以下、本発明に係る画像読取装置及び画像形成装置の一実施形態である複合機を図面に基づいて説明する。図1は、複合機の内部構成を概略的に示す側面図である。複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等の機能を兼ね備えたものであり、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部4と、原稿読取部4の上方に配設された原稿給送部5とを有している。
図2は、原稿読取部4及び原稿給送部5の内部構成を示す図である。
原稿給送部5は、原稿Sに形成された画像の読取位置Pを通過点とする搬送路上で原稿Sを搬送するものである。原稿給送部5は、原稿読取部4の上面に開閉自在に取り付けられており、原稿排紙テーブル6、原稿給紙テーブル7、給紙ローラ8、レジストスイッチ9、一対のレジストローラ10、タイミングスイッチ11、分離コロ12、一対の排紙ローラ13及び原稿押さえ部材14を備える。
原稿給送部5は、対をなして設置された給紙ローラ8と分離コロ12とにより、原稿給紙テーブル7に載置された原稿束から最上位置にある一枚の原稿Sを順番に分離し、この分離した原稿Sを一対のレジストローラ10によって原稿押さえ部材14とシートスルーガラス21との間に設定された読取位置Pに搬送するとともに、順次分離した各原稿Sを、それぞれ間隔を空けて読取位置Pに搬送する。
レジストスイッチ9及びレジストローラ10は、原稿Sが読取位置Pに搬送される前に、原稿Sを搬送方向に対して傾斜した状態で搬送する所謂斜め送りを規制して、原稿の先端を整えるものである。原稿押さえ部材14のうちシートスルーガラス21の一方主面に対向する面には、主走査方向(図2において紙面に直交する方向)に延在するように帯板状の基準板(図示せず)が取り付けられており、該基準板のシートスルーガラス21に対向する表面が例えば白一色となっている。タイミングスイッチ11は、原稿搬送中の画像先端タイミングを決定するものであり、当該タイミングスイッチ11から得られた信号は、後述する制御部44に出力される。
原稿読取部4は、読取位置Pに搬送された原稿Sの画像を読み取るものであり、第1ミラー15、第2ミラー16、第3ミラー17、レンズ系18、撮像素子19、露光ランプ20、シートスルーガラス21及びコンタクトガラス22を備えて構成されている。撮像素子19は、入射光を電気信号へ変換する撮像動作(光電変換動作)を行うものであり、本実施形態では、画素が主走査方向に配列され、該主走査方向の1ライン分の画像データを同時に取得するラインセンサであり、搬送される原稿に対して一定の周期で撮像動作を実施する。なお、撮像素子19は、複数ライン分の画像データを同時に取得可能なように複数列が配置されているものでも良い。
原稿読取部4は、読取対象の原稿が前記原稿給送部5により搬送される原稿であるとき、該原稿Sが読取位置Pを通過している期間に、原稿読取部4に設けられる光学系によって、原稿Sのシートスルーガラス21に面する側の画像を読み取る。すなわち、露光ランプ20が、シートスルーガラス21を介して読取位置Pを照射する。これにより、原稿Sが読取位置Pを通過していない場合には前記基準板の反射光が、また、原稿Sが読取位置Pを通過している場合には前記原稿Sの反射光がシートスルーガラス21を介して第1ミラー15に入射し、当該入射光は、第2ミラー16、第3ミラー17及びレンズ系18を通過した後、撮像素子19へ入射する。
一対の排紙ローラ13は、読取位置Pを通過した原稿Sを原稿排紙テーブル6に排出するため、撮像素子19が読取位置Pにおける原稿Sの画像を読み取る間に、原稿Sは、副走査方向(図2において水平方向)に移動する。したがって、1枚の原稿Sが原稿排紙テーブル6に収納された際には、当該1枚の原稿Sの主走査方向及び副走査方向に沿った全画像の読み取りが完了する。
原稿給送部5は、その前面側が上方に移動可能となるように原稿読取部4に対して回動自在に設けられている。複合機1は、原稿給送部5の前面側を上方に移動させてコンタクトガラス22の上面を開放することにより、原稿台14の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるように構成されており、原稿読取部4は、原稿給送部5を用いることなく、前記書籍を含む原稿Sがコンタクトガラス22の上面に載置されることによって、該原稿Sの画像読取りも可能なように構成されている。
すなわち、複合機1は、露光ランプ20、第1ミラー15、第2ミラー16及び第3ミラー17が図略の移動枠に取り付けられており、これらの光学系が前記移動枠の移動に伴いコンタクトガラス22の主面に沿って移動可能に構成されている一方、レンズ系18及び撮像素子19は、移動枠には取り付けられずに、移動枠を除く原稿読取部4の適所に固定されている。
