JP5109222B2 - 耐食性に優れた油井用高強度ステンレス継目無鋼管およびその製造方法 - Google Patents

耐食性に優れた油井用高強度ステンレス継目無鋼管およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、原油あるいは天然ガスの油井、ガス井に使用される油井用鋼管に係り、とくに炭酸ガス(CO2)、塩素イオン(Cl-)等を含み極めて厳しい腐食環境の油井、ガス井用として好適な、優れた耐食性を有する油井用高強度ステンレス継目無鋼管に関する。なお、本発明でいう「高強度ステンレス継目無鋼管」とは、降伏強さ:654MPa(95ksi)以上の強度を有するステンレス継目無鋼管をいうものとする。
近年、原油価格の高騰や、近い将来に予想される石油資源の枯渇化に対処するために、従来、省みられなかったような深層油田や、開発が一旦は放棄されていた腐食性の強いサワーガス田等に対する開発が、世界的規模で盛んになっている。このような油田、ガス田は一般に深度が極めて深く、またその雰囲気も高温でかつ、CO、Cl- 等を含む厳しい腐食環境となっている。したがって、このような油田、ガス田の採掘に使用される油井用鋼管としては、高強度で、しかも耐食性に優れた鋼管が要求される。
従来から、CO2、Cl等を含む環境下の油田、ガス田では、油井用鋼管として、耐CO2腐食性に優れた13%Crマルテンサイト系ステンレス鋼管が使用されるのが一般的であった。しかし、通常のマルテンサイト系ステンレス鋼は、Clを多量に含み100 ℃を超える高温の環境下では、使用に耐えられなくなるという問題があった。そのため、耐食性が要求される井戸では、二相ステンレス鋼管が用いられていた。しかし、二相ステンレス鋼管は、合金元素量が多く、熱間加工性が劣り特殊な熱間加工法でしか製造できず、高価であるという問題がある。また、従来の13%Crマルテンサイト系ステンレス鋼管では降伏強さが654MPaを超えると靭性の低下が著しくなり、使用に耐えなくなるという問題もあった。
また、近年、寒冷地における油田開発も活発になってきており、高強度に加えて、優れた低温靱性を有することが要求されることも多い。
このようなことから、熱間加工性に優れ、安価である13%Crマルテンサイト系ステンレス鋼をベースとした、降伏強さが654MPa(95ksi)を超える高強度で、かつ優れた耐CO2腐食性と、高靭性とを有する油井用高強度13Crマルテンサイト系ステンレス鋼管が強く望まれていた。
このような要求に対して、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5には、13%Crマルテンサイト系ステンレス鋼または鋼管の耐食性を改善した、改良型マルテンサイト系ステンレス鋼または鋼管が提案されている。
特許文献1に記載された技術は、Cを0.005 〜0.05%と制限し、Ni:2.4〜6%とCu:0.2〜4%とを複合添加し、さらにMoを0.5〜3%添加し、さらにNieqを10.5以上に調整した組成の13%Cr系ステンレス鋼管素材を、熱間加工後に空冷以上の速度で冷却したのち、あるいはさらに(Ac変態点+10℃)〜(Ac変態点+200 ℃)の温度に加熱し、あるいはさらにAc変態点〜Ac変態点の温度に加熱し、続いて室温まで空冷以上の冷却速度で冷却し、焼戻しする、耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス継目無鋼管の製造方法である。特許文献1に記載された技術によれば、API−C95級以上の高強度と、180 ℃以上のCO2を含む環境における耐食性と、耐SCC性とを兼ね備えたマルテンサイト系ステンレス継目無鋼管となるとしている。
特許文献2に記載された技術は、C:0.005〜0.05%、N:0.005〜0.1%を含み、Ni:3.0〜6.0%、Cu:0.5〜3%、Mo:0.5〜3%に調整した組成の13%Crマルテンサイト系ステンレス鋼を熱間加工し室温まで自然放冷したのち、(Ac1点+10℃)〜(Ac1点+40℃)に加熱し30〜60分間保持しMs点以下の温度まで冷却し、Ac1点以下の温度で焼戻し、組織を焼戻しマルテンサイトと20体積%以上のγ相とが混在した組織とする耐硫化物応力腐食割れ性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法である。特許文献2に記載された技術によれば、γ相を20体積%以上含む焼戻しマルテンサイト組織とすることにより耐硫化物応力腐食割れ性が顕著に向上するとしている。
特許文献3に記載された技術は、10〜15%Crを含有するマルテンサイト系ステンレス鋼の組成で、Cを0.005〜0.05%と制限し、Ni:4.0%以上、Cu:0.5〜3%を複合添加し、さらにMoを1.0〜3.0%添加し、さらにNieqを−10以上に調整した組成とし、 組織を焼戻しマルテンサイト相、マルテンサイト相、残留オーステナイト相からなり、焼戻しマルテンサイト相、マルテンサイト相の合計の分率を60〜90%とする、耐食性、耐硫化物応力腐食割れ性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼である。これにより、湿潤炭酸ガス環境および湿潤硫化水素環境における耐食性と耐硫化物応力腐食割れ性が向上するとしている。
特許文献4に記載された技術は、15%超19%以下のCrを含有し、C:0.05%以下、N:0.1%以下、Ni:3.5〜8.0%を含み、さらにMo:0.1〜4.0%を含有し、30Cr+36Mo+14Si−28Ni≦455 (%)、21Cr+25Mo+17Si+35Ni≦731(%)を同時に満足する鋼組成とする硫化物応力割れ性に優れた油井用マルテンサイト系ステンレス鋼材であり、これにより、塩化物イオン、炭酸ガスと微量の硫化水素ガスが存在する苛酷な油井環境中でも優れた耐食性を有する鋼材となるとしている。
特許文献5に記載された技術は、10.0〜17%のCrを含有し、C:0.08%以下、N:0.015%以下、Ni:6.0〜10.0%、Cu:0.5〜2.0%を含み、さらにMo:0.5〜3.0%を含有する鋼組成とし、35%以上の冷間加工と焼鈍により、平均結晶粒径が25μm以下、マトリックスに析出した粒径5×10−2μm以上の析出物を6×10個/mm以下に抑えられた組織を有する強度および靭性に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼である。特許文献5に記載された技術によれば、微細な結晶粒と析出物の少ない組織とすることにより、高強度で靭性低下を引き起こさない析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼を提供できるとしている。
