しかし、上記のような幼児用座席200では、シート本体204の底面部の下部に配置されたハンドル中心軸202Aを傾動軸としてシート本体204が傾動可能となっており、ハンドル中心軸202Aより上方側に配置されたチルトツマミ軸214をチルト板210のチルトツマミ軸挿入孔216に挿入することによりシート本体204を固定している。チルトツマミ軸214は、ハンドル中心軸202Aに対して上方の後方側に位置しているため、シート本体204が後方側に回転しやすい。このため、チルトツマミ軸214によりシート本体204を固定するときに強い固定力が必要となり、チルトツマミ軸214にかかる負荷が大きくなり、改善の余地がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、リクライニング可能な子供乗せ装置を所定の位置で大きな負荷をかけずに固定できる子供乗せ装置及び二輪車を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、二輪車本体に取り付けられた子供乗せ装置であって、子供が着席可能な座部と、前記座部の後方側に立設された背凭れ部と、前記座部の両サイドに立設された側面部と、を備えた子供乗せ装置本体と、前記二輪車本体に設けられ、前記側面部に前記子供乗せ装置本体をリクライニング可能に支持する回転軸と、を有し、前記回転軸は、二輪車本体に設けられたハンドルバーの立ち上がり部に支持されていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明では、子供乗せ装置本体に座部と、座部の後方側の背凭れ部と、座部の両サイドの側面部と、を備えており、子供が座部に着席したときに、背凭れ部に背中をもたせかけることができる。二輪車本体には、側面部に子供乗せ装置本体をリクライニング可能に支持する回転軸が設けられており、回転軸を中心に子供乗せ装置本体がリクライニングされる。これにより、幼児が眠るときなど状況に応じて背凭れ部を後方側へリクライニングさせることができ、子供の乗車姿勢が安定化する。また、子供乗せ装置本体をリクライニング可能に支持する回転軸は子供乗せ装置本体の側面部中央付近に設けられている。従って、回転軸が中央付近に位置したことにより二輪車の諸動作に付随する慣性等による子供乗せ装置本体の回転方向への固定力は、子供乗せ装置本体のその他の部位、例えば下部に回転軸を設けた場合などと比較して強い固定力を必要としない。すなわち、回転軸を子供乗せ装置本体の中央付近に配置したことにより、子供乗せ装置本体の全方位に渡って二輪車の諸動作に付随する慣性等による子供乗せ装置本体を回転させようとするモーメントの腕が短くなり、子供乗せ装置本体をより小さい固定力で固定できる。このため、子供乗せ装置本体を所定のリクライニング位置で大きな負荷をかけることなく固定することが可能となる。
また、回転軸は、二輪車本体に設けられたハンドルバーの立ち上がり部に支持されているので、回転軸を支持するための別部材が必要でなく、低コスト化が可能となる。
請求項2に記載の発明は、二輪車本体に取り付けられた子供乗せ装置であって、子供が着席可能な座部と、前記座部の後方側に立設された背凭れ部と、前記座部の両サイドに立設された側面部と、を備えた子供乗せ装置本体と、前記二輪車本体に設けられ、前記側面部に前記子供乗せ装置本体をリクライニング可能に支持する回転軸と、を有し、前記二輪車本体に取付けられ、前記座部をガイドするガイド部を有することを特徴としている。
請求項2に記載の発明では、子供乗せ装置本体に座部と、座部の後方側の背凭れ部と、座部の両サイドの側面部と、を備えており、子供が座部に着席したときに、背凭れ部に背中をもたせかけることができる。二輪車本体には、側面部に子供乗せ装置本体をリクライニング可能に支持する回転軸が設けられており、回転軸を中心に子供乗せ装置本体がリクライニングされる。これにより、幼児が眠るときなど状況に応じて背凭れ部を後方側へリクライニングさせることができ、子供の乗車姿勢が安定化する。また、子供乗せ装置本体をリクライニング可能に支持する回転軸は子供乗せ装置本体の側面部中央付近に設けられている。従って、回転軸が中央付近に位置したことにより二輪車の諸動作に付随する慣性等による子供乗せ装置本体の回転方向への固定力は、子供乗せ装置本体のその他の部位、例えば下部に回転軸を設けた場合などと比較して強い固定力を必要としない。すなわち、回転軸を子供乗せ装置本体の中央付近に配置したことにより、子供乗せ装置本体の全方位に渡って二輪車の諸動作に付随する慣性等による子供乗せ装置本体を回転させようとするモーメントの腕が短くなり、子供乗せ装置本体をより小さい固定力で固定できる。このため、子供乗せ装置本体を所定のリクライニング位置で大きな負荷をかけることなく固定することが可能となる。
