JP5110747B2 - ポリプロピレン系無延伸フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン系無延伸フィルムに関し、特に、耐白化性に優れ、かつ、実用物性のバランスが高度に優れたポリプロピレン系無延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン系樹脂から得られるフィルムは、種々の用途に用いられているが、特に、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、剛性、透明性および防湿性に優れるため、食品包装用フィルムや容器などの種々の用途に広く用いられている。
しかしながら、近年はフィルムの二次加工性向上のため、低温ヒートシール性が強く求められており、これに応えて、低温ヒートシール性の優れたフィルムを得るために、例えば、原料プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のα−オレフィン含量を増加して融点を下げる方法が提案されている。しかし、この方法によるときは、フィルムの滑り性、耐ブロッキング性が悪化するという問題が生じる。
【0003】
これに対し、原料中にスリップ剤を配合することが提案されているが、経時により白化し、透明性が高くなる等新たな問題が引き起こされる。特開平11−12402号公報においては、特定の樹脂組成物を用いた開口性・剛性・滑り性・帯電防止性・経時のスリップ剤の浮きだしを改良したフィルムを提案している。しかし、スリップ剤の浮き出しは満足するレベルではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐白化性に優れ、かつヒートシール性、滑り性、アンチブロッキング性など、フィルムの実用物性のバランスを高度に向上させたポリプロピレン系無延伸フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂に練り込んだ滑剤が、フィルム表面へブリードアウトし、そのブリードアウト量が多くなると透明性が悪化すること、それに加え、樹脂中の特定成分が多いと、滑剤の表面へのブリードと共にその成分が表面にブリードし、滑剤成分による透明性悪化以上に透明性が悪くなることを突きとめた。その結果、特定の溶剤抽出成分の少ない樹脂に特定の滑剤を添加したフィルムが、経時での透明性の悪化が少ない、すなわち耐白化性が著しく良好で、ヒートシール性に優れ、かつ摩擦係数も小さく巻き取り・機械適性など問題ないことを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリプロピレン系樹脂及び炭素数16〜22の高級脂肪酸アマイドである滑剤を含有する樹脂組成物よりなる実質的に無延伸のフィルムであって、ポリプロピレン系樹脂が以下の特性(a)、(b)及び(d)を満足し、メタロセン触媒により単段重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であり、フィルムが下記特性(1)〜(4)を満足するポリプロピレン系無延伸フィルムが提供される。
特性(a)23℃キシレン可溶分≦2.0重量%
特性(b)CFCによる40℃可溶分≦3.0重量%
特性(d)DSCにより求めた融解ピーク温度(Tp)が115〜145℃
特性(1):製膜直後のフィルムのHaze(H1)(%)とそのフィルムを40℃7日間状態調整した後のHaze(H2)(%)の差ΔH(H2−H1)(%)と滑剤の添加量C(ポリプロピレン系樹脂100重量部に対する重量部)およびフィルム厚みD(μm)の関係が以下の式(1)を満たす。但し、Cは0.01〜0.7(重量部)、Dは20〜150(μm)である。
ΔH≦0.1×C×D+0.1 …(1)
特性(2):ASTM D1894−90に準拠した測定法Cにて測定したフィルムのコロナ処理面間の静摩擦係数が0.35以下
特性(3):ASTM D1893に準拠した測定法Dにて測定したフィルムのコロナ処理面間のブロッキング強度が250g/10cm2以下
特性(4):JIS Z1707に準拠した方法Aにて測定したヒートシール温度(THS)が130℃未満
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、本発明の第1の発明におけるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体がプロピレン−エチレンランダム共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系無延伸フィルムが提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の無延伸フィルムは、ポリプロピレン系樹脂及び滑剤を含有する樹脂組成物からなるフィルムであり、以下にその樹脂組成物成分、フィルム物性について説明する。
【0013】
[1]樹脂組成物
(1)ポリプロピレン系樹脂
本発明に用いる樹脂組成物の一成分であるポリプロピレン系樹脂は、好ましくは以下の(a)、(b)の特性を満足し、さらに好ましくは(c)〜(d)の特性を満足するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体である。
【0014】
(a)23℃キシレン可溶分
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の23℃キシレン可溶分は、2.0重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下である。可溶分が上記範囲を超えると、滑剤を添加した際の経時での透明性の悪化が大きく、また、耐ブロッキング性、滑り性が悪化する。
【0015】
(b)CFCによる40℃可溶分
