JP5092503B2 - 含フッ素ポリエーテル化合物、その製造方法およびそれを含有する硬化性組成物 - Google Patents
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- 0 CC(C)(*)[N+](*[N+](C)[O-])[O-] Chemical compound CC(C)(*)[N+](*[N+](C)[O-])[O-] 0.000 description 2
Description
(X:ヨウ素原子または臭素原子)
上記含フッ素ポリエーテル化合物は、入手容易な原料から製造可能で、また芳香族ボロン酸エステルと有機パラジウム化合物触媒により硬化し、エラストマー性成形物を与え得る。しかしながら、主鎖構造を形成するヘキサフルオロイソプロポキシ基-OCF2CF(CF3)-繰り返し単位数は、製造上130程度が限度とされ、そのため最終的に得られるエラストマー性成形物の機械的強度が制限される。
(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、Rfは炭素数2〜4の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基であり、Xはヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はRfO結合置換基に対してm-またはp-位であり、2個のNR1結合置換基が結合したフェニレン基はm-またはp-位にジ置換されたフェニレン基であり、lおよびmはそれぞれ独立に30〜130の整数である)で表わされる含フッ素ポリエーテル化合物が提供される。
(ここで、Rfは炭素数2〜4の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基であり、Xはヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はRfO結合置換基に対してm-またはp-位であり、lは30〜130の整数である)で表わされる含フッ素カルボン酸フルオリド化合物を、一般式
(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基である)で表わされる、m-またはp-フェニレンジアミン化合物と、好ましくはピリジンまたはトリエチルアミン等の3級アミン化合物の存在下において、縮合反応させることにより製造される。
(A)成分 含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B)成分 芳香族ボロン酸エステル化合物 0.1〜10重量部
(C)成分 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D)成分 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E)成分 有機リン化合物 0〜5重量部
において、lおよびmはそれぞれ独立に30〜130、好ましくは50〜130の整数である。R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、特に製法面から水素原子またはメチル基であることが好ましい。ただし、水素原子の場合、分子内または分子間水素結合により粘度が高くなる傾向にある。Rfは炭素数2〜4の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基であり、特に製法面から炭素数3のパーフルオロアルキレン基が選ばれ、具体的には-CF2CF(CF3)-(ただし、側鎖CF3基はオキシフェニル基側)または-CF2CF2CF2-が好ましい例として挙げられる。Xは、ヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はRfO結合置換基に対してm-またはp-位である。2個のNR1結合置換基が結合したフェニレン基は、m-またはp-位にジ置換されたフェニレン基である。
で表わされる含フッ素カルボン酸フルオリド化合物を、一般式
で表わされる、m-またはp-フェニレンジアミン化合物と、好ましくはピリジンまたはトリエチルアミン等の3級アミン化合物の存在下で、-50〜150℃、好ましくは0〜100℃で反応させることにより製造される。
(A)成分 含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B)成分 芳香族ボロン酸エステル化合物 0.1〜10重量部
(C)成分 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D)成分 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E)成分 有機リン化合物 0〜5重量部
上述の各成分からなる組成物の硬化反応は、パラジウム触媒による、アリールボロン酸またはそのエステルとハロゲン化アリールのクロスカップリング反応(鈴木−宮浦反応)に基づいている。
Chem. Rev. 95巻 2457頁 (1995)
(A)成分は、前記一般式で表わされる含フッ素ポリエーテル化合物において、lおよびmはそれぞれ独立に30〜130の整数であるが、硬化物の十分な機械的強度を達成するためには50〜130であることが好ましい。R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であるが、組成物の粘度、硬化挙動および製造の容易さから、メチル基が好ましい例として選ばれる。Rfは炭素数2〜4の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキレン基であるが、特に製法面から炭素数3のパーフルオロアルキレン基が選ばれ、具体的には-CF2CF(CF3)-(ただし、側鎖CF3基はオキシフェニル基側)または-CF2CF2CF2-が好ましい例として挙げられる。Xはヨウ素原子または臭素原子であり、硬化の迅速性の点からはヨウ素原子が好ましく、その置換位置はRfO結合置換基に対してm-またはp-位である。Xの置換位置がRfO結合置換基に対してo-位の場合、立体的要因により硬化速度が低下する場合があるので好ましくない。2個のNR1結合置換基が結合したフェニレン基は、m-またはp-位にジ置換されたフェニレン基であり、o-位にジ置換されたフェニレン基の場合は、含フッ素ポリエーテル化合物を製造する際、副反応が懸念され好ましくない。
