JP2007332270A - 液晶組成物、カラーフィルタおよび液晶表示装置 - Google Patents

液晶組成物、カラーフィルタおよび液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】安価且つ容易に、硬度などの機械強度、および基材密着性に優れた位相差層を形成することのできる液晶組成物、それを用いたカラーフィルタ、およびこのカラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】1種または2種以上の架橋性液晶分子と、分子構造中にアミノ基を含有するシランカップリング剤と、分子構造中にアルコール性水酸基および多官能(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、イソシアネート化合物と、を含有することを特徴とする液晶組成物、およびこれを透明基板2に塗工して固定化した位相差層4を備えるカラーフィルタ1ならびに該カラーフィルタ1を表示側基板12とする液晶表示装置11。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶組成物、該液晶組成物よりなる位相差層を有するカラーフィルタ、および該カラーフィルタを用いた液晶表示装置に関する。
近年、液晶表示装置は、薄型軽量、低消費電力という大きな利点を持つため、パーソナルコンピューターや携帯電話、電子手帳等の表示装置に積極的に用いられている。これらの液晶表示装置は、駆動用液晶材料の複屈折性を利用して光のスイッチングを行っている。したがって、液晶表示装置は駆動用液晶材料の複屈折性に由来する視野角依存性が存在し、この問題を解決するために各種の位相差層形成フィルムが開発されている。この位相差層形成フィルムは通常、ポリアクリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース等のフィルムの延伸によって作製され、2枚の基板で駆動用液晶材料を挟み込んでなる液晶セルの外側に設置される。また、最近では架橋性液晶材料や高分子液晶材料を用いて液晶セルの内側に位相差層を設置する方法が提案されており(下記特許文献1参照)、この場合は液晶セルの内側に位相差層を設置することでフィルムが不要となるため、高い機械的強度と耐熱性が得られ、さらには吸湿変形を抑制することができる。
また、これらの位相差層についてはその耐熱性や耐薬品性をさらに向上させるため、重合性液晶中に多官能(メタ)アクリレート(下記特許文献2および3参照)を添加し、硬化させる方法が提案されている。
特開2000−221506号公報 特開2002−265421号公報 特開2002−308832号公報
しかしながら、上記特許文献2または3のように、重合性液晶中に多官能(メタ)アクリレートを添加しただけの方法では、位相差層と基材との密着力が弱く、外部からの応力により剥がれてしまうといった問題があった。本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、安価且つ容易に、硬度などの機械強度、および基材密着性に優れた位相差層を形成することのできる液晶組成物、それを用いたカラーフィルタ、およびこのカラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明にかかる液晶組成物は、架橋性液晶分子に対し、アミノ基を含有するシランカップリング剤と、アルコール性の多官能分子とをともに添加することによって、これを重合固定して得られる位相差層の垂直配向性と硬度を向上し、さらにイソシアネート化合物を配合することにより前記添加物と相乗的に位相差層の耐久性や基材密着性などの機械特性を更に向上することを実現するものである。
即ち本発明にかかる液晶組成物は、
(1)1種または2種以上の架橋性液晶分子と、分子構造中にアミノ基を含有するシランカップリング剤と、分子構造中にアルコール性水酸基および重合性官能基を有する多官能分子と、イソシアネート化合物と、を含有することを特徴とする液晶組成物;
(2)架橋性液晶分子の少なくとも1種が、1分子中に1個または2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する上記(1)に記載の液晶組成物;
(3)前記多官能分子が、多官能(メタ)アクリレートである上記(1)または(2)に記載の液晶組成物;
(4)前記多官能(メタ)アクリレートが、2−ヒドロキシ1−3ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ1−3ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ,1−アクリロキシ,3−メタクリロキシプロパン、エチレンビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)]ジメタクリレート、(1−メチル−1,2−エタンジイル)ビス[オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]ジアクリレート、ビスフェノールA−グリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−グリシジルアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレートからなる群より選ばれる1種または2種以上である上記(3)に記載の液晶組成物;
(5)前記多官能(メタ)アクリレートがペンタエリスリトールトリアクリレートである上記(3)に記載の液晶組成物;
(6)前記多官能(メタ)アクリレートがジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレートである上記(3)に記載の液晶組成物;
(7)前記イソシアネート化合物が、分子構造中にイソシアネート基を2以上有する上記(1)から(6)のいずれかに記載の液晶組成物;
(8)前記シランカップリング剤を、対配合物換算値で0.01〜20重量%含有する上記(1)から(7)のいずれかに記載の液晶組成物;
(9)前記多官能分子を、対配合物換算値で5〜20重量%含有する上記(1)から(8)のいずれかに記載の液晶組成物;
(10)前記イソシアネート化合物を、対配合物換算値で1〜20重量%含有する上記(1)から(9)のいずれかに記載の液晶組成物;
を要旨とするものである。
また本発明にかかるカラーフィルタおよびこれを用いた液晶表示装置は、
(11)透明基板上に少なくとも着色層と位相差層とが積層されたカラーフィルタであって、前記位相差層が上記(1)〜(10)のいずれかに記載の液晶組成物が硬化して形成されたものであることを特徴とするカラーフィルタ;
(12)位相差層が、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の液晶組成物を着色層上に塗布し、その表面に活性放射線を照射して、前記架橋性液晶分子を硬化させて形成されたものである上記(11)に記載のカラーフィルタ;
(13)位相差層が、対配合物換算値で少なくとも93.89〜70重量%の(メタ)アクリロイル基を含有する前記架橋性液晶分子と、0.1〜10重量%の光重合開始剤と、0.01〜20重量%の前記シランカップリング剤と、5〜20重量%の前記多官能分子と、1〜20重量%の前記イソシアネート化合物とを含む前記液晶組成物が光硬化および焼成されて形成され、かつ前記位相差層の鉛筆硬度が、JISK5600−5−4の評価基準で2H以上である上記(11)または(12)に記載のカラーフィルタ;
(14)位相差層が、対配合物換算値で少なくとも93.89〜70重量%の(メタ)アクリロイル基を含有する前記架橋性液晶分子と、0.1〜10重量%の光重合開始剤と、0.01〜20重量%の前記シランカップリング剤と、5〜20重量%の前記多官能分子と、1〜20重量%の前記イソシアネート化合物とを含む前記液晶組成物が光硬化および焼成されて形成され、かつ前記位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である上記(11)から(13)のいずれかに記載のカラーフィルタ;
