以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る回転型電気部品1の分解斜視図である。図2は、本実施の形態に係る回転型電気部品1の外観を示す斜視図であり、図3は、図2に示す一点鎖線における断面図である。図4は、本実施の形態に係る回転型電気部品1の一部の構成部品を下方側から示す分解斜視図である。図5は、本実施の形態に係る回転型電気部品1に操作つまみ100が取り付けられた状態の外観を示す斜視図である。なお、以下においては、適宜、図1に示す左下方側を「回転型電気部品の前方側」又は単に「前方側」と呼び、同図に示す右上方側を「回転型電気部品の後方側」又は単に「後方側」と呼ぶものとする。
図1に示すように、本実施の形態に係る回転型電気部品1は、概して、上方に開口すると共に、底面部に導電パターン220及び固定接点230が設けられた内部空間を有するケース2と、このケース2の開口を覆うように被せられるカバー3と、このカバー3から一部を露出した状態でケース2の内部空間に収納される操作部材4と、この操作部材4の下方側に配置される継手部材5、回転部材6及び摺動部材7と、操作部材4の前方側に配置される回転押圧部材8及び可動接点板9と、操作部材4の側方側に配置される一対の板ばね10とを備え、回転操作及び押圧操作を受け付け可能に構成されている。
ケース2は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形され、平面視して矩形状をなした概して扁平な箱形状を有している。ケース2の内部空間には、第1収納部201と、この第1収納部201の前方側に配置される第2収納部202とが設けられている。上述した導電パターン220は、第1収納部201の底面部にその一部を露出するように埋設されており、固定接点230は、第2収納部202の底面部にその一部を露出するように埋設されている。なお、このケース2の詳細な構成については後述する。
回転部材6は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形され、概して円盤形状を有している。この回転部材6は、その上面に継手部材5を収容する凹部601が設けられると共に、その下面に摺動部材7が固定される複数の突起602が設けられている。なお、凹部601は、継手部材5を回転部材6の回転軸線と直交する一方向にスライド可能に収容すべく一方向に解放された形状を有している。図1においては、凹部601が前後方向に解放された位置で止まっている状態を示している。また、回転部材6の中央には、後述する支柱部11が挿通される貫通孔603が形成されている。
継手部材5は、例えば、金属材料で成形され、概して平板形状を有している。継手部材5は、互いに直交するそれぞれ一対の第1対向辺部501と、第2対向辺部502とを有している。また、継手部材5の中央には、円形状の開口部503が形成されている。なお、この開口部503の寸法は、後述する支柱部11のヘッド部1102の外周寸法よりも十分に大きく設定されている。
摺動部材7は、例えば、導電性を有する金属製の薄板材料に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより形成され、概してリング形状を有している。摺動部材7の外周側の所定位置には、ケース2の底面部側に延出する複数の摺動子701が設けられている。また、摺動部材7の中央には、後述する支柱部11が挿通される挿通孔702が形成されると共に、その周辺に回転部材6の突起602が挿通される複数の孔703が形成されている。摺動部材7は、これらの孔703に回転部材6の突起602を挿通し、この突起602の先端をかしめること等により固定されるものとなっている。
回転部材6は、凹部601で継手部材5を収容すると共に、突起602に摺動部材7が固定された状態で、ケース2の底面部に形成された固定穴に固定される支柱部11が貫通孔603に挿通されることで、ケース2に対して回転可能に取り付けられる。回転部材6を回転可能に軸支するこの支柱部11は、金属材料で成形され、概して円柱形状を有している。支柱部11の中央近傍には、回転部材6の貫通孔603の径と略同一の径(厳密には貫通孔603の径よりも僅かに小さな径)を有する胴体部1101と、この胴体部1101の上方に連続して設けられ、当該胴体部1101よりも大きな径を有するヘッド部1102とを有している。なお、回転部材6は、摺動部材7の摺動子701の弾性力により持ち上げられる一方、支柱部11のヘッド部1102で上方側への移動を規制された状態で位置決めされている。また、支柱部11の先端には、図3に示すように、胴体部1101よりも細い筒状の取付部1103が設けられており、この取付部1103がケース2の固定穴に圧入、或いは、かしめられることにより、支柱部11はケース2の底面部に固定されるものとなっている。