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のCFCによる40℃可溶分は、3.0重量%以下、好ましくは2.5%以下である。可溶分が上記範囲を超えると、滑剤を添加した際の経時での透明性の悪化が大きく、また、耐ブロッキング性、滑り性が悪化する。ここで、CFC(クロス分別クロマトグラフ)は、ポリマーの結晶性分布を調べる有力な方法であり、オルソジクロルベンゼンを溶媒として40℃以下で溶出したものを用いた。温度40℃以下の溶出物はいわゆる非晶性のアタクチックポリプロピレンに相当し、この溶出量が多すぎるとフィルムの“べたつき”等の原因となる。
【0016】
(c)MFR
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、0.5〜50g/10分が好ましく、より好ましくは1〜30g/10分である。MFRが上記範囲より低い場合はフィルムの表面性状に不良が生じるため好適な生産性が得られず、上記範囲より高い場合は連続的なフィルムの生産が困難となる。
【0017】
(d)DSCで求めた融解ピーク温度(Tp)
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のDSCで求めた融解ピーク温度(Tp)(℃)は、110〜150℃が好ましく、より好ましくは115〜145℃、さらに好ましくは120〜140℃である。Tpが上記範囲より低い場合は本発明においても好適な耐ブロッキング性、滑り性、耐白化性が得られず、上記範囲より高い場合は低温ヒートシール特性が得られない。
【0018】
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、上記の条件を充足することによって、それぞれに記載した効果が得られる他、低温シール性が優れているにもかかわらず溶媒可溶分の少ないフィルムを得ることができる。
【0019】
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、上記要件を満たすものであれば、何ら限定されるものではなく、一成分であっても二成分以上の混合物であってもよい。
【0020】
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体におけるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも二種類以上を用いてもよい。このうちエチレンが最も好ましい。
【0021】
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体におけるα−オレフィンの含有量は、一般に2.0〜23モル%、好ましくは2.5〜15モル%程度である。
【0022】
(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造
本発明に用いる樹脂組成物を構成するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、次に示す触媒成分(A)、触媒成分(B)、並びに、必要に応じて用いられる触媒成分(C)からなるいわゆるメタロセン触媒の存在下でプロピレンと少量成分であるα−オレフィンとを共重合させることによって製造することが好ましい。
【0023】
触媒成分(A)
Q(C5H4−aR1 a)(C5H4−bR2 b)MeXY
(ここで、C5H4−aR1 aおよびC5H4−bR2 bは、それぞれ共役五員環配位子を示す。Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を示す。Meはジルコニウムまたはハフニウムを示す。XおよびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。
R1およびR2は、共役五員環配位子上の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、アルコキシ基、ケイ素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基またはホウ素含有炭化水素基を示す。隣接する2個のR1または2個のR2がそれぞれ結合して環を形成していてもよい。aおよびbは0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。ただし、R1およびR2を有する2個の五員環配位子は、基Qを介しての相対位置の観点において、Meを含む平面に関して非対称である。)
【0024】
Qは、二つの共役五員環配位子C5H4−aR1 aおよびC5H4−bR2 bを架橋する結合性基である。具体的には、例えば(イ)炭素数1〜20、好ましくは1〜6のアルキレン基、(ロ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基を有するシリレン基、(ハ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基を有するゲルミレン基がある。なかでもアルキレン基、シリレン基が好ましい。
【0025】
Meは、ジルコニウムまたはハフニウムである。
【0026】
XおよびYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なってもよくて、(イ)水素、(ロ)ハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは塩素)、(ハ)炭素数1〜20の炭化水素基、(ニ)炭素数1〜20のアルコキシ基、(ホ)炭素数1〜20のアルキルアミド基、(ヘ)炭素数1〜20のリン含有炭化水素基、(ト)炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基または(チ)トリフルオロメタンスルホン酸基を示す。
【0027】
