JP2009151267A - 光学素子、上記光学素子を備える液晶セル、及び上記光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子、上記光学素子を備える液晶セル、及び上記光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光透過性基板上に直接または間接にインセルの位相差層及び、複数の柱状体を備える光学素子であって、液晶セルの一方側の基板として用いた際に高い電圧保持率が示される光学素子、これを用いた電気信頼性の高い液晶セル、及び上記光学素子の製造方法を提供する。
【解決手段】光透過性基板と位相差層と複数の柱状体を少なくとも備える光学素子であって、上記柱状体の下端面が、必ず位相差層面よりも下方に位置する他の層、具体的には、光透過性基板あるいは光透過性基板と位相差層との間にさらに形成される中間層に接するよう構成させる。また本発明の光学素子の製造方法では、光透過性基板と位相差層と複数の柱状体を備える光学素子において、位相差層が柱状体の形成工程に晒されてダメージを受けることを回避するために、位相差層形成工程を実施するよりも前に、柱状体形成工程を実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相差層を有する光学素子、上記光学素子を備える液晶セル及び上記光学素子の製造方法に関する発明であり、より詳しくは、光透過性基板の内側において重合性液晶化合物を所望の方向に配向させて固定化させることにより形成された位相差層を備える光学素子、これを用いて製造される液晶セル、及び上記光学素子の製造方法に関する。
近年、液晶表示装置は、薄型軽量、低消費電力という大きな利点を持つため、パーソナルコンピューターや携帯電話、電子手帳等の表示装置に積極的に用いられている。これらの液晶表示装置は、2つの基板間に駆動用液晶材料を封入してなる液晶セルを搭載しており、該液晶セルを透過する駆動用液晶材料の複屈折率機能性を利用して光のスイッチングを行っている。したがって、液晶表示装置は駆動液晶材料の複屈折性に由来する視野角依存性が存在し、この問題を解決するために液晶セルには、透過光の位相差制御機能を備えることが求められる。
これに対し、液晶表示装置に位相差制御機能を付与する方法として、位相差層が開発される以前は液晶セルの外側に位相差を制御するために位相差フィルムが貼り付けられる方法が一般的に採用されていた。たとえば、反射型の液晶ディスプレイでは、通常、円偏光を得るために、直線偏光板と1/4λ位相差板とを併用している。あるいは、近年、液晶TV用途に広く用いられている垂直配向モードの液晶ディスプレイでは、その視野角依存性を低減するために、光軸が基板に垂直で、負の複屈折異方性を有する位相差フィルム(負のCプレート)と、光軸が基板に水平で、正の複屈折異方性を有する位相差フィルム(正のAプレート)とを併用している。その他、ディスコティック液晶を用いた視野角補償フィルム等、多くの位相差フィルムが上市されている。
上記の従来の位相差フィルムは、いずれも液晶セルの外に貼り付けられるものである。即ち、異なる位相差フィルム同士、もしくは位相差フィルムと偏光板とを粘着剤を介して貼り合わせるのであるが、各位相差フィルム、偏光板及び粘着剤の屈折率が其々異なるため貼り合わせ界面において外光の反射が生じ、表示コントラストの低下を招いていた。
そこで近年、液晶セル内に液晶材料を用いて形成される位相差層を設ける試みがなされている(例えば特許文献1)。液晶セル内に設けられる位相差層は、液晶セルを構成する2つの基板のいずれかに設けられ、典型的には光透過性基板上に直接又は間接に着色層が設けられたカラーフィルタ基板の内側面に積層形成される。具体的には、上記液晶材料としては、ガラス転移点を有し、ガラス転移温度以下でその液晶構造を固定化させることのできる液晶性高分子、もしくは、分子構造中に有する不飽和結合などの反応性基を利用して、液晶状態で3次元架橋させ、液晶構造を固定化させることが可能な重合性液晶化合物が用いられる。そしてこれらの液晶材料を基材上に塗布して所望の方向に配向させた後、しかるべき方法により、その配向した状態のまま固定化させることによって、位相差制御機能を有する位相差層を形成することが可能である。
上記位相差層は、粘着剤を用いて他の層と張り合わせるという工程が不要であるため従来の位相差フィルムの有する問題が生じない。しかしながら、位相差層は、光透過性基板上に直接または間接に形成され、対向する基板と組み合わせて液晶セル内に設置された際に、基板間内に封入された駆動用液晶と直接に接触し、あるいは駆動用液晶材料用配向膜などの薄層を介して近接する位置に存在するため、従来の位相差フィルムにはない新しい問題が発生する可能性があった。即ち、位相差層にイオン性物質が含まれていた場合、高温環境下などにおいて該イオン性物質が駆動用液晶材料中に移行し、駆動液晶の電圧や抵抗値に影響を及ぼし、消費電力の増加や画面のちらつきの原因となる虞があった。
そのため本出願人は、位相差層に直接、駆動液晶材料が接触している状態の液晶セルを作製し、加熱等の不純物強制抽出処理を施した後、該液晶セルに一定の電圧(パルス波)を印加した後のセルの電圧が印加電圧に対し90%以上保持されていればいずれのタイプの液晶ディスプレイにおいてもちらつきのない高い品質表示が得られることを見出し先に出願した(下記、特許文献2)。この際、評価に使用する駆動用液晶材料は単体での電圧保持率が95%以上の市販品であればどのようなものでもよく、またセル作製に使用する基板、電極およびシール剤も液晶の電圧保持率を低下させない市販品であればどのようなものでもよい。
上述する本出願人の先の出願についてより詳しく説明のために、望ましくない電気信頼性を示す可能性のある液晶セル21における電圧保持率測定に関し図4を示す。液晶セル21は、表面に電極がパターニングされた光透過性基板22の表面に、着色層25、位相差層28が順次積層形成されてなる光学素子を表示側基板として、対向する電極基板13をこれに対向させて、両基板の周縁部をシール材12により封止し、これにより形成された両基板間におけるスペースに駆動用液晶材料14を充填密封して形成したものである。この位相差層28にはイオン性物質29が存在しており、加熱等の不純物強制抽出処理を施すことによってイオン性物質29が移動したため、駆動用液晶材料14間にイオン性物質29’が存在することを示すものである。この状態で液晶セルの電圧保持率を測定すると、望ましい電圧保持率が示されず、結果として、液晶表示装置のちらつきなどの不具合を発生させることになるのである。したがって特許文献2に示す発明は、液晶セルの電圧保持率を測定し、良好な値を確認することによって、該液晶セルを用いて形成される液晶表示パネルの高品質な画像を提供することを可能とすることを趣旨とするものである。
ところで上記液晶セルは、上述するとおり、対向する2つの基板間に駆動用液晶材料を封入するためのスペースを確保し、且つ基板間の距離を一定に維持する必要がある。このため種々の方法が開発されており、従来は、ガラスや透明樹脂から構成された球体のビーズを基板間に散布する手法が一般的であった(例えば特許文献3)。
しかしながらビーズを散布する上記手法は、ビーズと基板との接触部分が点となるため、一方の基板を外部から押し込むなどして液晶セルの厚み方向に圧力がかかった場合に、点接触となる球体のビーズが接触面にめり込む沈み込み変形が発生する虞があることから、基板間の距離を一定に維持することが困難であるという問題がある。
そこで、光透過性基板の内側面に位相差層を備える上記光学素子において、該位相差層面上に複数の柱状の構造体(以下、「柱状体」という)を設ける手法が開発されている(例えば特許文献4)。上記手法では、位相差層と柱状体の下端面とが面で接触している。そして該柱状体の上端部分を対向する基板面と接触させることによって両基板間に一定のスペースを確保するものである
上記柱状体は、基材面に電離放射性樹脂などを塗布して、所望の位置、寸法、数等にあわせてフォトマスクを設計し、これを用いてフォトリソグラフィ法により形成することができる。
特開平10−48627号公報 特開2006−284969号公報 特開平6−148654号公報 特開2005−3750号公報
ところが位相差層上面に柱状体を形成した光学素子では、これを用いて液晶セルを作成した際に、電圧保持率の観点で重大な問題があることが本発明者の研究により明らかになった。
即ち、本発明者は、光学素子を作成するにあたり、本出願人の先の出願に基づき、位相差層を備える光学素子であって電圧保持率の高いものを提供するために、以下の工程により光学素子を作成した。即ち、まず光透過性基板上に直接または間接に位相差層を形成しプレ基板を作成し、その段階で、対向基板を用いて擬似的に液晶セルを作成し擬似液晶セルを得た。そして該擬似液晶セルを不純物強制抽出処理した後、電圧保持率を測定し、その電圧保持率が充分に高いことを確認し、上記プレ基板が良好に作成されていることを確認した。そこで、上記プレ基板における位相差層上面にさらに柱状体を作成して光学素子を完成した。そして上記光学素子と、対向する電極基板とを柱状体を介して対向させて両基板間に駆動用液晶材料を封入し液晶セルを作成した。
ところが再度確認のため、この上記液晶セルの電圧保持率を測定すると、上記擬似液晶セルにおいて示された良好な電圧保持率が示されず、その値は、有意に低下していることがわかった。例えば液晶表示装置、特にIPS(In−Plant Switching)方式のディスプレイ基板において、カラーフィルタ基板(位相差層を備える光学素子)の電気信頼性が低いと、対向基板から印加される電圧の電気力線を乱し、駆動液晶の配向不良を生じさせ、結果液晶表示装置に色ムラを生じさせる虞があった。そのため、位相差層に加えて柱状体も備える最終的な光学素子において、更なる電気信頼性の改良の必要が生じた。
本発明は上記問題に鑑みなされたものであって、光透過性基板上に直接または間接にインセルの位相差層及び、複数の柱状体を備える光学素子であって、液晶セルの一方側の基板として用いた際に高い電圧保持率が示される光学素子、これを用いた電気信頼性の高い液晶セル、及び上記光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者の鋭意努力により、光透過性基板上に直接又は間接に位相差層を形成した時点で擬似的に作成した擬似液晶セルでは高い電圧保持率が示されるのにもかかわらず、その後、位相差層上に柱状体を形成し完成された光学素子を備える液晶セルでは、電圧保持率が低下する原因は、光透過性基板上に良好に形成された位相差層が、後に続く柱状体形成工程に晒されることによって、該位相差層中にイオン性物質が発生するなどのダメージを受けるためであることが見出された。
即ち、従来の柱状体は、一般的にフォトリソグラフィ法によって位相差層表面に形成されていた。この際、位相差層が、上記フォトリソグラフィ法における組成物塗工処理、露光処理、現像処理、あるいは焼成処理に晒されることによって、上記複数の処理の少なくともいずれかの影響により位相差層がダメージを受けていることがわかった。
