JP5109635B2 - オーバーコート層への潜像形成方法、潜像の顕像化方法、潜像を形成するプリンタ装置 - Google Patents

オーバーコート層への潜像形成方法、潜像の顕像化方法、潜像を形成するプリンタ装置 Download PDF

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Description

本発明は、画像上に感熱転写法(熱転写方式)にてオーバーコート層を積層する際に、該オーバーコート層の表面に表面光沢差による万線で背景及び潜像を形成する潜像形成方法、この潜像形成方法を適用したプリンタ装置、該万線とほぼ等ピッチの万線を有する顕像化用治具を通して該潜像を観察することにより、該潜像を万線モアレとして顕像化させる顕像化方法に関する。
従来公知の技術としては、印刷により万線パターンを形成し、その中に潜像として目的とする画像を隠蔽し、ほぼ等ピッチの万線パターンを透明基材に設けた顕像化用治具を用いて顕像化する方法がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの技術は、主として、(1)有価証券等の真贋判定(所定の情報を潜像として同一画像中に埋め込む)、(2)複写物と原本の真贋判定(複写の際、万線を正確に再現できない現象を利用する)等に使用されている。しかしながら、画像中に潜像を隠蔽するためには、潜像部分とその背景部分とがほぼ等濃度の均一性の高い画像である必要があり、デザイン的にも制約が生じ、写真等のフルカラー画像には応用しにくいものであった。
また、デジタルプリンタにより、同様にしてモアレを用いて真偽を判別する方法としては、以下に示す特許文献3、特許文献4がある。この特許文献3、特許文献4は、共に、万線や網点により背景/潜像を構成し、モアレパターンを生じる顕像化用治具を用いて潜像を顕像化するものであるが、やはりデザイン的制約が生じるものである。特許文献3では、昇華型熱転写方式を用いているが、写真画像とは別にモアレによる判別領域を設けているものである。
近年、各種データの電子化やディジタル情報化に伴って、ディジタル情報に対して、例えば著作権に関する情報や他の属性情報を不可視化情報として付加する、電子署名や電子透かしの技術が種々検討されている。その技術の1つの形態として、画像深層信号と呼ばれる手法がある。この技術は、主画像情報に付加情報を不可視な情報として埋め込むものであって、写真などの著作権を持った画像情報や、証券や各種金券などに対する複製や改竄の防止に有効である。
また、昇華型熱転写方式における出力画像は、近年、その即時性と画質により、銀塩写真に代わるプリント方式として急速に普及してきている。しかしながら、昇華型熱転写方式は、ドット解像度や万線のピッチ、網点のスクリーン角度などに自由度のある印刷方式とは異なり、写真様画像の出力時にその画像中に潜像として付加情報を埋め込む場合の自由度は少ないものである。通常、万線パターンによる潜像部分は、その万線下地部分とほぼ等濃度の均一性の高い画像として形成される。従って、不可視な付加情報により画像のセキュリティを確保するためには、どうしても写真様画像外に情報埋め込み領域を設けざるを得ず、それが邪魔となったり、デザイン上の制約となったりしている。
特開昭53−028443号公報 特開2005−043778号公報 特開2000−280663号公報 特開2001−144944号公報
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱転写方式において、例えば、写真様画像を全面に形成できる等、画像形成領域に制約を設けず、デザインの自由度を高めつつ、万線による潜像を有する印画物の形成を可能にする潜像形成方法、この潜像形成方法を適用したプリンタ装置、潜像を顕像化する顕像化方法を提供することにある。
本発明は、感熱転写(熱転写方式)により画像記録体の表面にオーバーコート層を積層する際、感熱ヘッドにより印加される熱エネルギをコントロールすることによって生じるコントラスト(表面光沢差)を用いて、同オーバーコート層上に潜像入り万線パターンを形成する潜像形成方法及びこの潜像形成方法を適用したプリンタ装置である。また、本発明は、透明基材上に、オーバーコート層の潜像とほぼ等ピッチの万線パターンが形成された顕像化用治具を通して潜像を顕像化する顕像化方法及びこの顕像化方法に用いる顕像化用治具である。
すなわち、本発明に係るオーバーコート層への潜像形成方法は、熱転写方式により被熱転写シート上にオーバーコート層を積層する際に、オーバーコート層上に表面光沢差による潜像部を形成するオーバーコート層への潜像形成方法であって、オーバーコート層を被熱転写シート上に熱転写して積層する際に、複数の感熱素子がライン状に配列された感熱ヘッドからの印加エネルギを少なくとも2種類に設定し、印加エネルギの差により、相対的に光沢度の高い領域と相対的に光沢度の低い領域とからなる表面光沢差を形成して、複数の万線で万線パターンを形成し、万線パターンを形成する際に、潜像部の万線パターンと潜像部を除く背景部の万線パターンの位相をずらして形成することを特徴とする。
また、本発明に係るプリンタ装置は、被熱転写シートを走行させる被熱転写シート走行手段と、少なくとも被熱転写シート上に熱転写されるオーバーコート層が形成された熱転写シートを走行させる熱転写シート走行手段と、被熱転写シートの走行方向に対して直交する方向に、複数の感熱素子がライン状に配列された感熱ヘッドと、感熱ヘッドを駆動制御する制御手段とを備え、制御手段は、被熱転写シート上にオーバーコート層を熱転写して積層する際に、感熱ヘッドのオーバーコート層に対する印加エネルギの差によって、オーバーコート層上に、相対的に光沢度の高い領域と相対的に光沢度の低い領域とからなる表面光沢差を形成して、複数の万線で万線パターンを形成し、万線パターンを形成する際に、潜像部の万線パターンと潜像部を除く背景部の万線パターンの位相がずれるように、感熱ヘッドの印加エネルギを少なくとも2種類に制御することを特徴とする。
また、本発明に係る潜像部の顕像化方法は、上記オーバーコート層への潜像形成方法により形成したオーバーコート層上の潜像部を顕像化する顕像化方法であって、透明基材上に、オーバーコート層に形成した潜像部の万線パターンと等ピッチの万線パターンを形成した顕像化用治具を用い、潜像部の上方に透明基材を配置し、透明基材を介して潜像部を観察することにより発生する万線モアレによって、潜像部を顕像化することを特徴とする。
本発明は、オーバーコート層上に表面光沢差(コントラスト)で形成した潜像入り万線パターンと透明基材上に設けた万線パターンとの干渉で発生する万線モアレにより潜像を顕像化させるものである。本発明では、被熱転写シートの画像上に積層される光透過性の高いオーバーコート層に万線パターンを形成し、潜像を設けるため、その下層に位置する画像、例えば写真様画像に依存せずに、日付若しくは時間、固有の識別記号若しくは番号、個人名、又は所定の記号等の潜像データを潜像として設けることができる。特に、形成した潜像は、画像に正対した位置からは視認することが難しく、更に潜像と潜像を除く背景部との境界領域における万線の処理によっては、傾けて観察した状態でも極めて視認が困難な情報付与が可能である。この潜像は、透明基材上に、オーバーコート層に設けた万線とほぼ等ピッチの万線を有する顕像化用治具により顕像化することができる。
したがって、本発明では、任意の被熱転写シート上に形成した画像を損なうことなく、また画像形成のデザイン性等を左右することなく、潜像を画像上に付与することができる。本発明によれば、よりデザイン自由度が増すと同時に、潜像が視認されにくいセキュリティ性の高い印画物を得ることが可能となる。
