図7に示した構成の発光装置では、LEDチップ1で発生した熱がサーマルビア26を伝熱経路としてベース基板20の裏面側へ伝熱されるが、一部は当該ベース基板20、配光用基板30を介して光検知基板40の光検知部4にも伝熱されてしまうので、LEDチップ1の温度上昇に起因して光検知部4の温度が上昇し、光検知部4の温度特性により当該光検知部4の出力が変動してしまう。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、LEDチップから放射される光を検知するフォトダイオードからなる光検知部がパッケージに一体に設けられた構成を採用しながらも、LEDチップの温度上昇に起因した光検知部の出力変動を抑制することが可能な発光装置およびその製造方法を提供することにある。
請求項1の発明は、LEDチップと、半導体材料により形成され前記LEDチップが収納されるパッケージとを備え、前記LEDチップから放射される光を検知するフォトダイオードからなる光検知部が前記パッケージに一体に設けられた発光装置であって、前記パッケージに前記LEDチップから前記光検知部への熱伝導を阻止する熱絶縁部を設けてなり、前記パッケージは、前記半導体材料からなる第1の半導体基板を用いて形成され前記LEDチップが実装されるベース基板と、前記半導体材料からなる第2の半導体基板を用いて形成されて前記ベース基板に接合され前記LEDチップから放射された光の配光を制御する配光用基板と、前記半導体材料からなる第3の半導体基板を用いて形成されて前記配光用基板に接合され前記光検知部が設けられた光検知基板とを有し、前記光検知基板における前記配光用基板との接合部と前記光検知部との間に前記熱絶縁部を設けてなることを特徴とする。
この発明によれば、半導体材料により形成されLEDチップが収納されるパッケージに前記LEDチップから光検知部への熱伝導を阻止する熱絶縁部を設けてあるので、前記LEDチップから放射される光を検知するフォトダイオードからなる前記光検知部が前記パッケージに一体に設けられた構成を採用しながらも、前記LEDチップの温度上昇に起因した前記光検知部の出力変動を抑制することが可能になる。また、この発明によれば、前記パッケージは、前記半導体材料からなる第1の半導体基板を用いて形成され前記LEDチップが実装されるベース基板と、前記半導体材料からなる第2の半導体基板を用いて形成されて前記ベース基板に接合され前記LEDチップから放射された光の配光を制御する配光用基板と、前記半導体材料からなる第3の半導体基板を用いて形成されて前記配光用基板に接合され前記光検知部が設けられた光検知基板とを有し、前記光検知基板における前記配光用基板との接合部と前記光検知部との間に前記熱絶縁部を設けてあるので、前記光検知部への熱伝達をより抑制することが可能になる。
本願の別の発明は、LEDチップと、半導体材料により形成され前記LEDチップが収納されるパッケージとを備え、前記LEDチップから放射される光を検知するフォトダイオードからなる光検知部が前記パッケージに一体に設けられた発光装置であって、前記パッケージに前記LEDチップから前記光検知部への熱伝導を阻止する熱絶縁部を設けてなり、前記パッケージは、前記半導体材料からなる第1の半導体基板を用いて形成され前記LEDチップが実装されるベース基板と、前記半導体材料からなる第2の半導体基板を用いて形成されて前記ベース基板に接合され前記LEDチップから放射された光の配光を制御する配光用基板と、前記半導体材料からなる第3の半導体基板を用いて形成されて前記配光用基板に接合され前記光検知部が設けられた光検知基板とを有し、前記ベース基板に前記熱絶縁部を設けるとともに、前記ベース基板において前記LEDチップが搭載されるチップ搭載部と前記熱絶縁部との間に前記ベース基板の厚み方向に貫通し前記LEDチップに熱結合されるサーマルビアを設けてなることを特徴とする。