特開平8-120345号公報 特開平9-268349号公報 特開平10-1755 号公報 特許第2814528 号公報 特許第3251648 号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載された技術で製造された改良型13%Crマルテンサイト系ステンレス鋼管は、CO2、Cl等を含み、180 ℃を超える高温の苛酷な腐食環境下では、安定して所望の耐食性を示さないという問題があった。
本発明は、従来技術のかかる事情に鑑みて成されたものである。本発明は、安価で、熱間加工性に優れ、降伏強さが654MPaを超える高強度を有し、かつCO2、Cl等を含む、230 ℃までの高温の苛酷な腐食環境下においても優れた耐CO2腐食性を示す耐食性に優れた、油井用高強度ステンレス継目無鋼管およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、熱間加工性、耐食性に及ぼす各種要因について鋭意検討した。
従来のマルテンサイト系ステンレス継目無鋼管の製造においては、フェライト相が生成して組織がマルテンサイト単相とならない場合には、強度が低下し熱間加工性が低下するため、鋼管の製造が困難となるという考えが一般的であった。そのため、特開平8−246107号公報にも記載されているように、通常、油井用13%Cr系ステンレス継目無鋼管においては、組織がマルテンサイト単相となるようにフェライトの生成を抑制した組成に調整して製造されてきた。
そこで、本発明者らは、熱間加工性に及ぼす成分の影響について、さらに詳細に検討した。その結果、鋼管組成を次(2)式
Cr+Mo+0.3Si−43.5C−0.4Mn−Ni−0.3Cu−9N≧11.5 ………(2)
(ここで、 Cr、Ni、Mo、Cu、C、Si、Mn、N:各元素の含有量 (mass%))
を満足するように調整することにより、熱間加工性が顕著に向上し熱間加工時の割れ発生を防止できることを見出した。
(2)式左辺値と、熱間加工時(すなわち、継目無鋼管造管時)に13%Cr系ステンレス継目無鋼管の端面に発生する割れ長さとの関係を図1に示す。図1から、(2)式左辺値の値が8.0以下の場合、あるいは(2)式左辺値の値が11.5以上、好ましくは12.0以上の場合に、割れ発生が防止できることがわかる。(2)式左辺値の値が8.0以下の場合は、フェライトが全く発生しない領域に相当し、この領域はフェライト相を生成させないという従来の熱間加工性向上の考え方の領域である。一方、(2)式左辺値の値が大きくなるにしたがい、生成するフェライト量が増加するが、(2)式左辺値の値が11.5以上の領域はフェライトが比較的多く生成する領域となる。すなわち、本発明者らは、(2)式左辺値が11.5以上となるように組成を調整し、造管時にフェライトが比較的多く生成した組織にするという、従来とは全く異なる考え方を採用することにより、熱間加工性を顕著に向上させることができることをはじめて見出したことになる。
熱間加工時に13%Cr系ステンレス鋼継目無管の端面に発生する割れ長さを、フェライト量との関係で整理し図2に示す。図2から、従来の考え方の通り、フェライト量が体積%で0%の場合には割れは発生しないが、フェライトが生成するとともに割れが発生する。しかし、さらに生成するフェライト量を増加させ、体積率で10%以上、好ましくは15%以上のフェライト相を生成させると、従来の考え方とは異なり、割れの発生を防止できるのである。すなわち、(2)式を満足するように成分を調整し、適正範囲のフェライト相を生成させた、フェライト−マルテンサイト二相組織とすることにより、熱間加工性が向上し割れ発生を防止できる。またさらに、フェライト−マルテンサイト二相組織とすることにより、油井管として必要な強度をも確保できることを見出した。
しかし、(2)式を満足するように成分調整して、組織がフェライト−マルテンサイト二相組織となると、熱処理中に生じる元素の分配により耐食性が劣化する懸念がある。二相組織とすると、C、Ni,Cu等のオーステナイト生成元素はマルテンサイト相に、Cr、Mo等のフェライト生成元素はフェライト相に拡散し、熱処理後の最終製品では、結果として、各相間で成分のばらつきが生じることになる。マルテンサイト相では耐食性に有効なCr量が低下し、耐食性を劣化させるC量が増加し、均一組織の場合に比べて耐食性が低下することが懸念される。
そこで、本発明者らは、耐食性に及ぼす成分の影響ついて鋭意検討した。その結果、次(1)式
Cr+0.65Ni+0.6 Mo+0.55Cu−20C≧19.5 ………(1)
(ここで、 Cr、Ni、Mo、Cu、C:各元素の含有量 (mass%))
を満足するように成分調整することにより、組織をフェライト−マルテンサイト二相組織としても、十分な耐食性が確保できることを見出した。
(1)式左辺値と、COおよびClを含む230℃の高温環境下における腐食速度との関係を図3に示す。図3から、(1)式を満足するように成分を調整することにより、組織をフェライト−マルテンサイト二相組織としても、COおよびClを含む230℃の高温環境下においても十分な耐食性を確保できることがわかる。
(1)式からも明らかなように、耐食性を向上させるためにはCr含有量の増加が有効である。しかし、Crはフェライトの生成を促進させる。そのため、フェライトの生成を抑制する目的で、従来ではCr含有量に見合う量のNiを含有させる必要があった。しかし、Cr含有量に合わせてNi含有量を増加させると、オーステナイト相が安定化して、油井管として必要な強度を確保することができなくなるという問題があった。
このような問題に対し、本発明者らは、適正量のフェライト相を含む、フェライト−マルテンサイト二相組織を維持した状態でCr含有量を増加させることにより、オーステナイト相の残留量を低く抑制でき、油井管として十分な強度を確保できることを見出した。
本発明者らが得た、フェライト−マルテンサイト二相組織を有する13%Cr系ステンレス継目無鋼管の熱処理後の降伏強さYSとCr含有量の関係を図4に示す。なお、図4には、組織が、マルテンサイト単相またはマルテンサイト−オーステナイト二相組織とした場合の熱処理後のYSとCr含有量との関係も併記した。図3から、組織を適正量のフェライト相を含む、フェライト−マルテンサイト二相組織に維持して、Cr含有量を増加することにより、油井管として十分な強度を確保できることを新規に見出した。一方、組織を、マルテンサイト単相またはマルテンサイト−オーステナイト二相組織とした場合には、Cr量を増加するとYSが低下する。