(15)位相差層がホメオトロピック配向している上記(11)〜(14)のいずれかに記載のカラーフィルタ;
(16)上記(11)〜(15)のいずれかに記載のカラーフィルタと、液晶駆動用電極を備える駆動用回路側基板とを対向させて配置し、前記カラーフィルタと前記駆動用回路側基板との間に駆動用液晶材料を封入してなる液晶表示装置;
を要旨とするものである。
尚、本明細書において用いられるいくつかの用語について以下のとおり定義する。
「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタアクリロイル基」の2つの官能基の総称として用いるものとする。尚、アクリロイル基の例としてはアクリロイロキシ基(アクリレート基)等、メタアクリロイル基の例としてはメタクリロイロキシ基(メタクリレート基)等が挙げられる。同様に、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」および「メタクリレート」を意味する。
「液晶組成物」とは、少なくとも架橋性液晶分子と、アミノ基を有するシランカップリング剤と、アルコール性の多官能分子と、イソシアネート化合物とを含み、さらに位相差層を形成するために用いられる他の物質が配合された混合物である組成物、および上記混合物を溶媒に溶解もしくは懸濁させて調製した溶液状態である組成物の両方を意味する。また本明細書中、特に上述した「溶液状態である組成物」である本発明の液晶組成物のことを、便宜上「液晶組成物溶液」とも呼ぶ。
「対配合物換算値」とは、本発明の液晶組成物が上記混合物である場合には、該混合物を構成する物質として配合される各配合物の総重量を100としたときの各配合物の重量比を意味し、本発明の液晶組成物が上記配合物を溶媒で溶解あるいは混合した溶液である場合には、溶液の重量から溶媒の重量を引いた重量(即ち、溶媒に溶解或いは懸濁する前の各配合物の総重量)を100としたときの各配合物の重量比を意味する。なお、本発明において特に断りなく重量%と表記した場合は、対配合物換算値を意味するものとする。
「位相差層」とは、光の位相差(リタデーション)変化に対して光学補償することができる位相差制御機能を有する層を意味する。
「ホメオトロピック配向」とは、位相差層を構成する液晶分子の光軸が基板面に対して垂直または略垂直に立ち上がっている配向状態をいう。また「位相差層がホメオトロピック配向している」とは、位相差層を構成する液晶分子が、ホメオトロピック配向していることをいう。尚、本発明において、液晶分子の理想的なホメオトロピック配向とは、位相差層の厚さ方向をz軸にしてxyz直交座標を想定したとき、x軸方向の屈折率nxとy軸方向の屈折率nyがほぼ同じ値になり、かつ測定角度が0°の時の位相差値が4nm以下の場合をいい、好ましくは3.5nm以下、より好ましくは3nm以下の場合をいう。
本発明の液晶組成物をガラス基板等の基材上に塗布し、液晶分子を配向させた上で、これを硬化させることにより、塗膜の硬度および基材密着性に優れる。このため本発明の液晶組成物により位相差層を形成したカラーフィルタやこのカラーフィルタを表示側基板として用いた液晶表示装置は、安価かつ長期間に亘って優れた視野角改善効果と、硬度および基材密着性を発揮するという効果を奏する。
また本発明の液晶組成物は、架橋性液晶分子にアミノ基を含有するシランカップリング剤を添加することにより、その垂直配向性が向上し、垂直配向膜を用いることなく、かつ基材(下地層)表面の性状によらず該分子をホメオトロピック(垂直)配向させることができる。
さらに本発明によれば、水酸基および重合性官能基を有する多官能分子を用いることにより、架橋性液晶分子との相溶性が向上するという効果を奏する。
なお、液晶組成物を固定化した位相差層と基材との密着性を向上するという観点のみから言えば、例えば両者の間に粘着層を別途形成する方法も採り得るところであるが、かかる方法では、位相差層の形成に先立って粘着層を塗工および固定する工程を経る必要があり、またカラーフィルタや液晶表示装置全体の厚さが増してしまうほか、該粘着層によって透過光の散乱が生じ、カラーフィルタ等の光学特性が低下する虞がある。これに対し、本発明のように液晶組成物中に上記所定の官能基を有するシランカップリング剤を一体に混合することにより、工程数の増大、層厚さの拡大および光学特性の低下のいずれの問題をも伴うことなく本発明の効果を得ることができる。
本発明の液晶組成物は、(1)架橋性液晶分子と、(2)分子構造中にアミノ基を含有するシランカップリング剤と、(3)分子構造中にアルコール性水酸基および重合性官能基を有する多官能分子と、(4)イソシアネート化合物とが(5)溶媒に添加されてなるものである。上記各成分について、以下具体的に説明する。
<架橋性液晶分子について>
本発明の液晶組成物に用いる架橋性液晶分子としては、架橋性のネマチック液晶を用いることができ、架橋性ネマチック液晶としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。このような架橋性液晶としては、下記一般式(1)で表される化合物(I)のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物、化2、化3に示す化合物(II)のうちの1種の化合物もしくは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。特に、本発明における架橋性液晶分子を構成する架橋性ネマチック液晶分子の少なくとも1種が1分子中に1個または2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
Figure 2007332270
Figure 2007332270
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上記一般式(1)において、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1またはR2の少なくとも一方が水素であることが好ましく、R1およびR2がともに水素であることがより好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、化合物(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環との間のスペーサーであるアルキレン基の鎖長を示すaおよびbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、aおよびbがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を示す温度範囲が狭くなり好ましくない。上記化1、化2、化3では架橋性液晶のモノマーを例示したが、架橋性液晶のオリゴマーやポリマー等も、従来用いられているもののなかから適宜選択して用いることができる。
一般に位相差層のリタデーション量および配向特性は、架橋性液晶分子の複屈折Δnと、位相差層の膜厚により決定されるところ、架橋性液晶分子のΔnは0.03〜0.20程度が好ましく、0.05〜0.15程度が更に好ましい。かかる複屈折率を達成することで、一般的な塗布装置による液晶組成物の塗工により、波長λの可視光を透過させた場合にλ/4やλ/2などの所望の位相差を得ることのできる位相差層が形成される。
本発明の液晶組成物において、架橋性液晶分子は対配合物換算値で70重量%以上、好ましくは75重量%以上となるように配合されることが好ましい。含有量を70重量%以上とすることにより液晶性が向上し、位相差層における配向不良の発生を良好に抑制できる。ただし架橋性液晶分子に特定の作用を付与し、あるいは本発明の液晶組成物を用いて形成される位相差層に特定の機能を付与するためのさらなる添加剤を添加することが必要な場合には、架橋性液晶分子の添加量は上述の限りではない。かかる場合には、他の添加剤の添加量を考慮し、適宜、架橋性液晶分子の添加量を決定してよい。例えば、後述するカイラル剤を添加して一般に形成される所謂負のCプレートを得る場合などについては、架橋性液晶分子の添加量が70重量%未満になることを除外するものではない。
<正のCプレートについて>