また、本発明では、画像が記録された層とは独立して設けたオーバーコート層上に光透過性の潜像を埋め込むため、従来のように、印画物の画質やデザイン性が犠牲になる等の画像を形成する領域への潜像の埋め込みに伴う制約を受けることを防止することができる。また、本発明により形成した潜像は、光透過性のため、視認されにくく、オーバーコート層の下に位置する画像の観察に影響を与えることを防止できる。
本発明を適用したオーバーコート層への潜像形成方法、該潜像の顕像化方法、該潜像を形成するプリンタ装置について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明を適用したオーバーコート層への潜像形成方法は、カラー画像等が形成された画像記録体等の表面に、昇華型熱転写方式にてオーバーコート層を積層する際、感熱ヘッドからの印加エネルギを変調させてオーバーコート層上に表面光沢差(コントラスト)を発生させ、そのコントラストによって万線パターンを形成し、この万線パターンで潜像を形成するものである。
まず、潜像を形成する熱転写型のプリンタ装置200について説明する。このプリンタ装置200は、図1に示すように、印刷時、印画紙等の被熱転写シートとなる画像記録体204を、ガイドローラ201でガイドし、キャプスタンローラ202とピンチローラ203とで挟持して走行させる。また、このプリンタ装置200には、画像記録体204と対向した位置に、図2乃至図4に示す詳細を後述するオーバーコート層13を有する熱転写シート1を収容したカートリッジが装着され、巻取リール205が回転駆動されることによって、熱転写シート1を供給リール206から巻取リール205に走行させる。熱転写シート1のオーバーコート層13を画像記録体204に転写する転写位置には、感熱ヘッド207とプラテンローラ208とが対向配置されている。プリンタ装置200は、感熱ヘッド207で熱転写シート1を加熱しながら、画像記録体204に所定の圧力で押圧することで、オーバーコート層13を画像記録体204に熱転写する。
ここで、画像記録体204について説明すると、この画像記録体204は、紙(パルプ)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等で形成された基材の一方の面に、熱転写シート1から転写される染料を受容し、受容した染料を保持する受容層が形成されている。画像記録体204では、受容層で染料を保持することによって、画像を形成し、この受容層上にオーバーコート層13が積層される。この受容層は、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂等で形成されている。また、基材の他方の面には、ガイドローラ201やプラテンローラ208との間の摩擦を低減するバック層が形成されている。
熱転写シート1は、図2乃至図4に示すように、耐熱滑性層10、基材11、転写層12から構成されている。なお、熱転写シート1には、詳細を図示しないが、基材11上に、転写層12の他に、画像を形成するための色材層(染料、顔料等の色材と熱可塑性樹脂とで形成され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の色相を有する)が形成されており、これらの色材層及び転写層12を一組として、この組が面順次に長手方向に形成されている。なお、ブラックは、必要に応じて形成する。色材層は、感熱ヘッド207により、印刷する画像データに応じた熱エネルギが印加されることによって、画像記録体204の受容層に色材が熱転写される。なお、熱転写シート1には、転写層12のみ設けられており、色材層が設けられていなくてもよい。
耐熱滑性層10は、感熱ヘッド207の瞬時的な熱から基材11を保護し、熱転写シート1を滑らかに走行させる。基材11は、耐熱滑性層10及び転写層12を保持する。
転写層12は、その全部又は一部が後にオーバーコート層13として画像記録体204に形成された画像上に熱転写・積層されるものである。転写層12は、画像上に転写後、画像の表面を保護するためのプロテクト層121を含む。転写層12は、任意で設けられ、画像に転写接着するための接着層122や、プロテクト層121の基材11側からの剥離性を高めるための非転写性剥離層120を含んでいてもよい。また、転写層12がプロテクト層121のみからなる場合、プロテクト層121は、同時に接着層122の機能も果たす。オーバーコート層13の転写時には、非転写性剥離層120を設けている場合、転写層12のプロテクト層121の基材11側に隣接する非転写性剥離層120とプロテクト層121との境界面が剥離面となり、非転写性剥離層120を設けていない場合、基材11とプロテクト層121との境界面が剥離面となって、非転写性剥離層120又は基材11からオーバーコート層13が剥離して、画像上にオーバーコート層13が熱転写され、積層される。
具体的に、図2は、転写層12として、基材11側に近い側より非転写性剥離層120、プロテクト層121、接着層122をこの順で積層した構成からなる熱転写シート1である。この熱転写シート1において、画像記録体204に積層されるオーバーコート層13は、画像記録体2に転写された場合、画像記録体2の表面側より接着層122、プロテクト層121の順で積層されるように構成されている。この熱転写シート1では、オーバーコート層13を画像上に熱転写する際、非転写性剥離層120とプロテクト層121との境界面が剥離面となり、プロテクト層121が非転写性剥離層120から剥離して、プロテクト層121と接着層122からなるオーバーコート層13が画像上に熱転写される。
図3は、転写層12として、基材11に近い側よりプロテクト層121、接着層122をこの順で積層した構成からなる熱転写シート1である。この熱転写シート1において、画像記録体204に積層されるオーバーコート層13は、図2に示す熱転写シート1と同様に、画像記録体2に転写された場合、画像記録体2の表面側より接着層122、プロテクト層121の順で積層されるように構成されている。この熱転写シート1では、オーバーコート層13を画像上に熱転写する際、基材11とプロテクト層121との境界面が剥離面となり、プロテクト層121が基材11から剥離して、プロテクト層121と接着層122からなるオーバーコート層13が画像上に熱転写される。
図4は、転写層12として、プロテクト層121のみから構成される熱転写シート1である。この熱転写シート1において、画像記録体204に積層されるオーバーコート層13は、プロテクト層121のみからなり、このプロテクト層121が接着層の機能も果たすようになる。この熱転写シート1では、オーバーコート層13を画像上に熱転写する際、基材11とプロテクト層121との境界面が剥離面となり、プロテクト層121が基材11から剥離して、プロテクト層121からなるオーバーコート層13が画像上に熱転写される。
これらの熱転写シート1の基材11に使用する材質は、ある程度の耐熱性と強度を有すればよく、従来公知の例えば紙、各種加工紙、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、セロファン等が好ましいものとして挙げられる。この中で特に好ましいものは、ポリエステルフィルムである。基材11の厚さは、0.5〜50μm、好ましくは3〜15μm程度である。
非転写性剥離層120は、転写層12に任意で含まれるものであり、プロテクト層121を含むオーバーコート層13が感熱転写する際の基材11側との剥離性を高めるために形成される。非転写性剥離層120自身は、オーバーコート層13として画像記録体204に転写されず、基材11側に残るものである。非転写性剥離層120は、プロテクト層121との離型性を高める機能を有しているものであればよい。例えば、離型性樹脂(シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等)からなる構成や、各種樹脂に離型性付与剤(シリコーン系添加剤、フッ素系添加剤、長鎖アルキル系添加剤等)を配合した構成、さらにはプロテクト層121と離型し得る程度に相溶性の低い樹脂のみで構成してもよい。