したがって本発明は、光透過性基板と位相差層と複数の柱状体を備える光学素子であって、位相差層が柱状体の形成工程に晒されてダメージを受けることを回避するために、位相差層形成工程を実施するよりも前に、柱状体形成工程を実施することを特徴とする。換言すると、本発明の柱状体は位相差層の形成よりも前に形成されるため、該柱状体の下端面は、必ず位相差層面よりも下方に位置する他の層、具体的には、光透過性基板あるいは光透過性基板と位相差層との間にさらに形成される中間層に接していることを特徴とするものである。
即ち、本発明は、
(1)光透過性基板と、重合性液晶化合物からなる位相差層とを少なくとも有する光学素子であって、上記光学素子と他の基板とを対向させて液晶セルを形成する際に、セルギャップ確保用の柱状体を複数備えており、上記柱状体の下端面が上記光透過性基板、あるいは上記光透過性基板と上記位相差層との間にさらに設けられる中間層に接していることを特徴とする光学素子、
(2)下記電圧保持率測定試験において、電圧保持率が95%以上であることを特徴とする上記(1)に記載の光学素子。
電圧保持率測定試験:光透過性基板と重合性液晶化合物からなる位相差層と柱状体とを少なくとも有する光学素子を一方の基板Aとし、他方の基板Bを用いて、基板Aと基板Bとを柱状体を介して対向させて、周縁部をシール剤により封止し、これによって両基板間に形成されたスペースに単体での電圧保持率が95%以上である駆動用液晶材料を封入して液晶セルを形成し、次いで上記液晶セルを105℃、2.5時間の条件で加熱処理して不純物強制抽出処理を行い、その後、該液晶セルを室内温度23℃の室内において自然放置して室温まで温度を低下させ、印圧電圧パルス周波数60Hz、印加電圧パルス電圧5V、印加電圧パルス幅16.67msecの条件下で電圧を測定し、初期電圧(5V)に対する電圧保持率を算出する、
(3)上記中間層が着色層であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の光学素子、
(4)上記着色層がブラックマトリクスと任意の色の着色領域からなる着色画素部とから構成されており、上記ブラックマトリクス上に直接または間接に上記柱状体が位置していることを特徴とする上記(3)に記載の光学素子、
(5)上記柱状体が、上記着色層を構成する着色領域を形成するためのフォトレジストを用いて形成される着色積層部を、2以上積層して形成される着色積層柱であることを特徴とする上記(3)または(4)に記載の光学素子、
(6)上記柱状体が、上記着色積層柱の最上部に、さらに透明積層部を備えることを特徴とする上記(5)に記載の光学素子、
(7)上記位相差層の光透過率が97%以上であることを特徴する上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の光学素子、
(8)光透過性基板上に直接または間接に柱状体形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成した後、露光して柱状体を形成する柱状体形成工程と、光透過性基板上に直接または間接に位相差層形成用の重合性液晶組成物を塗布し、該重合性液晶組成物中に含有される重合性液晶化合物を所望の方向に配向させ、次いで光照射あるいは熱処理により上記重合性液晶化合物を上記所望の方向に配向させた状態で架橋重合させることにより固定化させて位相差層を形成する位相差層形成工程と、を少なくとも有し、且つ、上記柱状体形成工程が、上記位相差形成工程よりも先に実施されることを特徴とする光学素子の製造方法、
(9)上記柱状体形成用樹脂組成物が、着色画素部を形成するための2色以上のフォトレジストであって、上記柱状体形成工程を2回以上繰り返すことによって、上記柱状体として2色以上の着色積層部からなる着色積層柱を形成することを特徴とする上記(8)に記載の光学素子の製造方法、
(10)光透過性基板上に直接または間接に着色層を形成し、次いで、上記柱状体形成工程を実施して下端面が上記着色層面に接してなる柱状体を形成した後、上記位相差層形成工程を実施することを特徴とする上記(8)または(9)に記載の光学素子の製造方法、
(11)光透過性基板上に直接または間接に、所望のパターンで開口部を区画するようブラックマトリクスを形成し、次いで、上記開口部を覆う位置に2色以上の着色領域からなる着色画素部を設けることにより、上記ブラックマトリクスと上記着色画素部とからなる着色層を形成する工程において、1つの着色領域を形成すると同時に、ブラックマトリクス上に直接または間接に第一番目の着色積層部を形成し、次いで他の着色領域を形成すると同時に、既に形成されている着色積層部上にさらなる別の着色積層部を積層形成することを1回または2回以上実施することによって、上記柱状体として、2色以上の着色積層部からなる着色積層柱を形成することを特徴とする上記(9)に記載の光学素子の製造方法、
(12)上記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の光学素子である表示用基板と、対向する電極基板とが、上記柱状体を介して対面しており、上記柱状体の存在により両基板間に設けられたスペースに駆動用液晶材料が封入されてなることを特徴する液晶セル、
を要旨とするものである。
尚、本明細書において用いられるいくつかの用語について以下のとおり定義する。
本発明において「柱状体の下端面」等、光学素子内において上下方向を指す際には、光学素子における光透過性基板を最下位面としてみたときの上下方向に基づくものである。
「位相差層」とは、光の位相差(リタデーション)変化に対して光学補償することができる位相差制御機能を有する層を意味する。また、「セルギャップ確保用の柱状体」とは、上記光学素子を一方側の基板とし、これを他の基板と対向させてセル組する際に、両基板間に一定の距離(すなわちセルギャップ)を確保するための部材を意味する。尚、本明細書において「柱状体」というときは、特に断りがない場合にはいずれも「セルギャップ確保用の柱状体」を意味する。
光透過性基板と位相差層と柱状体とを少なくとも備える本発明の光学素子は、上記柱状体の下端面が光透過性基板あるいは、光透過性基板と位相差層との間にさらに形成される中間層の表面に接するよう構成されている。該構成の採用される光学素子は、位相差層を光透過性基板あるいは着色層などの基材面に積層形成する前に該基材面に柱状体を形成することにより得られるものである。
したがって本発明における位相差層は、柱状体形成工程の各処理に晒されていない。つまり、本発明における位相差層は、柱状体形成工程における各処理に晒されることに起因するダメージを受けることがない。
そのため、上記ダメージを受けていない位相差層を備える本発明の光学素子を用いて液晶セルを作成した場合、該液晶セルの電圧保持率は非常に高い値が示され得る。即ち、イオン性物質などを含有しない良好な位相差層が形成された場合に、その良好な状態を維持して液晶セルにおける一方側の基板として使用することができるのである。したがって本発明の液晶セルは電気信頼性が高く、液晶表示パネルに搭載した場合において、ちらつきがなく電気信頼性の高い液晶表示パネルを提供することができる。
特に、上記電圧保持率が95%以上である本発明であれば、さらに優れた画像表示を提供することができる。
また驚くべきことに、本発明の光学素子は、高い電圧保持率を維持するだけではなく、従来の位相差層形成後に柱状体を形成して得られた光学素子と比較して位相差層の透明度が上がるという望ましい効果を享受することがわかった。しかも本発明における位相差層は、97%以上という非常に高い透過率を示すことが可能である。
特に、上記柱状体が、上記着色層を構成する着色画素部を形成するための2色以上のフォトレジストを用いて形成される着色積層部を、2以上積層して形成される着色積層柱である場合には、柱状体の形成工程を独立して設ける必要がなく、着色画素部を形成する工程において同時に着色積層柱である柱状体を形成することができる。その上、材料についても、柱状体形成用のレジストを別途準備する必要がなく、着色画素部形成用のフォトレジストを着色積層柱の材料として利用することができる。したがって、本発明における柱状体として上記着色積層柱を形成することは、経済的に有利である。
また上記着色積層柱の最上部に、さらに透明積層部を備える柱状体を備える本発明であれば、上記透明積層部において着色積層部よりも高い強度を発揮させることが可能であり、結果として、かかる光学素子を用いて、対向する基板と組んだ液晶セルの強度が増すという有利な点を有する。
本発明の光学素子の製造方法は、従来の位相差層および柱状体を備える光学素子の製造方法に対し、位相差層形成工程前に柱状体形成工程を実施するだけで、電圧保持率の高い光学素子を得ることができる。
特に、柱状体として、着色画素部を形成するためのフォトレジストにより形成した2色以上の着色積層部からなる着色積層柱を形成することを特徴とする本発明の製造方法であれば、柱状体の形成工程を独立して設ける必要がなく、着色画素部を形成する工程において、同時に柱状体を形成することができるので、光学素子の工程数を減らせることができるというメリットを有する。
加えて、本発明の光学素子の製造方法は、以下の特筆すべき優れた特徴を備える。即ち、本発明の製造方法では、位相差層形成工程より前に柱状体形成工程を実施するため、位相差層形成工程において位相差層形成用樹脂組成物を塗布する基材面には、既に柱状体という複数の凸部が存在する。このように表面が凹凸状態にある基材面に組成物を塗布するにもかかわらず、従来方法と同様の塗布方法により、容易且つ均一に上記重合性液晶組成物を塗布してなる塗膜が形成され、その結果、膜厚みの均一な位相差層が形成されるのである。さらに複数凸部(柱状体)の存在にもかかわらず、従来方法と同様の方法により、上記塗膜中に存在する重合性液晶化合物を所望の方向に良好に配向させることができ、結果として良好な配向性を示す位相差層が形成される。
<本発明の光学素子について>
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
まず本発明の光学素子について、図1を用いて一実施態様を示すことにより説明する。図1に示す本発明の光学素子1は、まず光透過性基板2表面にブラックマトリクス(以下、単に「BM」と略す場合がある)3と、赤色着色領域4R、緑色着色領域4G、及び青色着色領域4Bからなる着色画素部4とが形成される。このBM3及び着色画素部4により着色層5が構成されている。そして次に、着色層5の表面に、一定の間隔で整然と配列された複数且つ略同形状の柱状体7が形成され、次いで、位相差層8が形成され光学素子1が完成される。尚、通常、基板上に搭載される透明電極層、配向膜、TFT、端子等は簡略のため省略してあるが、これら他の構成層あるいは構成部材は、従来技術に鑑み適宜設けることができる。
図2に示す光学素子1のX−X断面図から理解されるとおり、位相差層8の厚み方向中段で切断した場合における複数の柱状体7と位相差層8との関係は、柱状体7の下部周辺を埋めるかのように位相差層8が存在している。上述のとおり、本発明の光学素子1における柱状体7は、位相差層8の形成に先んじて形成されるため、柱状体7の下端面は、位相差層8の表面に接触することがなく、光学素子1においては、柱状体7の下端面は、着色層5の表面に接している。
