JP5263472B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、透過する可視光を赤(R)・緑(G)・青(B)や、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)などに着色するカラーフィルタを用い、これを表示側基板として備える液晶表示装置に関する
現在、カラー表示が可能な液晶表示装置(カラー液晶表示装置)が広く利用されている。一般的なカラー液晶表示装置の観察者側には、画素(ドット)に対応する着色部が微細にパターニングされたカラーフィルタが表示側基板として設けられ、液晶駆動用電極を備える液晶駆動基板との間に駆動液晶分子を挟みこんで液晶セルを構成し、これを画素ごとにスイッチング駆動して明表示(白表示)と暗表示(黒表示)とを切り換えている。典型的なカラーフィルタにおいては、赤(R)・緑(G)・青(B)の光の三原色に対応する三色の着色部が、各画素幅でストライプ状に横並びに繰り返し配列されて光透過性の着色層が構成されている。R、G、Bの3つの画素(ドット)が1つの絵素(ピクセル)を構成し、その加色混法によって各絵素ではカラー表示を行うことが可能である。
また、RGBの加色混法のほか、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)の三色の着色部を配列することで、減色混法によるカラー表示が可能になる。
なお着色層は、上記のようにストライプ状の着色部を繰り返し横並びに配列するほか、縦横直交二方向のマトリクス状にパターニングしたり、斜交する二方向にパターニングしたりする場合もある。
さらに近年では、より複雑な色味を表現するために、赤・緑・青に加えてイエローやシアンなどの補色を加えた4色の着色部を備えるカラーフィルタも提案されている。
上記複数色の着色部は、光透過性の基材上に直接に、または遮光性のブラックマトリクスや他の下地層を介して間接に、フォトリソグラフィー法を用いて高い解像度にて各色の着色材料をストライプ状やマトリクス状などに並べて塗工形成することが一般的である。3色の着色部を繰り返し方向に分散して塗工形成する場合は、着色材料の色を換えつつ3回のフォトリソグラフィーを繰り返し、4色の着色部を並べ形成する場合は4回のフォトリソグラフィーを繰り返すこととなる。
また近年、液晶表示装置などに用いられるカラーフィルタとして、視野角度を拡大するために基板間に複屈折機能層を備えるものが開発されている(例えば下記特許文献1)。かかるカラーフィルタは、着色層の上に直接にまたは配向膜などの他層を介して間接に液晶性インキを塗布し、これに含まれる重合性液晶分子を所望の方向に配向させた状態で固定化してなる複屈折機能層(インセル位相差層)を備えるものである。例えば重合性液晶分子をカラーフィルタに対して垂直配向(ホメオトロピック配向)させたインセル位相差層は、バックライトを備える液晶表示装置にて透過表示を行う場合、液晶表示装置の最前面側と最背面側に配置された直線偏光板の視野角を補償する正のCプレートとして機能するとともに、着色層を物理的に保護する保護層の役割を兼ねることができる。インセル位相差層としてはこのほか、重合性液晶分子を水平配向状態で互いに固定化してなる正のAプレートや負のCプレート、ハイブリッド配向プレートなども提案されている。またインセル位相差層は、駆動液晶分子とともに表示側基板と液晶駆動基板との間(インセル側)に挟まれるため物理的に保護され、また吸湿変形を生じにくいという利点がある。
特開2004−240102号公報
ところが近年、液晶表示のさらなる高輝度高品質化が求められるようになり、フォトリソグラフィー法で着色部が高解像度に塗工形成されたインセル位相差型カラーフィルタにおいても、可視光を遮断すべき暗表示の際に透過光が僅かに生じて観察者に知得されてしまう光漏れの問題が、改善すべき課題として認識されるようになってきた。特に液晶表示装置の薄型化を実現するためにカラーフィルタと駆動液晶分子との間に従来一般的に設けられていた保護層を省略してインセル位相差層にてこれを兼用した場合には、上記光漏れの問題が顕著に発生していた。
そこで本発明者は、カラーフィルタの上記光漏れの原因を詳細に検討した。その結果、カラーフィルタの着色層を構成する複数色の着色部のうち、特定色のものについてのみ光漏れが生じる場合があることを見出した。この特定の着色部における光漏れが、カラーフィルタ全体にて発生すると従来考えられていた光漏れの原因となっていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち複数色の着色部が順番に繰り返し配列された着色層を備えるカラーフィルタにおいて、これを液晶表示装置に組み合わせて用いた際には、視野角拡大機能が得られるとともに、観察者に知得される光漏れを低減することのできるカラーフィルタを備える液晶表示装置を提供することを更なる目的とする。
本発明を為すにあたり、本発明者が上記課題の原因を鋭意検討した結果、三回のフォトリソグラフィー工程を繰り返して塗工形成される三色の着色層についていえば、二回目に塗工された着色部(第二色の着色部)において、さらに詳しくは第二色の着色部のうち一回目に塗工形成された着色部(第一色の着色部)に隣接する側において、液晶表示装置からの光漏れが生じることが判明した。また四回のフォトリソグラフィー工程を繰り返して製版された四色の着色層についていえば、二回目に塗工された着色部(第二色)と、三回目に塗工された着色部(第三色)において、それぞれ直前の工程にて隣接して塗工形成された着色部(それぞれ第一色または第二色の着色部)に隣接する側において光漏れが生じることが判明した。そこで各色の着色部をその繰り返し方向(以下、幅方向という場合がある。)に切った垂直断面の外郭形状を三次元測定器により精細に測定したところ、上記光漏れの生じる着色部については、これが一方方向に偏って傾斜した左右非対称形状となっていたことが見出された。
図7は、従来のカラーフィルタに形成された着色層11の垂直断面に関する模式図であり、三次元測定器による測定結果に対応している。なお同図は、現実の着色層に対して厚さ(図中縦)方向の寸法を拡大したものである。図の左右方向が着色部の繰り返し方向である。また同図には、着色層11の上に塗布された液晶分子50を垂直配向させた状態をあわせて図示している。第一色の着色部12(R)は赤色、第二色の着色部(G)は緑色、第三色の着色部12(B)は青色であって、これらはフォトリソグラフィー法によってR(赤)G(緑)B(青)の順に横並びに塗工形成されたものである。
すなわち従来のカラーフィルタにおいては、一回目のフォトリソグラフィー工程によって赤色の着色部12(R)が、二回目のフォトリソグラフィー工程によって赤色の隣に緑色の着色部12(G)が、そして三回目のフォトリソグラフィー工程によって緑色と赤色の間に青色の着色部12(B)が、それぞれ基材16上に二列おきに繰り返し塗工されてゆくことが一般的であった。
なお同図では、各着色部は紙面前後方向に伸びるストライプ状を為し、ブラックマトリクス(BM)14によって互いの境界が区画された状態を表している。隣り合うBM14の間に開口した光透過性領域の幅が液晶表示装置の画素幅に対応している。
かかる着色層11においては、その上面に直接に、または図示しない配向膜を介して間接に、重合性の液晶分子50が塗布されてインセル位相差層が固定形成される場合、第一色および第三色の着色部12(R),12(B)については、着色層界面側に存在する液晶分子50の配向は左右対称(Sy)となり、その上方に位置する液晶分子50も連続弾性体理論に基づき垂直に揃って配向する。
着色部12(R),12(B)の外郭は、BM14や隣り合う着色部への乗り上げによってその幅方向の両端に同等の高さの凸部22,23がいずれも形成され、中央が平坦な左右対称形状をなしている。このため、凸部22,23の近傍では液晶分子50の垂直配向が画素の内側に倒れるものの、画素単位で平均した場合には着色層界面側の液晶分子50の配向は左右にバランスするため、当該界面よりも上方の液晶分子50に配向不良は生じない。
これに対し第二色の着色部12(G)については幅方向両端の高さが相違し、第三色の着色部12(B)に隣接する側である図中右側においては液晶分子50の配向が左右にバランス(Sy)する領域もあるものの、第一色の着色部12(R)に隣接する図中左側においては液晶分子50が一方方向(同図の場合、右方)に倒れ、その上方に存在する液晶分子50もまた非対称(Asy)となって配向不良が生じてしまう。かかる配向不良は液晶分子50の塗布厚のうち、着色層界面側の一部厚さにわたって発生する。そしてかかる配向不良により、形成されたインセル位相差層にて透過光には所望の位相差が得られず、暗表示時には光漏れが生じることとなる。
本発明者はさらに検討を進め、かかる配向不良が三色カラーフィルタにおいては第二色の着色部にのみ、そして四色カラーフィルタにおいては第二色および第三色の着色部にのみ生じるメカニズムを突き止めた。従来の三色カラーフィルタの代表的な作製方法および上記メカニズムについて、図8各図の模式図を用いて説明する。