本発明は、上記した知見に基づいてさらに検討して完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)mass%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.2〜1.8%、P:0.03以下、S:0.005 %以下、Cr:15.5〜18%、Ni:1.5 〜5 %、Mo:1 〜3.5 %、V:0.02〜0.2%、N:0.01〜0.15%、O:0.006 %以下を含有し、かつ次(1)式および次(2)式
Cr+0.65Ni+0.6Mo+0.55Cu−20C≧19.5 ………(1)
Cr+Mo+0.3Si−43.5C−0.4Mn−Ni−0.3Cu−9N≧11.5 ………(2)
(ここで、 Cr、Ni、Mo、Cu、C、Si、Mn、N:各元素の含有量 (mass%))
を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、体積率で10〜60%のフェライト相を含み残部がマルテンサイト相である組織と、を有することを特徴とする降伏強さ:654MPa以上で耐食性に優れた油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、mass%で、Al:0.002〜0.05%を含有する組成を有することを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(3)(1)又は(2)において、前記Cの含有量が、mass%で、0.03%以上0.05%以下であることを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記Crの含有量が、16.6%以上18%未満であることを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記Moの含有量が、mass%で、2%以上3.5%以下であることを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(6)(1)ないし(5)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu: 3.5%以下を含有する組成を有することを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(7)(6)において、前記Cuの含有量が、mass%で、0.5%以上1.14%以下であることを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(8)(1)ないし(7)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3%以下、B:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成を有することを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(9)(1)ないし(8)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Ca: 0.01%以下を含有する組成を有することを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(10)(1)ないし(9)のいずれかにおいて、前記フェライト相が、体積率で15〜50%であることを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(11)(1)ないし(10)のいずれかにおいて、前記組織がさらに、体積率で30%以下のオーステナイト相を含有することを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
(12)mass%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.2〜1.8%、P:0.03以下、S:0.005 %以下、Cr:15.5〜18%、Ni:1.5 〜5 %、Mo:1 〜3.5 %、V:0.02〜0.2%、N:0.01〜0.15%、O:0.006 %以下を含有し、かつ次(1)式および次(2)式
Cr+0.65Ni+0.6 Mo+0.55Cu−20C≧19.5 ………(1)
Cr+Mo+0.3Si−43.5C−0.4Mn−Ni−0.3Cu−9N≧11.5 ………(2)
(ここで、 Cr、Ni、Mo、Cu、C、Si、Mn、N:各元素の含有量 (mass%))
を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼管素材を加熱し、熱間加工により造管して、造管後、空冷以上の冷却速度で室温まで冷却し所定寸法の継目無鋼管とし、ついで、該継目無鋼管に、850℃以上の温度に再加熱したのち空冷以上の冷却速度で100℃以下まで冷却し、ついで700℃以下の温度に加熱する焼入れ−焼戻処理を施すことを特徴とする降伏強さ:654MPa以上で耐食性に優れた油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(13)(12)において、前記焼入れ−焼戻処理に代えて、700℃以下の温度に加熱する焼戻処理を施すことを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(14)(12)または(13)において、前記組成に加えてさらに、mass%で、Al:0.002〜0.05%を含有する組成を有することを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(15)(12)ないし(14)のいずれかにおいて、前記Cの含有量が、mass%で、0.03%以上0.05%以下であることを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(16)(12)ないし(15)のいずれかにおいて、前記Crの含有量が、16.6%以上18%未満であることを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(17)(12)ないし(16)のいずれかにおいて、前記Moの含有量が、mass%で、2%以上3.5%以下であることを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(18)(12)ないし(17)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu: 