00重量%
ドデカノール 1.02重量%
BHT 0.04重量%
イルガキュアー907 5.60重量%
上記組成物Aに対して、多官能分子としてカルボキシル基と重合性官能基を有する多官能分子たるペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル(東亜合成社製TO−756)を、対配合物換算値で5重量%となる量添加し、さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で溶解し、配合物成分濃度が20重量%の液晶組成物を得た。ここに、この配合物成分濃度とは、液晶組成物の全重量に対する、溶媒を除いた配合物成分全体の重量比率を示している。
ガラス基板(コーニング社製、1737ガラス)(寸法:縦100mm×横100mm×厚み0.7mm)をスピンコーター(ミカサ社製、1H−360S)にセットし、このガラス基板上に上記で得られた液晶組成物をスピンコーティングして液晶塗布膜を製膜し、これを減圧乾燥した。次いで、液晶塗布膜を形成したガラス基板に対して、超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「TOSCURE 751」)により紫外線(365nm)を20mW/cm2で10秒間照射して液晶塗布膜に含まれる架橋性液晶分子を架橋重合させ、次いでオーブンを用いて230℃で30分間焼成して液晶塗布膜を位相差層(膜厚1.5μm)となし、ガラス基板に位相差層を形成した光学素子を得た。
得られた光学素子に形成された位相差層につき、架橋性液晶分子の配向状態、および硬度を測定した。
「架橋性液晶分子の配向状態(配向性)」
光学素子に形成された位相差層に含まれる架橋性液晶分子の配向状態は、波長589nmの光が位相差層を通過した際に生じる位相差を次のように測定することによって評価した。なお、位相差層の測定は、大塚電子製のRETS−1250AVを用いて実施された。
図6に示すように、光学素子の位相差層の表面上に互いに直交するx軸とy軸をとるとともにx軸とy軸に対して垂直なz軸を想定した。そして、z軸方向およびz軸に対してx軸方向及びy軸方向に傾斜する方向について光学素子の位相差を測定した。また、x軸方向に傾斜する方向について測定された場合、y軸方向に傾斜する方向について測定された場合、光学素子に生じる位相差がz軸を基準として対称性を示しているか否かを測定した。これらの測定結果に基づき、架橋性液晶分子が良好にホメオトロピック配向をしているか否かという配向性の良否を、次のように評価した。結果については表1に示す。
位相差はx軸方向、y軸方向ともに対称性を示す、又は、z軸方向の位相差の値が4nm以下、についていずれか一方は満たす ・・・・ ○
位相差はx軸方向、y軸方向ともに対称性に乱れがあり、且つ、z軸方向の位相差の値が4nmより大きい ・・・・・・・・・・・・・ ×
なお、上記の位相差4nmの基準に関し、クロスニコルに配した2枚の偏光板の間で位相差を生じさせ、2枚の偏光板を光が透過するか否かを調べた場合に、目視上、光の透過が確認できない程度に収まる位相差の基準値が4nmである。
「位相差層の硬度(層硬度)」
光学素子に形成された位相差層の硬度の測定は、JIS K5600−5−4に準じた鉛筆硬度の測定によって実施された。得られた光学素子に形成された位相差層の硬度については、次に示すように評価した。結果については表1に示す。
鉛筆硬度が2Hのものと同等もしくは硬い(鉛筆硬度が2H以上) ・・・ ◎
鉛筆硬度が2Hのものより軟らかくBのものより硬いもしくは同等・・・・ ○
鉛筆硬度がBのものより軟らかい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ×
実施例2
多官能分子としてカルボキシル基と重合性官能基を有する多官能分子たるペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル(東亜合成社製TO−756)を、対配合物換算値で10重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を形成した光学素子を作製した。得られた光学素子の位相差層につき、実施例1と同様にして、架橋性液晶分子の配向状態、および位相差層の硬度を測定するとともに、配向性と層硬度について評価した。結果を表1に示す
実施例3
多官能分子としてカルボキシル基と重合性官能基とを有する多官能分子たるジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル(東亞合成社製TO−1382)を用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を形成した光学素子を作製した。得られた光学素子の位相差層につき、実施例1と同様にして、架橋性液晶分子の配向状態、および位相差層の硬度を測定するとともに、配向性と層硬度について評価した。結果を表1に示す
参考例1
多官能分子としてカルボキシル基と重合性官能基を有する多官能分子たるペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル(東亜合成社製TO−756)を、対配合物換算値で3.0重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を形成した光学素子を作製した。得られた光学素子の位相差層につき、実施例1と同様にして、架橋性液晶分子の配向状態、および位相差層の硬度を測定するとともに、配向性と層硬度について評価した。結果を表1に示す
参考例2
