JP4250851B2 - マルテンサイト系ステンレス鋼および製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸ガスや硫化水素ガスを含む原油を輸送するフローラインやラインパイプに用いて好適な材料に係わり、より詳しくは熱間圧延のままや溶接のままで、所望の強度と良好な靭性、耐食性を備えるマルテンサイト系ステンレス鋼とその製造方法、並びに溶接鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油または天然ガスを採取するための油井の環境はますます過酷なものになっている。そのような過酷な環境で使用される油井管用の材料としては、マルテンサイト系ステンレス鋼や2相ステンレス鋼、高Ni合金鋼等が多く用いられている。
【0003】
一方、海底油田等から掘り出された腐食性の高い原油を輸送するのに使用されるラインパイプ用の材料としては、炭素鋼や低合金鋼が用いられることが普通であった。その理由は、海上のプラットフォーム等において原油に脱水や脱ガス等の精整処理を施し、その腐食性を低下させることができるためである。
【0004】
しかしながら、プラットフォームの建造には、油田環境が深海になればなるほど、多大なコストがかかる。その結果、最近では、プラットフォーム上で原油に精整処理を施して安価な材料からなるラインパイプを用いて輸送するのに比べてトータルコストが少なくて済むとの理由から、海底仕上げ方式と称される油井が多くなっている。
【0005】
すなわち、海底仕上げ方式の油井とは、海底の油井から産出する原油を、海底に沿って敷設された高級な材料からなるフローラインと称される小径のパイプラインで集め、精整処理を施すことなく、高級な材料からなる大径のパイプラインで既存のプラットフォームや陸上に輸送する方式である。
【0006】
上記の高級な材料からなるパイプライン用のラインパイプとしては、もともと油井管用の材料として開発されたスーパー13Cr鋼と称される低Cのマルテンサイト系ステンレス鋼からなるものがある。すなわち、このスーパー13Cr鋼と称されるマルテンサイト系ステンレス鋼は、低Cであるために溶接性が良好であり、近年、海底仕上げ油井のフローライン用として多く使用されてきた。
【0007】
上記のフローラインは、複数の油井から産出する原油をまとめて輸送することもあるが、せいぜい数本分をまとめるにすぎず、油井管よりも多少大きい径の鋼管で十分である。したがって、フローライン用の鋼管は、通常の油井管を製造するシームレスパイプの製管ラインで製造され、製管後に焼入れ焼戻しの熱処理を施し、強度、靭性および耐食性を調整したうえで出荷されている。
【0008】
しかしながら、多くの油井から原油を集めて輸送する大径のパイプライン用のラインパイプには、フローライン用よりもはるかに大径であることが要求され、通常の油井管を製造するシームレスパイプの製造ラインでは対応できない。
【0009】
このため、大径のラインパイプは、通常の油井管よりも著しく大径の鋼管が製造可能なUOE方式等の溶接製管法により製造されている。
【0010】
ところが、UOE方式に代表される大径溶接鋼管の製造ラインに付随して設けられている熱処理設備は、通常の油井管を製造するシームレスパイプの製管ラインに付随して設けられている熱処理設備に比べ、その処理能力が一般に小さい。したがって、受注量が比較的多いラインパイプを製造する際、全ての製品に焼入れ焼戻しの熱処理を施すことが困難な場合があるという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、近年、フローラインへの適用が進んでいる前述した油井管用に開発されたスーパー13Cr鋼に代表されるマルテンサイト系ステンレス鋼と同等の耐食性能、特に優れた耐炭酸ガス腐食性と耐硫化物応力割れ性を有する大径のラインパイプを製造するのに用いて好適なマルテンサイト系ステンレス鋼とその製造方法、並びに溶接鋼管の製造方法を提供することにある。
【0012】
ここで、大径のラインパイプの製造に用いて好適なマルテンサイト系ステンレス鋼とは、強度調整等のための熱処理が一切不要であり、熱間圧延のまま、またはこの熱間圧延のままの材料を溶接する場合は溶接のままで、API規格に規定されるX−80グレード相当(耐力が552〜689MPa)の強度が確保でき、良好な耐食性と靭性を有する鋼のことである。
【0013】
なお、熱処理が不要なマルテンサイト系ステンレス鋼としては、例えば特開昭62−54063号公報(特公平6−43626号公報)や特開平2−243739号公報(特許第2814528号公報)に示される鋼がある。また、製管溶接後の熱処理が不要なマルテンサイト系ステンレス溶接鋼管の製造方法としては、特開平7−41857号公報(特許第2914113号公報)に示される方法がある。
【0014】
