JP5051352B2 - 位相差制御機能を有する光学部材およびこれを備える液晶表示用セル - Google Patents

位相差制御機能を有する光学部材およびこれを備える液晶表示用セル Download PDF

Info

Publication number
JP5051352B2
JP5051352B2 JP2007089788A JP2007089788A JP5051352B2 JP 5051352 B2 JP5051352 B2 JP 5051352B2 JP 2007089788 A JP2007089788 A JP 2007089788A JP 2007089788 A JP2007089788 A JP 2007089788A JP 5051352 B2 JP5051352 B2 JP 5051352B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
optical member
columnar body
retardation layer
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007089788A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008249904A (ja
Inventor
徳久 守谷
慎二 林
雄二 中津川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2007089788A priority Critical patent/JP5051352B2/ja
Publication of JP2008249904A publication Critical patent/JP2008249904A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5051352B2 publication Critical patent/JP5051352B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Description

本発明は、セルギャップを制御する柱状体を備えるとともに位相差制御機能を有する光学部材、およびこれを備える液晶表示装置に関する。
近年その高い表示特性から、In Plane Swithcing(IPS)モードやMulti−domain Vertical Alignment(MVA)モードなどに代表される液晶表示装置が広く普及している。これらの液晶表示装置においては、その視野角度を広くするため、対面する表示側基板と駆動液晶側基板との間に駆動液晶分子を封入した駆動液晶層(以下、液晶セルという。)の外側に光学異方性を有する位相差フィルムを貼り合わせる手法が広く用いられてきた。
近年、この位相差フィルムの機能を、液晶材料を用いて液晶セル内に造り込む、いわゆるインセルタイプの位相差層(以下、インセル位相差層ということがある。)が提案されている。インセル位相差層はガラス基板の厚みに起因する視差をキャンセルすることができるため、従来のフィルム位相差で不可能であった画素ごとのパターニングが可能となる。また、従来のフィルムのように粘着材を用いて貼り合わせる必要がないため、薄膜化や高耐熱性化、経時収縮に対する寸法安定性など、信頼性に優れた位相差層を構成することができる。
例えば架橋性液晶や高分子液晶等の液晶材料を用いてインセル位相差層を形成する方法として、該位相差層を形成する基材の表面に予めラビング法、光配向法、イオンビーム法等の方法により配向膜を形成し、次いで液晶材料を含有する液晶組成物をこの配向膜上に塗布することによって位相差層を形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1を参照)。あるいは表示装置の薄型化や製造工程の減少を目的として、配向膜を用いずにホメオトロピック配向をなす位相差層を得るための架橋性液晶材料組成物の検討も行われている(例えば、下記特許文献2を参照)。
位相差層を有するこれらの表示装置では、対向する基板同士の間隙(セルギャップ)を一定にした状態で、その間に位相差層と駆動液晶層とを挟み込んで構成されている。
この際、2枚の基板間で一定の間隙を規定するため、ガラスや透明樹脂から構成された球体のビーズを散布する手法が一般的に用いられている(例えば、下記特許文献3を参照)。
しかしながら、液晶材料を配向させて固定化した位相差層は基板などに比べて一般的にその硬度が低いため、一方の基板を外部から押し込んだ場合には、点接触となる球体のビーズが位相差層にめり込む沈み込み変形が発生し、正しいセルギャップが規定できないといった問題点があった。
上記の問題点に鑑み、位相差層上に柱状の構造体を設け、位相差層との接触を点接触から面接触に変えることでそのめり込みを回避し、有効表示エリア全体に亘って高精度なセルギャップを実現する手法についての技術が開示されている(例えば、下記特許文献4を参照)。
特開平10−319408号公報 特表2004−524385号公報 特開平6−148654号公報 特開2005−3750号公報
ところで、近年ではディスプレイに対する薄型化の要望が高まっており、液晶表示装置においても、液晶セルに偏光板などの光学フィルムを貼り合わせた液晶パネルをそのまま表示躯体にセットすることにより完成品とされる場合がある。かかる態様によれば、ディスプレイの表示面は液晶パネルが観察者側に露出した構成となっており、工場のパネル組立装置や観察者の指などが表示面に触れることによる外部からの押圧荷重は液晶パネルに直接かかることとなる。このため、液晶パネル内における液晶セルの厚み方向の剛性が不足しているとセルギャップが保持できなくなるということが問題になっている。かかる観点からは、位相差層を液晶セル内に有する上記特許文献4に記載の液晶表示装置のごとく、柱状体の個数が画素1〜27個あたり1個としても液晶セルの厚み方向の剛性を十分に確保しえない場合があり、上記外部荷重のロードパスとなる柱状体の近傍においては位相差層に集中的な押圧力が負荷されてその沈み込み変形が容易に生じることが問題となっていた。
例えば、赤色、緑色、青色の3色の透明着色画素を備えるカラーフィルターにおいて、特定の一色の着色画素にのみ柱状体を設けるようパターニングされる場合があるが、かかる態様では、上記特定の一色の着色画素において最大1個の柱状体が設けられる(即ち、3画素あたり1個の柱状体が設けられる)だけであるため、上述するような状況下において液晶セルの厚み方向の剛性が十分なものを提供することが難しい。
これに対し、一画素あたりに最大1個設けられる従来の柱状体において、1個ずつの柱状体の断面積を増大せしめ、これによって柱の剛性を上げることも考えられうるが、あまり柱の断面積を大きく設計すると、対向する電極基板の回路部分に干渉してしまうので問題である。
しかも近年は、画素における開口率をより高める等の目的から有効表示領域における遮光領域が小さくなる傾向にあり、開口部を避けて形成される柱状体の一本あたりの断面積は小さくする傾向にある。したがって柱状体の個数が画素1〜27個あたり1個である従来品では、柱の長さ方向から押圧力がかかった場合に、圧力分散が容易になされず、柱状体が位相差層にめり込む虞があった。
ここで、例えば駆動液晶層への電圧負荷が無い場合に黒表示がなされるノーマリーブラックモードの液晶表示装置では、電圧を印加した白表示時に透過光に対してλ/2の位相差が得られるよう一般的に液晶セルが設計されている。また液晶セルの位相差はΔn(複屈折異方性)×d(その厚さ)で表されることから、画面全域に渡ってムラのない表示を可能にするためには、所定の駆動液晶層の厚さを均一に保つ必要があり、換言するとセルギャップを高精度に保つことが必要となる。一般に表示エリアの一部分においてセルギャップが15%程度変化(低下)すると、白表示時におけるその部分の透過率は4%程度低下し、輝度ムラとして観察者が視認できるレベルとなることが本発明者らの検討により明らかとなっている。
したがって、かかるセルギャップの厚さ変化が塑性的に発生すると、当該領域では常に輝度ムラが残存して観察者にこれを知覚させることとなり大きな問題となる。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、液晶セルの外部から押し込み荷重が負荷された場合であっても、当該押し込み箇所に相当するセルギャップが塑性的に局部変形することを効果的に防止する光学部材を提供することを目的とし、あわせてかかる光学部材を備えることで押し込み荷重に対する輝度ムラの発生が抑制された液晶表示装置を提供することを他の目的とする。
本発明にかかる光学部材は、光透過性の基材表面に直接または間接に架橋性液晶分子を配向させて固定化してなる位相差層を積層形成するとともに、該位相差層上において、少なくとも任意に選択された画素において、一画素あたり2個以上の柱状体を設けることを基本的特徴とする。
即ち、本発明は、
(1)複数の画素部と、一画素部を区分けするよう設けられた遮光領域とがパターン形成された光透過性の基材と、
前記基材表面に、架橋性液晶分子を含有する液晶組成物を直接または間接に塗布し、前記架橋性液晶分子を所望の方向に配向させた状態で固定化させてなる位相差層と、
前記位相差層表面において形成される複数の柱状体と、
を少なくとも有し、
前記基材面には、前記複数の画素部により有効表示領域が構成されており、且つ、
前記柱状体が、少なくとも前記有効表示領域内における任意に選択された画素部に隣り合う上記遮光領域の平面視上、該遮光領域内に一画素部あたり2個以上設けられていることを特徴とする位相差制御機能を有する光学部材、
(2)前記複数の画素部が、基材表面において直接または間接に遮光領域を格子状にパターン形成することにより形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の光学部材、
(3)前記複数の画素部が、前記基材表面に直接または間接に1色または2色以上の透明着色部を独立した島状に区画されるようパターニングされることによって形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の光学部材、
)一画素部あたり2個以上の柱状体が設けられている前記画素部以外の画素部の、少なくとも一部あるいは全部において、
一画素部あたり1個の柱状体が設けられていることを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の光学部材、
)前記有効表示領域内において設けられる柱状体の総数が、前記画素数の総数を上回ることを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の光学部材、
)前記柱状体が、実質的に全ての画素部に対し、一画素部あたり2個以上設けられていることを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の光学部材、
)前記画素部1つあたりに設けられた2個以上の柱状体の一部あるいは全てが、互いに異なる形状及び/または断面寸法によって形成されていることを特徴とする上記(1)乃至(のいずれかに記載の光学部材、
)前記有効表示領域の面積に対する、該有効表示領域において形成された柱状体の下底の面積の総和が、0.3%以上であることを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の光学部材、
)前記柱状体がテーパー形状であり、且つ該テーパー形状である柱状体の上下底面のうち、面積の大きい面を位相差層と接触する下底面とすることを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載の光学部材、