R1およびR2は、共役五員環配位子上の置換基であって、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数2〜20のリン含有炭化水素基、炭素数2〜20の窒素含有炭化水素基または炭素数2〜20のホウ素含有炭化水素基を示す。これらの置換基は、側鎖にさらに置換基を有していてもよい。また、隣接する2個のR1同士または2個のR2同士がそれぞれω−端で結合してシクロペンタジエニル基の一部と共に環を形成していてもよい。そのような場合の代表例としてはシクロペンタジエニル基上の隣接する2つのR1(あるいはR2)が当該シクロペンタジエニル基の二重結合を共有して縮合六員環を形成しているもの(すなわちインデニル基および置換インデニル基、およびフルオレニル基および置換フルオレニル基)および縮合七員環を形成しているもの(すなわちアズレニル基および置換アズレニル基)がある。好ましくは、1つあるいは2つのシクロペンタジエニル基上の隣接する2つのR1あるいはR2が縮合七員環を形成していることが望ましい。
【0028】
aおよびbは、0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。
【0029】
上記メタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。なお、これらの化合物は、単に化学的名称のみで示称されているが、その立体構造が本発明で言う非対称性を持つものであることはいうまでもない。
【0030】
(1)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、(2)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(3)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(4)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(5)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(6)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(7)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(8)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(9)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロ−1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(10)ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(11)ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、(12)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(13)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(14)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(15)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(16)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(17)ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−フェナンスリル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、(18)ジメチルシリレンビス{1−(2−ジメチルボラノ−4−インドリル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、(19)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4、5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、(20)ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
【0031】
触媒成分(B)
本発明において、成分(B)としては、次の(b−1)〜(b−4)から選ばれた成分が望ましい。
(b−1)アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体、
(b−3)固体酸微粒子、
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩。
【0032】
(b−1)アルミニウムオキシ化合物:
アルミニウムオキシ化合物としては、メチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等のいわゆるアルモキサンが例示できる。
アルミニウムオキシ化合物は、微粒子状担体に担持されていてもよい。
微粒子状担体としては、無機または有機の化合物から成る微粒子状担体が例示できる。無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ塩化マグネシウム、活性炭、無機珪酸塩等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ベンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体等から成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
【0033】
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子担体:
成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオン等の陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物のカチオンとの錯化物等が挙げられる。
