JP2009090777A - 自転車用搭載車 - Google Patents

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Abstract

【課題】自転車への搭載によって自転車の乗り降りや漕ぎ動作を阻害することなく、自転車の安定した走行が可能であり、また自転車に対してガタツキ無く搭載でき、更には構造的観点からも好適にする。
【解決手段】左右一対の側部フレーム8がキャリアフレーム9を介して連結されて主フレーム体10が構成され、この下方側に車輪11,12を、上方側に手押しハンドル13が備えられた自転車用搭載車であって、自転車2のハンドルステム3から左右方向へ延びる中間部4と上方へ立ち上がる一対の立ち上がり部5を有するアップハンドル7の前記一対の立ち上がり部5間であって、かつ前記ハンドルステム3の上方において自転車2に搭載された状態で、前記アップハンドル7の少なくとも一方の立ち上がり部5に係合して、自転車2に対する前後方向の移動を規制する係合部35が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自転車に対して着脱自在に搭載されるベビーカーや買い物カート等の自転車用搭載車に関するものである。
自転車に対して着脱自在とされたベビーカーは公知である(例えば、特許文献1等参照)。この種のベビーカーでは、ベビーカーに乗せる幼児よりも前方へ向けて突出するように吊り下げ用のフック金具が設けられており、このフック金具を自転車のハンドルの水平部分に引っ掛けるようにすることで、自転車のハンドル後部に吊り下げ状態で搭載させる構造になっている。従って、この従来技術では、自転車のハンドルステムと自転車のサドルとの前後間にベビーカーが装着されることになり、自転車を運転する者は、自転車を漕ぐ両足の左右股間でベビーカーを挟み込むような姿勢になる。
特開平11−78906号公報
上記したように従来のベビーカーを自転車に搭載した場合、自転車のハンドルステムと自転車のサドルとの前後間にベビーカーが装着されるかたちになり、自転車を運転する者は、自転車を漕ぐ両足の左右股間でベビーカーを挟み込むような姿勢になる。そのため、自転車を漕ぐ動作や自転車を乗り降りする際にベビーカーが邪魔になっていた。
そこで、ベビーカーの車輪を含む下部フレームが邪魔にならないようにするには、ベビーカーをなるべく上方に位置させる必要があるが、そうすると、自転車全体の重心が高くなりバランスが悪くなる恐れがある。しかも、従来のものでは、ベビーカーがハンドルステムを含む操舵軸から可成り後方にずれて搭載されるため、特に子供を乗せた状態ではハンドル操作が重くなるという問題も生じていた。
また、従来のものでは、自転車に対する固定が単なる吊り下げであるため、走行中にベビーカーがガタツキを起こすことがあった。
なお、ベビーカーの車輪を支持する前後の脚部は、自転車搭載時に邪魔にならないように後脚部を前脚部側へ折り畳む構造となっていたが、自転車の走行中の振動により、折り畳み状態が意図せずに展開してしまわないような工夫も別途必要であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、自転車への搭載によって自転車の乗り降りや漕ぎ動作を阻害することなく、自転車の安定した走行が可能であり、また自転車に対してガタツキ無く搭載でき、更にはコスト的にも優れた自転車用搭載車(ベビーカーに限らず買い物用カート等を含む)を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る自転車用搭載車は、左右一対の側部フレームがキャリアフレームを介して連結されて主フレーム体が構成され、
この主フレーム体の下方側に車輪を、上方側に手押しハンドルが備えられた自転車用搭載車であって、
自転車のハンドルステムから左右方向へ延びる中間部と上方へ立ち上がる一対の立ち上がり部を有するアップハンドルの前記一対の立ち上がり部間であって、かつ前記ハンドルステムの上方において自転車に搭載された状態で、前記アップハンドルの少なくとも一方の立ち上がり部に係合して、自転車に対する前後方向の移動を規制する係合部が設けられている。