10)前記テーパー形状の柱状体が前記位相差層と接触する面を該柱状体の下底面とし、下底面から上底面へ向けて測定した該柱状体の高さを100%としたときに、下底面から90%の高さで切断した該柱状体の断面積が、前記下底面の面積の3%以上30%以下であることを特徴とする上記()に記載の光学部材、
11)前記位相差層が鉛筆硬度6B以上B以下を示す液晶組成物により構成されており、一方、前記柱状体が鉛筆硬度3H以上5H以下を示す樹脂組成物により構成されていることを特徴とする上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の光学部材、
12)上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の光学部材と、複数の画素電極がパターン形成されて構成される有効表示領域を有する対向電極基板とが、前記光学部材の表面に形成される柱状体の上面を、直接または間接に前記対向電極基板の当接面に当接されて組み合わされ、該光学部材と該対向電極基板との間に設けられたスペースに駆動用液晶が充填されてなる液晶表示用セル、
を要旨とする。
ここで本発明に用いられるいくつかの用語について以下に説明する。
「位相差層」とは、光の位相差(リタデーション)変化に対して光学補償することができる位相差制御機能を有する層を意味する。
「画素部」または「画素電極」とは、本発明の光学部材、あるいは本発明の光学部材と対向電極基板とを組み合わせたセルにおいて、最小表示単位を意味する。例えば、フルカラー表示を行うための光学部材であって、赤色、緑色、青色の3色の透明着色部が個々に独立してパターン形成された光学部材であれば、いずれか一色により形成された1つの透明着色部を画素部と呼び、また薄膜トランジスタ(TFT)が形成された対向電極基板における1つの電極を画素電極と呼ぶ。本明細書中、上記画素部及び上記画素電極をあわせて単に「画素」という場合がある。
また位相差層表面における「画素予定領域」とは、本発明の光学部材を対向する電極基板と組み合わせた液晶セルとした際に、基板面に対し垂直方向から観察した場合に、画素部あるいは画素電極と重複する領域を意味する。
また本発明において「有効表示領域」とは、透過光が出/入射して所定の表示や観測が行われる領域を意味し、例えば、液晶パネルにおける光学部材として本発明が用いられる場合には、該液晶パネルにおける画像表示領域に相当する領域を意味する。尚、上記有効表示領域の外周部に略枠状の遮光領域が設けられる場合、該遮光領域は本発明にいう有効表示領域からは除外される。したがって位相差層表面であって平面視上、該遮光領域の上方あるいは下方における柱状体の形成の有無は任意であるが、かかる領域に柱状体が設けられる場合であっても、該柱状体の下底面積は、本発明における下底面積の合計からは除かれる。
柱状体の「下底面」というときには、柱状体において、基材である位相差層と接触する部分を意味し、柱状体の「上底面」というときには、柱状体が、位相差層と対向する基板と接触する部分を意味する。
また本発明の光学素子を構成する構成層において、「上」「上方」「上面」あるいは「下」「下方」「下面」などの上下方向を意味する表現方法は、光学素子の基材が最下層となる向きに配置したときに、任意の構成層において、基材面側を「下」方向とし、基材面とは反対側を「上」方向として表現するものである。
さらにまた本発明の構成層を説明にするにあたり、「平面視上」という場合には、基板面法線方向から観察した場合を意味する。例えば、「平面視上、液晶相部位領域」という場合には、基板面法線方向から観察したときに、液晶相部位と重なる領域を意味する。
本発明の光学部材は、位相差層上に直接形成される柱状体が、少なくとも任意に特定された画素に対し、一画素あたり2個以上設けられるため、本発明を用いて形成された液晶セルにおいて、該液晶セルの厚み方向に対し外部から押圧力が与えられた場合に、押圧力の分散が複数の柱状体において良好に行われる。したがって、従来の画素1〜27個あたり1個の柱状体が設けられていた光学部材、あるいはこれを用いた液晶セルに比べて、上記押圧力の影響による柱状体の位相差層に対するのめり込みが効果的に防止される。
特に、柱状体の総数が、画素の総数を上回って設けられる本発明では、より均等且つスムーズに上記押圧力の分散が行われる。とりわけ、実質的に全ての画素において一画素あたり2個以上の柱状体が設けられる本発明では、セルギャップ維持のために非常に望ましい剛性が発揮される。
また上記構成を採用する本発明であれば、一画素あたりに設けられる2本以上の柱状体の断面積及び形成位置は、対向電極基板の回路パターンや遮光領域の線幅などを考慮しながら適宜決定することができる。したがって、セルギャップ維持のための望ましい剛性を得る手段として柱状体の断面積を増加するという手段にのみに依存しなくてもよく、柱状体のパターニングデザインの自由度を高めることができる。
そして、本発明の光学部材と対向電極基板とを組み合わせることにより形成され液晶表示用セルであれば、厚み方向から押圧力がかかった場合であっても柱状体により良好にセルギャップが維持されるため、面上の局部的な塑性変形により観察者が視認可能な輝度ムラが発生することを防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて具体的に説明する。図1は本発明にかかる光学部材10の積層構成を模式的に示す上面図である。光学部材10は、光透過性で所定の硬度をもつ透明基板の表面に形成される遮光領域であるブラックマトリクス(以下、単に「BM」ともいう)15が、画素予定領域に該当する部分に開口部20を形成されるようパターニングされ、次いで、開口部20を覆う透明着色層領域13が、赤色、緑色及び青色の3色の色パターン16(R)17(G)、18(B)を帯状に配列して形成されている。BM15及び透明着色領域13上を覆って透明な位相差層が形成され、該位相差層の上面に所定の高さをもつ柱状体19が多数分散して立設されて、光学部材10が完成される。
尚、上記透明基板及び位相差層については、図1においては図示省略しており、透明着色領域13で覆われる各開口部20は、平面視上、各色パターンを通して透かして観察されるよう破線で図示してある。光学部材10における透明基板及び位相差層を合わせた基板面法線方向における層構成は、光学部材10のX−X断面図として図2を用い後述する。
本発明において画素とは、カラー表示の場合であれば例えば赤色、緑色、青色などの各色の分色画像を構成する最小単位を指すことは上述のとおりであり、図1において開口部20が、一画素に対応し、色パターン16(R)17(G)、18(B)にそれぞれ覆われた隣り合う3つの画素をもって一絵素と称する。
位相差層と柱状体19との間には任意で透明電極(以下、ITOという)や保護層など(図示せず)の薄層が積層形成されてもよく、本発明ではこれらを位相差層とあわせて位相差制御機能層と称することとする。
外部からの押圧力により位相差層が柱状体19との当接部で沈み込み変形を生じるという上記従来の課題は、柱状体19が位相差層4の上に直接設けられている場合はもちろんのこと、図示しないITOや保護層を介して柱状体19が位相差層の上に設けられている場合についても同様の傾向として発生する。
図2は、光学部材10のX−Xにおける部分断面図である。光学部材10は、透明基板である基材2上に、BM15がパターニングされ、次いで透明着色領域13が色パターン16(R)17(G)、18(B)を設けることにより構成されている。そしてBM15及び透明着色層領域13を覆って位相差層4が形成されている。位相差層4上に設けられた柱状体19は、19a及び19bという2種の形状に分類され、テーパー形状であって断面略円形の柱状体19aはBM15上方であって、隣り合う色パターンを跨いだ位置に形成されており、一方、断面略長方形状の柱状体19bはBM15上方であって、一つの色パターン上に形成されていることが図1及び図2から理解される。また柱状体19a及び柱状体19bは、それぞれ一つの開口部20(即ち一画素)に対し1本ずつ整列して形成されており、光学部材10は、実質的に一画素あたり2本の柱状体が形成されている。
図1及び図2において示される柱状体19は、本発明における柱状体の形成位置及びそのパターニングデザインの一実施形態を示すものであって、本発明を何等限定するものではない。本発明における柱状体は、少なくとも開口部20に重ならない位置において、他の層構成を勘案しつつ、自由にパターニングすることができる。例えば図示はしないが、図1において柱状体19bが設けられている位置に、細状の柱状体を複数本設けてもよい。一般的には、柱状体の形成される基材面はなるべく平坦なほうが望ましいので、柱状体19aのごとく、各色パターン間上方に柱状体を設けることが不都合な場合には、柱状体19bの如く色パターン上方に複数の柱状体を設けることがよい。
尚、上述する光学部材10では、基材2上にBM15及び透明着色領域13を設け、次いで位相差層4を形成する態様を示したが、本発明の光学部材の層構成はこれに限定されるものではなく、少なくとも基板上に直接または間接に位相差層を含む上記位相差制御機能層が形成され、且つ該位相差制御機能層表面に柱状体が形成されていればよい。したがって本発明の光学部材は、透明基板上に直接、位相差制御機能層が形成されていてもよいし、あるいは透明基板上にBMまたは少なくとも1色の透明着色領域のいずれかが形成され、その上面に位相差層が形成されていてもよい。また位相差層は、一層だけ構成されるもののみならず、2層以上から構成されていてもよい。
図3は、本発明の液晶セルの一実施態様として、本発明の光学部材10を表示側基板とし、これと対向する対向電極基板41と組み合わせて構成される液晶セル40を説明するための分解斜視説明図である。本発明の光学部材10の柱状体19側と、対向電極基板41とを対向させ、柱状体19の上底と対向電極基板41とが当接する状態で組み合わせ、光学部材10と対向電極基板41との間において柱状体19により確保されるスペースである駆動用液晶層42に、駆動用液晶材料43を封入して形成される。液晶セル40は、柱状体19の存在により、表示側基板である光学部材10と対向電極基板41とが所定の距離(厚さ)のセルギャップで維持される。
図3に示す光学部材10は、位相差層4上に同一形状の柱状体19cと柱状体19dとが形成されていること以外は、図1に示す光学部材10と同様に形成することができる。柱状体19c及び柱状体19dは、位相差層4を平面視上観察した場合に、BM15をパターニングすることにより形成される開口部と重複する位置(即ち画素予定領域)に沿って一本ずつ整列して形成される。かかる整列状体を説明するために、図3では、便宜的に、駆動用液晶層42上にBM15の輪郭線である仮想線44を破線で示し、仮想線44で示された開口部20’に沿って、柱状体19c及び柱状体19dが一本ずつ整列して設けられた状態で図示するものである。
対向電極基板41は、ガラス基板上に画素ごとに形成される電極(本発明及び本明細書においては「画素電極」ともいう)を有し、且つ、対向電極基板41と光学部材10とが対向した場合に、光学部材10における複数の開口部20と、対向電極基板41における複数の画素電極基板とが、対面する位置に設けられる。
尚、液晶セル40は、駆動用液晶材料43を所望の方向に配向させるために従来公知の手法を任意に採用し、採用された手法に適した電極の構成を適宜設けることができる。例えば、広視野角を実現させるために近年採用されている所謂IPS(In−Plane Switching)手法を採用する場合には、対向電極基板41におけるガラス基板上に櫛歯状の共通電極と櫛歯状の画素電極を互いの櫛が交互に隣り合うように横並びに配列させ、この2種類の電極間で横方向の電界をかけることによりこれら電極間に位置する駆動用液晶材料を平面視上横回転させて駆動させることができる。かかる手法の場合には、上記2種類の電極を1組として1つの画素を構成する。