しかし、前者2件の公報に示されるマルテンサイト系ステンレス鋼は、シームレスパイプである油井管用の鋼で、いずれもマルテンサイト単相を指向したものである。このため、実際に熱処理を実施せずに使用とすると、要求以上の強度になってしまい、結果的に耐食性が低下したり、溶接金属との強度マッチングバランスが確保できないので、溶接製管後に熱処理を施さない大径のパイプライン用の溶接鋼管には適用できないという欠点を有している。
【0015】
また、後者1件の公報に示される方法における鋼は、前者2件の公報の場合と同様に、マルテンサイト単相を指向した鋼である。そして、その素材鋼板は、製管溶接後における熱処理の有無に係わらず、δフェライト相が5体積%以下になる温度域で加熱圧延して製造されるため、強度が高過ぎ、耐食性に劣るという欠点を有している。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)のマルテンサイト系ステンレス鋼、下記(2)のその製造方法、並びに下記(3)の溶接鋼管の製造方法にある。
(1)質量%で、C:0.03%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、Cr:12〜20%、Ni:3〜6.0%、Mo:0.5〜5%、sol.Al:0.001〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のP、S、N、O(酸素)およびTiが、それぞれ0.025%以下、0.01%以下、0.02%以下、0.01%以下、0.05%以下であり、かつ下記の(1)式と(2)式を満たし、金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%であるマルテンサイト系ステンレス鋼。
【0017】
Cr+ 1.5 × Mo−Ni−14≧0 ・・・・・・ (1)
Cr+ 1.5 × Mo−2×Ni−12.5≦0 ・・・・ (2)
ここで、(1)式と(2)式中の元素記号は、鋼中の各元素の含有量(質量%)を意味する。
(2)質量%で、C:0.03%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、Cr:12〜20%、Ni:3〜6.0%、Mo:0.5〜5%、sol.Al:0.001〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のP、S、N、O(酸素)およびTiが、それぞれ0.025%以下、0.01%以下、0.02%以下、0.01%以下、0.05%以下であり、かつ下記の(1)式と(2)式を満たすマルテンサイト系ステンレス鋼を、1100〜1250℃の温度域に加熱した後、熱間加工を施してそのまま製品とする金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%のマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
【0018】
Cr+ 1.5 × Mo−Ni−14≧0 ・・・・・・ (1)
Cr+ 1.5 × Mo−2×Ni−12.5≦0 ・・・・ (2)
ここで、(1)式と(2)式中の元素記号は、鋼中の各元素の含有量(質量%)を意味する。
(3)上記の(2)に記載の方法によって製造されたマルテンサイト系ステンレス鋼の鋼板を管体に成形後、その突き合わせ部をシーム溶接し、そのまま製品とすることによる母材部の金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%のマルテンサイト系ステンレス溶接鋼管の製造方法。
【0019】
本発明における上記(1)と(2)のマルテンサイト系ステンレス鋼、および上記(3)のマルテンサイト系ステンレス溶接鋼管は、上記の合金成分の他に、必要に応じて、下記のA〜Dのグループのうちから選ばれた1または2グループ以上の元素を含むものであってもよい。
【0020】
A:質量%で、Cu:0.5〜5%。
【0021】
B:質量%で、Co:0.1〜5%。
【0022】
C:質量%で、V:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5%およびZr:0.001〜0.5%のうちから選ばれた1種または2種以上。
【0023】
D:質量%で、Ca:0.0005〜0.05%、Mg:0.0005〜0.05%およびREM:0.0005〜0.05%のうちから選ばれた1種または2種以上。
【0024】
だだし、Aまたは/およびBグループの元素を含む場合には下記の(3)式と(4)式を満たす必要がある。
【0025】
Cr+1.5×Mo−Ni−0.4×(Cu+Co)−14≧0 ・・・・ (3)
Cr+1.5×Mo−2×Ni−0.8×(Cu+Co)−12.5≦0 ・・ (4)
ここで、(3)式と(4) 式中の元素記号は、鋼中の各元素の含有量(質量%)を意味する。