3.5%以下を含有する組成を有することを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(19)(18)において、前記Cuの含有量が、mass%で、0.5%以上1.14%以下であることを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(20)(12)ないし(19)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3%以下、B:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成を有することを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
(21)(12)ないし(20)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Ca: 0.01%以下を含有する組成を有することを特徴とする油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
本発明によれば、CO2、Cl-を含む高温の厳しい腐食環境下において充分な耐食性を有し、高強度の、あるいはさらに高靭性の、油井用ステンレス継目無鋼管を、安価にしかも安定して製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、造管後、熱処理を施すだけで、油井管として十分な強度を得ることができるという利点もある。
まず、本発明の油井用高強度ステンレス鋼管の組成限定理由について説明する。以下、組成におけるmass%は単に%と記す。
C:0.005〜0.05%
Cは、マルテンサイト系ステンレス鋼の強度に関係する重要な元素であり、本発明では0.005%以上の含有を必要とするが、0.05%を超えて含有すると、Ni含有による焼戻し時の鋭敏化が増大する。この焼戻し時の鋭敏化を防止する目的から、本発明ではCは0.005〜0.05%の範囲に限定した。また、耐食性の観点からもCはできるだけ少ないほうが好ましいが、強度を確保する観点からはCが多い方が好ましい。これらのバランスを考えて、好ましくは0.03〜0.05%である。
Si:0.05〜0.5%
Siは、脱酸剤として作用する元素であり、本発明では0.05%以上含有させるが、0.5%を超える含有は、耐CO2腐食性を低下させ、さらには熱間加工性をも低下させる。このため、Siは0.05〜0.5%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.1〜0.3%である。
Mn:0.2〜1.8%
Mnは、強度を増加させる元素であり、本発明における所望の強度を確保するために0.2%以上含有する必要があるが、1.8%を超えて含有すると靱性に悪影響を及ぼす。このため、Mnは0.2〜1.8%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.2〜1.0%である。より好ましくは、0.2〜0.8%である。
P:0.03%以下
Pは、耐CO2腐食性、耐CO2応力腐食割れ性、耐孔食性および耐硫化物応力腐食割れ性をともに劣化させる元素であり、本発明では可及的に低減することが望ましいが、極端な低減は製造コストの上昇を招く。工業的に比較的安価に実施可能でかつ耐CO2腐食性、耐CO2応力腐食割れ性、耐孔食性および耐硫化物応力腐食割れ性をともに劣化させない範囲として、Pは0.03%以下に限定した。なお、好ましくは0.02%以下である。
S:0.005%以下
Sは、パイプ製造過程において熱間加工性を著しく劣化させる元素であり、可及的に少ないことが望ましいが、0.005%以下に低減すれば通常工程によるパイプ製造が可能となることから、Sは0.005%以下に限定した。なお、好ましくは0.002%以下である。
Cr:15.5〜18%
Crは、保護被膜を形成して耐食性を向上させる元素であり、とくに耐CO2腐食性、耐CO2応力腐食割れ性の向上に寄与する元素である。本発明では特に、高温における耐食性向上の観点から、15.5%以上の含有を必要とする。一方、18%を超える含有は熱間加工性を劣化させるとともに、強度が低下する。このため、この発明では、Crは15.5〜18%の範囲に限定した。なお、好ましくは16.5〜18%、より好ましくは16.6%以上18%未満である。
Ni:1.5〜5%
Niは、保護被膜を強固にして、耐CO2腐食性、耐CO2応力腐食割れ性、耐孔食性および耐硫化物応力腐食割れ性を高める作用を有し、さらに、固溶強化により鋼の強度を増加させる元素である。このような効果は1.5%以上の含有で認められるが、5%を超えて含有すると、マルテンサイト組織の安定性が低下し、強度が低下する。このため、Niは1.5 〜5%の範囲に限定した。なお、好ましくは2.5〜4.5%である。
Mo:1〜3.5%
Moは、Cl-による孔食に対する抵抗性を増加させる元素であり、本発明では1%以上の含有を必要とする。1%未満では、高温の苛酷な腐食環境下での耐食性が充分とはいえない。一方、3.5%を超える含有は、強度が低下するとともに、高価となる。このため、Moは1〜3.5%の範囲に限定した。なお、好ましくは2%超3.5%以下である。
V:0.02〜0.2%
Vは、強度を上昇させるとともに、耐応力腐食割れ性を改善する効果を有する。このような効果は、0.02%以上の含有で顕著となるが、0.2%を超えて含有すると、靱性が劣化する。このため、Vは0.02〜0.2%に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.08%である。
N:0.01〜0.15%
Nは、耐孔食性を著しく向上させる元素であり、本発明では、0.01%以上含有させるが、0.15%を超える含有は、種々の窒化物を形成して靱性を劣化させる。このため、Nは0.01〜0.15%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.08%である。