そして、複合機1は、露光ランプ20及び第1ミラー15の移動に伴って、読取位置が副走査方向に沿って移動することにより、撮像素子19は、コンタクトガラス22の上面に静止状態で載置された原稿Sの画像を、主走査方向及び副走査方向に沿って読み取ることが可能に構成されている。
図1に戻り、本体部2は、複数の給紙カセット23と、給紙カセット23から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部25へ搬送する給紙ローラ24と、給紙カセット23から搬送されてきた記録紙に画像を形成する画像形成部25とを備える。
画像形成部25は、原稿読取部4で取得された画像データに基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム26を露光する光学ユニット27と、感光体ドラム26上にトナー像を形成する現像部28と、感光体ドラム26上のトナー像を記録紙に転写する転写部29と、トナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる一対のローラ30,31からなる定着装置32と、画像形成部25内の用紙搬送路中に設けられ、記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ33まで搬送する搬送ローラ対34,35等とを備える。
なお、記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部25で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ33側の搬送ローラ対30,31にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ対30,31を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路32に送って画像形成部25の上流域に再度搬送し、画像形成部25により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ33に排出する。
複合機1のフロント部には、操作部36が設けられている。この操作部36には、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー37と、印刷部数等を入力するためのテンキー38と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部39と、表示部39で設定された設定内容等をリセットするリセットキー40と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー41と、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー42が備えられている。
次に、複合機1の電気的な構成について説明する。図3は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。なお、図1,図2に示す部材と同一のものについては同一の番号を付して、その説明を省略する。
図3に示すように、複合機1は、原稿読取部4、画像形成部25、操作部36、記憶部43、制御部44、ファクシミリ通信部45、ネットワークI/F部46、パラレルI/F部47及びシリアルI/F部48を備えて構成されている。
前記原稿読取部4、記憶部43、制御部44、操作部36及びネットワークI/F部46によって、取り込んだ画像データを予め指定されたIPアドレスへ送信するネットワークスキャナ機能が実現される。また、前記原稿読取部4、画像形成部25、記憶部43、制御部44、操作部36及びファクシミリ通信部45によって、ファクシミリ機能が実現される。さらに、前記画像形成部25、制御部44、操作部36、ネットワークI/F部46及びパラレルI/F部47によって、プリンタ機能が実現される。また、前記原稿読取部4、画像形成部25、制御部44及び操作部36によって、コピー機能が実現される。
操作部36は、図1に示す操作部36に相当するものであり、使用者がコピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能及びスキャナ機能等に関する操作を行うために使用され、使用者による操作命令(コマンド)等を制御部44に与えるものである。操作部36は、タッチパネル等を有する表示部39と、前述のスタートキー37やテンキー38等を含む操作キー部49とを含む。操作キー部49は、使用者によるコピー実行開始指令、あるいはファクシミリ送信開始指令といった種々の指示入力を行うために用いられる。
