JP4627449B2 - 垂直配向膜上に液晶分子をホメオトロピック配向させた光学素子およびこれを用いた液晶表示装置用基材ならびに液晶表示装置 - Google Patents

垂直配向膜上に液晶分子をホメオトロピック配向させた光学素子およびこれを用いた液晶表示装置用基材ならびに液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、複屈折率層を有する光学素子に関し、より詳しくは、液晶分子を配向させ固定させた層を複屈折率層として有する光学素子に関する。
液晶表示装置(LCD)は、薄型化や軽量化容易である点や、消費電力を低減できる点、フリッカーを生じにくい点などといった利点があることから、テレビや医療機器など様々な分野に用いられているが、その一方で、使用者が液晶表示画面を見る角度によっては光漏れや階調反転現象を生じる問題、すなわち視野角の狭さという問題を抱えていた。
この問題を解決するため、液晶セルからの出射光や液晶セルへの入射光を制御する光学素子を設けた液晶表示装置が提案されている。
その場合、光学素子としては、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを1軸延伸や2軸延伸処理したフィルム材の他、液晶分子を特定方向に配向させた固定した層を用いた光学素子が提案されている。
特許文献1には、フィルム面の法線方向に分子鎖を配向させた固有屈折率値が正のネマチック液晶ポリマーからなる視覚補償フィルムが提案されている。特許文献1には、この視覚補償フィルムは、ガラス基板などの表面にアルキルシリコーン系やフルオロアルキルシリコーン系の表面処理剤で垂直配向膜を形成し、これでセルを作製して、そのセルに液晶分子を封入して液晶分子を光重合させて得られるものであることが開示されている。
特許文献2には、基板上に形成した垂直配向膜上に重合性液晶化合物を塗工することにより液晶化合物をホメオトロピック配向させた液晶層を製造する方法が提案されている。この方法では、垂直配向膜の形成剤として長鎖アルキル型デンドリマー誘導体が用いられている。また、特許文献2には、この方法によれば、ホメオトロピック配向させた液晶層を備えたフィルム材が得られ、このフィルム材は位相差フィルムなどの光学フィルムとして使用可能であることが開示されている。
特許文献3には、垂直配向膜の設けられていない基板上に、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットと非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットとを含有する側鎖型液晶ポリマーを塗工し、さらに当該液晶ポリマーを液晶状態においてホメオトロピック配向させた後、その配向状態を維持した状態で固定化してホメオトロピック配向液晶フィルムを製造する方法が提案されている。
特許文献4には、垂直配向膜の設けられていない基板に、基板側からバインダー層、次いでアンカーコート層を形成し、アンカーコート層に、側鎖型液晶ポリマーを塗工してホメオトロピック配向させた後、ホメオトロピック配向させた状態を維持したまま固定化して、ホメオトロピック配向液晶フィルムを製造する方法が提案されている。この方法では、側鎖型液晶ポリマーとしては、垂直配向膜の設けられていない基板上でホメオトロピック配向液晶層を形成し得るものが用いられる。
特開平5−142531号公報 特開2002−174724号公報 特開2002−174725号公報 特開2003−121852号公報
しかしながら、特許文献1の視角補償フィルムは、配向膜を有する2枚の基板を用いてセルを作製し、この空セル内に液晶分子を封入し、液晶分子を垂直配向させ、その状態を維持させつつ液晶分子同士を光重合するという一連の工程の後に得られる。このように、特許文献1の視角補償フィルムは、多くの製造工程を経てようやく得られるものであるから、生産コストが著しく増大するという問題がある。
特許文献2の方法では、基板上に垂直配向膜を設けてホメオトロピック配向液晶層を得るにあたり、長鎖アルキル型デンドリマー誘導体という特殊な材料を用いる必要がある。すると、この方法によりホメオトロピック配向液晶層を得る場合、生産コストが著しく増大してしまうという問題がある。
特許文献3に記載された方法により得られるホメオトロピック配向液晶フィルムは側鎖
型液晶ポリマーからなり、ホメオトロピック配向の状態で固定されていても昇温に伴って流動性が増し、熱により複屈折特性が容易に影響を受けてしまうことから、所望の複屈折特性を維持することができる温度範囲が比較的狭い上、液晶ポリマーを固定化した部分の液晶ポリマーの配向性が不均一化し易い。すると、この方法で得られるホメオトロピック配向液晶フィルムは、高い耐熱性が求められる液晶表示装置に用いることが困難なものであり、この液晶フィルムを使用可能な液晶表示装置が限定されてしまう。
また、この方法によって得られたホメオトロピック配向液晶フィルムを液晶表示装置に用いる場合、このフィルムが高温環境下におかれないようにすることが必要となるから、これを液晶表示装置の内部に配置することが難しい。このため、特許文献3の方法により得られるホメオトロピック配向液晶フィルムでは、これを液晶セルに設置できる位置が限定されてしまうという問題もある。
特許文献4に記載された方法により得られるホメオトロピック配向液晶フィルムは側鎖
型液晶ポリマーからなるので、この方法では、上記した特許文献3に記載されている方法と同様の問題を有している。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、生産コストを抑制できると共に、垂直配向膜上に固定された液晶の分子の配向性をより均一化させた光学素子を提供することを目的とする。また、液晶表示装置の内部に設置しても、固定された液晶の分子の配向性を十分に均一な状態で維持できる光学素子を提供することを目的とする。さらに、視野角の広い液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、(1)光透過性を有する基板を備えた基材と、基材に設けられる垂直配向膜と、垂直配向膜上に積層された複屈折率層とを有する光学素子において垂直配向膜は、側鎖にアルキル基を有するポリイミドを含有してなり、複屈折率層は、末端に重合性基を有する液晶の分子をホメオトロピック配向させた状態で固定してなる層であって側鎖にアルキル基を有するポリイミドを含有する層である、ことを特徴とする光学素子、(2)複屈折率層は、側鎖にアルキル基を有するポリイミドと液晶との配合比率が重量比で1/7から1/3である、ことを特徴とする上記(1)記載の光学素子、(3)複屈折率層は、垂直配向膜に対向する面と非対向面の各々に対する液晶のチルト角が等しい上記(1)または(2)に記載の光学素子、(4)光学素子の外面および基板表面のうち、少なくともいずれか1つの面に、複屈折率層とは異なる複屈折率特性を有する層が積層されている、上記(1)から(3)のいずれかに記載の光学素子、(5)光学素子には着色層がさらに形成されている、上記(1)から(4)のいずれかに記載の光学素子、(6)光透過性を有する層を備えた2つの積層構造体の間に液晶の封入された液晶層を形成した液晶表示装置用部材において、少なくとも1つの積層構造体には、上記(1)から(5)のいずれかに記載の光学素子からなる層が形成されていることを特徴とする液晶表示装置用部材、(7)液晶層を挟んだ両側に偏光板からなる層を備えるとともに、電圧を負荷して液晶層の配向を変化させる電極部からなる層を備えて多層構造を形成している液晶表示装置において、上記(6)に記載の液晶表示装置用部材が形成されている液晶表示装置、を要旨とする。