またMVA(Multi−Domain VerticalAligned)手法を採用する場合には、光学部材10において例えば位相差層4上に透明導電膜を設けるとともに、対向電極基板41におけるガラス基板上に画素電極を設け、且つ光学部材10及び対向電極基板41の駆動用液晶層に面する面に垂直配向膜を形成し、駆動用液晶材料43を略垂直方向に配向させ電圧印加時において駆動用液晶材料43が横に寝るように駆動させることもできる。
尚、MVA手法等を採用する場合に、駆動用液晶材料43の垂直配向を促すために光学部材10及び対向電極基板41の駆動用液晶層42に面する面に垂直配向膜とともに突起物を設ける場合があるが、かかる突起物は、設置される基板側から対向する基板側まで到達するほどの高さを有するものではなく、本発明の柱状体19とは有意に区別される。
本発明の液晶セル40における2枚の基板の外側にさらに直線偏光板などを適宜配して液晶表示装置を形成することができる。
以下に、本発明の光学部材10についてさらに詳細に説明する。
(基材について)
基材2は、光透過性を有する基板形成材からなり、一つの基板形成材により単層で構成されても、複数種類の基板形成材にて多層に構成されてもよい。基材2には、部分的に遮光領域等が設けられてもよい。基材2の光線透過率は、適宜選定可能である。
基板形成材は、光学的に等方性を有するように構成されていることが好ましい。基板形成材としては、ガラス基板などのガラス材の他、種々の材質からなる板状体を適宜選択できる。特に位相差制御部材を液晶ディスプレイ用に用いる場合には、基板形成材は無アルカリガラスであることが好ましい。基材2は用途に応じて、例えば5μm〜3mm程度のものが使用される。
(位相差層について)
位相差層4は、配向状態を保持したまま固定化された液晶材料からなるもので、ディスプレイに透過される光の位相差を制御するための層であり、かかる制御は、位相差層4を構成する架橋性液晶分子を所望の方向に配向させて重合させ、該配向した状態で固定させることにより実現される。
上記位相差層4を構成する架橋性液晶分子の配向方向を所望の方向に設計して形成することのできる位相差層の種類としては、架橋性液晶分子を垂直配向(ホメオトロピック配向)させて固定化することにより、液晶分子の光軸が位相差層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートが挙げられる。また別の態様では、位相差層4は、架橋性液晶分子の光軸が位相差層と並行するとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を位相差層の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートであってもよい。またさらには、架橋性液晶分子の光軸を位相差層と並行として、法線方向に螺旋構造をとったコレステリック配向とすることにより、位相差層全体として常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を位相差層の法線方向とした、いわゆる負のCプレートであってもよい。さらには、負の複屈折異方性を有するディスコティック液晶を、その光軸を位相差層の面内方向に有する、負のAプレートとすることも可能である。またさらに位相差層4は、該層に対して斜めであったり、その角度が層に垂直な方向で変化しているハイブリッド配向プレートであってもよい。
尚、図3における位相差層4は、架橋性液晶分子が垂直配向した状態で固定化されてなるCプレートを採用した態様について図示したものである。
位相差層4は、上述する正のCプレート、負のCプレート、正のAプレート、ハイブリッド配向プレートのいずれか一つのプレートからなる層であってもよいが、これらを組み合わせて積層してなる層であってもよい。例えば、基材2の上面に、正のAプレート、正のCプレートを順に積層して位相差層4を構成してもよい。あるいは、基材2の上面に、まず正のAプレートを形成し、次いで後述する透明着色領域と遮光領域とからなる着色層を形成し、さらに該着色層の上面に正のCプレートを形成してもよい。
位相差層4として正のCプレートを形成する場合には、該組成物を公知の垂直配向膜で挟み込んで組成物中の架橋性液晶分子を垂直配向させることにより形成することができる。また架橋性液晶分子の垂直配向状態をより安定、確実なものにするため、上記垂直配向膜と組み合わせて、あるいは単独で、液晶組成物に更に垂直配向助剤が配合されていてもよい。
上記垂直配向助剤は、架橋性液晶分子をホメオトロピック配向させる場合に、架橋性液晶分子の配向状態をより安定、確実なものにする効果を奏するものである。上記垂直配向助剤としては、垂直に整列したアルキル鎖またはフルオロカーボン鎖を有する表面カップリング剤、例えばレシチンまたは第四級アンモニウム界面活性剤、例えばHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、DMOAP(N,N−ジメチル−N−オクタデシル−3−アミノプロピルトリメトキシシリルクロリド)またはN−パーフルオロオクチルスルホニル−3−アミノプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、シランポリマー、長鎖アルキルアルコールなどを具体的に挙げることができる。
また位相差層4として正のAプレートを形成する場合、ラビング処理などを施した水平配向膜による配向規制力を架橋性液晶分子に負荷し、さらに空気界面に対する架橋性液晶分子の表面自由エネルギーを抑制するためのレベリング剤を位相差層用液晶組成物に添加することで該分子を水平配向させることができる。
また位相差層4として負のCプレートを形成する場合には、該液晶組成物に含有される架橋性液晶分子にカイラル剤を添加してカイラルネマチック液晶とし、コレステリック規則性を発現させた位相差層を意味する。具体的には、上記正のAプレートと同様に架橋性液晶分子を水平配向させた上に、公知のカイラル剤を添加するとよい。尚、本発明で用いるカイラル剤は、特に架橋性を有することを必須とするものではなく、架橋性液晶分子の液晶性を損なうことなく、所望の螺旋ピッチを誘起できるものであれば特に限定はされない。
得られる位相差層の熱安定性等を考慮すると、位相差層用液晶組成物に含まれる架橋性液晶分子と重合し、架橋性液晶分子にコレステリック規則性を付与した状態を固定化することが可能な架橋性能を有するカイラル剤を用いることが好ましい。そのようなカイラル剤としては、特に、その分子構造の両末端に架橋性官能基が存在するものが、位相差層の耐熱性を向上させる上でより好ましい。
具体的な重合性カイラル剤としては、分子内に光学活性な部位を有する低分子量化合物で、分子量1500以下の化合物であることが好ましく、また本明細書で例示する架橋性液晶分子と溶液状態或いは溶融状態で相溶性を有し、かつ架橋性ネマチック液晶の分子の液晶性を損なうことなく螺旋ピッチを誘起できるものが好ましい。
位相差層4を形成するためには、まず、基板上に架橋性液晶分子の含有する液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を形成させる。上記液晶組成物の塗布には、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法といった各種印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、ダイコート法、コンマコート法、インクジェット法、スピンコート法、スリットコート法などの方法といった塗工方法やこれらを組合せた方法を適宜用いることができる。
次いで、減圧乾燥して溶剤成分を除去し、上記液晶塗布膜に含有される架橋性液晶分子を所望の方向に配向せしめた後、紫外線や電子線などを照射し、あるいは熱照射して上記所望の方向に配向している架橋性液晶分子を重合させて位相差層とすることができる。ただし、本発明における位相差層の形成方法はこれに限定されるものではなく、従来公知の方法であって、基板面に、架橋性液晶が所望の方向に配向した状態で重合させ固定させることが出来る方法であれば、いずれの方法を採用しても良い。
例えば、液晶塗布膜を正のCプレートとしての機能を有する位相差層4となす場合には、液晶塗布膜中の架橋性液晶分子をホメオトロピック配向させて架橋性液晶分子同士を重合させる。架橋性液晶分子にホメオトロピック配向を付与することは、赤外線で加熱する手段などを用いて液晶塗布膜を加熱して、その液晶塗布膜の温度を、その中に含まれる架橋性液晶が液晶相となる温度(液晶相温度)以上、架橋性液晶が等方相(液体相)となる温度未満にすることで実施できる。
また、液晶塗布膜中で配向を付与された架橋性液晶分子同士の重合(架橋重合)は、液晶組成物に含まれる光重合開始剤の感光波長の光を液晶塗布膜の表面に照射することで進行させることができる。このとき、液晶塗布膜に照射される光の波長は、液晶組成物の吸収波長に応じて適宜選択されるが、一般的には200〜500nm程度である。なお、液晶塗布膜に照射される光は、単色光に限らず、光重合開始剤の感光波長を含む一定の波長域を持った光であってもよい。尚、液晶塗布膜を位相差層4となすにあたり、液晶塗布膜に光を照射して架橋性液晶分子の架橋重合反応を進行させたうえ、さらに、オーブンなどを用いて液晶塗布膜の焼成が行われてもよい。このような焼成を行うことで、位相差層4に含まれる架橋性液晶分子の重合反応を促進させることができる。
このように、液晶塗布膜に含まれる架橋性液晶分子が重合されることによって、該架橋性液晶分子が所望の方向に配向した状態で固定された位相差層4が形成される。
(架橋性液晶分子について)
位相差層4を構成するための液晶材料として、正の複屈折異方性を有する液晶材料としては、棒状構造を有するネマチック液晶が、また、負の複屈折異方性を有する液晶材料としては、円盤状構造を有するディスコティック液晶を用いることができる。これらの液晶材料としては、液晶モノマー、液晶オリゴマー、もしくは液晶ポリマーがある。尚、本発明では、便宜的にこられの液晶材料を総称して液晶分子という場合がある。
上記液晶分子の配向状態を保持したまま硬化させることが可能である点で、紫外線や電子線等の電離放射線の照射により重合して硬化する、重合性の液晶分子、特に架橋性液晶モノマーであるものを用いることが好ましい。液晶分子の複屈折Δnと位相差層の厚みにより、リタデーション量および配向特性が決定されるため、Δnは0.03〜0.15程度であることが好ましい。
上記位相差層を形成する際に用いられる液晶組成物に含有される架橋性液晶モノマーとしては、例えば特表平10−508882号に開示されているようなものを、また、重合性カイラル剤として、例えば特開平7−258638号に開示されているようなものを使用することができる。より具体的な例として示す重合性のネマチック液晶分子としては、例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような架橋性液晶分子として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(I))、下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(II))もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物(化合物(III))のうちの1種の化合物或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