O:0.006%以下
Oは、鋼中では酸化物として存在し、各種特性に悪影響を及ぼすため、特性向上のためにはできるだけ低減することが好ましい。とくに、O含有量が0.006%を超えて多くなると、熱間加工性、耐CO2応力腐食割れ性、耐孔食性、耐硫化物応力腐食割れ性および靱性を著しく低下させる。このため、本発明ではOは0.006%以下に限定した。
上記した基本組成に加えて、本発明では、さらにAl:0.002〜0.05%を含有できる。Alは、強力な脱酸作用を有する元素であり、このような効果を得るためには0.002%以上含有させることが望ましいが、0.05%を超える含有は、靱性に悪影響を及ぼす。このため、Alは含有する場合は0.002〜0.05%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.03%以下である。なお、Al無添加の場合には、不可避的不純物として0.002%未満程度が許容される。Alを0.002%未満程度に制限すれば低温靭性が顕著に向上するという利点がある。
また、本発明では上記した各組成に加えて、さらにCu:3.5%以下を含有することができる。Cuは、保護被膜を強固にして、鋼中への水素の侵入を抑制し、耐硫化物応力腐食割れ性を高める元素であり、0.5%以上の含有でその効果が顕著となるが、3.5%を超える含有は、CuSの粒界析出を招き、熱間加工性が低下する。このため、Cuは3.5%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.8〜2.5%、さらに好ましくは0.5%以上1.14%以下である。
また、本発明では、上記した各組成に加えて、さらに、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3%以下、B:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することができる。
Nb、Ti、Zr、W、Bはいずれも強度を増加させる元素であり、必要に応じ選択して含有できる。なお、Ti、Zr、W、Bは、耐応力腐食割れ性を改善する元素でもある。このような効果はNb:0.03%以上、Ti:0.03%以上、Zr:0.03%以上、W:0.2%以上、B:0.0005%以上の含有で顕著となる。一方、Nb:0.2%、Ti:0.3%、Zr:0.2%、W:3%、B:0.01%をそれぞれ超えて含有すると靭性が劣化する。このため、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3%以下、B:0.01%以下に限定することが好ましい。
また、本発明では、上記した各組成に加えて、さらに、Ca: 0.01%以下を含有できる。Caは、SをCaS として固定し硫化物系介在物を球状化する作用を有し、これにより介在物周囲のマトリックスの格子歪を小さくして、介在物の水素トラップ能を低下させる効果を有する。このような効果は、0.0005%以上の含有で顕著となるが、0.01%を超える含有は、CaO の増加を招き、耐CO2腐食性、耐孔食性が低下する。このため、Caは0.01%以下の範囲に限定することが好ましい。
本発明では、上記した各成分を上記した範囲で、かつ次(1)式および次(2)式
Cr+0.65Ni+0.6Mo+0.55Cu−20C≧19.5 ………(1)
Cr+Mo+0.3Si−43.5C−0.4Mn−Ni−0.3Cu−9N≧11.5 ………(2)
を満足するように調整して含有する。ここで、 Cr、Ni、Mo、Cu、C、Si、Mn、N は各元素の含有量 (mass%)である。なお、(1)式、(2)式の左辺を計算する際には、含まれない元素は零%として計算するものとする。
Cr、Ni、Mo、Cu、C含有量を、(1)式を満足するように調整することにより、230 ℃までの高温で、CO2、Cl-を含む高温腐食環境下での耐食性が顕著に向上する。なお、CO2、Cl-を含む高温腐食環境下での耐食性向上の観点からは、(1)式左辺値は20.0以上とすることが好ましい。
また、Cr、Mo、Si、C、Mn、Ni、Cu、N含有量を、(2) 式を満足するように調整することにより、熱間加工性が向上する。本発明では、熱間加工性を向上させるために、P、S、Oを著しく低減しているが、P、S、Oをそれぞれ低減するのみでは、マルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管を造管するために必要十分な熱間加工性を確保することができない。継目無鋼管を造管するために必要十分な熱間加工性を確保するには、P、S、Oを著しく低減したうえで、(2)式を満足するように、Cr、Mo、Si、C、Mn、Ni、Cu、N含有量を調整することが肝要となる。なお、熱間加工性向上の観点からは、(2)式左辺値は12.0以上とすることが好ましい。
上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
本発明の油井用高強度ステンレス継目無鋼管は、上記した組成に加えて、マルテンサイト相をベース相とし、さらにフェライト相を体積率で10〜60%、好ましくは10%超〜60%以下含有とする組織を有することが好ましい。
本発明鋼管は、高強度を確保するために、組織は、マルテンサイト組織を基本とする。強度を低下させずに靭性を向上させるために、マルテンサイト相をベース相として、第二相としてフェライト相を体積率で10〜60%、好ましくは10%超え60%以下含有する組織とすることが好ましい。フェライト相が10体積%未満、あるいは10体積%以下では所期の目的が達成できない。一方、フェライト相を60体積%を超えて含有すると、強度が低下する。このため、フェライト相は、体積率で10〜60%、好ましくは10%超え60%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは15〜50体積%である。フェライト相以外の第二相としては、30体積%以下のオーステナイト相を含有しても何ら問題はない。
次に、本発明継目無鋼管の製造方法について、説明する。
まず、上記した組成を有する溶鋼を、転炉、電気炉、真空溶解炉等の通常公知の溶製方法で溶製し、連続鋳造法、造塊−分塊圧延法等通常公知の方法でビレット等の鋼管素材とすることが好ましい。ついで、これら鋼管素材を加熱し、通常のマンネスマン−プラグミル方式、あるいはマンネスマン−マンドレルミル方式の製造工程を用いて熱間加工し造管して、所望寸法の継目無鋼管とする。造管後継目無鋼管は、空冷以上の冷却速度で室温まで冷却することが好ましい。なお、プレス方式による熱間押出で継目無鋼管を製造してもよい。