上記架橋性液晶分子を垂直配向(ホメオトロピック配向)させて固定化することにより、液晶分子の光軸が位相差層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートを形成することができる。この場合、液晶組成物の塗布面には垂直配向膜を予め形成するか、または液晶組成物に垂直配向助剤を混合するとよい。
垂直配向助剤の例としては、例えばレシチンや第四級アンモニウム界面活性剤などの垂直に整列したアルキル鎖またはフルオロカーボン鎖を有する表面カップリング剤、HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、DMOAP(N,N−ジメチル−N−オクタデシル−3−アミノプロピルトリメトキシシリルクロリド)、N−パーフルオロオクチルスルホニル−3−アミノプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、長鎖アルキルアルコール、シランポリマーなどを挙げることができる。
なお本発明にかかる液晶組成物によれば、架橋性液晶分子に後述するアミノ基含有シランカップリング剤が添加されたことにより、ガラス基板上に着色層が形成された基材等の表面に本発明の液晶組成物を塗布し配向、硬化させた場合に、配向膜を用いずとも基材の表面性状によらず、該液晶組成物中の架橋性液晶分子を安定してホメオトロピック配向させることができる。特に、基材表面を洗浄処理し該基材表面の性状が変化した場合であっても、かかる基材表面に直接本発明の液晶組成物を塗布し、該組成物中に含まれる架橋性液晶分子の配向を乱すことなく位相差層を形成することができる。
さらに上記垂直配向助剤を添加することで上記ホメオトロピック配向性を安定化させる効果が相乗的に高められることが本発明者らの知見によって明らかとなっている。上記相乗効果の具体的なメカニズムは必ずしも明らかではないが、液晶組成物に添加されるアミノ系シランカップリング剤の少なくとも一部が上記垂直配向助剤とカップリングすることで、位相差層における基材界面や空気界面に臨む液晶分子のみならず、位相差層の中間部分を含む全体にわたって、架橋性液晶分子を垂直配向させる規制力が発揮されるものと推察される。
<負のCプレートについて>
一方、液晶分子の光軸が位相差層と並行するとともに常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる負のCプレートを形成する場合、架橋性ネマチック液晶としてはカイラル剤を添加したコレステリック規則性を有するカイラルネマチック液晶を好適に用いることができる。
カイラル剤は光学活性な部位を有する低分子量化合物で、分子量1500以下の化合物が好ましい。カイラル剤は、上記化1に示す化合物(I)、または化2、化3に示す化合物(II)が発現する正の一軸ネマチック規則性に、螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられる。カイラル剤としては下記、化4に示す化合物を例示することができるが、上記化合物(I)や化合物(II)と溶液状態または溶融状態で相溶性を有し、かつ架橋性ネマチック液晶の液晶性を損なうことなく螺旋ピッチを誘起できるものであれば、化4に示す化合物に限定されない。しかしながら分子の両末端に架橋性官能基を有するものが、耐熱性の良い光学素子を得る上で好ましい。カイラル剤は分子内に光学活性な部位を有する化合物である。
本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つもしくは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、またはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物等が挙げられる。例えば市販のカイラルネマチック液晶、より具体的にはMerck社製S−811等を用いることができる。選択したカイラル剤の性質によっては、ネマチック規則性の破壊、配向性の低下を招き、また非重合性のカイラル剤の場合には架橋性液晶の硬化性の低下、硬化フィルムの電気的信頼性の低下を招く虞があり、更に光学活性な部位を有するカイラル剤の多量使用はコストアップを招く。従って本発明で用いるカイラル剤としては、液晶性高分子の配向に螺旋ピッチを誘発する効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましく、具体的には下記一般式(2)〜(4)で表されるような化合物であって、分子内に軸不斉を有する低分子化合物の使用が好ましい。
Figure 2007332270
上記一般式(2)〜(4)において、R4は水素又はメチル基を示し、Yは下記、化5、化6に示す(i)〜(xxiv)のうちの任意の一つであるが、中でも式(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vii)のうちの何れか一つであることが好ましい。またアルキレン基の繰り返しを示すcとdは、それぞれ個別に2〜12の範囲であることがさらに好ましい。cとdのいずれかまたは両方の値が0または1である化合物は、安定性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶性も高い。一方、cまたはdの値が13以上である化合物は、融点(Tm)が低い。換言すると、cとdの値がともに上記好ましい範囲のカイラル剤を用いると、上記化合物(I)および化合物(II)に例示される架橋性液晶モノマーとの相溶性が十分に得られるという利点がある。
Figure 2007332270
Figure 2007332270
カイラル剤の配合量の最適範囲は、螺旋ピッチ誘起能力や、最終的に得ようとする位相差層に含まれる架橋性液晶分子のコレステリック規則性の程度などを考慮して適宜決められ、架橋性液晶分子の種類等により大きく異なる。具体的には、カイラル剤は、一般的に、対配合物換算値で0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%となるように配合される。特に好ましいカイラル剤の配合量は、対配合物換算値で1〜15重量%となる量である。配合物成分中におけるカイラル剤の含有率が0.01重量%未満の場合、液晶組成物に含まれる架橋性液晶分子に対して十分にコレステリック規則性を付与できない場合があり、また30重量%を超える場合は、液晶組成物における架橋性液晶分子の配向性能が阻害され、架橋性液晶分子同士を架橋重合させて液晶組成物を硬化させる際に、硬化速度の低下や架橋密度の低下をきたすといった問題を生じる虞がある。カイラル剤の配合量が上記好適な数値範囲内である場合、負のCプレートの配向性と架橋硬化性をともに十分に高め、位相差層の良好な光学特性を得ることができる。
尚、本発明で用いるカイラル剤は、特に架橋性を有することを必須とするものではないが、得られる位相差層の熱安定性等を考慮すると、上述した架橋性液晶と重合し、コレステリック規則性を固定化することが可能な架橋性カイラル剤を用いることが好ましい。特に、分子の両末端に架橋性官能基があることが、耐熱性のよい光学素子を得る上で好ましい。
<正のAプレートについて>
液晶分子の光軸が位相差層と並行するとともに、常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートを形成する場合、ラビング処理などを施した水平配向膜による配向規制力を架橋性液晶分子に負荷するか、または空気界面に対する架橋性液晶分子の表面自由エネルギーを抑制するためのレベリング剤を添加することで該分子を水平配向させることができる。
<シランカップリング剤について>
本発明の液晶組成物にはシランカップリング剤が配合されるが、シランカップリング剤としては、その分子構造中に官能基としてアミノ基を含有するもの(すなわちアミノ系シランカップリング剤)が好ましく用いられる。アミノ基を備えるシランカップリング剤を液晶組成物に配合することにより、上述したアルコール性多官能分子と相乗的に位相差層の硬度や基材密着性を向上する効果が発揮される。