操作部材4は、回転体として機能するものであり、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形され、円盤形状を有する大径部401と、この大径部401から下方側に突出して設けられた小径部402と、大径部401から上方側に突出して設けられた突出部403とを有している。後述するように、大径部401及び小径部402の内側には、回転部材6等を下方側から収容可能な収容部402a(図3参照)が形成されている。小径部402の外周面には、連続する凹部404aと凸部404bとからなる凹凸部404が設けられている。この凹凸部404は、複数個(好ましくは偶数個)形成されており、後述する板ばね10の係合部1001が係脱可能に構成されている。突出部403は、概して円形状を有しており、その上面中央には、操作つまみ100を固定するためのネジ101(図5参照)が挿入されるネジ穴405が設けられている。
回転押圧部材8は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形され、ケース2の側方側に向けて延在する軸部801と、この軸部801の中央近傍から上方側に延出して設けられた板状を有する当接片802と、軸部801の中央近傍から前方側に延出して設けられた板状を有する押圧片803とを有している。回転押圧部材8は、後述するケース2の軸収容部206に軸部801が収容されると共に、押圧片803を前方側に延出させた状態で第2収納部202の内部に配置されている。
可動接点板9は、導電性を有する金属製の薄板材料を概してドーム形状に加工することにより形成され、後述する第2収納部202の円形凹部205に収容される。可動接点板9は、回転押圧部材8の押圧片803の下方領域であって、その頂部が押圧片803の先端部近傍に対応する位置に配置されている。なお、これらの押圧片803と、可動接点板9との間には、可撓性があり消音効果(静音効果)を有する材料(例えば、ポリイミドからなるテープ)で構成される防塵シート12が配設されている。この防塵シート12は、その下面に形成された粘着面により可動接点板9及び第2収納部202の底面部に貼付されている。
一対の板ばね10は、例えば、金属製の薄板材料に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより形成され、概して長尺形状を有している。これらの板ばね10は、ケース2の前後方向に沿って配置され、後述するケース2のばね収納部218に収納されている。これらの板ばね10は、それぞれ中央近傍に内側(操作部材4側)に突出して設けられた係合部1001と、この係合部1001が形成された部分から前後方向に延出して弾性を有する一対の腕部1002a、1002bとを備えている。ケース2のばね収納部218に収納された状態において、板ばね10は、係合部1001を操作部材4の小径部402(より具体的には小径部402の凹凸部404)に当接させた状態とされる。なお、この板ばね10の詳細な構成については後述する。
カバー3は、例えば、金属製の薄板材料に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより形成され、高低差を有する2つの第1平面部301、第2平面部302を有している。これらの第1平面部301、第2平面部302は、概して矩形状を有しており、それぞれケース2の第1収納部201、第2収納部202に対応する位置に配置される。第1平面部301の中央には、円形状を有する開口部303が形成されている。この開口部303の寸法は、操作部材4の突出部403の外形寸法よりも大きく設定され、当該突出部403が挿通されてスライド移動可能に構成されている。また、第1平面部301の外縁部の所定位置には、後述するケース2の係合片204aと係合する一対の枠部304が設けられている。さらに、第2平面部302の外縁部の所定位置には、ケース2側に垂下する複数の取付片305、306が設けられ、これらの取付片305、306には、後述するケース2の凹部204b、204cと係合する係合片305a、306aが設けられている。さらに、第1平面部301の枠部304の前方側には、取付片307が垂下して設けられている。この取付片307は、後述する端子部221、233と共に、回転型電気部品1が実装される不図示の回路基板に半田等により固定される部分である。
このような構成を有する回転型電気部品1を組み立てると、図2に示すように、各構成部品を収納した第1収納部201、第2収納部202を覆うようにカバー3がケース2に取り付けられる。この場合において、カバー3は、第1平面部301の開口部303から操作部材4の突出部403を露出させた状態で、一対の枠部304でケース2の係合片204aを収容すると共に、取付片305、306の係合片305a、306aをケース2の凹部204b、204cに入り込ませることでケース2に固定された状態となっている。
このように組み立てられた回転型電気部品1の内部においては、図3に示すように、ケース2の第1収納部201の底面部に固定された支柱部11に回転部材6が挿通されており、この回転部材6の下面に摺動部材7が固定される一方、その上面に継手部材5が載置されている。この場合において、摺動部材7の摺動子701は、第1収納部201の底面に設けられた導電パターン220に対して弾接した状態となっている。また、支柱部11のヘッド部1102は、継手部材5の開口部503内に収容された状態となっており、その上方側に突出することはない。