本発明の光学素子によれば、垂直配向膜を形成するための膜組成液に含まれる成分を含有した複屈折率層組成液を用いて形成された複屈折率層を有する。また、光学素子は、複屈折率層を、垂直配向膜から離間した位置にある液晶の分子のホメオトロピック配向の度合いを、垂直配向膜に近接する液晶分子のホメオトロピック配向の度合いに近づけた状態にすることができる。したがって、複屈折率層の厚み方向に、液晶をより均一にホメオトロピック配向させた状態を形成した複屈折率層を有する光学素子が得られる。
本発明の光学素子は、例えば位相差を制御する素子、光学補償素子等、光の偏光状態を制御するための素子として用いることができ、しかも配向性の均一性を高めているのでより精緻に位相差制御機能を与えることができる。
また、複屈折率層が架橋重合構造を有しているので、複屈折特性が熱による影響を受け難いので、例えば車内のように比較的高温になり易い環境下で使用される光学機器にも用いることができる。更に、耐熱性が比較的高いので、光学機器に設置された液晶パネル中に設けることも可能である。
さらに、光学素子によれば、液晶パネルを構成する部材に一体的に積層形成することができ、別体で位相差を制御するフィルム材などの部材(位相差制御部材)を設けることなく光学機器を設計することが可能となる。別体で位相差制御部材を設けるには、粘着剤などを用いてこれを固着することが必要であるが、本発明の光学素子によれば、このような粘着剤を不要とすることができるようになり、粘着材による光の散乱などの虞を低減することが可能となる。
本発明の光学素子は、着色層を設けることで、これを液晶表示装置に用いた場合に、着色層を有する部材とは別体の位相差制御部材を設ける必要がなくなり、液晶表示装置を薄型化することができる。
本発明の光学素子は、基材に膜組成液を塗布して垂直配向膜を作製し、その膜上に複屈折率層組成液を塗布し、液晶を配向させて、液晶を架橋させるという比較的簡単な工程により複屈折率層を形成することができるので、その生産コストを抑え易い。
この光学素子を用いた液晶表示装置用部材によれば、位相差制御機能を高めることができる、粘着剤による光散乱の虞を低減するなどといった光学素子の特徴を備えた液晶表示装置を製造することができる。
そして、この光学素子を用いた液晶表示装置は、薄型化を図ることができるうえ、光を有効に活用でき、視野角の広いものとすることができる。
本発明の光学素子における第1の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の光学素子の断面構造を示す概略図である。
光学素子1(1a)は、光透過性を有する基材2と、近接する液晶5の分子に配向性を持たせる垂直配向膜3と、垂直配向膜3上に積層された複屈折率層4を備えている。
基材2は、光透過性を有する基板2aからなる層を備え、基板単層からなる構造で構成されても、基板2aを多数重ね合わせてなる多層構造で構成されても、基板2aからなる層に所定の機能を備えた機能性層2bを積層して構成されてもよい。基材2には、基板2aの両面に機能性層2bを形成しても、基板2aの片面に機能性層2bを形成しているものでもよく(図2(a)(b))、基板2aの内部に機能性層2bを形成しているものでもよい。
基板2aとしては、光学的に等方性のものが用いられることが好ましいが、部分的に遮光性領域等を設けてもよい。また、基板2aの光透過率は、適宜選定可能である。
基板2aとしては、ガラス基板の他、種々の材質からなる板状体を適宜選択できる。具体的には、基板は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース等からなるプラスチック基板であってもよいし、またさらにポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン等のフィルムを用いることもできる。なお、光学素子を液晶ディスプレイ用に用いる場合には、基板は無アルカリガラスであることが好ましい。また、基板に用いるフィルムとしては、1軸延伸または2軸延伸したフィルム材を用いることが可能であり、フィルム材の内部にリタデーションを有するトリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどを用いることもできる。
機能性層2bは、光の状態を変化させる機能を有する層であって、複屈折率層4とは異なる層であり、液晶の分子を水平に配向させる水平配向膜や液晶の分子を垂直に配向させる垂直配向膜、着色層、光を反射させる反射板、偏光板などが具体的に例示される。また、機能性層2bは、基板2a全面に設けられるのみならず、基板2a面に部分的に設けられていてもよい。
垂直配向膜3は、ポリイミドを含む液を膜組成液として用い、この膜組成液をフレキソ印刷やスピンコート等の方法で塗布したものを硬化させて形成される。
また、ポリイミドを含む膜組成液としては、具体的には、日産化学社製のSE−7511やSE−1211、あるいはJSR社製のJALS−2021−R2等を例示できる。
なお、垂直配向膜3を形成するポリイミドとしては、長鎖アルキル基を有するものであることが、光学素子に形成される複屈折率層3の膜厚を広い範囲で選択することができて好ましい。
垂直配向膜3は、その膜厚が0.01〜1μm程度の範囲であることが好ましい。垂直配向膜3の膜厚が、0.01μmよりも薄いと、液晶をホメオトロピック配向させることが困難になる虞がある。また、垂直配向膜3の膜厚が1μmよりも厚いと、この垂直配向膜3自体が光を乱反射させて光学素子の光透過率が大きく低下する虞がある。
複屈折率層4は、図1に示すように、やや細長な分子形状の液晶5分子をホメオトロピック配向させた状態で液晶5分子同士を架橋させてなる架橋高分子構造を形成している。
なお、図1では、便宜上、液晶5分子同士の結合状態を示す結合手についての図示を省略している。
複屈折率層4は、液晶5分子の架橋度が80以上程度であることが好ましく、90以上程度であることがより好ましい。複屈折率の架橋度が80より小さいと、均一な配向性を十分に維持できない虞がある。
複屈折率層4では、架橋高分子構造を構成する単位である液晶5分子のチルト角について、複屈折率層4の垂直配向膜3との境界面に最も近い位置にある液晶(例えば液晶5a)分子のチルト角と、この液晶分子に対して複屈折率層の厚さ方向(矢印L、Mに沿った方向)に最も離れた位置にある液晶(例えば液晶5b)分子のチルト角とが略等しい。この場合、複屈折率層4における液晶5分子各々のチルト角は、この厚さ方向におよそ均一になる。さらに、複屈折率層4は、複屈折率層4における液晶5分子のチルト角を、厚さ方向に亘って各々相等しくしていることがより好ましい。
複屈折率層4は、これを構成する液晶5分子の屈折率異方性に伴ない、複屈折率層4に入射する光(入射光)に対してリタデーションを生じさせうる。リタデーションは、入射光に対して生じる常光と異常光との光路差であり、リタデーションの大きさは、常光の屈折率noと異常光の屈折率neとすると、複屈折Δn(noとneとの差)とd(複屈折率層4の膜厚)の積として与えられる。
