JP5310814B2 - 炭素−炭素結合の生成方法 - Google Patents
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Description
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、ただし、R1およびR2、R2およびR3、R3およびR4、またはR4およびR5が結合してアルキレン基、アルケニレン基またはベンゾアルケニレン基を形成してもよく、R6およびR7は、独立に水素原子またはアルキル基を表し、ただし、R6およびR7が結合してアルキレン基を形成してもよく、pおよびqは独立に0〜2の整数を表し、rは1〜3の自然数を表す。)
で表される化合物であり、前記芳香族化合物が下記一般式(II):
(式中、R8、R9、R10、R11およびR12は、独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、Xはハロゲン原子またはトリフラート基を表す。)
で表される化合物であり、前記鈴木−宮浦カップリングの生成物が下記一般式(III):
本発明で用いるパラジウム炭素触媒は、比表面積1000m2/g以上の炭素粒子にパラジウムを固定したものである。
前記炭素粒子は、前記パラジウム炭素触媒の担体であり、その特に好適な例としては活性炭が挙げられる。
炭素粒子担体へのパラジウムの固定は、該炭素粒子担体にパラジウムを含む溶液を接触させることにより行うことができる。
前記パラジウム炭素触媒の存在下にて湿式で芳香族ボロン酸エステルと該芳香族ボロン酸エステル以外の芳香族化合物とを鈴木―宮浦カップリングさせることにより、炭素−炭素結合を生成させることができる。「湿式で」とは、通常、「溶媒の存在下で」を意味し、好ましくは「溶媒中で」を意味する。
(1−ブロモ−4−ニトロベンゼンと5,5−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナンとの鈴木―宮浦カップリングによる炭素−炭素結合生成反応による4−ニトロジフェニルの合成)
1−ブロモ−4−ニトロベンゼン0.5mmolと5,5−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナン0.55mmolと炭酸ナトリウム1.25mmolとをアルゴン気流下、50重量%エタノール水溶液2mlに溶解させて溶液を得た。得られた溶液に10%パラジウムカーボン粉末触媒(炭素粒子担体のBET法による比表面積:1190m2/g、レーザー散乱法により測定したメジアン径:26μm、炭素粒子担体1g当たりのパラジウムの担持量:パラジウム元素に換算して0.94mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製)をパラジウム元素に換算して2.5μmol加え、アルゴン雰囲気下、室温で4時間攪拌することにより反応を行った。反応終了後、触媒をろ過分離することにより、ろ液として、50重量%エタノール水溶液に溶解した状態の4−ニトロジフェニルを得た。得られたろ液を50重量%エタノール水溶液で希釈してガスクロマトグラフィー(以下、「GC」という)にかけ、4−ニトロジフェニルの収率を測定した。投入した1−ブロモ−4−ニトロベンゼンに対する4−ニトロジフェニルの収率は91%であった。
(p−ブロモアニソールと5,5−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナンとの鈴木―宮浦カップリングによる炭素−炭素結合生成反応による4−メトキシジフェニルの合成)
実施例1において、1−ブロモ−4−ニトロベンゼンの代わりにp−ブロモアニソールを用いた以外は実施例1と同様にして、反応を行った。反応終了後、反応混合物にジエチルエーテルと水とを加え、触媒をろ過分離し、ろ液をジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル画分を食塩水で洗浄した後、乾燥させて4−メトキシジフェニルを得た。得られた4−メトキシジフェニルの重量を測定し収率を算出した。投入したp−ブロモアニソールに対する4−メトキシジフェニルの収率は89%であった。
(o−ブロモトルエンと5,5−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナンとの鈴木―宮浦カップリングによる炭素−炭素結合生成反応による2−メチルジフェニルの合成)
実施例2において、p−ブロモアニソールの代わりにo−ブロモトルエンを用い、触媒の量をパラジウム元素に換算して5μmolとし、攪拌時間を2.5時間とした以外は実施例2と同様にして、2−メチルジフェニルを得、その収率を測定した。投入したo−ブロモトルエンに対する2−メチルジフェニルの収率は42%であった。
(p−ブロモアニソールと5,5−ジメチル−2−(4−フルオロフェニル)−1,3,2−ジオキサボリナンとの鈴木―宮浦カップリングによる炭素−炭素結合生成反応による4−メトキシ−4’−フルオロジフェニルの合成)
実施例2において、5,5−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナンの代わりに5,5−ジメチル−2−(4−フルオロフェニル)−1,3,2−ジオキサボリナンを用い、触媒の量をパラジウム元素に換算して5μmolとし、攪拌時間を14時間とした以外は実施例2と同様にして、4−メトキシ−4’−フルオロジフェニルを得、その収率を測定した。投入したp−ブロモアニソールに対する4−メトキシ−4’−フルオロジフェニルの収率は78%であった。