画像形成部25は、前述の画像形成部25に相当するものであり、原稿読取部4によって読み取られた原稿の画像データ、ネットワークI/F部46を介して外部のパーソナルコンピュータ等から受信した画像データ、及びファクシミリ通信部45によって外部のファクシミリ装置から受信したファックスデータ等の画像データに対する画像を所定の記録紙に印刷(形成)する。
記憶部43は、原稿読取部4の読取動作により得られた画像データや、後述する制御部44により処理された画像データ等を記憶したり、ファクシミリ通信を行う時の短縮釦登録の相手先名称やファクシミリ番号、或いは、ネットワークスキャナとして使用される際の送信相手先のIPアドレスなどを予め記憶したりするものである。
制御部44は、図略のCPU(Central Processing Unit:中央演算処理部)に、そのCPUの動作を規定するプログラムを格納するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、並びに一時的にデータを保管するRAM等の記憶部などの周辺装置を有している。これにより、制御部44は、操作部36等で受け付けられた指示情報や、複合機1の各所に設けられているセンサからの検出信号に応じて、該複合機1全体の制御を行う。より具体的には、制御部44は、スキャナ機能を実現するために用いられる各部の動作を制御するスキャナコントローラ、ファクシミリ機能を実現するために用いられる各部の動作を制御するファクシミリコントローラ、プリンタ機能を実現するために用いられる各部の動作を制御するプリンタコントローラ及びコピー機能を実現するために用いられる各部の動作を制御するコピーコントローラとして機能する。
また、制御部44は、撮像素子19によって取得された画像データを、図略の処理回路によって増幅及びディジタル信号化された後に、シェーディング補正、ガンマ補正、色収差補正、MTF(Modulation Transfer Function)補正及びスキャナ色補正等の各種の画像処理を実施する画像処理部としての機能も有する。
ファクシミリ通信部45は、符号化/復号化部(図示せず)、変復調部(図示せず)及びNCU(Network Control Unit)(図示せず)を含み、原稿読取部4によって読み取られた原稿の画像データを電話回線やインターネット回線を介して他のファクシミリ装置へ送信したり、他のファクシミリ装置から送信されてきた画像データを受信したりするものである。
ネットワークI/F部46は、ネットワークインターフェース(例えば10/100base-TX)等を用い、ネットワークを介して接続されたユーザ側サーバとの間での種々のデータの送受信を制御するものである。また、ネットワークにパーソナルコンピュータ等の図示しない1または複数の端末装置が接続されている場合に、ネットワークI/F部46はこれらの端末装置との間での種々のデータの送受信を制御する。例えば、ネットワークI/F部46は、原稿読取部4によって読み取られた原稿画像データを端末装置へ送信したり、画像形成部25で印刷するために端末装置から送られた画像データを受信したりする。
パラレルI/F部47は、高速双方向パラレルインターフェイス(例えばIEEE1284準拠)等を用いて、複数の信号線を用いて複数ビット単位でデータを送信するパラレル伝送によって、外部機器等から印刷データ等を受信等するものである。シリアルI/F部48は、シリアルインターフェイス(例えばRS−232C)等を用い、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送によって、外部機器等から種々のデータ等を受信等するものである。
ところで、以上のような構成を有する複合機1においては、原稿搬送部5により搬送される原稿に対して画像読取部4により読取動作を行う場合に、シートスルーガラス21に異物が付着していると、同一の画素が各撮像タイミングで該異物を撮像し、これによって、得られた画像のうち、前記同一の画素の画素位置に対応する主走査方向の位置に、副走査方向に延びる筋状の画像(図4のラインL)が形成されることがある。
このような状況を原稿束の全ての原稿に対する読取動作が終了するまで放置しておくと、該読取動作で得られる画像全てに前述の筋状画像が発生することとなり、ユーザが望まない複写物が生成されるため、前記異物の存在が検出された時点で画像の読取動作を中断する必要がある。そこで、複合機1は、異物がシートスルーガラス21に付着しているものと予測される場合には前記読取動作を中断する。