また、二輪車本体にガイド部が取付けられており、子供乗せ装置本体がリクライニングされるときにガイド部によって座部がガイドされる。このため、子供乗せ装置本体をスムーズにリクライニングさせることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の子供乗せ装置において、前記ガイド部は、前記座部の上下面に挟み、かつ前記座部を摺動自在としたことを特徴としている。
請求項3に記載の発明では、ガイド部は、座部の上下面に挟み、かつ座部を摺動自在としたので、背凭れ部をリクライニングさせるときに座部の上下面がガイド部によってガイドされ、座部がガイド部に沿ってスムーズに摺動する。このため、子供乗せ装置本体をより一層スムーズにリクライニングさせることができ、子供乗せ装置本体のガタツキなどが抑制される。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の子供乗せ装置において、前記座部の下部に、前記子供乗せ装置本体を所定のリクライニング位置で固定する固定手段を設けたことを特徴としている。
請求項4に記載の発明では、座部の下部に設けられた固定手段により子供乗せ装置本体が所定のリクライニング位置で固定される。このため、子供乗せ装置本体を所定のリクライニング位置で固定手段に大きな負荷をかけることなく固定することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の子供乗せ装置において、前記固定手段は、前記座部の下部に設けられたブラケットと、前記二輪車本体に取付けられた取付部に設けられた軸部と、前記ブラケットに形成されると共に、前記回転軸を中心とする円弧状に形成され、前記軸部に挿入される長孔と、前記ブラケットを任意の位置で前記軸部にロックするロック手段と、を有することを特徴としている。
請求項5に記載の発明では、座部の下部にブラケットが設けられており、ブラケットには、回転軸を中心とする円弧状の長孔が形成されている。二輪車本体に取付けられた取付部には軸部が設けられており、軸部にブラケットの長孔が挿入されている。これにより、子供乗せ装置本体がリクライニングしたときに、軸部にブラケットの長孔が挿入された状態で、ブラケットが揺動する。そして、ロック手段によって、ブラケットが任意の位置で軸部にロックされる。このように座部の下部に設けられたブラケットをロック手段により軸部にロックすることで、より小さい固定力で子供乗せ装置本体を固定することができる。
請求項6に記載の発明に係る二輪車は、二輪車本体に請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の子供乗せ装置が取り付けられていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明に係る二輪車では、二輪車本体に請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の子供乗せ装置が取り付けられているので、側面部を支持する回転軸によって、子供乗せ装置本体が前後方向にリクライニングされる。回転軸は子供乗せ装置本体の前後方向における中央付近に位置しているので、二輪車の諸動作に付随する慣性等による子供乗せ装置本体の回転方向への固定力は、子供乗せ装置本体の下部に回転軸を設けた場合と比較して強い固定力を必要としない。このため、子供乗せ装置本体の背凭れ部を所定のリクライニング位置で大きな負荷をかけることなく固定することができる。
請求項1の発明に係る子供乗せ装置では、子供乗せ装置本体を所定のリクライニング位置に固定する為の固定力を低減させることができる。また、ハンドルバーに回転軸を設けることで、回転軸を支持するための別部材が必要でなくなり、低コスト化を実現できる。
請求項2の発明に係る子供乗せ装置では、子供乗せ装置本体を所定のリクライニング位置に固定する為の固定力を低減させることができる。また、ガイド部で座部をガイドすることにより、子供乗せ装置本体の背凭れ部をスムーズにリクライニングさせることができる。