オーバーコート層13を構成するプロテクト層121及び接着層122は、透明性を有する樹脂からなることが好ましく、画像の観察に影響を及ばさないものがよい。昇華型熱転写方式による画像形成においては、プロテクト層121及び接着層122の樹脂により、耐光性、耐熱性、耐オゾン性及び耐薬品性等の画像保存性を向上させることが可能となる。使用する樹脂の種類は、特に制約を受けないが、例えばガラス転移点が常温以上であることが好ましい。
また、プロテクト層121の要件としては、熱転写時に、基材11又は基材11側に位置する隣接した層、すなわち非転写性剥離層120との間で、加熱時剥離性を備えている必要がある。
接着層122は、転写層12に任意で含まれる。この接着層122は、感熱転写時に、画像記録体204との感熱接着性を発現する機能を有する。感熱接着性を有していれば特に制約はないが、画像保存性を考慮して各種樹脂より適宜選択される。
プロテクト層121及び接着層122には、適宜、画像保存性向上剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、HALS等の光安定剤)や、その他の添加剤(蛍光増白剤等)を含有させることができる。なお、画像保存性向上剤やその他の添加剤としては、例えば特開平04−142987号公報等に記載されているものを挙げることができる。
プロテクト層121及び接着層122からなるオーバーコート層13は、画像記録体204上への積層時に、表面光沢差(コントラスト)形成が可能なものであれば任意の形態のものを使用できる。表面光沢差(コントラスト)の主要因は、感熱ヘッド207の印加エネルギ差によって生じるオーバーコート層13表面の表面平滑度差であるが、同エネルギ差によって同時に生じる高低差(0.1μm〜10μm程度の凹凸)も寄与している。
次に、オーバーコート層13を画像記録体204に転写させる感熱ヘッド207について説明する。この感熱ヘッド207は、図5に示すように、セラミック基板207aにグレース層207bを介して発熱抵抗体等でなる感熱素子207cが直線のライン状に設けられ、その上層に、感熱素子207cを保護する保護層207dが設けられたサーマルヘッドである。セラミック基板207aは、放熱性に優れ、感熱素子207cの蓄熱を防止する機能を有する。また、グレース層207bは、感熱素子207cを画像記録体204や熱転写シート1に当接させるため、感熱素子207cを画像記録体204や熱転写シート1に突出させるものであり、また、感熱素子207cの熱がセラミック基板207aに吸収され過ぎないようにするためのバッファ層となる。感熱ヘッド207は、1ラインずつ画像記録体204との間に介在する熱転写シート1のオーバーコート層13を感熱素子207cで加熱し画像記録体204に転写する。
次に、以上のように構成されたプリンタ装置200の回路構成について説明する。プリンタ装置200は、図6に示すように、印刷するカラー画像等の画像データや潜像となる文字等の潜像データが入力されるインタフェース(以下、単にI/Fという。)209と、I/F209より入力された画像データや潜像データを蓄積する画像メモリ210と、制御プログラム等が格納される制御メモリ211と、感熱ヘッド207等の全体の動作を制御する制御部212とが、バス213を介して接続されている。また、このバス213には、画像記録体204を給紙部から排紙部まで走行させるキャプスタンローラ202やキャプスタンローラ202の駆動源となるモータ等を有する画像記録体搬送部214、熱転写シート1を走行させる巻取リール205や巻取リール205の駆動源となるモータ等を有するシート走行部215及び感熱ヘッド207が接続され、画像記録体搬送部214やシート走行部215、感熱ヘッド207も制御部212によって制御される。
I/F209は、印刷する画像データや形成する潜像データを表示するLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置、記録媒体が装着される記録及び/又は再生装置等の電気機器が接続される。例えば、表示装置に動画が表示されているとき、ユーザが選択した静止画像データが入力される。また、I/F209は、記録及び/又は再生装置が接続されているとき、光ディスク、ICカード等の記録媒体に記録されている静止画像データが入力される。なお、このI/F209には、USB(Universal Serial Bus)、IEEE(the Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)等の規格に基づいて有線又は無線で電気機器が接続される。
画像メモリ210には、少なくとも画像データ及び潜像データをそれぞれ1枚分記憶することができる容量を有し、I/F209より入力された印刷する画像データや潜像データが入力され、一時的に保存される。
制御メモリ211は、プリンタ装置200の全体の動作を制御する制御プログラム等が格納されている。また、制御メモリ211は、図7に示す詳細を後述する万線パターン20を形成する万線23のピッチp等、万線パターン20のデータが格納されている共に、潜像データが入力された際に、入力された潜像データに応じて、万線パターン20に位相ずれを生じさせるプログラムを格納している。
制御部212は、制御メモリ211に格納された制御プログラムに基づいて全体の動作を制御する。
以上のような構成からなるプリンタ装置200では、制御部212が制御メモリ211に格納された全体の動作を制御するプログラムに従って、画像記録体搬送部214を駆動制御し、画像記録体204の画像形成を開始する開始位置を、感熱ヘッド207の位置まで搬送する。また、制御部212は、搬送した画像記録体204に、熱転写シート1のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色材層、オーバーコート層13をこの順で熱転写できるように、シート走行部215を駆動制御し、巻取リール205を回転駆動して、熱転写シート1を巻取リール205側に走行させる。そして、制御部212は、キャプスタンローラ202を回転駆動させて、画像記録体204をキャプスタンローラ202側に走行させながら、感熱ヘッド207を印刷する画像データに応じて駆動し、イエローの色材を画像データに応じた濃度で熱転写する。イエローの色材を熱転写した後、キャプスタンローラ202をガイドローラ201側に回転駆動させ、画像記録体204の画像形成を開始する開始位置が感熱ヘッド207と対向するまで、画像記録体204をガイドローラ201側に走行させる。そして、イエローが熱転写された画像記録体204に、画像データに応じた濃度でマゼンタを熱転写し、再び、画像記録体204の開始位置を感熱ヘッド207と対向する位置まで走行させ、同様に、残りの色材を画像記録体204に熱転写してカラー画像を形成する。
次いで、制御部212は、オーバーコート層13を先に形成した画像全体に積層するため、キャプスタンローラ202をガイドローラ201側に回転駆動させ、画像記録体204をガイドローラ201側に走行させて、画像記録体204の開始位置を感熱ヘッド207と対向させ、再びキャプスタンローラ202をガイドローラ201側とは反対側に回転駆動させて、画像記録体204を走行させながら、潜像データに応じて感熱ヘッド207を駆動し、オーバーコート層13を画像上に熱転写する。この際、制御部212は、転写したオーバーコート層13の表面に、制御メモリ211に格納されている潜像データに従って、表面光沢差により万線パターン20を形成するように感熱ヘッド207のオーバーコート層13に対する印加エネルギを制御し、オーバーコート層13上に図7(A)に示すように、潜像部21及び背景部22を形成する。