同図(a)は一回目のフォトリソグラフィー工程を示す模式図である。画素幅を隔てて任意でBM14がストライプ状またはマトリクス状などに形成された基材16(同図(b)以下ではその上面のみを図示)の全面に、または有効表示領域を覆うように、光硬化性の着色レジスト材料である第一色の着色材料18(R)が塗布されている。また同図に示すように第一色の着色部12(R)の予定形成位置に対応してマスク開口21が形成されたフォトマスク20を基材16に対向して設置し、フォトマスク20を介して紫外線などの活性放射線を着色材料18(R)に露光している。着色材料18(R)は、BM14に乗り上げた部分のみが膨出している。なお一般に着色部12はBM14よりも厚く形成される。なお、基材16の上面にBM14を形成しない場合は、当該膨出は発生しない。
同図(b)は、かかる露光後の着色材料18(R)にエッチング処理を施して未露光部を除去し、第一色の着色部12(R)を残存形成した状態を示している。着色部12(R)は、BM14に乗り上げた幅方向両端に凸部22が形成され、中央には平坦部24が形成されている。上記のようにBM14を設けないカラーフィルタの場合は、凸部22は生じず着色部12(R)はフラットに形成される。
同図(c)は、二回目のフォトリソグラフィー工程を示す模式図である。すなわち上記で得られた第一色の着色部12(R)を含む基材16を下地層として、着色レジスト材料である第二色の着色材料18(G)をその全面に塗布し、第二色の着色部12(G)の予定形成位置、すなわち第一色の着色部12(R)に隣接する位置に対向してマスク開口21が形成されたフォトマスク20を介して紫外線露光をおこなう状態を示している。着色材料18(G)は、BM14と着色部12(R)に乗り上げた部分で膨出している。
同図(d)は、着色材料18(G)をエッチング処理して第二色の着色部12(G)を残存形成した状態を示している。着色部12(G)は第一色の着色部12(R)に対していずれか一方側(同図では右方側)に隣接して形成され、着色部12(R)に隣接する側(図中左側)により高い凸部23が、反対側により低い凸部22が形成されている。また着色部12(G)の断面の外郭形状は、幅中央には図中左から右に下る傾斜部25が形成されている。これは、第二色の着色材料18(G)が塗布される下地層には、画素の幅方向のうち一方側(同図では左方側)にのみ着色部12(R)が既に厚肉に塗工形成され、他方側(同図では右方側)には薄肉のBM14が設けられるにとどまり、塗布された着色材料18(G)の乗り上げ高さが、着色部12(R)に隣接する方の側においてより高くなるためである。
同図(e)は、三回目のフォトリソグラフィー工程を示す模式図である。すなわち第一色および第二色の着色部12(R),12(G)を含む基材16の全面に、同様に着色レジスト材料である第三色の着色材料18(B)を塗布し、着色部12(R),12(G)の未形成領域にマスク開口21を対向させて紫外線露光をおこなう状態を示している。着色部12(B)の予定形成位置の左右に隣接して既に固定形成されている着色部12(G),12(R)の端部には、いずれもBM14に乗り上げたことに起因する凸部22が同等の高さに形成されている。
同図(f)は、着色材料18(B)をエッチング処理して第三色の着色部12(B)を残存形成した状態を示している。着色部12(B)の両端にはそれぞれ、隣接する着色部に乗り上げたことに起因する高い凸部23が、着色部12(G)の左側と同等の高さに形成される。以上により、第一から第三色の着色部12(R),12(G),12(B)からなる着色層11が形成される。
このように、第一色の着色部12(R)と第三色の着色部12(B)については、紫外線硬化される領域の下地層の状態が、当該画素の幅方向両側で同等の高さとなっているため、両端に凸部22,23が形成される場合であっても、外郭形状の高さは左右で等しくなり、幅中央には平坦部24が形成されて左右対称形状となる。これに対し第二色の着色部12(G)については、その予定形成領域の幅方向の一方側には既に着色部12(R)が硬化形成され、他方側にはこれが存在しないことから、外郭形状が当該一方から他方に向かって下り傾斜して左右非対称形状となるのである。
なお、四色の着色部を幅方向に順に隣接して並べた四色カラーフィルタにおいて第二色および第三色の着色部に光漏れが生じる原理も上記と同様である。すなわち第二色の着色材料が塗布される下地層には幅方向の一方側にのみ他の色の着色部(第一色)が予め形成され、また、第三色の着色材料が塗布される下地層にも幅方向の一方側にのみ他の色の着色部(第二色)が予め形成されているためにこれらの色の着色部は外郭形状が左右非対称となる。一方、第一色および第四色については、これらが塗布される下地層には他の色の着色部が予め一切形成されていない(第一色)か、または幅方向の両側に既に他の色の着色部が形成されている(第四色)ことから、外郭形状が左右対称となる。
このようにして、三色カラーフィルタにおける第二色、そして四色カラーフィルタにおける第二色および第三色の着色部においては、幅方向の一方側のみに予め形成されている他の着色部に隣接する側において、インセル位相差層を作製するために塗布された液晶分子50の配向不良が生じるのである。そして液晶分子50に配向不良が生じると透過光に位相差異常が発生し、暗表示時には直線偏光板にて本来遮光すべき光が透過して光漏れをもたらす要因となっていた。
上記メカニズムによって生じていた光漏れを低減する本発明は、複数色のうちいずれかの色の着色部が上記理由によってその外郭形状が左右非対称となった場合も、カラーフィルタおよび直線偏光板を通過する漏れ光の透過率がもっとも低減される色を選択して当該左右非対称の画素に充てるという技術思想に基づいてなされたものである。
複屈折機能層(インセル位相差層)を備える本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いる場合、入射する光源光(透過型液晶表示装置におけるバックライト光、反射型液晶表示装置における外光)を直線偏光に変える直線偏光板が光源側に設けられる。反射表示を行う場合は観察者側に一枚の直線偏光板が設けられ、透過表示を行う場合はカラーフィルタや液晶セルを一対の直線偏光板で挟み込む。一対の直線偏光板の吸光軸は互いに直交(クロスニコル)状態とする場合と、平行(パラレルニコル)状態とする場合とがある。例えば液晶表示装置が一般的なIPS駆動方式の透過表示装置の場合は、直線偏光板をクロスニコル状態とし、液晶セルで透過光に与えられる位相差をゼロとすることで、理想的には一方の直線偏光板を透過したバックライト光が他方の直線偏光板ですべて吸収されて暗表示(黒表示)となる。
ここで、上述のように直線偏光板の視野角を補償するために複屈折機能層を正のCプレートとした場合に想定される光漏れの最悪ケースは、液晶分子50が配向不良により、塗布厚内のすべての分子が、いずれの直線偏光板の吸光軸方向とも乖離した方向に完全に倒れた場合に生じる。すなわち理想的には垂直配向すべき液晶分子50が、例えばクロスニコル状態の直線偏光板の吸光軸に対して45度方向を方位角として倒れ込んだ場合、更には液晶分子50の分子軸が基材16に水平となるまで(液晶分子の傾斜角がゼロ度となるまで)完全に倒れた場合、複屈折機能層を通過する透過光には最大の位相差が与えられて最も強い光漏れが生じることとなる。
上記最悪ケースにおいてクロスニコル状態の直線偏光板を通過した漏れ光の透過率(T)を下式(1)に示す。式中、Δnは複屈折であり、常光屈折率noと異常光屈折率neとの差である。また、dは複屈折機能層の層厚、λは透過光の波長である。
Figure 0005263472
上式(1)において、右辺括弧内がπ/2に近づくと右辺全体は1/2に漸近する。これは、振動方向がランダムな光源光のうち一方の直線偏光板を通過した半分の光が、配向不良に起因する位相差を与えられたことによって、クロスニコル状態にある他方の直線偏光板を完全透過した状態を意味している。なお、液晶分子が理想的に垂直配向している場合は複屈折機能層を透過する光に位相差は与えられず、クロスニコル状態の直線偏光板によって光源光がすべて遮光されることとなるが、これは上式(1)でΔnがゼロである状態、すなわち透過率T=0の状態に相当する。
ここで、一般的な液晶分子を重合固定してなる複屈折機能層を可視光が透過する場合、Δn(=no−ne)は波長λが長くなるほど小さくなることが知られている。また上式(1)より波長λが長いほど右辺括弧内の分母は大きくなる。このため、例えば赤色(R)・緑色(G)・青色(B)の主波長を含む可視光についていえば、主波長の比較的短い青色や緑色に比べ、主波長の比較的長い赤色は、透過率Tが相乗的に小さくなる。
したがって本発明においては、上述のように三色カラーフィルタにおける第二色の着色部において液晶分子に配向不良が生じて光漏れが生じる場合でも、もっとも長い主波長の光を効率的に透過させる色(上記の場合、赤色)を第二色の着色部に充てることで漏れ光の強度を低減し、液晶表示装置のコントラスト比を高めることができるのである。
かかる傾向は、カラーフィルタがクロスニコル状態の直線偏光板に挟み込んで用いられるか、パラレルニコル状態の直線偏光板に挟み込んで用いられるか、または一枚の直線偏光板のみと組み合わされるかによって変わるものではない。直線偏光板自体による吸光率は透過光の波長の長短によって変動するものではないためである。