Figure 0005051352
Figure 0005051352
Figure 0005051352
Figure 0005051352
化1に示す一般式(1)において、RおよびR2は、それぞれに、水素またはメチル基を示すが、架橋性液晶分子が液晶相を示す温度の範囲をより広くするには少なくともR及びR2のどちらか一方が水素であることが好ましく、両方が水素であることがより好ましい。また一般式(1)におけるX及び化2に示す一般式(2)のYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環との間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb並びに、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物(I)またはd=e=0である一般式(2)の化合物(II)は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物(I)または(II)自体の結晶性が高い。また、aおよびb、あるいはdおよびeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物(I)または一般式(2)の化合物(II)は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物は、どちらについても液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなり、本発明の液晶組成物として用いるには好ましくない。
液晶組成物に配合される架橋性液晶分子として、上記した化1、化2、化3、化4では重合性を備える液晶(架橋性液晶)のモノマーを例示したが、架橋性液晶のオリゴマーや架橋性液晶のポリマー等を用いてもよく、これらについても、上記した化1、化2、化3、化4などのオリゴマーやポリマーなどといった公知なものを適宜選択して用いることができる。
(その他の添加剤)
上記のような位相差層を形成するための液晶組成物中には、シランカップリング剤を配合することができる。シランカップリング剤としては、主として、スルフィド基を含有するシランカップリング剤、メルカプト基を含有するシランカップリング剤、アミノ基を含有するシランカップリング剤又は(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤の1種又は2種以上を用いることができる。特に、親水性の官能基を有するものが好ましく、また、位相差層を形成するための液晶組成物を調製する上で、有機溶剤に可溶であることが好ましく、以降に挙げるようなものの中から1種もしくは2種以上用いることができ、その配合量としては、液晶の配向を阻害しない程度の量が好ましい。より具体的には、スルフィド基を含有するシランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤、メルカプト基を含有するシランカップリング剤のいずれか1種又は2種以上を併用する場合、液晶組成物中の配合量は、液晶組成物中に配合される液晶材料に対して0.001%〜8%程度、より好ましくは、0.03%〜4%程度である。一方、アミノ基を含有するシランカップリング剤の液晶組成物中の配合量は、液晶組成物中に配合させる液晶材料に対して、0.001%〜10%程度、より好ましくは0.01%〜5%程度である。尚、上述において%で表されるシランカップリング剤の液晶組成物中における添加量は、いずれも同液晶組成物中に配合される液晶分子量に対する質量基準である。以下、%で示す値について質量基準と断る場合には、上述と同様の意味である。
また、上記液晶組成物中には、液晶の配向を損なわない範囲で光重合開始剤を配合することが好ましく、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生するラジカル重合開始剤が好ましい。光重合開始剤の配合量としては、0.01%〜15%程度(質量基準)であり、より好ましくは、0.5%〜10%(質量基準)程度である。
上記光重合開始剤の具体例としては、ベンジル(ビベンゾイルともいう)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。
(柱状体について)
次に、上記位相差層4上に形成される柱状体19について説明する。本発明における柱状体19は、図1に示す光学部材10を一方の基板とし、他方、対向電極基板と組んで位相差制御機能を有する液晶セルを形成する際に、対向する基板間に所定の距離、即ちセルギャップを確保し、且つ維持するための部材である。そして対向する基板間において柱状体19によって確保されたスペースに駆動用液晶材料を充填することにより駆動用液晶層を形成し、もって液晶セルを構成することができる。
上記柱状体の構成成分は、一般的には、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化性材料を用いることができ、特に感光性樹脂組成物の硬化性材料を用いることができる。他の種々の素材を用いることを除外するものではないが、好ましい硬度を示す柱状体を容易に形成することができるという点、及び柱状体の形成時における形成対象にかかる熱が比較的少なくて済む点からは、上記硬化性材料を用いることが好ましい。上記感光性樹脂組成物としては、アクリレート系、メタクリエート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系などの反応性ビニル基を有する感光性樹脂を用いることができ、特にアクリレート系の感光性樹脂が好適に用いられる。
柱状体19の形成方法としては、フォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、転写法などの公知の種々の方法を用いることができる。例えば上記フォトリソグラフィー法では、上述する電離放射線硬化性の樹脂などの使用可能な柱状体構成成分を、必要に応じ、溶剤、希釈剤、もしくはモノマー等、さらには、適宜な添加剤と共に混合して、柱状体形成用の塗料組成物もしくはインキ組成物を調製して用い、位相差層4上に略一様に塗布し、乾燥させた後、所定のパターン露光を行い、その後に現像することによって、所望の形状の柱状体を形成することができる。例えば、先に公開されている特開2005−3750に開示される方法にならって柱状体19を形成することができる。またスクリーン印刷法は、インキ組成物を用い、柱状体の形成が予定される位置に重ね刷りすることによって柱状体を形成することができる。さらにまた転写法は、印刷ロール上に柱状体19を構成する樹脂を用いて該柱状体19のパターンを形成し、該印刷ロールを位相差層4上で回転させて該位相差層4上に柱状体19のパターンを転写することにより実施することができる。例えば、転写方法として従来公知の方法としては、特開2006−178427が挙げられる。
尚、上述のとおり形成される柱状体19は、基板間の所定の間隔(即ち、セルギャップ)の維持を実現するという目的から、ある程度の硬度が要求される。したがって、上述する柱状体の構成成分のうち、特に所望の硬度を示すものを選択することが望ましく、より具体的には該構成成分の硬度は鉛筆硬度で2H〜5H程度であることが望ましい。
本明細書において記載される鉛筆硬度は、JISK5600−5−4の試験方法に準拠し、以下に述べる条件にて調製されたサンプルを用いて、塗膜表面に傷が目視で確認できるか否かを指標にして測定することができる。
上記鉛筆硬度の測定試験に供されるサンプルは、まず、上記構成成分を適当な溶剤に懸濁させ溶液を調製した後、ガラス基板上に該溶液を塗布して塗膜を形成し、塗膜面に18kWの超高圧水銀ランプを用いて紫外線を10秒間照射して上記構成成分を硬化させた後、200℃で30分間焼成して完全に硬化反応を終了させることによって調製される。尚、ガラス基板上に塗布する上記溶液の量は、上記焼成後の膜厚が2.0μmになるよう調整する。
ここで、位相差層を構成するために用いられる架橋性液晶分子を含有する液晶組成物の鉛筆硬度についても、上述の方法により同様に測定することができる。該液晶組成物は、それに含有される架橋性液晶分子の性質により上記試験により測定される硬度が6B〜B程度であることが一般的である。したがって、セルギャップを維持するために十分な硬さで形成される柱状体に対し、位相差層はそれより有意に柔らかく形成されることが一般的である。この結果、位相差層上に十分に硬い柱状体を形成した光学部材を一方の基板とし、対向する基板と組み合わせて形成されたセルにおいて外部から圧力がかかった際に、従来の柱状体と位相差層とにおいては、硬い柱状体がより柔らかい位相差層にのめりこんでしまい、局部的にセルギャップが変化してしまう問題が発生していたのである。
これに対し本発明は、位相差層上であって有効表示領域内に設けられる柱状体の下底面の面積の合計を、該有効表示領域の面積に対して0.3%以上、好ましくは、0.35%以上とすることで、位相差層表面に対する柱状体の下底面の面積占有率を十分大きく確保することができる。かかる態様によれば、本発明の位相差制御機能を有する光学部材を一方の基板とし、他の基板と貼り合わせて形成された液晶セルにおいて、該液晶セルの厚み方向にユーザーが使用のために外部圧力をかけた際にも、柱状体の下底面と位相差層表面間に伝達される荷重を良好に分散させることができる。これにより、上記外部圧力がかけられた際にも、柱状体19が位相差層4にのめりこむことを十分に防止することができるのである。
但し、柱の底面積の合計を大きくしすぎることにより発生する以下の問題に留意する必要がある場合がある。
即ち、円柱状などの高さ方向の断面積が略等しい柱状体19における下底面積の合計の増加は、柱状体19の体積の合計を増加させる結果につながるため、柱状体19で確保される駆動用液晶材料充填スペースに該材料を外部から注入することによって充填させる方法では、該駆動用液晶材料の注入時の物理的障害となり、該駆動用液晶材料の注入時間を増加させ生産効率を低下させる虞がある。従って、かかる問題を勘案すると、柱状体19の下底面積の合計は位相差層表面の面積に対し7%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、4%以下とすることがさらに好ましい。柱状体19の下底面積の合計を上記好ましい範囲内とすることによって、液晶セルの厚み方向の剛性を十分強くするとともに、柱状体19が生産効率を低下させるほどに駆動用液晶材料の注入時の物理的障害となる虞を排除することができる。
柱状体19の下底面積の合計は、上述するフォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、転写法などの種々の柱状体形成方法における設計により適宜調整して形成された各柱状体の該設計上の底面積の総和を求めることにより得ることがきる。
また本発明の光学部材の如く位相差層上に既に柱状体の形成された光学部材、あるいは光学部材を用いてセル組みされた液晶セル内における柱状体の下底部分の面積の総和は、通常の光学顕微鏡を用いて該柱状体を観察し求めることが可能である。またさらに詳細に測定をする場合には、レーザーによる干渉効果を利用した高さ測定装置や、電子顕微鏡を用いることができる。
本発明における柱状体の高さ(即ち、光学部材の厚み方向における柱状体の寸法)は、一般的には0.5μm〜10μm程度であることが好ましい。ただし、本発明における柱状体は、上述するとおり、対向する基板間の距離を意味するセルギャップの大きさを所定の距離に確保する趣旨で設けられるものであるため、柱状体の高さは所望される基板間の距離などを勘案して適宜決定することができる。
