JP5194536B2 - 含フッ素ポリエーテル化合物、その製造方法およびそれを含有する硬化性組成物 - Google Patents
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Description
CF2=CFO(CF2)3OCF3
CF2=CFO(CF2)2O(CF2)nCF3 (n:1〜4)
CF2=CFO(CF2CF2)mOCF3 (m:1〜5)
CF2=CFO(CF2CF2CF2O)nCmF2m+1 (n:1〜4、m:1〜5)
CF2=CFO〔CF2CF(CF3)O〕nCF3 (n:2〜6)
(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、R2は2価の直鎖状または分岐状の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基であり、-BO2R2基のフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位であり、lおよびmはそれぞれ独立に10以上の整数であり、l+mは30〜130である)で表わされる含フッ素ポリエーテル化合物が提供される。
(ここで、lおよびmはそれぞれ独立に10以上の整数であり、l+mは30〜130である)で表わされる含フッ素ジカルボン酸フルオリド化合物を、一般式
(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、R2は2価の直鎖状または分岐状の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基であり、-BO2R2基のフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位である)で表わされる芳香族1級または2級アミン化合物と、好ましくはピリジンまたはトリエチルアミン等の3級アミン化合物の存在下で反応させることにより製造される。
(A)成分 含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B)成分 1,3,5-トリハロゲノベンゼン 0.1〜10重量部
(C)成分 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D)成分 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E)成分 有機リン化合物 0〜5重量部
において、lおよびmはそれぞれ独立に10以上の整数であり、l+mは30〜130である。R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、特に製造面からは水素原子またはメチル基であることが好ましい。ただし、水素原子の場合には、得られる含フッ素ポリエーテル化合物の粘度が高くなる傾向にある。R2は2価の直鎖状または分岐状の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基である。例えば、R2としては-CH2C(CH3)2CH2-、-CH2CH2CH2-、-C(CH3)2C(CH3)2-、-C(CH3)2CH2C(CH3)2-等が挙げられ、特に-C(CH3)2C(CH3)2-が製造の容易さから選ばれる。-BO2R2基のフェニル基上の置換位置は、NR1結合置換基に対してm-またはp-位である。
(A)成分 含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B)成分 1,3,5-トリハロゲノベンゼン 0.1〜10重量部
(C)成分 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D)成分 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E)成分 有機リン化合物 0〜5重量部
上述の硬化性組成物の硬化反応は、パラジウム触媒による、アリールボロン酸またはそのエステルとハロゲン化アリールのクロスカップリング反応(鈴木−宮浦反応)に基づくものである。
Chem. Rev. 95巻 2457頁 (1995)
(A)成分である前記一般式で表わされる含フッ素ポリエーテル化合物において、l+mは30〜130であるが、硬化後十分な機械的強度を有する硬化物を得るには、l+mは50以上であることが好ましい。R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であるが、分子内または分子間水素結合および硬化における副反応を避けるために、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基が好ましい。特に、原料の入手のし易さの点から、メチル基が選ばれる。R2は2価の直鎖状または分岐状の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基であるが、前述のように-C(CH3)2C(CH3)2-が好ましい例として挙げられる。また、-BO2R2基のフェニル基上の置換位置は、NR1結合置換基に対してm-またはp-位である。その置換位置がo-位の場合、立体的要因により硬度速度が低下するので好ましくない。