ただし、例えば、異物が埃や紙粉等のように、前記異物の種類によっては、搬送される用紙によって該ガラス21上から除去される場合がある。この場合、異物を除去した用紙の次の用紙以降については、シートスルーガラス21上に異物が存在しない正常な状況で読取動作を行うことができるため、画像読取動作を中断する必要がない。
本実施形態の複合機1は、この点を考慮して、次のような処理によって画像読取動作の中断機会をできるだけ低減するようにしているところに特徴を有している。
すなわち、まず、本実施形態の複合機1は、各原稿について、通常の画像読取動作(原稿に対する画像読取動作)の他に、当該原稿とその1枚前及び1枚後ろで搬送される原稿との間の予め定められた位置が前記読取位置Pに到達する前のタイミングでも読取動作を実施する。換言すると、図4に示すように、複合機1は、n枚目(nは1以上の整数)の原稿について、通常の画像読取動作の他に、(n−1)枚目の原稿の後端縁とn枚目の原稿の先端縁との間の予め定められた位置Cn−1と、n枚目の原稿の後端縁と(n+1)枚目の原稿の先端縁との間の予め定められた位置Cn+1とにおいてそれぞれ読取動作を実施する。
一方、複合機1は、通常の画像読取動作で得られた画像のうち、当該原稿における先端部の予め定められた位置Anが前記読取位置Pに到達するときのタイミングで得られた画像と、当該原稿における先端部の予め定められた位置Bnが前記読取位置Pに到達するときのタイミングで得られた画像とを抽出する。前記位置An,Bnとして、原稿のうち通常画像が形成されない白色のマージン部分が好ましく、本実施形態では、前記位置An,Bnが、白色のマージン部分に設定されているものとする。
そして、複合機1は、これらの抽出した画像と、前記位置Cn−1が前記読取位置Pに到達するときのタイミングで得られた画像及び前記位置Cn+1が前記読取位置Pに到達するときのタイミングで得られた画像のうち少なくとも一方の画像とが、いずれも前記異物に起因する画像を含む場合に前記画像読取動作を中断する一方、それ以外の場合には、前記画像読取動作を中断せずに継続する。
なお、図4は、原稿給送部5による前記読取位置Pまでの原稿搬送路が擬似的に直線であるものとして、原稿給送部5によって順番に前記読取位置Pへ搬送される各原稿の配列状態を示した図である。
以上の機能を実現するべく、図3に示すように、制御部44は、読取制御部50と、異物画像検出部51と、中断要否判断部52と、表示制御部53としての機能を有している。
読取制御部50は、原稿読取部4の読取動作を制御するものであり、特に本実施形態では、各原稿について、通常の画像読取動作を前記原稿読取部4に実施させる他、前記位置Cn−1及び位置Cn+1が前記読取位置Pを通過するときのタイミングで原稿読取部4に読取動作を実施させる。
異物画像検出部51は、前記原稿読取部4による読取動作で得られた画像データに基づき、異物に起因して生成される後述の異物画像の有無を検出するものである。前述したように、原稿押さえ部材14のうちシートスルーガラス21の一方主面に対向する面には基準板が取り付けられていて、該基準板のシートスルーガラス21に対向する表面は白一色とされているため、前記位置Cn−1及び位置Cn+1が前記読取位置Pを通過するときのタイミングで実施される読取動作では、前記基準板の白色とされた前記表面に原稿読取部4の露光ランプ20で光が照射される。
また、前記位置An,Bnが前記読取位置Pを通過するときのタイミングで実施される読取動作では、前記位置An,Bnが白色のマージン部分に設定されているため、白色部分に原稿読取部4の露光ランプ20で光が照射される。
したがって、少なくとも、前記各位置Cn−1,Cn+1,An,Bnが前記読取位置Pを通過するときの各タイミングにおいて、シートスルーガラス21の表面に異物が存在しない場合には、前記各タイミングでそれぞれ得られる主走査方向の1ライン分の画像データは、該主走査方向に一様に、白色に対応する比較的大きな画素値を有するものとなる。
一方、前記各位置Cn−1,Cn+1,An,Bnが前記読取位置Pを通過するときの各タイミングのうちいずれかのタイミングで、シートスルーガラス21の表面に異物が存在した場合には、前記異物が存在するタイミングで得られる主走査方向の1ライン分の画像データは、画素値が比較的大きい画素データの中に、前記異物に起因して画素値が小さくなった画素データが含まれるものとなる。