【0026】
また、上記(2)の本発明の製造方法においては、熱間加工を900〜1050℃の温度域で終了し、その後放冷または急冷するのが好ましく、この場合には低温靭性と耐食性に優れた金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%のマルテンサイト系ステンレス鋼が得られる。
【0027】
上記(1)〜(3)の本発明は、下記の知見に基づいて完成された。
【0028】
マルテンサイト系ステンレス鋼は、これを熱間圧延のままや溶接のままで使用する場合、その金属組織がマルテンサイト単相であると強度が高すぎるので、強度低下を図る必要がある。この強度低下は、その金属組織をマルテンサイトよりも強度の低い相との混合組織、具体的にはδフェライトまたは残留オーステナイトとの混合組織にすることによって可能である。
【0029】
そして、その強度としては、通常、要求される強度グレードおよび溶接材料とのマッチングから、API規格に規定されるのX−80グレード相当(耐力が552〜689MPa)であることが好ましい。
【0030】
上記の強度グレードは、鋼が熱間圧延のままや溶接のままでも、その金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合(以下、マルテンサイト率と記す)が55〜90%で、他がδフェライト相または残留オーステナイト相との混合組織にすると確保される。
【0031】
上記のマルテンサイト率55〜90体積%は、鋼中に含まれるCr、NiおよびMoの含有量を上記の(1)式と(2)式、さらに、鋼がCuおよびCoのうちから選ばれた1種または2種を含む場合には、上記の(3)式と(4)式を満たす量に調整すると容易に確保される。
【0032】
ここで、上記の(1)式と(3)式はマルテンサイト率90体積%以下、(2)式と(4)式はマルテンサイト率55体積%以上を確実に確保するための条件である。
【0033】
熱間圧延のままの鋼は、δフェライトが伸長した組織であり、シャルピー衝撃試験を実施すると、その破面にセパレーションが発生しやすく、そのために靭性が低下する。
【0034】
上記のセパレーションは、鋼中に含まれるTiの含有量を0.05%以下に制限すると発生が抑制され、必要な靭性が確保できる。
【0035】
溶接のままの溶接鋼管の溶接熱影響部の靭性は、鋼中に含まれるNi含有量を3%以上にすると確保できる。
【0036】
熱間圧延のままでマルテンサイト率が55〜90体積%の鋼は、上記の(1) 式と(2) 式、または(3) 式と(4) 式のいずれかを満たす素材のマルテンサイト系ステンレス鋼を、1100〜1250℃に加熱して熱間加工すれば得られる。
【0037】
その際、900〜1050℃の温度域で熱間加工を終了し、その後放冷または急冷すれば、低温靭性と耐食性に優れた金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%のマルテンサイト系ステンレス鋼が得られる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明において、鋼の化学組成と金属組織およびその製造条件、並びに溶接鋼管の製造方法を上記のように定めた理由について詳細に説明する。なお、以下において、「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
【0039】
《鋼の化学組成と金属組織》
C:
C含有量が0.03%を超えると、焼入れのままのマルテンサイトの硬度が高くなり、耐硫化物応力割れ性が低下する。特に、製品が溶接鋼管の場合、溶接熱影響部の硬度上昇が著しく大きくなり、靭性、耐食性が低下する。このため、C含有量は0.03%以下とした。好ましい上限は0.02%、より好ましい上限は0.010%である。なお、溶接のままでの溶接熱影響部の耐食性と靭性は、C含有量が低ければ低いほど向上する。したがって、C含有量は低ければ低いほどよい。ただし、過度の低減はコスト上昇を招く。
【0040】
Si:
Siは脱酸に必要な元素であり、最低でも0.05%が必要である。しかし、1%を超えて含有させると靭性が低下する。このため、Si含有量は0.05〜1%とした。好ましい範囲は0.05〜0.50%、より好ましい範囲は0.05〜0.35%である。
【0041】
Mn:
Mnは、上記のSiと同様に、脱酸および熱間加工性の確保に必要な元素である。特に、脱酸が不足すると靭性、耐食性が低下するので、最低でも0.05%が必要である。しかし、2%を超えて含有させると偏析によってかえって靭性が低下する。このため、Mn含有量は0.05〜2%とした。好ましい範囲は0.05〜1.0%、より好ましい範囲は0.2〜0.7%である。
【0042】
Cr:
Crは耐食性、特に耐炭酸ガス腐食性を向上させる成分である。その含有量が12%未満では十分な耐炭酸ガス腐食性が得られない。逆に、20%を超えて含有させるとMs点が低下して残留オーステナイトが多量に生成し、熱間圧延のままでのマルテンサイト率55〜90体積%が確保できなくなる。このため、Cr含有量は12〜20%とした。なお、耐炭酸ガス腐食性は、Cr含有量が高ければ高いほど向上する。よって、Cr含有量はできるだけ高くするのが好ましく、望ましくは14〜20%、より望ましくは15%を超え20%以下とするのがよい。
【0043】
Ni:
Niは大入熱溶接における溶接熱影響部の靭性確保に必要な元素である。その含有量が3%未満では、融点近傍にまで加熱された溶接熱影響部のδフェライト量が大幅に増加して強度が低下するとともに靭性が低下し、所望の靭性が確保できない。逆に、6.0%を超えて含有させるとMs点が低下して残留オーステナイトの生成量が多くなって強度が確保できなくなる。このため、Ni含有量は3〜6.0%とした。なお、Ni含有量が高ければ高いほど、より大きな入熱での溶接が可能となる。よって、Ni含有量はできるだけ高くするのが好ましく、望ましくは4%を超え6.0%以下、より望ましくは4.5〜6.0%とするのがよい。
Mo:
Moは耐硫化物応力割れ性の向上に大きく寄与する作用を有している。また、ピッティングを防止する作用を有する。こうした効果は0.5%以上のMo含有量で得られる。しかし、Moを5%を超えて含有させると、融点近傍にまで加熱された溶接熱影響部でのδフェライトの増加を招いて靭性を低下させる。このため、Mo含有量は0.5〜5%とした。Mo含有量の好ましい範囲は2.1〜5%である。
【0044】
sol.Al:
Alは、上記のSiおよびMnと同様に、脱酸のために必要な元素であり、sol.Al含有量が0.001%未満ではその効果が期待できない。一方、sol.Al含有量が0.1%を超えるとアルミナクラスターが生成して表面性状が低下する。このため、sol.Al含有量は0.001〜0.1%とした。好ましい範囲は0.001〜0.04%、より好ましい範囲は0.001〜0.01%である。
【0045】
P:
Pは、鋼中に含まれる不純物元素で、その含有量が0.025%を超えると耐食性、靭性が低下する。特に、本発明鋼のように、マルテンサイト相とδフェライト相との混合組織では、シャルピー衝撃試験の破面にセパレーションの発生が多くなり、靭性を著しく低下させる。このため、P含有量は0.025%以下とした。好ましい上限は0.015%、より好ましい上限は0.010%である。なお、P含有量は低ければ低いほどよい。
【0046】
S:
Sは、上記のPと同様に、鋼中に含まれる不純物元素で、その含有量が0.01%を超えると熱間加工性、耐食性、靭性を低下させる。特に、本発明鋼のように、マルテンサイト相とδフェライト相との混合組織では、熱間加工性が著しく低下する。このため、S含有量は0.01%以下とした。好ましい上限は0.005%、より好ましい上限は0.002%、さらにより好ましい上限は0.0009%である。なお、S含有量は低ければ低いほどよい。
【0047】
N:
Nは、上記のP、Sと同様に、鋼中に含まれる不純物元素であり、その含有量が0.02%を超えると、熱間圧延または溶接のままの靭性、耐硫化物応力割れ性が低下する。特に、融点近傍にまで加熱された溶接熱影響部には粗大なフェライトが生成して、靭性、耐食性が低下する。このため、N含有量は0.02%以下とした。なお、溶接のままでの熱影響部の靭性はN含有量は低ければ低いほど良好になる。よって、N含有量は、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.008%以下とするのがよい。
【0048】
O(酸素):
Oは、上記のP、S、Nと同様に、鋼中に含まれる不純物元素であり、その含有量が0.01%を超えると靭性、耐食性が低下する。このため、O含有量は0.01%以下とした。好ましい上限は0.005%、より好ましい上限は0.003%である。
【0049】
Ti:
Tiは原料のスクラップ等から不純物として混入するが、本発明鋼のように、δフェライト相とマルテンサイト相との混合組織では、シャルピー衝撃試験の破面にセパレーションの発生を助長して靭性を低下させるので、その含有量を制限する必要がある元素である。そして、その含有量が0.05%を超えると靭性低下が著しくなるので、0.05%以下とした。なお、靭性は、Ti含有量が低ければ低いほど向上する。よって、Ti含有量は好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下とするのがよい。
【0050】
本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼は、上記の化学組成を満たせば十分であるが、上記の各成分の他に、必要に応じて、下記の元素を含んでよい。
【0051】
Cu:
Cuは添加しなくてもよいが、添加すれば、耐硫化物応力割れ性を向上させ、耐炭酸ガス腐食性も向上させる作用を有している。このため、その効果を得たい場合には添加してよく、その効果は0.5%以上で顕著になる。しかし、5%を超えて含有させると、熱間加工性を劣化させて製造歩留の低下を招く。このため、添加する場合のCu含有量は0.5〜5%とした。Cu含有量の好ましい範囲は1〜4%、より好ましい範囲は2.5〜3.5%である。
【0052】
なお、本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼は、硫化水素をほとんど含まない流体環境下では応力割れの心配はない。したがって、硫化水素がほとんど含まれない流体環境下で使用する場合の本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼には、Cuを添加する必要はない。
【0053】
Co:
Coは添加しなくてもよいが、添加すれば、Ms点を低下させずに高温でのオーステナイト相を安定化させ、融点近傍にまで加熱された溶接熱影響部の靭性を改善する作用を有している。このため、この効果を得たい場合には添加してよく、その効果は0.1%以上で顕著になるが、高価な元素であり、過剰な添加は製造コストの上昇を招く。このため、添加する場合のCo含有量は0.1〜5%とした。好ましい範囲は1〜4%、より好ましい範囲は2〜3%である。
【0054】
V、Nb、Zr:
これらの元素は添加しなくてもよいが、添加すれば、いずれも、C、Nを固定し、強度ばらつきを少なくする作用を有している。このため、この効果を得たい場合には、これらのうちから選んだ1種または2種以上を添加してよく、その効果は、いずれの元素も0.001%以上で顕著になる。しかし、いずれの元素も0.5%を超えて含有させると、靭性、耐食性が低下する。このため、添加する場合のこれらの含有量は、いずれの元素も、0.001〜0.5%とした。
【0055】
Ca、Mg、REM:
これらの元素は添加しなくてもよいが、添加すれば、いずれも、鋼の熱間加工性を向上させるのに有効な元素である。また、連続鋳造時のノズルつまりを防止する作用も有する。このため、これらの効果を得たい場合には、これらのうちから選んだ1種または2種以上を添加してよく、その効果は、いずれの元素も0.0005%以上で顕著になる。しかし、いずれの元素も、0.05%を超えて含有させると、粗大な酸化物が生成し、靭性が低下するとともに孔食の起点となって耐食性が低下する。このため、添加する場合の含有量は、いずれの元素も0.0005〜0.05%とした。
【0056】
マルテンサイト率:
熱間圧延のまま、または溶接のままで、APIに規定されるX−80クレード相当の強度(耐力が552〜689MPa)を有する鋼とするには、第2相として軟らかいδフェライト相か残留オーステナイト相を活用する必要がある。その理由は、マルテンサイト単相ではオーバーグレードとなるからである。しかし、マルテンサイト率が55体積%未満ではAPIに規定されるX−80グレード相当の耐力が確保できない。逆に、90体積%を超えると高強度になりすぎて溶接金属とのマッチングが取れず、パイプライン施設施工時に溶接部の局部変形が発生する等の問題が生じる。このため、マルテンサイト率は55〜90体積%とした。
【0057】
なお、残部はδフェライト相が主体であるが、残留オーステナイト相が主体であってもよく、この場合には靭性がより良好となる。
【0058】
上記のマルテンサイト率55〜90体積%を得るためには、鋼中に含まれるCr、NiおよびMoの含有量バランス、さらには鋼がCuおよびCoのうちから選ばれた1種または2種を含む場合はCr、Ni、Mo、CuおよびCoの含有量バランスが重要であり、下記の(1)式と(2)式、または(3)式と(4)式のいずれかを満たす必要があることは前述した通りである。なお、(1) 〜(4) 式中の元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する。
【0059】
Cr+ 1.5 × Mo−Ni−14≧0 ・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
Cr+ 1.5 × Mo−2×Ni−12.5≦0 ・・・・・・・・・・・・・・ (2)
Cr+1.5×Mo−Ni−0.4×(Cu+Co)−14≧0 ・・・・ (3)
Cr+1.5×Mo−2×Ni−0.8×(Cu+Co)−12.5≦0 ・・ (4)
ここで、上記の(1)式と(3)式はマルテンサイト率90体積%以下、(2)式と(4)式はマルテンサイト率55体積%以上を確実に得るための条件で、(1)、(3)式を満たさない場合はマルテンサイト率が90体積%超、(2)、(4)式を満たさない場合はマルテンサイト率が55体積%未満になりやすい。
【0060】