また、ルイス酸、特に成分(A)をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等が例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物等が例示される。
微粒子状担体は上述のものを適宜利用できる。
【0034】
(b−3)固体酸:
固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ等が挙げられる。
【0035】
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩:
成分(b−4)としては、イオン交換性層状珪酸塩が用いられる。イオン交換性層状珪酸塩は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物であり、含有するイオン交換が可能なものを示称する。イオン交換性層状珪酸塩の好ましい具体例としては、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族が挙げられる。
【0036】
成分(B)は特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、成分(B)に化学処理を施すことが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。
【0037】
具体的には、塩類処理、酸処理、アルカリ処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は表面の不純物を取り除く他、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0038】
本発明において使用されるイオン交換性層状珪酸塩は、塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換して用いることが好ましい。このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、2〜14族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸からなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなる化合物である。
【0039】
陽イオンとしては、Ca、Mg、Sc、Y、La、Sm、Yb、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Pb、Cu、Zn、Cd、Al、Ge、Snなどの陽イオンが挙げられる。
【0040】
陰イオンとしては、Cl、Br、I、F、PO4、SO4、NO3、CO3、C2O4、OCOCH3、CH3COCHCOCH3、OCl3、O(NO3)2、O(ClO4)2、O(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OCOH、OCOCH2CH3、C2H4O4およびC6H5O7などの陰イオンが挙げられる。
【0041】
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、リン酸、酢酸から選択される。処理に用いる塩類および酸は、それぞれ2種以上であってもよい。
【0042】
塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜30重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩に含有される少なくとも一種の化合物の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
【0043】
成分(b−4)として、特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が1重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
【0044】
成分Bとしては、(b−4)が好ましい。
【0045】
触媒成分(C)
成分(C)は、有機アルミニウム化合物である。本発明で成分(C)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式(AlR4 nX3−n)mで示される化合物が適当である。この式中、R4は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。nは1〜3の、mは1〜2の整数である。成分(C)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどが挙げられる。
【0046】
触媒の形成
本発明に用いる結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を製造する際に用いる触媒としては、上記の成分(A)、成分(B)並びに、必要に応じて用いられる成分(C)からなる触媒を、重合槽内であるいは重合槽外で、重合させるべきモノマーの存在下あるいは不存在下に接触させることにより調製することができる。
また、上記触媒は、オレフィンの存在下で予備重合を行ったものであってもよい。予備重合に用いられるオレフィンとしては、プロピレン、エチレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、スチレン、ジビニルベンゼンなどが用いられるが、これらと他のオレフィンとの混合物であってもよい。
上記触媒の調製において使用される成分(A)、成分(B)、成分(C)の量は任意の比で使用することができる。
【0047】
重合
本発明に用いる結晶性プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の重合は、成分(A)、成分(B)、並びに、必要に応じて成分(C)からなる触媒とプロピレンとエチレンまたは炭素数4〜20のα−オレフィンとを混合接触させることにより行われる。Tpは、用いる触媒の組合わせや重合条件に応じて変化するものであるが、共重合するα−オレフィンの種類や量などによって調整することが可能である。