これに基づき、異物画像検出部51は、異物に起因して生じる画像(以下、異物画像という)を検出する処理を行う。すなわち、異物画像検出部51は、まず、通常の画像読取動作で得られた画像データの中から、前記位置An,Bnが前記読取位置Pを通過するときのタイミングでの画像読取動作で得られた画像データを抽出する。そして、異物画像検出部51は、この抽出した画像データと、前記位置Cn−1,Cn+1が前記読取位置Pを通過するときのタイミングでの読取動作で得られた画像データとについて、画素値が比較的大きい画素データの中に画素値が小さい画素データが含まれているか否かを判別し、画素値が比較的大きい画素データの中に画素値が小さい画素データが含まれているとき、その画素値が小さい画素データからなる画像を前記異物画像として検出する。
中断要否判断部52は、前記異物画像検出部51による検出結果に基づき画像の読取動作についての中断の要否を判断するものである。前記異物画像検出部51による検出形態(検出結果)のバリエーションを図5に示す。なお、図5は、n枚目(nは1以上の整数)の原稿及びその前後で搬送される(n−1)枚目、(n+1)枚目及び(n+2)枚目の原稿の計4枚の原稿に係る搬送態様において、n枚目及び(n+1)枚目の原稿における先端部及び後端部の予め定められた位置An,Bn,An+1,Bn+1と、(n−1)枚目の原稿とn枚目の原稿との間の予め定められた位置Cn−1と、n枚目の原稿と(n+1)枚目の原稿との間の予め定められた位置Cnと、(n+1)枚目の原稿と(n+2)枚目の原稿との間の予め定められた位置Cn+1とに着目し、これらの各位置が前記読取位置Pを通過するときの各タイミングでの読取動作によって得られた画像に前記異物画像が含まれているか否かの検出結果を示したものであり、図5において、丸印は、異物画像が検出されなかったことを示し、×印は、異物画像が検出されたことを示している。
中断要否判断部52は、図5に示す各検出結果のうち、少なくとも、当該原稿の先端部及び後端部の位置で得られた画像と、当該原稿より1枚前の原稿及び1枚後ろの原稿のうち少なくとも一方の原稿と当該原稿との間の間隙で得られた画像との全てに前記異物画像が検出された場合である、No.3,No.6,No.10の検出結果が得られた場合に、画像の読取動作を中断する必要があると判断する。
一方、それ以外の検出結果が得られた場合には、一時的に異物がシートスルーガラス21の表面に付着した場合(搬送される原稿によって異物が除去された場合)や、異物ではなく、前記マージン部分に画像が形成されている場合などであることが多いとの想定に基づき、中断要否判断部52は、画像の読取動作を中断する必要は無いと判断する。
特に、図5に示すNo.9の検出結果のように、位置Bn,Cn,An+1で前記異物画像が検出された場合のように、間隙を挟む2枚の原稿のうち、その間隙側に位置する方の1対の端部間にのみ筋状の画像が発生したものと想定される場合には、該筋状の画像が画質に悪影響を与えることの少ないものであることが多いことから、原稿に対する読取動作を中断しないようにすることで、必要性の低い、読取動作の中断を回避することができる。
読取制御部50は、前記中断要否判断部52により画像の読取動作を中断する必要があると判断されると、前記原稿読取部4による読取動作を中断させる。表示制御部53は、前記中断要否判断部52により画像の読取動作を中断する必要があると判断されると、その旨をユーザに報知するための表示を表示部39に行わせる。図6は、該表示がなされた画面の一例を示す図である。
図6に示す画面G1には、異物を除去するべくユーザにシートスルーガラス21の清掃を実施させる指示を示す表示と、清掃を行っても異物が除去されない場合の連絡先の表示と、再度の読取動作を実施する場合の注意点を示す表示と、再度の読取動作の要否をユーザに入力させるボタンB1,B2の表示とがなされている。
この画面G1において、再度の読取動作が不要である旨の入力が行われた場合(入力ボタンB2が操作された場合)には、読取制御部50は、当該原稿束に対する一連の読取動作を終了する一方、再度の読取動作が必要である旨の入力が行われた場合(入力ボタンB1が操作された場合)には、原稿読取部4に再度の読取動作を実施させる。異物画像検出部51及び中断要否判断部52は、この再度の読取動作で得られた画像データに基づき異物画像の検出処理及び中断要否の判断処理を再度実施する。
このときの異物画像検出部51の検出結果として、大きく分けて、前記異物が検出されないという検出結果(検出結果1)と、前回検出された異物の検出位置と異なる位置で異物が検出されるという検出結果(検出結果2)と、前回検出された異物の検出位置と略同一位置で異物が検出されるという検出結果(検出結果3)とが想定される。