また、操作部材4は、これらの回転部材6や継手部材5等を大径部401及び小径部402の内側の収容部402aに収容した状態で第1収納部201に配設されている。ここで、操作部材4に収容される回転部材6や継手部材5等の状態について図4を用いて説明する。収容部402aの内壁には、図4に示すように、継手部材5の第1対向辺部501と対向配置される被案内部としての一対の対向面部402bが設けられている。継手部材5が第1対向辺部501を例えば、前後方向等の一方向に向けた状態で回転部材6の凹部601に配置され、これらの第1対向辺部501が対向面部402bと対向配置されるように収容部402a内に回転部材6が収容される。このように継手部材5が収容されることで、継手部材5を介して操作部材4の回転動作を回転部材6に伝達することが可能となっている。また、操作部材4と回転部材6とは、継手部材5により、いわゆるオルダム結合されたものとなるので、操作部材4は回転部材6に対して、平行にスライド移動可能となっている。すなわち、継手部材5は、第2対向辺部502が回転部材6の凹部601に案内されることにより、第1の方向である一方側にスライド移動可能となっており、操作部材4は、対向面部402bが継手部材5の第1対向辺部501に案内されて、第1の方向と直交する第2の方向(他方側)にスライド移動できるように構成されている。
一方、第2収納部202の底面には、導電性を有する金属板からなり、固定接点230を構成する中央固定接点231と、周辺固定接点232とが設けられている。可動接点板9は、その周縁部が周辺固定接点232に常に接する一方、操作部材4が操作されていない状態(初期状態)において、頂部の裏面が中央固定接点231から離間するように配設されている。また、回転押圧部材8は、防塵シート12を挟んで押圧片803を可動接点板9上に配置する一方、当接片802が操作部材4の大径部401の周面に当接するように配置されている。回転押圧部材8は、可動接点板9の復帰力により押圧片803が押し上げられ、当接片802が大径部401に付勢された状態とされている。
操作つまみ100は、図2及び図3に示すようにカバー3の上方側に突出した操作部材4の突出部403に固定される。本実施の形態において、操作つまみ100は、図5に示すように、突出部403に設けられたネジ穴405に対してネジ101により固定される。このように固定されることで、操作部材4は、この操作つまみ100と一体的に回転し、或いは、操作部材4の回転軸線と直交状態で交差する方向にスライド移動するように構成されている。これにより、操作つまみ100で回転型電気部品1に対する回転操作及び押圧操作を受け付けることができるものとなっている。
ここで、本実施の形態に係る回転型電気部品1が有するケース2の構成について説明する。図6及び図7は、それぞれ本実施の形態に係る回転型電気部品1が有するケース2の斜視図及び上面図である。本実施の形態に係るケース2においては、例えば、インサート成形により金属板で構成される導電パターン220や固定接点230がその底面部に埋設される。
図6及び図7に示すように、ケース2の第1収納部201の底面には、円環形状を有する凹部203が設けられており、この凹部203に沿って所定の間隔でその一部が露出するように導電性を有する金属板からなる導電パターン220が埋設されている。これらの導電パターン220には端子部221が接続されており、この端子部221は、ケース2の長手方向における側面部204から外部に導出されている。回転部材6の下面に固定された摺動部材7の摺動子701は、回転部材6の回転動作に伴って導電パターン220上を摺動可能に配置され、摺動子701の回転位置に応じた信号が端子部221から出力されるように構成されている。なお、このような導電パターン220と、これに摺接する摺動部材7とで回転体である操作部材4と回転部材6の回転動作を検出する回転検出手段が構成されている。
一方、ケース2の第2収納部202の底面には、円形状を有する凹部(以下、「円形凹部」という)205が設けられており、この円形凹部205の中央に一部が露出するように中央固定接点231が埋設されると共に、この中央固定接点231の周囲に一部が露出するように一対の周辺固定接点232が埋設されている。これらの中央固定接点231、周辺固定接点232には端子部233が接続されており、この端子部233は、ケース2の側面部204から外部に導出されている。可動接点板9は、これらの周辺固定接点232にその周縁部が接触する一方、その下面が中央固定接点231に離間した状態で配置されている。そして、操作部材4の押圧動作に伴って可動接点板9の下面が中央固定接点231に接触するように押圧され、当該接触の有無に応じた信号が端子部233から出力されるように構成されている。なお、このような固定接点230と、これに接離する可動接点板9とで操作部材4の回転軸線と直交状態で交差する方向への押圧動作を検出する押圧検出手段が構成されている。