プリンタ装置200は、画像記録体204の表面に感熱転写法にてオーバーコート層13を積層する際、潜像データに基づいて、制御部212により、感熱ヘッド207の印加エネルギが変調され、オーバーコート層13表面上に表面光沢差を発生させ、そのコントラストによって、図7(A)及び図7(B)に示すように、万線パターン20及びこの万線パターン20により潜像が形成された潜像部21(図中、文字「D」)を形成する。この潜像部21は、その背景部22の万線パターン20aとほぼ等ピッチpで、かつ位相をずらした万線パターン20bで形成されている。背景部22とは、潜像部21を除いた部分である。また、潜像部21は、文字や標章、数字、記号等であり、特に限定されない。この潜像部21を形成する潜像データは、図6に示したI/F209に接続されたキーボード等から入力される。
次に、プリンタ装置200でオーバーコート層13を画像記録体204に積層する際に、該オーバーコート層13表面に表面光沢差(コントラスト差)によって万線パターン20を形成する方法について説明する。
制御部212は、潜像データ及び万線パターン20のデータに従って、感熱ヘッド207の印加エネルギの増減を制御する。これにより、プリンタ装置200では、積層後のオーバーコート層13の表面の光沢を変化させることができる。該方法でオーバーコート層13表面の光沢を変化させることができることについては、特開平3−159795号公報に記載されているとおりである。
この原理に則して、熱転写により、オーバーコート層13を画像記録体204に積層する際、プリンタ装置200の制御部212の制御に基づいて、熱エネルギー増減を行うことにより、積層後のオーバーコート層13に、図7(A)に示すように、表面光沢差による万線パターン20が形成され、潜像部21と背景部22とを形成することができる。潜像部21及び背景部22では、万線23を感熱ヘッド207から高い熱エネルギが印加されて形成される低光沢度領域で形成し、万線下地24を感熱ヘッド207から低い熱エネルギが印加されて形成される高光沢度領域で形成する。なお、万線23を高光沢度領域で形成し、万線下地24を低光沢度領域で形成して、万線パターン20を形成してもよい。万線下地24とは、万線23間の領域である。該潜像部21は、画像記録体204を観察する際に、画像と正対する位置からは視認することができない。該潜像部21は、後述する光透過性の顕像化用治具30をある特定の角度、特定の距離にて重ね合わせて、ある特定の角度から観察することにより顕像化可能である。
このような潜像形成方法は、一般に万線モアレと呼ばれる方式であり、例えば印刷画像において潜像を形成し、顕像化用治具を用いてその潜像を視認し、その印刷物の真贋や、原本/複製物の判別を可能にするものである。万線モアレについては、例えば、特開2005−43778号公報等に記載されている。これら印刷画像内に潜像を埋め込む従来法では、どのような観察角度からも潜像の視認性の低い画像が得られる。しかしながら、写真様画像に潜像を埋め込むことは難しく、濃度的にも均一性の高いデザインが求められる。一方、プリンタ装置200による潜像形成方法では、従来の方法と異なり、画像を形成している受容層とは別のオーバーコート層13に潜像部21を形成し、かつ潜像部21を形成する光透過性の万線パターン20を表面反射光のコントラストで形成する。これにより、潜像部21は、正対した位置からはほとんど観察することができないようにできる。また、潜像部21は、オーバーコート層13が形成された画像記録体204を傾けて観察した場合でも視認することを困難にできる。また、潜像部21と背景部22の境界領域25に位置する万線23の端部23aの処理方法を工夫することにより、潜像部21をさらに視認困難にすることができる。
万線パターン20を構成する万線23は、光透過性を有するオーバーコート層13上の表面光沢差(=コントラスト)として現れる万線である。顕像化用治具30を用いて潜像部21を顕像化する場合において、従来の方法と比較すると、従来の方法では正対する位置からの観察で潜像部を顕像化できるのに対し、このプリンタ装置200によりオーバーコート層13に形成した潜像部21は、特定角度からの観察でのみ顕像化できる。これは、従来の方法では、潜像部が有色の万線からなるのに対し、潜像部21は、表面光沢差を用いて形成した無色の万線23からなるためである。
ここで、オーバーコート層13を積層する時の感熱ヘッド207の印加エネルギとオーバーコート層13表面の20°鏡面光沢度(JIS Z8741)との関係を説明する。オーバーコート層13を積層する時の感熱ヘッド207の印加エネルギを16種類に変更した場合を図8に示す。
図8において、横軸は、感熱ヘッド207の印加エネルギの高低を示す。ここでは、横軸の左側へ向かうほど高エネルギであり、右側へ向かうほど低エネルギである。横軸に示した数値は、エネルギを印加する際に用いたビットマップ画像データ(全面ベタ)の輝度データの数値である。該数値は、8ビット:0(最低)〜255(最高)で表現される。すなわち、輝度データ数値と感熱ヘッド207の印加エネルギとの関係は、輝度データ0で印加エネルギ最高、輝度データ255で印加エネルギ最低である。図8では、次の16ポイントの輝度データ数値を20°光沢度測定に使用した。16ポイントの輝度データ数値は、0,17,34,51,68,85,102,119,136,153,170,187,204,221,238,255である。
図8において、縦軸は、上記横軸の16ポイントにおけるオーバーコート層13表面の20°鏡面光沢度(JIS Z8741)を示す。ここで、輝度データ数値が大きい側(横軸の右側)に光沢度が示されていない領域が存在する。これは、印加エネルギ不足により、画像記録体204の表面上にオーバーコート層13を積層(熱転写接着)できなかったためである。また、オーバーコート層13の種類、材質が異なる場合には、例えば(A)、(B)のように異なるプロファイルが得られる。
ここで、プロファイル(A)を例にとって説明する。例えば、横軸の輝度データ数値「119」と輝度データ数値「0」に相当する2つの印加エネルギを使用して、図7(A)に示す万線23に相当する部分及び万線下地24に相当する部分を形成することにより、光沢差が生じ、この光沢差に基づくコントラストを得ることができる。相対的に光沢度の高い領域を高光沢度領域(ここでは輝度データ「119」による形成領域であり20°光沢度60%に相当)、相対的に光沢度の低い領域を低光沢度領域(ここでは輝度データ「0」による形成領域であり20°光沢度10%に相当)とする。例えば、万線23を低光沢度領域で形成し、万線下地24を高光沢度領域で形成する。なお、万線23を高光沢度領域で形成し、万線下地24を低光沢度領域で形成して、コントラストを得てもよい。実際には、万線パターン20中の万線23や万線下地24は、ミクロな領域であるため、このミクロな領域において、万線23及び万線下地24の各領域の光沢度を独立して直接測定することは困難である。該万線パターン20は、例えば1ラインあたり感熱素子207c、1素子分の幅(300DPIで約84.7μm)しかないため、各々の領域の20°光沢度を独立して測定するに充分な被測定面積が得られないからである。したがって、光沢度とは、図8示したように、「ベタ」で印加エネルギを適用した場合の20°光沢度のことを意味する。