【0048】
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク法、溶液法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法を採用することができる。
また、連続重合、回分式重合のいずれを用いてもよい。
【0049】
重合条件としては重合温度が−78℃〜160℃であり、また、重合圧力は0〜90kg/cm2・Gである。そのときの分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。
【0050】
(3)滑剤
本発明におい用いる滑剤は、滑剤の機能を有するものであれば、特に制限がないが、たとえば、直鎖状のモノカルボン酸モノアミド化合物または直鎖状のモノカルボン酸ビスアミド化合物の1種または2種以上組み合わせて使用することができる。直鎖状のモノカルボン酸モノアミド化合物としては、たとえばオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ラウリン酸アミドなどが挙げられる。
【0051】
直鎖状のモノカルボン酸ビスアミド化合物としては、たとえばエチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。
【0052】
特に、融点が70〜90℃の不飽和脂肪酸アミド、融点が100〜125℃の飽和脂肪酸アミドが好ましく、中でも両者を併用することが好ましい。不飽和脂肪酸アミドと飽和脂肪酸アミドとの配合割合は(不飽和脂肪酸アミド/飽和脂肪酸アミド)は、重量基準で1/99〜99/1、好ましくは2/98〜98/2、さらに好ましくは10/90〜90/10の範囲で用いられる。このような配合系にすることによって単独系の場合より少量の滑剤量で良好な性能を発揮させることができる。
【0053】
融点が70℃〜90℃の範囲の不飽和脂肪酸アミドとしては、C18〜C22の不飽和脂肪酸アミドを用いることができる。具体的には、例えばオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ブライジン酸アミド、エライジン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、ラウリン酸アミド、N−(2−ハイドロキシエチル)ラウリン酸アミド等を主成分とするものが例示される。不飽和脂肪酸アミドの融点が70℃未満のものでは、45℃以上の高温下での滑り性が悪化するために好ましくなく、また融点が90℃を越えるものでは、飽和脂肪酸アミドとの併用効果が小さいため好ましくない。
【0054】
融点が100〜125℃の飽和脂肪酸アミドとしては、C16〜C22の飽和脂肪酸アミドとその誘導体を用いることができる。具体的には、例えばステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘニン酸アミド、N−(2−ハイドロキシメチル)・ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスエルカ酸アミド、オクタメチレンビスエルカ酸アミド等を主成分とするものが例示される。
【0055】
飽和脂肪酸アミドの融点が100℃未満のものでは、初期滑り性は良好な場合が多いが、45℃以上の高温下での滑り性の改良効果が低いために好ましくなく、また融点が125℃を越えるものでは、初期滑り性そのものが発現しないため好ましくない。飽和脂肪酸アミドは、融点107℃〜120℃の飽和脂肪酸アミドが製膜時のロール汚れ性などの点から更に好ましい。
【0056】
上記の滑剤の内、特に、炭素数16〜22の高級脂肪族酸アマイドが好ましく、具体的には、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミドが好ましい。
【0057】
滑剤の配合量は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体100重量部に対して、0.01〜0.7重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜0.5重量部であり、さらにより好ましくは0.05〜0.4重量部である。配合量が0.01重量部未満では滑り性が発現せず、0.7重量部を超えると滑剤のブリードアウト量が多く、耐白化性、耐ブロッキング性が悪くなる。
【0058】
(4)その他の成分
本発明のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と滑剤を含有する樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、各種添加剤、例えば造核剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、着色剤、充填剤、エラストマーなどを配合することができる。
【0059】
(5)樹脂組成物の製造
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、上記のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分と滑剤と、必要に応じて、付加的成分とを、先ず、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の押出機等の通常の混合又は混合機にて混合或いは溶融混練し、好適には、160〜280℃、好ましくは200〜250℃で溶融混練してペレタイズすることによって得ることができる。
【0060】
[II]フィルム
(1)成形
本発明の無延伸フィルムは、上述の成分を含有する樹脂組成物をキャスト法、インフレーション成形法などの溶融押出し成形法により製膜することができる。