請求項3の発明に係る子供乗せ装置では、リクライニングさせるときに子供乗せ装置本体のガタツキを抑制し、子供乗せ装置本体を安定状態でベース部に固定することができる。
請求項4の発明に係る子供乗せ装置では、子供乗せ装置本体を所定のリクライニング位置で固定手段に大きな負荷をかけることなく固定することができる。
請求項5の発明に係る子供乗せ装置では、座部の下部に設けられたブラケットをロック手段により軸部にロックすることで、より小さい固定力で子供乗せ装置本体を固定することができる。
請求項6の発明に係る二輪車では、子供乗せ装置本体の背凭れ部を所定のリクライニング位置で大きな負荷をかけることなく固定することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態であるバスケットを兼用した子供乗せバスケット10が取り付けられた二輪車1が示されている。
二輪車1には、前輪3側にヘッドパイプ2が配設されている。ヘッドパイプ2の上部には、子供乗せバスケット10に設けられた子供乗せバスケット本体12の下部が取付金具4によって固定支持されている。ヘッドパイプ2の上部には、ハンドルバー6が子供乗せバスケット本体12の両側に略逆L字状に延びるように配設されている。
図2〜図4に示されるように、子供乗せバスケット本体12は、子供が着席可能な座部12Aと、この座部12Aの後方部に斜め後方側へ傾斜するように立設された背凭れ部12Bと、この背凭れ部12Bから座部12Aの両サイドを囲むように連続して立設された側面部12Cと、両サイドの側面部12Cの前方側に掛け渡された前面部12Eと、を備えている。座部12Aと背凭れ部12Bと側面部12Cと前面部12Eは連続した湾曲面を形成するように一体的に設けられている。前面部12Eと座部12Aとの間には、座部12Aに子供が着席したときに脚部が挿通される開口部12Fが設けられている(図3を参照)。
座部12Aの前方側には、開口部12Fと対向する位置に、子供の足が置載される足載せ部14が設けられている。座部12Aの前方下部には斜め下方側に傾斜するようにベース部材16が配設されており、ベース部材16に沿って足載せ部14がスライド可能となっている。足載せ部14の後方側の両サイドには、足載せ部14の高さを調整するための調整ツマミ18が設けられている。調整ツマミ18は、ロック位置とロック解除位置に回動可能となっており、調整ツマミ18をロック位置に回動させることで足載せ部14が所定の位置でベース部材16に固定され、調整ツマミ18をロック解除位置に回動させることで足載せ部14をベース部材16に沿ってスライドさせることができる。座部12Aの前端部と前面部12Eの下部との間には、開口部12Fに跨るように補強用の連結部材50が設けられている。
子供乗せバスケット本体12の背凭れ部12Bの内側面(前方側の面)の上方部には、子供乗せバスケット本体12の内側面と一部が重なり合うようにヘッドガード20が配設されている。このヘッドガード20は、子供乗せバスケット本体12に着席した子供の頭部を保護するものであり、上下方向にスライド可能となっている。また、側面部12Cの前方側の上部には、前面部12Eの後方側に、子供が握ることができ、また子供の前方側をガードする握り部材22が掛け渡されている(図4を参照)。握り部材22を設けることで、子供が着座したときに握り部材22を握って自身の身体を支えることができ、子供に安心感を与えることができる。なお、図示を省略するが、握り部材22は両端部の軸部を支点として前後方向に回動可能に構成されている。
子供乗せバスケット10は、子供乗せバスケット本体12に子供が着席することができる椅子としての機能と、子供乗せバスケット本体12に荷物を入れることができる荷物籠としての機能とを兼用した構成となっている。すなわち、図3に示されるように、ベース部材16に沿って足載せ部14を下方側へスライドさせて所定位置で固定することにより、子供が子供乗せバスケット本体12の座部12Aに着席し、子供乗せバスケット本体12の開口部12Fに脚部を挿通させて足載せ部14に足を載置することができる。また、図4に示されるように、足載せ部14をベース部材16の最上部へスライドさせて固定することにより、開口部12Fが塞がり、子供乗せバスケット本体12内に荷物を入れることができる。