上記はクロスニコル状態の直線偏光板の吸光軸に対して塗布厚内のすべての液晶分子が45度方向に完全に倒れた最悪ケースを想定したものであるが、液晶分子の方位角や傾斜角が最悪ケースよりも緩やかである場合や、塗布厚内のうち着色層界面側の一部の厚さ内に存在する液晶分子についてのみ配向不良が生じた場合についても、主波長の比較的長い色を配向不良画素に対応させることで漏れ光の透過率が抑制されるという上記傾向は不変である。すなわち着色層上に塗布された液晶分子は空気界面側においてはいずれの着色部の上方においても均一に垂直配向し、非対称(Asy)領域の上方における着色層界面側の一部のみに配向不良が生じることが一般的である。したがってかかる配向不良によって透過光に与えられる位相差(=Δn・d)は一般にλ/2を超えることはなく、上式(1)の右辺括弧内は、透過する可視光の波長(λ)によらずπ/2を超えることはない。このため上述のように、主波長の比較的長い赤色ほど透過率Tが小さくなる。
また上記の傾向は、複屈折機能層が上記のように正のCプレートである場合に限られず、これを構成する液晶分子の配向方向が垂直配向であるか水平配向であるか、またはハイブリッド配向であるかによらず共通する。液晶分子の配向不良に起因して透過光に与えられる位相差異常は透過光の波長が長いほど小さくなり、かかる位相差異常によって暗表示時の光漏れが生じる点でいずれも共通するためである。
なお、四色カラーフィルタにおける第二色および第三色の着色部で生じる配向不良に起因する光漏れについても同様であり、より長い主波長の光を効率的に透過させる色を第二色や第三色に充てることで、直線偏光板を通過する漏れ光の強度を低減することができるのである。
即ち本発明にかかるカラーフィルタを備える液晶表示装置は、
(1)観察者側から順に、直線偏光板と、カラーフィルタと、駆動液晶分子を含む駆動液晶層と、液晶駆動用電極を備える液晶駆動基板と、を配置してなる液晶表示装置であって、
前記カラーフィルタが、光透過性の基材上に直接または間接に、赤色、青色、緑色、および黄色を含む複数色の着色部が少なくとも一の方向を繰り返し方向として順に配列された着色層と、重合性液晶分子が所望の方向に配向した状態で固定化されてなる複屈折機能層とをこの順に積層してなるカラーフィルタであり、
前記着色層が、前記繰り返し方向に切った垂直断面の外郭形状が実質的に左右対称である色の着色部と、前記外郭形状が実質的に左右非対称である色の着色部とからなるとともに、
前記カラーフィルタを透過する可視光が、最も主波長の長い色として赤色を含む白色光であり、
前記左右非対称の着色部の色が、前記複数色のうち、前記可視光に含まれる赤色光をもっとも効率的に透過させる赤色および黄色である、ことを特徴とする液晶表示装置
(2)前記重合性液晶分子がホメオトロピック配向している上記(1)に記載の液晶表示装置
を要旨とする。
また本発明において、着色部の幅方向断面の外郭形状が「実質的に左右対称」であるとは、具体的には着色部の上方に直接に、または配向膜などの他層を介して間接に重合性液晶分子を配置した際に、有効表示領域内でかつブラックマトリクスなどの遮光領域から露出した位置において上記液晶分子に配向不良を生じせしめる程度の一方方向に偏った傾斜を示していない状態を意味する。かかる状態の望ましい例としては、着色部の外郭形状の全体が平坦である場合のほか、外郭形状に凸部や傾斜を有する場合であっても、当該外郭の幅中央またはその近傍に平坦部が形成されている場合を含む。
具体的には上記外郭のうち幅中央から片側35%(両側70%)の範囲内を所定間隔ごとにサンプリングして得られる近似曲線の勾配に異符号が含まれ、かつ、(a)着色部の幅(画素幅)が150μm以下の場合は幅方向両端の高さの差が2500Å以下、(b)画素幅が150μm以上の場合は幅方向両端の高さの差が1700Å以下、である場合に、当該着色部の幅方向断面の外郭形状が「実質的に左右対称」であるという。
そして上記「実質的に左右対称」ではない場合、当該着色部の外郭形状が「実質的に左右非対称」であるという。
なおサンプリング間隔としては、上記両側70%の範囲内を幅方向に20乃至40等分程度とすることができる。
また上記「近似曲線の勾配に異符号が含まれる」とは、傾きゼロを除いて当該範囲内の勾配が正または負のみの場合を除外するものである。すなわち該勾配がゼロもしくは正のみの場合、またはゼロもしくは負のみの場合、ならびに、両端の高さの差が上記所定値以上である場合、当該着色部の外郭形状は「実質的に左右非対称」である。
着色部の外郭形状の測定には、例えば微細形状測定機ET4000L(小坂研究所社製)など、市販の三次元測定器を用いることができる。
なお、画素幅内における液晶分子の配向不良は画素幅が大きくなるほど顕著となることから、本発明においては上記(b)の場合における両端の高低差の許容値を、上記(a)の場合のそれよりも厳しいものとしている。
本発明に用いられるカラーフィルタ(以下、単に「本発明のカラーフィルタ」という場合がある)を構成する構成層において、「上」、「上方」、「上面」、あるいは「下」、「下方」、「下面」などの上下方向は、基材や着色層などカラーフィルタを構成する積層の相対的な位置関係を意味し、重力方向に対する上下を意味するものではない。
本発明において「有効表示領域」とは、透過光が出/入射して所定の表示や観測が行われる領域を意味し、例えば本発明が液晶表示装置に用いられる場合には、該装置における画像表示領域に相当する領域を意味する。
本発明のカラーフィルタは、これを構成する複数色の着色部のうち、外郭形状が実質的に左右非対称である色を、透過光に含まれるもっとも長い主波長の可視光をもっとも効率的に透過させる色と一致させることにより、複屈折機能層を構成する液晶分子が、その下地層である着色部の外郭形状が左右非対称であることに起因して配向不良を生じた場合にも、暗表示時に当該カラーフィルタを透過する漏れ光の強度を良好に抑えることができる。
このように、本発明のカラーフィルタはインセルタイプの複屈折機能層を備えることで視野角拡大機能が得られ、また、従来は着色層の上面を平坦化するために着色層と駆動液晶分子との間に塗工形成されていた保護層を複屈折機能層で置き換えて省略することができ、かつ上記のようにカラーフィルタを透過する漏れ光を低減して高品質の表示を提供することができる。
[第一実施形態]
図1は、上記本発明の第一実施形態にかかるカラーフィルタ10における基材16および着色層11を、着色部12の繰り返し方向に切った垂直断面模式図である。着色層11の上面には垂直配向した液晶分子50が塗布されている。
本実施形態の着色部12はR(赤)G(緑)B(青)の三色からなり、またフォトリソグラフィー法によって緑→赤→青の順に横並びに固定形成されていることを特徴とする。
具体的には、光透過性の基材16上に画素幅に対応するピッチでBM14がストライプ状または格子状などに配置され、隣接するBM14同士の間に、着色部12(G),12(R),12(B)が順に固定形成されて各色に色付けされている。そして隣接する三つの着色部12があわさって一つの絵素が構成される。カラーフィルタ10がカラー表示装置の一例である液晶テレビに用いられる場合、各絵素の幅は数十〜数百μmのオーダーとなる。またカラーフィルタ10が、より精細なカラー表示を要する携帯電話などの携帯機器画面に用いられる場合は、一般にこれよりも細幅の画素および絵素とする。
本実施形態のカラーフィルタ10は、一色目および三色目に塗工される着色材料として緑色および青色が選択され、二色目に塗工される着色材料として赤色が選択されている。なお一色目と三色目のうちいずれを緑色とするか、または青色とするかは任意である。
第一色目の着色部12(G)には幅方向の両端に比較的低い凸部22がそれぞれ等しく形成され、また第三色の着色部12(B)には幅方向の両端に比較的高い凸部23がそれぞれ等しく形成されて外郭形状が実質的に左右対称である。一方、第二色の着色部12(R)には幅方向の一端に凸部23が、他端に凸部22が形成されて外郭形状が実質的に左右非対称となっている。
第一乃至第三色を上記のように選択をすることにより、三回のフォトリソグラフィー法によって固定形成される着色層11において、一色目および三色目の着色部(着色部12(G),12(B))ではその上に塗布される液晶分子50の配向が画素内で幅方向に対称となるのに対し、二色目の着色部(着色部12(R))では液晶分子50の塗布厚のうち着色層界面側の一部に液晶分子50の配向不良が生じる虞があるものの、かかる配向不良に起因して暗表示時の光漏れが生じる画素が赤色に限定されることとなる。そして赤色はRGBのうち最も主波長の長い色であり、すなわち赤色の着色部12(R)は最も長い主波長の光(赤色光)をもっとも効率的に透過させることから、暗表示時にカラーフィルタ10を透過する漏れ光の強度は抑制され、カラーフィルタ10を用いたカラー表示装置にて高いコントラスト比が実現される。
本発明において、着色層11に入射する可視光が白色光以外の場合は、赤色以外の着色材料を二色目として選択してもよい。すなわち、例えばカラーフィルタ10が緑色、青色および紫色の三色の着色部を備え、光源として緑色・青色・紫色の混合光を用いる場合については、もっとも長い主波長である緑色の光をもっとも効率的に透過させる緑色を、二色目に塗布される着色材料として選択すればよい。