上記した本発明範囲内の組成を有する継目無鋼管であれば、熱間加工後、空冷以上、の冷却速度で室温まで冷却することにより、マルテンサイト相をベース相とする組織とすることができるが、造管後、空冷以上の冷却速度での冷却に続いてさらに850℃以上の温度に再加熱したのち空冷以上の冷却速度で100℃以下好ましくは室温まで冷却する焼入れ処理を施すことが好ましい。これにより、好ましくは適正量のフェライト相を含む、微細で高靭性のマルテンサイト組織とすることができる。
焼入れ加熱温度が、850℃未満では、マルテンサイト部分に十分な焼きが入らず、強度が低下する傾向となる。このため、焼入れ処理の加熱温度は850℃以上の温度とすることが好ましい。
焼入れ処理を施された継目無鋼管は、ついで、700℃以下の温度に加熱され、空冷以上の冷却速度で冷却される焼戻処理を施されることが好ましい。700℃以下好ましくは400 ℃以上の温度に加熱し、焼戻しすることにより、組織は焼戻しマルテンサイト相、あるいはさらに少量のフェライト相およびオーステナイト相とからなる組織となり、所望の高強度とさらには所望の高靭性、所望の優れた耐食性を有する継目無鋼管となる。
なお、焼入れ処理なしで上記した焼戻処理のみを施してもよい。
次にこの発明を実施例に従いさらに詳細に説明する。
(実施例1)
表1に示す組成の溶鋼を脱ガス後、100kg鋼塊(鋼管素材)に鋳造し、モデルシームレス圧延機により熱間加工により造管し、造管後空冷または水冷し、外径838mm×肉厚12.7mm(3.3in×肉厚0.5in)の継目無鋼管とした。
得られた継目無鋼管について、造管後空冷のままで内外表面の割れ発生の有無を目視で調査し、熱間加工性を評価した。パイプ前後端面で長さ5mm以上の割れがある場合を割れ有とし、それ以外を割れ無とした。
また、得られた継目無鋼管から、試験片素材を切り出し、920 ℃で30min加熱したのち、水冷した(800〜500℃までの平均冷却速度:10℃/s)。さらに580℃×30minの焼戻処理を施した。このように焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、組織観察用試験片を採取し、組織観察用試験片を王水で腐食して走査型電子顕微鏡(1000倍)で組織を撮像し、画像解析装置を用いて、フェライト相の組織分率(体積%)を算出した。
また、残留オーステナイト相組織分率は、X線回折法を用いて測定した。焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から測定用試験片を採取し、X線回折によりγの(220)面、αの(211)面、の回析X線積分強度を測定し、次式
γ(体積率)=100/{1+(IαRγ/IγRα)}
ここで、Iα:αの積分強度
Iγ:γの積分強度
Rα:αの結晶学的理論計算値
Rγ:γの結晶学的理論計算値
を用いて換算した。なお、マルテンサイト相の分率はこれらの相以外の残部として算出した。
また、焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、API 弧状引張試験片を採取し、引張試験を実施し引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。
さらに、焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、厚さ3mm×幅30mm×長さ40mmの腐食試験片を機械加工によって作製し、腐食試験を実施した。
腐食試験は、オートクレーブ中に保持された試験液:20%NaCl水溶液(液温:230 ℃、100 気圧のCOガス雰囲気)中に、腐食試験片を浸漬し、浸漬期間を2週間として実施した。腐食試験後の試験片について、重量を測定し、腐食試験前後の重量減から計算した腐食速度を求めた。また、試験後の腐食試験片について倍率:10倍のルーペを用いて試験片表面の孔食発生の有無を観察した。直径0.2mm以上の孔食が観察された場合を孔食有とし、それ以外を孔食無とした。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0005109222
Figure 0005109222
本発明例はいずれも、鋼管表面の割れ発生は認められず、また降伏強さYS:654MPa以上の高強度を有し、腐食速度も小さく、孔食の発生も無く、熱間加工性およびCO2を含み230 ℃という高温で苛酷な腐食環境下における耐食性に優れた鋼管となっている。さらに5%以上のフェライト相を含むことにより、COを含み230 ℃という高温で苛酷な腐食環境下における耐食性に優れ、かつ降伏強さYS:654MPa以上の高強度を有する鋼管となっている。
これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、表面に割れが発生し熱間加工性が低下しているか、あるいは腐食速度が大きく、孔食が発生し耐食性が低下している。とくに (2)式を満足しない比較例は熱間加工性が低下して、鋼管表面に疵が発生していた。なお、フェライト量が本発明の好適範囲を外れる場合には、強度が低下し、降伏強さYS:654MPa以上の高強度を満足できていない。
(実施例2)
表1に示す組成(鋼No.B、No.S)を有する鋼管素材を熱間加工により造管し、造管後空冷して、外径83.8mm×肉厚12.7mm(3.3in×肉厚0.5in)の継目無鋼管とした。得られた継目無鋼管から、試験片素材を切り出し、表3に示す焼入れ−焼戻処理、又は焼戻処理を施した。
焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、実施例1と同様に、組織観察用試験片、測定用試験片を採取し、フェライト相の組織分率(体積%)、残留オーステナイト相の組織分率(体積%)、マルテンサイト相の組織分率(体積%)を算出した。