図2〜図4に示されるように、子供乗せバスケット本体12は、背凭れ部12Bの高さよりも側面部12Cの中間部後方側の高さが最も高く、側面部12Cの前方側の高さが徐々に低くなるように形成されている。また、側面部12Cよりも前面部12Eの高さが低くなるように形成されており、前面部12Eの上部には、凹状の湾曲面を有する凹状部13が形成されている。前面部12Eの上部における凹状部13の縁部には、剛性を有する透過性の樹脂で形成されたカウリング24が取り付けられている。カウリング24は、前面部12Eの上方側に突出するように設けられている。
ハンドルバー6の中央部6Aは、ヘッドパイプ2の上部の取付金具4に設けられたベース部72に固定支持されている。ハンドルバー6の中央部6Aの両側には、上下方向に沿って立ち上がり部6Bが形成されており、立ち上がり部6Bの上部が後方側へ折り曲げられて前後方向に沿って横部材6Cが形成されている。横部材6Cは、先端部が幅方向外側に張り出すと共に、横部材6Cの前方側に対して先端部がやや下方に傾斜している。横部材6Cの先端部にはグリップ7(図1参照)が装着されている。
図2及び図3に示されるように、ハンドルバー6の立ち上がり部6Bの上部側には、幅方向に沿って略水平に回転軸60が設けられており、回転軸60は、子供乗せバスケット本体12の側面部12Cの中央付近のやや上部寄りの位置をリクライニング可能に支持している。この回転軸60により、子供乗せバスケット本体12が前後方向にリクライニングされる構成となっている。
また、図5〜図7に示されるように、子供乗せバスケット10の下部には、回転軸60を中心に子供乗せバスケット本体12の座部12Aを前後方向にスライドさせるためのスライド装置70が配設されている。スライド装置70は、取付金具4に設けられた前述のベース部72と、ベース部72の上部に設けられ、座部12Aをスライド可能にガイドするガイド部74と、を備えている。ガイド部74は、ベース部72の上部に固定される板状の下方側ガイド部74Aと、下方側ガイド部74Aの上方に所定の間隔をおいて配置された板状の上方側ガイド部74Bと、で構成されている。下方側ガイド部74Aの上面部には、回転軸60を中心とする略同一半径の円弧状の湾曲面が形成されており、上面部の中央部には前後方向に沿って上方に突出する突出部74Cが形成されている。下方側ガイド部74Aは、突出部74Cの上方側から複数のボルト76を締結することによりベース部72に固定されている。
上方側ガイド部74Bの下面部には、回転軸60を中心とする略同一半径の円弧状の湾曲面が形成されている。上方側ガイド部74Bは、下方側ガイド部74Aの突出部74Cの上部に接触するように配置されることで、下方側ガイド部74Aの上面部と所定の間隔が保持されている。上方側ガイド部74Bは、上方側からボルト78を締結することにより下方側ガイド部74Aの突出部74Cに固定されている。
座部12Aの中央部には、下方側ガイド部74Aと上方側ガイド部74Bとの間に挟まれ、かつ摺動可能な摺動部80が形成されている。すなわち、摺動部80の上面部と下面部には、回転軸60を中心とする略同一半径の円弧状の湾曲面が形成されており、下方側ガイド部74Aと上方側ガイド部74Bとの間で摺動可能となっている。摺動部80の中央部には、前後方向に沿って下方側ガイド部74Aの突出部74Cが挿入される長孔80Aが形成されている。長孔80Aは、前後方向の長さが突出部74Cよりも長く形成されており、突出部74Cが長孔80Aに挿入された状態で座部12Aの摺動部80が下方側ガイド部74A及び上方側ガイド部74Bに対して前後方向に揺動可能となっている。
摺動部80の底面の前端部には、上方側ガイド部74Bの先端部が突き当たる壁部80Bが形成されており、子供乗せバスケット本体12を起こしたときに上方側ガイド部74Bの先端部が壁部80Bに突き当たるようになっている。また、摺動部80の底面の後端部には、下方側ガイド部74Aの後端部が突き当たる壁部80Cが形成されており、子供乗せバスケット本体12を後方側にリクライニングさせたときに下方側ガイド部74Aの後端部が壁部80Cに突き当たるようになっている。
図2及び図3に示されるように、子供乗せバスケット10の下部には、リクライニングさせたときに座部12Aを所定の位置で固定する固定装置84が配設されている。固定装置84は、座部12Aの底面部から下方側に突出するブラケット86が設けられている。ブラケット86は、前後方向に沿ってほぼ平行に1対の突片86A、86B(図9参照)を備えており、突片86A、86Bにはそれぞれ前後方向に沿って長孔88が形成されている。長孔88は、回転軸60を中心とする略同一半径の円弧状の孔からなり、座部12Aの揺動位置の前端部と後端部に合致した長さに形成されている。突片86Aの外側面の長孔88の両端部には、略円形状の凹部89が形成されている。