オーバーコート層13上に形成される潜像入り万線パターン20は、オーバーコート層13上に異なる表面光沢度の領域を形成し、表面光沢度の異なる領域の一方を万線23とし、他方を万線下地24とする。
潜像入り万線パターン20は、図7(B)に示すように、以下のパラメータを有する。
・万線23のピッチ(周期)(p)
・万線23部分の幅(w)
・隣り合う万線23間の距離(l)
・潜像部21、背景部22間の万線23の位相ずれ量(顕像化の際、潜像部21と背景部22との間でコントラストを発生させるのに必要である。万線23の位相ずれ量が万線23のピッチpのほぼ1/2である場合に万線モアレによる潜像部21のコントラストは最も高くなる。)(s)
・万線23の形状(実線、破線、点線等)
・万線23の設定光沢度
・万線下地24の設定光沢度
・万線23の方向
ここで、万線23のピッチ(周期)pは、[万線23部分の幅w]+[隣り合う万線23間の距離l]で定義される。この定義に基づき、万線23のピッチ(周期)pとは、[高光沢度領域の線幅]+[低光沢度領域の線幅]のことである。光沢差を用いて、万線23を形成する際、高光沢度領域、低光沢度領域のどちらを万線23、万線下地24とするかは任意である。万線23のピッチ(周期)pを定義する式から明らかなように、万線23、万線下地24のどちらを高光沢度領域、低光沢度領域で形成した場合でも、万線23のピッチ(周期)pは同じものとなる。また、万線23の形状は、実線、破線、点線のいずれの形状であってもよい。高光沢度領域及び低光沢度領域がともに実線にて構成されている場合、光沢度の高低に関わらず、どちら側を万線23、万線下地24と見なしてもよい。図7においては、万線23を低光沢度領域、万線下地24を高光沢度領域と見なしている。
ただし、プリンタ装置200に設けられた感熱ヘッド207により万線23を形成する制約から、感熱ヘッド207に設けられている感熱素子1素子分の幅が万線23を形成する最小単位となる。以上のことを考慮して、万線23のピッチ(周期)p、位相ずれ量sを設定することが好ましい。
潜像入り万線パターン20においては、そのビットマップ画像データ(潜像データ)生成時、および/またはオーバーコート層への万線パターン20形成時において、潜像部21と背景部22の境界領域25では、潜像部21と背景部22の万線23との間で、互いの万線23との隙間(万線23と平行および/または垂直な方向を問わず)が広くなったり、逆に狭くなったりして潜像の輪郭が目立つ場合がある(以下、「隙間むら」と呼ぶ)。この隙間むらは、潜像の視認困難さを妨げるものであり、好ましくない。この場合、必要に応じて、以下の隙間むら軽減策を行うことにより、隙間むらを目立たなくすることができる。
前者の場合、すなわち潜像入り万線パターン20のビットマップ画像データを作成する際には、万線23のピッチ(周期)pや万線23の部分の幅w、万線23の位相ずれ量sによっては潜像部21と背景部22の境界領域25付近で隙間むらが発生する。この場合の対策としては、制御部212により、該ビットマップ画像データの該隙間むら部分に対して、各種の調整による補正処理を実施できる。例えば、万線23の補間、間引き、間隔、長さ(潜像部21形成用の万線23と背景部22形成用の万線23のオーバーラップ量調整を含む)、太さ、万線23内や万線下地部24内の光沢調整(ピクセルの輝度データ調整)等の隙間むら軽減策を適宜実施することができる。補正処理としては、以下のようなものが挙げられる。
(潜像部21形成用の万線23と背景部22形成用の万線23のオーバーラップ量調整)
例えば、潜像部21と背景部22の境界領域25において、潜像部21の万線23の端部23aと背景部22の万線23の端部23aの位置が揃っていてもよいが、図9に示すように、制御部212は、潜像部21及び背景部22の各万線23の端部23aをオーバーラップするように、ビットマップ画像データを補正処理することができる。この際、このオーバーラップ量dも適宜調整できる。
(万線23内や万線下地部24内の光沢調整)
また、別の例として、図10に示すように、制御部212は、潜像部21と背景部22の境界領域25において、潜像部21及び背景部22の各万線23の端部23aに近づくにつれて、各万線23の印加エネルギ量を万線下地24の印加エネルギ量に近づくように、各万線23のビットマップ画像データの輝度データを調整し、万線23の端部23aを万線下地24の20°光沢度に近づけるようにすることができる。
一方、後者の場合、すなわちプリンタ装置200にて上記潜像入り万線パターン20をオーバーコート層13上に形成する際には、元のビットマップ画像データ通りの万線パターン20が形成されない現象(以下、「万線形成不全」と呼ぶ)が生じることがある。この万線形成不全は、万線23の端部23a付近において発生し、ビットマップ画像データ生成時と同様に隙間むらとして観察される。万線形成不全の発生メカニズムは、下記の通りと推測される。すなわち、オーバーコート層13への万線パターン20を形成する時、感熱ヘッド207の印加エネルギが高光沢度領域を形成する部分(以下、高光沢度領域形成部という。)から低光沢度領域を形成する部分(以下、低光沢度領域形成部という。)に切り替わった直後のある区間で、低光沢度領域を形成するに十分な熱エネルギが供給されず、本来、低光沢度領域(例えば万線23)が形成されるべき箇所が、依然として高光沢度領域(例えば万線下地部24)として形成されてしまうため、万線形成不全を生じる。これを軽減するには、ビットマップ画像データ上の高光沢度領域形成部から低光沢度領域形成部に切り替わる領域で、低光沢度領域の形成が開始できるよう、これよりも手前の領域から、万線形成不全の発生領域の長さを見込んで、制御部212による感熱ヘッド207の印加エネルギを制御する補正処理を施すようにすればよい。
具体的には、制御部212は、上記ビットマップ画像データを参照し、万線形成不全のおそれがあると判断した場合は、境界領域25付近の万線23を適宜処理するように感熱ヘッド207の駆動を制御する。これによって、境界領域25付近の万線23が処理され、潜像部21周囲の隙間むらを目立ちにくくすることができる。また、この処理は、上記のようにビットマップ画像データを参照しながらオンデマンドで実施してもよいし、ビットマップ画像データの生成時の処理(潜像入りビットマップ画像データ作成時に発生する隙間むらの補正処理)の際、同時にこの補正処理を実施するよう組み込んでもよい。
また、制御部212は、万線23を形成する際に、良好なコントラストが得られるように、高光沢度領域は20°光沢度が30%以上であり、低光沢度領域は20°光沢度が30%未満となるように、感熱ヘッド207の印加エネルギを制御することが好ましく、さらには高光沢度領域が20°光沢度40%以上、低光沢度領域が20°光沢度20%以下となるように印加エネルギを制御することが好ましい。
また、一般的に、写真様画像としては、表面光沢の高い方が好まれる傾向にある。印画物40の表面光沢を高くしようとする場合に、制御部212は、高光沢度領域の幅/低光沢度領域の幅≧1となるように万線23を形成するように感熱ヘッド207を制御することによって、表面光沢を高くすることができる。前述したとおり、いずれの領域を万線23、万線下地24に割り当てるかは任意である。
さらに万線23のピッチ(周期)pは、700μm以下であることが好ましい。700μmを超えると万線パターン20が画像上に目立つようになり、潜像部21と背景部22の境界領域25における万線23の処理を行っても潜像部21が目立つようになる。より好ましくは、万線のピッチpは、500μm以下である。