さらに本発明においては、アミノ系シランカップリング剤の効果として、架橋性液晶分子の配向性の向上の効果も併せて享受することができる。この種のシランカップリング剤としては、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製KBM−602、東芝シリコーン社製TSL8345)、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−603、東芝シリコーン社製TSL8340)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製KBE−603、東芝シリコーン社製TSL8331)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−903)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製KBE−903)、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学社製KBE−9103)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−573)等のアミノ系シランカップリング剤を挙げることができる。シランカップリング剤は異なる2種以上を組み合わせて用いることもできる。
シランカップリング剤は異なる2種以上を組み合わせて用いることもできる。シランカップリング剤の配合量としては、液晶組成物の対配合物換算値で0.01〜20重量%、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%となるように添加する。0.01重量%以上を添加することにより、架橋性液晶分子の良好な垂直配向性と、位相差層の十分な基材密着性を得ることができる。また20重量%以下とすることにより、位相差層中の液晶の配向不良の発生や、位相差層の電気信頼性の低下の虞を抑えることができ良好である。
また本発明の液晶組成物に用いられる架橋性液晶分子とシランカップリング剤との配合比は、好ましくは、100:0.01〜5.5、より好ましくは、100:0.01〜1.1、特に好ましくは、100:0.01〜0.5である。
<多官能分子について>
本発明の液晶組成物に用いる多官能分子は、分子構造中に重合性官能基を2以上含む分子であり、この多官能分子としては、分子構造中にアルコール性水酸基を有する多官能分子を好ましく用いることができる。この多官能分子に含まれるアルコール性水酸基の数は、通常、1〜3であるが、1または2であることが、効果的に架橋性液晶分子の配向性を乱れ難くすることから好ましい。
また、多官能分子における重合性官能基としては、(メタ)アクリレート基またはエポキシ基、オキセタン基を挙げることができるが、反応性の高さの理由から、重合性官能基として(メタ)アクリレートを含有する多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
アルコール性水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1分子中にアルコール性水酸基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。このようなアルコール性多官能(メタ)アクリレートとしては、下記化7に示す化合物(III)のうちの1種の化合物または2種以上の混合物を用いることができる。
Figure 2007332270
化7に示す一般式において、mは1〜3、nは2以上の整数を示し、R1は1以上の炭素原子を有する有機炭化水素構造を示し、R2はそれぞれ水素またはメチル基を示す。化7に示す化合物(III)としては、いずれの分子量の化合物も用いることができるが、具体的には、2−ヒドロキシ1−3ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ1−3ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ,1−アクリロキシ,3−メタクリロキシプロパン、エチレンビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)]ジメタクリレート、(1−メチル−1,2−エタンジイル)ビス[オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]ジアクリレート、ビスフェノールA−グリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−グリシジルアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレートなどを挙げることができる。また架橋性液晶との相溶性の観点から、分子量は1000以下が好ましい。
多官能分子は、液晶の配向を大きく損なわない範囲で添加することが必要であり、液晶組成物の対配合物換算値で5.0〜20重量%、好ましくは10〜15重量%となるように添加する。添加量を5.0重量%以上とすることにより、位相差層の硬度を十分に向上することができ、これを20重量%以下とすることにより、架橋性液晶を配向させる際の乱れを生じる虞が抑制される。
<イソシアネート化合物について>
本発明の液晶組成物に配合されるイソシアネート化合物には、直鎖イソシアネート化合物および脂環イソシアネート化合物をともに好適に用いることができる。また本発明の液晶組成物においては、分子構造中にイソシアネート基を2以上有するものが好適に用いられる。
具体的には、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどを挙げることができる。イソシアネート化合物は異なる2種以上を組み合わせて用いることもできる。
またイソシアネート化合物の好ましい配合量は、液晶組成物における対配合物換算値で1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%である。1重量%以上を添加することにより位相差層に基材密着性を付与することができ、さらに5重量%以上を添加することにより他の積層間の剥離強度を上回る十分な基材密着性を得ることができる。
本発明の液晶組成物に任意で添加されるその他の溶質成分について以下説明する。
<光重合開始剤について>
本発明の液晶組成物を紫外線照射にて重合硬化させる場合、光重合開始剤を配合するとよい。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を使用することができる。ラジカル重合開始剤は紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体またはそれらのエステルなどの誘導体;キサントンおよびチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。光重合開始剤としては、イルガキュアー184、イルガキュアー369、イルガキュアー651、イルガキュアー907(いずれもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましい。これらの重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないように、吸収波長の異なる開始剤を組み合わせるのが良い。
光重合開始剤は、液晶の配向を大きく損なわない範囲で添加することが必要であり、液晶組成物の対配合物換算値で0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜12重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、特に0.5〜10重量%となるように添加する。尚、本発明の目的が損なわれない範囲で光重合開始剤の他に、重合禁止剤、増感剤および/または界面活性剤などを添加することもできる。
本発明における(メタ)アクリロイル基含有架橋性液晶分子、アミノ基含有シランカップリング剤、アルコール性多官能(メタ)アクリレート、イソシアネート化合物、さらには光重合開始剤の含有量は、上述した好ましい含有量を示す数値範囲の中で、その組み合わせや用いられる他の化合物の種類によって適宜調整することができる。たとえば、該液晶組成物中に含有される量は、対配合物換算値で、(メタ)アクリロイル基を含有する架橋性液晶93.89〜70重量%、アミノ基含有シランカップリング剤0.01〜20重量%、アルコール性多官能(メタ)アクリレート5〜20重量%、イソシアネート化合物1〜20重量%、および光重合開始剤0.1〜10重量%であることが好ましい。
