本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ヘッドレストなどの移動部材の高さ調整を簡単な操作により安定状態で固定することができる高さ調整機構、子供乗せ装置、及び二輪車を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、固定部材本体と、前記固定部材本体に対して上下方向にスライド可能に設けられた移動部材とを備え、前記移動部材の高さを調整する高さ調整機構であって、前記固定部材本体に設けられ、スライド方向に形成されたレール部と、前記移動部材に設けられ、前記レール部に沿ってスライドする摺動部と、前記移動部材の前記固定部材本体と反対側に上下方向に形成された複数の係合部と、前記移動部材と対向して設けられ、前記係合部に係合される被係合部が形成された押し当て部材と、前記固定部材本体の前記移動部材と反対側に設けられ、前記押し当て部材と連結される回転軸を有する調整ノブと、前記調整ノブの前記固定部材本体と対向する面に設けられたロック解除面と、前記調整ノブの前記ロック解除面から突出する突出部と、前記固定部材本体の前記調整ノブと対向する面に設けられ、前記突出部が乗り上げる当接部と、を備え、前記調整ノブの回転操作によりロック時には前記突出部が前記当接部に乗り上げ、前記押し当て部材が前記移動部材側に移動して前記被係合部が前記係合部に係合され、前記調整ノブの回転操作によりロック解除時には前記ロック解除面に前記当接部が入り込み、前記押し当て部材が前記移動部材と反対側に移動して前記係合部と前記被係合部との係合が外れ、前記固定部材本体に対して前記移動部材がスライド可能とされることを特徴としている。
請求項1に記載の発明では、移動部材に設けられた摺動部が固定部材本体のレール部に沿ってスライドすることにより、移動部材が固定部材本体に対して上下方向にスライドする。移動部材の固定部材本体と反対側には、上下方向に複数の係合部が形成されており、移動部材と対向して設けられた押し当て部材の被係合部が係合可能となっている。固定部材本体の移動部材と反対側には、押し当て部材と連結される回転軸を備えた調整ノブが設けられており、調整ノブの固定部材本体と対向する面にロック解除面と、ロック解除面から突出する突出部とが設けられている。固定部材本体の調整ノブと対向する面には、突出部が乗り上げる当接部が設けられている。そして、調整ノブを回転操作により回転させると、ロック時には調整ノブの突出部が固定部材本体の当接部に乗り上げ、押し当て部材が移動部材側に移動して被係合部が係合部に係合される。これにより、調整ノブと押し当て部材との間で固定部材本体と移動部材とが挟持され、移動部材が固定される。このため、任意の係合部に被係合部を係合することで、移動部材が任意の位置で固定部材本体に固定され、固定部材本体に対する移動部材の高さを調整することが可能となる。
また、調整ノブを回転操作により回転させると、ロック解除時には調整ノブの突起部が固定部材本体の当接部から外れて、調整ノブのロック解除面に当接部が入り込み、押し当て部材が移動部材と反対側に移動して係合部と被係合部との係合が外れる。これにより、固定部材本体に対して移動部材がスライド可能となる。
このため、簡単な操作により移動部材の高さを調整することができると共に、調整ノブと押し当て部材との間に移動部材と固定部材本体とを挟持することにより、移動部材を安定して固定することができ、移動部材のガタツキの発生や移動部材の係合が不安定になることが抑制される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高さ調整機構において、前記係合部が凹部又は凸部であり、前記被係合部が凸部又は凹部であることを特徴としている。
請求項2に記載の発明では、移動部材の上下方向に複数の凹部又は凸部が形成されており、押し当て部材の凸部又は凹部が移動部材の任意の凹部又は凸部に係合されることで、移動部材が固定される。このため、簡易な構成により、移動部材の高さを調整することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の高さ調整機構において、前記被係合部が凸部であり、弾性変形可能な第1凸部と、前記第1凸部よりも突出高さが低い第2凸部とを備え、前記調整ノブの回転操作によりロック解除時には、前記係合部の前記凹部と前記第2凸部との係合が完全に外れると共に、前記第1凸部が前記係合部の前記凹部と係合していることを特徴としている。
請求項3に記載の発明では、押し当て部材は、被係合部として弾性変形可能な第1凸部と、第1凸部よりも突出高さが低い第2凸部とを備え、移動部材は、係合部として凹部を備えており、調整ノブを回転操作により回転させると、ロック解除時には調整ノブのロック解除面に固定部材本体の当接部が入り込み、押し当て部材が移動部材と反対側に移動することで、移動部材の凹部と第2凸部との係合が完全に外れる。この状態では、第1凸部が移動部材の凹部と係合しており、移動部材を上下方向にスライドさせると、第1凸部が弾性変形して凹部から外れる。従って、調整ノブの回転操作によりロック解除時には第1凸部が凹部と係合しているので、移動部材が自重でずり落ちることが抑制される。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の高さ調整機構において、前記当接部は、湾曲形状の凸状面からなり、前記突出部に、前記凸状面が係合される凹状面が形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明では、当接部が湾曲形状の凸状面からなるので、調整ノブを回転させると、ロック時には突出部が凸状面を摺動し、突出部に形成された凹状面に凸状面が係合される。この状態で、押し当て部材が移動部材側に移動して移動部材の係合部が固定部材本体の被係合部に係合される。また、調整ノブを回転させると、ロック解除時には突出部が凸状面を摺動しながら移動し、突出部が凸状部から外れる。このため、調整ノブをスムーズに回転させることができ、操作性が良い。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の高さ調整機構において、前記突出部は、湾曲形状の凸状面からなり、前記当接部は、前記調整ノブ側に突出し、先端部に前記凸状面が係合される凹状面を備えることを特徴としている。
請求項5に記載の発明では、突出部が湾曲形状の凸状面からなるので、調整ノブを回転させると、ロック時には凸状面が調整ノブ側に突出した当接部を摺動し、当接部の先端部に形成された凹状面に凸状面が係合される。この状態で、押し当て部材が移動部材側に移動して移動部材の係合部が固定部材本体の被係合部に係合される。また、調整ノブを回転させると、ロック解除時には凸状面と当接部の凹状面との係合が外れ、凸状面が当接面を摺動しながら移動する。これにより、調整ノブをスムーズに回転させることができ、操作性が良い。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の高さ調整機構において、前記固定部材本体に、前記調整ノブの回転方向に沿って形成された傾斜面を備え、前記当接部は、前記傾斜面の頂部であり、前記突出部に、前記傾斜面を摺動して前記当接部に係合されることにより前記移動部材をロックする凸状湾曲面が形成されており、前記突出部が前記傾斜面の底部側に移動したときに前記移動部材のロックが解除されることを特徴としている。
請求項6に記載の発明では、固定部材本体に調整ノブの回転方向に沿って傾斜面が形成されており、調整ノブを回転させると、突出部が傾斜面を摺動する。そして、突出部が傾斜面の頂部に到達すると、突出部に形成された凸状湾曲面が傾斜面の頂部の当接部に係合され、移動部材がロックされる。すなわち、凸状湾曲面が当接部に係合されると、押し当て部材が移動部材側に移動して、移動部材の係合部が固定部材本体の被係合部に係合され、移動部材がロックされる。また、ロック状態から調整ノブを回転させると、突出部の凸状湾曲面が当接部から外れ、突出部の凸状湾曲面が傾斜面を摺動して傾斜面の底部側に移動することで、移動部材がロック解除される。この構成では、調整ノブに傾斜面を形成することで、調整ノブをスムーズに回転させることができ、操作性が向上する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の高さ調整機構において、前記傾斜面の頂部に、第1凹状湾曲面が形成され、前記突出部が係合されることを特徴としている。
請求項7に記載の発明では、傾斜面の頂部に第1凹状湾曲面が形成されており、傾斜面の頂部で突出部の凸状湾曲面が第1凹状湾曲面に係合されることにより、移動部材がロックされる。突出部の凸状湾曲面と第1凹状湾曲面との係合により、操作者がロック状態を容易に認識できると共に、ロック時に突出部の凸状湾曲面が第1凹状湾曲面から外れにくい。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の高さ調整機構において、前記傾斜面の最下終端部には、前記凸状湾曲面が係合して前記移動部材をロック解除する第2凹状湾曲面が形成されていることを特徴としている。
請求項8に記載の発明では、ロック状態から調整ノブを回転させると、突出部の凸状湾曲面が、当接部の頂部から傾斜面を摺動しながら傾斜面の最下終端部に移動し、突出部の凸状湾曲面が第2凹状湾曲面に係合される。これにより、ロック解除状態で調整ノブの回転が規制され、移動部材を固定部材本体に対して上下方向にスライドさせる際の操作性が向上する。
請求項9に記載の発明は、請求項3に記載の高さ調整機構において、前記押し当て部材は、前記第1凸部と前記第2凸部とが上下方向に沿って配置され、前記第1凸部と前記第2凸部との間に、前記第1凸部の弾性変形を許容するスリットが形成されていることを特徴としている。
請求項9に記載の発明では、第1凸部と第2凸部との間に、第1凸部の弾性変形を許容するスリットが形成されているので、ロック時には、第1凸部の移動部材側への弾性復元力により、第1凸部が移動部材の凹部にしっかりと係合すると共に、第2凸部が移動部材の凹部に係合して移動部材が固定される。また、ロック解除時には、移動部材を上下方向にスライドさせると、第1凸部の弾性変形により、第1凸部と移動部材の凹部との係合が外れやすい。このため、移動部材を上下方向へスムーズにスライドさせることができる。
請求項10に記載の発明は、子供が着席可能な子供乗せ装置であって、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の高さ調整機構を備え、前記固定部材本体が、二輪車本体に固定支持され、子供が着座可能な子供乗せ装置本体であり、前記移動部材が、頭部を保護するヘッドガード、肩部を保護するショルダーガード、又は、子供の頭部を保護するヘッドガード部と肩部を保護するショルダーガード部を一体に構成したガード部材であることを特徴としている。
請求項10に記載の発明に係る子供乗せ装置では、固定部材本体が、二輪車本体に固定支持され、子供が着座可能な子供乗せ装置本体であり、移動部材が、頭部を保護するヘッドガード、肩部を保護するショルダーガード、又は、子供の頭部を保護するヘッドガード部と肩部を保護するショルダーガード部を一体に構成したガード部材であるので、子供の成長や身長に合わせて、子供乗せ装置本体に対して、ヘッドガード、ショルダーガード又はガード部材の高さを調整することが可能である。これにより、子供の体格に合わせて肩部や頭部を適切に保護することができ、走行時や転倒時の安全性を確保することができる。
請求項11に記載の発明に係る二輪車は、二輪車本体に請求項10に記載の子供乗せ装置が取り付けられていることを特徴としている。
請求項11に記載の発明に係る二輪車では、二輪車本体に請求項10に記載の子供乗せ装置が取り付けられているので、子供の成長や身長に合わせて、子供乗せ装置本体に対して、ヘッドガード、ショルダーガード又はガード部材の高さを調整することができる。これにより、子供の体格に合わせて肩部や頭部を適切に保護することができ、二輪車の走行時や転倒時の安全性を確保することができる。
請求項1の発明に係る高さ調整機構では、簡単な操作によって移動部材を固定部材本体に対して上下方向にスライドさせて移動部材の高さを調整できると共に、移動部材のガタツキを抑制し、移動部材を安定状態で固定部材本体に固定することができる。さらに、押し当て部材等の薄肉化が可能であり、高さ調整機構のコンパクト化を実現できる。
請求項2の発明に係る高さ調整機構では、簡易な構成により、移動部材の高さを調整することができる。
請求項3の発明に係る高さ調整機構では、調整ノブの回転操作によりロック解除時に被係合部の第1凸部が係合部の凹部と係合しているので、移動部材が自重でずり落ちることを抑制することができる。
請求項4の発明に係る高さ調整機構では、調整ノブをスムーズに回転させることができ、操作性が良い。
請求項5の発明に係る高さ調整機構では、調整ノブをスムーズに回転させることができ、操作性が良い。
請求項6の発明に係る高さ調整機構では、調整ノブをスムーズに回転させることができ、操作性が良い。
請求項7の発明に係る高さ調整機構では、ロック解除状態で調整ノブの回転が規制され、移動部材を上下方向にスライドさせる際の操作性が向上する。
請求項8の発明に係る高さ調整機構では、ロック時に第1凸部を移動部材の凹部にしっかりと係合させることができると共に、ロック解除時に、移動部材を上下方向にスムーズにスライドさせることができる。
請求項9の発明に係る子供乗せ装置では、子供の身長や体格に合わせて、子供乗せ装置本体に対して、ヘッドガード、ショルダーガード又はガード部材の高さを調整して頭部又は肩部を保護することができ、二輪車の走行時や転倒時の安全性を確保することができる。
請求項10の発明に係る二輪車によれば、子供の身長や体格に合わせて、子供乗せ装置本体に対して、ヘッドガード、ショルダーガード又はガード部材の高さを調整して頭部又は肩部を保護することができ、二輪車の走行時や転倒時の安全性を確保することができる。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態である高さ調整装置を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態である高さ調整装置30を備えたバスケットを兼用した子供乗せバスケット10が示されている。また、図15には、子供乗せバスケット10が取り付けられた二輪車1が示されている。
図15に示されるように、子供乗せバスケット10は、固定部材本体としての籠状の子供乗せバスケット本体12を備えている。子供乗せバスケット10は、二輪車1の前方側に取り付けられており、子供乗せバスケット本体12の下部は、二輪車1の前輪3側に配設されたヘッドパイプ2に取付金具4によって固定支持されている。ヘッドパイプ2の上部には、ハンドルバー6が子供乗せバスケット本体12の両側に略L字状に延びるように配設されている。
図1〜図3に示されるように、子供乗せバスケット本体12は、子供が着席可能な座部12Aと、この座部12Aの後方から上方側に起立するように延びた背凭れ部12Bと、この背凭れ部12Bから両サイドを囲むように延びたサイド部12Cと、を備えている。座部12Aと背凭れ部12Bとサイド部12Cは連続して湾曲面を形成するように設けられており、背凭れ部12Bとサイド部12Cの高さはほぼ同じで、サイド部12Cの前方側の高さがやや低くなるように形成されている。座部12Aの前方側には、子供の足部が置載される足載せ部14が設けられており、座部12Aの前方下部から斜め下方側に延設されたベース部材16に沿って足載せ部14がスライド可能となっている。サイド部12Cの前端部には、足載せ部14の上方側に、幅方向に沿って透明素材からなるカウリング18が取付けられている。
子供乗せバスケット本体12の背凭れ部12Bの内側面(前方側の面)の上方部には、子供乗せバスケット本体12の内側面と一部が重なり合うように移動部材としてのヘッドガード20が配設されている。このヘッドガード20は、子供乗せバスケット本体12に着席した子供の頭部を保護するものである。また、サイド部12Cの前端付近の上部には、カウリング18より後方に、子供が握ることができ、また子供の前方側をガードするハンドルバー22が掛け渡されている。ハンドルバー22を設けることで、子供が着座したときにハンドルバー22を握って自身の身体を支えることができ、子供に安心感を与えることができる。なお、図示を省略するが、ハンドルバー22は両端部の軸部を支点として前後方向に回動可能に構成されている。
子供乗せバスケット10は、子供乗せバスケット本体12に子供が着席可能な椅子としての機能と、子供乗せバスケット本体12に荷物を入れる荷物籠としての機能と、を備えている。すなわち、ベース部材16に沿って足載せ部14をスライドさせて所定位置で固定することにより、子供が子供乗せバスケット本体12の座部12Aに着席し、足部を子供乗せバスケット本体12から出して足載せ部14に載置することができる。また、足載せ部14をベース部材16の最上部へスライドさせて固定することにより、子供乗せバスケット本体12内に荷物を入れることができる。
図4〜図6に示されるように、子供乗せバスケット10には、ヘッドガード20を子供乗せバスケット本体12の内側面に沿って上下方向にスライドさせて所定の位置で固定する高さ調整装置30が設けられている。高さ調整装置30は、子供乗せバスケット本体12の背凭れ部12Bの中央部に上下方向に沿って形成された凹状のレール部12Dを備えている。また、ヘッドガード20は、着席した子供の後頭部と対向する後方部20Aと、後方部20Aから子供の側頭部に沿って両サイド側に湾曲するように延びた翼部20Bと、後方部20Aの中央部から下方側に延びた下方延設部20Cと、を備えている。また、高さ調整装置30には、ヘッドガード20の背面側に、子供乗せバスケット本体12のレール部12Dに挿入される凸状の摺動部20Dが設けられている。そして、レール部12Dに沿って摺動部20Dが移動することで、ヘッドガード20が子供乗せバスケット本体12に対して上下方向にスライド可能となっている。
また、高さ調整装置30には、ヘッドガード20の摺動部20Dの内側面(子供乗せバスケット本体12と反対側の面)に上下方向に複数形成された係合凹部32と、この係合凹部32と対向する位置(ヘッドガード20の前方側)に配設された押し当て部材34と、子供乗せバスケット本体12の背面側に回転可能に設けられた調整ノブ36と、が設けられている。調整ノブ36には、押し当て部材34と連結される回転軸37が設けられている。ヘッドガード20の摺動部20Dの中央部には、上下方向に沿って長孔20Eが形成されており、複数の係合凹部32は、長孔20Eの両側に左右1対となるように水平方向の位置を合わせて設けられている。また、図8に示されるように、子供乗せバスケット本体12には、回転軸37が挿通される円形状の孔12Eが形成されている。図6に示されるように、回転軸37は、子供乗せバスケット本体12の孔12Eとヘッドガード20の長孔20Eと押し当て部材34の孔35に挿通されており、回転軸37の先端のねじ部には押し当て部材34の抜け止め用のナット38が締結されている。なお、図6に示されるように調整ノブ36は内部に六角ボルトをインサート成形しており、調整ノブ36の回転軸37の補強及び回転軸37先端のねじ部となっている。調整ノブ36を回転させるとこの六角ボルトも一体に回転する。
図7に示されるように、押し当て部材34は、矩形状の部材からなり、押し当て部材34のヘッドガード20と対向する面には、上端部と下端部に幅方向に配置された一対の第1凸部34Aがそれぞれ設けられている。押し当て部材34の上端部と下端部は薄板状で弾性変形が可能であり、第1凸部34Aが弾性的に変位可能に設けられている。押し当て部材34の中間部には、回転軸37が挿通される孔35の両側に第2凸部34Bが設けられている。また、第2凸部34Bは、第1凸部34Aよりもヘッドガード20側への突出高さが低く形成されている。これらの第1凸部34Aと第2凸部34Bは、ヘッドガード20に形成された係合凹部32に係合可能となっている。
図8に示されるように、子供乗せバスケット本体12の背面側(調整ノブ36側)には、孔12Eの周囲に略円形状に突出する突出面42が形成されており、この突出面42上を調整ノブ36が摺動しながら回転するように構成されている。突出面42の上下と左右には、孔12Eを中心として略90°の位置に4つの当接部44が設けられている。当接部44は、調整ノブ36(図6参照)側に突出する円弧状の凸状面からなり、円弧状の凸状面の斜面部分の傾斜の方向が略円形状の突出面42の周方向、すなわち調整ノブ36の回転方向に沿って配置されている。
図9〜図11に示されるように、調整ノブ36の子供乗せバスケット本体12と対向する面には、回転軸37を中心として略90°の位置に、子供乗せバスケット本体12側に突出する4つの突出部36Aが設けられている。4つの突出部36Aは、調整ノブ36の周縁付近に設けられている。突出部36Aの先端部には、当接部44が係合される円弧状の凹状面36Bが形成されている。また、調整ノブ36の子供乗せバスケット本体12と対向する面には、4つの突出部36Aの間にロック解除面36Cが設けられている。ロック解除面36Cは、突出部36Aに対して凹状に窪んだ形状となっている。図10では、分かりやすくするために、調整ノブ36の2つの突出部36Aと直交する方向に切断した断面が示されている。なお、後に詳述するが、突出部36Aの凹状面36Bは、ヘッドガード20をロックするためのロック面を構成している。また、調整ノブ36の表面(子供乗せバスケット本体12と反対側)には、操作者が把持するためのツマミ36Dが直径方向に設けられている。
調整ノブ36は、左右両方向に回転するものであり、どちらか一方に動かすと、突出部36Aによるヘッドガード20のロックと、ロック解除面36Cによるヘッドガード20のロック解除を繰り返す構成となっている。例えば、調整ノブ36を右方向(図11中の矢印A方向)に回転すると、図10(B)に示されるように、調整ノブ36の突出部36Aが子供乗せバスケット本体12の当接部44に乗り上げ、凹状面36Bが当接部44に係合される。そのとき、図6に示されるように、調整ノブ36の回転軸37の先端に設けられた押し当て部材34がヘッドガード20の摺動部20Dの内側面の係合凹部32に近づく方向に移動し、押し当て部材34の第1凸部34A及び第2凸部34Bがヘッドガード20の係合凹部32に係合されるようになっている。
また、調整ノブ36を右方向(図11中の矢印A方向)に回転すると、図10(A)に示されるように、突出部36Aの凹状面36Bが当接部44から外れて、ロック解除面36Cに当接部44が入り込み、調整ノブ36の回転軸37の先端に設けられた押し当て部材34がヘッドガード20の摺動部20Dの内側面の係合凹部32から離れる方向に移動する。これにより、押し当て部材34の第2凸部34Bとヘッドガード20の係合凹部32との係合が完全に外れると共に、第1凸部34Aと係合凹部32との係合が外れないように構成されている。また、図6に示されるように、押し当て部材34は、回転軸37のねじ部に締結されたナット38によって抜け止めされており、押し当て部材34の孔35内を回転軸37が回転可能となっている。また、押し当て部材34は矩形状で、ヘッドガード20の摺動部20Dの左右の側壁(凹形状)の間に適度な隙間をもって配置されており、摺動部20Dの左右の側壁により、押し当て部材34の回転が抑制されている。さらに、調整ノブ36を右方向(図11中の矢印A方向)に回転すると、突出部36Aによるヘッドガード20のロックと、ロック解除面36Cによるヘッドガード20のロック解除とが繰り返される。また、調整ノブ36を左方向(図11中の矢印Aと反対方向)に回転しても、突出部36Aによるヘッドガード20のロックと、ロック解除面36Cによるヘッドガード20のロック解除とが繰り返される。
図1、図2及び図13に示されるように、子供乗せバスケット本体12のレール部12Dの両側部には、ヘッドガード20のスライド方向に長円形状のスライド孔13が形成されている(図1、図2及び図13等では手前側のみ図示)。このスライド孔13には、摺動部20Dに設けられたガイドピン21が上下方向にスライド可能に係止されている。これにより、ヘッドガード20は、ガイドピン21によってレール部12Dの2箇所でスライド孔13に案内されながら、上下方向にスライドする。図1及び図13に示されるように、ヘッドガード20は、ガイドピン21がスライド孔13の最上部に移動した位置と、ガイドピン21がスライド孔13の最下部に移動した位置との間をスライド可能となっている。
図4及び図5に示されるように、ヘッドガード20の後方部20Aには、摺動部20Dの両側にシートベルトを取付けるための1対の取付孔50が上下方向に2箇所設けられている。取付孔50は、幅方向端部が斜め下方に傾斜するように設けられている。シートベルト(図示省略)は、1対の取付孔50のうち下部の取付孔50に内側から一旦外側に通して、上部の取付孔50から内側に入れなおし、「日」の字形の金具で止めるようになっており、この金具でシートベルトの長さを調節することができる。シートベルト(図示省略)は、上下方向の2箇所に設けられた1対の取付孔50のどちらに取り付けてもよい。
また、ヘッドガード20の内側面の上部には、摺動部20Dの両側に後方側に凹んだ2つの凹部56が形成されている。2つの凹部56は、子供乗せバスケット本体12に子供が着席したときに、子供の後頭部及び側頭部に対応する面に設けられている。2つの凹部56は、湾曲面状であり、左右対称に形成されている。2つの凹部56は、子供乗せバスケット本体12に子供が着席したときに、子供が着用するヘルメットの逃げ部となり、ヘルメットとヘッドガード20とが干渉するのを防止することができる。
図14に示されるように、ヘッドガード20の内側には、ヘッドガード20の上部の中央部に2つの凹部56と対応して装着されるクッション60Aと、両サイドの翼部20Bに装着されるクッション60Bと、凹部56の下部の後方部20Aに装着されるクッション60Cとが設けられている。また、クッション60Cの上部の両側には、上部側の取付孔50と干渉しないように切り欠き部61が設けられている。また、クッション60Cの中間部の両側には、下部側の取付孔50と干渉しないように開口62(図14では右側のみを図示)が設けられている。これらのクッション60A、60B、60Cは、内部に発泡性ポリウレタンなどの弾性体が装填された衝撃吸収部材であり、ヘッドガード20の内側面に図示しないマジックテープ(登録商標)によって着脱可能に装着されている。また、クッション60Aは、凹部56に沿った湾曲形状となるように形成されている。
次に、上記のような構成の高さ調整装置30の作用について説明する。
調整ノブ36の回転操作により調整ノブ36を例えば右方向(図11中の矢印A方向)に回転すると、図10(B)に示されるように、調整ノブ36の突出部36Aが子供乗せバスケット本体12の当接部44に乗り上げ、突出部36Aの凹状面36Bが当接部44に係合される。そのとき、当接部44が円弧状の凸状面からなるので、調整ノブ36の回転がスムーズとなる。これにより、図6に示されるように、調整ノブ36の回転軸37の先端に設けられた押し当て部材34がヘッドガード20の摺動部20Dの内側面の係合凹部32に近づく方向に移動し、押し当て部材34の第1凸部34A及び第2凸部34Bがヘッドガード20の係合凹部32に係合される(ロック状態)。これによって、調整ノブ36と押し当て部材34との間で子供乗せバスケット本体12とヘッドガード20とが挟持され、ヘッドガード20が固定される。押し当て部材34の第1凸部34A及び第2凸部34Bがヘッドガード20の任意の係合凹部32に係合されることで、図1、図3、図12及び図13に示されるように、ヘッドガード20が任意の位置で子供乗せバスケット本体12に固定され、子供乗せバスケット本体12に対するヘッドガード20の高さを調整することができる。
一方、ヘッドガード20の高さを調整する際には、調整ノブ36の回転操作により調整ノブ36を左右どちらかの方向に回転させる。例えば、右方向(図11中の矢印A方向)に回転すると、図10(A)に示されるように、突出部36Aの凹状面36Bが子供乗せバスケット本体12の当接部44から外れて、調整ノブ36のロック解除面36Cに当接部44が入り込み、調整ノブ36の回転軸37の先端に設けられた押し当て部材34がヘッドガード20の摺動部20Dから後退する方向に移動する。これにより、押し当て部材34の第2凸部34Bとヘッドガード20の係合凹部32との係合が完全に外れ(ロック解除状態)、子供乗せバスケット本体12に対してヘッドガード20がスライド可能となる。
このとき、押し当て部材34の第1凸部34Aとヘッドガード20の係合凹部32との係合が外れないので、ヘッドガード20が自重でずり落ちることを防止することができる。
ヘッドガード20を子供乗せバスケット本体12のレール部12Dに沿って上下方向にスライドさせると、第1凸部34Aの弾性変形により係合凹部32との係合が外れて次の係合凹部32に係合され、これを繰り返しながらヘッドガード20が上下方向にスライドする。
その際、図1に示されるように、ヘッドガード20は、中央部付近のレール部12Dの2箇所で、ガイドピン21がスライド孔13に係止された状態でスライドする。これにより、ヘッドガード20を子供乗せバスケット本体12に対してスムーズにスライドさせることができると共に、ヘッドガード20のガタツキを抑制できる。
図6に示されるように、ヘッドガード20を所望の位置にスライドさせ、調整ノブ36を左右どちらかの方向に回転すると、第1凸部34Aと第2凸部34Bが係合凹部32に係合されると共に、調整ノブ36と押し当て部材34との間で子供乗せバスケット本体12とヘッドガード20とが挟持され、ヘッドガード20が子供乗せバスケット本体12に固定される。これにより、簡単な操作によってヘッドガード20の高さを調整することができる。
このように、ヘッドガード20を子供乗せバスケット本体12に対して上下方向にスライドさせることにより、子供の成長や異なる身長の子供の体格に合わせてヘッドガード20を適切な高さに調整することができる。これにより、子供の体格に合わせて頭部が適切に保護され、走行時や転倒時に安全性を確保することができる。
例えば、子供が子供乗せバスケット本体12に着座したときに、頭部がヘッドガード20にほぼ納まるようにヘッドガード20の高さを調整することで、頭部や肩部を保護することができる。
また、高さ調整装置30では、調整ノブ36にロック解除面36Cと突出部36Aを設け、突出部36Aの凹状面36Bに子供乗せバスケット本体12の当接部44が係合したときにロック状態とし、ロック解除面36Cにバスケット本体12の当接部44が入り込んだときにロック解除状態とされており、カム機構が調整ノブ36側に集約されている。このため、押し当て部材34等の薄肉化が可能であり、高さ調整装置30のコンパクト化を実現できる。
また、子供乗せバスケット本体12の当接部44を湾曲形状の凸状面とし、調整ノブ36に突出部36Aと凹状面36Bを設けたので、調整ノブ36を左右どちらかの方向に回転すると、ロック時には調整ノブ36の突出部36Aが当接部44の凸状面を摺動しながら乗り上げる。また、調整ノブ36を左右どちらかの方向に回転すると、ロック解除時には調整ノブ36の突出部36Aが当接部44の凸状面を摺動して当接部44との係合が外れる。このため、調整ノブ36をスムーズに回転させることができる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態である高さ調整装置を図面に基づいて説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図16及び図17には、本発明の第2実施形態である高さ調整装置82を備えたバスケットを兼用した子供乗せバスケット80の部分斜視図が示されている。これらの図に示されるように、高さ調整装置82には、ヘッドガード20の係合凹部32と対向する位置(ヘッドガード20の前方側)に配設された押し当て部材84と、子供乗せバスケット本体12の背面側に取り付けられた取付部材86と、取付部材86に回転可能に設けられた調整ノブ88と、が設けられている。
押し当て部材84は、外形が略矩形状の部材からなり、押し当て部材84のヘッドガード20と対向する面には、幅方向に配置された一対の第1凸部34Aが上端部と下端部にそれぞれ設けられており、上端部と下端部の第1凸部34Aの間であって、回転軸37が挿通される孔35の両側には、第2凸部34Bが設けられている。押し当て部材84の上端部の第1凸部34Aと第2凸部34Bの間には、孔35の両側に、第1凸部34Aと第2凸部34Bとを上下に分割する略L字状のスリット85Aが左右対称に形成されている。また、押し当て部材84の下端部の第1凸部34Aと第2凸部34Bの間には、孔35の両側に、第1凸部34Aと第2凸部34Bとを上下に分割する略L字状のスリット85Bが左右対称に形成されている。押し当て部材84の第2凸部34Bの上下にスリット85A、85Bが形成されることで、押し当て部材84の第2凸部34Bが設けられた部分は略T字状となっている。また、左右の第1凸部34Aの間の部分には薄肉部84Aが形成されている。
一方、押し当て部材84の第2凸部34Bの背面側には、孔35の両側に左右方向に向かって補強用のリブ84Bが形成されている。これにより、第2凸部34Bの周囲の剛性を高くすることができる。従って、スリット85A、85B及び薄肉部84Aにより押し当て部材84の上端部及び下端部の第1凸部34Aが第2凸部34Bよりもヘッドガード20に接触及び後退する方向に弾性変形しやすくなる。また、第1実施形態と同様に第2凸部34Bは、第1凸部34Aよりもヘッドガード20側への突出高さが低く形成されている。
図17及び図18に示されるように、子供乗せバスケット本体12の背面側(調整ノブ36側)には、孔12Eの周囲に環状の壁部90が形成されており、壁部90の内側に、円板状の取付部材86が取り付けられている。取付部材86は、取付部材86に設けられた凸部(図示省略)が子供乗せバスケット本体12の凹部(図示省略)に係合されることで、子供乗せバスケット本体12に固定されている。そして、取付部材86上を調整ノブ88が摺動しながら回転するように構成されている。
図18に示されるように、取付部材86の表面の上半分と下半分には、調整ノブ88の回転方向に沿って調整ノブ88側に突出した傾斜面86Aが形成されている。傾斜面86Aには、取付部材86の上下(図18中の孔12Eの上部と下部)に調整ノブ88側に突出した頂部86Bと、取付部材86の左右(図18中の孔12Eの左側と右側)に調整ノブ88に対して後退した底部86Cと、が形成されている。傾斜面86Aの頂部86Bが本発明の当接部となっている。また、底部86Cが本発明の最下終端部となっている。頂部86Bには、取付部材86の上下方向に沿って第1凹状湾曲面87Aが形成されており、底部86Cには、取付部材86の横方向に沿って第2凹状湾曲面87Bが形成されている。また、取付部材86の中央部には、子供乗せバスケット本体12の孔12Eと合致する位置に、調整ノブ88の回転軸37が挿通する孔86Dが形成されている。
図16、図17及び図19に示されるように、調整ノブ88の取付部材86と対向する面には、回転軸37の上下に、取付部材86側に突出する2つの突出部88Aが設けられている。突出部88Aには、第1凹状湾曲面87Aと第2凹状湾曲面87Bと係合可能な凸状湾曲面89Aが形成されている。突出部88Aの凸状湾曲面89Aがヘッドガード20をロックするためのロック面となっている。また、調整ノブ88の取付部材86と対向する面には、回転軸37の左右に、取付部材86に対して後退する方向に窪んだ窪み部88Bが設けられている。調整ノブ36の2つの突出部88Aの間の窪み部88B付近が、ヘッドガード20をロック解除するロック解除面となっている。
次に、上記のような構成の高さ調整装置82の作用について説明する。
調整ノブ88は、左右両方向に回転するものであり、調整ノブ88をどちらか一方に回転させると、調整ノブ88に形成された突出部88Aの凸状湾曲面89Aが取付部材86の傾斜面86Aを摺動する。そして、突出部88Aの凸状湾曲面89Aが傾斜面86Aの頂部86Bに形成された第1凹状湾曲面87Aに係合することで調整ノブ88の回転が規制される。これにより、調整ノブ88の回転軸37の先端に設けられた押し当て部材84がヘッドガード20の係合凹部32に近づく方向に移動し、押し当て部材84の第1凸部34A及び第2凸部34Bがヘッドガード20の係合凹部32に係合される(ロック状態)。なお、押し当て部材84がヘッドガード20の係合凹部32に近づく方向に移動するとき、押し当て部材84の第1凸部34Aは第1実施形態と同様に、押し当て部材84の第1凸部34A周囲が弾性変形する。これによって、調整ノブ88と押し当て部材84との間で子供乗せバスケット本体12とヘッドガード20とが挟持され、ヘッドガード20が固定される。
一方、ヘッドガード20の高さを調整する際には、調整ノブ88の回転操作により調整ノブ88をどちらかの方向に回転させる。これにより、突出部88Aの凸状湾曲面89Aが頂部86Bの第1凹状湾曲面87Aから外れて、突出部88Aの凸状湾曲面89Aが傾斜面86Aの底部86C側に摺動する。そして、突出部88Aの凸状湾曲面89Aが底部86Cの第2凹状湾曲面87Bに係合することで、調整ノブ88の回転が規制される。その際、傾斜面86Aの頂部86Bは、調整ノブ88の窪み部88Bと対向する位置となり、ロック解除面に移動している。この状態では、調整ノブ88の回転軸37の先端に設けられた押し当て部材84がヘッドガード20から後退する方向に移動する。これにより、押し当て部材84の第2凸部34Bとヘッドガード20の係合凹部32との係合が完全に外れ(ロック解除状態)、子供乗せバスケット本体12に対してヘッドガード20がスライド可能となる。
そして、ヘッドガード20を所望の位置にスライドさせ、調整ノブ88をどちらかの方向に回転すると、前述のロック状態となり、ヘッドガード20が子供乗せバスケット本体12に固定される。これにより、簡単な操作によってヘッドガード20の高さを調整することができる。
このような高さ調整装置82では、突出部88Aの凸状湾曲面89Aを傾斜面86Aの頂部86Bと底部86Cとの間を摺動させるので、調整ノブ88をスムーズに回転させることができ、操作性が良い。
また、押し当て部材84には、スリット85A、85Bが形成されており、第1凸部34Aが弾性変形しやすい。このため、ロック時には、第1凸部34Aのヘッドガード20側への弾性復元力により、第1凸部34Aがヘッドガード20の係合凹部32にしっかりと係合すると共に、第2凸部34Bがヘッドガード20の係合凹部32と係合してヘッドガード20が固定される。また、ロック解除時には、ヘッドガード20を上下方向にスライドさせると、第1凸部34Aがヘッドガード20から後退する側へ弾性変形し、第1凸部34Aとヘッドガード20の係合凹部32との係合が外れやすい。ただし、第1実施形態と同様に自重でずり落ちるほどではない。このため、ヘッドガード20を上下方向へスムーズにスライドさせることができる。
〔上述した実施形態の補足説明〕
なお、上記第1及び第2実施形態では、押し当て部材34、84に第1凸部34Aと第2凸部34Bが形成され、ヘッドガード20に係合凹部32が形成されていたが、この構成に限定するものではない。例えば、押し当て部材34、84に係合凹部を形成し、ヘッドガード20に係合凸部を形成する構成でもよい。
なお、上記第1実施形態では、子供乗せバスケット本体12の当接部44を湾曲形状の凸状面とし、調整ノブ36に突出部36Aと凹状面36Bを設けたが、この構成に限定するものではない。例えば、第2実施形態のように、調整ノブ36の突出部を湾曲形状の凸状面とし、子供乗せバスケット本体12から突出する当接部の先端に凹状面を設けてもよい。これにより、調整ノブ36をスムーズに回転させることができる。
また、第2実施形態では、子供乗せバスケット本体12と取付部材86が別体であるが、子供乗せバスケット本体12と取付部材86を一体に構成してもよい。
なお、上記第1及び第2実施形態では、ヘッドガード20を子供乗せバスケット本体12に対して上下方向にスライドさせる高さ調整装置30、80が設けられていたが、この構成に限定するものではない。すなわち、本発明の移動部材は、ヘッドガード20に限定するものではなく、また、固定部材本体も子供乗せバスケット本体12に限定するものではなく、他の構成にも適用可能である。例えば、ショルダーガード部とヘッドガード部とを一体に構成したガード部材を子供乗せバスケット本体12に対して上下方向にスライドさせる機構、ショルダーガードを子供乗せバスケット本体12に対してスライドさせる機構にも本発明の高さ調整装置30、80を適用可能である。