本発明における柱状体の形状としては、例えば図1及び図2に示す位相差層4上に形成された略四角柱形状の柱状体19bのように、高さ方向の断面を略均一な形状に形成することができる。断面が略均一な形状としては、例えば円柱形形状などの他の断面形状を有するものであってもよい。また柱状体の別な例としては、同様に図1及び図2に示される柱状体19aのように、下底面の面積よりも上底面の面積が小さいテーパー状に形成してもよい。特に柱状体19aの如く、テーパー状に形成された柱状体では、以下の点から有利な効果を発揮する。
即ち、本発明の如く位相差層上に柱状体の形成された光学部材を一方の基板として用い、他方の基板と対向せしめて液晶セルを組み合わせる場合には、両基板の組み合わせ工程において、両基板が向かい合う方向に一定の圧力がかけられて2つの基板が貼り合わされる。このとき、たとえば柱状体の高さに製造上の若干の誤差などがあったとしても、柱状体の上底面と対向基板とが接触し、該柱状体が若干潰れることによって基板の貼り合わせ工程上のマージンが確保され、良好且つ均一に対向する基板が組み合わされることが好ましい。したがって、この観点からは、柱状体の上底面の面積は適度に小さいほうが望ましく、例えば上底面の面積に合わせて細く設計された円柱状の柱状体を形成し、外圧によりこの細く形成された柱状体が若干潰れることによって上記マージンを適度に得られるようにすることが好ましい。
ところが本発明において、下底面から上底面にかけて断面積が略一定の形状の柱状体を採用する場合であって、該下底面の面積の総和を増大させるために各柱状体の下底面積を拡大させると、これと同時に上底面の面積をも拡大せしめることになり、その結果、柱状体の剛性が高まり、上記マージンが得られ難くなる場合がある。
上記観点からは、下底面の面積が大きく設けられた態様の本発明における柱状体を、高さ方向の上部を細状に形成するテーパー状に形成し、該上部を他の部分より剛性の小さい緩衝領域として形成することによって、上記2枚の基板の貼り合わせ工程時におけるマージンを得られやすくすることが可能である。上記所望のマージン量wは以下の式(1)により算出され、その量は光学部材の各構成層や構成部材、あるいは貼り合わせ工程時における圧力等により変化し得るが、一般的にはwを5〜9.5%程度獲得可能に設計されることが望ましく、6.5%〜9%程度のマージンが得られ得るよう設計されていることがより望ましい。
(数1) w=(d1−d2)/h×100 (1)
d1:光学部材の全厚み(即ち、基板の貼り合わせ工程前の基板底面から柱状体の上底面までの距離)。
d2:貼り合わせ工程後の位相差層制御上光学部材の全厚み(即ち、基板の貼り合わせ工程後の基板底面から柱状体の上底面までの距離)。
h:貼り合わせ工程前の光学部材の凹凸差(即ち位相差層上面から柱状体の上底面までの距離)。
上述する細状の緩衝領域を設けた本発明における柱状体であれば、2枚の基板の貼り合わせ工程時には上記緩衝領域が押し潰されることによって貼り合わせのマージンwが良好に確保される。即ち、上述する2つの基板を貼り合せる際に両基板間にかけられる圧力は、これにより形成される液晶セルを使用した液晶パネルが外部から受けると想定される圧力や試験圧力等に比較して十分に小さいことが一般的である。したがって、上記貼り合わせ時において柱状体が望ましく変形する量(即ち上述するw)は極僅かである。しかしながら、この極僅かな柱状体の変形量を得ることによって、基板の貼り合わせ工程時におけるセルギャップムラの解消が図られるのである。このセルギャップムラの解消効果を十分に享受するためには、位相差層上に形成する柱状体を全てテーパー形状にすることがより有効である。
その上、貼り合わせ工程後は、上記緩衝領域が既に押し潰されていることから、さらなる圧力に対する緩衝効果が殆ど発揮されないため、液晶セルの形成後において該液晶セルの厚み方向から外部圧力がかかった場合であってもセルギャップを略均一に維持することができるという本発明の第一の効果も十分に享受することができるのである。
本発明における柱状体の形状を、柱状体19aのごとく位相差層と接する下底面が上底面より大きいテーパー形状に形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えばフォトリソグラフィーの手法を用いる場合、露光時にフォトマスクと、露光される基板の間隙(露光ギャップ)を調整することにより、そのテーパー量を調整することができる。すなわち、露光ギャップを広くとることにより、マスクの開口部からの露光光線の回折現象が大きくなり、テーパー部分が形成されやすくなる。
またさらに、柱状体をテーパー状に形成する本発明の態様によれば、駆動用液晶材料の配向を良好なものとすることができる。即ち、円柱あるいは四角柱などの断面の略均一な柱状体を採用する場合には、柱状体の下底面と接する位相差層面および柱状体の上底面と接する対向基板面と、該柱状体の側面とが略垂直な関係となる。ここで駆動用液晶材料は、向かい合う位相差層面の上面と基板面の上面に設けられる配向膜によって配向方向が規定されているところ、垂直に起立する柱状体の存在により位相差層面及び基板面に基づいて規定される配向が僅かに乱され、その結果、パネル化した後に、黒表示時において柱状体の側面近傍に光漏れが発生する場合がある。
特に、近年、BM15の線幅を細く作成する傾向にあることは上述のとおりであるが、一方、柱状体の断面積をなるべく大きくして柱状体の強度を増加させたいという要望があることから、そのBM15の細い線幅いっぱいに柱状体19を設ける場合がある。かかる場合においては、柱状体19の近傍に存在する駆動用液晶材料の配向の乱れが、BM15領域をこえて有効表示領域(即ち開口部20)に及んでしまい、その結果、液晶表示の表示ムラの原因となることがある。
これに対し、柱状体がテーパー状であれば、その側面は、向かい合う位相差層面及び基板面間においてなだらかに変化していくため、駆動用液晶材料の配向を乱す虞がないか、あるいはこの傾向を緩和することができるのである。
特に上記テーパー形状の柱状体としては、位相差層と接触する底面(即ち柱状体の下底面)から他方の底面(即ち柱状体の上底面)へ向けて測定した該柱状体の高さを100%としたときに、下底面から90%の高さで切断した上記柱状体の断面積が、上記下底面の面積の3%以上30%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることがより好ましい。上記好ましい範囲の断面積を有するテーパー状の柱状体であれば、柱状体によって規定されるセルギャップを外部圧力によっても良好に維持するとともに、上記セル組み工程の際のマージンをも良好に得ることができる。下底面から90%の高さで切断した上記柱状体の断面積が、上記下底面の面積の3%未満である場合には、柱状体の上部が細すぎてセル組みの際に柱状体の上底面の潰れる量が必要以上に大きくなり、駆動用液晶材料を注入するスペースにおいて所望の空間量を確保できない可能性がある。一方、上記数値範囲が、30%を超える場合には、柱状体の上底面の面積が大きくなりすぎ、セル組み工程の際に十分なマージンが確保できない虞がある。
尚、一般的に実施される基板の貼り合わせ工程において、テーパー状に形成された柱状体が主として潰れる領域は、緩衝領域として形成されたテーパーの上部部分(柱状体の90%高さ以上の部分)であり、該緩衝領域において潰れる量は、該柱状体の高さ寸法において約数%程度と極僅かである。従って、本発明において特定する柱状体の「90%高さ」は、セル組みの前後において比較すると、セル組み後の高さの方が数%程度低くはなるものの、その高さ変化における「90%高さ」の断面積変化は非常に小さい。したがって、本発明において特定する柱状体の90%高さにおける好ましい断面積の範囲は、上記貼り合わせ工程前後の柱状体のどちらにおいても、本発明が意図する好ましいテーパー形状である否かを特定するための指標として用いるに何等の問題もない。
(負荷・除荷試験について)
本発明において、セルギャップの局所的な変化は、以下に述べる負荷・除荷試験により評価することができる。
負荷・除荷試験は、先端面を平面状に形成された圧子を用いて、その圧子の先端面を柱状体の上底面に当接させるとともに、柱状体の上底面から下底面に向かう方向へ光学部材に対して3×10kgf/mの負荷をかける負荷過程と該負荷を取り除く除荷過程とを備えて、光学部材の厚みについて負荷過程前と除荷過程後の両者を特定する試験である。
負荷・除荷重試験を行うにあたり、まず、光学部材の試験片(例えば、寸法;縦10cm×横10cm、基板の厚み700μm、位相差層の厚み1.5μm、柱状体の設置数N個(Nは試験片に応じて適宜定まる正の有理数))を用いて、光学部材の全厚み(以下、単に「D1」ともいう。)を測定する(図1においてD1を示す)。このとき、光学部材の全厚みは、光学部材において基板に積層される層構造全体について積層方向の厚みであって柱状体の高さ(長さ)も含めた厚みを示す。その一方で、その試験片に形成された柱状体(N個)のなかから任意の柱状体(n個)を選択する。そして、選択された柱状体により光学部材表面に形成された凹凸について、負荷過程を実施される前の光学部材の凹凸差の値(以下、単に「H」ともいう。)を測定する(図1においてHを示す。)。この凹凸差の値は触針式膜厚計、光干渉膜厚計などを用いることで具体的に測定することができる。なお、光学部材の凹凸差の値(H)については、光学部材の全厚み(D1)より、柱状体以外の各層(位相差層など)の厚みを減じることによっても特定することが可能である。
次に、微少硬度試験装置(例えば、H.FISCHER社製、フィッシャースコープ H-100)を用い、その試験片に形成された柱状体(N個)の中から選択された柱状体(n個)の上底の先方より、材質がダイヤモンドであり、先端面が平面状で一辺100μmの正方形の形状をなしている圧子の先端面を柱状体の上底に当接させ、次のように圧子から試験片に対して柱状体の上底面から下底面に向かう方向に負荷をかける(負荷過程)。なお、上記圧子としては、ヴィッカース圧子を上記形状に加工されたものが採用される。
負荷過程では、試験片にかけられる負荷は、2mN/秒で最大負荷(Q(mJ))に達するまで増加される。この最大負荷Qは、試験片の面積100cmあたりに設けられた柱状体(N(個))に3×10kgf/mの負荷が均一にかけられたことを想定した場合に、圧子より負荷をかけられる柱状体の個数(n個)あたりにかけられる負荷の値(300×9.8/(N/n)×1000(mN))として試験片に応じて定められる。さらに、試験片に対してかけられる負荷が最大負荷に達すると、その状態が5秒間保持される。
その後、試験片にかけられる負荷を2mN/秒で逆に減少させていき、試験片にかかる負荷が取り除かれて(除荷されて)0mNとなるまで負荷の減少が行われる(除荷過程)。そして試験片にかかる負荷が0mNとなったところで、再び5秒間その状態を保持する。その後、試験片である光学部材の全厚み、即ち基板底面から柱状体上底面までの厚み(以下、単に「D2」ともいう。)を測定する。負荷・除荷試験により、柱状体自体が塑性変形する場合や柱状体の一部が位相差層内側に沈み込み位相差層が塑性変形する場合など光学部材が塑性変形する場合、光学部材の塑性変形が大きくなるほどD2は小さくなり、D1とD2との差値は大きくなる。
こうして、負荷・除荷試験が実施されることで、負荷過程を実施する前の光学部材の全厚み(D1)と除荷過程を実施した後の光学部材の全厚み(D2)とが定められ、これらの値の差値として、光学部材の全厚みの変化量(ΔH)が算出される。