<溶媒について>
本発明の液晶組成物は、塗布性を向上させるために上記溶質成分を溶媒に溶解した溶液として用いることができる。溶媒としては上述した架橋性液晶分子やシランカップリング剤等の溶質成分を溶解することが可能であり、かつ塗布する相手側素材の性能を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種または2種以上が使用可能である。
単一種の溶媒を使用しただけでは、架橋性液晶分子等の溶質成分の溶解性が不充分である場合や、塗布する相手方の素材が侵される虞がある場合等には、2種以上の溶媒を混合使用することにより、これらの不都合を回避することができる。上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいものは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合系である。液晶組成物溶液の配合物成分の濃度は、液晶組成物に用いる配合物成分の溶媒への溶解性や位相差層に望まれる層厚み等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲である。尚、上記濃度は、液晶組成物溶液の重量から溶媒の重量を引いた重量を、液晶組成物溶液の総重量で除して100をかけて求めることができる。
<液晶組成物を用いたカラーフィルタについて>
本発明の液晶組成物は、液晶表示装置において視野角を調整するための位相差層を形成するために用いることができ、位相差層は例えば液晶表示装置のカラーフィルタに代表される光学素子に設けることができる。以下、位相差層を設けたカラーフィルタについて図面に基づいて例示的に説明する。
図1は本発明にかかるカラーフィルタ1の一実施例を示し、2は透明基板、3は着色層、4は本発明の液晶組成物により形成した位相差層をそれぞれ示す。カラーフィルタ1は、透明基板2の上に、ブラックマトリクス5(BM)、赤(R)のサブ画素6、緑(G)のサブ画素7、青(B)のサブ画素8を設けて着色層3を形成し、さらに着色層3の表面に本発明の液晶組成物を用いて成膜した位相差層4を積層したものである。
透明基板2は光透過性を有し、光学的に等方性のものが好ましいが、必要に応じて局所的に光学的異方性または遮光性の領域を設けることもできる。また光透過率はカラーフィルタの用途に応じて適宜選定可能である。
透明基板2は、具体的には、ガラス、シリコン、もしくは石英等の無機基材か、次に列挙するような有機基材からなる。有機基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。透明基板2の厚さについても、用途に応じて、例えば5μm〜3mm程度のものが使用される。
透明基板2上には、RGB3色のサブ画素の予定配置位置を区画形成するため、遮光性または吸光性のブラックマトリクス(BM)5がストライプ状やモザイク状などに予め設けられている。
かかる透明基板2の上に、フォトリソグラフィー法やインクジェット法などでRGB各色の着色レジストを塗布し、さらにこれを加熱焼成することで赤(R)のサブ画素6、緑(G)のサブ画素7、青(B)のサブ画素8を順次設け、着色層3を形成する。着色レジストは、顔料など各色の着色材料を溶媒に分散させて得ることができる。
着色層3は表面の不純物を除去し、また液晶組成物に対する濡れ性を改善するため、UV洗浄処理やコロナ処理などの表面改質処理が施されることが一般的である。かかる処理を行うことにより、着色層表面に塗布される液晶組成物、特にこれに含まれる架橋性液晶分子の濡れ性を改善することができる。
しかしかかる表面改質処理を行った場合、着色層表面の濡れ性は好ましく改善されるものの、紫外線照射の影響により着色層上面の性状は大きく変化する。その結果、従来の液晶組成物を用いて、900mJ/cm2以上の紫外線照射量で洗浄した着色層上面に配向膜なしに該液晶組成物に含まれる架橋性液晶をホメオトロピック(垂直)配向させようとすると、配向が乱れ、安定してホメオトロピック配向する位相差層を得ることができなかった。これに対し、本発明の液晶組成物であれば、上記900mJ/cm2以上の紫外線照射量で洗浄した着色層上面であっても、配向膜の存在なしに、液晶組成物中の架橋性液晶分子を良好に垂直配向させることが可能であり、これにより安定してホメオトロピック配向した位相差層、すなわち高品質の正のCプレートを提供することができる。
着色層3の表面には、本発明の液晶組成物を塗布し、液晶塗布膜を形成する。液晶組成物の塗布には、グラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法といった各種印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、ダイコート法、コンマコート法、インクジェット法、スピンコート法、スリットコート法などの方法を適宜用いることができる。着色層3上に液晶塗布膜を形成した後、液晶塗布膜に含まれる架橋性液晶分子に予め定められた配向性を付与して架橋性液晶の分子を架橋重合させる。
例えば、液晶塗布膜を正のCプレートとしての機能を有する位相差層4となす場合には、液晶塗布膜中の架橋性液晶分子をホメオトロピック配向させて架橋性液晶分子同士を重合させる。架橋性液晶分子にホメオトロピック配向を付与することは、赤外線で加熱する手段などを用いて液晶塗布膜を加熱して、その液晶塗布膜の温度を、その中に含まれる架橋性液晶が液晶相となる温度(液晶相転移温度)以上、架橋性液晶が等方相(液体相)となる温度(等方相転移温度)未満にすることで実施できる。
特に本発明者らの知見によれば、アミノ系シランカップリング剤を架橋性液晶分子に配合することにより、その垂直配向性を向上することができることが明らかとなった。特に900mJ/cm2以上の紫外線照射量で着色層3の表面にUV洗浄処理や表面改質処理を行った場合、着色層3の表面には物理的な凹凸や液晶組成物との化学的な親和性のムラなどが必然的に生じてその性状が大きく変化するところ、本発明の液晶組成物をかかる着色層3の表面に塗布した場合も、その十分な垂直配向性により、光学特性に優れた正のCプレートを得ることができる。換言すると、本発明の液晶組成物によれば、UV洗浄処理や表面改質処理による着色層3の高い清浄度や層間剥離強度と、良好な配向性による高い光学特性を有する正のCプレートの機能とを両立することができ、さらにかかる正のCプレートをいわゆるインセル型により透明基板2の内側に備えたカラーフィルタ1を得ることができるものである。
また、液晶塗布膜中で配向を付与された架橋性液晶分子同士の重合(架橋重合)は、液晶組成物に含まれる架橋液晶分子や光重合開始剤などの感光波長の光を液晶塗布膜に照射することで進行させることができる。このとき、液晶塗布膜に照射される光の波長は、液晶組成物の吸収波長に応じて適宜選択されるが、一般的には200〜500nm程度である。なお、液晶塗布膜に照射される光は、単色光に限らず、液晶組成物の感光波長を含む一定の波長域を持った光であってもよい。
こうして、液晶塗布膜に含まれる架橋性液晶分子が重合されると、この液晶塗布膜が位相差層4をなし、カラーフィルタ1が製造される。
なお、液晶塗布膜を位相差層4となすにあたり、液晶塗布膜に光を照射して架橋性液晶分子の架橋重合反応を進行させたうえ、さらに、オーブンなどを用いて液晶塗布膜の焼成が行われてもよい。このような焼成を行うことで、位相差層4をより硬化させることができ、位相差層4表面を硬化させたカラーフィルタ1を得ることができる。
上記本実施の形態のカラーフィルタ1のように、透明基板2上に液晶組成物を塗布してこれを配向および固定化して位相差層4を形成することにより、いわゆるインセル型の位相差層4を得ることができる。これにより、シート状に外部成形した位相差フィルムを接着剤などにより透明基板に貼り付ける従来の方式に比べ、カラーフィルタ1の全体を薄型化し、また該接着剤による光の散乱が防止できるとともに、位相差層4が透明基板2で保護されることからその耐熱性の向上や吸湿変形の抑制などの効果を得ることができる。