尚、図1では光透過性基板2上に直接に着色層5が形成され、次いで、着色層5の表面に柱状体7を形成する態様を例示したが、本発明の光学素子はこの態様に限定されるものではない。本発明の光学素子では、柱状体の下端面が、上記光透過性基板、あるいは上記光透過性基板と上記位相差層との間にさらに設けられる中間層に接していることが特徴であり、かかる特徴は、位相差層の形成前に柱状体が形成されることによって達成される。したがって図示はしないが、例えば、本発明の光学素子は、光透過性基板2表面に直接に柱状体7が形成されていてもよい。また光透過性基板2と位相差層8との間に存在する、着色層5以外の第三の層の表面に柱状体7の下端面が接していてもよい。上記着色層5以外の第三の層との例としては例えば、光透過性基板2上に作成される透明導電膜、あるいは位相差層8を構成する重合性液晶化合物の所望の配向を促すための配向膜などが挙げられる。
また図1に例示する光学素子1の例は、柱状体の下端面が接する層と位相差層との間に、さらなる別の層が存在することを否定するものではない。例えば、光透過性基板上に直接または間接に着色層を形成し、次いで該着色層表面に柱状体を形成した後、さらに該着色層表面に、位相差層を構成する重合性液晶化合物の所望の配向を促すための配向膜を形成してもよい。そして上記配向膜上に位相差層が形成される。
次に、本発明と従来例を対比説明するために、従来の光学素子、即ち位相差層上に柱状体が形成されてなる光学素子について、図5を用いて説明する。図5に示される光学素子31は、まず光透過性基板32の表面に着色層35が形成される。ここで着色層35は、BM33と赤色着色領域34R、緑色着色領域34G、青色着色領域34Bよりなる着色画素部34から構成されている。そして着色層35の表面に位相差層38が形成され、次いで位相差層38の表面に、一定の間隔で整然と配列された略同形状の複数の柱状体37が形成されて光学素子31が完成される。ここで、光学素子31のY−Y断面図を図6に示す。図6から明らかなとおり、位相差層38の厚み方向中段で切断した場合には、柱状体37の断面は観察されない。光学素子31では位相差層38形成後に柱状体37が形成されているため、該柱状体37下端面は位相差層38表面に接している。
上記従来の光学素子31の有する問題は下記のとおりである。光学素子31において、位相差層38が良好に形成されているか否かを試験するために、位相差層38形成後であって柱状体37を形成する前の状態の基板(以下、これを「プレ基板」ともいう)と、対向基板とを組み合わせて両基板間に駆動用液晶材料を封入し、擬似的に液晶セルを作成し(以下、この液晶セルを「擬似液晶セル」ともいう)を作成する。そして上記擬似液晶セルを不純物強制抽出処理し、次いで電圧保持率を測定し、良好な電圧保持率が測定された場合であっても、さらに上記位相差層38表面に柱状体37を形成して光学素子31を完成させた後、同様に液晶セルを作成してその電圧保持率を測定すると、上記プレ基板を用いて示された高い電圧保持率が維持されておらず、有意に電圧保持率の低下が示されるのである。即ち、光学素子の形成途中においては、良好に電圧保持率が示されるものの、完成した光学素子の電圧保持率を測定すると、形成途中で示される高い電圧保持率が維持されていないことが問題であった。
上記電圧保持率の低下について本発明者が精査したところ、プレ基板において良好な電圧保持率を示すことが確認された位相差層が、その後の製造工程、即ち柱状体形成工程においてダメージを与えられているということを見出した。上記柱状体は一般的にフォトリソグラフィ法によって形成されるが、かかるフォトリソグラフィ法は大別すると柱状体形成用組成物を基材面上に塗布する塗布処理、所望の形状及び位置に柱状体を形成するための露光処理、現像処理、焼成処理の4つの処理工程が存在する。本発明者は、かかる4つの処理工程のいずれかあるいは組合せによって、位相差層中にイオン性物質が発生するなどのダメージを受けていることを推測した。
従来において柱状体が位相差層の形成後に作成されていた理由としては、位相差層が重合性液晶組成物を基材面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜中に含有される重合性液晶化合物を所望の方向に配向させ、その状態で架橋重合反応させることによって三次元架橋させて固定化するという方法により作成されるため、なるべく平坦な基材面に液晶組成物を塗布して均一な塗膜を形成させる必要があること、及び塗膜中に存在する重合性液晶組成物を所望の方向に良好に配向させるためには、やはり均一な膜厚であって、配向の阻害となる可能性のある立体的な障害物が塗膜中に存在しないことが望ましい、との観点が主たる理由となっていた。
しかしながら本発明者は、上記電圧保持率の課題を鑑みて、位相差層形成後において該位相差層にダメージを与える工程を回避するために、まず柱状体を形成し、該柱状体が複数の凹凸として存在する基材面において、位相差層を形成することを試みた。その結果、柱状体を形成した後に位相差層を形成して光学素子を完成し、この光学素子を用いて液晶セルを作成し電圧保持率を測定したところ、本発明者の推測どおり非常に高い電圧保持率が示された。即ち、位相差層および柱状体を備える完成された光学素子においても高い電圧保持率が示されたのである。しかも、柱状体形成後に形成された位相差層であっても、その厚みは略均一であり、また良好な配向性が示された。
<本発明の液晶セルについて>
次に、上記光学素子を用いた液晶セルについて図3を用いて説明する。図3は光学素子1と、対向電極基板13とが柱状体7を介して一定間隔を開けて対向し、両基板の周縁部がシール材12により封止され、これにより形成された両基板間におけるスペースに駆動用液晶材料14が充填密封されて形成された液晶セル11の縦断面外略図である。一般的に液晶セル11において光学素子1は表示側基板と理解される。尚、光学素子1及び電極基板13において、通常、基材上に搭載される透明電極層、配向膜、TFT、端子等は簡略のため省略してある。
シール材12の使用は、シール材12を形成するための組成物を対向基板側に適用してから、本発明の光学素子を一方側の基板として重ねることによって実施されていてもよいし、あるいはシール材12を形成するための組成物を対向する両基板に適用して重ねることによって実施してもよい。いずれか、あるいは両方の基板に上記シール材12を形成するための組成物を適用し、両基板を重ね合わせ、加熱もしくは、紫外線あるいは電子線などの電離放射線の照射等の硬化手段によりセル組を行うことができる。
尚、上記シール材12としては、液晶表示パネルに用いられているものであればどのようなものでもよく、例えば樹脂を素材とする樹脂シール材が用いられる。樹脂シール材12としては、熱可塑性樹脂あるいはUV硬化性樹脂が好適である。より具体的には、例えば、ビスフェノールF型、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、もしくはトリフェノールメタン型エポキシ樹脂、等の1種または2種以上が用いられ、具体的には例えば、三井化学製のシール材XN−5A等が用いられる。このシール材は、必要に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、アニリンブラック、シアニンブラック等の微粒子、タルク、マイカ等の無機質充填剤、アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤、セロソルブ、カルビトール類等の溶剤、イミダゾール類、トリフェニルホスフィンビシクロウンデセン、トリスジメチルアミノメチルフェノール等の硬化促進剤等を挙げることができる。
液晶セル11は、両基板の外側に偏光板を設置するなどの、必要な構成をさらに付与することによって液晶表示用パネルとして利用することができる。
以下に、上記光学素子1を構成する光透過性基板、着色層、柱状体、位相差層についてについてより詳細に説明する。特に、着色層、柱状体、及び位相差層についてはその形成方法も合わせて説明する。
[光透過性基板]
光透過性基板2は、光透過性を有する基板形成材からなり、一つの基板形成材により単層で構成されても、複数種類の基板形成材にて多層に構成されてもよい。また光透過性基板2には、部分的に遮光領域等が設けられてもよい。光透過性基板2の光線透過率は、適宜選定可能である。
上記光透過性基板2の具体例としては、ガラス、シリコン、もしくは石英等の無機基材で構成することが好ましいが、次に列挙するような有機基材から構成することもできる。有機基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。特に光学素子1を液晶表示用パネルの一方側の基板として用いる場合には、基板形成材は無アルカリガラスであることが好ましい。本発明における光透過性基板2の厚みには、特に限定は無いが、用途に応じ、例えば、5μm〜数mm程度のものが使用されることが一般的である。
[着色層]
着色層5を構成するBM3は、黒色着色剤を含有する樹脂組成物を用いて、対象面である光透過性基板2の表面に所定形状に印刷する転写方式により形成することができる。あるいは、黒色着色剤を含有する塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、塗布、パターン状露光および現像を行うことにより形成することができる。上記いずれかの方法により形成されるBM3の形成パターンは、一般的には矩形格子状が採用されるが、例えばストライプ状、三角格子状などそのパターンは設計変更により適宜決定することができる。また着色層を形成するにあたり、ブラックマトリクスが省略される場合がある。尚、BM3の厚みは、0.5μm〜2μm程度であることが一般的である。
次に、BM3の形成された基材面に着色画素部4が形成される。着色画素部4は、赤色着色領域4R、緑色着色領域4G、青色着色領域4Bの3色の着色領域より構成されている。4R、4G、及び4BはBM3の開口部毎にモザイク型、トライアングル型など種々の配置パターンにより形成されるか、あるいは該開口部を覆って色毎に配列する帯状に形成されることが一般的である。4R、4G、及び4Bは、それぞれ適用される着色剤が溶解もしくは分散された、好ましくは微細顔料が分散された樹脂組成物を用いてパターン形成される。より詳しくは、所定の色に着色したインキ組成物を調製して、各色パターン毎に印刷することによって形成されるか、あるいは所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって形成される。特に、フォトリソグラフィ法で形成することが好ましい。着色層5における着色画素部4の厚みは、1μm〜5μm程度に形成されることが一般的である。
光学素子1では、赤、緑、青の三色により構成される着色層を示したが、これに変えて各色の補色の波長帯の光を透過させる着色画素を用いて透明着色領域を形成してもよく、用いられる色数も、単色、2色あるいは、4色以上であってよい。少なくとも2色以上の異なる着色領域が光透過性基板上に直接または間接に設けられることによって、本発明の光学素子を各種ディスプレイのカラーフィルタとして好適に使用することが可能である。