このような構成であるため、この自転車用搭載車は、自転車に対してハンドルステム上であって且つ左右の立ち上がり部間に収められる状態、すなわち、アップハンドル内に挟み込まれるようなかたちで自転車に対する左右の移動が規制され、係合部とアップハンドルの立ち上がり部との係合により自転車に対する前後方向の移動が規制された状態で、従来のものよりも自転車の前側に搭載させることができる。
従って、自転車の乗り降りや漕ぎ動作などを阻害しないようにできる。しかも、従来のものに比べてハンドルステムを含む操舵軸の近くに配置されるので、ハンドル操作が重くなるということもない。
また、本発明に係る自転車用搭載車において、前記側部フレームには、前記手押しハンドルが揺動可能に支持されると共に、下端部に前輪が備えられ、かつ下端部に後輪を備えた後脚部が前記前輪に対して接近離反する前後方向に揺動自在に支持されており、
前記手押しハンドルと前記後脚部との間には、前記手押しハンドルが前記側部フレームに対して揺動して折り畳み姿勢とされたときに、前記後脚部を前記前輪方向へ揺動させる連動リンクが設けられ、この連動リンクに前記係合部を設けることができる。
このような構成が付加されたものであれば、手押しハンドルは使用状態(上方へ突出した状態)から後方へ倒した下向きに折り畳む状態にできる。また、この動作に伴い、連動リンクにより後脚部を前輪側に近接させるように揺動して折り畳むことができる。
従って、自転車用搭載車をコンパクトな姿へと変形できるので、自転車への搭載時において、自転車の乗り降りや漕ぎ動作などへの支障を防止することができる。また、手押しハンドルの折り畳みと後脚部の折り畳みは連動リンクにより連動するので、自転車用搭載車をコンパクトな姿へ折り畳む操作やこの折り畳み姿勢を元の使用状態へ戻す操作が容易に行えることになる。
しかも、この連動リンクに係合部を設けることで、自転車用搭載車の前後移動が規制されるだけでなく、連動リンクがアップハンドルの立ち上がり部に係合して動かなくなるので、手押しハンドル及び後脚部の折り畳み状態が意図せずに展開してしまうようなこともなく、それ故に展開防止のためのロック機構を別途設ける必要がないので、構造的な簡潔化が図れるという利点がある。
本発明に係る自転車用搭載車において、前記手押しハンドルが側部フレームに対して折り畳み姿勢とされたときに、前記後脚部を前記前輪方向へ押し出す前記連動リンクの作用を利用して、前記後輪が前記前輪に対して押圧されるようにすることが好ましい。
このように後輪を前輪へ押圧状態にすると、前輪と後輪とが互いの回転を拘束することになる。そのため、前輪や後輪がそれぞれ単独で保持されているときに比べて回転し難くなる。すなわち、自転車への搭載状態で自転車の走行振動が発生したとき、前輪や後輪がいたずらに回転して耳障りな振動音や不快な微振動を発生することがないようにできる。
また、前輪や後輪が旋回自在な構造を具備していた場合、後輪を前輪へ押圧状態にすることによって前輪や後輪の勝手な旋回動を阻止できる。
さらに、本発明に係る自転車用搭載車の自転車に対する前後方向の移動を規制する係合部は、前記アップハンドルの立ち上がり部に係合される凹み形状とすることが好ましい。
このように、係合部を凹部で構成すると、構造が簡単でありながら、自転車搭載車の自転車に対する移動を確実に規制するばかりでなく、搭載する際の位置決め手段としても有効である。また、連動リンクに設ける場合も、凹部は連動リンクを屈曲させるだけで形成することができるので、コスト的にも優れたものとなる。
なお、前記主フレーム体を構成する左右一対の側部フレームの間には、幼児用座席又は荷物載置部が設けられ、この幼児用座席又は荷物載置部の下面部に自転車のハンドルステム上部に設置される搭載ロック装置に対してロック及びアンロックを可能にする掛止脚が設けられた構成とすることができる。
これによって、自転車に対する着脱が容易でありながら、自転車搭載車をハンドルステム上の搭載ロック装置及びアップハンドルの左右立ち上がり間で確実に自転車に搭載できる。