上記別の発明によれば、半導体材料により形成されLEDチップが収納されるパッケージに前記LEDチップから光検知部への熱伝導を阻止する熱絶縁部を設けてあるので、前記LEDチップから放射される光を検知するフォトダイオードからなる前記光検知部が前記パッケージに一体に設けられた構成を採用しながらも、前記LEDチップの温度上昇に起因した前記光検知部の出力変動を抑制することが可能になる。また、上記別の発明によれば、ベース基板において前記LEDチップが搭載されるチップ搭載部と前記熱絶縁部との間に当該ベース基板の厚み方向に貫通し前記LEDチップに熱結合されるサーマルビアを設けてあるので、前記LEDチップで発生した熱をサーマルビアから集中的に放熱させることができ、前記光検知部の温度上昇をより抑制できる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記熱絶縁部は、前記第3の半導体基板の厚み方向に貫設されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記LEDチップから前記光検知部への熱伝達をより一層抑制することができる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記熱絶縁部は、ポリイミドにより形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記熱絶縁部の材料がポリイミドであるので、半導体プロセスやMEMSプロセスとの整合性が良く、半導体プロセスやMEMSプロセスでの製造が容易になる。
請求項4の発明は、請求項2記載の発光装置の製造方法であって、前記熱絶縁部の形成にあたっては、前記第3の半導体基板における前記熱絶縁部の形成予定領域を前記第3の半導体基板の一表面側からエッチングすることにより前記熱絶縁部の形成予定領域に凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部に前記半導体材料に比べて熱伝導率の低い熱絶縁材料を埋め込んで熱絶縁材料部を形成する熱絶縁材料埋込工程と、前記第3の半導体基板を他表面側からエッチングして前記熱絶縁材料部を露出させることにより前記熱絶縁材料部からなる前記熱絶縁部を形成するエッチング工程とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、前記第3の半導体基板の一表面に凹部を形成してから、前記凹部に熱絶縁材料を埋め込んで熱絶縁材料部を形成し、その後、前記第3の半導体基板を他表面側からエッチングすることで前記第3の半導体基板の厚み方向に貫通する前記熱絶縁部を形成することができるので、前記第3の半導体基板において前記熱絶縁部を挟む両側の領域が前記熱絶縁部により分離された構造を容易に実現でき、前記LEDチップから放射される光を検知する前記フォトダイオードからなる前記光検知部が前記パッケージに一体に設けられた構成を採用しながらも、前記LEDチップの温度上昇に起因した前記光検知部の出力変動を抑制することが可能な発光装置を提供できる。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記凹部形成工程と前記熱絶縁材料埋込工程との間に、前記第3の半導体基板に配線を形成する配線形成工程を備えることを特徴とする。
この発明によれば、前記第3の半導体基板において前記熱絶縁部を挟む両側の領域が前記熱絶縁部により分離される前に当該両側の領域間に配線を形成することが可能になる。
請求項1の発明では、LEDチップから放射される光を検知するフォトダイオードからなる光検知部がパッケージに一体に設けられた構成を採用しながらも、前記LEDチップの温度上昇に起因した前記光検知部の出力変動を抑制することが可能になるという効果がある。
請求項4の発明では、LEDチップから放射される光を検知するフォトダイオードからなる光検知部がパッケージに一体に設けられた構成を採用しながらも、前記LEDチップの温度上昇に起因した前記光検知部の出力変動を抑制することが可能な発光装置を提供できるという効果がある。
(実施形態1)
以下、本実施形態の発光装置について図1および図2に基づいて説明する。
本実施形態の発光装置は、可視光(例えば、赤色光、緑色光、青色光など)を放射する1つのLEDチップ1と、LEDチップ1を収納する収納凹所2aが一表面に形成され収納凹所2aの内底面にLEDチップ1が実装されたパッケージ(実装基板)2と、パッケージ2の上記一表面側において収納凹所2aを閉塞する形でパッケージ2に固着された透光性部材3と、パッケージ2に設けられLEDチップ1から放射された光を検出するフォトダイオードからなる光検出部4と、パッケージ2の収納凹所2aに充填された透光性の封止材(例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ガラスなど)からなりLEDチップ1および当該LEDチップ1に接続されたボンディングワイヤ14(図2参照)を封止した封止部5と備えている。なお、透光性部材3は、必ずしも設けなくてもよく、必要に応じて適宜設ければよい。