<カラーフィルタの硬度および基材密着性について>
位相差層4の硬度を向上することのできる本発明のカラーフィルタ1は、位相差層4の鉛筆硬度が、JISK5600−5−4の評価基準で2H以上であることが好ましい。位相差層4の鉛筆硬度は、具体的には以下の試験方法により測定される。
この鉛筆硬度の試験方法では、細長円柱状の芯と該芯の周囲を取り巻く木部でなる鉛筆を用い、鉛筆削り器にて、この鉛筆の端部より長手方向に木部を除いて5〜6mm程度芯を露出させる。このとき、鉛筆の芯が傷つけられて大きな欠けを生じずにおおよそ滑らかな円柱状になるように注意する。そして、鉛筆の芯の先端を研磨紙に対して垂直に接触させ、およそ90°の角度を保持しながら鉛筆を研磨紙に対して前後に動かし、芯の先端を平らにしておく。次に、予め硬度を測定しようとするサンプルとなる基板(サンプル基板)を用意しておき、先端を平らにした鉛筆の配設された鉛筆硬度試験器に、そのサンプル基板を設置し、45±1°の角度で鉛筆の先端がサンプル基板に接する時に、荷重が0gとなるように鉛筆硬度試験器を設定する。そのうえで、鉛筆に750±10gの荷重を掛ける。鉛筆の先端がサンプル基板上に載った後、サンプル基板を、鉛筆が45±1°に傾いた方向に0.5〜1mm/secの速度で7mm移動させる。サンプル基板表面上を鉛筆の先端が移動した後、サンプル基板において鉛筆を移動させて試験を行った表面(塗面)部位(試験部位)の状態を肉眼で検査して、鉛筆の圧痕の種類を調べる。鉛筆の圧痕について、圧痕を生じる場合(傷跡を生じる場合)と生じない場合があり、圧痕を生じる場合には、その状況に応じて次の(a)から(c)のとおりに分類定義する。
(a)塑性変形:サンプル基板の表面の塗布膜に永久くぼみを生じるが、凝集破壊はない。
(b)凝集破壊:サンプル基板の表面に、塗布膜の製膜に用いた塗膜材料が剥れ落ちたり
引っかき傷又は破壊が、肉眼で認められる。
(c)上記の組合せ:最終段階では、すべての欠陥が同時に生じることがある。
上記いずれの圧痕も生じない場合は、鉛筆の硬度スケールを上げて試験を繰り返し、圧痕を生じる場合は、鉛筆の硬度スケールを下げて試験を繰り返す。ただし、このような繰り返し行われる試験においては、鉛筆の先端とサンプル基板とを接触させる位置は、試験ごとに重なりあわないような別異の位置にする。
この鉛筆硬度試験は、試験部位に、上記いずれかの圧痕として少なくとも長さ3mm以上の傷跡が生じるようになる鉛筆の硬度を特定する。なお、鉛筆硬度試験は、2回実施して、2回の結果が一単位以上異なる時は破棄し、試験を再度実施する。すなわち、1回目の鉛筆硬度試験で、鉛筆の硬度が2Hの場合に傷跡の長さが3mm以上となり、2回目の鉛筆硬度試験では、5Hになる場合、この2回の試験の結果は破棄して、再度試験を行う。
また透明基板2や着色層3との密着強度を向上することのできる本発明のカラーフィルタ1は、加速寿命試験後の位相差層4の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下であることが好ましい。加熱寿命試験には、タバイ製加速寿命試験機EHS−411Mを用い、100℃、100%RHで1時間行うものとする。具体的な剥離試験は、加速寿命試験後に温度23±2℃、湿度50±5%程度の環境下、位相差層4を塗工形成したサンプル基板に対して、格子状に、各方向に対して1mm間隔で6回カットを行い、5×5個の格子目を設ける。次に、幅25mm、幅25mmあたりの付着力10±1Nを有するテープを約75mm用い、テープの長手方向が格子の何れかの辺に平行となるように格子上に貼り付け、指でこすり付ける。さらに、テープの端をつまみ上げ、テープ非粘着面に対し約60°となる角度で、0.5〜1秒かけて引き剥がした後の格子の状態を以下の6段階で評価する。
評価基準0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない状態。
評価基準1:カットの交差点における塗膜の小さなはがれはあるが、クロスカット部分で影響を受けるのは、5%以下の状態。
評価基準2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けているのは明確に5%を超えるが、15%を上回ることはない。
評価基準3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが、35%を上回ることはない。
評価基準4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
評価基準5:はがれの程度が分類4を超える場合(格子の全面が剥離している状態を含む)。
<その他の層について>
図1に示すように、位相差層4の表面には必要に応じて更に保護層9、スペーサー10を順次設けてもよい。保護層9は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、アミド系もしくはエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂材料、または多官能エポキシを含有するアクリル系、アミド系もしくはエステル系ポリマー等の材料からなる透明樹脂塗料を位相差層4の表面に塗布し、さらにこれを乾燥および硬化させて形成することができる。保護層9の硬化には、透明樹脂材料の性質に応じて、例えばUV光を照射するなどの方法を採ることができる。
スペーサー10は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、アミド系またはエステル系ポリマー等の材料からなる光硬化性の感光性塗料を、位相差層4、保護層9、または透明基板2の上に塗布してこれを乾燥させ、さらにスペーサー10の形成予定位置に対応したマスクパターンを介して該塗料を露光硬化させた後、未硬化部分をエッチング除去し、さらに全体を焼成することにより形成される。
このほか、カラーフィルタ1には、透明基板2と位相差層4の間、または位相差層4の上に、例えば光軸が透明基板2の面に平行するように形成された液晶材料を配向および固定化してなる正のAプレートなどの他の位相差制御層等を備えてもよい。
一方、カラーフィルタ1のうち、透明基板2を挟んで位相差層4の反対側には、その他の機能層20を備えてもよい。機能層20の例としては、後述する駆動用電極との間に電場を形成する透明導電膜、上記正または負のCプレートや正のAプレートなどの位相差制御層、または偏光板などを例示することができる。これらを1種または2種以上選択し、透明基板2に積層することにより、本発明のカラーフィルタ1を後述する液晶表示装置として用いた場合に所望の機能が発揮される。
<液晶表示装置について>
図2に示すように、本発明のカラーフィルタ1は駆動用回路側基板13との間に駆動用液晶材料14を封入して液晶セル15を形成することにより、液晶表示装置11の観察者側(図中上方に相当)に設置される表示側基板12として用いることができる。カラーフィルタ1の位相差層4は、上記のように架橋性液晶分子が透明基板2に対して垂直配向した状態で固定化された正のCプレートを構成している。ここで、位相差層4はカラーフィルタ1の透明基板2と、駆動用回路側基板13を構成する透明基板31との間に挟まれるよう配置され、いわゆるインセル型をなす。
液晶表示装置11がIPSモードの場合には、表示側基板12の直線偏光板23と、駆動用回路側基板13の直線偏光板32とは、互いの透過軸が直交するように配されている。
駆動用回路側基板13は、透明基板31のインセル側(駆動用液晶材料14の封入される側)に駆動用回路33と、これにより電圧の負荷量を制御される液晶駆動用電極34とが設けられている。一方、表示側基板12には、機能層20として、透明導電膜21、正のAプレート22、および直線偏光板23を、透明基板2の観察者側に備えている。
次に、本発明の液晶組成物を用いた位相差層につき、液晶組成物に含まれる液晶の分子をホメオトロピック配向させ、位相差層を正のCプレートとなす場合を例として詳細に説明する。
(実施例1)