したがって、複屈折率層4は、液晶5分子の種類、液晶分子の配向の程度、複屈折率層4の膜厚などを適宜選択することにより、液晶5分子の配向特性、リタデーションの大きさを制御することができる。
複屈折率層4は、垂直配向膜3上に形成されており、液晶5分子は、垂直配向膜3に近い位置にあれば、強くホメオトロピック配向した状態となって、複屈折率層4は、この厚さ方向のリタデーションの大きさが小さい値であるように構成され、具体的には、リタデーションの大きさが1nm以下である。
また、液晶5分子が垂直配向膜3から離れた位置にあると、ホメオトロピック配向が弱くなるため、垂直配向膜3から離れた位置にある液晶5分子についても強くホメオトロピック配向した状態となれば、複屈折率層4は、結晶分子のチルト角が均一化したものとなり、均一に結晶分子がホメオトロピック配向した状態となる。より均一に液晶分子がホメオトロピック配向した複屈折率層4を得ようとする観点からしてみると、リタデーションの大きさは1nm以下であることが好ましく、0.1nm以下であることがより好ましく、理想的にはゼロであることが好ましい。
複屈折率層4の膜厚は、液晶5分子をホメオトロピック配向させることが可能な範囲内、具体的には厚さ方向のリタデーションが1nm以下となる範囲内で適宜選定することが好ましく、リタデーションが0.1nm程度以下となる範囲内で適宜選定することが更に好ましい。
複屈折率層4を構成する液晶5分子としては、分子構造中に不飽和2重結合を有し、液晶状態で架橋可能なもの(重合性液晶ということがある)が用いられる。したがって、重合性液晶としては分子の末端に不飽和2重結合を有するものが用いられる。
また、液晶5分子としては、その複屈折Δnが0.03〜0.20程度であるものが好ましく、0.05〜0.15程度であるものが更に好ましい。このような液晶分子としては、下記式1から式11で表される化合物を具体例に例示できる。耐熱性の点から好ましくは3次元架橋可能なものが良く、分子の末端に不飽和2重結合を2以上有するものが用いられる。
さらに、複屈折率層4を構成する液晶5分子としては、下記化学式(化1)から(化11)に表される化合物の複数種類が選択されても良い。
Figure 0004627449
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(なお、Xは、4から6の整数である。)
複屈折率層4は、上記したような液晶5分子と、溶媒と、ポリイミドとを配合してなる複屈折率層組成液を垂直配向膜に塗工してなる塗膜を、この塗膜中に含まれる液晶分子をホメオトロピック配向させた状態として、この状態を維持しつつ液晶5分子同士を架橋させて形成される。なお、複屈折率層4は、各種印刷方法やフォトリソグラフィー法を用いて垂直配向膜3上にパターニングされて形成されてもよい。
複屈折率組成液に含まれるポリイミドは、垂直配向膜3を形成する際の膜組成液に含まれるポリイミドと同様のものが用いられる。
溶媒としては、液晶を溶解させることができるものであれば特に限定されず、トルエンなどの各種有機溶媒を用いることができる。ただし、溶媒は、複屈折率層組成液を塗工する際、垂直配向膜3に均一な厚みで塗工することができるものであることが好ましい。
複屈折率層組成液における液晶5分子の配合量は、塗工方法、膜厚、溶媒の種類等に応じて異なるが、10〜50重量%の範囲内であることが好ましい。
複屈折率層組成液は、側鎖にアルキル基を有するポリイミドと液晶との配合比率が重量比で1/7から1/3である。また、複屈折率層組成液におけるポリイミドの配合量は、複屈折率層組成液中の液晶の総量に対して12.5〜25重量%とすることが好ましく、15〜22.5重量%とすることが更に好ましい。ポリイミドの配合量が、12.5重量%より小さいと、十分均一にホメオトロピック配向した複屈折率組成物を得ることが困難になる虞があり、25重量%よりも大きいと、光の透過率が低下する虞がある。
なお、複屈折率層組成液には、必要に応じて、光重合開始剤、増感剤が添加されてもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンジル(もしくはビベンゾイル)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオサントン等を挙げることができる。
複屈折率層組成液に光重合開始剤が配合される場合、光重合開始剤の配合量は、0.01〜10重量%である。なお、光重合開始剤の配合量は、液晶分子の配向をできるだけ損なわない程度であることが好ましく、この点を考慮して、0.1〜7重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることがより好ましい。
また、複屈折率層組成液に増感剤が配合される場合、増感剤の配合量は、液晶分子の配向を大きく損なわない範囲で適宜選択でき、具体的には0.01〜1重量%の範囲内で選択される。
また、光重合開始剤及び増感剤は、それぞれ、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
この光学素子1は、次に示すように製造できる。
まず、上記したような材料を用いてポリイミドを含む膜組成液を調整し、これを光透過性を有する基材の面に、フレキソ印刷やスピンコートなどの方法で塗布して垂直配向膜用塗膜を作製し、さらにこの垂直配向膜用塗膜を硬化させることにより、基材に垂直配向膜の形成された垂直配向膜形成基材を得る。
次に、液晶分子とポリイミドを溶媒に溶解して複屈折率層組成液を調整し、これを垂直配向膜形成基材に塗布し、複屈折率層用塗膜を作製する。
この複屈折率層用塗膜は、複屈折率層組成液をダイコート、バーコート、スライドコート、ロールコート等といった各種印刷法やスピンコートなどの方法で基材上に塗布することにより、形成することができる。なお、垂直配向膜形成基材表面の撥水性又は撥油性が高い場合には、液晶をホメオトロピック配向させることが可能な範囲内でUV洗浄やプラズマ処理を介在させることにより、複屈折率層組成液を塗布しようとする垂直配向膜形成基材面の濡れ性を予め高めてもよい。
次に、複屈折率層用塗膜に含まれる液晶を、例えば次に示すようにホメオトロピック配向させる。
すなわち、複屈折率層用塗膜を加熱して、複屈折率層用塗膜の温度を、この塗膜中の液晶が液晶相となる温度(液晶相温度)以上、この塗膜中の液晶が等方相(液体相)となる温度未満にすることで、液晶をホメオトロピック配向させる。このとき複屈折率層用塗膜の加熱手段は、特に限定されず、加熱雰囲気下におく手段でもよいし、赤外線で加熱する手段でもよい。
なお、液晶をホメオトロピック配向させる方法は、上記方法による他、複屈折率層用塗膜に含まれる液晶やこの塗膜の状態に応じ、複屈折率層用塗膜を減圧乾燥する方法によっても、複屈折率層用塗膜に対して所定方向から電場や磁場を負荷する方法によっても実現可能である。
複屈折率層用塗膜を減圧乾燥することによって、液晶をホメオトロピック配向させる場合には、減圧状態とすることで複屈折率層用塗膜を過冷却状態にすることでき、複屈折率層用塗膜中の液晶をホメオトロピック配向させた状態を保持したままこの塗膜を室温までさらに冷却できる。すると、液晶を架橋反応させるまで、効率よく液晶をホメオトロピック配向させた状態が維持される。