多官能分子としてカルボキシル基と重合性官能基を有する多官能分子たるペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル(東亜合成社製TO−756)を、対配合物換算値で25重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を形成した光学素子を作製した。得られた光学素子の位相差層につき、実施例1と同様にして、架橋性液晶分子の配向状態、および位相差層の硬度を測定するとともに、配向性と層硬度について評価した。結果を表1に示す
比較例1
多官能分子を用いなかった以外は実施例1と同様にして位相差層を形成した光学素子を作製した。得られた光学素子の位相差層につき、実施例1と同様にして、架橋液晶分子の配向状態、および位相差層の硬度を測定し、配向性と層硬度について評価した。結果を表1に示す。
比較例2
多官能分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートTMP−A)を用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を形成した光学素子を作製した。得られた光学素子の位相差層につき、実施例1と同様にして、架橋液晶分子の配向状態、および位相差層の硬度を測定し、配向性と層硬度について評価した。結果を表1に示す。
比較例3
多官能分子としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPE−4A)を用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を形成した光学素子を作製した。得られた光学素子の位相差層につき、実施例1と同様にして、架橋液晶分子の配向状態、および位相差層の硬度を測定し、配向性と層硬度について評価した。結果を表1に示す。
比較例4
多官能分子としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートDPE−6A)を用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を形成した光学素子を作製した。得られた光学素子の位相差層につき、実施例1と同様にして、架橋液晶分子の配向状態、および位相差層の硬度を測定し、配向性と層硬度について評価した。結果を表1に示す。
(表1)
Figure 2007332230
これらの実施例、比較例により、本発明の液晶組成物によれば、この液晶組成物を用いて形成された位相差層につき、位相差層に含まれる架橋液晶分子の配向性を保持しつつ、その位相差層の硬度を向上させることができることが判る。
本発明における液晶組成物を用いたカラーフィルタの一実施例を説明ずるための概略縦断面図である。 本発明における液晶組成物を用いたカラーフィルタの他の実施例を説明ずるための概略縦断面図である。 本発明における液晶組成物を用いたカラーフィルタの他の実施例を説明ずるための概略縦断面図である。 本発明における液晶組成物を用いたカラーフィルタの他の実施例を説明ずるための概略縦断面図である。 本発明におけるカラーフィルタを用いた液晶表示装置の一実施例を説明ずるための概略縦断面図である。 位相差層の位相差測定方向を測定する方向を説明するための説明図である。
符号の説明
1 カラーフィルタ
2 基板
3 着色層
4 位相差層
5 ブラックマトリクス
6、7、8 サブ画素

Claims (11)

  1. カルボキシル基と重合性官能基を有する多官能分子と、架橋性液晶分子と、を含有することを特徴とする液晶組成物。
  2. 架橋性液晶分子が、少なくとも1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する請求項1記載の液晶組成物。
  3. 多官能分子を、対配合物換算値で5〜20重量%含有する請求項1又は2記載の液晶組成物。
  4. 多官能分子は、多官能(メタ)アクリレートである請求項1から3のいずれかに記載の液晶組成物。
  5. 多官能(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステルである請求項4記載の液晶組成物。
  6. 多官能(メタ)アクリレートは、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステルである請求項4記載の液晶組成物。
  7. 光透過性を有する基板上に、着色層と位相差層が積層されており、且つ、位相差層が請求項1〜6のいずれかに記載の液晶組成物を硬化させ形成したものであることを特徴とするカラーフィルタ。
  8. 位相差層が、請求項1〜6のいずれかに記載の液晶組成物を着色層上に塗布して形成される液晶塗布膜に対し、前記液晶塗布膜の表面に向けて光を照射して、前記架橋性液晶分子を硬化させて形成されたものである、請求項7に記載のカラーフィルタ。
  9. 位相差層が、(メタ)アクリロイル基を含有する少なくとも対配合物換算値で94.9〜70重量%の架橋性液晶分子と、対配合物換算値で0.1〜10重量%の光重合開始剤、および対配合物換算値で5〜20重量%の多官能分子とを含む液晶組成物を光硬化及び焼成させて形成され、位相差層の鉛筆硬度がJIS K5600−5−4の評価基準で2H以上である、ことを特徴とする請求項7又は8記載のカラーフィルタ。
  10. 位相差層に含まれる架橋性液晶分子がホメオトロピック配向している請求項7から9のいずれかに記載のカラーフィルタ。
  11. 対向する表示側基板と駆動液晶側基板の間に液晶材料を封入して駆動液晶層を形成している液晶表示装置であって、前記表示側基板が請求項7〜10のいずれかに記載のカラーフィルタであることを特徴とする液晶表示装置。
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