なお、マルテンサイト率は、点算法により求めることができる。すなわち、ミクロ組織を1000倍の顕微鏡写真(7.3cm×9.5cm)を5視野撮って4倍に拡大し、5mmピッチで升目を写真に描いて、格子点がマルテンサイト中にあれば1点、フェライト中にあれば0点、マルテンサイトとフェライトの境界にあれば0.5点として全格子について調べて合計点を算出して、その点数を全格子点数で割って求めることができる。
【0061】
《製造方法》
上記の化学組成を有する鋼は、熱間圧延のままで55〜90体積%のマルテンサイト率が得られるように、そのCr、NiとMo、さらにはCuおよびCoの含有量が上記の(1)式と(2)式、または(3)式と(4)式のいずれかにより制限されている。しかし、熱間圧延に先立つ素材鋼の加熱温度は1100〜1250℃とする必要がある。その理由は次のとおりである。
【0062】
加熱温度が1250℃を超えるとδフェライトが多く析出し、後の熱間圧延で多少減少するものの、最終製品のマルテンサイト率が55体積%未満となり、強度が確保できなくなるとともに、組織が粗大となり靭性が低下する。逆に、加熱温度が1100℃未満になると変形抵抗が大きくなって製造が困難になるためである。
【0063】
なお、熱間圧延条件は、特に制限しないが、900〜1050℃の温度域で熱間圧延を終了するの望ましい。その理由は次の通りである。すなわち、熱間圧延を900℃未満で終了した場合には、加工歪みの残存による加工硬化作用によってマルテンサイト率55〜90体積%であっても強度が高くなりすぎ、耐食性が低下するとともに、溶接部の強度がアンダーマッチィングになる問題が生じやすくなる。また、熱間圧延を1050℃超で終了した場合には、母材の靭性が確保できないことがあるためである。
【0064】
熱間圧延時の加工度は、特に制限しないが、再結晶による結晶粒微細化効果が得られるので、好ましくは肉厚圧下量で50%以上、より好ましくは70%以上とするのがよい。
【0065】
なお、上記の温度域で熱間圧延を終了した場合には、低温靭性と耐食性が一段と良好な金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%のマルテンサイト系ステンレス鋼、具体的には鋼板やシームレル鋼管が得られる。
【0066】
また、上記の化学組成を有する本発明の素材鋼は、焼入性が極めてよく、熱間圧延後の冷却は徐冷(炉冷)でもオーステナイト相がマルテンサイト相に変態し、マルテンサイト率55〜90体積%が確保される。しかし、徐冷(炉冷)に代えて大気放冷以上の冷却速度で冷却すると、結晶粒界や相境界に析出しやすい炭窒化物の析出が抑制され、耐食性がより一層向上する。このため、熱間圧延後の冷却は大気放冷以上の冷却速度で冷却するのが好ましい。
【0067】
《溶接鋼管の製造方法》
本発明の溶接鋼管は、上記条件の熱間圧延によって所定の肉厚と板幅を有する鋼板を製造し、この鋼板を管状に成形した後、その突き合わせ部をシーム溶接し、そのまま製品とすればよく、その際、特別な条件はなく、常法に従って製造すればよい。
【0068】
また、その製管法としては、厚肉大径のラインパイプの製造に従来から用いられているUOE製管法やプレスベンド製管法、ロールベンド製管法、スパイラル製管法等のいずれの方法であってもよく、特に制限されないが、通常、最も多く用いられているUOE製管法によるのが望ましい。
【0069】
【実施例】
表1に示す化学組成を有する21種類の鋼を溶製後、熱間鍛造して得られた鋼片を1200℃に加熱した後、パス回数5、仕上げ温度980の熱間圧延を施し、厚さ25mm、幅120mm、長さ400mmの鋼板を準備した。その際、一部の鋼については加熱温度と熱間圧延の終了温度を種々変更した。
【0071】
【表1】
また、質量%で、0.01%C−12%Cr−9%Ni−3%Moを主成分とする直径4mmの溶接ワイヤと、高塩基度のボンド型フラックス(住金溶接工業(株)製の商品名BL−3N)を準備した。
【0072】
そして、実際の溶接鋼管の製造を模擬し、準備した鋼板の圧延方向と平行な端面に、角度60度、ルートフェイス高さ13mmのY開先を加工し、加工部同士を突き合わせ、その突き合わせ部を溶接入熱量7.5kJ/mmの条件でサブマージドアーク溶接法(SAW法)で片面溶接した。
【0073】
次いで、母材部と突き合わせ溶接部から、以下に示す試験片を採取し、機械的性能(耐力)と耐硫化物応力割れ性により耐食性を調査した。
【0074】
引張試験片は、長さ方向が圧延方向と直交する方向で、直径4mm、標点間距離20mmの丸棒状引張試験片を、母材から切り出した。
【0075】
シャルピー衝撃試験片は、長さ方向が圧延方向と直交する方向のJIS Z 2202に規定される4号試験片を、母材と突き合わせ溶接部の両方から切り出した。なお、突き合わせ溶接部から切り出した4号試験片のノッチは、溶接ボンド部(溶融した部分と溶融していない部分の境界)に位置させた。
【0076】