を用いることができる。ここで、Xはヨウ素原子または臭素原子のいずれかであるが、より迅速な硬化速度が得られる1,3,5-トリヨードベンゼンが好んで用いられる。
で表わされる(E)成分有機リン化合物を併用することが好ましい。
で表わされるトリフェニルホスフィン化合物類または一般式
で表わされる、Buchwald配位子と総称される化合物群を用いることもできる。
で表わされる二座配位子有機リン化合物も用いることができる。ここで、Phは置換基を有し得るフェニル基または炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、Zは2価の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはメタロセン基である。
含フッ素ジカルボン酸フルオリド化合物の調製
攪拌装置、温度センサ、ガス導入口およびドライアイス/エタノール冷却凝縮器を備えた内容量1Lのガラス製反応容器を低温恒温槽に設置し、ジアルコキシド化合物 CsOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)CF2OCs を23ミリモルを含むテトラグライム溶液44gを仕込んだ。内温を-33〜-30℃に調整した後、ガス導入口よりヘキサフルオロプロペンを27g仕込んだ。次に、ヘキサフルオロプロペンオキシドを10g/hr、ヘキサフルオロプロペンを4g/hrの供給速度で反応容器内に仕込んだ。27時間経過後、ガスの供給を停止し、さらに1時間-33〜-30℃に内温を保った。減圧下でヘキサフルオロプロペンを反応系内より除去した後、室温までゆっくり昇温した。さらに100℃まで昇温し、減圧下でヘキサフルオロプロペンオリゴマーを反応混合物より除去した。このようにして、フッ化セシウム、テトラグライムおよび含フッ素ジカルボン酸フルオリドからなる混合物を淡黄色粘稠な懸濁液として298g得た。これを精製せずに、次の工程に用いた。
s=Fa(-131ppm)ピーク積分値
t=Fb(-133ppm)ピーク積分値
u=Fc(-146ppm)ピーク積分値
注) ケミカルシフトはCFCl3基準
二官能性比=(t/s-0.5)/(t/s+0.5)=0.90
ヘキサフルオロプロペンオキシド数平均重合度=4u/(2t+s)=70
参考例で得られた含フッ素ジカルボン酸フルオリド、フッ化セシウムおよびテトラグライムからなる混合物50g(約4.2ミリモル)を、含フッ素系溶媒(住友3M製品HFE-7100)50mlに溶解し、そこにトリエチルアミン1.7g(17ミリモル)およびジエチルエーテル20mlを加えた。これに3-(3,3,4,4-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-N-メチルアニリン2.9g(13ミリモル)を加え、室温で1時間反応を行った。得られた反応混合物を飽和食塩水に加え、分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ロ過した。減圧下でロ液から含フッ素系溶媒およびジエチルエーテルを留去した後、得られた粘稠な液体をジエチルエーテルで数回洗浄し、次いで減圧下でジエチルエーテルを完全に留去した。このようにして、含フッ素ポリエーテル化合物〔PFPE-BPin〕
を、僅かに黄色味を帯びた透明な液体として34g得た。E型粘度計(東機産業製TEV-22)により粘度を測定したところ、16.0Pa・s(25℃)であった。
19F-NMR(ケミカルシフトはCFCl3基準): -123ppm(Fb)
-146ppm(Fc)
1H-NMR(ケミカルシフトはTMS基準): 7.8ppm(Ha、Hd)
7.4ppm(Hb、Hc)
3.1ppm(He)
1.3ppm(Hf)
IR(neat): 1700cm-1(C=O)
実施例1の含フッ素ポリエーテル化合物〔PFPE-BPin〕 100重量部
1,3,5-トリヨードベンゼン 3重量部
酢酸パラジウム 0.15重量部
(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン 0.5重量部
リン酸カリウム 5重量部
以上の各成分をエタノール 120重量部、水 25重量部およびベンゾトリフルオリド 300重量部からなる混合溶媒中に加え、窒素雰囲気下に室温で10分間混合し、次いで減圧下に40℃で揮発性物質を除去した。得られた混合物にアセチレンカーボンブラック10重量部を混合し、硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物を、130℃で10分間圧縮成形し、次いで80℃、5時間および200℃、10時間のオーブン加硫(二次加硫)を順次窒素雰囲気下で行い、試験片を得た。
硬化試験:モンサント・ディスク・レオメーターを使用し、130℃でt10、t90、ML、M Hの値を測定
常態物性:JIS K6250、K6253準拠
圧縮永久歪:ASTM D395 Method B準拠
P-24 Oリングについて、200℃、70時間の値を測定
低温特性:ASTM D1329に準拠して、TR10、TR 70 の値を測定
メタノール浸漬試験:25℃のメタノール中に70時間浸漬後の体積変化率を測定
フッ化水素酸浸漬試験:25℃の10重量%フッ化水素酸水溶液中に70時間浸漬後の体積 変化率を測定
実施例2において、(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィンの代りに、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2′,6′-ジメトキシビフェニルを0.5重量部用いた硬化性組成物が用いられた。