[柱状体]
着色層5を形成した後、位相差層8の形成に先んじて柱状体7が形成される。本発明における柱状体7は、図3に示すように、光学素子1を一方の基板とし、他の基板と組んで位相差制御機能を有する液晶セルを形成する際に、対向する両基板間に所定の間隔のスペースを確保するために、光学素子1に設けられる部材である。柱状体7により確保された両基板間におけるスペースには駆動用液晶材料14が封入される。本発明における柱状体は、任意の高さで形成されてよいが、一般的には、基材面に表出する部分の高さ(即ち柱状体の真の高さから位相差層の膜厚みを差し引いた量)が3μm以上15μm以内となるよう形成される。かかる高さは、本発明の光学素子と対向基板とを組み合わせて液晶セルを作製した際のセルギャップに相当する。
柱状体7は、種々の素材で構成することが可能であるが、感光性樹脂組成物の硬化物、広く言えば電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されることが好ましい。他の種々の素材を用いることを除外するものではないが、好ましい硬度を示す柱状体を容易に形成することができるという点、及び柱状体の形成時における形成対象にかかる熱が比較的少なくて済む点からは、上記硬化物を用いることが好ましい。また本明細書では、上記電離放射線硬化性樹脂として、専ら感光性樹脂組成物を扱うが、本発明において用いられる電離放射線硬化性樹脂は、感光性樹脂に限定されず、紫外線以外の電子線等により硬化する樹脂を用いることもできる。また感光性樹脂組成物としては、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂を含むものを使用するとよい。尚、本明細書において、上記塗料組成物及び上記インキ組成物をあわせて、「柱状体形成用組成物」と呼ぶ場合がある。
上記電離放射線硬化性樹脂を、必要に応じ、溶剤、希釈剤、もしくはモノマー等、さらには、適宜な添加剤と共に混合して、柱状体形成用の塗料組成物もしくはインキ組成物を調製して用い、一様に塗布し、乾燥させた後、所定のパターン露光を行ない、その後に現像するプロセス(フォトリソグラフィ法)を行うことによって柱状体を形成できる。例えば、先に公開されている特開2005−3750に開示される方法にならって柱状体7を形成することができる。
また柱状体7のその他の形成方法としては、スクリーン印刷法、あるいは転写法などの公知の方法を挙げることができる。上記スクリーン印刷法は、インキ組成物を用い、柱状体7の形成が予定される位置に重ね刷りすることによって柱状体7を形成することができる。また上記転写法は、印刷ロール上に柱状体7を構成する樹脂を用いて該柱状体7のパターンを形成し、該印刷ロールを着色層5表面で回転させて該着色層5上に柱状体7のパターンを転写することにより実施することができる。例えば、転写方法として従来公知の方法としては、特開2006−178427が挙げられる。
尚、図3においては単層形成された柱状体7を用いて説明したが、本発明における柱状体は、単層に限定されず、積層形成された積層柱であってもよい。より具体的には、2色以上の着色積層部からなる着色積層柱、あるいはさらに上記着色積層柱の最上部に透明積層部を備える積層柱であってもよい。
上記着色積層柱についてより詳しく説明する。本発明における着色積層柱は、着色画素部を構成するためのフォトレジストを用いて、1つの着色領域を形成する際に同時に、ブラックマトリクス(以下、単に「BM」ともいう)上の任意の位置に、着色積層柱を構成する着色積層部を形成し、他の色の着色領域を形成する際に同時に、上記着色積層部の上面にさらに異なる色の着色積層部を重ねて形成することによって着色積層柱を形成することができる。このように、下地基板に着色層と着色積層柱である柱状体を同時に形成し、そのあと、位相差層をさらに形成することによれば、光学素子の高い電気信頼性を保持するだけではなく、柱状体だけを形成する工程を実質的に削除し、着色画素部を形成する工程と柱状体形成工程とを兼ねることができるため、工程数及びコストの低下を図ることできる。
上記着色積層柱の形成工程について図8を用いてより詳細に説明する。図8は、光透過性基板102上に、任意のパターンで形成されるBM(遮光領域)103と、BM103により区画される開口部を覆って設けられる3色の着色領域111R(赤)、111G(緑)、111B(青)からなる着色画素部111と、3色の着色積層部112R(赤)、112G(緑)、112B(青)からなる着色積層柱112とを形成した後に、位相差層104が設けられてなる光学素子101の作成工程を順に示す説明図である。
まず図8(A)に示すように、光透過性基板102上にBM103を所望の開口部を区画するようパターニングしてBM基板を作成する。次いで、上記BM基板上に、赤色のフォトレジストを塗布し、これを、図8(B)に示すように、任意の開口部を覆う位置に着色領域111Gが形成され、且つBM103上であって着色領域111Rと重ならない任意の位置に着色積層部112Rが形成されるように設計されたマスクを用いて露光し、着色領域111Rと着色積層部112Rとを形成する。そして、次に、緑色のフォトレジストを塗布し、これを 図8(C)に示すように、任意の開口部を覆う位置に着色領域111Gが形成され、且つ上記赤色の着色積層部112R上に着色積層部112Gが形成されるように設計されたマスクを用いて露光し、着色領域111Gと着色積層部112Gを形成する。続いて、青色フォトレジストを用いて、図8(D)に示すように、着色領域111Bと着色積層部112Bを形成する。これによって着色画素部111と、着色積層柱112が完成される。そして続いて図8(E)に示すように、位相差層104を形成して、光学素子101が完成される。
また着色積層柱の異なる態様としては、ブラックマトリクス上に直接、着色積層部を形成するのではなく、任意の着色領域上に着色積層部を設けることもできる(図示せず)。例えば、まず赤色の着色領域を形成し、次いで緑色の着色領域を形成する工程において、同時に上記赤色の着色領域上であってブラックマトリクス上方の任意の箇所に緑色の着色積層部を設け、さらに青色の着色領域を形成する工程において、同時に上記緑色の着色積層部上に青色の着色積層部を積層させて、2色からなる着色積層柱を形成してもよい。
また別の態様としては、例えば、赤色の着色領域を作成する際に、基材面に赤色のフォトレジストを塗布し、次いでハーフトーンマスクなどの多段階調露光の可能なマスクを用い、赤色の着色領域の一部であってブラックマトリクス上方の任意の箇所が高くなるよう形成し、その高くなった部分を赤色の着色積層部として、続く緑色着色領域形成工程において、上記赤色の着色積層部上に重ねて緑色の着色積層部を積層し、さらに青色の着色積層部を積層することによって、3色の着色積層部からなる着色積層柱を形成することもできる。尚、上述のとおり、ブラックマトリクスに直接当接しない、着色積層柱であっても、ブラックマトリクス上方に該着色積層柱が存在するよう、パターニングされることが好ましい。
次に、上述する光学素子101を一方の基板としてセル組みした液晶セル121の縦断面を観察した模式図を図9に示す。液晶セル121は、光学素子101と、対向基板122とが対向した状態で、両基板の周縁部においてシール材123により積層状態を固定化し、セル内部に駆動液晶材料124が充填密封された駆動用液晶層125を備えるものである。尚、図9では、通常基板上に搭載される透明電極層、配向膜、TFT、端子等は簡略のため省略してある。
図9から明らかなとおり、着色積層柱112は、光学素子101である基板上に設けられており、その最上面が、これに対向する基板122の表面に当接している。このように着色積層柱112の存在により、駆動用液晶相125のスペース(セルギャップともいう)が確保される。したがって、従来の単層構造の柱状体と同様の役割を果たすことが理解される。尚、着色積層柱の高さは、一般的な柱状体の高さと同様に、求められるセルギャップの大きさなどを勘案して決定されるが、一般的には、着色積層柱の下面から上面までの距離は、3〜15μmである。
上述では、2以上の着色積層部のみからなる着色積層柱について述べたが、該着色積層柱の最上面にさらに、通常用いられるような感光性樹脂組成物を用いた透明積層部を積層してもよい。上記透明積層部は、着色積層部形成工程後、位相差層形成工程の前に積層される。このように、着色積層柱の最上部に、さらに透明積層部を備えることによって、柱状体の強度が増加し、セル組後の基板面垂直方向からかかる圧力に対し、より良好な強度を示し、セルギャップの均一性が維持されるため好ましい。
上記透明積層部についてより詳しく述べると、該透明積層部は、感光性樹脂組成物を用いて柱状体を形成するには、対象となる基材面に感光性樹脂組成物を所定の厚みになるよう塗布し、必要により予備的に硬化させ、マスクを介する等により、所定のパターン状に露光し、露光後、現像することにより行なうことができる。このように有機質で形成した柱状樹脂硬化物は、他の層とのなじみがよく、また、感光性樹脂組成物としては、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂を含むものを使用するとよい。
[位相差層]
位相差層8は、熱重合あるいは電離放射線重合可能な重合性液晶化合物よりなるものである。より詳しくは、柱状体7及び着色層5が既に形成された基材面に重合性液晶化合物を含有する位相差層形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜中に存在する重合性液晶分子を所望の方向に配向させた後、その配向状態を保持したまま重合させることにより固定化された高分子型液晶よりなる位相差層8が形成される。位相差層8は、ディスプレイに透過される光の位相差を制御するための位相差制御機能を発揮する。
尚、上記高分子型液晶とは、液晶状態が室温において固定化されたものを指す。例えば、分子構造中に重合性基を有する液晶性モノマーを架橋重合させて、架橋重合前の光学的異方性を保持したまま硬化させたもの、もしくはガラス転移温度を有し、該ガラス転移温度以上に加熱すると液晶層を示し、その後、該ガラス転移温度以下に冷却することにより、液晶組織を凍結することができるものを本明細書では高分子型液晶という。
上記位相差層形成用樹脂組成物を、柱状体7及び着色層5を備えた基材面に塗布する方法としては、例えばスピンコーティング方法、ダイコーティング方法、スリットコーティング方法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法といった各種印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、コンマコート法、インクジェット法などの従来公知の方法を適宜選択して採用することができる。特に、位相差層形成用樹脂組成物を均一に塗布するが容易であるという観点からは、スピンコーティング方法が好ましい。尚、上記位相差層形成用樹脂組成物は、基材面に塗布するときの塗布性をよくする観点から、各種の溶剤に溶解された状態である溶液状態の組成物を用いることが望ましい。