本発明によれば、自転車に搭載した場合でも、自転車の乗り降りや漕ぎ動作を阻害せず、ハンドル操作が重くなるということもない安定した自転車の走行が可能な自転車用搭載車を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図3乃至図8は、本発明に係る自転車用搭載車1の一実施形態を示しており、また図1及び図2は、この自転車用搭載車1を自転車2へ搭載した状態を示している。
これら図1及び図2から明かなように、搭載の対象となる自転車2は、ハンドルステム3に掴持されてハンドルステム3の上端付近から左右方向へ延びるハンドル中間部4と上方へ立ち上がる一対の立ち上がり部5,5とその両端部を握り部6,6としたアップハンドル7を具備したものである。このような自転車2に対し、自転車用搭載車1はハンドルステム3上であって且つ左右の立ち上がり部5,5間への着脱が自在とされている。
図3及び図4に示すように、この自転車用搭載車1は、主として、左右の側部フレーム8,8がキャリアフレーム9を介して連結されて主フレーム体10が構成され、この主フレーム体10の下方側に回転自在に設けられた車輪である前輪11,11及び後輪12,12と、主フレーム体10の後部上方へ突出状態で設けられた手押しハンドル13とで構成されている。
上記主フレーム体10の構成を具体的に説明すると次のとおりである。
各側部フレーム8は、金属パイプ材を曲成して中折れ部8aが形成されたクランク形状を呈している。
キャリアフレーム9は、左右の側部フレーム8,8を相互に連結する単なる横骨材でもよいが、本実施形態では、左右のフレーム主体9a,9aが左右のフレーム支持体9b,9bによって左右の側部フレーム8,8の中折れ部8a,8aと略平行状に各側部フレーム8に対して吊り下げ状に支持されると共に,左右のフレーム主体9a,9aの間に架設された複数のフレーム連結体9cによって、左右の側部フレーム8,8を連結するものとなっている。なお、このキャリアフレーム9は、左右のフレーム主体9a,9a、左右のフレーム支持体9b,9b及びフレーム連結体9cの各部に相当する構成を予め一体的に制作したものとすることもできる。
本実施形態において、自転車用搭載車1はベビーカーとして構成されたものを示しており、そのため主フレーム体10には幼児用座席14が設けられる構成である。
幼児用座席14は、キャリアフレーム9の左右のフレーム主体9a,9aと、これを支持する左右のフレーム支持体9b,9bにブラケット15,15を介して揺動可能に取付けられた背部フレーム16、及び左右の側部フレーム8,8の中折れ部8a,8a間に張り渡すようにした図示略の帆布製や樹脂製のシート材を保持させる構成とされている。
なお、上記の幼児用座席14の構成は一例であって、樹脂により一体形成させたバケットシートとすることもできる。この場合は、キャリアフレーム9を構成するフレーム主体9a、フレーム支持体9b、フレーム連結体9c、或いは背部フレーム16をバケットシートの構造により一部省略又は代替することもできる。なお、買い物カートの場合は、幼児用座席14の代わりに荷物載台、かご、或いはバック体が設けられることは言うまでもない。
また、主フレーム体10を構成する各側部フレーム8は、その下端部を前脚部17として前輪11を備えおり、各前脚部17には、その脚径を挟んだ配置で2輪ずつ、前輪11が設けられており(即ち、前輪11は左右の前脚部17にそれぞれ2輪づつ計4輪ある)、それぞれ前脚部17周りに旋回自在な構造が採用されている。
さらに、各側部フレーム8の中折れ部8aにはブラケット18が取付けられ、揺動支点軸19を介して前輪11に対して接近離反させる方向で前後揺動自在に後脚部20が支持されている。この各後脚部20には、その脚径を挟んだ配置で2輪ずつ、後輪12が設けられており(即ち、後輪12も左右の後脚部20にそれぞれ2輪づつ計4輪ある)、後輪12の回転を阻止できるようにした公知のブレーキ装置21が設けられ、足でオンオフ操作できるように操作ペダル22が後方へ突出されている。
一方、各側部フレーム8の上方側の適所にはブラケット23が取付けられ、揺動支点軸24介して側部フレーム8に対して揺動自在に手押しハンドル13が左右の側部フレーム8,8間に架け渡されるようなかたちで設けられており、その中間部分が握り部13aとなっている。
この手押しハンドル13は、自転車用搭載車1を自転車2に搭載しない図3のベビーカーとしての使用状態において、主フレーム体10の後部上方へ突出するようになっており、その握り部13aは、前輪11,11及び後輪12,12を路面へ接地させたときに、丁度、路面に立つ標準的身長の大人によって握りやすい高さとなるように設定されている。なお、手押しハンドル13は、高さ調節可能な例えば上下伸縮構造とすることも可能である。
また、手押しハンドル13は、揺動支点軸24を介して図3,4に示す握り部13aが上方に位置する使用状態から図1,6に示す状態に後方へ倒しつつ下向きになる折り畳んだ状態へ姿勢変更が可能である。
なお、各側部フレーム8には、手押しハンドル13を上方へ突出させた使用状態に固定するために図7に示すようなハンドルロック装置25が設けられている。
ハンドルロック装置25は、各側部フレーム8に対して手押しハンドル13の揺動支点軸24より上位となる位置で、この揺動支点軸24と平行なレバー軸26を支点として所定角度範囲内で揺動自在に保持されたフックレバー27を有している。このフックレバー27には、許容された揺動範囲の両端位置に対して択一式にフックレバー27を引張付勢できるようにしたバネ28が設けられており、手押しハンドル13を下向きの折り畳み状態から上方突出の使用状態へ揺動させるときにのみ、手押しハンドル13側に突設された係合ピン29の受け入れ係合を許容させるように、フック開口部27aに向けた誘導カム27bが形成されており、手押しハンドル13を上方突出の使用状態にロックできるようになっている。
また、手押しハンドル13と左右の後脚部20,20との間には両者間に架け渡されるように左右一対の連動リンク30,30が設けられている。
各連動リンク30は、一端側が手押しハンドル13の揺動支点軸24の近傍に設けられたブラケット31に揺動支点軸32を介して枢着されると共に、他端側が各後脚部20の略中間部に設けられたブラケット33に揺動支点軸34を介して枢着されている。
このようなことから、手押しハンドル13の折り畳みと左右の後脚部20,20の折り畳みは連動リンク30,30により連動する。従って、自転車用搭載車1をコンパクトな姿へ折り畳む操作やこの折り畳み姿を元の使用状態へ戻す操作が容易に行えることになる。
手押しハンドル13の折り畳み時において、各連動リンク30は各後脚部20を前方へ押し出す作用を生じることになるが、この作用で各後輪12は各前輪11に当接しこれを前方へ押圧するようになっている。そのため、前輪11及び後輪12の回転が互いに干渉乃至は拘束されたものとなり、前輪11や後輪12がそれぞれ自由な状態で保持されているときに比べて回転し難くなる。また前輪11の勝手な旋回動も阻止されることになる。
なお、各前輪11と後輪12との押圧状態は、図1及び図6に示すような各車輪の赤道周面同士の当接のみならず、車輪の側面部同士の当接、例えば、前脚部17及び後脚部20のそれぞれの脚径を挟んで2輪づつ配置された左右車輪間で他方の一車輪を相互に挟み込むようなかたちでも良い。
このような構成の自転車用搭載車1には、自転車2への搭載時にアップハンドル7の立ち上がり部5に係合して前後方向の移動を規制する係合部35が設けられている。
係合部35は、自転車用搭載車1を自転車に搭載した際に、アップハンドル7の立ち上がり部5に対応するように自転車用搭載車1の左右両側に設けるのが好ましいが、何れか一方でもよい。
本実施形態では、自転車用搭載車1の左右両側に設けてあり、具体的には、各連動リンク30に設けられている。すなわち、係合部35は、図4に示すように連動リンク30の長手方向中途部を略コ字状に折り曲げることで、リンク外向きの側面に凹み形状となるように形成されている。この凹み形状の係合部35は、傾斜部35a,35aと凹底部35bを備えている。なお、係合部35は、このような凹み形状ではなく、例えば、リンク外向きの側面に突出する形状としたり、ピンを突設する等のように、アップハンドル7の立ち上がり部5と係合する他の構成で代替することも可能である。
上記したように、各連動リンク30は、各後脚部20における長手方向の略中央部と手押しハンドル13における各側部フレーム8への接続部近傍(揺動支点軸24の近傍)との間に架け渡されるようになっている(図3参照)ので、手押しハンドル13及び主フレーム体10(後脚部20)の折り畳み時には、この連動リンク30が自転車用搭載車1の左右両側を後部上方から前部下方へ斜めに横切る状態となる(図6参照)。それ故、自転車2に自転車用搭載車1の搭載する際に各連動リンク30の長手方向中央部でリンク外向きとなる側面と、自転車2におけるアップハンドル7の各立ち上がり部5とが丁度、交差する位置関係が得られる。
従って、この自転車用搭載車1の自転車2への搭載は、自転車用搭載車1が、アップハンドル7の立ち上がり部5,5の間であって、かつハンドルステム3の上方に搭載されるが、この際、自転車用搭載車1は、各連動リンク30に設けられた各係合部35によって、アップハンドル7に対して位置決めされ、その立ち上がり部5,5に案内されて、自転車2に対する前後方向の移動が規制されるかたちで係合された搭載が可能である。
この際に、各係合部35には傾斜部35a,35aが設けられているので、各係合部35とアップハンドル7の立ち上がり部5等との位置関係の多少の誤差を吸収したり、ガタ付きを防止することも可能である。また、各係合部35の凹底部35bは、アップハンドル7の立ち上がり部5,5の内面側に当接する状態が好ましい。それ故に左右の凹底部35b,35b間の間隔は、アップハンドル7の立ち上がり部5,5の左右内側面間の距離と略等しいことが望ましいが、係合部35を設けた連動リンク30が弾性を有するものとすれば、その弾性変形により隙間を生じないものとすることもできる。
なお、係合部35は、連動リンク30ではなく、主フレーム体10やこれを構成する側部フレーム8に設けることが可能もある。しかし、本実施形態のように係合部35を連動リンク30に設けることにより、係合部35がアップハンドル7の立ち上がり部5に係合された自転車用搭載車1の自転車2への搭載時には、連動リンク30の動作自体が拘束されるので、手押しハンドル13及び後脚部20の折り畳み状態が不用意に解除されてしまうことがない。すなわち、係合部35は、自転車用搭載車1の前後移動の規制のみならず、その折り畳み状態を維持する役割を担当させることができる。
以上のように、自転車用搭載車1は、自転車2に対してアップハンドル7の立ち上がり部5,5の間で自転車2に対する左右移動が規制され、かつハンドルステム3の上方において、係合部35により前後移動が規制されて搭載されるが、ハンドルステム3の上方においては、ハンドルステム3或いはアップハンドル7のハンドル中間部4上に直接載置し着脱自在に搭載することが可能である。
しかしながら、ハンドルステム3或いはアップハンドル7に取り付けられたキャリア上に搭載するのが安定した固定のためには好ましい。本実施形態では、搭載させた状態をロックさせるため、自転車2側にはキャリアとして搭載ロック装置40を採用したものとしている。この場合、自転車用搭載車1には例えば幼児用座席14(キャリアフレーム9)の底部下面等に、搭載ロック装置40によるロック作用を受け付けるための掛止脚41が設けられている。掛止脚41は、平面視四角形状のものが複数(例えば四角形の四隅部となる配置で4個)設けられている。
以下、キャリアとしての搭載ロック装置を説明する。
搭載ロック装置40は、例えば図9乃至図13に示すように、支承台45と、この支承台45にスライド自在に設けられた操作部材46を有している。支承台45の上面は扁平面として形成されており、またこの支承台45には左右両側部から上方へ突出するサイドガード48が設けられている。
サイドガード48は左右外向きに開放部を向けた断面コ字状に形成されており、この断面コ字状の内側にアップハンドル7の立ち上がり部5に嵌まる溝49が形成されている。また少なくともこのサイドガード48は樹脂製又はゴム製などとされている。
支承台45は、その上面中央部に設けられたボルト通孔50へ差し通したボルト51で、ハンドルステム3の上端部に設けられたハンドル固定部3aにボルト止めすると共に、サイドガード48に設けられた縦長孔52へ差し通したネジ53で、アップハンドル7の立ち上がり部5にネジ止めすることにより、自転車2に固定されている。
サイドガード48によってアップハンドル7の立ち上がり部5が覆われるようになるため、アップハンドル7内へ本発明に係る自転車用搭載車1を搭載する際において、この自転車用搭載車1の係合部35は、アップハンドル7の立ち上がり部5と直接的に接触するようにはならず、サイドガード48を介したものとなる。すなわち、アップハンドル7の立ち上がり部5にとっても、また自転車用搭載車1の係合部35にとっても、このサイドガード48が保護材として作用することになり、傷による錆の発生や金属同士の衝突音などを防止するうえで有益となっている。
支承台45の正面部(自転車2の運転者から見て正対する面)には把手口57が形成されている。また支承台45の上面には、自転車用搭載車1の掛止脚41を受ける脚入れ凹部58が形成されている。
操作部材46は、支承台45の把手口57に収まる把手部60と、この把手部60から前方(支承台45の下部)へ向けて延びるスライダー部61と、このスライダー部61の左右両側に張り出して設けられたロック片62とを有している。スライダー部61には長手方向を前後に向けた溝状のガイドレール63が形成されており、このガイドレール63内を上記したボルト51が貫通するようになっているため、この操作部材46は、支承台45に対して分離不能な状態を保持しつつ、前後動自在になっている。
各ロック片62は、各脚入れ凹部58に対応して複数(図例では4つ)設けられており、操作部材46を前後動させたときに個々の脚入れ凹部58内で出退自在となっている。各ロック片62は、脚入れ凹部58内で進出する動作により自転車用搭載車1の各掛止脚41に係合し、反対に、脚入れ凹部58内で後退する動作により自転車用搭載車1の各掛止脚41から離脱するようになっている。
把手部60にはその正面中央部に四角形状の切欠部66が設けられていると共に、この切欠部66に連通する状態でスライダー部61へ向けて左右一対のスリット67が所定長さだけ設けられている。従って、これらスリット67の相互間で上下方向へ弾性変形自在となる板バネ片68が残置形成されていると共に、切欠部66の内側では板バネ片68と一体となる押しボタン69が形成されている。
板バネ片68の上部には、支承台45における把手口57の開口縁部57aに係脱可能となるストッパ突起70が設けられている。また押しボタン69の下面には、ガイド突起71と張出片72とクサビ突起73とが設けられている。
このような操作部材46に対して安全ツマミ75が付属されている。この安全ツマミ75は、押しボタン69の上下面を挟持するように側面視形状がコ字状に形成されたツマミヘッド76と、このツマミヘッド76から前方へ向けて二股に延び出たバネ脚77とを有している。バネ脚77の先端部はヤジリ形に形成されている。
この安全ツマミ75は、押しボタン69に対して前後動自在となっており、押しボタン69へ向けて押し込んだとき(前進時)にはバネ脚77の先端部がクサビ突起73に押し付けられてバネ脚77が股開きするようになり、バネ脚77に股を閉じようとするバネ力が作用するようになっている。このバネ力により、安全ツマミ75には後進力が作用し、押し込み力を緩めたときに押しボタン69から引き外した元位置へ自動復帰するようになっている。
このような搭載ロック装置40は次のように作用する。
すなわち、まず操作部材46を引き出した状態で、自転車用搭載車1を支承台45上(アップハンドル7内の左右の立ち上がり部5間)に載せる。このとき自転車用搭載車1の全ての掛止脚41を支承台45の全ての脚入れ凹部58へ嵌め込むようにする。
この状態で操作部材46を支承台45の把手口57内へ向けて押し込み操作する。すると、操作部材46の各ロック片62が各脚入れ凹部58内で進出するようになり、自転車用搭載車1の掛止脚41と掛合する。従って、自転車用搭載車1は支承台45から浮き上がることはない。
なお、このとき安全ツマミ75は、押しボタン69に対する引き出し位置へと自動復帰しており、板バネ片68上のストッパ突起70が支承台45に設けられた把手口57の開口縁部57aと係止している。これにより、操作部材46は引き出すことができない状態になる。
しかも、安全ツマミ75のツマミヘッド76は、把手部60に設けられた切欠部66の開口下縁上に当接している。従って、万が一、誤って押しボタン69を押し下げるような操作をしたとしても、押しボタン69はそれ以上、押し下げることができず、板バネ片68上のストッパ突起70と支承台45に設けられた把手口57の開口縁部57aとの係止状態は確実に保持される。
この段階でこの搭載ロック装置40として、自転車用搭載車1の搭載状態をロックしたことになり、自転車用搭載車1を自転車2へ搭載する操作は完了する。
一方、自転車用搭載車1を自転車2から取り出すには、まず安全ツマミ75を押しボタン69に対して押し込むようにする。すると、安全ツマミ75のツマミヘッド76は、把手部60に設けられた切欠部66の開口下縁とは接触干渉しない状態に位置ズレすることになるから、これにより、押しボタン69は押し下げ操作が可能になる。
そこで押しボタン69を押し下げ操作する。押しボタン69を押し下げることで、板バネ片68上のストッパ突起70と支承台45に設けられた把手口57の開口縁部57aとの係止状態を解除でき、操作部材46を引き出すことができるようになる。
そこで押しボタン69を押し下げたまま、把手部60に手を掛けて操作部材46全体を支承台45から引き出すようにする。かくして、操作部材46の各ロック片62が各脚入れ凹部58内で後退するようになり、自転車用搭載車1の掛止脚41との掛合が解除される。そこで、自転車用搭載車1は支承台45から浮き上げる(取り出す)ことができる。
以上、詳説したところから明かなように、本発明に係る自転車用搭載車1は、自転車2に対してハンドルステム3上であって且つ左右の立ち上がり部5間に収める状態(アップハンドル7に挟み込むような状態)で搭載させることができる。そのため、この自転車用搭載車1を自転車2へ搭載させた状態にしても、自転車2の乗り降りや漕ぎ動作などに支障がでることはない。
また、この自転車用搭載車1に設けられた係合部35が自転車2におけるアップハンドル7の立ち上がり部5に係合すれば、前後方向のガタツキが阻止されるようになっているので、自転車2に対してガタツキの無い安定的な固定ができるものである。
なお、この自転車用搭載車1は、手押しハンドル13の折り畳みと主フレーム10の折り畳みとを行うことでコンパクトな姿へと変形できるので、自転車2への搭載時において、自転車2の乗り降りや漕ぎ動作などへの支障を防止するという効果は、一層高められるものとなっている。
また、本発明に係る自転車用搭載車1は、自転車2に対してハンドルステム3上であって且つ左右の立ち上がり部5間に収める状態(アップハンドル7に挟み込むような状態)で搭載させることができるので、この自転車用搭載車1をベビーカーとして構成した場合には、自転車2に搭載した状態で、その幼児用座席14に幼児を同乗させることができる為、幼児用同乗器として使用できる。
そして、上記実施形態では、自転車用搭載車1の折り畳みは、後脚部20が前脚部17側へ近接する方向への折り畳みであり、幼児用座席14自体は変形しないので、幼児の着座を妨げることがない。同様に、この自転車用搭載車1を買い物カートとして構成した場合には、荷物を積んだ状態でそのまま自転車2に自転車用搭載車1を搭載できるので、自転車用搭載車1は、そのまま自転車用荷カゴとしての役割を担うことができる。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、自転車用搭載車1は、ベビーカーとして構成する場合に限らず、買い物用のカートや高齢者用の手押し車、或いは荷物運搬台車等として構成させることが可能である。
また、上記実施形態において、係合部35は、連動リンク30に設けた凹み形状のものを示したが、側部フレーム8や手押しハンドル13に左右外側に設けたアタッチメントとして構成してもよい。さらに、自転車2は前輪が2輪のものを例示したが、前輪が1輪のものでもよいことは言うまでもない。なお、上記実施形態において説明した搭載ロック装置40は一例に過ぎず、その構成は何ら限定されるものではない。