複屈折率層用塗膜中にホメオトロピック配向した液晶は、次にしめすように架橋反応され、光学素子が製造される。
この架橋反応は、液晶の感光波長の光を複屈折率層用塗膜に照射することで進行する。このとき、複屈折率層用塗膜に照射する光の波長は、この塗膜中に含まれている液晶の種類に応じて適宜選択される。なお、複屈折率層用塗膜に照射する光は、単色光に限らず、液晶の感光波長を含む一定の波長域を持った光であってもよい。
液晶の架橋反応は、液晶が液晶相から等方相へ相転移する温度よりも1〜10℃低い温度まで複屈折率層用塗膜を加熱しながら架橋反応を行なうことが好ましい。こうすることで、この架橋反応の際に液晶のホメオトロピック配向の乱れを低減することができる。また、この観点から、架橋反応を行なう温度は、液晶が液晶相から等方相へ相転移する温度よりも3〜6℃低い温度であることがより好ましい。
なお、液晶の架橋反応は、上記したような方法のほか、不活性ガス雰囲気中で、複屈折率層用塗膜を液晶相温度にまで加熱しながら液晶の感光波長の光を塗膜に照射する方法(方法Aという)で実施されてもよい。
方法Aでは、不活性雰囲気下で液晶が架橋されており、空気雰囲気下で液晶が架橋される場合に比べ、垂直配向膜から離れた位置にある液晶分子のホメオトロピック配向の乱れが抑制される。
また、液晶の架橋反応は、不活性ガス雰囲気中または空気雰囲気中で、複屈折率層用塗膜を液晶相温度まで加熱しながら液晶の感光波長の光を塗膜に照射して架橋反応を部分的に進行させ(部分的架橋工程という)、部分的架橋工程の後、液晶が結晶相となる温度(Tc)まで複屈折率層用塗膜を冷却し、この状態でさらに感光波長の光を複屈折率層用塗膜に照射して架橋反応を進行させて完了させる方法(方法Bという)で実施されてもよい。なお、上記した温度Tcは、架橋反応を進行させる前の複屈折率層用塗膜において液晶が結晶相となる温度である。
部分的架橋工程では、温度Tcまで複屈折率層用塗膜を冷却しても、その塗膜中に含まれる液晶のホメオトロピック配向性が維持される程度に、架橋反応が進行している。したがって、部分的架橋工程における架橋反応の進行の程度は、複屈折率層用塗膜中の液晶の種類や、その塗膜の膜厚などに応じて適宜選択されるが、おおよそ、部分的架橋工程では液晶の架橋度が5〜50となるまで架橋反応を進行させることが好ましい。
方法Bは、不活性ガス雰囲気下でも空気雰囲気下でも実施することができるが、空気雰囲気下で行なうことが、架橋反応を行なう工程を実施するための設備を簡略化でき、光学素子の製造コストを抑制できる観点から好ましい。
この光学素子1では、複屈折率層4が液晶5をホメオトロピック配向させた状態を保持しつつ架橋重合化した構造を有することから、この複屈折率層4の厚さ方向をz軸にしてxyz直交座標を想定したとき、x軸方向の屈折率nx とy軸方向の屈折率ny はほぼ同じ値になり、z軸方向の屈折率nzは、屈折率nx 、ny よりも大きくなるようにすることができる。したがって、光学素子1は、複屈折率層4を、屈折率がnz>nx=nyであるような複屈折率特性を有する層、すなわちその厚さ方向(z軸方向)に光軸を有するとともに1軸性の複屈折率特性を有する層とすることができて、いわゆる「+Cプレート」として機能させることができ、光のリタデーションに対して光学補償することができる位相差制御機能を有する部材として機能させることができる。
この光学素子1は、複屈折率層4が架橋した構造を有している場合、複屈折特性が熱による影響を受け難い。
この光学素子1は、基材2に膜組成液を塗布して垂直配向膜3を作製し、その膜上に複屈折率層組成液を塗布し、液晶を配向させて、液晶を架橋させるという比較的簡単な工程により複屈折率層4を形成することができるので、その生産コストを抑え易い。
そして、この光学素子1は、垂直配向膜3を形成するための膜組成液に含まれる成分を含有した複屈折率層組成液を用いて形成された複屈折率層4を有する。これにより、光学素子1は、複屈折率層4を、垂直配向膜3から離間した位置の液晶5分子のホメオトロピック配向の度合いを、垂直配向膜3に近接する液晶5分子のホメオトロピック配向の度合いに近づけた状態にすることができ、複屈折率層4の厚み方向に、液晶をより均一にホメオトロピック配向させた状態を形成できる。
この光学素子1は、例えば位相差素子、光学補償素子等、光の偏光状態を制御するための素子として用いることができ、しかも耐熱性が比較的高いので、例えば車内のように比較的高温になり易い環境下で使用される光学機器にも用いることができる。更に、耐熱性が比較的高いので、光学機器に設置された液晶パネル中に設けることも可能である。さらに、光学素子によれば、液晶パネルを構成する部材に一体的に積層形成することができ、別体で位相差制御部材を設けることなく光学機器を設計することが可能となる。
本発明における光学素子は、第1の形態の光学素子の外面および基板表面のうち、少なくともいずれか1つの面に、光の状態を変化させる機能を有し複屈折率層とは異なる機能性層が積層されているものでもよい(第2の形態という)。
第2の形態の光学素子について、第1の形態の光学素子の外面に、複屈折率層とは複屈折率特性の異なる層が機能層として形成されている場合を例として説明する。
この光学素子は、図3に示すように、機能層6を、これを基板2と複屈折率層4の間に位置するように形成している。
この場合、第2の形態の光学素子において、機能層6としての複屈折率特性の異なる層(異複屈折率層という)は、第1の形態における複屈折率層の複屈折率特性(+Cプレート)とは異なる複屈折率特性を有する層である。
具体的には、異複屈折率層は、上記した屈折率がnz=nx<nyあるいはnz=ny<nxであるような複屈折率特性を有する層、いわゆる「+Aプレート」として機能する層であってもよく、また、上記した屈折率がnz<nx=nyであるような複屈折率特性を有する層、いわゆる「−Cプレート」として機能する層であってもよい。
なお、上記したいわゆる「+Aプレート」として機能する層は、液晶を水平配向させることが可能な樹脂材料などにより、基材面上や複屈折率層上に水平配向膜形成用塗膜を形成し、水平配向膜形成用塗膜の表面をラビング処理や光配向処理を施すことによって水平配向膜を得て、液晶を溶媒に溶解させた溶液を水平配向膜上に塗工してホモジニアス配向の状態で固定することにより得ることができる。
また、上記したいわゆる「−Cプレート」として機能する層は、液晶とカイラル剤を溶媒に溶解させて得られた溶液を基材面上や複屈折率層上に塗工し固定することで形成されうる。
カイラル剤は、液晶の分子を螺旋状に配向させるために添加されるが、液晶の分子が近紫外線領域の螺旋ピッチをとると選択反対現象により特定色の反射色を生じることから、カイラル剤の配合量は、選択反対現象が紫外領域になるような螺旋ピッチが得られるような量とすることが好ましい。
第2の形態の光学素子は、複屈折率特性の異なる層を積層するので、光学素子を備えた液晶表示装置を製造した場合に、この液晶表示装置を通過した通過光を看者が認識する際、通過光のリタデーションの大きさが看者の位置に応じて変化することをより効率よく抑えることができる。
本発明における光学素子は、第1の形態又は第2の形態の光学素子において、着色層を形成するとともに、着色層の少なくとも一部が機能性層を形成しているように構成していてもよい(第3の形態という)。