中断要否判断部52は、前記異物画像検出部51の検出結果が前記検出結果1である場合には、画像の読取動作を中断する必要がないと判断し(この判断結果を判断結果1という)、前記異物画像検出部51の検出結果が前記検出結果2である場合には、画像の読取動作を中断する必要があると判断する(この判断結果を判断結果2という)。
また、中断要否判断部52は、前記異物画像検出部51の検出結果が前記検出結果3である場合には、主として、修正液やインク等の異物が強い付着力でシートスルーガラス21に付着している状態であり、この場合、簡単に対処することが困難であるため、当該原稿束に対する一連の読取動作を終了(中止)する必要があると判断する(この判断結果を判断結果3という)。
表示制御部53は、前記中断要否判断部52の判断結果が前記判断結果2である場合には、前回の異物検出時と同様に、図6に示すような画面G1を表示部39に表示する一方、前記判断結果が判断結果3である場合には、図7に示すような画面G2を表示部39に表示する。図7に示す画面G2では、異物が付着している旨、サービスマンへの連絡実施を指示する旨及びその連絡先の表示がなされている。
図8は、制御部44による異物検出処理を示すフローチャートである。
図8に示すように、読取制御部50は、操作部36から画像形成指示を示す信号を受信すると(ステップ♯1でYES)、原稿読取部4に読取動作を実施させる(ステップ♯2)。ここで、実施される読取動作は、図4に示すように、原稿に対する通常の読取動作の他に、当該原稿とその前の原稿との間の予め定められた位置Cn−1,位置Cn+1が前記読取位置Pに到達するタイミングで実施される読取動作も含むものである。
次に、異物画像検出部51は、前記各読取動作で得られた画像データに基づき、異物画像の検出処理を行う(ステップ♯3)。すなわち、前述したように、異物画像検出部51は、通常の画像読取動作で得られた画像データの中から、前記位置An,Bnが前記読取位置Pを通過するときのタイミングでの画像読取動作で得られた画像データを抽出し、この抽出した画像データと、前記位置Cn−1,位置Cn+1が前記読取位置Pを通過するときのタイミングでの読取動作で得られた画像データとについて、画素値が比較的大きい画素データの中に画素値が小さい画素データが含まれた態様を有しているか否かを判別し、画素値が比較的大きい画素データの中に画素値が小さい画素データが含まれた態様を有しているとき、その画素値が小さい画素データからなる画像を異物画像として検出する。
異物画像検出部51は、前記検出処理の結果、異物画像を検出しなかった場合には(ステップ♯4でNO)、ステップ♯2の処理に戻る一方、異物画像を検出した場合には(ステップ♯4でYES)、異物画像の検出結果が予め設定された検出結果、ここでは図5に示すNo.3,No.6,No.10の検出結果であるか否かを判断する(ステップ♯5)。
異物画像の検出結果が予め設定された検出結果でないとき(ステップ♯5でNO)、読取制御部50は、ステップ♯2に戻って原稿読取部4による読取動作を継続させる一方、異物画像の検出結果が予め設定された検出結果であるとき(ステップ♯5でYES)、読取制御部50は、原稿読取部4による読取動作を中断させ(ステップ♯6)、表示制御部53は、図6に示すような異物を検出した旨などを示す表示を表示部39に行い(ステップ♯7)、再度の読取動作を実行する指示を示す信号を操作部36から受信したか否かを判断する(ステップ♯8)。
読取制御部50は、再度の読取動作を実行する指示を示す信号を操作部36から受信していないと判断した場合(ステップ♯8でNO)、読取動作の実行を中止する指示を示す信号を操作部36から受信したか否かを判断する(ステップ♯9)。その結果、読取制御部50は、読取動作の実行を中止する指示を示す信号を操作部36から受信していないと判断した場合には(ステップ♯9でNO)、ステップ♯7の表示を行ってから予め定められた時間が経過したか否かを判断し(ステップ♯10)、前記時間が経過していない場合には(ステップ♯10でNO)、ステップ♯6に戻る一方、前記時間が経過した場合には(ステップ♯10でYES)、当該原稿束に対する読取指示に基づく読取動作を中止(終了)する。
一方、ステップ♯8において、読取制御部50は、再度の読取動作を実行する指示を示す信号を操作部36から受信すると(ステップ♯8でYES)、原稿読取部4に再度読取動作を実施させ(ステップ♯11)、この読取動作で得られた画像データに基づき、ステップ♯4と略同様の異物画像の検出処理を行う(ステップ♯11)。