次に上記塗膜に熱を照射するなどして加熱し、該塗膜中に存在する重合性液晶化合物を液晶相が発現する温度にまで昇温させて所望の方向に配向させてから、電離放射線(例えば電子線あるいは、紫外線)あるいは熱を照射して架橋重合させることにより固定化させる。
上記位相差層8を構成する重合性液晶化合物の配向方向を所望の方向に設計して形成することのできる位相差層の種類としては、重合性液晶化合物を垂直配向(ホメオトロピック配向)させて固定化することにより、液晶分子の光軸が位相差層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートが挙げられる。また別の態様では、位相差層8は、重合性液晶化合物の光軸が位相差層と並行するとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートであってもよい。またさらには、重合性液晶化合物の光軸を位相差層8と並行として、法線方向に螺旋構造をとったコレステリック配向とすることにより、位相差層全体として常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を位相差層の法線方向とした、いわゆる負のCプレートであってもよい。さらには、負の複屈折異方性を有するディスコティック液晶を、その光軸を位相差層の面内方向に有する、負のAプレートとすることも可能である。またさらに位相差層8は、該層に対して斜めであるか、あるいはその角度が層に垂直な方向で変化しているハイブリッド配向プレートであってもよい。
尚、上記重合性液晶化合物を所望の方向に配向させるために、位相差層8を形成する前に、該重合性液晶化合物用の配向膜を、柱状体7及び色層5を備える基材表面に設けてもよい(図示せず)。配向膜は必ずしも必須ではないが、配向膜を設けることにより上記塗膜中に存在する上記重合性液晶化合物の配向方向の制御が容易となるため好ましい。配向膜は柱状体7及び着色層5を備える基材表面上に、ポリイミド等の配向性樹脂を塗布、乾燥させた後、ラビング処理や光配向処理することにより形成することができる。ただし上記ラビング処理や光配向処理は必ずしも行わなくても良い場合がある。また同様に上記基材面上に酸化ケイ素を斜め蒸着することで配向膜を形成することもできる。上記配向膜を形成するための材料としては、市販の配向膜材料を用いることができる。具体的には日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などを用いることができる。
[重合性液晶化合物]
上記位相差層8を形成するために用いられる、液晶分子中に重合性官能基を有する重合性液晶化合物としては、棒状の分子構造を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは円盤状の分子構造を有する、所謂ディスコティック重合性液晶化合物を用いることができる。特には架橋性のネマチック液晶であって、棒状重合性液晶化合物を好ましく用いることができる。上記位相差層を形成する際に用いられる液晶組成物に含有される重合性液晶化合物としては、例えば特表平10−508882号に開示されているようなものを使用することができる。より具体的な例として示す重合性のネマチック液晶分子としては、例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような重合性液晶化合物として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物または下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種もしくは2種以上の混合物、化3または化4に示す化合物のうちの1種或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
Figure 2009151267
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化1に示す一般式(1)において、RおよびR2は、それぞれに、水素またはメチル基を示すが、架橋性液晶分子が液晶相を示す温度の範囲をより広くするには少なくともR及びR2のどちらか一方が水素であることが好ましく、両方が水素であることがより好ましい。また一般式(1)におけるX及び化2に示す一般式(2)のYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環との間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb並びに、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物(I)またはd=e=0である一般式(2)の化合物(II)は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物(I)または(II)自体の結晶性が高い。また、aおよびb、あるいはdおよびeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物(I)または一般式(2)の化合物(II)は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物は、どちらについても液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなり、上記位相差層形成用樹脂組成物中に含有される重合性液晶化合物として用いるには好ましくない。
尚、上記重合性液晶化合物と共に、位相差層形成用樹脂組成物中に含まれる添加剤としては、従来公知の添加剤を適宜使用することができる。より具体的な添加剤の例としては、光重合開始剤
熱重合開始剤、界面活性剤、カイラル剤、増感剤、シランカップリング剤などが挙げられる。
上記光重合開始剤は、位相差層形成用樹脂組成物中に、重合性液晶化合物の配向を損なわない範囲で配合される。特に紫外線照射によりフリーラジカルを発生するラジカル重合開始剤が好ましい。光重合開始剤の配合量としては、液晶組成物中の重合性液晶分子の添加量に対して0.01%〜15%程度(質量基準)であり、より好ましくは、0.5%〜10%程度である。
具体的な光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルともいう)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´―メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。
<本発明の光学素子の評価方法について>
次に、本発明の光学素子の評価方法について説明する。
[電圧保持率測定試験]
位相差層を備える液晶セルの電気信頼性を評価する方法として本発明の採用する電圧保持率(Voltage Holding Ratio、以下「VHR」と略す場合がある。)について説明する。本試験においては、まずサンプルとなる液晶セルを加熱して不純物強制抽出処理を行う。上記不純物強制抽出処理の実施は、位相差層にイオン性物質などの不純物が存在している場合には、該不純物を強制的に駆動用液晶材料中に移動させた状態で液晶セルの電圧保持率を測定することにより、見かけの電圧保持率を測定するのではなく、実質的の電圧保持率を測定することを趣旨とするものである。
上記電気保持率測定試験についてより具体的に述べる。電圧保持率測定試験は、光透過性基板の内側に位相差層を備える光学素子を一方の基板Aとし、他方の基板Bを用いて、基板Aと基板Bとを柱状体を介して対向させる。このとき両基板間の距離は3〜15μm程度であることが望ましい。上記距離は、柱状体の高さ、あるいは柱状体の高さ及び位相差層の膜厚みを調整することにより決定される。後工程において駆動用液晶材料を封入するための封入口を除いて周縁部をシール剤により封止し、上記封入口から両基板間に形成されたスペースに駆動用液晶を注入した後、上記注入口を封止して液晶セルを形成する。上記基板Aは一般的には表示側基板、基板Bは対向電極基板と理解される。
次いで上記液晶セルを105℃、2.5時間の条件で加熱処理して不純物強制抽出処理を行い、その後、該液晶セルを室内温度23度の室内において自然放置して室温まで温度を低下させた後、印圧電圧パルス周波数60Hz、印加電圧パルス電圧5V、印加電圧パルス幅16.67msecの条件下で液晶セルに電圧をかける。そして上記条件下における電圧を測定し、初期電圧(5V)がどの程度保たれているかを算出することにより電圧保持率を求める。上記算出方法は、図7に示すとおり、y軸に示す初期電圧5Vが、x軸に示す時間の経過とともに低下する率を求めるもので、実測値で示される斜線領域の面積(S2)と、初期電圧が100%保持されたことを示す斜線領域と点線領域との総和面積(S1+S2)を用いて、下記式1より求めることができる。尚、上記試験に用いられる駆動用液晶材料は単体での電圧保持率が95%以上の市販品であればどのようなものでもよく、またセル作製に使用する基板、電極およびシール剤も液晶の電圧保持率を低下させない市販品であればどのようなものでもよい。
VHR(%)=S2/(S1+S2)×100 (式1)
本発明において、上記試験方法により測定される電圧保持率が95%以上である場合に、良好な電圧保持率を示す電気信頼性の高い液晶セルであるものと評価する。尚、上記印圧電圧パルス周波数60Hzから2Hzに変更して電圧を測定し、これより電圧保持率を算出することにより、さらに厳しい条件下での電気信頼性を確認することができる。印圧電圧パルス周波数を2Hzに変更して行う上記電圧保持率測定試験では、その電圧保持率が90%以上である場合に、良好な電圧保持率を示すと評価することができる。
[比抵抗測定試験]
また液晶セルの電気信頼性を評価する別の方法として、比抵抗測定試験を挙げることができる。上記比抵抗測定試験は、液晶セルの電圧保持率に関与すると思われる位相差層中のイオン性物質などの不純物の存在を測定することにより、その電気信頼性を評価することを趣旨とする。即ち、位相差層中にイオン性不純物が存在する場合には、該位相差層を削り取ったサンプル(以下、「位相差層削り取りサンプル」ともいう)中にもイオン性不純物が存在することになる。したがって、位相差層削り取りサンプルを後述する条件で煮出すことによって該イオン性不純物を液晶に染み出させ、その後、該液晶の比抵抗値を測定し、バージンサンプルの比抵抗値に対する比抵抗値の低下率を算出することにより、位相差層中に含まれるイオン性不純物の存在を評価することができるのである。
上記比抵抗測定試験は、下記のとおり実施される。まず、完成された光学素子における位相差層を50mg削り取り位相差層削り取りサンプルを作成する。そして上記位相差層削り取りサンプルと溶液状態のシアノ系液晶3gとをサンプル瓶中で混合させて混合溶液を作成する。また上記シアノ系液晶3gのみのサンプルをバージン液晶サンプルとして用意する。そして上記混合溶液及び上記バージン液晶サンプルを、それぞれ容器ごとオーブンに入れて100℃、72時間の条件で煮出しを行う。次いで、煮出し後の混合溶液から位相差層削り取りサンプルを遠心分離して、位相差膜削り取りサンプルが取り除かれた後の液晶(これを「試験液晶サンプル」ともいう)の比抵抗値を測定する。同様に、バージン液晶サンプルの比抵抗値も測定する。そしてバージン液晶サンプルの比抵抗値に対する試験液晶サンプルの比抵抗値の比率を算出して、これを比抵抗保持率とする。比抵抗保持率が高いほど、位相差層中のイオン性不純物の量が少ないと評価することができる。