ここにおいて、パッケージ2は、半導体材料であるシリコンからなる第1のシリコン基板20aを用いて形成されLEDチップ1が実装されるベース基板20と、第2のシリコン基板30aを用いて形成されてベース基板20に接合されLEDチップ1から放射された光の配光を制御する配光用基板30と、第3のシリコン基板40aを用いて形成されて配光用基板30に接合され光検知部4が設けられた光検知基板40とを有している。要するに、パッケージ2は、半導体材料であるシリコンにより形成されている。なお、本実施形態では、第1のシリコン基板20aが第1の半導体基板を構成し、第2のシリコン基板30aが第2の半導体基板を構成し、第3のシリコン基板40aが第3の半導体基板を構成している。
パッケージ2は、ベース基板20、配光用基板30および光検知基板40それぞれの外周形状が矩形状であり、配光用基板30の中央部に矩形状の開口窓31が形成され、光検知基板40の中央部に円形状の光取出窓41が形成されるとともに光取出窓41の周部に光検知部4が形成されており、ベース基板20と配光用基板30と光検知基板40とで囲まれた空間が上記収納凹所2aを構成している。ここにおいて、配光用基板30および光検知基板40はベース基板20と同じ外形寸法に形成されている。また、光検知基板40の厚み寸法はベース基板20および配光用基板30の厚み寸法に比べて小さく設定されている。
上述のベース基板20、配光用基板30、光検知基板40は、それぞれ、導電形がn形で主表面が(100)面のシリコン基板20a,30a,40aを用いて形成してあり、配光用基板30の内側面が、アルカリ系溶液(例えば、TMAH溶液、KOH溶液など)を用いた異方性エッチングにより形成された(111)面により構成されており(つまり、配光用基板30は、開口窓31の開口面積がベース基板20から離れるにつれて徐々に大きくなっており)、LEDチップ1から放射された光を前方へ反射するミラー2dを構成している。
ベース基板20は、第1のシリコン基板20aの一表面側(図1(a)における上面側)に、LEDチップ1の両電極それぞれと電気的に接続される2つの導体パターン25a,25aが形成されるとともに、配光用基板30に形成された後述の2つの貫通孔配線34,34を介して光検知部4と電気的に接続される2つの導体パターン25b,25bが形成されており、各導体パターン25a,25a,25b,25bと第1のシリコン基板20aの他表面側(図1(a)における下面側)に形成された4つの外部接続用電極27a,27a,27b,27bとがそれぞれ貫通孔配線24を介して電気的に接続されている。また、ベース基板20は、第1のシリコン基板20aの上記一表面側に、配光用基板30と接合するための接合用金属層29も形成されている。
本実施形態におけるLEDチップ1は、結晶成長用基板として導電性基板を用い厚み方向の両面に電極(図示せず)が形成された可視光LEDチップである。そこで、ベース基板20は、LEDチップ1が電気的に接続される2つの導体パターン25a,25aのうちの一方の導体パターン25aを、LEDチップ1がダイボンディングされる矩形状のダイパッド部25aaと、ダイパッド部25aaに連続一体に形成され貫通孔配線24との接続部位となる引き出し配線部25abとで構成してある。要するに、LEDチップ1は、上記一方の導体パターン25aのダイパッド部25aaにダイボンディングされており、ダイパッド部25aa側の電極がダイパッド部25aaに接合されて電気的に接続され、光取り出し面側の電極がボンディングワイヤ14を介して他方の導体パターン25aと電気的に接続されている。
また、ベース基板20は、第1のシリコン基板20aの上記他表面側に、第1のシリコン基板20aよりも熱伝導率の高い金属材料からなる矩形状の放熱用パッド部28が形成されており、ダイパッド部25aaと放熱用パッド部28とが第1のシリコン基板20aよりも熱伝導率の高い金属材料(例えば、Cuなど)からなる複数(本実施形態では、9つ)の円柱状のサーマルビア26を介して熱的に結合されており、LEDチップ1で発生した熱が各サーマルビア26および放熱用パッド部28を介して放熱されるようになっている。