第3の形態の光学素子として、基材の基板に、機能性層として着色層を形成している場合を例として説明する(図4(a))。
図4(a)は、第3の形態の光学素子の実施例における断面構造を示す概略図である
光学素子1bにおいては、基材2bは、基板2aの片面に着色層7を形成している。着色層7は、所定波長領域の可視光を透過する着色画素部8と、遮光部9(ブラックマトリクスあるいはBMということがある)とからなる。
着色画素部8は、赤色、緑色、青色各々について各色の波長帯の光を透過させる着色画素(それぞれ赤色着色画素8a、緑色着色画素8b、及び青色着色画素8cという)を所定のパターンで配置して形成される。着色画素部8を構成する赤色着色画素8a、青色着色画素8b、緑色着色画素8cの配置形態としては、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型等種々な配置パターンを選択することができる。
また、これらの着色画素(8a、8b、8c)に代えて、各色の補色の波長帯の光を透過させる着色画素を用いることも可能である。
着色画素部8は、各色の着色画素(8a、8b、8c)毎に、着色画素の着色材料を溶媒に分散させた着色材料分散液の塗膜を、例えばフォトリソグラフィー法で、所定形状にパターニングすることで形成される。
なお、着色画素部8は、フォトリソグラフィー法のほか、各色の着色画素(8a、8b、8c)毎に、着色材料分散液を所定形状に塗布することによっても形成できる。
遮光部9は、着色画素(8a、8b、8c)同士の重なり合いを防止するとともに、着色画素間の隙間を埋めて、近接する着色画素間からの光の漏れ(漏れ光)を抑制し、また、光学素子をアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置用部材に用いた場合におけるアクティブ素子の光劣化等を抑制する。
したがって、遮光部9は、基板2a面上に着色画素の配置される位置に対応する領域を、個々の着色画素(8a、8b、8c)ごとに平面視上区画化するように形成される。そして、各色の着色画素(8a、8b、8c)は、それぞれ、遮光部9により区画化された基板2面上の領域の形成位置に応じて、平面視上その領域を被覆するようにして配置される。
遮光部9は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜を所定形状に基板面にパターニングすることにより、形成することができる。また、遮光部は、黒色樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することによりを形成することも可能である。
着色層7は、上記したように、着色画素を複数色備える場合に限定されず、着色画素を単色備えて構成されてもよい。この場合、着色層7は、遮光部9を備えなくてもよい。
なお、第3の形態の光学素子において、着色層7を構成する着色画素部8、遮光部9の全てが基板に設けられている場合を実施例として説明したが、これに限定されず、図4(b)に示すように、着色層7のうち遮光部9のみを基板2aに配置して基材となし、これに垂直配向膜3と、複屈折率層4を積層して、その上に、着色画素部8を配設して光学素子を形成してもよい。
第3の形態の光学素子によれば、複屈折率層4は、基材2a上の着色層7を被覆することができる。そうすると、複屈折率層4の耐熱性が比較的高いことから、垂直配向膜3や複屈折率層4で被覆される着色画素部8の耐熱性も向上させることができる。
なお、光学素子が着色層を備える場合にあっては、上記したほか、図4(c)に示すように、着色層7は光学素子1aの複屈折率層4の上に積層されてもよい。
次に、第1の形態または第2の形態の光学素子を用いた液晶表示装置用部材(第1の形態の液晶表示装置用部材ということがある)について、詳細に説明する。
図5(a)(b)は、本発明の液晶表示装置用部材の実施例を示す概略図である。
なお、液晶表示装置用部材の実施例として、積層構造体の一方において第1の形態の光
学素子が形成されている場合について説明する。
図5(a)に示すように、液晶表示装置用部材50(50a)は、光透過性を有する2つの積層構造体14(14a、14b)を備えており、積層構造体14a、14bの間には液晶層17が形成されている。
光学素子の形成されていない積層構造体14aは、基板16と基板16上に形成された配向膜15とを備え、光学素子1aの形成されている積層構造体14bは、光学素子1aを形成する各層(2、3、4)と、配向膜15を備えており、また積層構造体14は、両方の積層構造体14a、14bの配向膜15、15が対面するように配置されている。
液晶層17は、積層構造体14a、14bの間に液晶が封入されて形成される。封入される液晶は、適宜選択される。
液晶層17は次に示すように形成される。すなわち、互いにやや間隔をあけて対向配置された積層構造体14a、14bを、スペーサ18(例えば球状スペーサ又は柱状スペーサ)を用いて両者の離間間隔(セルギャップ)を固定するとともに、シール材(熱硬化性樹脂)を用いて積層構造体14a、14bの間に区画化された空間部を形成する。この空間部に液晶材料を充填することにより、液晶の封入が行なわれ、液晶層17が形成される。
配向膜15は、積層構造体14の間に形成される液晶層17中の液晶を、水平配向させるための水平配向膜、又は、前記の液晶を垂直配向させるための垂直配向膜である。配向膜として水平配向膜及び垂直配向膜のどちらを用いるかは、適宜選択可能である。
第1の形態の液晶表示装置用部材50aは、複屈折率層4を備えた光学素子1aを設けているので、比較的高い耐熱性を有する液晶表示装置を低コストの下に得ることが可能になると共に、光学補償を行なうために別体で位相差制御フィルム材を介装させる必要もなく、液晶表示装置用部材を幅薄にすることができ、しかも、位相差制御フィルム材の介装時に塗布する必要のあった粘着材も不要となるので、表示特性を一層向上させることができ、種々の用途に用いることが可能な透過型液晶表示装置を安価に提供することが容易になる。
なお、液晶表示装置用形成部材は、上記した実施例のほか、相対向する積層構造体のいずれにも光学素子を形成するように構成してもよい。
また、この液晶表示装置用部材は、図5(b)に示すように、基板2と液晶層17との間に複屈折率層4が位置するように光学素子1aを形成したものでもよい。こうすることで、複屈折率層4が液晶表示装置用部材の外面に露呈しないようにすることができ、これを使用する過程で外部からの作用力によって複屈折率層4が損傷する虞を抑制できる。
次に、第3の形態の光学素子を用いた液晶表示装置用部材(第2の形態の液晶表示装置用部材という)について説明する。
図6は、本発明の第2の形態の液晶表示装置用部材の実施例を示す概略図である。
なお、この液晶表示装置用形成部材において、積層構造体の一方に第4の形態の光学素子を形成している場合を例とする。
第2の形態の液晶表示装置用部材50bは、第1の形態の液晶表示装置用部材と同様に、光透過性を有する2つの積層構造体14a、14cを備えており、これらの積層構造体14a、14cの間に液晶層17を形成しており、光学素子1bを形成していない積層構造体14aは、基板16に配向膜15を形成してなる。
この液晶表示装置用形成部材50bにおいて、光学素子1bを形成している積層構造体14cは、配向膜15を、これと基板2aとの間に複屈折率層4が位置するように配設しており、積層構造体14a、14cは、配向膜15、15を互いに対向させるように配置されている。
