JP4082888B2 - ビアリール化合物の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン置換アリール化合物を、アリールボロン酸、その誘導体又はジアルキル−アリールボランと反応させることによるビアリール化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来技術】
ハロゲン置換アリール化合物を、アリールボロン酸、その誘導体又はジアルキル−アリールボラン等のアリールボラン化合物と反応させてビアリール化合物を製造する方法としては、パラジウム錯体存在下、ハロゲン置換アリール化物とアリールボロン酸等のクロスカップリングによる鈴木−宮浦反応が知られている。当該方法においては、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムや、酢酸パラジウム及びトリフェニルホスフィンの併用等の均一系触媒であるパラジウム錯体が用いられてきた。
【0003】
しかし、上記パラジウム錯体は、高価であり、反応終了後の反応混合物からの回収操作が煩雑或いは回収が困難であるといった問題がある。また触媒の被毒を防ぐため、反応系内の微量酸素も取り除くことが必要であり、工業的実施が困難な方法である。
【0004】
一方、パラジウム/炭素等の溶媒不溶性のパラジウム触媒を使用し、溶媒中、塩基の存在下、並びにリガンドの存在下又は非存在下、ハロゲン置換アリール化合物をアリールボラン化合物と反応させてビアリール化合物を製造する方法が、1)Tetrahedron Letters,35,3277−3280(1994)、2)Organic Letters,10,1555−1557(2001)等に報告されている。これらの方法で触媒として使用されるパラジウム/炭素は溶媒不溶性であることから、反応終了後に触媒を容易に回収することができ、目的物へのパラジウムの混入が防げるという利点がある。なお、これら従来法においてリガンドの使用例が具体的に開示されているのは、トリフェニルホスフィンを用いた例だけである。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記従来法の溶媒不溶性のパラジウム触媒を使用するハロゲン置換アリール化合物とアリールボラン化合物のカップリング反応によるビアリール化合物の製造方法について検討した。その結果、従来の方法は、目的物のビアリール化合物の収率が未だ満足し得るものではなかった。
【0006】
即ち、後述する比較例1、2及び3のとおり、溶媒中、塩基の存在下及びトリフェニルホスフィンの存在下、ハロゲン置換アリール化合物をアリールボラン化合物と反応させたところ、目的物の収率は低く満足できるものではなく、更なる収率の向上が望まれる結果となった。
【0007】
また、上記従来法において2)の方法は、空気の非存在下で反応を行うことが必要なうえ、反応時間も24時間と長く工業的な方法とは言い難い。実際、比較例4で明らかなように空気雰囲気下の反応では目的物は殆ど得られなかった。
【0008】
本発明の課題は、目的とするビアリール化合物を従来よりも高収率で簡便に製造できる工業的に有利な方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、溶媒中、塩基、溶媒不溶性のパラジウム触媒及びリガンドを用いたハロゲン置換アリール化合物とアリールボラン化合物のクロスカップリング反応によるビアリール化合物の製造法について鋭意検討を続けてきた。その結果、リガンドとしてジアルキル−アリールホスフィンを用いた場合、目的とするビアリール化合物の収率が格段に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、溶媒中、塩基、ジアルキル−アリールホスフィン並びに溶媒不溶性のパラジウム触媒の存在下、ハロゲン置換アリール化合物を、アリールボロン酸、その誘導体又はジアルキル−アリールボランと反応させてビアリール化合物を製造することを特徴とするビアリール化合物の製造法に関する。
【0011】
本発明によれば、特定のホスフィンリガンドを用いることにより、目的物であるビアリール化合物を従来よりもさらに高収率で製造することができる。なお反応に用いられるハロゲン置換アリール化合物によっては、従来法では目的とするビアリール化合物の収率が非常に低い場合があるが、本発明によれば、このような場合においてもビアリール化合物を高収率で製造できる。本発明は工業的に有利なビアリール化合物の製造法である。
【0012】
【発明実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書において「アルキル」及び「アルキル基」とは脂肪族炭化水素の水素原子が1個離脱して生じる1価の残基及び脂環式炭化水素の環の炭素原子に結合する水素原子が1個離脱して生じる1価の残基を意味し、また「アリール」及び「アリール基」とはヘテロ原子を芳香環の構成原子として有していてもよい芳香族化合物において芳香環の炭素原子に結合する水素原子が1個離脱して生じる1価の残基を意味する。
【0013】
本発明において使用するハロゲン置換アリール化合物は、芳香環の炭素原子に結合するハロゲン原子を少なくとも1個有する芳香族化合物であり、単環式化合物であっても多環式化合物であってもよく、また環の構成原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含んでいてもよい。芳香環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環等を挙げることができる。また当該ハロゲン置換アリール化合物は本発明の反応に不活性な置換基を芳香環に有することができる。
【0014】
ハロゲン置換アリール化合物の具体例としては、例えば、一般式(1):
【化5】