ところで、ベース基板20は、第1のシリコン基板20aに、上述の4つの貫通孔配線24それぞれが内側に形成される4つの貫通孔22aと、上述の9つのサーマルビア26それぞれが内側に形成される9つの貫通孔22bとが厚み方向に貫設され、第1のシリコン基板20aの上記一表面および上記他表面と各貫通孔22a,22bの内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成されており、各導体パターン25a,25a,25b,25b、接合用金属層29、各外部接続用電極27a,27a,27b,27b、放熱用パッド部28、各貫通孔配線24および各サーマルビア26が第1のシリコン基板20aと電気的に絶縁されている。
ここにおいて、各導体パターン25a,25a,25b,25b、接合用金属層29、各外部接続用電極27a,27a,27b,27b、放熱用パッド部28は、絶縁膜23上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されており、同時に形成してある。なお、本実施形態では、絶縁膜23上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。また、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と絶縁膜23との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。また、貫通孔配線24およびサーマルビア26の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
配光用基板30は、第2のシリコン基板30aの一表面側(図1(a)における下面側)に、ベース基板20の2つの導体パターン27b,27bと接合されて電気的に接続される2つの導体パターン35,35が形成されるとともに、ベース基板20の接合用金属層29と接合される接合用金属層36が形成されている。また、配光用基板30は、第2のシリコン基板30aの他表面側(図1(a)における上面側)に、貫通孔配線34,34を介して導体パターン35,35と電気的に接続される導体パターン37,37が形成されるとともに、光検知基板40と接合するための接合用金属層38が形成されている。
また、配光用基板30は、上述の2つの貫通孔配線34それぞれが内側に形成される2つの貫通孔32が第2のシリコン基板30aの厚み方向に貫設され、第2のシリコン基板30aの上記一表面および上記他表面と各貫通孔32の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜33が形成されており、各導体パターン35,35,37,37および各接合用金属層36,38が第2のシリコン基板30aと電気的に絶縁されている。ここにおいて、各導体パターン35,35,37,37および各接合用金属層36,38は、絶縁膜33上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されており、同時に形成してある。なお、本実施形態では、絶縁膜33上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と絶縁膜33との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。また、貫通孔配線34の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
光検知基板40は、第3のシリコン基板40aの一表面側(図1(a)における下面側)に、配光用基板30の2つの導体パターン37,37と接合されて電気的に接続される2つの導体パターン47a,47bが形成されるとともに、配光用基板30の接合用金属層38と接合される接合用金属層48が形成されている。ここにおいて、光検知部4は、上述のようにフォトダイオードにより構成されており、光検知基板40に形成された2つの導体パターン47a,47bの一方の導体パターン47a(図1(a)における右側の導体パターン47a)は、光検知部4を構成するフォトダイオードのp形領域4aに電気的に接続され、他方の導体パターン47b(図1(a)における左側の導体パターン47b)は、上記フォトダイオードのn形領域4bを構成する第3のシリコン基板40aに電気的に接続されている。