また、万線23のピッチpの最小は、感熱ヘッド207に設けられた感熱素子207c、2素子分の長さである。感熱ヘッド207の主走査方向解像度が300DPIの場合では、約169.3μm、同じく600DPIの場合で約84.7μmである。また、万線23と万線下地24との間で、良好な光沢差(コントラスト)を得ようとする場合、制御部212は、図11に示すように、形成する万線23の走る方向を感熱ヘッド207の主走査方向Xに垂直又は平行に設定することが好ましい。特に、万線23の走る方向を主走査方向Xに対して垂直方向、すなわち副走査方向Yとすると、良好なコントラストを得やすい。なお、主走査方向Xとは、感熱素子207cが並列している方向であり、副走査方向Yは、画像記録体204の搬送方向である。
なお、画像表面のバックグラウンドとなる面の平均的な光沢度を調整することにより、例えば、印刷における特開平10−100529号公報のように、潜像部21とその周囲に潜像部21と位相のずれたパターン縁取り部を設けることも可能である。
さらには、感熱ヘッド207の主走査方向Xに万線パターン20を形成し、副走査方向Yにも万線パターン20を形成し、主走査方向Xと副走査方向Yの万線パターン20を重畳し、主走査方向X及び副走査方向Yのそれぞれに潜像部21を設けることも可能である。また、制御メモリ211に格納する光沢差を得るための万線パターン20のデータは、必ずしも2値である必要はない。また、コントラストを上げるために、オーバーコート層13への蛍光増白剤や紫外線吸収剤等の単独/組み合わせの添加も可能である。
以上のようにして、制御部212による制御に基づいて、プリンタ装置200で形成したオーバーコート層13上の潜像部21を万線モアレとして顕像化するには、潜像形成時に使用した万線23とほぼ等ピッチpの万線(図示しない)を持つ顕像化用治具30を通して、互いの万線方向がほぼ一致するようにして該潜像部21を観察すればよい。
顕像化用治具30は、図12に示すように、印画物40を支持する支持部31と、この支持部31の一辺に、所定の角度(後述する仰角θ)をもって取り付けられた顕像化部32と、支持部31と顕像化部32とを接続する接続部33とを有する。支持部31は、印画物40を平坦に支持部するため、板状に形成されている。
顕像化部32は、フレームに透明基材として光透過性基材34が取り付けられている。この光透過性基材34には、印画物40の画像上に形成された潜像部21の万線23とほぼ等ピッチpの万線34aが印刷により形成されている。透明基材としては、光透過性があればどのようなものを使用してもよく、特にポリエステルフィルムが好ましい。
万線34aは、画像形成に使用した上述したプリンタ装置200を用いて、染料受容層を形成した光透過性基材34上に、潜像部21の万線23とほぼ等ピッチpの万線23を印画することにより形成できる。このように、顕像化用治具30の万線34aも、印画形成に使用したプリンタ装置200を用いて、容易に作製することができる。
顕像化部32は、支持部31と平行ではなく、図13に示すように、支持部31側の面と、支持部31の印画物40が載置される面とのなす角が仰角θとなるように、接続部33を介して支持部31に取り付けられている。
接続部33には、印画物40を支持部31上に載せて潜像部21を観察する際に、印画物40を万線34aと直交する方向に移動可能とするため、印画物40を挿通させる開口部33aが形成されている。
このような顕像化用治具30は、印画物40を支持部31に載置することにで、図13に示すように、印画物40のオーバーコート層13と顕像化部32とのなす角が仰角θとなる。
なお、潜像部21を潜像する際に用いる顕像化用治具としては、透明基材に潜像部21の万線23とほぼ等ピッチpの万線23を形成したものであれば、上述した顕像化用治具30に限定されない。
顕像化用治具30は、図13に示すように、印画物40のオーバーコート層13と顕像化部32とのなす角が潜像部21を観察するのに適した仰角θとなるように、オーバーコート層13の顕像化部32側の面と顕像化部32の接続部33側の端部との距離L1、及びオーバーコート層13の顕像化部32側の面と顕像化部32の接続部33側とは反対側の端部との距離L2を持って、顕像化部32を傾斜させることが好ましい。L1,L2は、顕像化用治具30のサイズにもよるが、最適な仰角θが得られるような距離であり、0.5mm〜数10mm、好ましくは1mm〜10mmの範囲であり、L1<L2となるようにする。
最適な仰角θを持たる理由は、次の通りである。仰角θを持たせない場合には、顕像化用治具30の顕像化部32の面とオーバーコート層13の面は平行となり、潜像部21に対して垂直に入射した入射光35の顕像化部32からの反射光36、オーバーコート層13からの反射光37は同時に観察者に届くようになる。このとき、顕像化部32の表面からの正反射光成分36が、オーバーコート層13からの反射光成分37(光沢差コントラストを含む)の観察を妨害し、万線モアレが明瞭に観察できないおそれがある。これを回避するため、図13に示すように、顕像化用治具30に仰角θを持たせ、双方の反射光36、37の進行方向を互いに異ならせることで顕像化部32の表面からの正反射光成分36をそらし、オーバーコート層13からの反射光成分37のみを観察できるようにすれば良い。これにより観察者がオーバーコート層13の反射光成分37を観測した際の光沢差により生じるコントラスト、即ち潜像部21をより明瞭に観察できるようになる。
以上のように、プリンタ装置200により形成された潜像部21は、印画物40の画像に正対した位置からは視認困難であり、図12や図13に示す顕像化用治具30を通して観察することで顕像化できるものである。この潜像部21の顕像化は、印画物40の表面に積層したオーバーコート層13に照射された光が反射される際に生じる表面光沢度差(コントラスト)による万線像と、顕像化用治具30の万線34aとが干渉して生じるモアレによるものであり、特定の反射条件を満足した時に観察できる。
上述したように、プリンタ装置200による潜像形成方法では、染料等により形成された画像上に透明なオーバーコート層13を積層する際に、感熱ヘッド207からの印加エネルギを例えば感熱素子207c毎に変調させることで、オーバーコート層13の表面に表面光沢差を生じさせ、そのコントラストにより、図7に示すように、万線パターン20を形成し、潜像部21の万線パターン20bと背景部22の万線パターン20aとをほぼ等ピッチpで形成し、かつ位相をずらして形成することにより、印画物40の画像に正対した位置からは視認が困難な潜像部21を形成することができ、顕像化用治具30を用いなければ視認することができないような潜像部21を形成することができる。
また、この潜像形成方法により得られた印画物40は、印画物40の画像上に積層されるオーバーコート層13に潜像部21が形成されており、画像が形成された受容層が潜像部21が形成されたオーバーコート層13とは独立した構成であるため、両者が同一層に共存することに起因する制約から解放される。すなわち、画像のデザインが損なわれることがなく、画像が写真等のフルカラー画像であっても該画像の真上に潜像部21を埋め込むことができる。これにより、このプリンタ装置200を用いた潜像形成方法では、デザイン自由度が高く、セキュリティ性を有する写真様印画物を得ることができる。
また、このプリンタ装置200では、画像上へのオーバーコート層13の積層と同時に、オーバーコート層13への潜像形成(万線描画)が可能なため、従来よりも容易に潜像入り印画物40を形成することができる。オーバーコート層13及び万線23は、共に光透過性であり、オーバーコート層13の下に位置する記録画像の観察を妨げることはない。
以下、本発明を適用した潜像形成方法及び潜像の顕像化方法について説明する。
〈実施例1〉
実施例1では、顕像化用治具及びオーバーコート層に潜像を形成した。
(1)顕像化用治具の作製