そして、本発明でいう塑性変形率(W(%))は、負荷・除荷試験にて得られるH、ΔHを用いて式(2)にて定められる。
(数2) W=ΔH/H×100 ・・・(2)
上記塑性変形率(W)は、光学部材を液晶ディスプレイに組み込んだ場合に液晶表示画面の輝度ムラを観察者に認識させない程度にとどめる範囲の値であることが望ましく、具体的には15%以下であることが理想的である。すなわち上述するとおり、液晶ディスプレイにおいて、表示領域の一部分において局所的ではあるが15%を超えて変化(低下)すると、その部分における光の透過率が約4%を超えて変化(低下)する結果となり、これが輝度ムラとして観察者が認識できる程度の光の透過率の変化に達してしまうのである。すると、セルギャップの塑性変化の大きさが所望の厚みに設計されたセルギャップの値に対して15%を超える場合には、表示画像に生じた輝度ムラが観察者に一見して認識されてしまう状態が、一時的でなく継続的に生じる状態となってしまうのである。
尚、光学部材においては、位相差層と柱状体との硬さを比較すると、位相差層のほうが柱状体よりも圧倒的に軟質であるのが通常であるため、上記塑性変化量は主として柱状体が位相差層方向へ沈み込む量がその殆どを占めていると考えられ、柱状体自体の長さの変化量は殆どないものと思われる。また透明着色領域などの本発明を構成する他の構成層についても、位相差層と比較すると十分に硬度が大きいため、上記塑性変形試験においてかけられる負荷によって変形するのは、実質的に柱状体がのめりこむ位相差層部分だけであると理解することができる。
次に、本発明の光学部材をIPS方式の液晶ディスプレイの表示側基板として用いた液晶表示装置50について、図4を用いて説明する。
図4に示す本発明の光学部材10は、基材2上にBM15が所望のパターンで形成されており、BM15間に、赤の色パターン16(R)、緑の色パターン17(G)、青の色パターン18(B)を形成することにより透明着色領域13が形成されている。そして透明着色領域13上に位相差層4が形成され、次いで位相差層4上であって、BM15の上方にテーパー形状の柱状体19aが形成されてなる。尚、図4上では観察されないが、柱状体は、少なくとも任意に選択された画素において、一画素あたり2本以上形成される。また光学部材50の液晶層側表面には、該液晶層に充填される駆動用液晶材料の配向性を規定するための配向膜54が設けられている。
一方、対向電極基板51は、ガラス基材52の上面にインシジウムとスズとからなる透明電極材料をスパッタ法などにより塗膜してITO53が形成されてなる。対向電極基板51のITO53上面にも駆動用液晶材料に所望の配向性を付与するための配向膜54が形成されている。
次いで、表示基板である光学部材10と対向電極基板51とはそれぞれ位相差層4とITO53とを内側面にして対向させた状態で組み合わされ、一定の圧力により貼り合わされ、柱状体19aの上底面が対向電極基板51に当接することにより、駆動用液晶材料が注入されるスペースである液晶層が確保される。上記貼り合わせ工程の際には、上述したように、柱状体19aの上底面付近は、対向電極基板51と接触して若干潰れ、これにより液晶セルの組み合わせにおける良好なマージンが確保される。
そして、上記液晶層に駆動用液晶を注入するとともに、光学部材50と、対向電極基板51の外側面において偏光板55を貼り合わせて、液晶表示装置50が完成する。尚、上述では、二つの基板を貼り合わせた後に、液晶層に駆動用液晶材料を注入する方法で、駆動用液晶材料の充填工程について説明したが、駆動用液晶材料の充填方法はこれに限定されず、例えば、両基板を貼り合わせる前に、一方の基板面に、駆動用液晶材料を任意の間隔で滴下し、次いで両基板を向かい合わせて貼り合わせる際に、上記滴下した駆動用液晶材料を貼り合わせ圧力で平らに伸ばし、液晶セルが駆動用液晶材料で充填された状態にする方法でもよい。
尚、図4では、基材2上に、BM15及び各色パターン16(R)、17(G)、18(B)からなる透明着色領域13が形成され、次いで位相差層4が形成される態様について説明した。本発明の光学部材10における位相差層4は、基材上に直接形成してもよいし、あるいは基材に予め透明着色領域13などを形成し、これを基材面として、さらに位相差層4を形成することもできる。以下に、BM15及び各色パターン16(R)、17(G)、18(B)についてさらに詳しく説明する。
尚、図4では、BM15及び各色パターン16(R)、17(G)、18(B)からなる透明着色領域13を用いて説明したが、本発明において透明着色領域を形成する場合には、少なくとも2種以上の色パターンからなる透明着色領域を構成してもよく、またBMは適宜省略可能である。BMが省略された光学部材においては、柱状体は、非表示領域の任意の部分において、任意に選択された画素に関し一画素あたり2個以上、設けることができる。
BM15は、基材2などの適当な基材上面において、該BM15に次いでさらに設けられる透明着色領域13の各色パターンを一画素部として区分けするよう、予め定められた位置やパターンで設けることができる。また、基材上において光学部材の有効表示領域とその外側を区分けするために、額縁状の遮光領域をさらに該有効表示領域の周縁に設けることもできる(図示せず)。
BM15は、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性又は光吸収性を有する金属薄膜を所定形状に透明の基材2上に、矩形格子状、ストライプ状、または三角格子状などの所望の形状にパターニングすることにより形成することができる。また、転写方式等により、黒色樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することによりを形成することも可能である。
上記BM15に次いで形成される各色パターン16(R)、17(G)、18(B)は、赤色、緑色、青色各々について各色の波長帯の光を透過させる着色画素を所定のパターンに配置して形成される。着色画素を構成する赤(R)のサブ画素、緑(G)のサブ画素、青(B)の画素の配置形態としては、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型等種々な配置パターンを選択することができる。より具体的には、各色の着色画素毎に、着色材料を溶媒に分散させた着色材料分散液の塗膜を、例えばフォトリソグラフィー法で、所定形状にパターニングすることで形成することができる。また別の方法としては、各色の着色画素毎に、インクジェット方式等により、着色材料分散液を所定形状に塗布することによっても形成することができる。加えて、これら赤(R)のサブ画素、緑(G)のサブ画素、青(B)の画素に代えて、各色の補色の波長帯の光を透過させる着色画素を用いて透明着色領域を形成してもよく、用いられる色数も、単色、2色あるいは、4色以上であってよい。
本発明の光学部材50において、少なくとも2色以上の異なる色パターンが基材上に設けられることによって、本発明の光学部材50を各種ディスプレイのカラーフィルタとして好適に使用し、カラー表示可能な液晶表示装置を提供することができる。
実施例1
(透明着色領域の形成)
基材として無アルカリガラス(NA35:NHテクノグラス社製)を用い、一般的なフォトリソグラフィーの手法により、下記に示す着色レジストを用いて、まずBMを形成し、次いでBM間に、赤、青、緑色の各色パターンを形成して、厚み約2.0μmの透明着色領域を構成した。
(着色レジストの調整)
BM及び赤色(R)、緑色(G)、青色(B)3色の色パターンを形成するために着色材料として下記に示す顔料分散型フォトレジストを用いた。顔料分散型フォトレジストは、着色材料として顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤及び溶剤を含有する)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液とクリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤及び溶剤を含有する)とを混合したものである。その組成を下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。
(BM形成用フォトレジスト)
・黒顔料・・・・・14.0重量部
(大日精化工業(株)製TMブラック♯9550)
・分散剤・・・・・1.2重量部
(ビックケミー(株)製Disperbyk111)
・ポリマー・・・・・2.8重量部
(昭和高分子(株)製VR60)
・モノマー・・・・・3.5重量部
(サートマー(株)製SR399)
・添加剤・・・・・0.7重量部
(綜研化学(株)製L−20)
・開始剤・・・・・1.6重量部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・開始剤・・・・・0.3重量部
(4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン)
・開始剤・・・・・0.1重量部
(2,4−ジエチルチオキサントン)
・溶剤・・・・・75.8重量部
(エチレングリコールモノブチルエーテル)
(赤色パターン(R)用フォトレジスト)
・赤顔料・・・・・3.5重量部
(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製クロモフタールDPP Red BP))
・黄顔料・・・・・0.6重量部
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・81.9重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
(緑色パターン(G)用フォトレジスト)
・緑顔料・・・・・3.7重量部
(C.I.PG7(大日精化製セイカファストグリーン5316P))
・黄顔料・・・・・2.3重量部
(C.I.PY139(BASF社製パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・3.0重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
(青色パターン(B)用フォトレジスト)
・青顔料・・・・・4.6重量部
(C.I.PB15:6(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫顔料・・・・・1.4重量部
(C.I.PV23(クラリアント社製フォスタパームRL−NF))
・顔料誘導体・・・・・0.6重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・2.4重量部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部
(サートマー(株)製SR399)
・ポリマー1・・・・・5.0重量部
・開始剤・・・・・1.4重量部
(チバガイギー社製イルガキュア907)
・開始剤・・・・・0.6重量部
(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・80.0重量部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
尚、本明細書において記載のポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
(垂直配向膜の形成)
続いて、上記透明着色領域上に位相差層として所謂正のCプレートを形成するために、まず垂直配向膜を形成した。