積層構造体14cには、第3の形態の光学素子1bが形成されるとともに、光学素子1bと配向膜15との間に、配向膜15を積層形成する面を平坦化するとともに複屈折率層4の耐薬品性、耐熱性、耐ITO(酸化インジウムスズ)性等を向上させて保護するための保護層21を設けている。
保護層21としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド等、種々の光硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂、あるいは2液硬化型樹脂により形成することができる。保護層は、その材料に応じて、スピンコート、印刷、フォトリソグラフィー等の方法により形成することができる。保護層21の膜厚は0.3〜5.0μmであり、0.5〜3.0μmであることが好ましい。
このような構造を有する液晶表示装置用形成部材は、例えば透過型液晶表示装置におけるカラー表示用液晶パネルに用いることができる。
次に、第1の形態の液晶表示装置用部材を用いた液晶表示装置(第1の形態の液晶表示装置)について説明する。なお、実施例では、特に液晶表示装置がIPS方式である場合を例として説明する。
図7(a)に示すように、液晶表示装置用部材50aの両外面に偏光板11、11を備えるとともに、液晶表示装置用部材50aの積層構造体14aを構成する基板16と配向膜15との間に介在形成された平坦電極部25と、光照射部13とを設けている。
偏光板11、11は、液晶表示装置用部材50aの両外表面に貼付されているが、両偏光板11、11は、互いに直交ニコルの関係となるように配置することもできるし、互いに平行ニコルの関係となるように配置することもできる。
平坦電極部25は、液晶駆動電極部26と、液晶駆動電極部26に電気的に対応し向かい合う共通電極部27とからなり、液晶駆動電極部26と共通電極部27とが両方ともに同一の基板16と液晶層17との間に配設されている。平坦電極部25は、電圧を負荷して液晶層17の液晶の分子の配向を変化させる。
液晶駆動電極部26は、マトリクス状に配置された多数の液晶駆動電極26aを備え、表面を平坦化する平坦化膜26bとを備えている。
マトリクス状に配置された多数の液晶駆動電極26aは、個々の液晶駆動電極の配置された領域ごとに1つの画素を構成する。液晶駆動電極26aは、平面視上、対応する画素のほぼ中央部を縦断する。液晶駆動電極26aは、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明電極材料により形成されている。
共通電極部27は、液晶駆動電極26aとの間に電場を形成可能な共通電極27aを備えるとともに、液晶駆動電極部26と物理的に接触しないように共通電極を被覆する保護層27bを形成しており、共通電極27aは、マトリクス状に整列する各液晶駆動電極26aで形成される各列に対して2つずつ対応するようにして、対応する画素列の両側に分かれて配置されている。
共通電極27aは、例えばタンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属により形成することができる。
この液晶表示装置100aでは、各画素ごとに液晶層に電圧が負荷されて、各画素ごとに、光照射部13から受けた光のうち偏光板を通過する光の透過量が制御される。そして液晶表示装置は、こうした各画素ごとに偏光板を通じて外部に出た光が全体として画像を形成する。
第1の形態の液晶表示装置100aは、液晶表示装置用部材50aに、ホメオトロピック配向の均一性を高めた架橋構造を有する複屈折率層4を有するから、耐熱性が比較的高く、比較的高温環境に曝される車載用の液晶表示装置としても用いることができる。また、第1複屈折率層25の生産コストを抑え易いことから、液晶表示装置を安価に提供することも可能である。また、従来の液晶表示装置では、視野角の狭さを補正するために位相差を補正するフィルム材(位相差制御フィルム)を別体で粘着剤などを用いて貼着していたが、この液晶表示装置では、そのようなフィルム材を設ける必要もなくなり、粘着剤を設けるための厚みが不要となって装置の厚みを薄くすることができるばかりか、粘着剤による光の乱反射や吸収などの虞も低減できる。
さらに、第2の形態の液晶表示装置用部材を用いた液晶表示装置(第2の形態の液晶表示装置)について説明する。実施例では、特に液晶表示装置がアクティブマトリクス方式である場合を例として説明する(図7(b))。
この液晶表示装置100bは、液晶表示装置用部材50bの両側面に偏光板11、11を備えるとともに、液晶表示装置用部材50bの積層構造体を構成する基板16、2aの間に電極部29を介在させ、光照射部13を備えている。
電極部26は、画素ごとに設けられる画素電極部26と、各画素電極部26に共通して電気的に対応し向かい合う共通電極部28とからなり、画素電極部26と共通電極部28は両者間に液晶層17を介在させるように配設される。
画素電極部26は、画素電極26aを、膜厚方向に各着色画素8a、8b、8cに対して1つずつ対応するように、マトリクス状に配置しており、画素電極ごとに設けられたスイッチング回路部(図示せず)と、スイッチング回路部に対して電気的に接続された信号線26cおよび走査線(図示せず)と、信号線26cおよび走査線を電気的に分離する層間絶縁膜(図示せず)と、信号線26cと画素電極を電気的に分離する保護膜26dと、保護膜26dと画素電極26aを被覆して表面を平坦化する平坦化膜26bとを備えて形成されている。
電極部29において、走査線と信号線26cは、隣合う画素電極の間に、格子状に互いに交差するように配置されており、走査線、信号線26cは、その長手方向に沿ってそれぞれ層間絶縁膜、保護膜26dで被覆されている。
なお、走査線や信号線は、例えばタンタル(Ta)、チタン(Ti)等の金属により形成され、層間絶縁膜は、例えばシリコン酸化物等の電気絶縁性物質により形成される。また、保護膜は、シリコン窒化物等により形成されている。
マトリクス状に配置された多数の画素電極は、個々の画素電極の配置された領域ごとに1つの画素を構成する。
画素電極は、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明電極材料により形成されている。
スイッチング回路部は、画素電極に対応して配置され、画素電極と、走査線及び信号線とを電気的に接続している。スイッチング回路部は、走査線から電気的信号の供給を受けて、信号線と画素電極の通電状態を制御する。スイッチング回路部としては、薄膜トランジスタ等の3端子型素子やMIM(Metal Insulator Metal)ダイオード等の2端子型素子などのアクティブ素子が具体的に例示される。
共通電極28は、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明電極材料により膜状に形成されている。
第2の形態の液晶表示装置100bは、第1の形態の液晶表示装置100aと同様に、別体で位相差制御フィルム材を設ける必要もなくなり、措置の薄型化を図ることができるばかりか、フィルム材を貼着する際に用いる粘着剤も不要となり、粘着材による光の乱反射や吸収の虞も低減することができる。
実施例1.