(式中、XはCH又は窒素原子を、Yはハロゲン原子を、R1及びR2は互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、窒素原子にアルキル基を有していてもよいカルバモイル基、フルオロアルキル基或いはアシル基を表すか又はR1及びR2が芳香環上の隣接する2個の炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよい。)で示される化合物[以下、ハロゲン置換アリール化合物(1)という。]が挙げられる
【0015】
ハロゲン置換アリール化合物(1)において、一般式(1)中、Yで表されるハロゲン原子は、具体的には、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0016】
また一般式(1)中、R1及びR2で表されるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基及び炭素数4〜6の脂環式炭化水素残基が挙げられ、具体的には、脂肪族炭化水素残基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等を、脂環式炭化水素残基としては、シクロブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等を例示できる。好ましいアルキル基は、炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基であり、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
【0017】
またR1及びR2で表されるアリール基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリル基及びイソキノリル基等の窒素原子を芳香環の構成原子として有していてもよい芳香族化合物の1価の残基が挙げられる。具体的には、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基としては、フェニル基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基、ニトロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基及びアセチルフェニル基等が挙げられる。
【0018】
またR1及びR2で表されるアラルキル基としては、例えば、上記アルキル基が有する水素原子を上記アリール基に置換した基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基等を例示できる。
【0019】
R1及びR2で表されるアルコキシ基としては、上記アルキル基、アリール基及びアラルキル基が酸素原子に結合した基が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基を有するアルコキシ基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等を例示でき、炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基を有するアルコキシ基が好ましい。
【0020】
R1及びR2で表されるアルコキシカルボニル基としては、カルボキシル基が有する水酸基を、上記のアルコキシ基に、好ましくは炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基を有するアルコキシ基に置換したアルコキシカルボニル基が挙げられ、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等を例示できる。特に好ましくはカルボキシル基が有する水酸基を、炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基を有するアルコキシ基に置換したアルコキシカルボニル基である。
【0021】
R1及びR2で表される窒素原子にアルキル基を有していてもよいカルバモイル基においてカルバモイル基がアルキル基を有するとき、アルキル基としては上記と同様のアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基である。窒素原子にアルキル基を有するカルバモイル基としては、具体的には、例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−n−プロピルカルバモイル基、N−イソプロピルカルバモイル基、N−n−ブチルカルバモイル基、N−n−ペンチルカルバモイル基及びN−n−ヘキシルカルバモイル基等のN−モノアルキルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−プロピルカルバモイル基、N,N−ジイソプロピルカルバモイル基、N,N−ジ−n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−ペンチルカルバモイル基及びN,N−ジ−n−ヘキシルカルバモイル基等のN,N−ジアルキルカルバモイル基が挙げられ、中でも窒素原子に炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基を1個又は2個有するモノ又はジアルキルカルバモイル基が好ましい。
【0022】
R1及びR2で示されるフルオロアルキル基としては、上記直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基の水素原子の少なくとも1個をフッ素原子に置換したものが挙げられる。好ましくは、メチル基又はエチル基が有する水素原子の1個〜全部をフッ素原子に置換したものであり、具体的には、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、1,2−ジフルオロメチル基、1,1,2−トリフルオロエチル基、1,1,1,2−テトラフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエチル基等を例示できる。
【0023】
R1及びR2で表されるアシル基としては、アルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基が挙げられる。アルキルカルボニル基が有するアルキル基としては上記アルキル基と同様のものを例示でき、好ましくは炭素数2〜7の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基である。アルキルカルボニル基の具体例としては、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基等を例示できる。また、アリールカルボニル基が有するアリール基は、上記アリール基と同様のものを例示でき、好ましいアリールカルボニル基は、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基並びにこれらが芳香環にアルキル基及びアラルキル基等の置換基を1又は2個有するものが挙げられる。
【0024】
R1及びR2が芳香環上の隣接する2個の炭素原子と共に互いに結合して環を形成するとき、当該形成される環は、好ましくは、5〜6員の環であり、環の構成原子が炭素原子のみであるもののほか、炭素原子と酸素原子、窒素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子を含むものであってもよい。またR1及びR2が芳香環上の隣接する2個の炭素原子と共に互いに結合して形成される環は単環であっても縮合多環であってもよく、またこれらの環は芳香環であってもなくてもよい。さらに当該形成される環は、上記アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、窒素原子にアルキル基を有していてもよいカルバモイル基、フルオロアルキル基及びアシル基からなる群から選ばれる置換基を1個以上有していてもよい。R1及びR2が芳香環上の隣接する2個の炭素原子と共に互いに結合して環を形成する場合、R1及びR2が置換する芳香環と共に縮合環を形成するが、当該縮合環としては、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環等が挙げられる。
【0025】
ハロゲン置換アリール化合物(1)の具体例としては、3−クロロピリジン、4−クロロピリジン、2−クロロ−6−メトキシピリジン、6−クロロキノリン、4−クロロアセトフェノン、4−クロロベンゾニトリル、4−クロロニトロベンゼン及び2−クロロアントラセン並びにこれらの化合物において塩素原子を臭素原子又はヨウ素原子に置換した化合物等を例示できるが、これらに限定されない。
本発明においてハロゲン置換アリール化合物は、入手が容易な公知の化合物を用いることができる。
【0026】
本発明においてハロゲン置換アリール化合物と反応させるアリールボロン酸、その誘導体又はジアルキル−アリールボラン(以下、これらを総称してアリールボラン化合物という。)において、アリールボロン酸は、芳香環の炭素原子に結合するジヒドロキシボリル基を少なくとも1個有する芳香族化合物である。当該アリールボロン酸は、例えば、次のような脱水縮合物を形成していてもよい。
【0027】
【化6】
(式中、Arはアリール基を表す。)
【0028】
アリールボロン酸が有する芳香環はハロゲン置換アリール化合物のそれと同様である。そしてアリールボロン酸の誘導体としては、アリールボロン酸が有するジヒドロキシボリル基の少なくとも1個の水酸基をアルコキシ基に置換したものが挙げられる。またジアルキル−アリールボランは、芳香環の炭素原子に結合するジアルキルボリル基を少なくとも1個有する化合物である。ジアルキル−アリールボランが有する芳香環はハロゲン置換アリール化合物のそれと同様である。本発明に用いるアリールボラン化合物は、本発明の反応に不活性な置換基を1個以上芳香環に有していてもよい。
【0029】
アリールボラン化合物の具体例としては、例えば、一般式(2):
【0030】
【化7】
(式中、ZはCH又は窒素原子を表し、R3及びR4は互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、窒素原子にアルキル基を1個以上有していてもよいカルバモイル基、フルオロアルキル基或いはアシル基を表すか又はR3及びR4が芳香環上の隣接する2個の炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよく、R5及びR6は互いに同じか又は異なってそれぞれ水酸基或いはアルコキシ基を表すか又はR5及びR6が一緒になって2個の酸素原子によってホウ素原子と結合して環を形成する2価のジオール残基を表し、又はZが窒素原子を表す場合、R5及びR6の少なくとも1個がアルキル基であってもよい。mは1又は2である。)で示される化合物が挙げられる。
【0031】
上記一般式(2)中のR3及びR4で表される置換基のそれぞれは、ハロゲン置換アリール化合物(1)の一般式(1)中のR1及びR2で表されるそれらと同様である。
【0032】
また上記一般式(2)中のR5及びR6で表されるアルコキシ基は、ハロゲン置換アリール化合物(1)の一般式(1)中のR1及びR2で表されるそれと同様である。R5及びR6が一緒になって2個の酸素原子によってホウ素原子と結合して環を形成する2価のジオール残基としては、ホウ素原子と共に5員環又は6員環を形成するものが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ピナコール、ネオペンチルグリコール及びカテコール等の脂肪族及び芳香族の2価のアルコールから導かれる2価の基が挙げられる。
【0033】
アリールボラン化合物(2)の具体例としては、フェニルボロン酸、4−メチルフェニルボロン酸、4−メトキシフェニルボロン酸、4−アセチルフェニルボロン酸、フェニレンジボロン酸、ジエチル(3−ピリジル)ボラン、2−フェニル−1,3,2−ベンゾジオキサボロール、2−フェニル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロール等を挙げることができるがこれらに限定されない。
本発明において、アリールボラン化合物は、入手が容易な公知の化合物を用いることができる。
【0034】
本発明の反応におけるハロゲン置換アリール化合物とアリールボラン化合物の使用割合は特に限定されるものではないが、経済性の観点から、ハロゲン置換アリール化合物が有するハロゲン原子1モルに対するアリールボラン化合物が有するホウ素原子の割合が通常1.0〜4.0モル、好ましくは1.0〜2.0モルとなるように使用するのがよい。
【0035】
本発明に用いるジアルキル−アリールホスフィンは、リン原子に2個のアルキル基と1個のアリール基を有するホスフィン化合物であり、入手が容易な公知の化合物を用いることができる。例えば、一般式(4):
【0036】
【化8】
(式中、R7及びR8は互いに同じか或いは異なってそれぞれアルキル基を表し、R9、R10及びR11は互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基或いはアラルキル基を表すか又はR9、R10及びR11の隣接する2つ又は全部がベンゼン環の炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよい。)で示される化合物[以下、ジアルキル−アリールホスフィン(4)という。]が挙げられる。
【0037】
R7及びR8で表されるアルキル基としては、ハロゲン置換アリール化合物(1)における一般式(1)中のR1及びR2で表されるアルキル基と同様のアルキル基を例示することができる。好ましくは炭素数5〜10の嵩高い分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基及び脂環式炭化水素残基であり、具体的には、例えば、シクロヘキシル基、tert−ブチル基、アダマンチル基等が挙げられる。特に好ましいアルキル基は、炭素数5〜10の脂環式炭化水素残基であり、即ち、ジアルキル−アリールホスフィン(4)は一般式(4)中のR7及びR8が互いに同じか或いは異なってそれぞれ炭素数5〜10の脂環式炭化水素残基の化合物である。
【0038】
また一般式(4)中のR9、R10及びR11で表されるアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、ハロゲン置換アリール化合物(1)における一般式(1)中のR1及びR2で表されるそれらと同様である。またR9、R10及びR11の隣接する2つ又は全部がベンゼン環の炭素原子と共に互いに結合して環を形成するとき、当該形成される環としては、R9、R10及びR11が結合するベンゼン環と共に、例えば、ナフチル環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合環を形成するものが挙げられる。
【0039】
好ましいジアルキル−アリールホスフィンとしては、例えば、一般式(5):
【0040】
【化9】
(式中、R7及びR8は上記と同じ。R12及びR13は互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子或いはアルキル基を表すか又はR12及びR13がベンゼン環の炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよい。)で示されるホスフィン化合物、一般式(6):
【0041】
【化10】
(式中、R7及びR8は上記と同じ。R14、R15、R16及びR17は互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子或いはアルキル基を表すか、又はR14及びR15が並びにR16及びR17がベンゼン環の炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよく、R18は水素原子、アルキル基又はジアルキルアミノ基を表す。)で示されるホスフィン化合物及び一般式(7):
【0042】
【化11】
(式中、R19及びR20は互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子或いはアルキル基を表すか又はR19及びR20がベンゼン環の炭素原子と共に互いに結合して環を形成してもよく、R21は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、nは1〜3の整数である。)で示されるホスフィン化合物が挙げられる。
【0043】
一般式(5)で示されるホスフィン化合物において式中のR12及びR13で示されるアルキル基は、ハロゲン置換アリール化合物(1)の一般式(1)中のR1及びR2で表されるアルキル基と同様のものを例示できる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基であり、特にイソプロピル基が好ましい。またR12及びR13がベンゼン環の炭素原子と共に互いに結合して環を形成するとき、当該形成される環は、ハロゲン置換アリール化合物(1)の一般式(1)中のR1及びR2が芳香環上の隣接する炭素原子と共に互いに結合して形成される環と同様である。
【0044】
一般式(5)で示されるホスフィン化合物の具体例としては、例えば、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ベンゼン及び2−(ジtert−ブチルホスフィノ)ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
上記一般式(6)で示されるホスフィン化合物において式中のR14及びR15並びにR16及びR17は、上記一般式(5)中のR12及びR13と同様である。また一般式(6)中のR18で示されるアルキル基は、好ましくは例えば、炭素数1〜3の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基等を例示できる。またR16で示されるジアルキルアミノ基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基を有するもの、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジtert−ブチルアミノ基、ジn−ペンチルアミノ基及びジn−ヘキシルアミノ基等を例示できる。ジアルキルアミノ基としては、炭素数1〜3の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素残基を有するジアルキルアミノ基が好ましく、特にジメチルアミノ基が好ましい。
【0046】
一般式(6)で示されるホスフィン化合物の具体例としては、例えば、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジtert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジアダマンチルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−ジメチルアミノビフェニル、2−ジtert−ブチルホスフィノ−2’−ジメチルアミノビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−イソプロピルビフェニル、2−ジtert−ブチルホスフィノ−2’−イソプロピルビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−イソプロピルビナフチル及び2−ジtert−ブチルホスフィノ−2’−イソプロピルビナフチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
一般式(7)で示されるホスフィン化合物において式中のR19及びR20は、上記一般式(5)中のR12及びR13と同様である。また式中のR21で表されるアルキル基は、一般式(1)中のR1及びR2で表されるアルキル基と同様のものが例示できるが、特にメチル基が好ましい。またR21で表されるアリール基は、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。具体的には、例えば、フェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0048】
一般式(7)で示されるホスフィン化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)−2−メチル−1,3−ジオキソラン、2−(2’−ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の反応におけるジアルキル−フェニルホスフィンの使用量は、特に限定されるものではないが、経済性の観点から、ハロゲン置換アリール化合物1モルに対して0.0001〜0.5モル、好ましくは0.001〜0.1モル使用するのがよい。
【0050】
反応に使用できる溶媒としては、例えば、水、エーテル類、アミド類、ニトリル類、ケトン類、アルコール類及び芳香族炭化水素類等が挙げられ、これらを1種単独又は2種以上混合して使用できる。
【0051】
エーテル類としては、例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が、アミド類としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が、ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等が、ケトン類としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン等が、アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等が、芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等がそれぞれ例示できる。
【0052】
好ましい溶媒は、水及び水と有機溶媒との混合溶媒であり、さらに好ましい溶媒は、水並びに水及び水と混和する有機溶媒の混合溶媒である。水と混和する有機溶媒は、例えば、エーテル類、アミド類、ニトリル類、ケトン類、アルコール類等から選ばれる。
【0053】
溶媒の使用量は特に限定されないが、ハロゲン置換アリール化合物1重量部に対して、通常5〜60重量部、好ましくは10〜40重量部となるようにするのがよい。
【0054】
水と有機溶媒の混合溶媒を用いる場合、ハロゲン置換アリール化合物1重量部に対して水を通常0.1〜30重量部程度、好ましくは0.5〜20重量部程度、有機溶媒を通常5〜40重量部程度、好ましくは10〜30重量部となるようにするのがよい。
【0055】
また反応に用いる塩基としては、公知の無機塩基を広く使用でき、例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属フッ化物、及びアルカリ土類金属の塩基性塩が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0056】
アルカリ金属炭酸塩としては、具体的には炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム等を、アルカリ金属水酸化物としては、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム等をアルカリ金属リン酸塩としては、具体的にはリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸セシウム等をアルカリ金属フッ化物としては、具体的にはフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等をそれぞれ例示できる。
【0057】
アルカリ土類金属の塩基性塩としては、例えばアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては、具体的には炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等を、アルカリ土類金属の水酸化物としては、具体的には水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等をそれぞれ例示できる。
【0058】
斯かる塩基は、通常ハロゲン置換アリール化合物1モルに対して1〜10モル、好ましくは2〜5モル使用するのがよい。
【0059】
パラジウム触媒は、溶媒不溶である限り公知のパラジウム触媒を広く使用でき、好ましくは金属パラジウムが担体に担持されたものである。金属パラジウムが担持される担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、珪藻土、活性白土、活性炭、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの担体のなかでも、アルミナ及び活性炭が好適である。
【0060】
パラジウム/炭素は活性炭に金属パラジウムが担持されたものであり、従来公知のものを使用できる。パラジウム金属を1〜10重量%含有するものが好適である。パラジウム/アルミナはアルミナに金属パラジウムが担持されたものであり、従来公知のものを使用できる。パラジウム金属を1〜10重量%含有するものが好適である。
【0061】
本発明の反応におけるパラジウム触媒の使用量は、触媒に含まれる金属パラジウムがハロゲン置換アリール化合物1モルに対して通常0.1〜100ミリモル、好ましくは1〜50ミリモルとなるようにするのがよい。
【0062】
本発明の方法を実施するに当たっては、例えば反応器にハロゲン置換アリール化合物、アリールボラン化合物、塩基、パラジウム触媒、ジアルキル−アリールホスフィン及び溶媒を所定量仕込み、攪拌下、通常50〜150℃程度、好ましくは通常75〜100℃程度の加熱下で、通常1〜20時間程度、好ましくは、2〜10時間程度反応させればよい。
【0063】
上記のようにして反応を行うと反応に使用したハロゲン置換アリール化合物及びアリールボラン化合物に応じたビアリール化合物が高収率で得られる。例えば、ハロゲン置換アリール化合物(1)をアリールボラン化合物(2)と上記のようにして反応させることによって一般式(3):
【0064】
【化12】
(式中、R1、R2、R3、R4、X、Z及びmは前記に同じ。)で示される化合物を従来よりも高収率で製造できる。
【0065】
本発明の反応終了後の反応混合物からは、公知の単離精製手段、例えばろ過、抽出、濃縮、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の単離操作を組み合わせて目的とするビアリール化合物を単離することができる。
【0066】
【本発明の効果】
本発明によれば、工業的に有利なビアリール化合物の製造法が提供される。即ち、本発明の方法により、目的とするビアリール化合物を高収率で製造することができる。またパラジウム/炭素触媒を用いる公知の技術では目的物のビアリール化合物が低収率でしか得られないハロゲン置換アリール化合物とアリールボラン化合物の組み合わせであっても、ビアリール化合物を高収率で製造することができる。
【0067】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
2−クロロ−6−メトキシピリジン382mg(2.66ミリモル)、フェニルボロン酸405mg(2.66ミリモル、純分80重量%)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル82mg(0.23ミリモル)を1,2−ジメトキシエタン10mlに溶解させた。その溶液に2.0モル/lの炭酸ナトリウム水溶液5.0mlを加え、さらに5重量%パラジウム/炭素545g(金属パラジウム0.12ミリモル、水分54重量%を含有)を添加して80℃で6時間加熱撹拌して反応させた。反応後、得られた反応混合物をろ過し、ろ滓を酢酸エチル20mlで4回洗浄した。ろ液及び洗浄液を一緒にし、水層と有機層とに分液した後、有機層を10%水酸化カリウム水溶液30mlで洗浄し、さらに飽和食塩水20mlで2回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル(容量比)=10/1]て精製して、無色油状物である2−メトキシ−6−フェニルピリジン427mg(収率86.6%)を得た。
【0068】
比較例1
実施例1において2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルに代えてトリフェニルホスフィン122mg(0.47ミリモル)を使用し、反応時間を7時間とした以外は、実施例1と同様に行った。その結果、無色油状物である2−メトキシ−6−フェニルピリジン123mg(収率25.0%)を得た。
【0069】
実施例2
実施例1において2−クロロ−6−メトキシピリジンに代えて2−クロロ−6−メチルピリジン339mg(2.66ミリモル)を使用し、反応時間を7時間に変えた以外は、実施例1と同様に行った。その結果、無色油状物である2−メチル−6−フェニルピリジン403mg(収率89.6%)を得た。
【0070】
比較例2
実施例2において2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルに代えてトリフェニルホスフィン122mg(0.47ミリモル)を使用した以外は、実施例2と同様に行った。その結果、無色油状物である2−メチル−6−フェニルピリジン289mg(収率64.3%)を得た。
【0071】
実施例3
実施例1において2−クロロ−6−メトキシピリジンに代えて4−ブロモピリジン塩酸塩517mg(2.66ミリモル)を使用し、炭酸ナトリウム水溶液の使用量を7.0mlに、反応時間を3時間に及びシリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶離液をn−ヘキサン/酢酸エチル(容量比)=3/1に変えた以外は実施例1と同様に行った。その結果、無色固体である4−フェニルピリジン347mg(収率84.2%)を得た。
【0072】
比較例3
実施例3において2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルに代えてトリフェニルホスフィン122mg(0.47ミリモル)を使用した以外は、実施例3と同様に行った。その結果、無色固体である4−フェニルピリジン247mg(収率59.9%)を得た。
【0073】
実施例4
実施例1において2−クロロ−6−メトキシピリジンに代えて3−クロロピリジン302mg(2.66ミリモル)を使用し、反応時間を9時間に及びシリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶離液をn−ヘキサン/酢酸エチル(容量比)=5/1に変えた以外は、実施例1と同様に行った。その結果、無色油状物である3−フェニルピリジン344mg(収率83.4%)を得た。
【0074】
実施例5
実施例1において2−クロロ−6−メトキシピリジンに代えて4−クロロピリジン塩酸塩400mg(2.66ミリモル)を使用し、炭酸ナトリウム水溶液の使用量を7.0mlに及びシリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶離液をn−ヘキサン/酢酸エチル(容量比)=3/1に変えた以外は、実施例1と同様に行った。その結果、無色固体である4−フェニルピリジン378mg(収率91.5%)を得た。
【0075】
実施例6
4−クロロベンゾニトリル138mg(1.0ミリモル)、フェニルボロン酸152mg(1.0ミリモル、純分80重量%)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル31mg(0.088ミリモル)を1,2−ジメトキシエタン5mlに溶解させた。その溶液に2.0モル/lの炭酸ナトリウム水溶液2.5mlを加え、さらに5重量%パラジウム/炭素205mg(金属パラジウム0.045ミリモル、水分54重量%を含有)を添加して80℃で5時間加熱撹拌して反応させた。反応後の処理は、実施例1においてシリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶離液をn−ヘキサン/酢酸エチル(容量比)=5/1に変えた以外は、実施例1と同様に行った。その結果、無色固体である4−シアノビフェニル159mg(収率88.4%)を得た。
【0076】
実施例7
実施例6において4−クロロベンゾニトリルに代えて4−ニトロクロロベンゼン158mg(1.0ミリモル)を使用し、反応時間を3時間に及びシリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶離液をn−ヘキサン/酢酸エチル(容量比)=10/1に変えた以外は、実施例6と同様に行った。その結果、淡黄色固体である4−ニトロビフェニル192mg(収率96.1%)を得た。
【0077】
実施例8
実施例6において4−クロロベンゾニトリルに代えて4−クロロアセトフェノン155mg(1.0ミリモル)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの溶離液をn−ヘキサン/酢酸エチル(容量比)=10/1に変えた以外は、実施例6と同様に行った。その結果、無色固体である4−アセチルビフェニル180mg(収率91.5%)を得た。
【0078】
実施例9
実施例6において4−クロロベンゾニトリルに代えて6−クロロキノリン164mg(1.0ミリモル)を使用した以外は、実施例6と同様に行った。その結果、無色固体である6−フェニルキノリン158mg(収率76.8%)を得た。
【0079】
比較例4
3−クロロピリジン341mg(3.0ミリモル)及びフェニルボロン酸457mg(3.0ミリモル、純分80重量%)を、ジメチルアセトアミド10ml及び水0.5mlの混合溶媒に溶解させた。その溶液に炭酸カリウム830mg(6.0ミリモル)を加え、さらに5重量%パラジウム/炭素694mg(金属パラジウム0.15ミリモル、水分54重量%を含有)を添加して80℃で8時間加熱撹拌した。反応後、触媒をろ過、酢酸エチル20mlで4回洗浄し、ろ液の有機層を10重量%水酸化カリウム水溶液30mlで洗浄した。さらに有機層を飽和食塩水20mlで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル(容量比)=5/1]にて精製し、無色油状物である3−フェニルピリジン10mg(収率2.2%)を得た。
Claims (9)
- 溶媒中、塩基、ジアルキル−アリールホスフィン並びに溶媒不溶性のパラジウム触媒の存在下、ハロゲン置換アリール化合物を、アリールボロン酸、その誘導体又はジアルキル−アリールボランと反応させてビアリール化合物を製造することを特徴とするビアリール化合物の製造法。
- ハロゲン置換アリール化合物が、一般式(1):
- 一般式(4)で示される化合物が、式中のR7及びR8が互いに同じか或いは異なってそれぞれ炭素数5〜10の脂環式炭化水素残基である請求項3に記載の方法。
- ジアルキル−アリールホスフィンが、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルである請求項1又は2に記載の方法。
- 溶媒不溶性のパラジウム触媒が、パラジウム/炭素及びパラジウム/アルミナからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 塩基が、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属フッ化物及びアルカリ土類金属の塩基性塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の無機塩基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 溶媒が、水、エーテル類、アミド類、ニトリル類、ケトン類、アルコール類及び芳香族炭化水素類からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 反応を50〜150℃の加熱下で行う請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
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