透明PET(125μm厚)上に受像層を設け、昇華熱転写型プリンタUP−CR10L(ソニー社製、感熱ヘッド解像度300DPI、感熱素子1個の幅約84.7μm)にて黒色の万線をプリントした。プリントには、ビットマップ画像データを使用した。設定画像解像度は、300DPIとし、画像データの1ピクセルが感熱ヘッドの1感熱素子に対応するようにした。ここでの万線データの作製条件は下記の通りとした。
(万線データの作製条件)
・万線のピッチ⇒4ピクセル
・万線部分の幅⇒2ピクセル
・万線間の距離⇒2ピクセル
・万線方向⇒感熱ヘッドの主走査方向に対して垂直
・万線形状⇒実線
このような条件の万線パターンが印刷された透明フィルムを顕像化用治具とした。なお、万線のプリントにはプリントパック2UPC−C14(ソニー社製)の熱転写シートを使用した。
(2)オーバーコート層上への潜像入り万線パターンの形成
プリントパック2UPC−14(ソニー社製)を使用し、まずオーバーコート層のないグレーのベタ印画を行った。これに続き、該グレーベタ画像上にオーバーコート層を積層した。この際に、熱転写で印加するエネルギ量を可変させてオーバーコート層表面に光沢差を発生させ、そのコントラストによる潜像入り万線パターンを形成した。潜像入り万線パターンは、ビットマップ画像データとして用意した。潜像入り万線パターン形成用ビットマップ画像データの作製には、ビットマップ画像編集用ソフトウェア(商品名:フォトショップ、アドビシステムズ社製)を用いた。
具体的に、先ず、背景部の万線画像データ(4インチ×6インチ)を下記手順で作製した。
画像解像度300DPIに設定し、プリンタ装置の感熱ヘッドの主走査方向に4インチ(300×4=1200ピクセル)、同副走査方向に6インチ(300×6=1800ピクセル)のビットマップ画像データを新規作成した。
この領域内へ、背景部となる万線パターンを下記条件で書き込んだ。本実施例では、オーバーコート層転写時に形成される低光沢度領域を万線部分、高光沢度領域を万線下地部分として割り当てた。
(背景部の万線パターンの条件)
・万線のピッチ⇒4ピクセル
・万線部分の幅⇒1ピクセル
・万線間(万線下地)の距離⇒3ピクセル
・万線形状⇒実線
・万線部ピクセルの輝度データ⇒20°光沢度20%に相当する輝度データ
・万線下地部ピクセルの輝度データ⇒20°光沢度60%に相当する輝度データ
・万線方向⇒感熱ヘッドの主走査方向に対し垂直方向(すなわち副走査方向)
万線部及び万線下地部ピクセルの各輝度データ数値は、本実施例で用いたプリントパック(2UPC−14)のオーバーコート層領域を用いて、図8に示すような、輝度データ数値対20°光沢度のプロファイルを作成し、所望の光沢度が得られる輝度データ数値を参照することにより決定した。
次に、潜像入り万線データを上記背景部の内側に埋め込んだ。潜像部となるデータは下記のようにして作成した。
100ピクセル×100ピクセル(設定解像度96DPI)からなる新規画像データを作製した。この領域内に、図7(a)に示すように、全角の大文字「D」をフォント:HGP創英角ゴシックUB、フォントサイズ:72ポイント、「アンチエイリアスなし」にて入力し、高さ77ピクセル、横幅62ピクセルの文字「D」を形成した。本実施例ではこの文字「D」が潜像となる。
さらに、この100ピクセル×100ピクセルのビットマップ画像データ内の文字「D」形成部及びその背景部(文字「D」の内側部分)に、先に作製した背景部(文字「D」の外側部分)の万線パターンと同様の万線パターンを形成した。
このとき、潜像部と背景部(文字「D」の内側部分)の各万線パターンの位相をずらして形成した。潜像部と背景部の万線パターン位相ずれ量は、1/4(1ピクセル分のずれ)である。
このようにして得た潜像入りデータを、予め作成しておいた背景部の万線画像データ(文字「D」の外側部分)に、背景部分(文字「D」の内側)の位相が一致するようにして貼り付け、潜像入り万線パターン形成用ビットマップ画像データを得た。
(3)画像上への潜像入りオーバーコート層積層
作製した潜像入り万線パターン形成用ビットマップ画像データをUP−CR10Lに転送し、同プリンタ用プリントパック(2UPC−C14、ソニー社製)のオーバーコート層転写用領域を用いて、前述のグレーベタ印画物上へ潜像入りオーバーコート層を積層した。画像データ転送時の画像データ解像度は、使用プリンタの感熱ヘッド解像度と同じ(ここでは300DPI)に設定し、画像データの1ピクセルが感熱素子、1素子分に対応するようにした。この際、オーバーコート層転写後に潜像部「D」の文字のエッジ部が目視で簡単には視認出来ないレベルになるよう、適宜、エッジ部付近のビットマップ画像データの処理を行った。該ビットマップ画像内の「D」のエッジ部付近のピクセルデータに関して、潜像部、背景部の双方の万線間のオーバーラップ量調整、輝度データのグラデーション調整を行った。具体的に、ビットマップ画像データにおいて、潜像部と背景部の双方の万線のオーバーラップ量が4ピクセルとなるようにオーバーラップ量を調整し、双方の万線の末端の4ピクセル分を表1に示す光沢度となるように、輝度データのグラデーション調整を行った。なお、このオーバーラップ量は、潜像部の万線を延ばし、上下のオーバーラップする背景部の万線のうち、オーバーラップ量の少ない万線とのオーバーラップ量を4ピクセルとする。
(4)潜像の顕像化
潜像部を埋め込んだオーバーコート層が積層された印画物上に、上述したように作製した顕像化用治具を重ね合わせ、両者の万線方向がほぼ平行となるように印画物を観察したところ、万線モアレにより潜像部「D」とその背景部の領域との間にコントラストが生じて、潜像部「D」が顕像化された。また、顕像化用治具を潜像の万線方向と垂直な方向に微動させることにより、潜像部と背景部のコントラストが反転した潜像部の顕像化も観察された。また同様にして上記グレーベタ画像の代わりに自然画を用いたものに関して、同様の潜像部を有するオーバーコート層を形成したが、同じく潜像部「D」の文字を顕像化することができた。
〈実施例2〜実施例11〉
実施例2〜実施例11は、実施例1におけるオーバーコート層ならびに顕像化用治具への万線形成条件を下記表1及び表2に記載のとおり変更する以外は、実施例1と同様にして、顕像化用治具の作製、オーバーコート層積層による潜像形成及び、潜像部の顕像化可否の確認を行ったところ、いずれの場合にも、実施例1と同様の潜像部の顕像化を観察することができた。
Figure 0005109635
Figure 0005109635
表1及び表2中、万線形成時のパラメータの書式ABCD−EFG−Hは、以下に示すものである。
(オーバーコート層上への万線形成時のパラメータ)
A:万線のピッチ(=B+C)
B:万線部分の幅
C:万線間(万線下地部)の距離
D:潜像部と背景部の万線パターン位相ずれ量(潜像−背景間)
(顕像化用治具への万線形成時のパラメータ)
E:万線のピッチ(=F+G)
F:万線部分の幅
G:万線間の距離
(解像度)
H:プリンタの感熱ヘッド解像度(万線形成用画像データの解像度も同じ)
なお、A〜Gの単位は、ピクセル(各1桁)であり、1ピクセルは、感熱素子1素子分であり、Hの単位は、DPI(3桁)である。
表1中、オーバーコート層の万線部及び万線下地部の設定光沢度は、使用するプリントパックにおいて、各実施例に設定した20°光沢度が得られる輝度データ数値を使用したものである。
表2中、顕像化用治具への万線形成条件において万線形状は、実施例1〜実施例3、実施例5〜実施例7、実施例9〜実施例11は実線であり、実施例4は、破線であり、実施例8は、点線であり、万線方向は感熱ヘッドの主走査方向に対して垂直である。
また、表1に記載したオーバーコート層の万線ピッチ及び表2に記載した顕像化用治具の万線ピッチは、表1に示す万線形成時のパラメータ書式より求めた理論値であり、感熱ヘッドの精度等により、ばらつきが生じる場合がある。