尚、上記比抵抗値は下記のとおり測定される。即ち、液晶サンプルを、液体用電極セルに入れ、10Vの直流電圧を印加し、30秒後の電流値を測定する。そして、比抵抗値を下記式により算出する。
比抵抗値(Ωcm)=電圧÷電流×液体用電極セルの断面積×液体用電極セルの長さ (式2)
上述で求められる比抵抗値はばらつきがあり、例えばバージン液晶サンプルであっても、1つ1つのサンプルによって1×1014Ωcmから9×1014Ωcm程度に値がふれる傾向にある。また少しでも液晶サンプルに不純物が含有されると1桁、さらに2桁以上の比抵抗値の低下が観察される。したがって、比抵抗値で不純物の存在を評価するには、一般的は、バージン液晶サンプルに対して試験液晶サンプルの比抵抗値が1桁小さい(即ち1×1013Ωcmから9×1013Ωcm)程度であれば良好な位相差層であると評価することができる。より望ましくは、バージン液晶サンプルの比抵抗値に対する位相差層削り取りサンプルを取り除かれた液晶の比抵抗値(即ち比抵抗保持率)が、5%以上、より望ましくは7%以上、さらに望ましくは10%以上である。
[位相差層の光透過率]
本発明の光透過率は、450nm付近の波長にて分光光度計により測定される。例えば、光透過性の基板上に柱状体が形成され、次いで位相差層が積層されることにより得られた光学素子では、上記光透過性の基板の光透過率をブランクとして、位相差層の光透過率を求めることができる。上記分光光度計は特に限定されないが、例えば、オリンパス(株)社製OSP-SP200を使用することができる。また位相差層と光透過性基板との間に着色層を備える光学素子における該位相差層の光透過率は、顕微分光光度計によって測定することができる。
従来の光学素子における位相差層に比べて、本発明の位相差層の光透過率は有意に高いことは上述のとおりである。本発明者は、この位相差層の透過率の改善という効果は、位相差層形成工程に先んじて柱状体が形成されることにより享受されるものと考えている。つまり本発明における位相差層は、柱状体形成工程における柱状体形成用組成物塗布処理、露光処理、現像処理、焼成処理などに晒されておらず、その結果として位相差層を構成する重合性液晶化合物の配向にダメージが与えられることがないため、その光透過率が、従来の位相差層よりも有意に高くなると推察する。光学素子において備えられる位相差層の望ましい光透過率とは、90%以上を意味し、より好ましくは95%以上である。
[位相差層の膜厚み及び配向性の評価]
本発明における位相差層は、柱状体が既に形成されている基材面において形成されてなるものであることは上述のとおりである。基材面における柱状体の存在により、基材面に複数の凸部があるにもかかわらず、該位相差層の膜厚みは、均一に形成される。位相差層の膜厚みは、位相差層における透過光の距離と相関するため、均一であることが望ましいところ、本発明の光学素子における位相差層は良好な位相差制御機能を発揮し得る程度に充分均一な膜厚みを示すことができる。ここでいう、位相差層の膜厚みの均一性とは、具体的には、複数の測定箇所における膜厚みの測定値の誤差が5%以内である場合をいう。測定値の誤差が上記範囲内であれば、良好な位相差制御機能を発揮することが可能な程度に均一な塗膜が形成されたと評価することができる。尚、本発明の光学素子では、位相差層形成面は、既に柱状体が形成されているため、該位相差層の膜厚みを測定する際には、柱状体の側面から、50μm以上離れた領域において測定箇所を任意に決定するものとする。
上述する位相差層の膜厚みは、公知の触針式段差測定装置を使用することにより測定することができる。具体的な触針式段差測定装置としては、例えば小坂研究所社製SURFCORDER ET400Lを挙げることができる。測定は、上述のとおり柱状体の周囲50μmの領域を除いた領域において、9箇所測定し、その誤差を算出し、位相差層の膜厚みの均一性を評価することができる。
また上述のとおり形成される均一な膜厚みを示す位相差層は、重合性液晶化合物により構成されるものであるが、本発明において該重合性液晶化合物は、柱状体の存在によらず、所望の方向に対する良好な配向性を示す。
光学素子における位相差層のリタデーションは、公知のリタデーション測定装置を使用して測定することができる。具体的には、リタデーション測定装置として、例えば大塚電子社製RETS1200を挙げることができる。
正のCプレート(即ち重合性液晶化合物がホメオトロピック配向してなる位相差層)を例に、より具体的に配向性の評価について以下に記載する。
まず光学素子における位相差層の厚さ方向をz軸にしてxyz直交座標を想定し、特定波長において、z軸に対してx軸方向に傾斜する方向及びy軸方向に傾斜する方向から位相差層の位相差値を測定し、該位相差層による位相差がz軸を基準として対称性を示すか否かを観察することにより評価することができる。また測定角度が0°の時の位相差値の数値により、該位相差層がホメオトロピック配向しているか否かを評価することができる。特に、上記位相差層においてx軸方向及びy軸方向から測定した位相差がz軸を基準として対称性を示すことが好ましく、また測定角度が0°の時の位相差値の数値が4nm以下、好ましくは3.5nm以下、より好ましくは3nmであることが好ましい。位相差値が3nm以下であれば、該光学素子を液晶表示装置に用いた際に、位相差のズレが非常に少なく、また黒表示状態において光漏れが無く、鮮明で高品質が画像表示を可能とするため好ましい。特に、配向膜を用いずに形成された位相差層を有するカラーフィルタ、あるいは洗浄処理及び/または表面改質処理した基材表面に形成された位相差層を有するカラーフィルタにおいて上記位相差の対称性及び位相差値が示されることがより好ましい。
尚、負のCプレート、正のAプレートあるいはハイブリッド配向プレートのいずれにおいても公知のリタデーション測定装置を使用して位相差値を測定し、その配向性を評価することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
光透過性基板として100×100mm、厚み0.9mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を用意した。そして、上記ガラス基板上にITO(酸化インジウムスズ)電極をパターニングした。次いで、柱状体形成用組成物として、紫外線硬化性の透明なネガ型レジスト(NN780(JSR社製))を用い、上記ITO電極がパターニングされた基板面にスピンコーティング法を用いて柱状体形成用塗膜を形成した。尚、本実施例ではスピンコーティング法を適用したが、基材上に均一に塗布が可能であればこれに限られるわけではなく、ダイコーティングまたはスリットコーティングなどの公知の塗布方法、あるいはこれらを組み合わせた手法であってもよく、その手法は特に限定されない(後述する位相差層においても同様である)。続いて、ホットプレート上で温度80℃、加熱時間5分の条件でプリベークを行った後、柱状体形成用塗膜から離間距離100μmの位置にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより20mW/cmの超高圧水銀ランプを用いて、該柱状体形成用塗膜に向けて、予め定めておいた柱状構造体形成予定位置に、紫外線を5秒間照射した。これにより、上記塗膜は、紫外線の照射された部分が硬化した状態となった。上記露光工程後、0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒間行ない、上記塗膜における未硬化部分を除去した(現像工程)。最後に、温度200℃の空気雰囲気中において30分間加熱して加熱処理を行い、高さ5μmの柱状体を1cm当たり約1000本が整然と配列されるようITO基板上に形成した。尚、上記フォトマスクは、柱状体がITOパターン上に載らないように形成パターンを設計されたものである。
次に、上記ITO電極がパターニングされ、続いて柱状体が形成された基板に下記組成の位相差層形成用樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布して位相差層形成用塗膜を形成した。尚、本実施例では、位相差層を構成する重合性液晶化合物を所望の方向に配向させるための配向膜を設けていないが、下記位相差層形成用樹脂組成物中にアミン系シランカップリング剤を含むことにより該重合性液晶化合物を垂直配向させることが可能であり、これにより位相差層を正のCプレートとして形成するものである。位相差層の配向規制に配向膜が必要な場合は、柱状体及び位相差層を形成する前の基材面に配向膜を形成しておいてもよく、あるいは、基材面に柱状体を形成してから配向膜を形成し、次いで位相差層を形成してもよい。
位相差層形成用樹脂組成物
・重合性液晶化合物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22重量部
(「化2」で示すネマチック液晶相を示すものであってd=3、e=3、Yがメチル基である化合物。)
・光重合開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.3重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)
・アミン系シランカップリング剤・・・・・・・・・・・・・・・0.05重量部
(GE東芝シリコーン(株)製、TSL−8331)
溶剤(クロロベンゼン)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75重量部
次に、位相差層形成用塗膜が積層された基板をホットプレート上で80℃、3分間加熱し、残存溶剤を除去するとともに該塗膜中に含有される重合性化合物を液晶相の状態にして基板面に垂直方向に配向させた。液晶相への相転移は、塗膜が白濁から透明となることで確認した。続いて上記位相差層形成用塗膜に対し超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「TOSCURE 751」)を用いて紫外線照射を行い(10mW/cm、365nm、60秒間)、垂直配向状態にある上記重合性液晶化合物間において架橋反応を誘起させて、該垂直配向状態を固定化させた。最後に230℃のホットプレート上で30分間加熱して上記塗膜の未硬化部分を硬化させた。以上により膜厚み1.5μmの正のCプレートである位相差層を形成して、光学素子を完成し、これを実施例1とした。
[位相差層の膜厚みの測定及び配向性の確認試験]