また、光検知基板40は、第3のシリコン基板40aの上記一表面側にシリコン酸化膜からなる絶縁膜43が形成されており、当該絶縁膜43がフォトダイオードの反射防止膜を兼ねている。また、光検知基板40は、上記一方の導体パターン47aが、絶縁膜43に形成したコンタクトホール43aを通してp形領域4aと電気的に接続され、上記他方の導体パターン47bが絶縁膜43に形成したコンタクトホール43bを通してn形領域4bと電気的に接続されている。ここにおいて、各導体パターン47a,47bおよび接合用金属層48は、絶縁膜43上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されており、同時に形成してある。なお、本実施形態では、絶縁膜43上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と絶縁膜43との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。
また、上述の透光性部材3は、透光性材料(例えば、シリコーン、アクリル樹脂、ガラスなど)からなる透光性基板を用いて形成してある。ここで、透光性部材3は、パッケージ2と同じ外周形状の矩形板状に形成されており、パッケージ2側とは反対の光取り出し面に、LEDチップ1から放射された光の全反射を抑制する微細凹凸構造が形成されている。ここにおいて、透光性部材3の光取り出し面に形成する微細凹凸構造は、多数の微細な凹部が2次元周期構造を有するように形成されている。なお、上述の微細凹凸構造は、例えば、レーザ加工技術やエッチング技術やインプリントリソグラフィ技術などを利用して形成すればよい。また、微細凹凸構造の周期は、LEDチップ1の発光ピーク波長の1/4〜100倍程度の範囲で適宜設定すればよい。
上述の発光装置の製造にあたっては、例えば、光検知部4、絶縁膜43、各導体パターン47a,47b、および接合用金属層48が形成された第3のシリコン基板40aと配光用基板30とを接合する第1の接合工程を行った後、第3のシリコン基板40aを所望の厚みまで研磨する研磨工程を行い、その後、誘導結合プラズマ(ICP)型のドライエッチング装置などを用いて第3のシリコン基板40aに光取出窓41を形成する光取出窓形成工程を行うことで光検知基板40を完成させてから、LEDチップ1が実装されたベース基板20と配光用基板30とを接合する第2の接合工程を行うことによりパッケージ2を完成させ、続いて、パッケージ2の収納凹所2aに封止材を充填して封止部5を形成する封止部形成工程、封止部形成工程の後でパッケージ2と透光性部材3とを接合する第3の接合工程を行うようにすればよい。ここにおいて、第1の接合工程、第2の接合工程では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温下で直接接合する常温接合法を採用しているが、常温接合法に限らず、AuSnや半田などの低融点共晶材料を用いた接合法を採用してもよい。
上述の第1の接合工程では、第3のシリコン基板40aの接合用金属層48と配光用基板30の接合用金属層38とが接合されるとともに、第3のシリコン基板40aの導体パターン47a,47bと配光用基板30の導体パターン37,37とが接合され電気的に接続される。ここで、導体パターン47a,47bと導体パターン37,37との接合部位は、貫通孔配線34に重なる領域からずらしてあるので、導体パターン47a,47bと導体パターン37,37との互いの接合面の平坦度を高めることができ、特に常温接合法により接合する際の接合歩留まりを高めることができるとともに接合信頼性を高めることができる。また、上述の第2の接合工程では、ベース基板20の接合用金属層29と配光用基板30の接合用金属層36とが接合されるとともに、ベース基板20の導体パターン25b,25bと配光用基板30の導体パターン35,35とが接合され電気的に接続される。ここで、導体パターン25b,25bと導体パターン35,35との接合部位は、貫通孔配線24に重なる領域および貫通孔配線34に重なる領域からずらしてあるので、導体パターン25b,25bと導体パターン35,35との互いの接合面の平坦度を高めることができ、特に常温接合法により接合する際の接合歩留まりを高めることができるとともに接合信頼性を高めることができる。
また、本実施形態の発光装置の製造にあたっては、上述の各シリコン基板20a,30a,40aとして、それぞれベース基板20、配光用基板30、光検知基板40を多数形成可能なシリコンウェハを用いるとともに、上述の透光性基板として透光性部材3を多数形成可能なウェハ状のもの(透光性ウェハ)を用い、上述の第1の接合工程、研磨工程、第2の接合工程、光取出窓形成工程、第2の接合工程、封止部形成工程、第3の接合工程などの各工程をウェハレベルで行うことでウェハレベルパッケージ構造体を形成してから、ダイシング工程によりパッケージ2のサイズに分割されている。したがって、ベース基板20と配光用基板30と光検知基板40と透光性部材3とが同じ外形サイズとなり、小型のパッケージ2を実現できるとともに、製造が容易になる。また、配光用基板30におけるミラー2dと光検知基板40における光検知部4との相対的な位置精度を高めることができ、LEDチップ1から側方へ放射された光がミラー2dにより反射されて光検知部4へ導かれる。