第1収納部201と第2収納部202との間には、ケース2の短手方向における側面方向に沿って延在するように軸収容部206が設けられている。軸収容部206は、概して長方形状を有する凹部で構成され、回転押圧部材8の軸部801を収容可能な寸法に設けられている。この軸収容部206の後方側には、回転押圧部材8の当接片802が通過可能な連通部207が設けられている。回転押圧部材8は、軸部801が軸収容部206に収容された状態で、連通部207を介して当接片802が操作部材4の大径部401に当接し、操作部材4の押圧動作に応じてケース2の前後方向に揺動可能に配設されている。
第1収納部201において、連通部207の側方に配置される一対の壁面部208には、当該壁面部208よりも低い位置で僅かに後方側に突出する内壁面部209がそれぞれ設けられている。この内壁面部209は、連通部207の端部近傍から側面部204に向けて斜め後方側に延出する形状を有し、第1収納部201に収納された状態の操作部材4の小径部402の第2収納部202寄りにおける外周面と対向配置されている。内壁面部209の側面部204側の端部には、板ばね10の腕部1002aの内側(操作部材4側)の一面を支持する第1支持部210と、腕部1002aの外側(側面部204側)の他面を支持する第2支持部211とが設けられている(図7参照)。そして、これらの第1支持部210と第2支持部211との間には、後述する腕部1002aの折り曲げ部1003aを収納する収納凹部212が設けられている。この場合において、第2支持部211は、側面部204に一体化して設けられている一方、第1支持部210は、側面部204から離間した位置で第2支持部211よりも後方側の位置に設けられている。
また、ケース2の後面部213の両側には、当該後面部213よりも低い位置で僅かに前方側に突出する内壁面部214がそれぞれ設けられている。この内壁面部214は、内壁面部209と同様に、後面部213の端部近傍から側面部204に向けて斜め前方側に延出する形状を有し、第1収納部201に収納された状態の操作部材4の小径部402の後方側寄りにおける外周面と対向配置されている。内壁面部214の側面部204側の端部には、板ばね10の腕部1002bの内側(操作部材4側)の一面を支持する第1支持部215と、腕部1002bの外側(側面部204側)の他面を支持する第2支持部216とが設けられている(図7参照)。そして、これらの第1支持部215と第2支持部216との間には、後述する腕部1002bの折り曲げ部1003bを収納する収納凹部217が設けられている。この場合において、第2支持部216は、側面部204に一体化して設けられている一方、第1支持部215は、側面部204から離間した位置で第2支持部216よりも前方側の位置に設けられている。なお、収納凹部217の操作部材4の小径部402側の内壁には、僅かに第1支持部216側に突出する突出壁217aが設けられている。
このようにケース2の一方の側面部204の近傍において、前方側に設けられた第1支持部210、第2支持部211及び収納凹部212と、後方側に設けられた第1支持部215、第2支持部216及び収納凹部217とで形成される空間でばね収納部218が構成されている。ばね収納部218は、第1収納部201の側面部204に沿ってケース2の前後方向、すなわち、操作部材4の押圧動作方向に延在するように一対設けられている。
なお、側面部204と後面部213との間の外壁面には、カバー3の枠部304に収容される一対の係合片204aが設けられている。また、側面部204における前方側端部には、カバー3の係合片305aを収容する凹部204bが設けられており、側面部204における端子221と端子233との間には、カバー3の係合片306aを収容する凹部204cが設けられている。これらの係合片204a、凹部204b、204cによりカバー3が所定位置に取り付けられるものとなっている。
次に、上述したケース2のばね収納部218に収納される板ばね10の構成について説明する。図8(a)、(b)は、それぞれ本実施の形態に係る回転型電気部品1が有する板ばね10の斜視図、上面図である。なお、図8においては、一対の板ばね10のうち、一方の板ばね10(図1に示す奥側に配置される板ばね10)について説明するが、他方の板ばね10も同様の構成を有するものとする。
図8(a)に示すように、弾性を有する金属板からなる板ばね10は、その中央部分に僅かに前後方向に延在し、操作部材4の小径部402側に突出する係合部1001が設けられている。この係合部1001は、後述するように操作部材4の小径部402の凹部404aと略同一の形状を有している。また、板ばね10は、係合部1001の周辺から回転型電気部品1の前後方向に延出する一対の腕部1002a、1002bを有しており、これらの端部は、上下に二股に分岐した形状を有している。このような腕部1002a、1002bの端部のうち、下方側に配置される部分には、特に図8(b)に示すように、先端部近傍に操作部材4側に略直角(L字状)に折り曲げられた折り曲げ部1003a、1003bが設けられている。一方、上方側に配置される部分には、後述する連結部材1006と連結される連結部1004a、1004bが設けられている。これらの連結部1004a、1004bの上端部には、切断部1005a、1005bが形成されている。