Tダイ成形法では、樹脂温度を190〜300℃、インフレーション成形法では、樹脂温度を200〜270℃、ブローアップ比を0.5〜2.0の範囲で行うことが好ましい。
【0061】
また、得られるフィルムの厚みは、10〜300μm、好ましくは15〜200μm、より好ましくは20〜150μmである。またフィルムは単層での使用だけでなく、共押出し製膜法による複層フィルムにも好適に使用できる。さらに、次の特性を有している必要がある。
【0062】
特性(1)
製膜直後のフィルムのHaze(H1)(%)とそのフィルムを40℃7日間状態調整した後のHaze(H2)(%)の差ΔH(H2−H1)(%)と滑剤の添加量C(ポリプロピレン系樹脂100重量部に対する重量部)およびフィルム厚みD(μm)の関係が以下の式(1)を満たす必要があり、
ΔH≦0.1×C×D+0.1 …(1)
好ましくは、次の式(2)を満たす必要がある。
ΔH≦0.1×C×D+0.05 …(2)
ΔHがこの関係を満足しないと、フィルムの透明性が経時で悪化し、透明性が良いポリプロピレンフィルムの特徴を生かすことができない。
【0063】
特性(2)
ASTM D1894−90に準拠した測定法Cにて測定したフィルムのコロナ処理面間の静摩擦係数が0.35以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下である。静摩擦係数が0.35を超えると、滑り性が悪く、フィルムの巻き取り適性、二次加工適性が劣る。
【0064】
特性(3)
ASTM D1893に準拠した測定法Dにて測定したフィルムのコロナ処理面間のブロッキング強度が400g/10cm2以下、好ましくは300以下、より好ましくは250以下である。ブロッキング強度が400g/10cm2を超えると、製品ロール、二次加工した製品ロールおよび製袋品などでフィルム同士がブロッキングを起こし、取り扱いが困難となる。
【0065】
特性(4)
JIS Z−1707に準拠した方法Aにて測定したヒートシール温度(THS)が130℃未満である。THSが130℃以上であると、ヒートシールに要す時間が長くなる等の加工性に劣る。
【0066】
上記の特性を満足する本発明のプロピレン系無延伸フィルムは、耐白化性に優れ、かつヒートシール性、滑り性、アンチブロッキング性など、フィルムの実用物性のバランスを高度に向上させたポリプロピレン系無延伸フィルムであり、食品包装材料、文具、雑貨包装材料などの広範囲の用途に用いることができる。
【0067】
【実施例】
以下に示す実施例によって、本発明を更に具体的に説明する。評価方法及び実施例、比較例において用いた原材料を以下に示す。
【0068】
1.評価方法
(1)MFR:JIS−K7210に準拠して、230℃、2.16kg荷重の条件で測定した。
(2)Tp(融解ピーク温度):セイコー社製示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピーク位置を融解ピーク温度(Tp)とした。
(3)23℃キシレン可溶分:140℃のキシレン300ミリリットルに1gのサンプルを1時間かけて溶解した後、23℃まで冷却したときに、23℃キシレンに溶解しているプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の重量を測定して求めた。
(4)CFC40℃可溶分:クロス分別法によって下記の条件により測定した。
装置;三菱化学製 CFC・T150A型
カラム;昭和電工製 AD80M/S 3本
濃度;40mg/10ml
溶媒;オルソジクロロベンゼン
(5)Haze:ASTM−D1003に準拠して、得られた樹脂フィルムをヘイズメータにて測定した。この値が小さいほど透明性が優れていることを意味する。
(6)静摩擦係数:得られたフィルムを40℃の雰囲気下に1日間、次いで23℃、湿度50%RHの雰囲気下に十分調整した試料を、ASTM−D1894に準拠して、スリップテスター法によってコロナ処理面同士の静摩擦係数を測定した。この値が小さいほど、滑り性が優れていることを意味する。
(7)ブロッキング強度:得られたフィルムから、幅2cm、長さ15cmの試料を採取し、コロナ処理面同士を長さ5cmに渡って重ね、50g/cm2の荷重下で温度40℃の雰囲気下に24時間静置した後、荷重を除き、温度23℃、湿度50%RH下に十分調整した後、引張試験機を用いて重ねた部分を500mm/分の速度で試料をせん断剥離に要する力を求めた(単位:g/10cm2)。この値が小さいほど耐ブロッキング性が優れていることを意味する。
(8)ヒートシール温度(THS):5mm×200mmのヒートシールバーを用い、各温度設定においてヒートシール圧力2kg/cm2、ヒートシール時間1秒の条件下でシールした試料から15mm幅のサンプルをとり、ショッパー型引張試験機を用いて引張速度500mm/分にて引き離し、その荷重を読みとった。荷重300gになるシール温度をヒートシール性の指標とした。この値が小さいほど、ヒートシール性が優れていることを意味する。
【0069】
2.プロピレン・エチレンランダム共重合体の合成
(1)触媒成分(A)の合成
(r)−ジクロロ{1,1−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムの合成は、特開平11−240909号公報に記載の方法で合成した。
【0070】
(2)触媒成分(B)の調製
イオン交換性層状珪酸塩の調製
10リットルの攪拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒子径=25μm、粒度分布=10μm〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を、洗浄液(ろ液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。
【0071】
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は、705gであった。得られたイオン交換性層状ケイ酸塩の組成(モル)比は、Al/Si=0.129、Mg/Si=0.018、Fe/Si=0.013であった。