図8〜図10に示されるように、固定装置84は、更にベース部72に固定支持された略U字状の取付部90と、取付部90の対向する壁部90A、90Bに形成された孔90Cを貫通するように掛け渡された軸部92と、を備えている。壁部90A、90Bの外側面の間隔は、突片86A、86Bの内側面の間隔よりも若干短く設定されており、壁部90A、90Bの外側を突片86A、86Bが摺動可能となっている。軸部92は、突片86A、86Bの長孔88に挿通されており、突片86Aの外側には、軸部92の一端部に袋ナット93が螺合されている。軸部92の袋ナット93の軸方向内側には座金94が介挿されている。これにより、袋ナット93及び座金94と壁部90Bとの間に突片86Bが摺動可能に挟まれている。
軸部92の他端部(袋ナット93と反対側)には、軸方向と直交する方向に略T字状に円柱状のピン92Aが設けられている。ピン92Aにはロック手段としてのレバー96に形成された孔が挿通されており、レバー96がピン92Aを中心に回動可能となっている。
取付部90の壁部90Aの外側には突片86Aが配置されており、この突片86Aの外側には、軸部92にロック手段としての係合部材98が軸方向に移動可能に支持されている。係合部材98は筒状体からなり、筒状体の上下にはレバー96が回動するための切り欠きが設けられており、レバー96は、係合部材98の内側に配置されている。係合部材98の幅方向両側の壁部には、ピン92Aが挿入される長孔98Aが形成されている。長孔98Aは長径部が軸部92の軸方向に沿って形成されている。係合部材98の突片86A側の端部には、突片86Aの外側面に当接可能なフランジ部98Bが形成されている。フランジ部98Bの軸方向内側には、突片86Aの外側面に形成された凹部89に係合される凸状の係合部98Cが形成されている。また、壁部90A、90Bの間に位置する軸部92の中間部には、円板状の鍔100が固定支持されており、鍔100と壁部90Aとの間にコイルスプリング102が配置されている。
図9及び図10に示されるように、レバー96は、ピン92Aを中心に軸部92と直交するロック位置と、軸部92の軸方向と略平行のロック解除位置との間を回動可能となっている。レバー96は、ロック位置に回動させたときに係合部材98のフランジ部98Bに当接する周面部96Aと、ロック解除位置に回動させたときに係合部材98のフランジ部98Bと当接する周面部96Bとを備えている。その際、ピン92Aを中心とする周面部96Aの半径が周面部96Bの半径よりも大きくなるように設定されている。そして、レバー96をロック位置に回動させたときに、周面部96Aが係合部材98のフランジ部98Bを押して係合部98Cを突片86Aの凹部89に係合させるようになっている。
図11に示されるように、回転軸60は、軸方向の一方(幅方向外側)にハンドルバー6の立ち上がり部6Bの周面に当接する断面が半円形状の凹部60Aと、軸方向の他方(幅方向内側)に子供乗せバスケット本体12の側面部12Cに形成された円形状の孔62に挿通される軸部60Bと、を備えている。軸部60Bの外径は孔62の内径よりも小さく形成されており、子供乗せバスケット本体12の側面部12Cが軸部60Bの周囲を回動可能となっている。軸部60Bの端部には、子供乗せバスケット本体12の側面部12Cの抜けを防止する抜け止め部材64が設けられている。抜け止め部材64は、回転軸60の凹部60Aに形成された窪み部60Cからボルト65を螺合させることによって回転軸60に固定されている。
回転軸60の凹部60Aには、ハンドルバー6の立ち上がり部6Bの周面の略半分が当接されている。回転軸60の凹部60Aの両側の端部には、回転軸60をハンドルバー6の立ち上がり部6Bに取付けるための取付金具66が接合されている。取付金具66は、ハンドルバー6の立ち上がり部6Bの周面に当接する断面が半円形状の凹部66Aと、凹部66Aの両端部の取付部66Bと、を備えている。そして、凹部66Aをハンドルバー6の立ち上がり部6Bの周面の残りの半分に当接させると共に、取付部66Bを回転軸60の凹部60Aの両側の端部に当接させ、取付部66Bの側からボルト67を螺合させることで、取付金具66と回転軸60とを固定している。これにより、回転軸60がハンドルバー6の立ち上がり部6Bに支持され、子供乗せバスケット本体12の側面部12Cが回転軸60を中心に回動可能となっている。