ここで、連結部1004a、1004bに連結される連結部材1006の構成について説明する。図9は、本実施の形態に係る回転型電気部品1が有する板ばね10の製造過程の状態を示す斜視図である。図9に示すように、板ばね10は、製造過程において、連結部1004a、1004bの上方に連結部材1006が連結されている。連結部材1006は、板ばね10と同一の金属材料で構成されており、板ばね10の上方で前後方向に延在する基部1006aと、この基部1006aの端部から下方に延出する一対の腕部1006b、1006cとを有している。
一対の腕部1006b、1006cの先端は、それぞれ連結部1004a、1004bの上端部(切断部1005a、1005b)に連結されており、これらの間には、側面方向から切り込みが形成されている。この切り込みは、連結部材1006と板ばね10とを容易に分離するために設けられている。連結部材1006は、板ばね10をばね収納部218に収納する際に作業者等により把持される部分である。板ばね10をばね収納部218に収納する際には、作業者等が連結部材1006を把持し、ばね収納部218に板ばね10を収納した後、側面方向に連結部材1006を折り曲げることで、連結部材1006を板ばね10から分離可能となっている。このように連結部材1006を板ばね10の上方側に設けているので、ばね収納部218に対して板ばね10を組み付ける際の作業効率を向上できるものとなっている。特に、板ばね10の腕部1002a、1002bの先端には折り曲げ部1003a、1003bが設けられているので、ばね収納部218に組み付ける際に板ばね10を倒れにくくすることができ、組立時における作業効率を更に向上できるものとなっている。
ところで、本実施の形態に係る回転型電気部品1においては、板ばね10の係合部1001における操作部材4の小径部402が有する凹凸部404との係脱によりクリック感触を発生させるが、そのクリック感触のバリエーションを、板ばね10の交換により可能としている。例えば、板厚の異なる板ばね10をばね収納部218に収納することにより異なるクリック感触を操作者に付与することが可能となっている。以下、図8に示す板ばね10と異なる板ばね10´の構成について説明する。
図10(a)、(b)は、それぞれ本実施の形態に係る回転型電気部品1に適用可能な他の板ばね10´の斜視図、上面図である。なお、図10において、図8に示す板ばね10と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。図10に示す板ばね10´は、図8に示す板ばね10よりも僅かに板厚が厚く形成されている(例えば、図8に示す板ばね10が0.08mmであるのに対し、図10に示す板ばね10´は0.1mm)。なお、ケース2に設けられるばね収納部218は、このように回転型電気部品1に収納される板ばね10のうち、最も板厚の厚い板ばね10を収納可能な寸法に構成されている。
なお、この板ばね10´においては、折り曲げ部1003a、1003bが短く設定されている点、並びに、係合部1001が略円形状を有している点において図8に示す板ばね10と相違する。これは、詳細について後述するように、図8に示す板ばね10が静音性を確保するために操作部材4の回転に伴う板ばね10の振動を抑制するのに対し、図10に示す板ばね10´がそのような静音性を考慮していないためである。すなわち、この板ばね10´においては、図8に示す板ばね10よりも強いクリック感触を付与すると共に、大きいクリック音を発生することが可能となっている。
図11は、本実施の形態に係る回転型電気部品1のケース2のばね収納部218に板ばね10を収納した状態の上面図である。なお、図11においては、説明の便宜上、操作部材4及びカバー3を省略している。一対の板ばね10は、図11に示すように、第1収納部201に設けられた一対のばね収納部218に収納されている。板ばね10は、腕部1002a、1002bの先端に設けられた折り曲げ部1003a、1003bを収納凹部212、217に収納した状態でこれらの収納凹部212、217間をケース2の前後方向(図11の上下方向)に亘って配置されている。また、板ばね10は、係合部1001を第1収納部201の内部側に突出させた状態でばね収納部218に収納されている。この場合において、係合部1001は、回転部材6の上方に配設される不図示の操作部材4の小径部402に設けられた凹凸部404に係脱可能な位置に配置されている。
次に、上記構成を有する回転型電気部品1の動作について説明する。本実施の形態に係る回転型電気部品1に取り付けられた操作つまみ100に回転操作が加えられると、操作つまみ100の回転に伴って操作部材4が回転する。操作部材4が回転すると、その下面に設けられた一対の対向面部402bが継手部材5の第1対向辺部501と当接して継手部材5が回転する。この継手部材5の回転に伴って、第2対向辺部502と凹部601を形成する対向した壁部とが係合して回転部材6が回転すると、その下面に固定された摺動部材7が一緒に回転する。この摺動部材7の回転に応じて複数の摺動子701が第1収納部201の底面に設けられた導電パターン220上を摺動し、摺動子701の位置に応じた信号が端子部221から出力される。本実施の形態に係る回転型電気部品1においては、この出力信号に応じて操作つまみ100に対する回転操作及びその回転量が検出されることとなる。
また、本実施の形態に係る回転型電気部品1に取り付けられた操作つまみ100に操作部材4の回転軸線と直交する方向である前方側(図3の左方側)への押圧操作が加えられた場合には、この押圧操作に応じた操作つまみ100のスライド移動に伴って操作部材4が前方側にスライド移動する。この場合、操作部材4は、回転押圧部材8を介して伝達される可動接点板9の弾性力に抗して前方側にスライド移動し、軸部801の軸心を回転支点として回転押圧部材8を回転させる。回転押圧部材8が回転すると、押圧片803が可動接点板9の頂部に押し付けられ、可動接点板9を変形させる。そして、可動接点板9の下面が中央固定接点231に接触すると、当該接触に応じた信号が端子部233から出力される。本実施の形態に係る回転型電気部品1においては、この出力信号に応じて操作つまみ100に対する押圧操作が検出されることとなる。
上述したように、本実施の形態に係る回転型電気部品1においては、操作部材4の回転動作時に板ばね10の係合部1001を小径部402の凹凸部404に係脱させてクリック感触を発生させている。ここで、操作部材4の回転動作に伴う板ばね10の状態について説明する。図12及び図13は、本実施の形態に係る回転型電気部品1が有する操作部材4の回転動作時における板ばね10の状態を説明するための拡大図である。なお、図12及び図13においては、説明の便宜上、操作部材4及びカバー3を省略している。また、図12においては、板ばね10の係合部1001が不図示の操作部材4の小径部402の凹部404aに係合した状態について示し、図13においては、板ばね10の係合部1001が不図示の操作部材4の小径部402の凸部404bに係合した状態について示している。
ばね収納部218に収納された状態において、板ばね10は、係合部1001が突出する一面側が不図示の操作部材4の凹凸部404に対向して配設されている。この場合、板ばね10は、図12に示すように、一方の腕部1002aの先端部近傍の他面側部分(側面部204側の部分)を第2支持部211に支持されると共に、先端部よりも僅かに係合部1001寄りの部分における一面側部分(操作部材4側の部分)を第1支持部210に支持されている。一方、板ばね10は、他方の腕部1002bの先端部近傍の他面側部分(側面部204側の部分)を第2支持部216に支持されると共に、先端部よりも僅かに係合部1001寄りの部分における一面側部分(操作部材4側の部分)を第1支持部215に支持されている。すなわち、板ばね10は、図12におけるケース2の上下方向にずれた互いに対向しない位置でその一面側の一部と、他面側の一部とを支持された状態で保持されている。換言すれば、板ばね10は、腕部1002a、1002bの先端部よりも係合部1001に近い内側の位置で一面側が一対の第1支持部210、215によって支持されている。また、板ばね10の他面側は、第1支持部210、215よりも係合部1001から離れた腕部1002a、1002bの外側の位置に対応して設けられた一対の第2支持部211、216によって支持されるものとなっている。
図12に示すように、板ばね10の係合部1001が小径部402の凹部404aに係合している場合には、係合部1001が凹部404aに入り込んでおり、板ばね10にはほとんど負荷が加わっていない状態となっている。この場合、板ばね10は、ケース2の側面部204と平行に延在しており、腕部1002a、1002bに設けられた折り曲げ部1003a、1003bの先端が、それぞれ収納凹部212の内壁、収納凹部217の突出壁217aの内壁から離間した状態となっている。
一方、板ばね10の係合部1001が小径部402の凸部404bに係合している場合には、係合部1001が凸部404bにより外側(側面部204側)方向に押し出され、板ばね10に負荷が増して加わった状態となっている。この場合、板ばね10は、図13に示すように、係合部1001の周辺が外側方向に撓んだ状態となっており、腕部1002a、1002bに設けられた折り曲げ部1003a、1003bの先端が、それぞれ収納凹部212の内壁、収納凹部217の突出壁217aの内壁に当接した状態となっている。
このように係合部1001が凸部404bに係合する際、折り曲げ部1003a、1003bの先端をそれぞれ収納凹部212の内壁、収納凹部217の突出壁217aの内壁に当接させることにより、板ばね10の変形に伴う振動を抑制でき、操作部材4の回転動作に伴って発生する音を低減することが可能となっている。これにより、回転動作に伴って発生する雑音等を低減でき、静音性に優れた回転型電気部品1を提供することが可能となる。
なお、本実施の形態に係る回転型電気部品1においては、操作部材4の回転動作に伴って発生する音を低減するという観点から、板ばね10の係合部1001の形状を決定している。すなわち、板ばね10の係合部1001は、操作部材4の小径部402の凹部404aに対応する形状に設定されている。このような形状とすることにより、係合部1001が凸部404bを越えて凹部404aに到達した場合に係合部1001が凹部404aに嵌り込ませることができ、係合部1001と凹部404aとの接触に伴って発生する音を低減することが可能となる。
このように本実施の形態に係る回転型電気部品1においては、板ばね10の腕部1002a、1002bが、ケース2の互いに対向しない位置に設けられた第1支持部210、215と、第2支持部211、216との間に保持されることから、板ばね10の板厚に応じて対向する壁面部を有するばね収納部をケース2に形成する必要がないので、極めて厳格な精度で金型を製作する必要がなく、金型製作に要する費用の上昇を抑制することができる。これにより、金型費用に起因する製造コストを上昇させることなく、ケース2内に配設される板ばね10を保持することが可能となる。
また、本実施の形態に係る回転型電気部品1においては、回転体である操作部材4の外周に設けられた凹凸部404と対向する板ばね10の一面側に配置された第1支持部210、215により係合部1001に近い腕部1002a、1002bの内側の位置を支持する一方、他面側に配置された第2支持部211、216により腕部1002a、1002bの先端部近傍である外側の位置を支持していることから、操作部材4の小径部402の凹凸部404と係脱する係合部1001の動作を妨げることなく板ばね10を保持することができるので、操作部材4の回転動作に伴って良好なクリック感触を付与することが可能となる。
さらに、本実施の形態に係る回転型電気部品1においては、操作部材4の回転軸線と直交状態で交差する方向への押圧操作に応じた操作部材4の押圧動作を検出する押圧検出手段を固定接点230及び可動接点板9で構成すると共に、一対の板ばね10を操作部材4の押圧動作方向に沿って配置させている。このように操作部材4の小径部402の凹凸部404との係脱によりクリック感触を付与する板ばね10を一対備えているので、操作部材4の回転動作に伴って安定したクリック感触を付与することが可能となる。また、これらの一対の板ばね10を操作部材4の押圧動作方向に沿って配置させているので、操作部材4の押圧動作時におけるバランスを確保することが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、ケース2から外部に導出された端子部221、233及びカバー3の取付片307を不図示の回路基板に半田等により固定する表面実装タイプの回転型電気部品1について説明しているが、回路基板に対する回転型電気部品1の実装の態様については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、実装対象となる回路基板に回転型電気部品1を収容可能な切り欠きを形成しておき、当該切り欠きの周囲に形成した固定溝部に差し込まれる差し込み片を有するブラケットを介して実装するようにしても良い。
図14及び図15は、それぞれ本実施の形態の変形例に係る回転型電気部品1´の分解斜視図及び上面図である。なお、図14及び図15においては、上述した回転型電気部品1と共通する構成部材について同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図15においては、説明の便宜上、操作部材4及びカバー3を省略している。なお、図14及び図15に示す回転型電気部品1´においては、図10に示す板ばね10´をケース2に収納する場合について示している。
図14及び図15に示す回転型電気部品1´においては、実装対象となる回路基板に形成された固定溝部に差し込まれる差し込み片を有するブラケット13を備え、回転型電気部品1´を収容可能な切り欠きに実装される点で上述した回転型電気部品1と相違する。また、このようなブラケット13を介して回路基板に固定されるために、ケース2及びカバー3の一部の態様が変更されている。具体的には、カバー3に取付片307が形成されていない点、並びに、ケース2の側面部204に端子部221、233を保護する保護板部204d、204eが形成されている点で上述した回転型電気部品1と相違する。その他の点は、上述した回転型電気部品1と共通する構成を有している。
ブラケット13は、例えば、金属製の薄板材料に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより形成され、概して平板形状を有している。ブラケット13の側方側の外縁部には、前後方向に離間してそれぞれ一対の差し込み片1301、1302が設けられている。図14及び図15に示す回転型電気部品1´においては、ブラケット13がケース2の下方側に配置されており、実装対象となる不図示の回路基板への実装は、上方側に向けて行われるものとする。このため、差し込み片1301、1302は、ケース2の側面部204よりも外側の位置で上方側に向けて延出している。なお、差し込み片1301、1302の延出方向は、これに限定されるものではなく、回路基板への実装態様に応じて下方側に延出するようにしても良い。
また、ブラケット13の所定位置には、ケース2の下面に設けられた複数の突起(不図示)が挿通される複数の挿通孔1303が形成されている。ケース2の突起をこれらの挿通孔1303に挿通させた後、その先端部をかしめることなどによりブラケット13に対してケース2が固定されるようになっている。この回転型電気部品1´においては、各構成部材を内部に収納した状態でカバー3が取り付けられたケース2がブラケット13に固定され、このブラケット13を介して回路基板に固定されるものとなっている。
なお、この回転型電気部品1´のケース2には、上述した板ばね10よりも板厚の厚い板ばね10´が収納されている(図10参照)。ここで、この回転型電気部品1´における操作部材4の回転動作に伴う板ばね10´の状態について説明する。図16及び図17は、本実施の形態の変形例に係る回転型電気部品1´が有する操作部材4の回転動作時における板ばね10´の状態を説明するための拡大図である。なお、図16及び図17においては、説明の便宜上、操作部材4及びカバー3を省略している。また、図16においては、板ばね10´の係合部1001が不図示の操作部材4の小径部402の凹部404aに係合した状態について示し、図17においては、板ばね10´の係合部1001が不図示の操作部材4の小径部402の凹部404aに係合した状態について示している。
ばね収納部218に収納された状態において、板ばね10´は、係合部1001が突出する一面側が、操作部材4の凹凸部404と対向して配設されている。この場合、板ばね10´は、図16に示すように、一方の腕部1002aの先端部近傍の他面側部分(側面部204側の部分)を第2支持部211に支持されると共に、先端部よりも僅かに係合部1001寄りの部分における一面側部分(操作部材4側の部分)を第1支持部210に支持されている。一方、板ばね10´は、他方の腕部1002bの先端部近傍の他面側部分(側面部204側の部分)を第2支持部216に支持されると共に、先端部よりも僅かに係合部1001寄りの部分における一面側部分(操作部材4側の部分)を第1支持部215に支持されている。すなわち、板ばね10´は、図16におけるケース2の上下方向にずれた互いに異なる位置でその一面側の一部と、他面側の一部とを支持された状態で保持されている。
図16に示すように、板ばね10´の係合部1001が小径部402の凹部404aに係合している場合には、係合部1001が凹部404aに入り込んでおり、板ばね10´には負荷がほとんど加わっていない状態となっている。この場合、板ばね10´は、ケース2の側面部204と平行に延在しており、腕部1002a、1002bに設けられた折り曲げ部1003a、1003bの先端が、それぞれ収納凹部212の内壁、収納凹部217の突出壁217aの内壁から離間した状態となっている。特に、板ばね10´における折り曲げ部1003a、1003bは、上述した板ばね10のそれよりも短く形成されているため、それぞれ収納凹部212の内壁、収納凹部217の突出壁217aの内壁から離間する距離が長くなっている。
一方、板ばね10´の係合部1001が小径部402の凸部404bに係合している場合には、係合部1001が凸部404bにより外側(側面部204側)方向に押し出され、板ばね10´に大きな負荷が加わった状態となっている。この場合、板ばね10´は、図17に示すように、係合部1001の周辺が外側方向に撓んだ状態となっており、腕部1002a、1002bに設けられた折り曲げ部1003a、1003bの先端が、それぞれ収納凹部212の内壁、収納凹部217の突出壁217aの内壁に接近した状態となっている。
図13に示す板ばね10の状態と異なり、板ばね10´においては、折り曲げ部1003a、1003bの先端をそれぞれ収納凹部212の内壁、収納凹部217の突出壁217aの内壁に接近させるが、当接させていない。このため、上述した板ばね10のように、板ばね10´の変形に伴う振動が抑制されることはなく解放された状態となることから、より明瞭なクリック感触を付与することが可能となる。
なお、上述した実施の形態及び変形例においては、板ばね10(10´)を一対設けたもので説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、操作部材4が回転軸線と直交する方向へ押圧されない形態の場合には、クリック感触を得るための板ばねを1つとしても良い。また、係合部1001を板ばね10とは別部材の例えば鋼球で形成することも可能である。