垂直配向膜の作製
垂直配向膜の溶液(JSR社製、JALS-2021-R2)をγ-ブチロラクトンで2倍に希釈して膜組成液を作製する。
基材としてのガラス基板上に、この膜組成液を塗布して塗膜を作製し、塗膜の形成されたガラス基板を180℃で1時間焼成して垂直配向膜形成基材を得る。
複屈折率層形成用塗膜の作製
ポリイミドを含む溶液として、垂直配向膜の溶液(JSR社製、JALS-2021-R2)をジエチレングリコールジメチルエーテルで8倍希釈した溶液を調整する。
ネマチック液晶相を示す重合可能な液晶分子(重合性液晶)として上記化学式(化11)に示される化合物(ただしXの値が6の化合物である)20重量部と、光重合開始剤(チバガイギー社製、「イルガキュア907」)0.8重量部と、溶媒としてクロロベンゼン59.2重量部と、ポリイミドを含む溶液20重量部と混合して、複屈折率層組成液を作製する。
垂直配向膜形成基材をスピンコーター(MIKASA社製、「商品名1H-360S」)に設置して、垂直配向膜上に複屈折率層組成液をスピンコーティングして、複屈折率層形成用塗膜を作製した。得られた複屈折率層形成用塗膜は白濁していた。また、作製された複屈折率層形成用塗膜の膜厚は、乾燥時において約1.5μmであった。なお、この膜厚は、触針式段差計(Sloan社製、製品名「DEKTAK」)を用いて計測された。
液晶のホメオトロピック配向状態の形成
複屈折率層形成用塗膜の形成された垂直配向膜形成基材を、100℃で3分間加熱し、複屈折率層形成用塗膜中の液晶の分子が液晶相に転移して配向状態を形成していることを確認した。このとき、複屈折率層形成用塗膜が白濁状態から透明状態となったことが目視にて確認された。
液晶の架橋重合反応
次に、空気雰囲気下で、透明状態の複屈折率層形成用塗膜に、紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「商品名TOSCURE751」)を用いて出力が20mW/cm2の紫外線を10秒間照射して、複屈折率層形成用塗膜中の液晶を架橋重合反応させて液晶の分子の配向性を固定することで、複屈折率層が形成され、光学素子が得られた。
得られた光学素子について、次に示すようにして光学素子のリタデーションを測定した。
リタデーションの測定
まず、光学素子をリタデーションの計測機に設置して、測定波長550nmの条件で複屈折率層の厚さ方向に対して、光学素子のリタデーションを測定した。このとき、リタデーションの計測機として、王子計測機器社製「KOBRA-21」を使用した。
この測定の結果、光学素子のリタデーションの大きさは、おおよそ0(ゼロ)nmであった。
さらに、複屈折率層の厚さ方向のリタデーションの測定がなされた状態を基準として、厚さ方向に対して傾きを持った方向に光学素子の設置状態を変化させた。
この測定の結果、光学素子は、厚さ方向に対して大きく傾くほど、リタデーションが大きくなった。
これにより、均一に垂直配向した複屈折率層が形成されていることが確認された。
実施例2.