(p−ブロモアニソールと3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸メチルとの鈴木―宮浦カップリングによる炭素−炭素結合生成反応による4’−メトキシジフェニル−3−カルボン酸メチルの合成)
実施例2において、5,5−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナンの代わりに3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸メチルを用い、触媒の量をパラジウム元素に換算して5μmolとし、攪拌時間を24時間とした以外は実施例2と同様にして、4’−メトキシジフェニル−3−カルボン酸メチルを得、その収率を測定した。投入したp−ブロモアニソールに対する4’−メトキシジフェニル−3−カルボン酸メチルの収率は43%であった。
(p−ブロモアニソールと5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジカルボン酸ジメチルとの鈴木―宮浦カップリングによる炭素−炭素結合生成反応による4’−メトキシジフェニル−3,5−ジカルボン酸ジメチルの合成)
実施例2において、5,5−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナンの代わりに5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジカルボン酸ジメチルを用い、触媒の量をパラジウム元素に換算して5μmolとし、攪拌時間を24時間とした以外は実施例2と同様にして、4’−メトキシジフェニル−3,5−ジカルボン酸ジメチルを得、その収率を測定した。投入したp−ブロモアニソールに対する4’−メトキシジフェニル−3,5−ジカルボン酸ジメチルの収率は52%であった。
(パラジウム炭素触媒(炭素粒子担体の比表面積920 m2/g)を用いた1−ブロモ−4−ニトロベンゼンと5,5−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナンとの鈴木―宮浦カップリングによる炭素−炭素結合生成反応による4−ニトロジフェニルの合成)
実施例1において、パラジウム炭素触媒として10%パラジウムカーボン粉末触媒(炭素粒子担体のBET法による比表面積:920m2/g、レーザー散乱法により測定したメジアン径:41μm、炭素粒子担体1g当たりのパラジウムの担持量:パラジウム元素に換算して0.94mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして、4−ニトロジフェニルを得、その収率を測定した。投入した1−ブロモ−4−ニトロベンゼンに対する4−ニトロジフェニルの収率は22%であった。
(パラジウムアルミナ触媒(アルミナ担体の比表面積90 m2/g)を用いた1−ブロモ−4−ニトロベンゼンと5,5−ジメチル−2−フェニル−1,3,2−ジオキサボリナンとの鈴木―宮浦カップリングによる炭素−炭素結合生成反応による4−ニトロジフェニルの合成)
実施例1において、10%パラジウムカーボン粉末触媒の代わりに10%パラジウムアルミナ粉末触媒(アルミナ担体のBET法による比表面積:90m2/g、エヌ・イー ケムキャット(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして、4−ニトロジフェニルを得、その収率を測定した。投入した1−ブロモ−4−ニトロベンゼンに対する4−ニトロジフェニルの収率は0%であった。
Claims (7)
- 前記鈴木−宮浦カップリングが、
前記芳香族ボロン酸エステル、該芳香族ボロン酸エステル以外の前記芳香族化合物、前記パラジウム炭素触媒、および溶媒のみの存在下で、または
前記芳香族ボロン酸エステル、該芳香族ボロン酸エステル以外の前記芳香族化合物、前記パラジウム炭素触媒、溶媒、および塩基以外の無機塩のみの存在下で、
行われる請求項1に係る生成方法。 - 前記芳香族ボロン酸エステルの添加量が該芳香族ボロン酸エステル以外の前記芳香族化合物1molに対して0.5〜2.5molであり、
前記パラジウム炭素触媒の添加量が前記芳香族ボロン酸エステル以外の前記芳香族化合物に対してパラジウム元素に換算して0.01〜20モル%であり、
前記パラジウム炭素触媒中の炭素粒子の粒径が、レーザー散乱法により測定した0.5〜500μmの範囲のメジアン径であり、
湿式での前記鈴木−宮浦カップリングに用いられる溶媒が極性有機溶媒と水との混合溶媒である
請求項1または2に係る生成方法。 - 前記鈴木−宮浦カップリングが更に塩基の存在下で行われる請求項1または3に係る生成方法。
- 前記鈴木−宮浦カップリングが、
前記芳香族ボロン酸エステル、該芳香族ボロン酸エステル以外の前記芳香族化合物、前記パラジウム炭素触媒、溶媒、および塩基のみの存在下で、または
前記芳香族ボロン酸エステル、該芳香族ボロン酸エステル以外の前記芳香族化合物、前記パラジウム炭素触媒、溶媒、塩基、および該塩基以外の無機塩のみの存在下で、
行われる請求項4に係る生成方法。 - 前記塩基の添加量が前記芳香族ボロン酸エステル以外の前記芳香族化合物1molに対して1〜10molである請求項4または5に係る生成方法。
- 前記鈴木−宮浦カップリングが空気雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で行われる請求項1〜6のいずれか1項に係る生成方法。
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