実施例2において、(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィンの代りに、トリフェニルホスフィンを0.4重量部用いた硬化性組成物が用いられた。
CF2=CH2/CF2=CF2/CF2=CFOCF3/CF2=CFO〔CF2C(CF3)O〕5CF3/CF2=CFOCF2CF2Br(共重合モル比70/10/10/9/1)共重合体(ηsp/c=1.2;1重量% C6F6溶液について測定、ポリマームーニー粘度(121℃)70)100重量部に、
MTカーボンブラック(キャンキャブ製品サーマックスN900) 30重量部
トリアリルイソシアヌレート(日本化成製品TAIC M60) 6 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B-40) 1.4 〃
ZnO 4 〃
を加えて2本ロールで混合し、この混合物を180℃で10分間圧縮成形して、厚さ2mmのシートおよびP-24 Oリングを加硫成形し、これらをさらに230℃で24時間オーブン加硫(二次加硫)し、実施例2〜4と同様の測定を行った。
表
測定項目 実施例2 実施例3 実施例4 比較例
〔硬化試験〕
試験温度 (℃) 130 130 130 180
t10 (分) 0.4 0.6 0.6 0.5
t90 (分) 1.0 1.1 1.1 2.6
ML (dN・m) 0.2 0.2 0.2 2.0
MH (dN・m) 2.7 2.5 2.7 10.7
〔常態物性〕
硬さ 52 52 52 59
100%モジュラス (MPa) 1.3 1.2 1.4 4.5
破断時強度 (MPa) 2.6 2.5 2.5 11.3
破断時伸び (%) 300 280 280 180
〔圧縮永久歪〕
200℃、70時間 (%) 65 60 60 24
〔低温特性〕
TR10 (℃) -47 -48 -48 -39
TR 70 (℃) -35 -35 -35 -29
〔メタノール浸漬試験〕
体積変化率 (%) +3 +3 +3 +4
〔フッ化水素酸浸漬試験〕
体積変化率 (%) +1 +1 +1 +3
Claims (13)
- 上記一般式において、R1がメチル基である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
- 上記一般式において、R2が-C(CH3)2C(CH3)2-である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
- 上記一般式において、l+mが50以上である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
- ピリジンまたは3級アミン化合物の存在下で反応が行われる請求項5記載の含フッ素ポリエーテル化合物の製造方法。
- (A) 請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B) 一般式
(ここで、Xはヨウ素原子または臭素原子である)
で表わされる1,3,5-トリハロゲノベンゼン 0.1〜10重量部
(C) 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D) 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E) 一般式
(ここで、R3、R4、R5はそれぞれ独立に、それ
ぞれ置換基を有し得る炭素数1〜10の鎖状脂
肪族炭化水素基、炭素数5〜12の環状脂肪族
炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化
水素基である)
または一般式
(ここで、Phは置換基を有し得るフェニル基
または炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、
Zは2価の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはメタ
ロセン基である)
で表わされる有機リン化合物 0〜5重量部
を含有してなる硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。 - R2が-C(CH3)2C(CH3)2-である含フッ素ポリエーテル化合物が(A)成分として用いられた請求項7記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
- (B)成分1,3,5-トリハロゲノベンゼンが1,3,5-トリヨードベンゼンである請求項7記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
- (C)成分2価の有機パラジウム化合物が酢酸パラジウムである請求項7記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
- (D)成分塩基性無機化合物がリン酸カリウムである請求項7記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
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