この検出処理の結果、異物画像が検出されなかった場合には(ステップ♯12でNO)、読取制御部50は、ステップ♯11に戻って引き続き読取動作を原稿読取部4に実施させる一方、異物画像が検出された場合には(ステップ♯12でYES)、異物画像の検出結果が前記予め設定された検出結果(ここでは図5に示すNo.3,No.6,No.10の検出結果)であるか否かを判断する(ステップ♯13)。
異物画像の検出結果が前記予め設定された検出結果でないとき(ステップ♯13でNO)、読取制御部50は、ステップ♯11に戻って原稿読取部4による読取動作を継続させる一方、異物画像の検出結果が前記予め設定された検出結果であるとき(ステップ♯13でYES)、読取制御部50は、ステップ♯3で検出された位置と略同一位置に異物画像が存在するか否かを判断する(ステップ♯14)。
ステップ♯3で検出された位置と略同一位置に異物画像が存在しないと判断された場合には(ステップ♯14でNO)、読取制御部50は、ステップ♯6に戻る一方、ステップ♯3で検出された位置と略同一位置に異物画像が存在すると判断された場合には(ステップ♯14でYES)、当該原稿束に対する読取指示に基づく読取動作を中止(終了)し(ステップ♯15)、表示制御部53は、サービスマンへの連絡実施を指示する旨などを示す図6に示すような表示を表示部39に行わせる(ステップ♯16)。
以上のように、本実施形態では、各原稿について、通常の画像読取動作の他に、当該原稿とその1枚前及び1枚後ろで搬送される原稿との間の位置が前記読取位置Pに到達するタイミングでも読取動作を実施し、このタイミングで得られた画像と、前記通常の画像読取動作で得られた画像のうち当該原稿における先端部の予め定められた位置Anが前記読取位置Pに到達するときのタイミングで得られた画像と、当該原稿における後端部の予め定められた位置Bnが前記読取位置Pに到達するときのタイミングで得られた画像とが、いずれも前記異物に起因する画像を含む場合にのみ、前記原稿束に対する画像の読取動作を中断するようにしたので、読取動作の無用な中断を防止又は抑制することができる。
すなわち、搬送される原稿により該原稿に対する読取動作の途中で異物がシートスルーガラス21上から除去された場合、異物を除去した原稿の次の原稿以降については、シートスルーガラス21上に異物が存在しない正常な状況で読取動作を行うことができ、また、仮に、異物を除去した原稿の画像が複写された用紙に異物に起因する筋が形成されたとしても、シートスルーガラス21上に該異物が存在していた時間は比較的短いことで前記筋はそれほど目立つ長さの筋ではないことが多いことから、画像読取動作を中断する必要がない。
本実施形態では、搬送される原稿により異物がシートスルーガラス21上から除去された場合、前記各タイミングのうちいずれかのタイミングでの読取動作で得られた画像に異物画像が検出されず、この場合には画像読取動作が中断されないから、その分、画像読取動作の無用な中断を防止又は抑制することができる。
また、複合機1の主電源オン後であっても、画像読取動作の中断の要否判断に要する画像データを全て取得できるから、画像読取動作を中断する必要があるときには、その画像読取動作を確実に中断することができる。
以上のことから、読取動作の無用な中断を防止又は抑制しつつ、ユーザが望まない筋を有する画像が形成されるのをより確実に防止することができる。
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて次のような変形形態も採用可能である。
[1]異物に起因して発生する筋状の画像が記録紙に形成された場合であっても、その筋状の画像を許容できるユーザと許容できないユーザとが存在することが考えられる。
そこで、画像読取動作の中断の要否を決定するためのパラメータとして、例えば筋状の画像の本数、筋状の画像の太さ(主走査方向の長さ)、筋状の画像の長さ(副走査方向の長さ)及び濃度のうち少なくとも一つを用意し、この用意したパラメータにつき、中断の要否判断の判断結果が分かれる基準値(判断基準値)をユーザが設定可能に構成すると更に好ましい。
この構成を実現するべく、本実施形態の複合機1は、中断要否判断部52及び表示制御部53が次のような機能を更に有するとともに、図9に示すように、制御部44が、前記各部50〜53に加えて、判断基準値記憶部54として機能する点が前記第1の実施形態と相違する。以下、前記第1の実施形態との相違点を主として説明する。
表示制御部53は、操作部36により予め定められた操作が行われると、例えば図10に示すような設定画面G3を表示部39に表示させる。図10に示す設定画面G3は、画像読取動作の中断の要否を決定するためのパラメータについての判断基準値をユーザが設定するための画面の一例であり、前記パラメータとして、筋状の画像の太さ、本数、長さ及び濃度の4つのパラメータが用意されている場合の設定画面を示している。