図3の自転車用搭載車を自転車へ搭載させた状態を示した要部側面図である。 図1に対応する正面図である。 本発明に係る自転車用搭載車の一実施形態を示した側面図である。 図3に対応する背面図である。 図3の状態から手押しハンドルの折り畳みとフレームの折り畳みとを開始させた状態を示した側面図である。 図5の状態から更に折り畳みを進めて完了に至らせた状態を示した側面図である。 手押しハンドルのハンドルロック装置を自転車に乗る者による視点から示した斜視図である。 自転車におけるアップハンドルの上がり部に対して係合部が係合した状態を自転車の前方からの視点で示した斜視図である。 自転車のアップハンドルとその周辺を自転車に乗る者による視点から示した斜視図である。 搭載ロック装置の一例を示した平面図である。 図10のA−A線断面図である。 操作部材をその上面側から示す一部を省略した斜視図である。 操作部材をその下面側から示す一部を省略した斜視図である。
符号の説明
1 自転車用搭載車
2 自転車
3 ハンドルステム
5 立ち上がり部
7 アップハンドル
10 主フレーム体
11 前輪
12 後輪
13 手押しハンドル
17 前脚部
20 後脚部
30 連動リンク
35 係合部
40 搭載ロック装置
41 掛止脚

Claims (5)

  1. 左右一対の側部フレーム(8,8)がキャリアフレーム(9)を介して連結されて主フレーム体(10)が構成され、
    この主フレーム体(10)の下方側に車輪(11,12)を、上方側に手押しハンドル(13)が備えられた自転車用搭載車であって、
    自転車(2)のハンドルステム(3)から左右方向へ延びる中間部(4)と上方へ立ち上がる一対の立ち上がり部(5,5)を有するアップハンドル(7)の前記一対の立ち上がり部(5,5)間であって、かつ前記ハンドルステム(3)の上方において自転車(2)に搭載された状態で、前記アップハンドル(7)の少なくとも一方の立ち上がり部(5)に係合して、自転車(2)に対する前後方向の移動を規制する係合部(35)が設けられていることを特徴とする自転車用搭載車。
  2. 前記側部フレーム(8)には、前記手押しハンドル(13)が揺動可能に支持されると共に、下端部に前輪(11)が備えられ、かつ下端部に後輪(12)を備えた後脚部(20)が前記前輪(11)に対して接近離反する前後方向に揺動自在に支持されており、
    前記手押しハンドル(13)と前記後脚部(20)との間には、前記手押しハンドル(13)が前記側部フレーム(8)に対して揺動して折り畳み姿勢とされたときに、前記後脚部(20)を前記前輪(11)方向へ揺動させる連動リンク(30)が設けられ、
    この連動リンク(30)に前記係合部(35)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の自転車用搭載車。
  3. 前記手押しハンドル(13)が側部フレーム(8)に対して折り畳み姿勢とされたときに、前記後脚部(20)を前記前輪(11)方向へ押し出す前記連動リンク(30)の作用を利用して前記後輪(12)が前記前輪(11)に対して押圧されることを特徴とする請求項2記載の自転車用搭載車。
  4. 前記係合部(35)は、前記アップハンドル(7)の立ち上がり部(5)に係合される凹み形状とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自転車用搭載車。
  5. 前記主フレーム体(10)を構成する左右一対の側部フレーム(8,8)の間には、幼児用座席(14)又は荷物搭載部が設けられ、この幼児用座席(14)又は荷物搭載部の下面部に自転車(2)のハンドルステム(3)上部に設置される搭載ロック装置(40)に対してロック及びアンロックを可能にする掛止脚(41)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自転車用搭載車。
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