また、焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、API 弧状引張試験片を採取し、実施例1と同様に、引張試験を実施し引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。さらに、焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、実施例1と同様に、厚さ3mm×幅30mm×長さ40mmの腐食試験片を機械加工によって作製し、腐食試験を実施し、腐食速度を求めた。また、実施例1と同様に、試験片表面の孔食発生の有無を観察した。なお、評価基準は実施例1と同様とした。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0005109222
本発明例はいずれも、降伏強さYS:654MPa以上の高強度を有し、腐食速度も小さく、孔食の発生も無く、熱間加工性およびCOを含み230 ℃という高温で苛酷な腐食環境下における耐食性に優れた鋼管となっている。なお、本発明例のうち本発明の好適範囲を外れる場合には、強度又は耐食性、熱間加工性が低下する傾向となっている。
(実施例3)
表4に示す組成の溶鋼を脱ガス後、100kg鋼塊に鋳造し、モデルシームレス圧延機により熱間加工により造管し、造管後冷却(空冷)し、外径83.8mm×肉厚12.7mm(3.3in×肉厚0.5in)の継目無鋼管とした。
得られた継目無鋼管について、造管後冷却(空冷)のままで、実施例1と同様に内外表面の割れ発生の有無を目視で調査し、熱間加工性を評価した。なお、評価基準は実施例1と同様とした。
また、得られた継目無鋼管から、試験片素材を切り出し、900℃で30min加熱したのち、水冷した。さらに580℃×30minの焼戻処理を施した。このように焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、組織観察用試験片、測定用試験片を採取し、組織観察用試験片を王水で腐食して走査型電子顕微鏡(1000倍)で組織を撮像し画像解析装置を用いて、フェライト相の組織分率(体積%)を算出した。また、焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、測定用試験片を採取し、実施例1と同様に残留オーステナイト相、マルテンサイト相の組織分率(体積%)を測定した。
また、焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、API 弧状引張試験片を採取し、引張試験を実施し引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。また、焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、JIS Z 2202の規定に準拠してVノッチ試験片(厚さ:5mm)を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、−40℃における吸収エネルギーvE-40(J)を求めた。
さらに、焼入れ−焼戻処理を施された試験片素材から、厚さ3mm×幅30mm×長さ40mmの腐食試験片を機械加工によって作製し、腐食試験を実施した。なお、一部の鋼管では、焼入れ処理を行わず、焼戻処理のみとした。
腐食試験は、オートクレーブ中に保持された試験液:20%NaCl水溶液(液温:230 ℃、100 気圧のCO2ガス雰囲気)中に、腐食試験片を浸漬し、浸漬期間を2週間として実施した。腐食試験後の試験片について、重量を測定し、腐食試験前後の重量減から計算した腐食速度を求めた。また、耐孔食性は40%CaCl2(液温:70℃)の液中に24時間浸漬し、孔食発生の有無を調査した。直径0.1mm以上の孔食が観察された場合を孔食有とし、それ以外は孔食無とした。
得られた結果を表5に示す。
Figure 0005109222
Figure 0005109222
本発明例はいずれも、鋼管表面の割れ発生は認められず、また降伏強さYS:654MPa以上の高強度を有し、腐食速度も小さく、孔食の発生も無く、熱間加工性およびCO2を含み230 ℃という高温で苛酷な腐食環境下における耐食性に優れた鋼管となっている。さらに5%以上のフェライト相を含むことにより、CO2を含み230 ℃という高温で苛酷な腐食環境下における耐食性に優れ、かつ降伏強さYS:654MPa以上の高強度と、−40℃における吸収エネルギーが50J以上の高靭性を有する鋼管となっている。なお、鋼管No.13、No.14はAl含有量が高く、靭性が若干低下し、孔食が発生しているが、その程度は少なく、直径0.2mm未満のものであった。
これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、表面に割れが発生し熱間加工性が低下しているか、あるいは腐食速度が大きく、孔食が発生し耐食性が低下している。とくに (2)式を満足しない比較例は熱間加工性が低下して、鋼管表面に疵が発生していた。なお、フェライトが本発明の好適範囲を外れる場合には、強度が低下し、降伏強さYS:654MPa以上の高強度を満足できていない。
割れ長さと(2)式左辺値との関係を示すグラフである。 割れ長さとフェライト量との関係を示すグラフである。 腐食速度と(1)式左辺値との関係を示すグラフである。 降伏強さYSとCr量との関係に及ぼす組織の影響を示すグラフである。

Claims (21)

  1. mass%で、
    C:0.005〜0.05%、 Si:0.05〜0.5%、
    Mn:0.2〜1.8%、 P:0.03以下、
    S:0.005 %以下、 Cr:15.5〜18%、
    Ni:1.5 〜5 %、 Mo:1 〜3.5 %、
    V:0.02〜0.2%、 N:0.01〜0.15%、
    O:0.006 %以下
    を含有し、かつ下記(1)式および下記(2)式を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、体積率で10〜60%のフェライト相を含み残部がマルテンサイト相である組織と、を有することを特徴とする降伏強さ:654MPa以上で耐食性に優れた油井用高強度ステンレス継目無鋼管。

    Cr+0.65Ni+0.6Mo+0.55Cu−20C≧19.5 ………(1)
    Cr+Mo+0.3Si−43.5C−0.4Mn−Ni−0.3Cu−9N≧11.5 ………(2)
    ここで、 Cr、Ni、Mo、Cu、C、Si、Mn、N:各元素の含有量 (mass%)