具体的には、配向膜材料としてJALS2021(JSR(株)社製)を用い、上記のカラーフィルタ上にフレキソ印刷によりパターニングし、引き続き200℃で一時間焼成することにより厚さが700Åの垂直配向膜を設けた下地基板を得た。この場合、着色層と配向膜との間に、透明樹脂から成る保護層を設けても良い。カラーフィルタの段差を緩和し、より確実な液晶配向が可能なためである。
(液晶組成物の調製)
位相差制御機能層を構成する液晶性高分子含有の樹脂組成物を以下のとおり調製した。
Cプレート形成用感光性樹脂組成物
・架橋性液晶分子
「化4」で示す(a)〜(d)のネマチック液晶相を示す架橋性液晶分子4種を以下の組成比率で使用した。
化4(a)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8.3重量部
化4(b)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.7重量部
化4(c)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.4重量部
化4(d)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.4重量部
・光重合開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.3重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)
溶剤(クロロベンゼン)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74.9重量部
(位相差層の製膜)
上記調整した液晶組成物を、スピンコーティング法を用いて配向膜を形成した基材上に塗布して液晶塗布膜を製膜した。なお本実施例ではスピンコーティング法を適用したが、基材上に均一に塗布が可能であればこれに限られる訳ではなく、ダイコーティング、スリットコーティング、およびこれらを組み合わせた手法であってもよく、特に限定されない。
続いて当該基材をホットプレート上で100℃、5分間加熱し、残存溶剤を除去し液晶構造を発現させた。続いて上記液晶塗布膜全面に対し超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「TOSCURE 751」)を用いて紫外線照射を行い(10mW /cm、365nm、60秒間)、架橋反応を誘起させて硬化させた。200℃のホットプレート上で15分間加熱、焼成して完全に硬化反応を終了させ、正のCプレートの位相差層を1.2μm厚で得た。
尚、上記液晶組成物の鉛筆硬度は、3Bであった。
(柱状体の構成)
まず、柱状体を構成する柱状体形成用樹脂組成物として紫外線硬化型透明ネガ型レジスト(JSR社製、NN700)を用い、この柱状体形成用樹脂組成物を位相差層上にスピンコーティング法により塗布、乾燥し、塗布膜を形成した。
次に、その塗布膜から離間距離100μmの位置にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより18.0kWの超高圧水銀ランプを用いて、位相差層表面上の塗布膜に向けて、予め定めておいた柱状体形成予定位置をなす部分に、紫外線を10秒間照射した。これにより、塗布膜は、その塗布膜のうち紫外線の照射された部分が硬化した状態となる。なお、柱状体形成予定位置は、塗布膜上の部分にあって、且つ、平面視上、上記遮光領域と重なり合う領域内に、予め選択されて定められた。また、柱状体形成予定位置として、ガラス基板の面積100cmあたりまず、80000箇所が選択された。さらに、80000箇所の各箇所について同様に、選択された箇所における中心部分を基準にして一方向に伸びるフォトレジストのパターンに対して水平な方向に50μm離間して平面視上画素の領域に重ならない位置に、更に1箇所が追加選択されることで、計160000箇所が選択された。
その後、塗布膜を0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、塗布膜の未硬化部分を除去した。さらに、未硬化部分の除去された塗布膜を形成した基材を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施し、塗布膜においてアルカリ現像で除去されずに残った部分を柱状体となした。このようにして位相差層と接触している端部にあたる柱状体の下底面が10μφで、高さが3.5μmの寸法の円柱形状の柱を得た。
以上より、位相差層上に100cmあたり160000個が配設され、位相差層表面面積に対する該柱状体の下底面積の占有面積率が0.50%となるよう位相差制御機能を有する光学部材を形成し、これを実施例1とした。尚、上記柱状体を構成する柱状体形成用樹脂組成物の鉛筆硬度は4Hであった。
比較例1
また柱状体の形状を下底面が10μφの円柱型とし、柱状体形成予定位置として位相差層上に100cmあたり80000箇所が選択されるに留めて、80000箇所の各箇所について1箇所の追加選択を行わずに、柱状体の配設数を80000個とし、位相差層の表面面積に対する該柱状体の下底面積の占有面積率0.25%としたほかは、実施例1と同様にして位相差制御機能を有する光学部材を構成し比較例1とした。
(評価1)
負荷・除荷試験
光学部材の塑性変形率(W%)は、光学部材を硬度計測器に設置し、ダイヤモンドからなり先端面を一辺100(μm)の正方形の平面形状に形成された圧子を用いた負荷・除荷試験後の光学部材の全厚み(D2)と、負荷・除荷試験前の光学部材の全厚み(D1)および凹凸差(H)を計測し、ΔH=(D1−D2)に基づき、(ΔH/H)×100にて示される数式にて算出される。尚、評価1の結果として以下に示される値は、上記試験を異なる10箇所で実施し、それらの結果から算出された平均値である。後述する評価2についても同様である。
そこで、まず負荷・除荷試験前の光学部材の全厚み(D1)を測定した。また、光学部材表面に形成された凹凸差の大きさ(H)を測定した。
次に、光学部材に設けられた柱状体の中から、上記圧子にて負荷をかける柱状体として隣設する柱状体2個を選んだ。次いで、その選択された2個の柱状体に対して柱状体の上底上方より圧子の先端面を当接させ、以下に述べるように光学部材に負荷を与えた(負荷過程)。かかる負荷過程では、圧子による光学部材の柱状体への負荷を2mN/秒で最大負荷になるまで増した。ここで最大負荷は、光学部材100cmあたり設けられた柱状体に対して3×10kgf/mの負荷が均一にかけられた場合を想定して、圧子により負荷を受ける柱状体の個数あたりの負荷として定められる。
本実施例1では、光学部材100cmあたり柱状体は160000個であることから、圧子によって負荷を受ける柱状体2個に対する最大負荷は36.8mN(柱状体1個では、18.4mN)となる。柱状体に対する負荷が最大負荷に達した時点から、最大負荷を柱状体にかけた状態を5秒間保持し、その後、柱状体に対する負荷を2mN/秒で0mNとなるまで逆に減少させた(除荷過程)。除荷過程の後、柱状体にかかる負荷が0mNの状態を再び5秒間保持した。
上記負荷・除荷試験の後、光学部材の全厚み(D2)を測定した。このようにして得られた、H、ΔH(ΔH=D1−D2)、に基づき、塑性変形率(W=(ΔH/H)×100)(%)を算出した。なお、光学部材に対する負荷の増加、保持、減少といった制御は、硬度計測機(H.FISCHER社製、フィッシャースコープ H-100)を用いて実施した。また、光学部材の全厚み(D1、D2)と、凹凸差の大きさ(H)は、電子顕微鏡(JCM−5700、JEOL社製)、および触針式膜厚計アルファステップ(テンコール社製)を用いて測定した。尚、上述のとおり、位相差層は、光学部材を構成する他の層に比べて著しく柔らかいため、本負荷・除荷試験において、塑性変形を示すのは、位相差層のみと理解される。
以上、実施例1の光学部材について、H、ΔHは、それぞれ3.5μm、0.25μmであり、塑性変形率Wは、7.1%であった。
同様に、比較例1の光学部材の塑性変形率についても評価した。具体的には、圧子にて負荷をかける柱状体として柱状体を1個選択し、その1個の柱状体に対して柱状体の上底上方より圧子の先端面を当接させて最大荷重36.8mNまで負荷をかける以外は実施例1と同様に負荷・除荷試験を行った。そして光学部材の全厚み(D1、D2)を測定し、また、実施例1と同様にして光学部材の凹凸差(H)を測定するとともに、それらの値に基づき塑性変形率(W)を算出した。なお、塑性変形率(W)を得る際に用いる圧子には実施例1と同様のものを用いた。
その結果、比較例1の光学部材は、Hが、3.5μm、ΔHが0.73μmであり、塑性変形率Wは、20.9%であった。尚、実施例1及び比較例1の評価1における結果を表1に示した。
上記試験前後の柱状体の塑性変形率Wは、実施例1及び比較例1を備える液晶ディスプレイにおいて外部から圧力がかかった際のセルギャップの変化率と同等に理解することができる。上述のとおり液晶ディスプレイの表示エリアの一部分においてセルギャップが15%程度変化(低下)すると、透過率は4%程度低下し、輝度ムラとして観察者が視認できるレベルとなる。したがって、上記評価1の結果は、実施例1の塑性変形率では、上記輝度ムラが視認されない程度のセルギャップの変化率である一方、比較例1では、視認可能な輝度ムラが発生するレベルでセルギャップが変化することが示された。
次に、光学部材を組み込んだ液晶ディスプレイを作製し、この液晶ディスプレイに押圧力を加えた際の液晶表示画面の表示状態を観察することで、輝度ムラを生じるか否かについての評価を行った。
(液晶ディスプレイの作成)
まず、液晶ディスプレイに封入される駆動液晶材料を水平に配向させる水平配向膜を構成する配向膜組成物としてAL1254(JSR(株)社製)を準備した。この配向膜組成物を、フレキソ印刷法を用いて実施例1の光学部材における位相差層と柱状体とを被覆するように塗布して塗布膜を得て、この塗布膜を焼成し、さらにその塗布膜の表面にレーヨン製ラビング布を用いてラビング処理を施して、その塗布膜を水平配向膜となした。
つぎに、表面上に画素電極(TFT)を形成されたガラス基板を用意し、さらにガラス基板のTFTの形成面上に水平配向膜を、光学部材と同様にして形成した。
水平配向膜を形成した光学部材と、水平配向膜やTFTを形成したガラス基板とを柱状体を介して対面させ、さらにエポキシ樹脂をシール材とし、そのシール材を用いて光学部材とこれに対向するガラス基板との隙間を、光学部材とこれに対向するガラス基板の周囲位置にてシールし、150℃で0.3kgf/cmの圧力をかけることで光学部材とこれに対向するガラス基板とを接合して、さらに、対面する光学部材とガラス基板との間に形成された空間部に、電場の変化に応じて配向を変化させる駆動用の液晶(ZLI4792,メルク社製)を封入して駆動液晶層を形成し、一体の構造体(液晶セル)を得た。そして、この液晶セルの厚さ方向外側位置に、2枚の偏光板を、液晶セルを挟みこむとともに透過軸を直交させて配置して貼り付け、液晶ディスプレイを作製し、実施例2とした。この液晶ディスプレイは、光学部材を組み込んだ基板と、TFTを配置した基板との間に駆動液晶層が形成された構造を備えており、光学部材を組み込んだ基板が表示側基板をなし、TFTを配置した基板が駆動液晶側基板をなしている。
また、比較例1の光学部材を用いた以外は実施例2と同様に、液晶ディスプレイを作成し、比較例2とした。
(評価2)
輝度ムラ評価
まず、得られた液晶ディスプレイの画素電極側の基板外側位置から光を照射するとともに、液晶表示画面を白表示させて液晶表示画面の状態を目視にて確認した。