筋状の画像の太さについての判断基準値は、例えば0mm〜5mmまでの範囲を0.1mm刻みで設定可能とされている。複合機1は、この設定画面G3で設定された判断基準値以上の太さを有する筋状の画像が存在するときに、画像読取動作を中断する。
筋状の画像の本数についての判断基準値は、例えば0本〜20本までの範囲を1本刻みで設定可能とされている。複合機1は、この設定画面G3で設定された判断基準値以上の本数の筋状の画像が存在するときに、画像読取動作を中断する。
筋状の画像の濃度についての判断基準値として、例えば50(%)以下の濃度である「低濃度」及び例えば50(%)を超える濃度である「高濃度」の2種類が選択可能とされている。複合機1は、この設定画面G3で設定された判断基準値に相当する濃度の筋状の画像が存在するときに、画像読取動作を中断する。
筋状の画像の長さについての判断基準値として、「全域指定」と「部分指定」との2種類が選択可能とされている。各読取位置における異物画像の有無に係る検出結果の組み合わせに基づいて筋状の画像の長さを予想できることに着眼して、筋状の画像の長さについての判断基準値として、本実施形態においては、各読取位置における異物画像の有無に係る検出結果の組み合わせに係るバリエーションを2種類(「全域指定」及び「部分指定」に相当)用意し、このバリエーションが選択可能に構成されている。
すなわち、「全域指定」が選択された場合、複合機1は、前記第1の実施形態と同様、図5のNo.3,No.6,No.10の検出結果が得られた場合、換言すると、当該原稿とその1枚前で搬送される原稿との間の位置Cn−1と、当該原稿における先端部の予め定められた位置Anと、当該原稿における後端部の予め定められた位置Bnとの各位置で異物画像が検出された場合と、当該原稿における後端部の予め定められた位置Bnと、当該原稿における先端部の予め定められた位置Anと、当該原稿とその1枚後ろで搬送される原稿との間の位置Cnとの各位置で異物画像が検出された場合に、画像読取動作を中断する。
一方、「部分指定」が選択された場合、複合機1は、前記位置An及び位置Bnのうち少なくとも一方の位置で異物画像が検出された場合、つまり、図11に示すように、図5のNo.3,No.6,No.10の検出結果が得られた場合だけでなくNo.2,No.4,No.5,No.7〜No.9の検出結果が得られた場合にも画像読取動作を中断する。
このような構成では、ユーザは、少しでも(短くても)筋状の画像が発生すると画像読取動作を中断させたいと考える場合には「部分指定」を選択し、少しの筋状の画像では読取動作を中断させずに、用紙の先端から後端に亘るような長い筋状の画像が形成されたときにのみ画像読取動作を中断させたいと考える場合には「全域指定」を選択することとなる。なお、図10において、「指定無し」との表示は、各パラメータの判断基準値についてユーザが設定しない場合の表示である。
判断基準値記憶部45は、操作部36により設定された各判断パラメータについての判断基準値を記憶するものである。中断要否判断部52は、前記判断基準値記憶部45に記憶された判断基準値に基づき、画像読取動作の中断の要否判断を行う。すなわち、前記各判断パラメータのうち1つでも判断基準値を逸脱するとき、画像読取動作を中断する必要があると判断する。
図12は、制御部44による判断基準値設定処理を示すフローチャートである。
図13に示すように、表示制御部53は、操作部36から前記判断基準値を設定するための画面を表示する指示を示す信号を受信すると(ステップ♯21でYES)、該画面を表示部39に表示させる(ステップ♯22)。そして、表示制御部53は、該画面において、判断基準値が設定されると(ステップ♯23でYES)、判断基準値記憶部45は、この判断基準値を記憶する(ステップ♯24)。
そして、読取制御部50は、操作部36から画像形成指示を示す信号を受信するまで、ステップ♯21〜♯25の処理を実施し(ステップ♯25でNO)、操作部36から画像形成指示を示す信号を受信すると(ステップ♯25でYES)、判断基準値記憶部45に記憶された判断基準値にしたがって、図8に示すステップ♯2以降の処理を実施する。
このように、前記各判断パラメータについての判断基準値をユーザが変更できるようにしたので、筋状の画像が用紙に形成されるのを防止するべく画像読取動作を中断するレベルをユーザが調整することができる。なお、筋状の画像の長さについての判断基準値として、具体的な筋状の画像の長さに係る値が設定可能に構成されてもよい。また、前記各パラメータの判断基準値は、適宜変更可能である。