また、図2〜図4、及び図12に示されるように、ヘッドガード20は、着席した子供の後頭部と対向する後方部20Aと、後方部20Aから子供の側頭部に沿って両サイド側に湾曲するように延びた翼部20Bと、後方部20Aの中央部から下方側に延びた下方延設部20Cと、を備えている。また、子供乗せバスケット10には、ヘッドガード20を子供乗せバスケット本体12の内側面に沿って上下方向にスライドさせて所定の位置で固定する高さ調整装置30が設けられている。高さ調整装置30は、子供乗せバスケット本体12の背凭れ部12Bの中央部に上下方向に沿って形成された凹状のレール部12Dを備えており、またヘッドガード20の背面側に、子供乗せバスケット本体12のレール部12Dに挿入される凸状の摺動部20Dを備えている。そして、レール部12Dに沿って摺動部20Dが移動することで、ヘッドガード20が子供乗せバスケット本体12に対して上下方向にスライド可能となっている。
また、図3及び図4に示されるように、高さ調整装置30は、ヘッドガード20の摺動部20Dの内側面(子供乗せバスケット本体12と反対側の面)に上下方向に複数形成された係合凹部32と、ヘッドガード20の前方側に配置され、係合凹部32と係合される係合部(図示省略)が形成された押し当て部材34と、子供乗せバスケット本体12の背面側に回転可能に設けられた調整ノブ36と、を備えている。ヘッドガード20の摺動部20Dの中央部には、上下方向に沿って長孔20Eが形成されており、調整ノブ36と押し当て部材34とが、長孔20Eに挿通される回転軸(図示省略)によって連結されている。また、調整ノブ36の表面(子供乗せバスケット本体12と反対側)には、操作者が把持するためのツマミ36Aが直径方向に設けられている。調整ノブ36は、ロック位置とロック解除位置に回動可能となっており、調整ノブ36をロック位置に回動させることで、押し当て部材34がヘッドガード20に近づく方向に移動して押し当て部材34の係合部(図示省略)と係合凹部32が係合され、ヘッドガード20が子供乗せバスケット本体12に固定されるようになっている。また、調整ノブ36をロック解除位置に回動させることで、押し当て部材34がヘッドガード20から離れる方向に移動して押し当て部材34の係合部(図示省略)と係合凹部32との係合が外れ、ヘッドガード20を子供乗せバスケット本体12に対してスライドさせることができる。
図2及び図12に示されるように、子供乗せバスケット本体12のレール部12Dの両側部には、ヘッドガード20のスライド方向に沿ってスライド孔52が形成されている(図2及び図12では手前側のみ図示)。このスライド孔52には、摺動部20Dに設けられたガイドピン54が上下方向にスライド可能に係止されている。ヘッドガード20は、ガイドピン54によってレール部12Dの2箇所でスライド孔52に案内されながら、上下方向にスライドする。これにより、ヘッドガード20を子供乗せバスケット本体12に対してスムーズにスライドさせてヘッドガード20のガタツキを抑制することが可能である。
次に、上記のような構成の子供乗せバスケット10の作用について説明する。
図2に示されるように、子供乗せバスケット本体12は起立位置にあり、レバー96が軸部92と直交するロック位置に回動している。この状態では、図8に示されるように、レバー96の周面部96Aが係合部材98を押して係合部98Cが子供乗せバスケット本体12に設けられた突片86Aの凹部89に係合し、且つフランジ部98Bと袋ナット93及び座金94によって、ブラケット86の突片86A、86Bが取付部90の壁部90A、90Bを挟持し、子供乗せバスケット本体12がロックされている。この状態では、コイルスプリング102はある程度縮んだ状態となっている。このとき、図5に示されるように、下方側ガイド部74Aの先端部が摺動部80の下面の前端部に形成された壁部80Bに突き当たっている。
図9に示されるように、子供乗せバスケット本体12を後方側へリクライニングさせるときは、レバー96を軸部92の軸方向とほぼ平行なロック解除位置に回動させる。このとき、軸部92と鍔100は固定されているので、鍔100がコイルスプリング102で壁部90Aの内壁を押すことで軸部92全体が図9中の左方向へ移動する。すなわち、係合部材98の長孔98A内のピン92Aが左側へ移動すると共に、コイルスプリング102が伸びることにより、軸部92が図9中の左方向へ寄せられる。この時点で、フランジ部98Bと袋ナット93及び座金94による挟持力は無く、係合部98Cと凹部89のコイルスプリング102の付勢力による係合によりロック状態が一部維持される。