ところで、本実施形態の発光装置は、上述のパッケージ2に、LEDチップ1から光検知部4への熱伝導を阻止する熱絶縁部6をベース基板20の厚み方向に貫設してある。ここにおいて、熱絶縁部6は、上記半導体材料であるシリコンに比べて熱伝導率が低く且つ電気絶縁性を有する熱絶縁性材料であるポリイミドにより形成されている。また、本実施形態の発光装置では、ベース基板20においてLEDチップ1が搭載されるチップ搭載部であるダイパッド部25aaと熱絶縁部6との間に、LEDチップ1に熱結合される上述のサーマルビア26が位置するように熱絶縁部6の位置を設定してあり、熱絶縁部6の平面視形状を枠状(矩形枠状)としてある。なお、熱絶縁部6の熱絶縁性材料としては、熱伝導率がシリコンの約1/1000であるポリイミドを採用しているが、ポリイミドに限らず、例えば、フッ素系樹脂などを採用してもよい。
また、本実施形態の発光装置では、パッケージ2のベース基板20にLEDチップ1と熱結合するサーマルビア26を設けてあるので、LEDチップ1で発生した熱を効率よく外部へ逃がすことができ、
以上説明した本実施形態の発光装置によれば、上記半導体材料により形成されLEDチップ1が収納されるパッケージ2にLEDチップ1から光検知部4への熱伝導を阻止する熱絶縁部6を設けてあるので、LEDチップ1から放射される光を検知するフォトダイオードからなる光検知部4がパッケージ2に一体に設けられた構成を採用しながらも、LEDチップ1の温度上昇に起因した光検知部4の出力変動を抑制することが可能になる。
また、本実施形態の発光装置では、ベース基板20においてLEDチップ1が搭載されるダイパッド部25aaと熱絶縁部6との間に当該ベース基板20の厚み方向に貫通しLEDチップ1に熱結合されるサーマルビア26を設けてあるので、LEDチップ1で発生した熱をサーマルビア26から集中的に放熱させることができ、LEDチップ1のジャンクション温度の温度上昇を抑制できて光出力の高出力化を図れるとともに、光検知部4の温度上昇をより抑制できる。
また、本実施形態の発光装置では、熱絶縁部6の材料(上記熱絶縁材料)としてポリイミドを採用しているので、半導体プロセスやMEMSプロセスとの整合性が良く、半導体プロセスやMEMSプロセスでの製造が容易になる。なお、本実施形態では、ベース基板20の形成にあたって、第1のシリコン基板20aに貫通孔22を形成する貫通孔形成工程において、熱絶縁部6の形成予定領域に熱絶縁用孔を貫通孔22と同時に形成し、絶縁膜23を形成する絶縁膜形成工程において、熱絶縁用孔の内周面にも絶縁膜23を形成するようにし、貫通孔22の内側に貫通孔配線24を形成する貫通孔配線形成工程を行った後、例えばスピンコート法などにより熱絶縁用孔の内側にポリイミドを埋め込んで硬化させることにより熱絶縁部6を形成する熱絶縁部形成工程を行うようにすればよい。
ところで、図3に示すように熱絶縁部6をベース基板20の厚み方向において所定深さまで設けるようにしてもよいが、LEDチップ1で発生した熱の主伝熱経路はベース基板20の厚み方向なので、図1および図2に示した発光装置のように熱絶縁部6を第1のシリコン基板20aの厚み方向に貫設した構成の方が、LEDチップ1から光検知部4への熱伝達をより一層抑制することができる。
また、本実施形態の発光装置は、パッケージ2に光検知部4が設けられているので、例えば、LEDチップ1として赤色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として緑色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として青色LEDチップを採用した発光装置とを同一の回路基板上に近接して配置して、当該回路基板に各発光装置のLEDチップ1を駆動する駆動回路部と、各光検知部4により検出される光強度がそれぞれの目標値に保たれるように駆動回路部から各発光色のLEDチップ1に流れる電流をフィードバック制御する制御回路部などを設けておくことにより、各光検知部4それぞれの出力に基づいて各発光色のLEDチップ1の光出力を各別に制御することができ、各発光色ごとのLEDチップ1の光出力の経時変化の違いなどによらず混色光(ここでは、白色光)の光色や色温度の精度を向上することができる。要するに、所望の混色光を安定して得ることができる。