耐食性調査試験片は、長さ方向が圧延方向と直交する方向の厚さ2mm、幅10mm、長さ75mmのノッチ付き4点曲げ試験片を、母材と突き合わせ溶接部の板厚方向中央部の両方から2個づつ切り出した。なお、突き合わせ溶接部から切り出した4点曲げ試験片のノッチは、上記の4号試験片と同様に、溶接ボンド部に位置させた。
【0077】
耐食性試験は、分圧30気圧の炭酸ガスと、0.01気圧の硫化水素を飽和させた温度50℃のNaCl濃度が5質量%の水溶液中に、採取した試験片各2個を200時間浸漬し、割れの有無で評価した。その際、試験片には、母材の耐力の100%の応力が作用する曲げを付与した。また、評価は、2個の試験片ともに割れの発生が認められなかったものを良好「○○」、2個の試験片のうち1個の試験片に割れの発生が認められたものをやや不芳「○×」、2個の試験片ともに割れの発生が認められたものを不芳「××」とした。
【0078】
以上の調査結果を、表2に示した。
【0079】
【表2】
表2に示す結果からわかるように、化学組成と熱間圧延に先立つ加熱条件が本発明で規定する範囲内である試番1〜14および16〜18の鋼のうち、熱間圧延の終了温度が本発明で望ましいとする温度範囲内の試番1〜13と16〜18の鋼は、マルテンサイト率が56〜88%で、耐力がAPIに規定されるX−80グレード相当の553〜675MPaであり、母材および溶接熱影響部ともに靭性、耐食性が極めて良好であった。
【0080】
これに対し、化学組成は本発明で規定する範囲内であるが、熱間圧延に先立つ加熱温度が本発明で規定する範囲を外れる試番15の鋼は、マルテンサイト率が50%と少なく、耐力が533MPaで、APIに規定されるX−80グレード相当に満たず、靭性、耐食性とも悪かった。
【0081】
また、熱間圧延に先立つ加熱温度は本発明で規定する範囲内であるが、化学組成が本発明で規定する範囲を外れる試番19〜21の鋼のうち、試番19の鋼は、前述した(3) 式を満たさないために、マルテンサイト率が100%のマルテンサイト単相となり、靭性は良好なものの、耐力が812MPaと異常に高くなり、耐食性がやや悪かった。試番20の鋼は、前述した(4) 式を満たさないために、マルテンサイト率が26%と極めて低く、耐力が大幅に低かった。試番21の鋼は、Ti含有量が本発明で規定する上限値を超えているため、靭性が大幅に低かった。
【0082】
さらに、試番22〜24の従来鋼は、いずれも、化学組成が前述した(3) 式を満たさないために、マルテンサイト率が100%のマルテンサイト単相となり、靭性は良好なものの、耐力が820〜843MPaと異常に高すぎ、圧延のままや溶接のままの耐食性が悪かった。
【0083】
【発明の効果】
本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼は、熱間圧延のまま、または溶接のままで、強度、靭性、耐食性のバランスが優れている。また、この鋼は、熱処理が不要であるので、熱処理能力不足による大量生産の阻害を回避することができ、原油や天然ガスの開発業者からの大量受注にも対応でき、今後のエネルギーの安定供給に貢献すること多大である。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.03%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、Cr:12〜20%、Ni:3〜6.0%、Mo:0.5〜5%、sol.Al:0.001〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のP、S、N、O(酸素)およびTiが、それぞれ0.025%以下、0.01%以下、0.02%以下、0.01%以下、0.05%以下であり、かつ下記の(1)式と(2)式を満たし、金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%であるマルテンサイト系ステンレス鋼。
Cr+ 1.5 × Mo−Ni−14≧0 ・・・・・・ (1)
Cr+ 1.5 × Mo−2×Ni−12.5≦0 ・・・・ (2)
ここで、(1)式と(2)式中の元素記号は、鋼中の各元素の含有量(質量%)を意味する。 - 質量%で、C:0.03%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、Cr:12〜20%、Ni:3〜6.0%、Mo:0.5〜5%、sol.Al:0.001〜0.1%、さらに、下記のA〜Dのグループのうちから選らばれた1グループまたは2グループ以上の元素を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のP、S、N、O(酸素)およびTiが、それぞれ0.025%以下、0.01%以下、0.02%以下、0.01%以下、0.05%以下であり、かつ下記の(3)式と(4)式を満たし、金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%であるマルテンサイト系ステンレス鋼。