また本発明において、RGBの三色とは異なる色の着色部の場合についても、赤色以外の着色材料を二色目として選択することができる。すなわち、例えば青色(B)・黄色(Y)・赤色(R)の三色カラーフィルタを作製する場合であって、長波長の可視光(赤色光)に対する透過率が黄色の着色材料においてもっとも高い場合については、かかる黄色着色材料を二色目として選択するとよい。
またシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y:黄色)の三色カラーフィルタについて言えば、最も長い主波長の光をもっとも効率的に透過させるマゼンタ(M)またはイエロー(Y)を、二色目に塗布される着色材料として選択することにより、暗表示時の漏れ光の強度を効率的に抑制することができる。
すなわちカラーフィルタ10を通過する光源光(外光またはバックライト光)の主波長の長さに応じて、いずれの色の着色材料を二色目に塗布すべきかを選択すればよい。
図2(a)〜(f)は、本実施形態のカラーフィルタ10における着色層11の製版工程を説明する模式図である。同図は、従来の製版工程である図8(a)〜(f)と対応している。本実施形態のカラーフィルタ10では、外光またはバックライト光として白色光を用いることを想定し、第二色の着色材料としては白色光のうち最も主波長の長い赤色を効率的に透過させる赤色の着色材料が選択されている。また便宜上、本実施形態において基材16に塗布される着色材料の順番は、第一色目を緑色、第三色目を青色としている。
第一工程として、光透過性の基材16上に直接に、または他の光透過性の下地層を介して間接に、第一色の着色材料である緑色着色材料18(G)を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして(同図(a))、第一色の着色部12(G)を幅方向に分散して形成する(同図(b))。緑色着色材料18(G)は少なくとも有効表示領域を覆う領域に塗布され、着色部12(G)は2画素幅間隔で飛び飛びに形成される。
第二工程として、第二色の着色材料である赤色着色材料18(R)を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして(同図(c))、第一色の着色部12(G)に対し幅方向に隣接する位置に赤色の着色部12(R)を分散して形成している(同図(d))。
第三工程として、第三色の着色材料である青色着色材料18(B)を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして(同図(e))、幅方向の両側に既に形成された着色部12(R),12(G)に対してともに隣接する位置に青色の着色部12(B)を形成して、着色層11が製版される(同図(f))。
上記工程により製版された着色層11においては、第一色目の緑色着色部12(G)と第三色目の青色着色部12(B)については幅方向の中央に平坦部24が形成され、第二色目の赤色着色部12(R)については幅方向の中央に傾斜部25が形成されることとなる。
本発明における着色部は、本実施形態のように三色とするほか、四色または五色以上としてもよい。かかる場合、上記第一〜第三工程に加えて、第四色目や第五色目の着色部を形成する工程を行う。四色以上(N色)の着色部を備えるカラーフィルタの場合は、比較的短い主波長を効率的に透過させる色(すなわち比較的短い主波長の色)を一番目または最後の色に充て、第二乃至N−1色目の着色部に対しては、比較的長い主波長の色を充てるとよい。
なお、四色の着色部を備えるカラーフィルタ10については後記の第二実施形態にて説明する。
図3は、上記工程により製版された着色層11を含むカラーフィルタ10の積層構成を示す断面模式図である。着色層11の上面には、重合性液晶分子50が配向状態で互いに重合固定されてなる複屈折機能層30が形成されている。
したがって本実施形態のカラーフィルタ10を得るにあたっては、上記第一乃至第三工程に加え、さらに第四工程として、着色層11の上に直接または配向膜などの他層を介して間接に、重合性液晶分子50を含む液晶性インキを塗布し、重合性液晶分子50を所望の方向に配向させる。
そして第五工程として、配向した重合性液晶分子50を互いに重合させて複屈折機能層30となす。
以上の工程により、インセルタイプの複屈折機能層30を備える本実施形態のRGB三色カラーフィルタ10が得られる。
また本実施形態のカラーフィルタ10はこのほか複屈折機能層30の上面に、液晶セルを構成する駆動液晶分子を配向させるための水平配向膜34が積層されている。
以下、カラーフィルタ10を構成する各層につき、好ましい材料や製版工程などについてより具体的に説明する。
(基材について)
基材16は、光学的に等方性を有するように構成されていることが好ましく、ガラス基板、フィルム等光透過性を有するものを任意に用いることが可能である。特に本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いる場合には、基材は無アルカリガラスであることが好ましい。基材の厚みは用途に応じて、例えば5μm〜3mm程度のものが使用される。
(ブラックマトリクスについて)
本発明のカラーフィルタにおいて、BM14を形成する際には、例えば、金属クロム薄膜やタングステン薄膜等、遮光性または光吸収性を有する金属薄膜を、基板上に、所定形状の矩形格子状、ストライプ状、または三角格子状などにパターニングすることにより形成することができる。また、転写方式等により、黒色樹脂等の有機材料を所定形状に印刷することによりを形成することも可能である。
本発明においてBM14の形成は任意であるが、BM14が存在することにより、各着色部間の臨界領域において配向不良が生じたとしても、平面視上、配向不良の領域が上記BM領域以内であれば、配向不良領域を透過しようとする透過光が遮光されて光漏れが低減される点で好ましい。
より詳しくBM14の製造方法例について述べると、調製したブラックマトリックス材料を、定法にしたがって上記ガラス基板を洗浄した後、スピンコート法で3.0μmの厚さに塗布、90℃、3分間の条件でプリベーク、所定のパターンを露光(100mJ/cm)、0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベークすることで、ブラックマトリックス基板を作製することができる。また、予め透明基材上に金属クロム等が蒸着される基板をエッチングすることによりブラックマトリックス形成工程が行なわれてもよい。
(着色部および着色材料について)
本実施形態のカラーフィルタ10のように三色の着色部を設ける場合、上記のように加色系の赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を選択するほか、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)などの補色系の色を適宜選択して用いることができる。以下に緑色、赤色、青色の着色部をそれぞれ形成するための着色材料に関してそれぞれ説明する。
(緑色着色部)
緑色着色部12(G)を形成する緑色着色材料18(G)のウェット状態での塗膜厚みは、要求される色再現性と、着色材料の組成により異なるものではあるが、一般的には1μm〜4μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜3μmの範囲とすることが好ましい。上記範囲より膜厚が厚い場合は、例えばフォトリソグラフィー法による硬化、パターニングがうまくいかず、着色部表面に微細な凹凸が生じてしまったり、形状が逆テーパー形状となってしまったりして好ましくなく、上記範囲より薄い場合は、必要とされる高色純度を得ることが困難となるため好ましくない。
本発明において形成される緑色着色部は、一般的には緑色顔料と黄色顔料とバインダーと分散剤とその他の添加剤等で構成されるものである。バインダーの種類は緑色着色部の製造方法により変化するものであるが、本発明において緑色着色部は、顔料分散法等のフォトリソグラフィー法により形成されることが、高い解像度で着色部を固定形成するために好ましい。ネガ型のフォトリソグラフィー法により着色材料を固定化して着色部を得る場合には、UV硬化型の樹脂がバインダー樹脂として用いられる。
尚、上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用してよい。また、上記顔料を分散するために必要な分散剤としては、スチレン/ブチルスチレン共重合物、長鎖ポリアミノアマイド燐酸塩、ポリアマイド、高分子量ポリカルボン酸塩、酢酸オレイルアミン、テトラアルキルアンモニウム塩、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸アミノオレエート、リン酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等を挙げることができる。このような分散剤は、顔料100重量部に対して30〜100重量部の範囲で含有させることができる。
