JP5115411B2 - 薄膜ガスセンサ - Google Patents

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本発明は、電池駆動を念頭におく低消費電力型の薄膜ガスセンサに関する。
一般にガスセンサは、ガス漏れ警報器などに用いられている。ガスセンサは、ある特定ガス、例えば、一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH)、プロパンガス(C)、エタノール蒸気(COH)等に選択的に感応するデバイスであり、その性格上、高感度、高選択性、高応答性、高信頼性、低消費電力が必要不可欠である。
ところで、家庭用として普及しているガス漏れ警報器には、都市ガス用やプロパンガス用の可燃性ガス検知を目的としたもの、燃焼機器の不完全燃焼ガス検知を目的としたもの、または、両方の機能を合わせ持ったもの、などがある。しかしながら、いずれもコストや設置性(ガス検知が必要であるが電源供給不能の箇所である点)の問題から、ガス漏れ警報器の普及率はそれほど高くない。そこで、ガス漏れ警報器の普及率の向上を図るべく、設置性の改善、具体的には、電池駆動によるガス漏れ警報器としてコードレス化することが望まれている。
電池駆動によるガス漏れ警報器を実現するためにはガスセンサの低消費電力化が最も重要である。しかし、接触燃焼式や半導体式のガスセンサを動作させるためには、ガスセンサのガス感応層を100℃〜500℃の高温に加熱する必要があり、この加熱による電力消費が警報器の電池駆動化を困難にしていた。
ちなみにSnOなどの粉体を焼結してガス感応層を形成したガスセンサは、スクリーン印刷等の方法を用いてガス感応層の厚みを可能な限り薄膜化してガス感応層の熱容量を小さくしている。しかし、その薄膜化には限界があり、電池駆動に適した薄さにまでガス感応層を充分に薄くすることが困難である。
このため、ガスセンサを電池駆動する場合、ガス感応層の熱容量は大きすぎることとなり、ガス感応層を高温に加熱するには大きい電力が必要となって電池の消耗が激しくなる。このような理由により、ガス感応層を電池駆動するガスセンサは、実用化が困難であった。
そこで、スパッタなどの薄膜成膜技術と微細加工プロセスとによりヒータやガス感応層を1μm以下の薄膜で形成し、さらに高断熱・低熱容量のダイアフラム構造として、実用上許容しうる低消費電力の薄膜ガスセンサが開発・実用化されて現在に至っている。続いてこのような薄膜ガスセンサについて説明する。図9は薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図、図10はヒータ層形成の説明図、図11は感知電極層形成の説明図、図12はガス感応層形成の説明図、図13はガス選択燃焼層形成の説明図である。
この従来技術の薄膜ガスセンサ100は、シリコン基板(以下Si基板)1、熱絶縁支持層2、ヒータ層3、電気絶縁層4、ガス検出部5を備える。熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化層21、CVD―Si層22、CVD―SiO層23の三層構造となっている。ガス検出部5は、詳しくは、感知電極層511,512、ガス感応層52、ガス選択燃焼層53を備える。このガス感応層52はアンチモン(Sb)をドープした二酸化スズ層(以下、SnO層)であり、ガス選択燃焼層53は、詳しくはパラジウム(Pd)、白金(Pt)、または、パラジウム(Pd)と白金(Pt)とを含む合金を触媒として担持した触媒担持多孔質アルミナ(触媒担持Al焼結材)である。そして、ヒータ層3およびガス検出部5(詳しくは感知電極層511,512を介してガス感応層52)は、図示しない信号処理・駆動部に電気的に接続されている。
続いて各部構成について説明する。
Si基板1はシリコン(Si)により形成され、貫通孔を有するように形成される。
熱絶縁支持層2はこの貫通孔の開口部に張られてダイアフラム様に形成されており、Si基板1の上に設けられる。
この熱絶縁支持層2は、詳しくは、熱酸化層21、CVD―Si層22、CVD―SiO層23の三層構造となっている。
熱酸化層21は、熱絶縁層として形成され、ヒータ層3で発生する熱をSi基板1側へ熱伝導しないようにして熱容量を小さくする機能を有する。また、この熱酸化層21はプラズマエッチングに対して高い抵抗力を示し、後述するプラズマエッチングによるSi基板1への貫通孔の形成を容易にする。
CVD―Si層22は、熱酸化層21の上側に形成される。
CVD―SiO層23は、CVD―Si層22の上側に形成される。CVD―SiO層23は、ヒータ層3との密着性を向上させるとともに電気的絶縁を確保する。CVD(化学気相成長法)によるSiO層は内部応力が小さい。
ヒータ層3は、薄膜状のTa/PtWヒータであって、図10で示すように、熱絶縁支持層2のほぼ中央の上面に設けられ、上側から見て波形曲線状に形成される。また、電源供給ラインも形成される。この電源供給ラインは図示しない電極パッドまで到達しており、この電極パッドからワイヤ等で配線されて信号処理・駆動部(図示せず)に電気的に接続される。
電気絶縁層4は、電気的に絶縁を確保するSiO絶縁層からなり、熱絶縁支持層2およびヒータ層3を覆うように設けられる。また、電気絶縁層4は、ヒータ層3と感知電極層511,512との間に電気的な絶縁を確保しつつガス感応層52との密着性を向上させる。
感知電極層511,512は、電気絶縁層4の上に設けられたTa膜(タンタル膜)の上面に、さらにPt膜(白金膜)を形成したものである。このTa膜は、Pt膜と電気絶縁層4との間に介在して接合強度を高める機能を有している。このような感知電極層511,512は、図11に示すように、ガス感応層52の感知電極となるように左右一対に設けられる。また、図示しないが感知電極層511,512にそれぞれ接続される二本の信号ラインも形成される。これら二本の信号ラインはワイヤ等で配線されて信号処理・駆動部(図示せず)に電気的に接続される。
ガス感応層52は、SbをドープしたSnO層からなり、図12に示すように、一対の感知電極層511,512を渡されるように電気絶縁層4の上に形成される。
ガス選択燃焼層53は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、または、白金(Pt)とパラジウム(Pd)とを含む合金である触媒を担持した焼結体であり、先に説明したように触媒担持多孔質アルミナである。多孔質体であるガス選択燃焼層53では、孔を通過する検出対象ガスが触媒に接触する機会を増加させており、燃焼反応を促進させる。ガス選択燃焼層53は、図13に示すように、電気絶縁層4、一対の感知電極層511,512およびガス感応層52の表面を覆うように設けられる。
このような薄膜ガスセンサ100はダイアフラム構造により高断熱,低熱容量の構造としている。
図示しないが、信号処理・駆動部は、信号処理部と駆動部とを一体に構成したものであり、ヒータ層3を電気により駆動するように接続され、また、感知電極層511,512を介してガス感応層52のセンサ抵抗値の変化を検出するように接続される。信号処理・駆動部によりガス検出駆動が行われるとともに可燃性ガスの検知が行われる。このような信号処理・駆動部は、薄膜ガスセンサ100に内蔵される構成としたり、または、別途外付けされるようにしても良い。薄膜ガスセンサ100の構成はこのようなものである。
さらに、このような薄膜ガスセンサ100は、CH,C等の可燃性ガス検知の低消費電力化を実現するため、そのヒータ層3の駆動方式が工夫されている。具体的には、検出温度の低温化、検出時間の短縮、および検出サイクルの長期化(通電をoffする時間を長くする)という間欠駆動方式が採用される。一般的に、薄膜ガスセンサ100における検出温度・検出時間・検出サイクルはガス種により相違している。COセンサで検出温度は〜100℃、検出時間はセンサの応答性から〜500ms、検出サイクルは150秒とされる。また、CHセンサで検出温度は〜450℃、検出時間はセンサの応答性から〜500ms、検出サイクルは30秒とされる。
またoff時間にセンサ表面に付着する水分その他の吸着物を脱離させSnO表面をクリーニングすることが、電池駆動(間欠駆動)の薄膜ガスセンサ100の経時安定性を向上させる上で重要である。それゆえ薄膜ガスセンサ100は検出前に一旦センサ温度を400℃〜500℃に加熱(時間〜100ms)され、その直後に、それぞれのガスの検出温度でガス検知を行っている。