下記化8に示す化合物(a)〜(d)の混合物を架橋性液晶分子として用い、重合禁止剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン)、重合開始剤としてイルガキュアー907、そのほか添加剤としてドデカノールを用い、これらを混合して下記組成の架橋性液晶組成物(組成物A)を作製した。架橋性液晶組成物は、特表2004−524385号公報の記載に準じて作製した。尚、以下に示す組成物Aにおける各物質の重量比は、組成物Aの総重量に対する各物質の重量比である。
Figure 2007332270
架橋性液晶組成物
化合物(a) 32.67重量%
化合物(b) 18.67重量%
化合物(c) 21.00重量%
化合物(d) 21.00重量%
ドデカノール 1.02重量%
BHT 0.04重量%
イルガキュアー907 5.60重量%
上記液晶組成物に対して、アミノ系シランカップリング剤として、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製KBM−602)を対配合物換算値で0.01重量%、アルコール性多官能分子としてペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート(東亞合成社製M−233)を5重量%、イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネート(三井化学社製:TDI)を1重量%となるように添加した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で溶解し、濃度20%の液晶組成物を得た。
次に、適当な洗浄処理を施し、清浄とした透明基板として大きさ100×100mm、厚み0.7mmのガラス基板(コーニング社製、1737ガラス)をスピンコーター(ミカサ社製、1H−360S)にセットし、前記液晶組成物をガラス基板上にスピンコーティングした後、減圧乾燥した。次いで超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「商品名TOSCURE 751」)により、波長365nmの紫外線を20mW/cm2で10秒照射して架橋性液晶を架橋させ、次いで230℃のオーブンを用いて30分焼成して膜厚1.5μmの位相差層を形成した。
得られた位相差層につき、架橋性液晶分子の配向状態、硬度および基板密着性をそれぞれ以下のように測定した。
<架橋性液晶分子の配向状態>
位相差層を構成する架橋性液晶分子の配向状態は、波長589nmの光が位相差層を透過する際に生じる位相差を、次のように測定することによって評価した。なお、位相差の測定には、大塚電子社製のRETS−1250AVを用いた。
図3に示すように、位相差は位相差層の表面上に互いに直交するx軸とy軸をとるとともにx軸とy軸に対して垂直なz軸を想定した。そして、z軸方向およびz軸に対してx軸方向及びy軸方向に傾斜する方向について光学素子の位相差を測定した。またx軸方向に傾斜する方向について測定された場合、y軸方向に傾斜する方向について測定された場合、いずれの場合でも光学素子に生じる位相差は、z軸を基準として対称性を示しているか否かを測定した。これらの測定結果に基づき、架橋性液晶分子が良好にホメオトロピック配向をしているか否かという配向性の良否を、次のように評価した。結果を表1に示す。
位相差はx軸方向、y軸方向ともに対称性を示し、且つ、z軸方向の位相差の値が4nm以下 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・◎
位相差はx軸方向、y軸方向ともに対称性を示す、又は、z軸方向の位相差の値が4nm以下、についていずれか一方を満たす ・・・・ ○
位相差はx軸方向、y軸方向ともに対称性に乱れがあり、且つ、z軸方向の位相差の値が4nmより大きい ・・・・・・・・・・・・・ ×
なお、上記の位相差4nmの基準に関し、クロスニコルに配した2枚の偏光板の間で位相差を生じさせ、2枚の偏光板を光が透過するか否かを調べた場合に、目視上、光の透過が確認できない程度に収まる位相差の基準値が4nmである。
<位相差層の硬度および基板密着性>
光学素子に形成された位相差層の硬度の測定は、JIS K5600−5−4に準じた鉛筆硬度の測定によって実施した。得られた光学素子に形成された位相差層の硬度については、次に示すように評価した。結果を表1にあわせて示す。
鉛筆硬度が2Hのものと同等もしくは硬い(鉛筆硬度が2H以上) ・・・ ◎
鉛筆硬度が2Hのものより軟らかくBのものより硬いもしくは同等 ・・・ ○
鉛筆硬度がBのものより軟らかい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ×
また得られた位相差層を温度100℃、湿度100%で1時間の加速寿命試験に供した後の基板密着力を、JISK5600−5−6に準じ、次のように評価した。結果を表1に示す。
剥離強度の測定による評価基準が0または1(すなわち1以下) ・・・・ ◎
剥離強度の測定による評価基準が2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ○
剥離強度の測定による評価基準が3乃至5(すなわち3以上) ・・・・・ ×
(実施例2)
アルコール性多官能分子の対配合物換算値を10重量%とした以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
アルコール性多官能分子としてビスフェノールA−グリシジルメタクリレート(共栄社化学社製エポキシエステル3000M)を用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
アルコール性多官能分子としてペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成社製M−305)を用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネート(三井化学製:タケネート700)を5重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
アミノ系シランカップリング剤として3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学社製KBE−9103)を0.01重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例7)
下記着色レジストを用いて、ガラス基板と位相差層との間に着色層を形成した以外は実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
<赤色(R)着色画素用フォトレジスト組成>
・赤顔料・・・・・5.0重量部
(C.I.PR254(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、クロモフタールDPP Red BP))
・黄顔料・・・・・1.0重量部
(C.I.PY139(BASF社製、パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
・多官能アクリレートモノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製、SR399)
・ポリマー・・・・・5.0重量部
(昭和高分子(株)製VR60)
・光重合開始剤1・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製、イルガキュアー907)
・光重合開始剤2・・・・・0.6重量部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶媒・・・・・80.0重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
上記着色レジストをスピンコート法で上記透明基板上に塗布し、90℃、3分間の条件でプリベークし、アライメント露光(100mJ/cm2)した後、230℃、30分間ポストベークし、膜厚2.0μmの赤色単色の着色層を形成した。続いて紫外線洗浄装置として岩崎電気社製:商品名OC−2506を用い、波長254nmの紫外線により着色層を900mJ/cm2のエネルギーで紫外線洗浄した。
(参考例1)
アルコール性多官能分子の対配合物換算値を3.0重量%とした以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(参考例2)