つぎに、上記液晶ディスプレイを用い、口径2cmの円柱型で先端面が平面である圧子を利用して、その圧子の先端面を表示側基板表面に押し付け、表示側基板表面に負荷をかけた。表示側基板表面に対する負荷は、最大で3×10kgf/m応力となるまで徐々に増やされ、負荷が最大となるまで増やされた後、圧子による表示側基板表面に対する負荷が取り除かれた(除荷)。除荷の後更に5秒間室温で放置した後、液晶ディスプレイの駆動液晶層基板側の外側位置から光を照射するとともに、液晶表示画面を白表示させて液晶表示画面の状態を目視にて確認した。
表示側基板表面に圧子を押し付ける前後での液晶表示画面の状態を比較し、表示側基板表面に圧子を押し付ける前後で、液晶表示画面の圧子を押し付けた部分における輝度の変化が認識されるか否かを判定した。そして、観察者が輝度の変化を認識できないと判定した場合には、液晶ディスプレイは輝度ムラの継続的な発生を抑制され、良好なものであると評価し、一方、観察者が輝度の変化を認識できたと判定した場合には、輝度ムラの継続的な発生が十分に抑制されておらず、液晶ディスプレイは不良なものであると評価した。
実施例1の光学部材を用いた液晶ディスプレイである比較例2は、白表示時において、圧子との接触した部分に輝度の変化が認識されず、その液晶ディスプレイは良好なものであると評価された。一方、比較例1の光学部材を用いた液晶ディスプレイである比較例2は、圧力をかけた部分の透過率が低下し、当該部分の表示が暗くなり表示ムラが視認され、該液晶ディスプレイは不良であると評価された。尚、実施例2及び比較例2を用いた液晶ディスプレイの評価2における結果を表1に示した。
(表1)
Figure 0005051352
本発明の位相差制御機能を有する光学部材の一実施態様を示す部分上面図である。 図1で示す光学部材1のX−X部分断面図である。 本発明の液晶セルの一実施態様を示す分解斜視説明図である。 本発明の光学部材を用いた液晶表示装置の概略断面図である。
符号の説明
2 基材
4 位相差層
10 光学部材
13 透明着色領域
15 BM
16(R)、17(G)、18(B) 色パターン
19、19a、19b 柱状体
20 開口部
21 一絵素

Claims (12)

  1. 複数の画素部と、一画素部を区分けするよう設けられた遮光領域とがパターン形成された光透過性の基材と、
    前記基材表面に、架橋性液晶分子を含有する液晶組成物を直接または間接に塗布し、前記架橋性液晶分子を所望の方向に配向させた状態で固定化させてなる位相差層と、
    前記位相差層表面において形成される複数の柱状体と、
    を少なくとも有し、
    前記基材面には、前記複数の画素部により有効表示領域が構成されており、且つ、
    前記柱状体が、少なくとも前記有効表示領域内における任意に選択された画素部に隣り合う上記遮光領域の平面視上、該遮光領域内に一画素部あたり2個以上設けられていることを特徴とする位相差制御機能を有する光学部材。
  2. 前記複数の画素部が、基材表面において直接または間接に遮光領域を格子状にパターン形成することにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記複数の画素部が、前記基材表面に直接または間接に1色または2色以上の透明着色部を独立した島状に区画されるようパターニングされることによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学部材。
  4. 一画素部あたり2個以上の柱状体が設けられている前記画素部以外の画素部の少なくとも一部あるいは全部において、
    一画素部あたり1個の柱状体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の光学部材。
  5. 前記有効表示領域内において設けられる柱状体の総数が、前記画素数の総数を上回ることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の光学部材。
  6. 前記柱状体が、実質的に全ての画素部に対し、一画素部あたり2個以上設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の光学部材。
  7. 前記画素部1つあたりに設けられた2個以上の柱状体の一部あるいは全てが、互いに異なる形状及び/または断面寸法によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光学部材。
  8. 前記有効表示領域の面積に対する、該有効表示領域において形成された柱状体の下底の面積の総和が、0.3%以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の光学部材。
  9. 前記柱状体がテーパー形状であり、且つ該テーパー形状である柱状体の上下底面のうち、面積の大きい面を位相差層と接触する下底面とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の光学部材。
  10. 前記テーパー形状の柱状体が前記位相差層と接触する面を該柱状体の下底面とし、下底面から上底面へ向けて測定した該柱状体の高さを100%としたときに、下底面から90%の高さで切断した該柱状体の断面積が、前記下底面の面積の3%以上30%以下であることを特徴とする請求項に記載の光学部材。
  11. 前記位相差層が鉛筆硬度6B以上B以下を示す液晶組成物により構成されており、一方、前記柱状体が鉛筆硬度3H以上5H以下を示す樹脂組成物により構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の光学部材。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の光学部材と、複数の画素電極がパターン形成されて構成される有効表示領域を有する対向電極基板とが、前記光学部材の表面に形成される柱状体の上面を、直接または間接に前記対向電極基板の当接面に当接されて組み合わされ、該光学部材と該対向電極基板との間に設けられたスペースに駆動用液晶が充填されてなる液晶表示用セル。
JP2007089788A 2007-03-29 2007-03-29 位相差制御機能を有する光学部材およびこれを備える液晶表示用セル Expired - Fee Related JP5051352B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007089788A JP5051352B2 (ja) 2007-03-29 2007-03-29 位相差制御機能を有する光学部材およびこれを備える液晶表示用セル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007089788A JP5051352B2 (ja) 2007-03-29 2007-03-29 位相差制御機能を有する光学部材およびこれを備える液晶表示用セル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008249904A JP2008249904A (ja) 2008-10-16
JP5051352B2 true JP5051352B2 (ja) 2012-10-17

Family

ID=39974934

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007089788A Expired - Fee Related JP5051352B2 (ja) 2007-03-29 2007-03-29 位相差制御機能を有する光学部材およびこれを備える液晶表示用セル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5051352B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008249904A (ja) 2008-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7961273B2 (en) Optical member with retardation control function and liquid crystal display
JP4548726B2 (ja) 液晶分子をホメオトロピック配向させた光学素子並びにこれを用いた液晶表示装置及び液晶表示装置
JP4548727B2 (ja) 液晶分子をホメオトロピック配向させた光学素子並びにこれを用いた液晶表示装置及び液晶表示装置
JP4911297B2 (ja) 光学素子および液晶表示装置、ならびに光学素子の製造方法
JP2006078647A (ja) 位相差層付カラーフィルタおよび液晶表示素子
JP5041203B2 (ja) カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ、およびこれを用いた液晶表示装置
US7764339B2 (en) Liquid crystal display device
JP2009086160A (ja) 位相差制御部材、および位相差制御部材を用いた液晶ディスプレイ、位相差制御部材を形成するための液晶材料組成物
JP6137639B2 (ja) 柱状体を有する位相差制御板
JP2006284968A (ja) 液晶分子をホメオトロピック配向させた光学素子およびこれを用いた液晶表示装置用基材ならびに液晶表示装置
JP4900585B2 (ja) 光学素子、光学素子の製造方法、および液晶表示装置
JP5046005B2 (ja) 液晶表示装置用素子の製造方法
JP5051352B2 (ja) 位相差制御機能を有する光学部材およびこれを備える液晶表示用セル
JP4627449B2 (ja) 垂直配向膜上に液晶分子をホメオトロピック配向させた光学素子およびこれを用いた液晶表示装置用基材ならびに液晶表示装置
JP5263472B2 (ja) 液晶表示装置
JP5120540B2 (ja) 光学素子、上記光学素子を用いた液晶表示装置用部材、上記液晶表示装置用部材を用いた液晶表示装置、上記光学素子の製造方法及び複屈折率機能層の評価方法
JP5343185B2 (ja) 液晶表示装置
JP5114942B2 (ja) 位相差制御部材、および位相差制御部材を用いた液晶ディスプレイ
JP5893237B2 (ja) 柱状体を有する位相差制御板
JP4760719B2 (ja) 位相差制御部材の製造方法
JP2009109686A (ja) 位相差制御部材、および位相差制御部材を用いた液晶ディスプレイ、位相差制御部材を形成するための液晶材料組成物
JP2009265448A (ja) カラーフィルタ及び、該カラーフィルタを備えた液晶表示装置
JP2009175499A (ja) カラーフィルタ、および半透過半反射型液晶表示装置
JP5733537B2 (ja) 液晶表示装置
JP2010032590A (ja) 光学素子の製造方法および光学素子、ならびに該光学素子を備える液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120627

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120710

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5051352

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150803

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees