JP5098460B2 - 含フッ素ポリエーテル化合物、その製造方法およびそれを含有する硬化性組成物 - Google Patents
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Description
(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、Xはヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位であり、2価のパーフルオロポリエーテル基
-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
において、(CF2CF2O)基および(CF2O)基はそれぞれパーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダムに分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5であり、数平均分子量Mnは500〜20000である)で表わされる含フッ素ポリエーテル化合物が提供される。
FOCCF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2COF
(ここで、2価のパーフルオロポリエーテル基
-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
において、(CF2CF2O)基および(CF2O)基はそれぞれパーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダムに分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5であり、数平均分子量Mnは500〜20000である)で表わされる含フッ素ジカルボン酸フルオリド化合物を、一般式
(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、Xはヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位である)で表わされる芳香族1級または2級アミン化合物と、好ましくはピリジン等の活性水素を有しない塩基性含窒素複素環化合物またはトリエチルアミン等の3級アミン化合物の存在下で反応させることにより製造される。
(A)成分 含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B)成分 芳香族ボロン酸エステル化合物 0.1〜10重量部
(C)成分 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D)成分 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E)成分 有機リン化合物 0〜5重量部
において、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、特に製造面から水素原子またはメチル基であることが好ましい。ただし、水素原子の場合には、得られる含フッ素ポリエーテル化合物の粘度が高くなる傾向にある。Xは、ヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位である。
-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
において、(CF2CF2O)基および(CF2O)基はそれぞれパーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダムに分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5であり、数平均分子量Mnは500〜20000である。
(A)成分 含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B)成分 芳香族ボロン酸エステル化合物 0.1〜10重量部
(C)成分 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D)成分 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E)成分 有機リン化合物 0〜5重量部
上述の硬化性組成物の硬化反応は、パラジウム触媒による、アリールボロン酸またはそのエステルとハロゲン化アリールのクロスカップリング反応(鈴木−宮浦反応)に基づくものである。
Chem. Rev. 95巻 2457頁 (1995)
(A)成分である前記一般式で表わされる含フッ素ポリエーテル化合物において、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であるが、分子内または分子間水素結合および硬化における副反応を避けるために、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基が好ましい。特に、原料の入手のし易さの点から、メチル基が選ばれる。Xはヨウ素原子または臭素原子の何れかであるが、より迅速な硬化速度が得られるのでヨウ素原子が好ましい。また、Xのフェニル基上の置換位置は、NR1結合置換基に対してm-またはp-位である。o-位の場合には、立体的要因によって硬化反応が遅くなることがあるので、好ましくない。また、2価のパーフルオロポリエーテル基において、(CF2CF2O)基および(CF2O)基はそれぞれパーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダムに分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5、好ましくは0.5〜2であり、数平均分子量Mnは500〜20000、好ましくは1000〜10000である。
を用いることができる。ここで、R2は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状の2価の脂肪族炭化水素基であり、例えば-CH2C(CH3)2CH2-、-CH2CH2CH2-、-C(CH3)2C(CH3)2-、-C(CH3)2CH2C(CH3)2-等が挙げられる。具体的な例としては、1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリス(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサボリナン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4,4,6,6-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボリナン-2-イル)ベンゼンが挙げられる。好ましくは、1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼンが製造の容易さから選ばれる。
J. Appl. Poly. Sci. 76巻 1257頁 (2000)
で表わされる(E)成分有機リン化合物を併用することが好ましい。
で表わされるトリフェニルホスフィン化合物類または一般式
で表わされる、Buchwald配位子と総称される化合物群を用いることもできる。
で表わされる二座配位子有機リン化合物も用いることができる。ここで、R6は置換基を有し得るフェニル基または炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、Yは2価の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはメタロセン基である。
(1) 含フッ素ジカルボン酸フルオリド化合物の調製
攪拌装置、温度センサ、ガス導入口およびドライアイス/エタノール冷却凝縮器を備えた内容量1Lのガラス製反応容器を低温恒温槽に設置し、ジアルコキシド化合物 CsOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)CF2OCs を23ミリモルを含むテトラグライム溶液60gを仕込んだ。内温を-33〜-30℃に調整した後、ガス導入口よりヘキサフルオロプロペンを36g仕込んだ。次に、ヘキサフルオロプロペンオキシドを10g/hr、ヘキサフルオロプロペンを4g/hrの供給速度で反応容器内に仕込んだ。43時間経過後、ガスの供給を停止し、さらに1時間-33〜-30℃に内温を保った。減圧下でヘキサフルオロプロペンを反応系内より除去した後、室温までゆっくり昇温した。さらに100℃まで昇温し、減圧下でヘキサフルオロプロペンオリゴマーを反応混合物より除去した。このようにして、フッ化セシウム、テトラグライムおよび含フッ素ジカルボン酸フルオリドからなる混合物を淡黄色粘稠な懸濁液として478g得た。これを精製せずに、次の工程に用いた。
s=Fa(-131ppm)ピーク積分値
t=Fb(-133ppm)ピーク積分値
u=Fc(-146ppm)ピーク積分値
注) ケミカルシフトはCFCl3基準
二官能性比=(t/s-0.5)/(t/s+0.5)=0.89
ヘキサフルオロプロペンオキシド数平均重合度=4u/(2t+s)=102
を、僅かに黄色味を帯びた透明な液体として104g得た。E型粘度計(東機産業製TEV-22)により粘度を測定したところ、15Pa・s(25℃)であった。
19F-NMR(ケミカルシフトはCFCl3基準): -123ppm(Fb)
-146ppm(Fc)
1H-NMR(ケミカルシフトはTMS基準): 7.5ppm(Ha)
6.7ppm(Hb)
3.0ppm(Hc)
IR(neat): 1702cm-1(C=O)
1488cm-1(Ar)
含フッ素ジカルボン酸フルオリド化合物
FOCCF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2COF (Mn=8134, p/q=0.8)
50g(約6.1ミリモル)を、含フッ素系溶媒(HFE-7100)50mlに溶解し、そこにトリエチルアミン2.4g(24ミリモル)およびジエチルエーテル20mlを加えた。これに、p-ヨード-N-メチルアニリン3.5g(15ミリモル)を加えて、1時間反応を行った。得られた反応混合物を飽和食塩水中に加え、分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロ過した。減圧下でロ液から含フッ素系溶媒およびジエチルエーテルを留去した後、得られた粘稠な液体をジエチルエーテルで数回洗浄し、次いで減圧下でジエチルエーテルを完全に留去した。このようにして、含フッ素ポリエーテル化合物
を黄色味を帯びた液体として35g得た。E型粘度計(東機産業製TEV-22)により粘度を測定したところ、6.0Pa・s(25℃)であった。
19F-NMR(ケミカルシフトはCFCl3基準): -52ppm -OCF2CF2OCF 2 OCF2CF2O-
-53ppm -OCF2OCF 2 OCF2CF2O-
-55ppm -OCF2OCF 2 OCF2O-
-89ppm -OCF2CF2OCF 2 CF 2 OCF2CF2O-
-OCF2OCF2CF 2 OCF2CF2O-
-90ppm -OCF2OCF 2 CF2OCF2CF2O-
-OCF2OCF 2 CF 2 OCF2O-
-68ppm -OCF2OCF 2 CON(CH3)-
-70ppm -OCF2CF2OCF 2 CON(CH3)-
1H-NMR(ケミカルシフトはTMS基準): 7.5ppm(Ha)
6.7ppm(Hb)
3.0ppm(Hc)
IR(neat): 1710cm-1(C=O)
1490cm-1(Ar)
実施例1の含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2- 3.0重量部
ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン
酢酸パラジウム 0.15重量部
(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン 0.5重量部
リン酸カリウム 5重量部
以上の各成分をエタノール 120重量部、水 25重量部およびベンゾトリフルオリド 300重量部からなる混合溶媒中に加え、窒素雰囲気下に室温で10分間混合し、次いで減圧下に40℃で揮発性物質を除去した。得られた混合物に、アセチレンカーボンブラック10重量部を混合し、硬化性組成物を調製した。
硬化試験:モンサント・ディスク・レオメーターを使用し、130℃でt10、t90、ML、M Hの値を測定
常態物性:JIS K6250、K6253準拠
圧縮永久歪:ASTM D395 Method B準拠
P-24 Oリングについて、200℃、70時間の値を測定
低温特性:示差走査熱量分析計(SIIナノテクノロジー社製)によりガラス転移温度Tg の値を測定
メタノール浸漬試験:25℃のメタノール中に70時間浸漬後の体積変化率を測定
実施例2において、(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィンの代りに、トリフェニルホスフィンを0.4重量部用いた硬化性組成物が用いられた。
実施例2において、実施例1の含フッ素ポリエーテル化合物の代りに、参考例で得られた含フッ素ポリエーテル化合物を同量用いた硬化性組成物が用いられた。
表
測定項目 実施例2 実施例3 比較例
〔硬化試験〕
試験温度 (℃) 130 130 130
t10 (分) 0.4 0.4 0.4
t90 (分) 1.2 1.1 1.0
ML (dN・m) 0.2 0.2 0.2
MH (dN・m) 1.9 1.8 2.7
〔常態物性〕
硬さ 45 45 52
100%モジュラス (MPa) 0.8 0.7 1.3
破断時強度 (MPa) 2.0 1.8 2.6
破断時伸び (%) 300 320 280
〔圧縮永久歪〕
200℃、70時間 (%) 65 67 58
〔低温特性〕
Tg (℃) -105 -105 -55
〔メタノール浸漬試験〕
体積変化率 (%) +4 +4 +3
Claims (12)
- 上記一般式において、Xがヨウ素原子である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
- 上記一般式において、R1がメチル基である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
- 一般式
FOCCF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2COF
(ここで、2価のパーフルオロポリエーテル基
-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
において、(CF2CF2O)基および(CF2O)基はそれぞれパーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダムに分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5であり、数平均分子量Mnは500〜20000である)で表わされる含フッ素ジカルボン酸フルオリド化合物を、一般式
(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、Xはヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位である)で表わされる芳香族1級または2級アミン化合物と反応させることを特徴とする請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物の製造方法。 - 活性水素を有しない塩基性含窒素複素環化合物または3級アミン化合物の存在下で反応が行われる請求項4記載の含フッ素ポリエーテル化合物の製造方法。
- (A) 請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B) 一般式
(ここで、R2は炭素数2〜10の直鎖状または
分岐状の2価の脂肪族炭化水素基である)
で表わされる芳香族ボロン酸エステル化合物 0.1〜10重量部
(C) 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D) 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E) 一般式
(ここで、R3、R4、R5はそれぞれ独立に、それ
ぞれ置換基を有し得る炭素数1〜10の鎖状脂
肪族炭化水素基、炭素数5〜12の環状脂肪族
炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化
水素基である)
または一般式
(ここで、R6は置換基を有し得るフェニル基
または炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、
Yは2価の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはメタ
ロセン基である)
で表わされる有機リン化合物 0〜5重量部
を含有してなる硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。 - Xがヨウ素原子である含フッ素ポリエーテル化合物が(A)成分として用いられた請求項6記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
- (C)成分2価の有機パラジウム化合物が酢酸パラジウムである請求項6記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
- (D)成分塩基性無機化合物がリン酸カリウムである請求項6記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
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