  2. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Al:0.002〜0.05%を含有する組成を有することを特徴とする請求項1に記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  3. 前記Cの含有量が、mass%で、0.03%以上0.05%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  4. 前記Crの含有量が、16.6%以上18%未満であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  5. 前記Moの含有量が、mass%で、2%以上3.5%以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  6. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu: 3.5%以下を含有する組成を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  7. 前記Cuの含有量が、mass%で、0.5%以上1.14%以下であることを特徴とする請求項6に記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  8. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3%以下、B:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  9. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Ca: 0.01%以下を含有する組成を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  10. 前記フェライト相が、体積率で15〜50%であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  11. 前記組織がさらに、体積率で30%以下のオーステナイト相を含有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管。
  12. mass%で、
    C:0.005〜0.05%、 Si:0.05〜0.5%、
    Mn:0.2〜1.8%、 P:0.03以下、
    S:0.005 %以下、 Cr:15.5〜18%、
    Ni:1.5 〜5 %、 Mo:1 〜3.5 %、
    V:0.02〜0.2%、 N:0.01〜0.15%、
    O:0.006 %以下
    を含有し、かつ下記(1)式および下記(2)式を満足し、残部がFeおよび不可避的不純
    物からなる組成を有する鋼管素材を加熱し、熱間加工により造管して、造管後、空冷以上の冷却速度で室温まで冷却し所定寸法の継目無鋼管とし、ついで、該継目無鋼管に、850℃以上の温度に再加熱したのち空冷以上の冷却速度で100℃以下まで冷却し、ついで700℃以下の温度に加熱する焼入れ−焼戻処理を施すことを特徴とする降伏強さ:654MPa以上で耐食性に優れた油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。

    Cr+0.65Ni+0.6 Mo+0.55Cu−20C≧19.5 ………(1)
    Cr+Mo+0.3Si−43.5C−0.4Mn−Ni−0.3Cu−9N≧11.5 ………(2)
    ここで、 Cr、Ni、Mo、Cu、C、Si、Mn、N:各元素の含有量 (mass%)
  13. 前記焼入れ−焼戻処理に代えて、700℃以下の温度に加熱する焼戻処理を施すことを特徴とする請求項12に記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
  14. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Al:0.002〜0.05%を含有する組成を有することを特徴とする請求項12または13に記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
  15. 前記Cの含有量が、mass%で、0.03%以上0.05%以下であることを特徴とする請求項12ないし14のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
  16. 前記Crの含有量が、16.6%以上18%未満であることを特徴とする請求項12ないし15のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
  17. 前記Moの含有量が、mass%で、2%以上3.5%以下であることを特徴とする請求項12ないし16のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
  18. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu: 3.5%以下を含有する組成を有することを特徴とする請求項12ないし17のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
  19. 前記Cuの含有量が、mass%で、0.5%以上1.14%以下であることを特徴とする請求項18に記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
  20. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Nb:0.2%以下、Ti:0.3%以下、Zr:0.2%以下、W:3%以下、B:0.01%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成を有することを特徴とする請求項12ないし19のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
  21. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Ca: 0.01%以下を含有する組成を有することを特徴とする請求項12ないし20のいずれかに記載の油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法。
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