実施例1について、上述する位相差層の膜厚み測定方法に倣い、小坂研究所社製SURFCORDER ET4000L用いて、位相差層の膜厚みを測定した。測定は、任意の9箇所において測定した膜厚厚みの測定値の差異が5%以内であってその膜厚みの均一性が確認された。また該位相差層を構成する重合性液晶化合物の垂直配向性を評価するために、大塚電子社製RETS1200装置を用いて、測定角度0°の条件でリタデーションを測定したところ、位相差値が2nm以下であり、良好に垂直配向していることが確認された。
[光透過率の測定]
上記実施例1における位相差層の光透過率は、オリンパス社製分光光度計OSP-SP200を用い450nm付近の波長にて測定した。尚、ブランクとして、位相差層を形成する前のITO基板の光透過率を測定した。その結果、実施例1における位相差層の光透過率は97%であった。
[比抵抗測定試験]
次に実施例1の比抵抗測値を測定した。測定は、上述に記載する方法と同様に行った。
即ち、実施例1における位相差層を50mg削り取り、これを位相差層削り取りサンプルとした。そして上記位相差層削り取りサンプルを溶液状態のシアノ系液晶3gとサンプル瓶中で混合させて混合溶液を作成した。また上記シアノ系液晶3gのみのサンプルをバージン液晶サンプルとして用意した。そして上記混合溶液及び上記バージン液晶サンプルを、それぞれ容器ごとオーブンに入れて100℃、72時間の条件で煮出しを行い、次いで、煮出し後の混合溶液から位相差層削り取りサンプルを3000回転/分、60分の条件で遠心分離して残った試験液晶サンプルを断面積3.4cm、縦長さ0.15cmの液体用電極セルに入れて、10Vの直流電圧を印加し、30秒後の電流値を測定した。そして上記式2を用いて比抵抗値を算出したところ、1.4×1013Ωcmであった。同様に、オーブン内での加熱後のバージン液晶サンプルの比抵抗値を測定したところ該比抵抗値は、1.0×1014Ωcmであった。これにより試験液晶サンプル及びバージン液晶サンプルの比抵抗値より、試験液晶サンプルの比抵抗保持率を求めたところ14%であった。尚、上記比抵抗測定試験は、サンプル数n=5とし、その平均値を求めた。
(実施例2)
次に実施例1の光学素子を表示側基板とする液晶セルを後述のとおり作成し、これを実施例2とした。即ち、上記実施例1を表示側基板として、対向する他方のITO電極基板とを柱状体を介して3.5μmの距離で向かい合わせ、両基板の周縁部を注入口を残してシール剤(市販の電気信頼性が充分あるものであればどのようなものでも良い)で封止し、両ITO基板間に駆動用液晶材料(メルクジャパン製、MLC−6846−000)を注入し、注入口をまたシール剤で封止することにより液晶セルを作成し実施例2とした。
[電圧保持率試験]
上記実施例2の液晶セルについて、その電気信頼性を確認するための、上述で記載の電圧保持率測定試験に倣って電圧保持率を測定した。具体的には、上記液晶セルを105℃、2.5時間の条件で加熱処理を施し、不純物強制抽出処理を施した、次いで該液晶セルを室温まで戻した後、下記条件で電圧を印加し電圧の保持率を測定した。
・ITO電極間距離 3.5μm
・印加電圧パルス周波数 60Hz
・印加電圧パルス電圧 5V
・印加電圧パルス幅 16.67msec
尚、上記電圧保持率の測定についてはVHR6254型液晶物性評価装置(株式会社東陽テクニカ社製)を用いた。また実施例2のサンプルは、同様のものを6点準備し、これらについてそれぞれ試験を行った。
上記電圧保持率測定試験の結果、実施例2である液晶セルの電圧保持率はでサンプル6点についていずれも95%という高い値が示された。さらに印加電圧パルス周波数を2Hzと条件変更して同様の測定を行ったところサンプル6点についていずれも90%であった。
(実施例3)
実施例1と同様のITO基板上に後述する方法によって、ブラックマトリクスと、赤色、青色、緑色の着色領域からなる着色画素部とからなる着色層を形成したこと以外は実施例1と同様の方法により、上記着色層上に柱状体を形成し、さらに位相差層を形成した。これにより得られた光学素子を実施例3とした。
上記着色層を形成するために、まずITO基板上に、後述する遮光領域形成用フォトレジストをスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約1μmの遮光層を形成した。次いで、上記遮光層を、超高圧水銀ランプで所望のパターンで露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間の加熱処理を施すことで、開口部を区画するようパターニングされた遮光領域を形成した。
次いで、上記遮光領域が形成された基材面に後述する赤色透明着色領域用フォトレジストをスピンコーティング法により塗布し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥させ、塗膜を形成した。その後、塗膜から100μmの距離のところにフォトマスクを配置し、プロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて、赤色の着色領域を形成すべき領域にのみ紫外線を10秒間照射した。
次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、塗膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間の加熱処理を施して、所定の領域に膜厚み2.0μmの赤色の着色領域を形成した。
また、上述した赤色の着色領域の形成と同様の工程で、後述する、緑色透明着色領域用フォトレジスト及び青色透明着色領域用フォトレジストを用いて、所定の領域に、緑色の着色領域を形成し、続いて青色の着色領域を形成し、3色の着色領域からなる着色画素部を形成した。これにより、上記遮光領域及び上記着色画素部からなる着色層を形成した。
尚、上記顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤及び溶剤を含有する)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液とクリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤及び溶剤を含有する)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。
遮光領域形成用フォトレジスト
・黒顔料・・・・・14.0重量%
(大日精化工業(株)製TMブラック♯9550)
・分散剤・・・・・1.2重量%
(ビックケミー(株)製Disperbyk111)
・ポリマー・・・・・2.8重量%
(昭和高分子(株)製VR60)
・モノマー・・・・・3.5重量%
(サートマー(株)製SR399)
・添加剤・・・・・0.7重量%
(綜研化学(株)製L−20)
・開始剤・・・・・1.6重量%
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・開始剤・・・・・0.3重量%
(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)
・開始剤・・・・・0.1重量%
(2,4−ジエチルチオキサントン)
・溶剤・・・・・75.8重量%
(エチレングリコールモノブチルエーテル)
赤色透明着色領域用フォトレジスト
・赤顔料・・・・・3.5重量%
(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製クロモフタールDPP Red BP))
・黄顔料・・・・・0.6重量%
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量%
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量%
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量%
・開始剤・・・・・1.4重量%
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量%
(2,2’−ビーズ(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・81.9重量%
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
緑色透明着色領域用フォトレジスト
・緑顔料・・・・・3.7重量%
(C.I.PG7(大日精化製セイカファストグリーン5316P))
・黄顔料・・・・・2.3重量%
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量%
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量%
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量%
・開始剤・・・・・1.4重量%
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量%
(2,2’−ビーズ(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量%
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
青色透明着色領域用フォトレジスト
・青顔料・・・・・4.6重量%
(C.I.PB15:6(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫顔料・・・・・1.4重量%
(C.I.PV23(クラリアント社製フォスタパームRL−NF))
・顔料誘導体・・・・・0.6重量%
(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・2.4重量%
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量%
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量%
・開始剤・・・・・1.4重量%
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量%
(2,2’−ビーズ(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量%
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
尚、本明細書において記載のポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
実施例3の光学素子について、実施例1と同様に、位相差層の膜厚み、位相差層の配向性、位相差層の光透過率、比抵抗測定値について測定した。結果は、実施例1及び実施例2の結果とあわせて、表1に示す。尚、実施例3の光透過率を測定する際には、分光光度計として、オリンパス社製分光光度計OSP-SP200を用いた。
(実施例4)
実施例3を表示側基板として、実施例2と同様に液晶セルを作成し、これを実施例4とした。そして、実施例2と同様に、電圧保持率を求めた。結果については表1に示す。
(実施例5)