基材として、ガラス基板からなる層(基板層)に着色層を積層して形成されるものを用いて、光学素子を得た。
基材は次に示すようにして調整された。
着色層の形成に用いる着色材料分散液の調整
ブラックマトリクス(BM)及び赤色(R)、緑色(G)、青色(B)着色画素の着色材料分散液として、顔料分散型フォトレジストを用いた。顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤及び溶剤を含有する)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液とクリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤及び溶剤を含有する)とを混合することにより得られた。得られた顔料分散型フォトレジストは、下記に示すような組成である。尚、分散機としては、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いた。
(ブラックマトリクス用フォトレジスト)
・黒顔料・・・・・14.0重量部
(大日精化工業(株)製、TMブラック#9550)
・分散剤・・・・・1.2重量部
(ビックケミー(株)製、Disperbyk111)
・ポリマー・・・・・2.8重量部
(昭和高分子(株)製、VR60)
・モノマー・・・・・3.5重量部
(サートマー(株)製、SR399)
・添加剤・・・・・0.7重量部
(綜研化学(株)製L−20)
・開始剤・・・・・1.6重量部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・開始剤・・・・・0.3重量部
(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)
・開始剤・・・・・0.1重量部
(2,4−ジエチルチオキサントン)
・溶剤・・・・・75.8重量部
(エチレングリコールモノブチルエーテル)
(赤色(R)着色画素用フォトレジスト)
・赤顔料・・・・・4.8重量部
(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製、クロモフタールDPP Red BP))
・黄顔料・・・・・1.2重量部
(C.I.PY139(BASF社製、パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製、SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製、イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
(緑色(G)着色画素用フォトレジスト)
・緑顔料・・・・・3.7重量部
(C.I.PG7(大日精化製、セイカファストグリーン5316P))
・黄顔料・・・・・2.3重量部
(C.I.PY139(BASF社製、パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製、SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製、イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
(青色(B)着色画素用フォトレジスト)
・青顔料・・・・・4.6重量部
(C.I.PB15:6(BASF社製、ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫顔料・・・・・1.4重量部
(C.I.PV23(クラリアント社製、フォスタパームRL−NF))
・顔料誘導体・・・・・0.6重量部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・2.4重量部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製、SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製、イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
尚、上記ポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
着色層の形成
洗浄処理を施した基板としてのガラス基板(コーニング社製、「1737材」)を用意し、このガラス基板上面に、次に示すように各色ごとに着色材料分散液を塗布し、基板に着色層を積層形成した。
まず、ガラス基板に、上述で調製したBM用フォトレジストをスピンコート法で1.2μmの厚さに塗布し、90℃、3分間の条件でプリベーク(予備焼成)し、所定のパターンに形成されたマスクを用いて露光(100mJ/cm2)し、続いて0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベーク(焼成)し、BMを形成したBM基板を作製した。
次に、赤色(R)の顔料分散型フォトレジストを上記BM基板上にスピンコート法で塗布し、80℃、5分間の条件でプリベークし、所定の着色パターン用フォトマスクを用いて、アライメント露光(300mJ/cm2)した。さらに、0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、60分間ポストベークし、BMパターンに対して所定の位置に膜厚2.8μmの赤色(R)着色画素パターンを形成した。
続いて、上記赤色(R)着色画素パターンの形成方法と同様の方法及び条件で、膜厚2.6μmの緑色(G)着色画素パターンを形成した。
さらに、上記赤色(R)着色画素パターンの形成方法と同様の方法及び条件で、膜厚2.3μmの青色(B)着色画素パターンを形成した。
こうして、ガラス基板上に、BM、赤色着色画素、緑色着色画素、及び青色着色画素から構成される着色層が形成され、基板層に着色層を形成した基材を得た。
得られた基材の着色層上に、実施例1と同様に調整された垂直配向膜を形成する膜組成液を塗布して垂直配向膜を形成し、垂直配向膜形成基材を得た。
次に、実施例1と同様に複屈折率層組成液を調整した。
そして、垂直配向膜形成基材をスピンコーター(MIKASA社製、「商品名1H-360S)に設置して、垂直配向膜上に複屈折率層組成液をスピンコーティングして、複屈折率層形成用塗膜を作製した。得られた複屈折率層形成用塗膜は白濁していた。また、作製された複屈折率層形成用塗膜の膜厚は、乾燥時において約1.0μmであった。なお、この膜厚は、触針式段差計(Sloan社製、製品名「DEKTAK」)を用いて計測された。
複屈折率層形成用塗膜の形成された垂直配向膜形成基材について、実施例1と同様にして、液晶のホメオトロピック配向状態の形成、液晶の架橋重合反応を行ない、光学素子を得て、光学素子のリタデーションを測定した。
本実施例で得られた光学素子のリタデーションの大きさは、複屈折率層の厚さ方向に対して、おおよそ0(ゼロ)nmであった。また、光学素子は、厚さ方向に対して大きく傾くほど、リタデーションが大きくなった。
これにより、均一に垂直配向した複屈折率層が形成されていることが確認された。
比較例
複屈折率層組成液として、液晶分子として上記化学式(化11)に示される化合物(ただしXの値が6の化合物である)20重量部、光重合開始剤(チバガイギー社製、「イルガキュア907」)0.8重量部と、溶媒としてクロロベンゼン59.2重量部と、ジエチレングリコールジメチルエーテル20重量部とを混合した溶液を用いた他は、実施例1と同様にして、光学素子を製造した。
得られた光学素子の複屈折率層に白濁が認められたため、複屈折率層に含まれる液晶分子の配向の均一性が低いことが確認された。
本発明の光学素子の断面構造を示す概略図である。 (a)基板に機能性層を備えた光学素子の断面構造を示す概略図である。(b)基板に機能性層を備えた光学素子の他の実施例の断面構造を示す概略図である。 機能性層を積層した光学素子の断面構造を示す概略図である。 (a)基板に着色層を備えた光学素子の断面構造を示す概略図である(b)基板に着色層の一部を備えた光学素子の他の実施例の断面構造を示す概略図である(c)光学素子の外面に着色層を備えた光学素子の他の実施例の断面構造を示す概略図である。 (a)第1の形態の光学素子を備えた液晶表示装置用部材を示す概略図である(b)第1の形態の光学素子を、基板と液晶層の間に複屈折率層が位置するように形成させた液晶表示装置用部材を示す概略図である。 第3の形態の光学素子を備えた液晶表示装置用部材を示す概略図である。 (a)第1の形態の液晶表示装置を示す概略図である。(b)第2の形態の液晶表示装置を示す概略図である。
符号の説明
1 光学素子
2 基材
2a 基板
3 垂直配向膜
4 複屈折率層
5 液晶
2b、6 機能性層
7 着色層
8 着色画素部
9 遮光部

Claims (7)

  1. 光透過性を有する基板を備えた基材と、基材に設けられる垂直配向膜と、垂直配向膜上に積層された複屈折率層とを有する光学素子において、
    垂直配向膜は、側鎖にアルキル基を有するポリイミドを含有してなり、複屈折率層は、末端に重合性基を有する液晶の分子をホメオトロピック配向させた状態で固定してなる層であって側鎖にアルキル基を有するポリイミドを含有する層である、ことを特徴とする光学素子。
  2. 複屈折率層は、側鎖にアルキル基を有するポリイミドと液晶との配合比率が重量比で1/7から1/3である、ことを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 複屈折率層は、垂直配向膜に対向する面と非対向面の各々に対する液晶のチルト角が等しい請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 光学素子の外面および基板表面のうち、少なくともいずれか1つの面に、複屈折率層とは異なる複屈折率特性を有する層が積層されている、請求項1から3のいずれかに記載の光学素子。
  5. 光学素子には、着色層がさらに形成されている、請求項1から4のいずれかに記載の光学素子。
  6. 光透過性を有する層を備えた2つの積層構造体の間に液晶の封入された液晶層を形成した液晶表示装置用部材において、
    少なくとも1つの積層構造体には、請求項1から5のいずれかに記載の光学素子からなる層が形成されていることを特徴とする液晶表示装置用部材。
  7. 液晶層を挟んだ両側に偏光板からなる層を備えるとともに、電圧を負荷して液晶層の配向を変化させる電極部からなる層を備えて多層構造を形成している液晶表示装置において、請求項6に記載の液晶表示装置用部材が形成されている液晶表示装置。
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