また、表1中、万線末端処理の実施時の潜像部、背景部の双方末端4ピクセル分の設定光沢度において、I−J−K−Lは、以下に示すものである。
I:末端より4ピクセル目
J:末端より3ピクセル目
K:末端より2ピクセル目
L:末端より1ピクセル目
但し、実施例4については、破線の空白部に該当するピクセルは、万線下地部の設定光沢度とする。
表1に示す結果から、オーバーコート層に、低光沢度領域と高光沢度領域を形成し表面光沢差を出すことにより、万線パターンを形成し、潜像部の万線パターンと背景部の万線パターンの位相をずらすことにより、顕像化用治具を用いずに見た場合、潜像部「D」は視認できず、顕像化用治具を介して観察した場合だけ視認できることが分かる。
また、実施例1〜8、実施例10、実施例11は、高光沢度領域で形成した万線下地部の幅を、低光沢度領域で形成した万線部の幅以上となっていることによって、万線下地部の幅が万線部の幅よりも狭い実施例9よりも、印画物全体の光沢感が向上した。
また、実施例2〜実施例11は、万線の位相ずれ量が1/2であり、位相ずれ量が1/4の実施例1よりも潜像部「D」のコントラストが高く、潜像部「D」がはっきりと確認できた。
また、万線を実線、破線、点線のどのような形態で形成したり、万線の方向を感熱ヘッドの主走査方向に垂直又は平行にしたり、感熱ヘッドの垂直及び平行に万線を形成し、これらを重畳しても、同様に、顕像化用治具を用いずに見た場合、潜像部「D」は視認できず、顕像化用治具を介して観察した場合だけ視認できることが分かる。
本発明を適用したプリンタ装置の構成を示す図である。 本発明を適用した熱転写シートの断面図である。 本発明を適用した熱転写シートの断面図である。 本発明を適用した熱転写シートの断面図である。 本発明を適用したプリンタ装置のサーマルヘッドの正面図である。 本発明を適用したプリンタ装置のブロック図である。 (a)は、本発明を適用した潜像部の平面図であり、(b)は、潜像部の一部拡大図である。 感熱ヘッドの印加エネルギと20°光沢度との関係を示すグラフである。 潜像部と背景部の万線の端部をオーバーラップさせた状態を示す一部平面図である。 潜像部と背景部の万線の端部をグラデーションさせた状態を示す一部平面図である。 万線の方向と感熱ヘッドとの関係を示す平面図である。 顕像化用治具の斜視図である。 オーバーコート層と顕像化用治具の位置関係を示す側面図である。
符号の説明
1 熱転写シート、10 耐熱滑性層、11 基材、12 転写層、13 オーバーコート層、20 万線パターン、21 潜像部、22 背景部、23 万線、24 万線下地、25 境界、30 顕像化用治具、31 支持部、32 顕像部、33 接続分、34 光透過性基材、34a 万線、35 入射光、36 反射光、37 反射光、40 印画物、200 プリンタ装置、204 画像記録体、207 感熱ヘッド、212 制御部

Claims (12)

  1. 熱転写方式により被熱転写シート上にオーバーコート層を積層する際に、上記オーバーコート層上に表面光沢差による潜像部を形成するオーバーコート層への潜像形成方法であって、
    上記オーバーコート層を上記被熱転写シート上に熱転写して積層する際に、複数の感熱素子がライン状に配列された感熱ヘッドからの印加エネルギを少なくとも2種類に設定し、上記印加エネルギの差により、相対的に光沢度の高い領域と相対的に光沢度の低い領域とからなる表面光沢差を形成して、複数の万線で万線パターンを形成し、
    上記万線パターンを形成する際に、上記潜像部の万線パターンと上記潜像部を除く背景部の上記万線パターンの位相をずらして上記万線を形成することを特徴とするオーバーコート層への潜像形成方法。
  2. 上記万線の方向は、上記ライン状の感熱ヘッドの主走査方向に垂直又は平行であることを特徴とする請求項1記載のオーバーコート層への潜像形成方法。
  3. 上記万線は、実線、破線、点線のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のオーバーコート層への潜像形成方法。
  4. 上記相対的に光沢度の高い領域の幅と上記相対的に光沢度の低い領域の幅との関係が、上記相対的に光沢度の高い領域の幅≧相対的に光沢度の低い領域の幅であることを特徴とする請求項1記載のオーバーコート層への潜像形成方法。
  5. 上記潜像部と上記背景部の境界領域において、互いの上記万線の端部がオーバーラップするように上記万線を形成することを特徴とする請求項1記載のオーバーコート層への潜像形成方法。
  6. 上記潜像部と上記背景部の境界領域において、上記万線を形成する領域に印加する上記印加エネルギを、上記万線の端部に近づくにつれて、上記万線間の万線下地を形成する領域に印加する上記印加エネルギに近づくように変化させることを特徴とする請求項1記載のオーバーコート層への潜像形成方法。
  7. 上記潜像部と上記背景部との万線パターンの位相のずれは、1の上記万線の幅と上記万線間の幅とを合わせたものの1/2以下の大きさであることを特徴とする請求項1記載のオーバーコート層への潜像形成方法。
  8. 被熱転写シートを走行させる被熱転写シート走行手段と、
    少なくとも上記被熱転写シート上に熱転写されるオーバーコート層が形成された熱転写シートを走行させる熱転写シート走行手段と、
    上記被熱転写シートの走行方向に対して直交する方向に、複数の感熱素子がライン状に配列された感熱ヘッドと、
    上記感熱ヘッドを駆動制御する制御手段とを備え、
    上記制御手段は、上記被熱転写シート上に上記オーバーコート層を熱転写して積層する際に、上記感熱ヘッドの上記オーバーコート層に対する印加エネルギの差によって、上記オーバーコート層上に、相対的に光沢度の高い領域と相対的に光沢度の低い領域とからなる表面光沢差を形成して、複数の万線で万線パターンを形成し、上記万線パターンを形成する際に、上記潜像部の万線パターンと上記潜像部を除く背景部の上記万線パターンの位相をずらして上記万線を形成するように、上記感熱ヘッドの印加エネルギを少なくとも2種類に制御することを特徴とするプリンタ装置。
  9. 上記制御手段は、上記潜像部と上記背景部の境界領域において、互いの上記万線の端部がオーバーラップする上記万線パターンのデータに従って、上記感熱ヘッドの印加エネルギを制御することを特徴とする請求項8記載のプリンタ装置。
  10. 上記制御手段は、上記潜像部と上記背景部の境界領域において、上記万線を形成する領域に印加する上記印加エネルギを、上記万線の端部に近づくにつれて、上記万線間の万線下地を形成する領域に印加する上記印加エネルギに近づくように調整された上記万線パターンのデータに従って、上記感熱ヘッドの印加エネルギを制御することを特徴とする請求項8記載のプリンタ装置。
  11. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載したオーバーコート層への潜像形成方法により形成した上記オーバーコート層上の潜像部を顕像化する顕像化方法であって、
    透明基材上に、上記オーバーコート層に形成した潜像部の上記万線パターンと等ピッチの万線パターンを形成した顕像化用治具を用い、上記潜像部の上方に上記透明基材を配置し、上記透明基材を介して上記潜像部を観察することにより発生する万線モアレによって、上記潜像部を顕像化することを特徴とする潜像部の顕像化方法。
  12. 上記顕像化用治具の上記透明基材は、上記オーバーコート層の上記潜像部を形成した面に対して、傾斜させて配置することを特徴とする請求項11記載の潜像部の顕像化方法。
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