実施例3と同様に、ITO基板上に、遮光領域(ブラックマトリクス)を作成した。次いで、塗膜形成後の紫外線照射において、赤色の着色領域を形成すべき領域及び赤色の着色積層部を形成すべき領域に紫外線を照射して、膜厚み1.5μmの赤色着色領域及び赤色着色積層部を形成したこと以外は、実施例3における赤色の着色領域形成工程と同様の工程を実施した。尚、赤色着色積層部は、上記遮光領域の上面であって、赤色着色領域とは重ならない任意の箇所に選択的に形成した。
また上述と同様の方法で、緑色の着色領域を形成すべき領域及び上記赤色着色積層部上に紫外線を照射して膜厚み1.5μmの緑色着色領域及び緑色着色積層部を形成し、さらに青色の着色領域を形成すべき領域及び緑色着色積層部上に紫外線を照射して膜厚み1.5μmの青色着色領域及び青色着色積層部をこの順で形成した。この結果、上述ITO基板上に、遮光領域と、3色の着色領域からなる着所画素部とからなる着色層が形成されると同時に、赤色、緑色、青色の順で着色積層部が積層されてなる着色積層柱が形成された。尚、上記着色積層柱の高さは、4.5μmであった。
続いて、上記着色層と上記着色積層柱が形成された基材面に、実施例1と同様の方法により、上述する位相差層形成用樹脂組成物を用いて位相差層を形成した。これにより得られた光学素子を、実施例5とした。
(実施例6)
実施例5を表示側基板として、実施例2と同様に液晶セルを作成し、これを実施例6とした。そして、実施例2と同様に、電圧保持率を求めた。結果については表1に示す。
(比較例1)
ITO電極基板上に、柱状体形成工程と位相差層の形成工程順序を逆転させ、且つ柱状体の高さを3.5μmに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により光学素子を形成し、これを比較例1とした。
比較例1の光学素子について、実施例1と同様に、位相差層の膜厚み、位相差層の配向性、位相差層の光透過率、比抵抗測定値について測定した。結果は表1に示す。
(比較例2)
比較例1を表示側基板としたこと以外は、実施例2と同様に液晶セルを作成し、これを比較例2とした。そして実施例2と同様に、電圧保持率を測定した。その結果、測定されたサンプル6つのうち、3つについて90%以上95%未満の電圧保持率が示され、また残りの3つのサンプルについては85%以上90%未満の電圧保持率が示された。
(比較例3)
着色層上に、まず位相差層を形成し、続いて位相差層表面に柱状体を形成したこと、且つ柱状体の高さを3.5μmに変更したこと以外は、実施例3と同様の方法により光学素子を形成し、これを比較例3とした。
比較例3の光学素子について、実施例3と同様に、位相差層の膜厚み、位相差層の配向性、位相差層の光透過率、比抵抗測定値について測定した。結果は、表1に示す。
(比較例4)
比較例3を表示側基板として用いたこと以外は、実施例4と同様に液晶セルを作成し、これを比較例4とした。そして、実施例4と同様に、電圧保持率を求めた。結果については表1に示す。
上述のとおり、位相差層形成工程より前に柱状体形成工程が実施される実施例と、位相差層形成工程後に柱状体形成工程が実施される比較例がそれぞれ形成され、その特性を評価した。その結果、柱状体が既に存在する基材面に位相差層が形成された実施例1、3及び5の該位相差層の膜厚み及び配向性はいずれも良好なものであって、良好な位相差制御機能を発揮可能な程度に作成されていることが確認された。
また、実施例1、3及び5における位相差層の光透過性は、比較例1及び3のそれと比べて、優位に改善されており、位相差層の形成工程と柱状体の形成工程が逆転することにより享受される位相差層の光透過率の改善という効果を確認できた。
また、実施例1、3及び5における位相差層削り取りサンプルを用いて、位相差層の比抵抗保持率を測定したところ、いずれも保持率が高く、位相差層中にイオン性不純物がほとんど含まれていないことが確認され、この位相差層を備える光学素子であれば電気信頼性が高いことが確認された。一方、比較例1及び3では、比抵抗保持率が低く、位相差層中にイオン性不純物の存在が示唆され、かかる位相差層を備える光学素子は、電気信頼性が低いことが確認された。
さらに実施例2、4及び6の液晶セルの電圧保持率を実施したところ、いずれも望ましい値が得られた。この結果、位相差層及び柱状体形成後の形成された本発明の光学素子を備える液晶セルの高い電気信頼性が確認された。
一方、比較例2及び4は、位相差層と柱状体の形成工程を実施例とは逆にした以外は同様に形成されたにもかかわらず、その電圧保持率は、充分な値が示されなかった。これは柱状体形成工程における材料塗布処理、露光処理、現像処理、後焼成処理等の種々の処理の影響を、位相差層が受けたためと推察された。
Figure 2009151267

本発明の光学素子の一実施形態を示す縦断面部分概略図である。 図1に示す光学素子のX-X概略断面図である。 本発明の液晶セルの一実施形態を示す縦断面概略図である。 従来例を用いた液晶セルの電圧保持率を測定する際の説明図である。 従来の光学素子の一実施形態を示す縦断面部分概略図である。 図5に示す光学素子のY-Y概略断面図である。 液晶セルの電圧保持率を算出するための説明図である。 本発明の光学素子の形成工程において着色積層柱と着色画素部とを同時に形成する工程を説明するための説明図である。 着色積層柱を備える本発明の光学素子を用いて作製される液晶セルの一態様を示す縦断面模式図である。
符号の説明
1、101 光学素子
2、102 光透過性基板
3、103 ブラックマトリクス
4、111 着色画素部
4R、111R 赤色着色領域
4G、111G 緑色着色領域
4B、111B 青色着色領域
5 着色層
7 柱状体
8、104 位相差層
11、121 液晶セル
12、123 シール材
13、122 対向電極基板
14、124 駆動用液晶材料
112 着色積層柱(柱状体)
112R 赤色着色積層部
112G 緑色着色積層部
112B 青色着色積層部
125 駆動用液晶層

Claims (12)

  1. 光透過性基板と、重合性液晶化合物からなる位相差層とを少なくとも有する光学素子であって、上記光学素子と他の基板とを対向させて液晶セルを形成する際に、セルギャップ確保用の柱状体を複数備えており、上記柱状体の下端面が上記光透過性基板、あるいは上記光透過性基板と上記位相差層との間にさらに設けられる中間層に接していることを特徴とする光学素子。
  2. 下記電圧保持率測定試験において、電圧保持率が95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
    電圧保持率測定試験:光透過性基板と重合性液晶化合物からなる位相差層と柱状体とを少なくとも有する光学素子を一方の基板Aとし、他方の基板Bを用いて、基板Aと基板Bとを柱状体を介して対向させて、周縁部をシール剤により封止し、これによって両基板間に形成されたスペースに単体での電圧保持率が95%以上である駆動用液晶材料を封入して液晶セルを形成し、次いで上記液晶セルを105℃、2.5時間の条件で加熱処理して不純物強制抽出処理を行い、その後、該液晶セルを室内温度23℃の室内において自然放置して室温まで温度を低下させ、印圧電圧パルス周波数60Hz、印加電圧パルス電圧5V、印加電圧パルス幅16.67msecの条件下で電圧を測定し、初期電圧(5V)に対する電圧保持率を算出する。
  3. 上記中間層が着色層であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 上記着色層がブラックマトリクスと任意の色の着色領域からなる着色画素部とから構成されており、上記ブラックマトリクス上に直接または間接に上記柱状体が位置していることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
  5. 上記柱状体が、上記着色層を構成する着色領域を形成するためのフォトレジストを用いて形成される着色積層部を、2以上積層して形成される着色積層柱であることを特徴とする請求項3または4に記載の光学素子。
  6. 上記柱状体が、上記着色積層柱の最上部に、さらに透明積層部を備えることを特徴とする請求項5に記載の光学素子。
  7. 上記位相差層の光透過率が97%以上であることを特徴する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子。
  8. 光透過性基板上に直接または間接に柱状体形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成した後、露光して柱状体を形成する柱状体形成工程と、
    光透過性基板上に直接または間接に位相差層形成用の重合性液晶組成物を塗布し、該重合性液晶組成物中に含有される重合性液晶化合物を所望の方向に配向させ、次いで光照射あるいは熱処理により上記重合性液晶化合物を上記所望の方向に配向させた状態で架橋重合させることにより固定化させて位相差層を形成する位相差層形成工程と、
    を少なくとも有し、且つ、
    上記柱状体形成工程が、上記位相差形成工程よりも先に実施されることを特徴とする光学素子の製造方法。
  9. 上記柱状体形成用樹脂組成物が、着色画素部を形成するための2色以上のフォトレジストであって、上記柱状体形成工程を2回以上繰り返すことによって、上記柱状体として2色以上の着色積層部からなる着色積層柱を形成することを特徴とする請求項8に記載の光学素子の製造方法。
  10. 光透過性基板上に直接または間接に着色層を形成し、次いで、上記柱状体形成工程を実施して下端面が上記着色層面に接してなる柱状体を形成した後、上記位相差層形成工程を実施することを特徴とする請求項8または9に記載の光学素子の製造方法。
  11. 光透過性基板上に直接または間接に、所望のパターンで開口部を区画するようブラックマトリクスを形成し、次いで、上記開口部を覆う位置に2色以上の着色領域からなる着色画素部を設けることにより、上記ブラックマトリクスと上記着色画素部とからなる着色層を形成する工程において、
    1つの着色領域を形成すると同時に、ブラックマトリクス上に直接または間接に第一番目の着色積層部を形成し、次いで他の着色領域を形成すると同時に、既に形成されている着色積層部上にさらなる別の着色積層部を積層形成することを1回または2回以上実施することによって、上記柱状体として、2色以上の着色積層部からなる着色積層柱を形成することを特徴とする請求項9に記載の光学素子の製造方法。
  12. 上記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子である表示用基板と、対向する電極基板とが、上記柱状体を介して対面しており、上記柱状体の存在により両基板間に設けられたスペースに駆動用液晶材料が封入されてなることを特徴する液晶セル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012141140A1 (ja) * 2011-04-13 2012-10-18 シャープ株式会社 液晶表示パネルおよびその製造方法

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