【0072】
さらに、10リットルの攪拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水1.72リットル、続いて硫酸リチウム1水和物(700g)を加えて溶液とした後、上記で得たイオン交換性層状ケイ酸塩を加えた。このスラリーを室温で240分攪拌した。このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この操作を3回繰り返した。
【0073】
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は、695gであった。得られたイオン交換性層状ケイ酸塩の組成(モル)比は、Al/Si=0.127、Mg/Si=0.020、Fe/Si=0.013、Li/Si=0.018であった。
【0074】
先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機によりさらに乾燥を実施した。乾燥機の仕様、条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状、内径50mm、加湿帯550mm(電気炉)、かき上げ翼付き回転数:2rpm、傾斜角;20/520、珪酸塩の供給速度;2.5g/分、ガス流速;窒素、96リットル/時間、向流
乾燥温度:200℃(粉体温度)
【0075】
(3)触媒の調製
内容積13リットルの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.20kgとトルエンを含むヘプタン(以下、混合ヘプタンという。)0.74リットルの混合物を導入し、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.04M)1.26リットルを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、混合ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調製した。
平行して、先に合成した(r)−ジクロロ{1,1−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムを2.18g(3.30mmol)にトルエンを0.80リットル加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ミリリットル加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5.0リットルに調整した。
続いて、内温を40℃まで昇温し、安定したところで、プロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに1時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒を混合ヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液0.17L添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.60kgを得た。
【0076】
(4)プロピレン・α−オレフィン共重合体の重合
重合例(i)
内容積200lの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これにトリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、エチレン1.22kg、水素5.2NLを加え、内温を30℃に維持した。次いで、上記予備重合触媒成分1.2gをアルゴンで圧入して重合を開始させ、30分かけて70℃に昇温し、1時間その温度を維持した。ここでエタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、表1の物性を有するプロピレン・エチレンランダム共重合体(樹脂A)を得た。
【0077】
重合例(ii)
重合例(i)において、エチレン2.25kg、水素8.0NLとする以外は、同様の操作で表1の物性を有するプロピレン・エチレンランダム共重合体(樹脂B)を得た。
【0078】
重合例(iii)
触媒の合成
充分に窒素置換したフラスコに、脱水および脱酸素したn−ヘプタン200mlを導入し、次いでMgCl2を、0.4mol、Ti(O−nC4H9)4を、0.8mol導入し、95℃に保ちながら2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、メチルハイドロジェンポリシロキサン(20センチストークスのもの)を48ml導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、充分に窒素置換したフラスコに、精製したn−ヘプタンを50ml導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で0.24mol導入した。その後、n−ヘプタン25mlにSiCl40.4molを混合したものを、30℃に保ちながら60分間かけてフラスコへ導入し、90℃で3時間反応させた。さらに、n−ヘプタン25mlにフタル酸クロライド0.016molを混合したものを、90℃に保ちながら30分間かけてフラスコに導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、これにSiCl40.24mmolを導入して、100℃にて3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで充分洗浄した。充分に窒素置換したフラスコに、精製したn−ヘプタン50mlを導入し、上記で得た固体成分を5g導入し、さらに(CH3)3CSi(CH3)(OCH3)2を0.81ml導入し、30℃で2時間接触させた。接触終了後n−ヘプタンで充分に洗浄した。さらに、プロピレンを流通させて予備重合を実施し、固体触媒を得た。