UV硬化性樹脂としては、バインダー樹脂成分の例としては、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、スチレンスルホン酸などの酸性基を有するモノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリルアミド等のモノマーとを共重合させた共重合体などが挙げられる。
また他の添加剤として、光重合開始剤を添加してもよく、具体的にはハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、紫外線により光重合性モノマーの重合性基を重合させるラジカルを発生させることができる化合物であり、単独または複数組み合わせて使用される。
さらに、光重合性モノマーとして、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート等が挙げられる。
また、緑色着色材料に用いられる溶媒としては、具体的には、ジイソプロピルエーテル、n−ペンタン、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸メチル、ジグライム、ブチルカルビトール等の有機溶剤が挙げられる。
その他、本実施態様の緑色着色部には、必要に応じて種々の添加剤を添加することが可能であり、例えば増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を含有してもよい。尚、上記顔料に加えられる各種添加剤の添加については、後述する他の顔料についても同様である。
(赤色着色部)
赤色着色部12(R)を形成する赤色着色材料18(R)のウェット状態での塗膜厚みもまた上記緑色着色部と同様の理由により1μm〜4μmの範囲内、好ましくは1μm〜3μmの範囲内とされる。
赤色着色材料は、主として、赤色顔料、黄色顔料、UV硬化性樹脂等のバインダー樹脂および溶媒から構成されるものである。
(青色着色部)
青色着色部12(B)を形成する青色着色材料18(B)のウェット状態での塗膜厚みもまた上記赤色着色部と同様の理由により1μm〜4μmの範囲内、好ましくは1μm〜3μmの範囲内とされる。青色着色材料には、色調を調整するために紫色顔料を添加してもよい。
なお本発明のカラーフィルタ10においては、各色の着色部の塗膜厚みが同等であることが好ましいが、これらを厳密に一致させる必要はない。すなわち三色カラーフィルタについていえば第三色の着色部は、その幅方向の両側に既に固定形成された他の色の着色部に対して等しく乗り上げることによって外郭形状を実質的に左右対称としていることから、第一色の着色部と第二色の着色部の塗工厚みは同等であることが好ましい。しかし、着色材料の塗布厚のコントロール精度上の制約などから各色の塗膜厚みが例えば0.5μm程度以下の差異内で相違したとしても、第三色の着色部には幅方向の両側に比較的高い凸部が形成されて中央に平坦部が形成され、第二色の着色部の中央は一方方向に偏った傾斜を示すという外郭形状の傾向は不変であり、第二色の着色部において顕著な光漏れが生じるという上記課題は共通して発生する。
(複屈折機能層について)
複屈折機能層30を構成する重合性液晶材料の配向方向を所望の方向に設計して形成することのできる複屈折機能層の種類としては、液晶分子を垂直配向(ホメオトロピック配向)させて固定化することにより、液晶分子の光軸が複屈折機能層の法線方向を向くとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を複屈折機能層の法線方向に有する、いわゆる正のCプレートが挙げられる。また別の態様では、複屈折機能層30は、液晶分子の光軸が複屈折機能層と並行するとともに常光線屈折率よりも大きな異常光線屈折率を複屈折機能層の面内方向に有する、いわゆる正のAプレートであってもよい。またさらには、液晶分子の光軸を複屈折機能層と並行として、法線方向に螺旋構造をとったコレステリック配向とすることにより、複屈折機能層全体として常光線屈折率よりも小さな異常光線屈折率を複屈折機能層の法線方向とした、いわゆる負のCプレートであってもよい。さらには、負の複屈折異方性を有するディスコティック液晶を、その光軸を複屈折機能層の面内方向に有する、負のAプレートとすることも可能である。またさらに複屈折機能層30は、該層に対して斜めであってもよく、またはその角度が層に垂直な方向で変化しているハイブリッド配向プレートであってもよい。
複屈折機能層30は、上述した正もしくは負のCプレートやAプレート、またはハイブリッド配向プレートのいずれか一つのプレートからなる層であってもよいが、これらを組み合わせて積層してなる層であってもよい。例えば、着色層11の上面に、正のAプレートおよび正のCプレートを順に積層して複屈折機能層30を構成してもよい。あるいは、基材16の上面に、まず正のAプレートを形成し、次いで上記した着色層11を形成し、さらに着色層11の上面に正のCプレートを形成してもよい。複屈折機能層30として可能な正もしくは負のCプレートやAプレート、またはハイブリッド配向プレートは、従来公知の方法により適宜、着色層11上に形成することができる。
具体的には、複屈折機能層30を形成するために、まず、下地層としての基材16や着色層11、または配向膜の上に、重合性液晶材料の含有する液晶組成物を塗布して液晶塗布膜を形成させる。上記液晶組成物の塗布には、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法といった各種印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、ダイコート法、コンマコート法、インクジェット法、スピンコート法、スリットコート法などの方法といった塗工方法やこれらを組合せた方法を適宜用いることができる。
次いで、減圧乾燥して溶剤成分を除去し、上記液晶塗布膜に含有される重合性液晶材料を所望の方向に配向せしめた後、紫外線や電子線などを照射し、あるいは熱照射して上記所望の方向に配向している重合性液晶材料を三次元重合させて複屈折機能層とすることができる。ただし、本発明における複屈折機能層の形成方法はこれに限定されるものではなく、従来公知の方法であって、基材面に、重合性液晶が所望の方向に配向した状態で重合させ固定させることが出来る方法であれば、いずれの方法を採用しても良い。
例えば、液晶塗布膜を正のCプレートとしての機能を有する複屈折機能層30となす場合には、液晶塗布膜中の重合性液晶材料をホメオトロピック配向させて重合性液晶材料同士を重合させる。重合性液晶材料にホメオトロピック配向を付与することは、赤外線で加熱する手段などを用いて液晶塗布膜を加熱して、その液晶塗布膜の温度を、その中に含まれる重合性液晶(液晶分子)が液晶相となる温度(液晶相温度)以上、重合性液晶が等方相(液体相)となる温度未満にすることで実施できる。
また、液晶塗布膜中で配向を付与された重合性液晶材料同士の重合(架橋重合)は、液晶組成物に含まれる光重合開始剤の感光波長の光を液晶塗布膜の表面に照射することで進行させることができる。このとき、液晶塗布膜に照射される光の波長は、液晶組成物の吸収波長に応じて適宜選択されるが、一般的には200〜500nm程度である。なお、液晶塗布膜に照射される光は、単色光に限らず、光重合開始剤の感光波長を含む一定の波長域を持った光であってもよい。尚、液晶塗布膜を複屈折機能層30となすにあたり、液晶塗布膜に光を照射して重合性液晶材料の架橋重合反応を進行させたうえ、さらに、オーブンなどを用いて液晶塗布膜の焼成が行われてもよい。このような焼成を行うことで、複屈折機能層30に含まれる重合性液晶材料の重合反応を促進させることができる。
このように、液晶塗布膜に含まれる重合性液晶材料が重合されることによって、該重合性液晶材料が所望の方向に配向した状態で固定された複屈折機能層30が形成される。
<重合性液晶材料について>
複屈折機能層30を構成するための液晶材料として、正の複屈折異方性を有する液晶材料としては、棒状構造を有するネマチック液晶が、また、負の複屈折異方性を有する液晶材料としては、円盤状構造を有するディスコティック液晶を用いることができる。これらの液晶材料としては、液晶モノマー、液晶オリゴマー、もしくは液晶ポリマーがある。尚、本発明では、便宜的にこられの液晶材料を総称して液晶分子という場合がある。
上記液晶分子の配向状態を保持したまま硬化させることが可能である点で、紫外線や電子線等の電離放射線の照射により重合して硬化する、重合性の液晶分子、特に架橋性液晶モノマーであるものを用いることが好ましい。液晶分子の複屈折Δnと複屈折機能層の厚みにより、リタデーション量および配向特性が決定されるため、Δnは0.03〜0.15程度であることが好ましい。
上記複屈折機能層を形成する際に用いられる液晶組成物に含有される液晶材料としては、より具体的には、その分子構造中に不飽和二重結合を有し、液晶状態で三次元架橋することにより、その液晶構造を固定化できる重合性液晶材料が考えられる。ここで、重合性液晶材料としては、下記(化1)〜(化11)に包含される化合物を一種または二種以上を混合して使用することができる。なお、一般式(化11)で示される液晶性モノマーの場合、Xは4〜6(整数)であることが好ましい。ここで液晶分子の複屈折Δnと膜厚によりリタデーション量および配向特性が決定されるため、Δnは0.03〜0.20程度が好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15程度が好ましい。
液晶材料は各種有機溶媒に溶解させて塗布することができる。有機溶媒としては、液晶材料を溶解させれば特に制限はないが、基材上に均一に塗布できることが好ましい。また基材に撥水・撥油性が付与されている場合や、添加した界面活性剤の撥水・撥油性が強い場合には、垂直配向能が妨げられない範囲でUV洗浄やプラズマ処理を行ない、塗れ性を改善させることも可能である。
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また、上記液晶組成物中には、液晶分子の配向を損なわない範囲で光重合開始剤を配合することが好ましく、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生するラジカル重合開始剤が好ましい。光重合開始剤の配合量としては、0.01%〜15%程度(液晶組成物に対する質量基準)であり、より好ましくは、0.5%〜10%(同)程度である。
上記光重合開始剤の具体例としては、ベンジル(ビベンゾイルともいう)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。
(液晶表示装置について)
本発明のカラーフィルタ10を用いた液晶表示装置51について図4を用いて説明する。
図4は本実施形態のカラーフィルタ10を備える透過表示型の液晶表示装置51の断面模式図である。液晶表示装置51としてはいわゆるIPS駆動方式を例示するが、このほかMVA駆動方式やOCB駆動方式などの他の駆動方式であってもよい。
液晶表示装置51には、観察者に対面する観察者側(同図上方)に、カラーフィルタ10が表示側基板として組み込まれている。そして観察者側から順にバックライト90側(同図下方)にむかって、駆動液晶分子41を含む駆動液晶層40、および液晶駆動用電極72を備える液晶駆動基板71が、カラーフィルタ10に積層して設けられている。本実施形態のカラーフィルタ10と組み合わせて用いるバックライトは白色光であり、その成分である緑色・赤色・青色の主波長の放射強度が同等である。
液晶駆動基板71はガラス基板76と、そのインセル側、すなわち駆動液晶層40側の表面に設けられた液晶駆動回路73およびこれにより印加電圧が制御される液晶駆動用電極72を備えている。液晶駆動用電極72は、BM14の区画する画素ごとに櫛歯状などにパターン形成されている。
また液晶駆動用電極72のさらにインセル側表面には、駆動液晶分子41を水平配向させるための水平配向膜(図示せず)が塗工されている。
駆動液晶分子41を含む駆動液晶層40は、複屈折機能層30と液晶駆動基板71とシール48とで囲まれた密閉空間に封入され、液晶駆動用電極72からパネル面内方向に負荷される印加電圧によって駆動液晶分子41はスイッチング駆動される。尚、駆動液晶層40の厚さを所望に確保するため、カラーフィルタ10と液晶駆動基板71との間には、一般的には複数の柱状体が形成されるが、図4ではこれを図示省略している。
液晶表示装置51は、観察者側から順に、直線偏光板81、正のAプレートとしての光学補償機能を有する位相差フィルム82、複屈折機能層30、駆動液晶層40、直線偏光板83およびバックライトが配置され、バックライト光の透過または遮断を絵素ごとに制御することで明表示と暗表示が行われる。尚、直線偏光板81と直線偏光板83とは透過軸方向が直交(クロスニコル)して配置される。
なお、観察者側から入光した外光を反射させて明表示を行う反射表示型の液晶表示装置の場合、バックライト90は不要であり、観察者側の最表面側に一枚の直線偏光板が設けられて外光が直線偏光に変えられるとともに、最背面側には反射板が設けられる。
[第二実施形態]
図5は本発明の第二実施形態にかかるカラーフィルタ10における基材16および着色層11を、着色部12の繰り返し方向に切った垂直断面模式図である。着色層11の上面には垂直配向した液晶分子50が塗布されている。
本実施形態の着色部12はR(赤)G(緑)B(青)Y(黄)の四色からなり、またフォトリソグラフィー法によって緑→赤→黄→青の順に横並びに固定形成されていることを特徴とする。なお、かかる四色のうち赤色および黄色は、残る青色および緑色に比べ、いずれも長波長の可視光(赤色光)に対する透過率が高い。
そして本実施形態において、四回のフォトリソグラフィー法を繰り返して製版される着色層11は、第一色目として緑色、第二色目として赤色、第三色目として黄色、第四色目として青色を選択している。なお、第一色目と第四色目にはそれぞれ緑色と青色のいずれを選択してもよく、また第二色目と第三色目にはそれぞれ赤色と黄色のいずれを選択してもよい。
図6(a)〜(f)は、第二実施形態のカラーフィルタ10における着色層11の製版工程を説明する模式図である。
第一工程として、光透過性の基材16上に直接に、または他の光透過性の下地層を介して間接に、第一色の着色材料である緑色着色材料18(G)を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして(同図(a))、第一色の着色部12(G)を幅方向に分散して形成する(同図(b))。緑色着色材料18(G)は少なくとも有効表示領域を覆う領域に塗布され、着色部12(G)は3画素幅間隔で飛び飛びに形成される。
第二工程として、第二色の着色材料である赤色着色材料18(R)を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして(同図(c))、第一色の着色部12(G)に対し幅方向の一方側(同図では右側)に隣接する位置に赤色の着色部12(R)を分散して形成している(同図(d))。
第三工程として、第三色の着色材料である黄色着色材料18(Y)を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、第二色の着色部12(R)に対し幅方向の一方側(同図では右側)に隣接する位置に黄色の着色部12(Y)を分散して形成している(同図(e))。
第四工程として、第四色の着色材料である青色着色材料18(B)を塗布し、これをフォトリソグラフィー法でパターニングして、幅方向の両側に既に形成された着色部12(Y),12(G)に対してともに隣接する位置に青色の着色部12(B)を形成して、着色層11が製版される(同図(f))。
上記工程により製版された着色層11においては、第一色目の緑色着色部12(G)と第四色目の青色着色部12(B)については幅方向の中央に平坦部24が形成され、第二色目の赤色着色部12(R)と第三色目の黄色着色部12(Y)については幅方向の中央に傾斜部25が形成されることとなる。
本実施形態のように四色の着色材料が順番に塗布されて、四色の着色部が順に隣り合わせに固定形成されるカラーフィルタ10においては、図示のように第二色目の着色部12(R)および第三色目の着色部12(Y)については外郭形状が実質的に左右非対称となり、その上面に塗布される液晶分子50に配向不良が生じる虞がある。一番目の着色部は幅方向の両側に他の色の着色部が形成されておらず、また四番目の着色部は幅方向の両側にともに他の色の着色部が形成されているために外郭形状がともに実質的に左右対称となり、二番目と三番目の着色部は幅方向の一方側にのみ他の色の着色部が既に形成された状態で着色材料が塗布されるために外郭形状が実質的に左右非対称となるためである。
そして本実施形態のカラーフィルタ10については、もっとも長い主波長の可視光(すなわち赤色光)をより効率的に透過させる赤色または黄色の少なくともいずれかを、外郭形状が左右非対称となる着色部(すなわち第二色目または第三色目)と一致させることで、暗表示時の光漏れを抑制して高いコントラスト比を実現している。
またより詳しくは、もっとも長い主波長の可視光である赤色光に対する透過率が高い順に二色を選択して、外郭形状が左右非対称となる着色部(すなわち第二色目および第三色目)にこれらを充てている。
本実施形態のカラーフィルタ10において製版される着色層11は、上記第一実施形態で固定形成される緑色着色部12(G)、赤色着色部12(R)、青色着色部(B)に加え、黄色着色部12(Y)を備えている。黄色着色部12(Y)を形成する黄色着色材料18(Y)のウェット状態での塗膜厚みは、上記緑色、赤色、青色着色部と同様の理由により1μm〜4μmの範囲内、好ましくは1μm〜3μmの範囲内とされる。黄色着色材料は、主として黄色顔料、UV硬化性樹脂等のバインダー樹脂および溶媒から構成されるものである。
ただし、上記赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、黄色(Y)以外の有色透明な着色部を構成する着色レジストとしては、シアン(C)、マゼンタ(M)または白色(W)などを選択してもよく、他の公知の着色レジストを適宜本発明における着色部12を構成するために用いてもよい。
また本実施形態の更なる変形態様として、五色以上の着色部を順に横並びに塗工形成して着色層11を製版してもよい。
五色以上の着色部の場合、第一色目および第五色目の着色部は外郭形状が実質的に左右対称であるのに対し、第二色目乃至第四色目の着色部は外郭形状が実質的に左右非対称となる。上記と同様に第一色目および最終色(第五色目)の着色部に関しては、当該色の着色材料が塗布される下地層の凹凸形状が幅方向の両側について同等であり、他の色(第二色目乃至第四色目)の着色部に関しては幅方向の一方にのみ他の色の着色部が既に形成されていることにより、当該色の着色材料が塗布される下地層が左右非対称となるためである。
したがってかかる五色カラーフィルタの場合、光源光に含まれる主波長のうち最も波長の長い色に対する透過率のより高い色を三色選択して、これを上記左右非対称の画素に充てるとよい。換言すると、カラーフィルタ10に入射する外光やバックライト光が赤色の主波長を含む場合については、五色のうち赤色光に対する透過率のより高い3色を選択して第二色目乃至第四色目に充て、赤色光に対する透過率のより低い2色を第一色目または第五色目に充てるとよい。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
(1.基板の調整)
洗浄処理を施した基材としてのガラス基板(コーニング社製、1737ガラス)および、BMと赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の着色部用のフォトレジスト(着色材料)を用意した。そしてガラス基板上面に、以下に示すように色ごとにフォトレジストを塗布し、基材に着色層を積層形成した。尚、各フォトレジストの組成は後述する。
(2.着色材料の調整)
BMおよび各領域の着色材料には顔料分散型フォトレジストを用いた。顔料分散型フォトレジストは、着色用の材料に顔料を用い、分散液組成物(顔料、分散剤、および溶剤を含有)にビーズを加え、分散機で3時間分散させ、その後ビーズを取り除いた分散液と、クリアレジスト組成物(ポリマー、モノマー、添加剤、開示剤および溶剤)とを混合したものである。その組成については下記に示す。尚、分散機としては、ペイントシェーカーを用いた。
(3.BMの作成)
まず、ガラス基板に、下記のとおり調製したBM用フォトレジストをスピンコート法で塗布し、90℃、3分間の条件でプリベーク(予備焼成)し、所定のパターンに形成されたマスクを用いて露光(100mJ/cm)し、続いて0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、30分間ポストベーク(焼成)し、幅が20μm、厚さが1.2μmのBMを形成した基材(BM形成基材)を作製した。
(4.着色層の作成)
上記BM形成基材上において、幅200μm、長さ4cmのラインが300行×1列となるようパターン設計し、端から順に、緑色、赤色、青色の順で繰り返しに着色部が形成されるよう、以下のとおり各着色部を作成した。尚、BMとの関係では、上記ラインの両端部がBMにのりあげる位置に存在するよう設計した。
まず、BM形成基材面上に、緑色(G)の顔料分散型フォトレジストをスピンコート法で塗布し、130Paまで減圧乾燥した後、80℃、5分間の条件でプリベークし、次いで、絵素領域の一番端を1番目として3n+1(nは正の整数)番目のラインに緑色着色部が形成されるように対応してマスク開口がパターニングされたストライプパターン用フォトマスクを用いて、紫外線露光(300mJ/cm)した。さらに、0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、200℃、60分間ポストベーク(焼成)し、BMパターンに対して所定の位置に膜厚2.0μmの緑色(G)着色部のパターンを形成した。なお、当該膜厚は、BM非形成位置における緑色(G)着色部の厚さであり、BMに乗り上げた両端部における基材面からの高さはともに2.7μmであり、緑色(G)着色部の外郭形状は実質的に左右対称形状であった。
続いて、赤色(R)の顔料分散型フォトレジストをスピンコート法で塗布した後、3n+2番目のラインに着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用いる以外は、上記緑色(G)着色部のパターンの形成方法と同様の方法を用いて、赤色(R)着色部を作成した。
赤色(R)着色部のうち、緑色(G)着色部と隣接する側の端部における基材面からの高さは3.5μmであり、反対側端部における高さは2.8μmであって、赤色(R)着色部の外郭形状は実質的に左右非対称形状であった。
続いて、青色(B)の顔料分散型フォトレジストをスピンコート法で塗布した後、3n+3番目のラインに着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用いる以外は、上記緑色(G)および赤色(R)着色部のパターンの形成方法と同様の方法を用いて、青色(B)着色部を作成した。
青色(B)着色部のうち、赤色(R)着色部および緑色(G)着色部と隣接する両端部における基材面からの高さは赤色(R)着色部隣接側で3.6μm、緑色(G)着色部隣接側で3.5μmであり、青色(B)着色部の外郭形状は実質的に左右対称形状であった。
こうして、ガラス基板上にBMおよび、緑色着色部、赤色着色部、および青色着色部がこの順で繰り返し整列して構成される着色層が形成されたカラーフィルタを作成した。また上記のように第二番目に選択された赤色の着色部についてのみ、幅方向の両端の高さが相違し、外郭形状が実質的に左右非対称形状であることが確認された。
<ブラックマトリクス用フォトレジスト>
・黒顔料・・・・・14.0重量部(大日精化工業(株)製 TMブラック♯9550)
・分散剤・・・・・・1.2重量部(ビックケミー(株)製 Disperbyk111)
・ポリマー・・・・・2.8重量部(昭和高分子(株)製 VR60)
・モノマー・・・・・3.5重量部(サートマー(株)製 SR399)
・添加剤・・・・・・0.7重量部(綜研化学(株)製 L−20)
・光重合開始剤・・・1.6重量部(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・光重合開始剤・・・0.3重量部(4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン)
・光重合開始剤・・・0.1重量部(2,4−ジエチルチオキサントン)
・溶剤・・・・・・75.8重量部(エチレングリコールモノブチルエーテル)
<緑色(G)着色部用フォトレジスト>
・緑顔料・・・・・・3.7重量部(C.I.PG7(大日精化製 セイカファストグリーン5316P))
・黄顔料・・・・・・2.3重量部(C.I.PY139(BASF社製 パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・・3.0重量部(ゼネカ(株)製 ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部(サートマー(株)製 SR399)
・ポリマー1・・・・5.0重量部(下記)
・光重合開始剤・・・1.4重量部(チバガイギー社製 イルガキュア907)
・光重合開始剤・・・0.6重量部(2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・・80.0重量部(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
<赤色(R)着色部用フォトレジスト>
・赤顔料・・・・・・4.8重量部(C.I.PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製 クロモフタールDPP Red BP))
・黄顔料・・・・・・1.2重量部(C.I.PY139(BASF社製 パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・・3.0重量部(ゼネカ(株)製 ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部(サートマー(株)製 SR399)
・ポリマー1・・・・5.0重量部(下記)
・光重合開始剤・・・1.4重量部(チバガイギー社製 イルガキュア907)
・光重合開始剤・・・0.6重量部(2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・・80.0重量部(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
<青色(B)着色部用フォトレジスト>
・青顔料・・・・・・4.6重量部(C.I.PB15:6(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫顔料・・・・・・1.4重量部(C.I.PV23(クラリアント社製 フォスタパームRL−NF))
・顔料誘導体・・・・0.6重量部(ゼネカ(株)製 ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・・2.4重量部(ゼネカ(株)製 ソルスパース24000)
・モノマー・・・・・4.0重量部(サートマー(株)製 SR399)
・ポリマー1・・・・5.0重量部(下記)
・光重合開始剤・・・1.4重量部(チバガイギー社製 イルガキュア907)
・光重合開始剤・・・0.6重量部(2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・・80.0重量部(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
尚、本明細書において上記記載のポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
(複屈折機能層の形成)
上記透明着色層の上面に、以下に述べる方法で複屈折機能層を形成した。
<垂直配向膜の形成>
まず、上記透明着色部上に複屈折機能層として所謂正のCプレートを形成するために、まず垂直配向膜を形成した。
具体的には、配向膜材料としてJALS2021(JSR(株)社製)を用い、上記のカラーフィルタ上にフレキソ印刷によりパターニングし、引き続き200℃で一時間焼成することにより厚さが600Åの垂直配向膜を設けた下地基板を得た。この場合、着色層と配向膜との間に、透明樹脂から成る保護層を設けても良い。カラーフィルタの段差を緩和し、より確実な液晶配向が可能なためである。
<重合性液晶材料を含有する液晶組成物の調製>
複屈折機能層を構成する重合性液晶材料を含有する液晶組成物を以下のとおり調製した。
ネマチック液晶層を示す重合可能な液晶性モノマー分子として、上記(化11)に示される化合物(ただしXの値は6である)20重量部と、光重合開始剤(チバガイギー社製、「イルガキュア907」)0.8重量部と、溶媒としてクロロベンゼン59.2重量部と、上記垂直配向膜形成用溶液JALS−2021−R2をジエチレングリコールジメチルエーテルで12.5%に希釈した溶液20重量部とを混合し、液晶組成物を調製した。
<複屈折機能層の製膜>
上記調整した液晶組成物を、次いで、上記垂直配向膜の形成された基板をスピンコーター(MIKASA社製、「商品名1H-360S」)に設置して、予め調製した上記液晶組成物を、乾燥後の膜厚が1.5μm程度となるように上記配向膜上面にスピンコーティングした。なお本実施例ではスピンコーティング法を適用したが、基材上に均一に塗布が可能であればこれに限られる訳ではなく、ダイコーティング、スリットコーティング、およびこれらを組み合わせた手法であってもよく、特に限定されない。
続いて当該基材を130Paまで減圧乾燥した後、ホットプレート上で100℃、3分間加熱し、残存溶剤を除去するとともに液晶溶液に含有される液晶性モノマーを垂直方向に配向処理し、液晶溶液により形成された膜が白色から透明となる液晶転移点を目視にて確認することによって液晶分子の配向を確認した。続いて窒素雰囲気下において、上記液晶塗布膜全面に対し超高圧水銀灯を有する紫外線照射装置(ハリソン東芝ライティング社製、「TOSCURE 751」)を用いて紫外線照射を行い(20mW/cm、365nm、10秒間)、液晶層を構成する重合性液晶分子を3次元架橋させて、硬化させた。230℃のホットプレート上で60分間加熱、焼成して完全に硬化反応を終了させ、正のCプレートの複屈折機能層を1.45μm厚で得た。
(比較例1)
赤色、緑色、青色の順で繰り返しに着色部が形成されて着色層が構成されるよう、すなわち第二色目に選択される着色材料が緑色となるよう、赤色着色部を3n+1番目のラインに形成した後に、3n+2番目のラインに着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用いて緑色着色部を形成し、次いで、3n+3番目のラインに着色部が形成されるようマスク開口がパターニングされたフォトマスクを用いて青色着色部を形成したこと以外は、実施例1と同様にカラーフィルタを作成し、比較例1とした。
(評価1)光漏れ評価
カラーフィルタに光を透過した際に、光漏れが防止されているか否かの性能を評価するために、以下の方法により実施例1の光漏れを評価した。
上述のとおり作成した実施例1のサンプルをオリンパス(株)製の偏光顕微鏡CPX31−Pをクロスニコル状態に設定し、当該顕微鏡の備える偏光板に実施例1のカラーフィルタを挟んで光を当てた状態で基板を回転させ、光漏れの有無を肉眼で観察した。その結果、第二番目に塗工形成された赤色着色部に対応する画素(赤色画素)のうち、第一番目に塗工形成された緑色画素に隣接する側の端部において光漏れが観察された。
比較例1についても実施例1と同様にサンプルを形成した後、光漏れ評価を行った。この結果、第二番目に塗工形成された緑色着色部に対応する画素(緑色画素)のうち、第一番目に塗工形成された赤色画素に隣接する側の端部において光漏れが観察された。
(評価2)正面輝度の測定
正面輝度の測定は、輝度計測機、複屈折機能層付きカラーフィルタ、偏光板、および光を照射する光照射部とで構築された輝度計測系を用い、RGBの全色を暗表示とした場合の暗視野輝度を測定して行った。
輝度計測系において、輝度計測器は、光照射部から発せられた白色光のうち偏光板クロスニコル状態で挟み込まれた複屈折機能層付きカラーフィルタを通過した光を検知する光センサと、光センサによって検知された信号に基づき輝度を計測する計測部とを備えるものである。具体的には、輝度を測定する輝度計測機として、トプコン社製「BM−9」を使用した。
上記輝度計測系を用い、正面輝度は次のように測定した。まず、複屈折機能層付きカラーフィルタを2枚の偏光板をクロスニコル状態で挟んで配置し、光照射部を、第一の偏光板の外側に配置し、複屈折機能層付きカラーフィルタを挟んで液晶層の厚さ方向に対面する位置であって第二の偏光板外側位置に光センサを配置させた。
次いで光照射部から光を液晶表示装置に向かって照射し、第二の偏光板外側位置よりセル内を通過して第1の偏光板を通過した光を光センサに検知させ、検知された光の量(輝度)を計測部にて計測することで、正面輝度を測定した。上記測定の結果、この実施例1の正面輝度は2.00[cd/m]であった。
比較例1についても実施例1と同様に、上記評価2により正面輝度の測定を行った。その結果、比較例1の正面輝度は4.00[cd/m]であった。
上記評価1および評価2の結果から、本発明のカラーフィルタによれば可視光を透過した際に生じる光漏れが低減され、例えば液晶ディスプレイの一方側の基板として用いたときに、高品質の画像を提供することが可能である。
具体的には、まず評価1の結果より、暗表示時の光漏れが、第二色目に塗工形成された着色部に相当する画素より支配的に生じることが観察された。続けて評価2の結果より、照射される白色光に含まれる可視光のうちもっとも長い主波長の光である赤色光をもっとも効率的に透過させる赤色を第二色目として選択した実施例1においては、より短い主波長の光をもっとも効率的に透過させる緑色を第二色目として選択した比較例1よりも大幅に正面輝度(暗視野輝度)が減少し、すなわち暗表示時の光漏れが効果的に低減されることが分かった。
第一実施形態にかかるカラーフィルタ10を着色部の繰り返し方向に切った垂直断面模式図である。 (a)〜(f)は第一実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。 カラーフィルタ10の断面模式図である。 カラーフィルタ10を備える液晶表示装置51の断面模式図である。 第二実施形態にかかるカラーフィルタ10を着色部の繰り返し方向に切った垂直断面模式図である。 (a)〜(f)は第二実施形態にかかるカラーフィルタ10の作製工程を示す。 従来のカラーフィルタに形成された着色層の垂直断面に関する模式図である。 (a)〜(f)は従来のカラーフィルタの作製工程を示す。
符号の説明
10 カラーフィルタ
11 着色層
12 着色部
14 ブラックマトリクス(BM)
16 基材
18 着色材料
20 フォトマスク
22,23 凸部
24 平坦部
25 傾斜部
30 複屈折機能層
40 駆動液晶層
50 液晶分子
51 液晶表示装置
71 液晶駆動基板
90 バックライト

Claims (2)

  1. 観察者側から順に、直線偏光板と、カラーフィルタと、駆動液晶分子を含む駆動液晶層と、液晶駆動用電極を備える液晶駆動基板と、を配置してなる液晶表示装置であって、
    前記カラーフィルタが、光透過性の基材上に直接または間接に、赤色、青色、緑色、および黄色を含む複数色の着色部が少なくとも一の方向を繰り返し方向として順に配列された着色層と、重合性液晶分子が所望の方向に配向した状態で固定化されてなる複屈折機能層とをこの順に積層してなるカラーフィルタであり、
    前記着色層が、前記繰り返し方向に切った垂直断面の外郭形状が実質的に左右対称である色の着色部と、前記外郭形状が実質的に左右非対称である色の着色部とからなるとともに、
    前記カラーフィルタを透過する可視光が、最も主波長の長い色として赤色を含む白色光であり、
    前記左右非対称の着色部の色が、前記複数色のうち、前記可視光に含まれる赤色光をもっとも効率的に透過させる赤色および黄色である、ことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記重合性液晶分子がホメオトロピック配向している請求項1に記載の液晶表示装置。
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