さらに、図10に示されるように、係合部材98を指で摘まんで図中の右方向へコイルスプリング102の付勢力に抗して動かすと、係合部98Cが突片86Aの凹部89から外れる。このとき、コイルスプリング102は縮んだ状態となる。コイルスプリング102は、レバー96をロック解除位置に回動しても係合部材98の係合部98Cと突片86Aの凹部89との係合を継続させるように作用するものであり、係合部材98を凹部89から引き出すことにより、完全にロックが外れるような構成となっている(2段階の安全機構)。
この状態で、回転軸60を中心として子供乗せバスケット本体12の側面部12Cが揺動可能となり、子供乗せバスケット本体12を後方側へリクライニングさせることができる。このとき、子供乗せバスケット本体12の座部12Aに形成された摺動部80が下方側ガイド部74Aと上方側ガイド部74Bとの間に挟まれた状態で摺動する。これにより、子供乗せバスケット本体12の座部12Aをスムーズに揺動させることができ、子供乗せバスケット本体12をリクライニングさせるときの子供乗せバスケット本体12のガタツキなどが抑制される。子供乗せバスケット本体12を後方側にリクライニングさせると、下方側ガイド部74Aの後端部が摺動部80の下面の壁部80Cに突き当たり、子供乗せバスケット本体12がそれ以上後方側に移動しなくなる。この状態で、図10に示されるように、レバー96をロック位置に回動させることで、レバー96の周面部96Aが係合部材98を押して係合部98Cが子供乗せバスケット本体12に設けられた突片86Aの凹部89に係合し、子供乗せバスケット本体12がロックされる。
このような子供乗せバスケット10では、状況に応じて子供乗せバスケット本体12を後方側へリクライニングさせたり、起立させたりすることができ、座部12Aに着席した子供が背凭れ部12Bに背中をもたせかける(寄りかからせる)ことができる。例えば、幼児が眠るときなど状況に応じて子供乗せバスケット本体12を後方側へリクライニングさせることで、子供の乗車姿勢が安定化する。
また、図2に示されるように、ハンドルバー6の立ち上がり部6Bに支持された回転軸60は、子供乗せバスケット本体12の側面部12Cの中央付近のやや上部寄りの位置にあり、子供乗せバスケット本体12の中央付近に位置している。このため、二輪車1の諸動作に付随する慣性等による子供乗せバスケット本体12の回転方向への固定力は、従来のように子供乗せバスケット本体12の下部に回転軸を設けた場合と比較して強い固定力を必要としない。すなわち、回転軸60が子供乗せバスケット本体12の中央付近に位置することにより、子供乗せバスケット本体12の全方位に渡って二輪車1の諸動作に付随する慣性等による子供乗せバスケット本体12を回転させようとするモーメントの腕が短くなり、子供乗せバスケット本体12をより小さい固定力で固定できる。このため、子供乗せバスケット本体12を起立位置とリクライニング位置で強固に固定することができる。
なお、この実施形態はハンドルバー6に取り付けるバスケットを兼用した子供乗せバスケット10であるので、子供乗せの機能とバスケットの機能双方のバランス、及びハンドルバー6との取付、を考慮し回転軸60の位置を側面部12Cの中央付近のやや上部寄りに配置してあるが、もし子供乗せ専用器である場合は、側面部の子供の重心付近にあたる場所(形式的には中央付近)に回転軸を配置することが考えられる。座部や背凭れ部や前面部ではなく、側面部に回転軸を配置することでバランスの良い配置が可能となる。
また、子供乗せバスケット10は、高さ調整装置30によってヘッドガード20が子供乗せバスケット本体12に対して上下方向にスライド可能に設けられており、子供の成長や異なる身長の子供の体格に合わせてヘッドガード20を適切な高さに調整することができる。これにより、子供の頭部を適切に保護することができる。
なお、上記実施形態では、突片86Aの外側面の長孔88の両端部に凹部89が形成されていたが、長孔88の途中に凹部89を形成することで、係合部材98の係合部98Cを任意の凹部89に係合させることができ、子供乗せバスケット本体12を後方側に段階的にリクライニングさせることができる。これにより、状況に応じて子供乗せバスケット本体12を複数のリクライニング位置のいずれかに段階的に調整できる。