(実施形態2)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態1と略同じであり、図4に示すように、光検知基板40における配光用基板30との接合部(接合用金属層48、導体パターン47a,47b)と光検知部4との間に熱絶縁部6を設けてある点が相違するだけである。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態の発光装置では、光検知基板40における配光用基板30との接合部と光検知部4のpn接合部との間に熱絶縁部6を設けてあるので、光検知部4のp形領域4aおよびpn接合部への熱伝達をより抑制することが可能になる。なお、本実施形態の発光装置において、熱絶縁部6を光検知基板40の厚み方向において所定深さまで設けるようにしてもよいが、熱絶縁部6を第3のシリコン基板40aの厚み方向に貫設した構成の方が、LEDチップ1から光検知部4のp形領域4aおよびpn接合部への熱伝達をより一層抑制することができる。
ところで、本実施形態の発光装置の製造時において、熱絶縁部6の形成にあたっては、例えば、第3のシリコン基板40aにおける熱絶縁部6の形成予定領域を第3のシリコン基板40aの一表面側からエッチングすることにより熱絶縁部6の形成予定領域に凹部66を形成する凹部形成工程を行い(図5(a))、その後、凹部66に上記半導体材料に比べて熱伝導率の低い上記熱絶縁材料であるポリイミドをスピンコート法などにより埋め込んで熱絶縁材料部6aを形成する熱絶縁材料埋込工程を行い(図5(b))、第3のシリコン基板40aを他表面側からエッチングして熱絶縁材料部6aを露出させることにより当該熱絶縁材料部6aからなる熱絶縁部6を形成するエッチング工程を行えばよい(図5(c))。
本実施形態の発光装置の製造方法において、上述の熱絶縁部6の形成方法を採用すれば、第3のシリコン基板40aの一表面に凹部66を形成してから、当該凹部66に上記熱絶縁材料を埋め込んで熱絶縁材料部6aを形成し、その後、第3のシリコン基板40aを他表面側からエッチングする(薄肉化する)ことで第3のシリコン基板40aの厚み方向に貫通する熱絶縁部6を形成することができるので、第3のシリコン基板40aにおいて熱絶縁部6を挟む両側の領域が熱絶縁部6により分離された構造を容易に実現でき、LEDチップ1から放射される光を検知するフォトダイオードからなる光検知部4がパッケージ2に一体に設けられた構成を採用しながらも、LEDチップ1の温度上昇に起因した光検知部4の出力変動を抑制することが可能な発光装置を提供できる。なお、この熱絶縁部6の形成方法を実施形態1の発光装置のベース基板20における熱絶縁部6の形成方法に適用してもよい。
また、上述の凹部形成工程においてアルカリ系溶液(KOH溶液、TMAH溶液など)を用いた異方性エッチングによりテーパ状の凹部66を形成し(図6(a))、熱絶縁材料埋込工程の前に、絶縁膜43を形成する絶縁膜形成工程、第3のシリコン基板40aに配線(導体パターン47a,47b)を薄膜形成技術(スパッタ法)、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術などを利用して形成する配線形成工程を順次行い(図6(b))、その後、上記熱絶縁材料であるポリイミドをスピンコート法などにより埋め込んで熱絶縁材料部6aを形成する熱絶縁材料埋込工程を行い(図6(c))、続いて、第3のシリコン基板40aを他表面側からエッチングして熱絶縁材料部6aを露出させることにより当該熱絶縁材料部6aからなる熱絶縁部6を形成するエッチング工程を行うようにしてもよく(図6(d))、このような形成方法を採用すれば、第3のシリコン基板40aにおいて熱絶縁部6を挟む両側の領域が熱絶縁部6により分離される前に当該両側の領域間に上記配線を形成することが可能になる。なお、この熱絶縁部6の形成方法を実施形態1の発光装置のベース基板20における熱絶縁部6の形成方法に適用してもよい。
ところで、上記各実施形態におけるLEDチップ1としては、例えば、結晶成長用基板の主表面側に発光部などをエピタキシャル成長した後に発光部を支持する導電性基板(例えば、Si基板など)を発光部に固着してから、結晶成長用基板などを除去したものを用いてもよい。