薄膜ガスセンサ100の駆動方式はこのようなものである。
このような薄膜ガスセンサ100では、ガスを検知する場合、センサ出力であるガス感応層52のセンサ抵抗値は、ガス感応層52の温度によって大きく変化する。ガス感応層の特性を最大限に引き出して、検出したいガス(以下、被検出ガスという)感度が最大で、かつ検出したくないガス(以下、非検出ガスという)感度を最小にするためには、精度の良い温度コントロールをする必要がある。
ところが、半導体プロセスで製作した薄膜によるヒータ層は、ウェハ毎の厚さや組成のばらつき、ウェハ内の面内ばらつきにより抵抗値がばらつくため、従来のように低電圧回路または定電流回路により、ヒータ層に一定の電圧を加えたり、一定の電流を流したりしてもヒータ層の温度はセンサ毎に異なり、その結果、正確なガス濃度を検出することが不可能になる。そこで、サンプル毎の形状起因による放熱のばらつきを考慮すると、センサのヒータ層に加えられる電力を調節してセンサ毎に所望のヒータ温度になるよう調整したいという要請がある。
ここに薄膜ガスセンサの温度計測を行う従来技術が、例えば、特許文献1(特開平11―166913号公報,発明の名称:ガスセンサ)に開示されている。この従来技術は、ガス検知電極の温度を精度良く制御できるガスセンサを提供するものであり、固体電解質基体(1)に設けた検知極(7)と対極(8)の何れか一方の極に熱電対の正脚(3)又は負脚(4)の少なくとも一つの脚を接続させ、正脚(3)又は負脚(4)の一方を電極の信号を取り出す導体部として使用可能とする、というものである。
特開平11―166913号公報
特許文献1では熱電対により温度計測を行っているが、例えば、検知電極における正脚と負脚とが対向する箇所の温度を計測するため、検知電極の状態、例えば、特に検知電極のヒータの近い箇所では熱の上昇が早くなってその箇所だけ温度が高くなるなど、全体としては必ずしも正確に検出できないことがあった。
特に先に説明した従来技術の薄膜ガスセンサ100では、図9,図13で示す構成からも明らかなように、電気絶縁層4やガス選択燃焼層53によりガス感応層52が覆われているため、ガス感応層付近52の直接的な温度計測は容易ではなかった。
そこでこの発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ガス感応層の温度を正確に算出するようにして、ガス感応層に最適なヒータ駆動を行うようにした薄膜ガスセンサを提供することにある。
上記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明によれば、
吸着したガスによりその電気抵抗値が変化するガス感応層と、
ガス感応層の離れた二カ所に設けられる一対の感知電極層と、
一対の感知電極層のうち一方に電気的に接続される測温抵抗体と、
ガス感応層、一対の感知電極層および測温抵抗体の近傍に設けられて、これらガス感応層、一対の感知電極層および測温抵抗体を加熱するヒータ層と、
前記感知電極層および前記測温抵抗体の温度に応じた抵抗値の変化を電圧の変化として検出する測温検出部と、
ヒータ層を駆動するヒータ層駆動部と、
測温検出部およびヒータ層駆動部が接続される信号処理・駆動部と、
を備え、この信号処理・駆動部は、
測温検出部から出力された電圧に基づいて温度を算出する温度算出手段と、
算出した温度と目標の温度とを比較し、ヒータ層を目標の温度に近づけるようにヒータ層駆動部を制御するヒータ層駆動手段と、
として機能することを特徴とする。
上述の薄膜ガスセンサは、ヒータ層とガス感応層との間に配置されてヒータ層とガス感応層との温度変化に確実に追従する感知電極層に着目したものであり、感知電極層と測温抵抗体との電気抵抗の変化を電圧の変化として計測し、この電圧から電気抵抗値を割り出し、さらに電気抵抗値から温度を割り出して、ヒータ層の温度制御を行うようにしたため、場所により異なる温度の差異に影響されにくくし、その結果として正確な温度測定を可能とする。
また、請求項2に記載の発明によれば、
吸着したガスによりその電気抵抗値が変化するガス感応層と、
ガス感応層の離れた二カ所に設けられる一対の感知電極層と、
一対の感知電極層にそれぞれ電気的に接続される一対の測温抵抗体と、
ガス感応層、一対の感知電極層および一対の測温抵抗体の近傍に設けられて、これらガス感応層、一対の感知電極層および一対の測温抵抗体を加熱するヒータ層と、
一方の前記感知電極層およびこの感知電極層に接続される一方の前記測温抵抗体の温度に応じた抵抗値の変化を電圧の変化として検出する測温検出部と、
ヒータ層を駆動するヒータ層駆動部と、
測温検出部およびヒータ層駆動部が接続される信号処理・駆動部と、
を備え、この信号処理・駆動部は、
測温検出部から出力された電圧に基づいて温度を算出する温度算出手段と、
算出した温度と目標の温度とを比較し、ヒータ層を目標の温度に近づけるようにヒータ層駆動部を制御するヒータ層駆動手段と、
として機能することを特徴とする。
上述の薄膜ガスセンサは、感知電極層と測温抵抗体との電気抵抗の変化を電圧の変化として計測し、この電圧から電気抵抗値を割り出し、さらに電気抵抗値から温度を割り出して、ヒータ層の温度制御を行うようにしたため、場所により異なる温度の差異に影響されにくくし、その結果として正確な温度測定を可能とする。
また、感知電極層と測温抵抗体とがガス感応層の両側に配置されるようにしたため、ガス感応層の両側の電位は等しくなるように機能し、漏れ電流の低減につながる。
また、請求項3に記載の発明によれば、
吸着したガスによりその電気抵抗値が変化するガス感応層と、
ガス感応層の離れた二カ所に設けられる一対の感知電極層と、
一対の感知電極層にそれぞれ電気的に接続される一対の測温抵抗体と、
ガス感応層、一対の感知電極層および一対の測温抵抗体の近傍に設けられて、これらガス感応層、一対の感知電極層および一対の測温抵抗体を加熱するヒータ層と、
一方の前記感知電極層およびこの感知電極層に接続される一方の前記測温抵抗体の温度に応じた抵抗値の変化を電圧の変化として検出する第1測温検出部と、
他方の前記感知電極層およびこの感知電極層に接続される他方の前記測温抵抗体の温度に応じた抵抗値の変化を電圧の変化として検出する第2測温検出部と、
ヒータ層を駆動するヒータ層駆動部と、
第1測温検出部、第2測温検出部およびヒータ層駆動部が接続される信号処理・駆動部と、
を備え、この信号処理・駆動部は、
第1測温検出部および第2測温検出部から出力された電圧に基づいて温度を算出する温度算出手段と、
算出した温度と目標の温度とを比較し、ヒータ層を目標の温度に近づけるようにヒータ層駆動部を制御するヒータ層駆動手段と、
として機能することを特徴とする。
上述の薄膜ガスセンサは、感知電極層と測温抵抗体との電気抵抗の変化を電圧の変化として計測し、この電圧から電気抵抗値を割り出し、さらに電気抵抗値から温度を割り出して、ヒータ層の温度制御を行うようにしたため、場所により異なる温度の差異に影響されにくくし、その結果として正確な温度測定を可能とする。
また、感知電極層と測温抵抗体とがガス感応層の両側に配置されるようにしたため、ガス感応層の両側の電位は等しくなるように機能し、漏れ電流の低減につながる。
また、ガス感応層の両側に配置される感知電極層と測温抵抗体との温度計測を共に行うため、より高精度な温度制御に寄与する。
また、請求項4に記載の発明によれば、
前記薄膜ガスセンサは、貫通孔を有するSi基板と、
この貫通孔の開口部に張られるダイアフラム様の熱絶縁支持層と、
この熱絶縁支持層上に設けられる前記ヒータ層と、
前記熱絶縁支持層および前記ヒータ層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
この電気絶縁層上に設けられる一対の前記感知電極層と、
この電気絶縁層および一対の前記感知電極層の上に設けられる前記ガス感応層と、
を具備することを特徴とする。
熱絶縁支持層がヒータ層の面上に形成され、さらにガス感応層が熱絶縁支持層の面上に設けられた構成を採用する薄膜ガスセンサのガス感応層に対して、先に説明したような作用を奏しうる。
また、請求項5に記載の発明によれば、
前記ガス感応層は、SnOにより形成されることを特徴とする。
ガス感応層としてSnOが選択されることが特に好ましい点を知見した。
また、請求項6に記載の発明によれば、
前記薄膜ガスセンサは、更に前記ガス感応層の表面を覆うように設けられ、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、または、PdとPtとを含む合金を触媒として担持したAl焼結材によるガス選択燃焼層を備えることを特徴とする。
Pd(パラジウム)、Pt(白金)、または、PdとPtとを含む合金を触媒として担持したAl焼結材であってガス感応層を覆うガス選択燃焼層は、ガス感応層における検出対象ガスの選択性を向上させる。
また、請求項7に記載の発明によれば、
前記測温抵抗体および前記感知電極層は、Pd(パラジウム)、Pt(白金)またはPdとPtとを含む合金による層を有することを特徴とする。
通常、感知電極層は、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、または、PdとPtとを含む合金であり、測温抵抗体も感知電極層と同じ材料とすることで、測温抵抗体や感知電極層を一括して形成することができ、また、測温抵抗体と感知電極層とで抵抗特性が相違するような事態もなくなり利便性を高める。
請求項1に係る発明によれば、ヒータ層とガス感応層との間に配置されてヒータ層とガス感応層との温度変化に確実に追従する感知電極層に着目したものであり、感知電極層と測温抵抗体との電気抵抗の変化を電圧の変化として計測し、この電圧から電気抵抗値を割り出し、さらに電気抵抗値から温度を割り出して、ヒータ層の温度制御を行うようにしたため、場所により異なる温度の差異に影響されにくくし、その結果として正確な温度測定可能とする。
あるいは、請求項2に係る発明によれば、感知電極層と測温抵抗体との電気抵抗の変化を電圧の変化として計測し、この電圧から電気抵抗値を割り出し、さらに電気抵抗値から温度を割り出して、ヒータ層の温度制御を行うようにしたため、場所により異なる温度の差異に影響されにくくし、その結果として正確な温度測定を可能とする。
また、感知電極層と測温抵抗体とがガス感応層の両側に配置されるようにしたため、ガス感応層の両側の電位は等しくなって漏れ電流の低減につながり、その結果として正確な温度測定を可能とする。
また、請求項3に係る発明によれば、感知電極層と測温抵抗体との電気抵抗の変化を電圧の変化として計測し、この電圧から電気抵抗値を割り出し、さらに電気抵抗値から温度を割り出して、ヒータ層の温度制御を行うようにしたため、場所により異なる温度の差異に影響されにくくし、その結果として正確な温度測定を可能とする。
また、感知電極層と測温抵抗体とがガス感応層の両側に配置されるようにしたため、ガス感応層の両側の電位は等しくなって漏れ電流の低減につながり、その結果として正確な温度測定を可能とする。
また、ガス感応層の両側に配置される感知電極層と測温抵抗体との温度計測を行うため、より高精度な温度制御に寄与する。
また、請求項4に係る発明は、熱絶縁支持層がヒータ層の面上に形成され、さらにガス感応層が熱絶縁支持層の面上に設けられた構成を採用する薄膜ガスセンサのガス感応層に対して、先に説明したような作用を奏しうる。
また、請求項5に係る発明は、ガス感応層としてSnOが選択されるときに、抵抗値の安定化など従来技術と同等の性能が確保されるとともに、感知電極層と測温抵抗体との電気抵抗の変化を電圧の変化として計測し、この電圧から電気抵抗値を割り出し、さらに電気抵抗値から温度を割り出して、ヒータ層の温度制御を行うようにしたため、場所により異なる温度の差異に影響されにくくし、その結果として正確な温度測定を可能とする。
また、請求項6に係る発明は、Pd(パラジウム)、Pt(白金)またはPdとPtとを含む合金を触媒として担持したAl焼結材であってガス感応層を覆うガス選択燃焼層は、ガス感応層における検出対象ガスの選択性を向上させるとともに、感知電極層と測温抵抗体との電気抵抗の変化を電圧の変化として計測し、この電圧から電気抵抗値を割り出し、さらに電気抵抗値から温度を割り出して、ヒータ層の温度制御を行うようにしたため、場所により異なる温度の差異に影響されにくくし、その結果として正確な温度測定を可能とする。
また、請求項7に係る発明は、感知電極層は、Pd(パラジウム)、Pt(白金)またはPdとPtとを含む合金であり、測温抵抗体も感知電極層と同じ材料とすることで、測温抵抗体や感知電極層を一括して形成することができ、また、測温抵抗体と感知電極層とで抵抗特性が相違するような事態もなくなるとともに、感知電極層と測温抵抗体との電気抵抗の変化を電圧の変化として計測し、この電圧から電気抵抗値を割り出し、さらに電気抵抗値から温度を割り出して、ヒータ層の温度制御を行うようにしたため、場所により異なる温度の差異に影響されにくくし、その結果として正確な温度測定を可能とする。
総じて以上のような本発明によれば、ガス感応層の温度を正確に算出するようにして、ガス感応層に最適なヒータ駆動を行うようにした薄膜ガスセンサを提供することができる。
続いて、本発明を実施するための最良の形態における薄膜ガスセンサについて図を参照しつつ説明する。図1は本形態の薄膜ガスセンサのうち感知電極層の構成図である。図2は測温・ガス検出用回路ブロックの説明図であり、図2(a)は測温用回路の回路ブロック図、図2(b)はガス検出用の回路ブロック図である。図3は薄膜ガスセンサの全体の回路ブロック図である。ここに本形態で製造する薄膜ガスセンサは、先に図9を用いて説明した薄膜ガスセンサ100と比較すると、一方の感知電極層511に検出部511aや測温抵抗体511bが追加され、また、他方の感知電極512に検出部512aが追加された点が異なる以外は、Si基板1、熱酸化層21、CVD―Si層22、CVD―SiO層23の三層構造による熱絶縁支持層2、ヒータ層3、電気絶縁層4、ガス感応層52、ガス選択燃焼層53の構成・機能が同じであり、重複する説明を省略するものとし、相違する構成についてのみ説明する。
図1で示すように、左右異なる構造の感知電極層511,512を備える。図1中左側の斜線部で表された感知電極層511は更に検出部511a、測温抵抗体511bを備える。また、図1中右側の白抜きで表された感知電極層512は更に検出部512aを備える。検出部511a,512aがヒータ層3の上側であって図1中の左右方向に交差するようにしている。
測温は、ガス感応層52の抵抗値測定用の感知電極層511,512のうち、左側の斜線部で表された一方の感知電極層511,検出部511a,測温抵抗体511bを使用する。
図1中の左側の斜線部で表された、一方の感知電極層511は検出部511aと電気的・熱的に接続され、さらにこの検出部511aを介して測温抵抗体511bとも電気的・熱的に接続される。つまり感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bは、まとめて一の導電体である。さらに感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bは、後述するがヒータ層3の温度変化に追従して温度変化する。これら感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bは、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、または、PdとPtとを含む合金による層であり、下側には密着性を向上させるためタンタル(Ta)層を併せて形成する。なお、このタンタル(Ta)層を省略してもある程度の密着性を確保できるため、下地となる電気絶縁層4にタンタル(Ta)層を省略して直接感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bを形成した構成を採用しても良い。
感知電極層511は、ガス選択燃焼層53から外部に突出して電気的に接続可能になされている。
検出部511aは、感知電極層511の一方に電気的に接続されており、図1でも明らかなように、波状曲線状のヒータ層3の上側で交差するようになされており、電気絶縁層4を介してヒータ層3からの熱を受熱して温度上昇し易く形成されている。
測温抵抗体511bは、検出部511aの一方に電気的に接続されており、ガス選択燃焼層53から外部に突出して電気的に接続可能になされている。感知電極層511と測温抵抗体511bとは同一形状(図1では長方形)に形成される。
図1中の右側における、一方の感知電極層512は検出部512aと電気的・熱的に接続される。つまり感知電極層512、検出部512aは、まとめて一の導電体である。さらに感知電極層512、検出部512aは後述するがヒータ層3の温度変化に追従して温度変化する。これら感知電極層512、検出部512aは、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、または、PdとPtとを含む合金による層であり、下側には密着性を向上させるためタンタル(Ta)層を併せて形成する。なお、このタンタル(Ta)層を省略してもある程度の密着性を確保できるため、下地となる電気絶縁層にタンタル(Ta)層を省略して直接感知電極層512、検出部512aを形成した構成としても良い。
図1中の右側における、感知電極層512は、ガス選択燃焼層53から外部に突出して電気的に接続可能になされている。
検出部512aは、感知電極層512の一方に電気的に接続されており、図1でも明らかなように波状曲線状のヒータ層3の上側で交差するようになされており、電気絶縁層4を介してヒータ層3からの加熱により温度上昇し易く形成されている。なお、右側には測温抵抗体は形成されない。
回路系は、図2,図3で示すように構成される。まず、図3の上側で示すように、直列に接続された感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bには測温検出部6が接続される。また、図3の中側で示すように、ヒータ層3にはヒータ層駆動部7が接続される。さらにまた、図3の下側で示すように、直列に接続された感知電極層511、検出部511a、ガス感応層52、検出部512a、感知電極層512にはガス感応層検出部8が接続される。これら測温検出部6、ヒータ層駆動部7およびガス感応層検出部8は信号処理・駆動部9に接続される。
続いて、このような感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bの抵抗測定に基づくヒータ層3の温度駆動について説明する。
まず、信号処理・駆動部9は、測温検出部6から出力された電圧信号を取得する手段として機能する。
測温検出部6は、図2(a)で示すように、一定電圧Vtを印加する電源部61、シャント抵抗両端電圧Vstを取得するためのシャント抵抗62を備える。この場合直列に接続された感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bの合成抵抗がRtになる。Rtは次式から算出される。
Figure 0005115411
ここにシャント抵抗62の抵抗値Rstは信号処理・駆動部9の図示しないメモリに予め登録されて読み出し可能であり、また、電源部61の印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstは計測により取得される。従ってRtを算出することができる。測温検出部6は電源部61の印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstの検出を行う。そして、信号処理・駆動部9は、電源部61の印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstについての電圧信号を測温検出部6から取得する。
信号処理・駆動部9は、印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstから上記数1によりRtを算出する算出手段として機能する。
信号処理・駆動部9は、算出したRtから温度を算出する算出手段として機能する。この信号処理・駆動部9には、図示しない内蔵メモリにRtの抵抗値に一対一で対応する温度値を予め登録しており(あるいは一定範囲の抵抗値(例えば10kΩから15kΩという範囲の抵抗値)に一対一で対応する温度値を予め登録しており)、抵抗値を温度値に変換する。さらには最小自乗法等で割り出した変換式に抵抗値を代入して温度値を生成するようにしても良い。この抵抗値に一対一で対応する温度値を登録する際、ヒータ層3ではなく、外部からの加熱によりこれら決定を行えば、温度の客観性を担保できる。次にヒータ層3に印加するパワーを決める際に、測温抵抗体の抵抗値により、所望のパワーを印加することが可能となる。これら方法により温度を取得する。
信号処理・駆動部9は、算出した温度と目標の温度とを比較し、ヒータ層3が目標の温度に近づくようにヒータ層駆動部7を制御するヒータ層駆動手段として機能する。例えば、設定された温度値から計測により求めた温度値を差し引いて差分値を求め、差分値が正で実際の温度が低いならば温度上昇させるように制御し、また、差分値が負で実際の温度が高いならば温度下降させるように制御する。このような制御を繰り返し(例えば数m秒毎)行って設定温度を維持する。ヒータ層3の駆動制御はこのようなものである。
なお、薄膜ガスセンサ100ではガス検知を行うため、図2(b)で示すような回路によりガス感応層52の抵抗値を測定する。
ガス感応層検出部8は、図2(b)で示すように、一定電圧Vsを印加する電源部81、シャント抵抗両端電圧Vssを取得するためのシャント抵抗82を備える。この場合直列に接続された感知電極層511、検出部511a、ガス感応層52、検出部511b、感知電極層512の合成抵抗がRsになる。Rsは次式のようになる。
Figure 0005115411
ここにシャント抵抗82の抵抗値Rssは予め登録され、また、電源部81の印加電圧Vsやシャント抵抗両端電圧Vssは計測により取得される。従ってRsを算出することができる。ガス感応層検出部8は電源部81の印加電圧Vsやシャント抵抗両端電圧Vssの検出を行う。そして、信号処理・駆動部9は、ガス感応層検出部8から印加電圧Vsやシャント抵抗両端電圧Vssについての検出信号を取得する手段として機能する。
信号処理・駆動部9は、印加電圧Vsやシャント抵抗両端電圧Vssから上記数2によりRsを算出する算出手段として機能する。
信号処理・駆動部9は、算出したRsの変化に基づいて一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH)、プロパンガス(C)、エタノール蒸気(COH)等の有無を検知することとなる。ガス検出はこのようにして行われる。
なお、Rsの値は感知電極層511、検出部511a、検出部511b、感知電極層512も含むものとしたため、感知電極層511、検出部511a、検出部511b、感知電極層512の温度変化による抵抗値の変化も含まれるものとなるが、先に従来技術で説明したようにガス検出時は、例えば500℃という決まった値であるため、ガス検出時における感知電極層511、検出部511a、検出部511b、感知電極層512の抵抗値も一定値である。そこで、信号処理・駆動部9に算出したRsが感知電極層511、検出部511a、検出部511b、感知電極層512の変化も含めた判断基準によりガス検出を行うように判断基準を設定すれば、感知電極層511、検出部511a、検出部511b、感知電極層512の温度変化による影響も回避できる。
続いてこのような薄膜ガスセンサ100の製造方法について説明する。
まず、板状のシリコンウェハ(図示せず)の表裏両面には、熱酸化法により熱酸化が施されて膜圧0.3μmの熱酸化SiO膜が形成される。熱酸化層21は一方の面に形成された熱酸化SiO膜が該当する。
CVD―Si層22は、熱酸化層21の上面に設けられる。このCVD―Si層22は、プラズマCVD法を用いるものであり、詳しくは平行平板型プラズマCVD装置で約300℃の温度でSiH+NH+Nガスの雰囲気下で堆積して形成した膜圧0.10μmのCVD―Si膜である。
CVD―SiO層23は、CVD―Si層22の上面に設けられる。このCVD―SiO層23は、プラズマCVD法を用いるものであり、詳しくは平行平板型プラズマCVD装置において約300℃の温度でSiH+NO+Nガスの雰囲気下で堆積して形成した膜圧1μmのCVD―SiO膜である。
ここまで製造したウェハは、管状炉で550℃×1時間(20%O/N)でアニールされる。このアニールによりウェハは、脱ガスされる。
このようにして形成された熱絶縁支持層2は、図9からも明らかなように、ダイアフラム構造の支持層となる。
ヒータ層3は、熱絶縁支持層2の上面に設けられる。このヒータ層3は、Ta/PtWヒータである。さらに電気絶縁層4は、熱絶縁支持層2とヒータ層3との上面に設けられる。この電気絶縁層4は、SiO絶縁層である。
ヒータ層3と電気絶縁層4との形成方法は、まず熱絶縁支持層2の上面に下側接合層として機能するTaを10nmの膜厚に形成する。次いでこの下側接合層Taの上面にヒータ層として機能するPtW(Pt+4wt%W)膜を400nmの膜厚に形成する。これらの成膜はRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、通常のスパッタリング方法によって行う。Arガス圧力は1Pa、成膜温度は300℃、RFパワーは2W/cmである。
このようにして形成したTa/PtW層に対し、さらに微細加工によりヒータパターンを形成する。ヒータパターンは、図10で示すように、波形曲線状となる。ヒータパターンの一部は電源供給ライン、電極パッドとなる。ウェットエッチングのエッチャントとして、Taには水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液、Ptには王水をそれぞれ90℃に加熱して用いた。
続いて、ヒータパターンが形成されたTa/PtW層の上面に、スパッタ法によりSiO絶縁膜を1000nmの膜厚に形成する。そして、このSiO絶縁膜にHFにてエッチングによる微細加工によってヒータの電極パッド部分(図示せず)を窓開けする。次いで窓内には、導通の確保とワイヤボンディング性を向上するため、水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液で除去した電極パッドを形成する。このようにしてヒータ層3と電気絶縁層4とが一度に形成される。
感知電極層511,512は、下地の電気絶縁層4との密着性を向上させるため、電気絶縁層4の上面側に形成された接合層(Ta層)の上面に形成される。
この一対の感知電極層511,512の形成方法は、まず、接合層および電極層の成膜をする。この成膜は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、通常のスパッタリング法によって行う。成膜条件は接合層(Ta)、電極層(Pt)、ともに同じで、Arガス圧力は1Pa、成膜温度は300℃、RFパワーは2W/cmである。膜厚は接合層となるTaが10nm、電極層となるPtが200nmとする。なお、接合層(Ta)を形成しない場合では電極層(Pt)のみスパッタリングすることとなる。
このようにして形成したTa/Pt層に対し、さらに微細加工により感知電極パターンを形成する。感知電極パターンの一部は信号ラインとなる。ウェットエッチングのエッチャントとして、Taには水酸化ナトリウムと過酸化水素混合液、Ptには王水をそれぞれ90℃に加熱して用いた。最終的に、膜厚が10nmの接合層、および、この接合層の上に膜圧が200nmの電極層が形成されて、検出部511aや測温抵抗体511bを含む感知電極層511や、検出部512aを含む感知電極層512が形成される。感知電極層511,512のパターンは、図1で示すようなパターンとなる。特にヒータ層3の上側に検出部511a,512aがあるように配置されてヒータ層3の温度が検出部511a,512aまで伝わり易くしている。これらは一対形成される。そして、この感知電極層511,512に接合する信号ラインも形成される。
ガス感応層52は、感知電極層511の検出部511aと感知電極層512の検出部512aの間を渡されるように電気絶縁層4上に設けられる。ガス感応層52は、Sb―doped SnO膜である。
このガス感応層52の形成方法は、まず、レジストで全面を覆った後に、微細加工でガス感応層52を成膜する部分(検出部511a,512aの上面、および、検出部511a,512aの間の部分)のみレジストを除去する。これにより、開口部以外をレジストで被覆したパターンを形成する。この開口部のサイズは、例えば、100μm□となる。
次に、上記のパターニングが施されたウェハをスパッタチャンバにセットし、ガス感応層となるSnO薄膜をスパッタ成膜する。成膜条件はAr+Oガス圧力が2Pa、基板温度が150℃〜300℃、RFパワー2W/cmである。
所定厚みとなるようにSnO薄膜をスパッタで成膜した後、レジストリフトオフ法でレジストの除去と同時に不要部分(レジスト上)に付着したSnO薄膜を除去する。そして400nm厚みのSnO薄膜が成膜される。このようにして形成されたガス感応層52の大きさは、100μm□程度となる。
ガス選択燃焼層53は、電気絶縁層4、検出部511aや測温抵抗体511bを含む感知電極層511、検出部512aを含む感知電極層512およびガス感応層52を覆うように形成される。このガス選択燃焼層53は、Pd、Pt、または、PdとPtとを含む合金のいずれかによる触媒を担持したアルミナ粉末、バインダおよび有機溶剤を混合調製した印刷ペーストをスクリーン印刷で感知膜の表面を覆うように塗布印刷し、室温で乾燥後、空気中において550℃で1時間焼き付け、焼成させて形成される。先に説明したように下地となる熱絶縁支持層2はアニールにより550℃まで脱ガスが施されており、このガス選択燃焼層53の焼成時に膨れ・剥離の発生は起こらない。このようにして形成したガス選択燃焼層53の大きさは、約30μm厚であり、ガス感応層52を十分に覆う大きさとする。ガス感応層52はスクリーン印刷により厚みが薄く形成されている。このガス選択燃焼層53により感度、ガス種選択性、信頼性が向上する。
最後にシリコンウェハ(図示せず)は、その裏面から微細加工プロセスとしてドライエッチングによりシリコンが除去され、400μm径の貫通孔が形成されたSi基板1となる。その後にウェハからチップを切り出してこれによりダイアフラム(DP)構造の薄膜ガスセンサ100となる。
薄膜ガスセンサ100の製造方法はこのようなものである。
このような本発明の薄膜ガスセンサによれば、以下のような利点を有する。
一般に薄膜ガスセンサによれば、ウェハ内の面内バラツキに加え、ウェハ毎のヒータ層3の厚さおよび組成のバラツキに起因してヒータ層3の抵抗値は必ずしも一定値ではなく発熱温度にばらつきを生じるが、本発明によれば、ヒータ層3の抵抗値が一定値でないような場合でも、ヒータ層3の出力電力や発熱温度が最適になるようにヒータ層駆動部7が温度制御を行う。特にガス感応層52に近い位置で温度を検出する。このため、検出対象である被検出ガス感度が最大となり、かつ、検出対象ではない非検出ガス感度が最小となるセンサ温度で稼働される薄膜ガスセンサとすることができる。また、長期にわたる駆動の結果、ヒータ層3の劣化等により、ヒータ層3の温度係数が変化した場合にも、感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bの抵抗値をモニタリングすることにより、印加パワーを修正してさせ、所望の温度を得ることができる。
続いて、他の形態における薄膜ガスセンサについて図を参照しつつ説明する。図4は他の形態の薄膜ガスセンサのうち感知電極層の構成図、図5は測温・ガス検出用回路ブロックの回路ブロック図である。この形態の薄膜ガスセンサとは、先に図1〜図3,図9を用いて説明した形態の薄膜ガスセンサと比較すると、両側の感知電極層511,512にそれぞれ検出部511a,512aや測温抵抗体511b,512bが追加された点が異なる以外は、Si基板1、熱酸化層21、CVD―Si層22、CVD―SiO層23の三層構造による熱絶縁支持層2、ヒータ層3、電気絶縁層4、ガス感応層52、ガス選択燃焼層53の構成・機能が同じであり、重複する説明を省略するものとし、相違する構成についてのみ説明する。
図4で示すように、左右同じ構造の感知電極層511,512、検出部511a,512a、測温抵抗体511b,512bを備える。図1中左側の斜線部で表された感知電極層511は更に検出部511a、測温抵抗体511bを備える。また、図1中右側の斜線部で表された感知電極層512は更に検出部512a、測温抵抗体512bを備える。両側の感知電極層の形状としては同じであり、検出部511a,512aがヒータ層3の上側であって図4の左右方向に交差するようにしている。
両側の感知電極層511,512にそれぞれ検出部511a,512aや測温抵抗体511b,512bが接続されているが、測温は、左側の斜線部で表された一方の感知電極層511,検出部511a,測温抵抗体511bのみを使用する。
図1中の左側の斜線部で表された、一方の感知電極層511は検出部511aと電気的・熱的に接続され、さらにこの検出部511aを介して測温抵抗体511bとも電気的・熱的に接続される。つまり感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bは、まとめて一の導電体である。さらに感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bは、後述するがヒータ層3の温度変化に追従して温度変化する。これら感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bは、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、または、PdとPtとを含む合金による層であり、下側には密着性を向上させるためタンタル(Ta)層を併せて形成する。なお、このタンタル(Ta)層を省略してもある程度の密着性を確保できるため、下地となる電気絶縁層4にタンタル(Ta)層を省略して直接感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bを形成した構成を採用しても良い。
感知電極層511は、ガス選択燃焼層53から外部に突出して電気的に接続可能になされている。
検出部511aは、感知電極層511の一方に電気的に接続されており、図4でも明らかなように、波状曲線状のヒータ層3の上側で交差するようになされており、電気絶縁層4を介してヒータ層3からの熱を受熱して温度上昇し易く形成されている。
測温抵抗体511bは、検出部511aの一方に電気的に接続されており、ガス選択燃焼層53から外部に突出して電気的に接続可能になされている。感知電極層511と測温抵抗体511bとは同一形状(図4では長方形)に形成される。
このような構成は図4中の右側における、他方の感知電極層512、他方の検出部512aおよび他方の測温抵抗体512bでも同様であり、重複する説明を省略する。
また、回路系は、図3,図5で示すように構成される。全体の回路ブロックは図3に示す先の形態と同じである。まず、図3の上側で示すように、直列に接続された感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bには測温検出部6が接続される。また、図3の中側で示すように、ヒータ層3にはヒータ層駆動部7が接続される。さらにまた、図3の下側で示すように、直列に接続された感知電極層511、検出部511a、ガス感応層52、検出部512a、感知電極層512にはガス感応層検出部8が接続される。これら測温検出部6、ヒータ層駆動部7およびガス感応層検出部8は信号処理・駆動部9に接続される。測温・ガス検出用回路ブロックでは、図2(a),(b)で示した回路がまとめられたものである。
このような感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bの抵抗測定に基づくヒータ層3の温度駆動制御、および、ガス検出制御は先に図1〜図3,図9を用いて説明した形態と同じであり、重複する説明を省略する。さらに、薄膜ガスセンサの製造方法については先に説明した形態と比較すると、一方の感知電極層512および検出部512aの形成においてさらに測温抵抗体512bを併せて形成する点、つまり感知電極層のパターンを変更する点を除いては同じ製造方法であるため、重複する説明を省略する。
このような本発明の薄膜ガスセンサによれば、以下のような利点を有する。
先に図1〜図3,図9を用いて説明した形態では、一方では感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bを備えるが他方では感知電極層511、検出部511aのみであって測温抵抗体がないという形状の相違があり、測温抵抗体の抵抗値をモニタリング中に、ガス濃度が高くなってガス感知膜の抵抗が低下すると、形状の相違による抵抗値の相違から電位差が生じ、漏れ電流による誤差が生じる。しかし、本形態では、左右両側で同じ形状として抵抗値を同じくしたため検出部511a,511b間の電位は等しくなるように機能し、電極間での漏れ電流は発生しない。これにより漏れ電流に影響されることなくガス感応層52の抵抗値を精度良く計測できるようにした。
さらに、本発明によれば、製造時のばらつきによりヒータ層3の抵抗値が一定値でないような場合でも、ヒータ層3の出力電力や発熱温度が最適になるようにヒータ層駆動部7が温度制御を行って温度を一定にする。特にガス感応層52に近い位置で温度を検出する。このため、検出対象である被検出ガス感度が最大となり、かつ、検出対象ではないガス非検出ガス感度が最小となるセンサ温度で稼働される薄膜ガスセンサとすることができる。また、長期にわたる駆動の結果、ヒータ層3の劣化等により、ヒーターの温度係数が変化した場合にも、感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bの抵抗値をモニタリングすることにより、印加パワーを変化させ、所望の温度を得ることができる。
続いて、他の形態における薄膜ガスセンサについて図を参照しつつ説明する。図6は他の形態の薄膜ガスセンサのうち感知電極層の構成図、図7は測温・ガス検出用回路ブロックの回路ブロック図、図8は薄膜ガスセンサの全体の回路ブロック図である。この形態の薄膜ガスセンサとは、先に図1〜図3,図9を用いて説明した薄膜ガスセンサと比較すると、両側の感知電極層511,512にそれぞれ検出部511a,512aや測温抵抗体511b,512bが追加され、さらに左右両側で電圧測定して測温する以外は、Si基板1、熱酸化層21、CVD―Si層22、CVD―SiO層23の三層構造による熱絶縁支持層2、ヒータ層3、電気絶縁層4、ガス感応層52、ガス選択燃焼層53の構成・機能が同じであり、重複する説明を省略するものとし、相違する構成についてのみ説明する。
図6で示すように、左右同じ構造の感知電極層511,512、検出部511a,512a、測温抵抗体511b,512bを備える。図1中左側の斜線部で表された感知電極層511は更に検出部511a、測温抵抗体511bを備える。また、図1中右側の斜線部で表された感知電極層512は更に検出部512a、測温抵抗体512bを備える。両側の感知電極層511,512や測温抵抗体511a,511bの形状としては同じであるが、検出部511a,512aの形状が相違しており、さらにヒータ層3の上側であって左右で交差するようにしている。
両側の感知電極層511,512にそれぞれ検出部511a,512aや測温抵抗体511b,512bが接続されており、測温も、ガス感応層52の抵抗値測定用の両側の感知電極層511,512、検出部511a,512a、測温抵抗体511b,512bを使用する。
図1中の左側の斜線部で表された、一方の感知電極層511は検出部511aと電気的・熱的に接続され、さらにこの検出部511aを介して測温抵抗体511bとも電気的・熱的に接続される。つまり感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bは、まとめて一の導電体である。さらに感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bは、後述するがヒータ層3の温度変化に追従して温度変化する。これら感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bは、Pd(パラジウム)、Pt(白金)またはPdとPtとを含む合金による層であり、下側には密着性を向上させるためタンタル(Ta)層を併せて形成する。なお、このタンタル(Ta)層を省略してもある程度の密着性を確保できるため、下地となる電気絶縁層4にタンタル(Ta)層を省略して直接感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bを形成した構成を採用しても良い。
感知電極層511は、ガス選択燃焼層53から外部に突出して電気的に接続可能になされている。
検出部511aは、感知電極層511の一方に電気的に接続されており、図6でも明らかなように、波状曲線状のヒータ層3の上側で交差するようになされており、電気絶縁層4を介してヒータ層3からの加熱を受熱して温度上昇し易く形成されている。
測温抵抗体511bは、検出部511aの一方に電気的に接続されており、ガス選択燃焼層53から外部に突出して電気的に接続可能になされている。感知電極層511と測温抵抗体511bとは同一形状(図6では長方形)に形成される。
このような構成は図6中の右側における、他方の感知電極層512、他方の検出部512aおよび他方の測温抵抗体512bでも同様であり、重複する説明を省略する。なお、検出部511aと検出部512aとを比較すると、図6からも明らかなように、長さを相違させており、抵抗値が相違するようにしている。この点については後述する。
また、回路系は、図7,図8で示すように構成される。まず、図8の上側で示すように、直列に接続された感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bには第1測温検出部6aが接続される。図8の上から2番目で示すように、直列に接続された感知電極層512、検出部512a、測温抵抗体512bには第2測温検出部6bが接続される。また、図8の上から3番目で示すように、ヒータ層3にはヒータ層駆動部7が接続される。さらにまた、図8の下側で示すように、直列に接続された感知電極層511、検出部511a、ガス感応層52、検出部512a、感知電極層512にはガス感応層検出部8が接続される。これら第1測温検出部6a、第2測温検出部6b、ヒータ層駆動部7およびガス感応層検出部8は信号処理・駆動部9に接続される。
続いて、このような感知電極層511,512、検出部511a,512a、測温抵抗体511b,512bの抵抗測定に基づくヒータ層3の温度駆動について説明する。
まず、信号処理・駆動部9は、第1測温検出部6a,第2測温検出部6bから出力された電圧信号を取得する手段として機能する。
第1測温検出部6aは図7で示すように一定電圧Vtを印加する電源部61、シャント抵抗両端電圧Vstを取得するためのシャント抵抗62を備える。この場合直列に接続された感知電極層511、検出部511a、測温抵抗体511bの合成抵抗がRtになる。Rtは上記数1から算出される。
ここにシャント抵抗62の抵抗値Rstは信号処理・駆動部9の図示しないメモリに予め登録されているため読み出し可能であり、また、電源部61の印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstは計測により取得される。第1測温検出部6aは電源部61の印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstの検出を行う。信号処理・駆動部9は、電源部61の印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstについての電圧信号を第1測温検出部6aから取得する。
また、第2測温検出部6bは図7で示すように一定電圧Vtを印加する電源部63、シャント抵抗両端電圧Vstを取得するためのシャント抵抗64を備える。この場合直列に接続された感知電極層512、検出部512a、測温抵抗体512bの合成抵抗がRtになる。Rtは上記数1から算出される。
ここにシャント抵抗64の抵抗値Rstは信号処理・駆動部9の図示しないメモリに予め登録されているため読み出し可能であり、また、電源部63の印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstは計測により取得される。第2測温検出部6bは電源部63の印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstの検出を行う。信号処理・駆動部9は、電源部63の印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstについての電圧信号を第2測温検出部6bから取得する。
信号処理・駆動部9は、印加電圧Vtやシャント抵抗両端電圧Vstから上記数1によりRtを算出する算出手段として機能する。この場合、第1測温検出部6aと第2測温検出部6bとで別々にRtを算出する。
信号処理・駆動部9は、算出した二値のRtから差分抵抗値を算出する算出手段として機能する。検出部511aと検出部512aとの長さを相違から抵抗値が相違するため、特にヒータ層3の直上で温度変化が確実になされる検出部511aと検出部512aとの抵抗値の差分値が得られる。両者の抵抗値の差分を取ることにより、感知電極層511,512、測温抵抗体511b,512bの温度が上昇しない箇所の抵抗値の影響をなくすることができる。
信号処理・駆動部9は、図示しない内蔵メモリに抵抗値の差分値に一対一で対応する温度値を予め登録しており(あるいは一定範囲の差分値(例えば5Ωから10Ωという範囲の抵抗値)に一対一で対応する温度値を予め登録しており)、差分値に対して温度値に変換する。さらには最小自乗法等で割り出した変換式に差分値を代入して温度値を生成するようにしても良い。この差分値に一対一で対応する温度値を登録する際、ヒータ層3ではなく、外部からの加熱によりこれら決定を行えば、温度の客観性を担保できる。次にヒータ層3に印加するパワーを決める際に、検出部511a,512aの差分値により、所望のパワーを印加することが可能となる。これら方法により温度を取得する。
信号処理・駆動部9は、算出した温度と目標の温度とを比較し、ヒータ層3が目標の温度に近づくようにヒータ層駆動部7を制御するヒータ層駆動手段として機能する。例えば、設定された温度値から先に求めた温度値を差し引いて温度の差分値を求め、温度の差分値が正で実際の温度が低いならば温度上昇させるように制御し、また、温度の差分値が負で実際の温度が高いならば温度下降させるように制御する。このような制御を繰り返し(例えば数m秒毎)行って設定温度を維持する。ヒータ層3の駆動制御はこのようなものである。
なお、薄膜ガスセンサ100ではガス検知を行うため、図7で示すような回路によりガス感応層52の抵抗値を測定する。
ガス感応層検出部8は、図7で示すように、一定電圧Vsを印加する電源部81、シャント抵抗両端電圧Vssを取得するためのシャント抵抗82を備える。この場合直列に接続された知電極層511、検出部511a,ガス感応層52、検出部512a、感知電極層512の合成抵抗がRsになる。Rsは上記数2から算出される。
ここにシャント抵抗82の抵抗値Rssは予め登録されて読み出し可能になされており、また、電源部81の印加電圧Vsやシャント抵抗両端電圧Vssは計測により取得される。信号処理・駆動部9は、ガス感応層検出部8から印加電圧Vsやシャント抵抗両端電圧Vssについての検出信号を取得する手段として機能する。
信号処理・駆動部9は、印加電圧Vsやシャント抵抗両端電圧Vssから上記数2によりRsを算出する算出手段として機能する。
信号処理・駆動部9は、算出したRsの変化に基づいて一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH)、プロパンガス(C)、エタノール蒸気(COH)等の有無を検知することとなる。ガス検出はこのようにして行われる。
なお、Rsの値は感知電極層511,512、検出部511a,512aも含むものとしたため、感知電極層511,512、検出部511a,512aの温度変化による抵抗値の変化も含まれるものとなるが、先に従来技術で説明したようにガス検出時は、例えば500℃という決まった値であるため、感知電極層511,512、検出部511a,512aの抵抗値も一定値である。そこで、信号処理・駆動部9に算出したRsが感知電極層511,512、検出部511a,512aの変化も含めた判断基準によりガス検出を行えば、感知電極層511,512、検出部511a,512aの温度変化による影響も回避できる。なお、薄膜ガスセンサの製造方法については先に説明した形態と比較すると、単に感知電極層512および検出部512aの形成においてさらに測温抵抗体512bを併せて形成する点、つまり感知電極層のパターンを変更する点を除いては同じ製造方法であるため、重複する説明を省略する。
このような本発明の薄膜ガスセンサによれば、以下のような利点を有する。
両者の抵抗値の差分を取ることにより、測温抵抗体の温度が上昇しない箇所の抵抗値の影響をなくすることができ、計測精度の向上を実現する。
また、ばらつきによりヒータ層3の出力電力や発熱温度が最適になるようにヒータ層駆動部が温度制御を行う。特にガス感応層52に近い位置で温度を検出する。このため、検出対象である被検出ガス感度が最大となり、かつ、検出対象ではない非検出ガス感度が最小となるセンサ温度で稼働される薄膜ガスセンサとすることができる。また、長期にわたる駆動の結果、ヒータ層3の劣化等により、ヒータ層3の温度係数が変化した場合にも、感知電極層511,512、検出部511a,512a、測温抵抗体511b,512bの抵抗値をモニタリングすることにより、印加パワーを変化させ、所望の温度を得ることができる。
また、本形態では、左右両側でほぼ同じ形状として抵抗値をほぼ同じくしたため検出部511a,511b間の電位はほぼ等しくなるように機能し、電極間での漏れ電流は発生しない。これにより漏れ電流に影響されることなくガス感応層52の抵抗値を精度良く計測できるようにした。
以上のように本発明によれば、ガス感知膜抵抗値測定用の電極を測温抵抗体として利用し、センサ個々のヒータ温度を直接感知し、所定の温度になるような電力をヒータ層に印加することにより解決できる。測温抵抗体を用いれば、ガス感知膜の温度を正確に制御可能となり、精度の良い薄膜ガスセンサの提供が可能となる。
本発明を実施するための最良の形態における薄膜ガスセンサのうち感知電極層の構成図である。 測温・ガス検出用回路ブロックの説明図であり、図2(a)は測温用回路の回路ブロック図、図2(b)はガス検出用回路の回路ブロック図である。 薄膜ガスセンサの全体の回路ブロック図である。 他の形態の薄膜ガスセンサのうち感知電極層の構成図である。 測温・ガス検出用回路ブロックの回路ブロック図である。 他の形態の薄膜ガスセンサのうち感知電極層の構成図である。 測温・ガス検出用回路ブロックの回路ブロック図である。 薄膜ガスセンサの全体の回路ブロック図である。 薄膜ガスセンサを概略的に示す縦断面図である。 ヒータ層形成の説明図である。 感知電極層形成の説明図である。 ガス感応層形成の説明図である。 ガス選択燃焼層形成の説明図である。
符号の説明
100:薄膜ガスセンサ
1:Si基板
2:絶縁支持層
21:熱酸化層
22:CVD−Si
23:CVD−SiO
3:ヒータ層(Ta/PtW/Taヒータ)
4:電気絶縁層(SiO絶縁層)
5:ガス検出部
511:感知電極層(Pt/Ta層)
511a:検出部
511b:測温抵抗体
512:感知電極層(Pt/Ta層)
512a:検出部
512b:測温抵抗体
52:ガス感応層(SnO層)
53:ガス選択燃焼層(触媒担持多孔質アルミナ)
6:測温検出部
6a:第1測温検出部
6b:第2測温検出部
61:電源部
62:シャント抵抗
63:電源部
64:シャント抵抗
7:ヒータ層駆動部
8:ガス感応層検出部
81:電源部
82:シャント抵抗

Claims (7)

  1. 吸着したガスによりその電気抵抗値が変化するガス感応層と、
    ガス感応層の離れた二カ所に設けられる一対の感知電極層と、
    一対の感知電極層のうち一方に電気的に接続される測温抵抗体と、
    ガス感応層、一対の感知電極層および測温抵抗体の近傍に設けられて、これらガス感応層、一対の感知電極層および測温抵抗体を加熱するヒータ層と、
    前記感知電極層および前記測温抵抗体の温度に応じた抵抗値の変化を電圧の変化として検出する測温検出部と、
    ヒータ層を駆動するヒータ層駆動部と、
    測温検出部およびヒータ層駆動部が接続される信号処理・駆動部と、
    を備え、この信号処理・駆動部は、
    測温検出部から出力された電圧に基づいて温度を算出する温度算出手段と、
    算出した温度と目標の温度とを比較し、ヒータ層を目標の温度に近づけるようにヒータ層駆動部を制御するヒータ層駆動手段と、
    として機能することを特徴とする薄膜ガスセンサ。
  2. 吸着したガスによりその電気抵抗値が変化するガス感応層と、
    ガス感応層の離れた二カ所に設けられる一対の感知電極層と、
    一対の感知電極層にそれぞれ電気的に接続される一対の測温抵抗体と、
    ガス感応層、一対の感知電極層および一対の測温抵抗体の近傍に設けられて、これらガス感応層、一対の感知電極層および一対の測温抵抗体を加熱するヒータ層と、
    一方の前記感知電極層およびこの感知電極層に接続される一方の前記測温抵抗体の温度に応じた抵抗値の変化を電圧の変化として検出する測温検出部と、
    ヒータ層を駆動するヒータ層駆動部と、
    測温検出部およびヒータ層駆動部が接続される信号処理・駆動部と、
    を備え、この信号処理・駆動部は、
    測温検出部から出力された電圧に基づいて温度を算出する温度算出手段と、
    算出した温度と目標の温度とを比較し、ヒータ層を目標の温度に近づけるようにヒータ層駆動部を制御するヒータ層駆動手段と、
    として機能することを特徴とする薄膜ガスセンサ。
  3. 吸着したガスによりその電気抵抗値が変化するガス感応層と、
    ガス感応層の離れた二カ所に設けられる一対の感知電極層と、
    一対の感知電極層にそれぞれ電気的に接続される一対の測温抵抗体と、
    ガス感応層、一対の感知電極層および一対の測温抵抗体の近傍に設けられて、これらガス感応層、一対の感知電極層および一対の測温抵抗体を加熱するヒータ層と、
    一方の前記感知電極層およびこの感知電極層に接続される一方の前記測温抵抗体の温度に応じた抵抗値の変化を電圧の変化として検出する第1測温検出部と、
    他方の前記感知電極層およびこの感知電極層に接続される他方の前記測温抵抗体の温度に応じた抵抗値の変化を電圧の変化として検出する第2測温検出部と、
    ヒータ層を駆動するヒータ層駆動部と、
    第1測温検出部、第2測温検出部およびヒータ層駆動部が接続される信号処理・駆動部と、
    を備え、この信号処理・駆動部は、
    第1測温検出部および第2測温検出部から出力された電圧に基づいて温度を算出する温度算出手段と、
    算出した温度と目標の温度とを比較し、ヒータ層を目標の温度に近づけるようにヒータ層駆動部を制御するヒータ層駆動手段と、
    として機能することを特徴とする薄膜ガスセンサ。
  4. 前記薄膜ガスセンサは、貫通孔を有するSi基板と、
    この貫通孔の開口部に張られるダイアフラム様の熱絶縁支持層と、
    この熱絶縁支持層上に設けられる前記ヒータ層と、
    前記熱絶縁支持層および前記ヒータ層を覆うように設けられる電気絶縁層と、
    この電気絶縁層上に設けられる一対の前記感知電極層と、
    この電気絶縁層および一対の前記感知電極層の上に設けられる前記ガス感応層と、
    を具備することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の薄膜ガスセンサ。
  5. 前記ガス感応層は、SnOにより形成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサ。
  6. 前記薄膜ガスセンサは、更に前記ガス感応層の表面を覆うように設けられ、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、または、PdとPtとを含む合金を触媒として担持したAl焼結材によるガス選択燃焼層を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサ。
  7. 前記測温抵抗体および前記感知電極層は、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、または、PdとPtとを含む合金による層を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の薄膜ガスセンサ。
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