Cr+1.5×Mo−Ni−0.4×(Cu+Co)−14≧0 ・・・・・・ (3)
Cr+1.5×Mo−2×Ni−0.8×(Cu+Co)−12.5≦0 ・・・・ (4)
ここで、(3)式と(4)式中の元素記号は、鋼中の各元素の含有量(質量%)を意味する。
A:質量%で、Cu:0.5〜5%。
B:質量%で、Co:0.1〜5%。
C:質量%で、V:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5%およびZr:0.001〜0.5%のうちから選ばれた1種または2種以上。
D:質量%で、Ca:0.0005〜0.05%、Mg:0.0005〜0.05%およびREM:0.0005〜0.05%のうちから選ばれた1種または2種以上。 - 質量%で、C:0.03%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、Cr:12〜20%、Ni:3〜6.0%、Mo:0.5〜5%、sol.Al:0.001〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のP、S、N、O(酸素)およびTiが、それぞれ0.025%以下、0.01%以下、0.02%以下、0.01%以下、0.05%以下であり、かつ下記の(1)式と(2)式を満たすマルテンサイト系ステンレス鋼を、1100〜1250℃の温度域に加熱した後、熱間加工を施してそのまま製品とする金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%であるマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
Cr+ 1.5 × Mo−Ni−14≧0 ・・・・・・ (1)
Cr+ 1.5 × Mo−2×Ni−12.5≦0 ・・・・ (2)
ここで、(1)式と(2)式中の元素記号は、鋼中の各元素の含有量(質量%)を意味する。 - 質量%で、C:0.03%以下、Si:0.05〜1%、Mn:0.05〜2%、Cr:12〜20%、Ni:3〜6.0%、Mo:0.5〜5%、sol.Al:0.001〜0.1%、さらに、下記のA〜Dのグループのうちから選らばれた1グループまたは2グループ以上の元素を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、不純物中のP、S、N、O(酸素)およびTiが、それぞれ0.025%以下、0.01%以下、0.02%以下、0.01%以下、0.05%以下であり、かつ下記の(3) 式と(4) 式を満たすマルテンサイト系ステンレス鋼を、1100〜1250℃の温度域に加熱した後、熱間加工を施してそのまま製品とする金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%であるマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
Cr+1.5×Mo−Ni−0.4×(Cu+Co)−14≧0 ・・・・・・ (3)
Cr+1.5×Mo−2×Ni−0.8×(Cu+Co)−12.5≦0 ・・・・ (4)
ここで、(3)式と(4)式中の元素記号は、鋼中の各元素の含有量(質量%)を意味する。
A:質量%で、Cu:0.5〜5%。
B:質量%で、Co:0.1〜5%。
C:質量%で、V:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5%およびZr:0.001〜0.5%のうちから選ばれた1種または2種以上。
D:質量%で、Ca:0.0005〜0.05%、Mg:0.0005〜0.05%およびREM:0.0005〜0.05%のうちから選ばれた1種または2種以上。 - 請求項3または4に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法において、熱間加工を900〜1050℃の温度域で終了し、その後放冷または急冷する低温靭性と耐食性に優れた金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%のマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
- 請求項3〜5のいずれかに記載の方法によって製造されたマルテンサイト系ステンレス鋼の鋼板を管体に成形後、その突き合わせ部をシーム溶接し、そのまま製品とすることによる母材部の金属組織に占めるマルテンサイト相の体積割合が55〜90%のマルテンサイト系ステンレス溶接鋼管の製造方法。
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