アルコール性多官能分子の対配合物換算値を25重量%とした以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(参考例3)
イソシアネート化合物の対配合物換算値を0.05重量%とした以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(参考例4)
イソシアネート化合物の対配合物換算値を25重量%とした以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
アルコール性多官能分子を用いなかった以外は実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
イソシアネート化合物を用いなかった以外は実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
アミノ系シランカップリング剤を用いなかった以外は実施例7と同様にして着色層および位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
アルコール性多官能分子に代えてトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製M−309)を20重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例5)
アルコール性多官能分子に代えてペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPE−4A)を用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例6)
アミノ系シランカップリング剤に代えて2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−303)を20重量%用いた以外は、実施例1と同様にして位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例7)
アミノ系シランカップリング剤に代えて2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−303)を20重量%用いた以外は、実施例7と同様にして着色層および位相差層を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(表1)
Figure 2007332270
上記実施例、参考例および比較例により、本発明の液晶組成物によれば、この液晶組成物を用いて形成された位相差層につき、位相差層に含まれる架橋液晶分子の配向性を良好に保持しつつ、その位相差層の硬度および基材密着性をともに向上させることができるものと判る。特に本発明の液晶組成物にアミノ基含有シランカップリング剤の添加により表面改質処理済みの基材上にこれを塗工した場合のホメオトロピック配向性が向上し、またアルコール性多官能分子とイソシアネート化合物とを共に添加することにより位相差層の硬度と基材密着性が相乗的に向上することが理解されよう。
本発明のカラーフィルタの一実施例を示す縦断面図である。 本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置の一例を示す縦断面図である。 サンプルの位相差測定方向を示した図である。
符号の説明
1 カラーフィルタ
2 透明基板
3 着色層
4 位相差層
11 液晶表示装置
12 表示側基板
13 駆動用回路側基板
14 駆動用液晶材料
15 液晶セル

Claims (16)

  1. 1種または2種以上の架橋性液晶分子と、分子構造中にアミノ基を含有するシランカップリング剤と、分子構造中にアルコール性水酸基および重合性官能基を有する多官能分子と、イソシアネート化合物と、を含有することを特徴とする液晶組成物。
  2. 架橋性液晶分子の少なくとも1種が、1分子中に1個または2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 前記多官能分子が、多官能(メタ)アクリレートである請求項1または2に記載の液晶組成物。
  4. 前記多官能(メタ)アクリレートが、2−ヒドロキシ1−3ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ1−3ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ,1−アクリロキシ,3−メタクリロキシプロパン、エチレンビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)]ジメタクリレート、(1−メチル−1,2−エタンジイル)ビス[オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]ジアクリレート、ビスフェノールA−グリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−グリシジルアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレートからなる群より選ばれる1種または2種以上である請求項3に記載の液晶組成物。
  5. 前記多官能(メタ)アクリレートがペンタエリスリトールトリアクリレートである請求項3に記載の液晶組成物。
  6. 前記多官能(メタ)アクリレートがジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレートである請求項3に記載の液晶組成物。
  7. 前記イソシアネート化合物が、分子構造中にイソシアネート基を2以上有する請求項1から6のいずれかに記載の液晶組成物。
  8. 前記シランカップリング剤を、対配合物換算値で0.01〜20重量%含有する請求項1から7のいずれかに記載の液晶組成物。
  9. 前記多官能分子を、対配合物換算値で5〜20重量%含有する請求項1から8のいずれかに記載の液晶組成物。
  10. 前記イソシアネート化合物を、対配合物換算値で1〜20重量%含有する請求項1から9のいずれかに記載の液晶組成物。
  11. 透明基板上に少なくとも着色層と位相差層とが積層されたカラーフィルタであって、前記位相差層が請求項1〜10のいずれかに記載の液晶組成物が硬化して形成されたものであることを特徴とするカラーフィルタ。
  12. 位相差層が、請求項1〜10のいずれかに記載の液晶組成物を着色層上に塗布し、その表面に活性放射線を照射して、前記架橋性液晶分子を重合させて形成されたものである請求項11に記載のカラーフィルタ。
  13. 位相差層が、対配合物換算値で少なくとも93.89〜70重量%の前記架橋性液晶分子と、0.1〜10重量%の光重合開始剤と、0.01〜20重量%の前記シランカップリング剤と、5〜20重量%の前記多官能分子と、1〜20重量%の前記イソシアネート化合物とを含む前記液晶組成物が光硬化および焼成されて形成され、かつ前記位相差層の鉛筆硬度が、JISK5600−5−4の評価基準で2H以上である請求項11または12に記載のカラーフィルタ。
  14. 位相差層が、対配合物換算値で少なくとも93.89〜70重量%の前記架橋性液晶分子と、0.1〜10重量%の光重合開始剤と、0.01〜20重量%の前記シランカップリング剤と、5〜20重量%の前記多官能分子と、1〜20重量%の前記イソシアネート化合物とを含む前記液晶組成物が光硬化および焼成されて形成され、かつ前記位相差層の剥離強度が、JISK5600−5−6の評価基準で1以下である請求項11から13のいずれかに記載のカラーフィルタ。
  15. 位相差層がホメオトロピック配向している請求項11〜14のいずれかに記載のカラーフィルタ。
  16. 請求項11〜15のいずれかに記載のカラーフィルタと、液晶駆動用電極を備える駆動用回路側基板とを対向させて配置し、前記カラーフィルタと前記駆動用回路側基板との間に駆動用液晶材料を封入してなる液晶表示装置。
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