【0079】
重合
内容積200lの攪拌式オートクレーブをプロピレンで充分に置換した後、精製したn−ヘプタン60lを導入し、トリエチルアルミニウム15g、前述の固体触媒(予備重合ポリマーを除いた量として)1.8gを55℃にてプロピレン雰囲気下で導入した。さらに、気相部水素濃度を6.0容量%に保ちながら、プロピレンを5.8kg/時間のフィード速度で導入し重合を開始した。15分後、温度を60℃に昇温し、さらにエチレンを155g/時間のフィード速度で導入し、さらに1−ブテンを重合開始270分後まで570g/時間のフィード速度で導入して6時間重合を実施した。その後、全モノマーの供給を停止し1時間重合を継続した。その後、ブタノールにより触媒を分解し、生成物の濾過、乾燥を行って、表1に示すようなプロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(樹脂C)29.8kgを得た。
【0080】
重合例(iv)
内容積200lの攪拌式オートクレーブをプロピレンで十分に置換した後、脱水および脱酸素したn−ヘプタン60lを導入し、ジエチルアルミニウムクロリド45g、三塩化チタン触媒(エム・アンド・エス社製)16gを55℃にて、プロピレン雰囲気下で導入した。さらに、気相水素濃度を5.5容量%に保ちながら、55℃の温度にて、プロピレン5.8kg/時間およびエチレン0.36kg/時間の速度で4時間フィードした後、さらに1時間重合を継続した。その後、残ガスをパージし、生成物を濾過および乾燥して、表1に示す様なプロピレン・エチレンランダム共重合体(樹脂D)25kgを得た。
【0081】
【表1】
【0082】
3.滑剤
(1)EA:エルカ酸アミド
(2)BA:ベヘニン酸アミド
【0083】
実施例1
表1の樹脂A100重量部、滑剤としてエルカ酸アミド0.1重量部、酸化防止剤としてイルガノックス1010(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)を0.05重量部、イルガフォス168(トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部、合成シリカ(平均粒径2.7μm、富士シリシア化学工業製サイリシア550)を0.15重量部を添加したものをヘンシェルミキサーで750rpmで1分間室温で高速混練した後、二軸押出機(池貝製作所製PCM30)により230℃で溶融、混練して冷却、カットしてペレット状樹脂組成物を得た。
【0084】
この樹脂組成物を原料として、口径35mmφの押出機、幅330mmTダイを具備したプラコー社製Tダイ法フィルム製造装置を用いて、押出樹脂温度220℃、チルロール設定温度30℃(表面温度35℃)、引き取り速度21m/分で成形した後、濡れ指数42dyne/cmとなるようコロナ処理を施し、厚さ25μmの無延伸フィルムを得た。その物性の評価結果を表2に示す。
【0085】
実施例2〜5、比較例1〜4
表2に示す種類及び量の樹脂、滑剤を用い、所定のフィルム厚みとなるよう引取り速度を変えた以外は、実施例1と同様にして無延伸フィルムを得た。なお、引取り速度を21m/分、10.5m/分、5m/分にすると、それぞれ25μm、50μm、100μmの厚みのフィルムが得られる。その物性の評価結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2から明かなように、本発明の範囲のフィルムは、ヒートシール性、滑り性、アンチブロッキング性に優れたフィルムである(実施例1〜5)。一方、滑剤の量が少ないと、ヘイズの差は満足するが、滑りが悪く(比較例1)、滑剤の量が多すぎると、ヘイズの差及びブロッキング強度が大きすぎ(比較例2)、溶剤抽出量の大きい樹脂を用いた場合は、ヘイズの差が大き過ぎる(比較例3及び比較例4)。
【0088】
【発明の効果】
本発明の無延伸フィルムは、耐白化性に優れ、かつヒートシール性、滑り性、アンチブロッキング性など、フィルムの実用物性のバランスを高度に向上させたフィルムである。
Claims (2)
- ポリプロピレン系樹脂及び炭素数16〜22の高級脂肪酸アマイドである滑剤を含有する樹脂組成物よりなる実質的に無延伸のフィルムであって、ポリプロピレン系樹脂が以下の特性(a)、(b)及び(d)を満足し、メタロセン触媒により単段重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であり、フィルムが下記特性(1)〜(4)を満足するポリプロピレン系無延伸フィルム。
特性(a)23℃キシレン可溶分≦2.0重量%
特性(b)CFCによる40℃可溶分≦3.0重量%
特性(d)DSCにより求めた融解ピーク温度(Tp)が115〜145℃
特性(1):製膜直後のフィルムのHaze(H1)(%)とそのフィルムを40℃7日間状態調整した後のHaze(H2)(%)の差ΔH(H2−H1)(%)と滑剤の添加量C(ポリプロピレン系樹脂100重量部に対する重量部)およびフィルム厚みD(μm)の関係が以下の式(1)を満たす。但し、Cは0.01〜0.7(重量部)、Dは20〜150(μm)である。
ΔH≦0.1×C×D+0.1 …(1)
特性(2):ASTM D1894−90に準拠した測定法Cにて測定したフィルムのコロナ処理面間の静摩擦係数が0.35以下
特性(3):ASTM D1893に準拠した測定法Dにて測定したフィルムのコロナ処理面間のブロッキング強度が250g/10cm2以下
特性(4):JIS Z1707に準拠した方法Aにて測定したヒートシール温度(THS)が130℃未満 - プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体がプロピレン・エチレンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系無延伸フィルム。
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