である。ここで、R2は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状の2価の脂肪族炭化水素基であり、例えば-CH2C(CH3)2CH2-、-CH2CH2CH2-、-C(CH3)2C(CH3)2-、-C(CH3)2CH2C(CH3)2-等が挙げられる。(B)成分の具体的な例としては、1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリス(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサボリナン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4,4,6,6-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボリナン-2-イル)ベンゼンが挙げられる。好ましくは、1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼンが製造の容易さから選ばれる。
J. Appl. Poly. Sci. 76巻 1257頁 (2000)
で表わされる(E)成分有機リン化合物を併用することが好ましい。
で表わされるトリフェニルホスフィン化合物類または一般式
で表わされる、Buchwald配位子と総称される化合物群を用いることもできる。
で表わされる二座配位子有機リン化合物も用いることができる。ここで、Phは置換基を有し得るフェニル基または炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、Zは2価の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはメタロセン基である。
含フッ素ポリエーテル組成物(PFPE-M)の調製
含フッ素酸フルオリド化合物(少量のテトラグライムおよびフッ化セシウムを含む)
43g(3.4ミリモル)を含フッ素溶媒(住友3M製品HFE-7100)50ml中に溶解し、そこにトリエチルアミン0.7g(7ミリモル)およびジエチルエーテル20mlを加えた。これにp-ヨード-N-メチルアニリン1.2g(5.1ミリモル)を加え、室温で1時間反応を行った。得られた反応混合物を飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ロ過し、次いでフッ素系溶媒およびジエチルエーテルを減圧下で留去した。得られた液体をジエチルエーテルで数回洗浄し、含フッ素ポリエーテル層を分取した後、減圧下でジエチルエーテルを完全に除去した。このようにして、含フッ素ポリエーテル化合物(PFPE-M)34g(収率78%)を僅かに黄色味を帯びた透明な液体として得た。E形粘度計(東機産業製TVE-22)により粘度を測定したところ、13Ps・s(25℃)であった。
19F-NMR(CFCl3基準): -123ppm(Fa)
-145ppm(Fb)
1H-NMR(TMS基準): 7.5ppm(Ha、He)
6.6ppm(Hb、Hd)
3.1ppm(Hc)
IR(neat): 1703cm-1(C=O)
1490cm-1(Ar)
含フッ素ポリエーテル化合物(PFPE-D)の調製
参考例で用いた酸フルオリド化合物43g(3.4ミリモル)を含フッ素溶媒(HFE-7100)50ml中に溶解し、そこにトリエチルアミン0.7g(7ミリモル)およびジエチルエーテル20mlを加えた。これにN,N′-ジメチル-p-フェニレンジアミン0.20g(1.5ミリモル)を加え、室温で1時間反応を行った。次いで、p-ヨード-N-メチルアニリン0.16g(0.7ミリモル)加え、さらに室温で1時間反応を行った。参考例と同様に反応後の処理を行い、目的とする含フッ素ポリエーテル化合物(PFPE-D)32g(収率75%)を僅かに黄色味を帯びた透明な液体として34g得た。E形粘度計(TVE-22)により粘度を測定したところ、18Pa・s(25℃)であった。
19F-NMR(CFCl3基準): -123ppm(Fa)
-145ppm(Fb)
1H-NMR(TMS基準): 7.5ppm(Ha)
6.6ppm(Hb、Hd)
3.1ppm(Hc)
IR(neat): 1700cm-1(C=O)
1483cm-1(Ar)
含フッ素ポリエーテル化合物(PFPE-D) 100重量部
1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル- 3重量部
1,3,2-ジオキシサボロラン-2-イル)ベンゼン
酢酸パラジウム 0.15重量部
(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン 0.5重量部
リン酸カリウム 5重量部
以上の各成分を、エタノール 120重量部、水 25重量部およびベンゾトリフルオリド 300重量部からなる混合溶媒中に加え、窒素雰囲気下に室温で10分間混合し、次いで減圧下に40℃で揮発性物質を除去した。得られた混合物に、アセチレンブラック10重量部を混合して、硬化性組成物を調製した。調製された硬化性組成物を130℃で10分間圧縮成形し、次いで80℃、5時間および200℃10時間オーブン加硫(二次加硫)を順次窒素雰囲気下で行い、下記の各種試験に用いる試験片を作製した。
実施例2において、(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィンの代りに、2-ジシクロヘキシルホスフィノ)-2′,6′-ジメトキシビフェニル 0.5重量部を用いた硬化性組成物が用いられた。
実施例2において、(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィンの代りに、トリフェニルホスフィン 0.4重量部を用いた硬化性組成物が用いられた。
実施例2において、含フッ素ポリエーテル化合物(PFPE-D)の代りに、参考例の含フッ素ポリエーテル化合物(PFPE-M)100重量部を用いた硬化性組成物が用いられた。
実施例4において、含フッ素ポリエーテル化合物(PFPE-D)の代りに、参考例の含フッ素ポリエーテル化合物(PFPE-M)100重量部を用いた硬化性組成物が用いられた。
硬化試験:モンサントディスクレオメーターを使用し、130℃でt10、t90、ML、MHの
値を測定
常態物性:JIS K6250、K6253準拠
圧縮永久歪:ASTMD 395 Method B準拠し、P24 Oリングについて200℃、70時間の値を 測定
低温特性:ASTMD 1329準拠して、TR10、TR70を測定
メタノール浸漬試験:硬化物を25℃のメタノールに70時間浸漬後の体積変化率を測定
表
測定項目 実施例2 実施例3 実施例4 比較例1 比較例2
硬化試験
t10 (分) 0.5 0.4 0.4 0.5 0.5
t90 (分) 1.1 1.2 1.1 1.2 1.1
ML (dN・m) 0.3 0.3 0.3 0.2 0.2
MH (dN・m) 3.8 4.0 3.8 2.7 2.6
常態物性
硬さ 52 52 52 51 50
100モジュラス (MPa) 1.5 1.5 1.5 1.2 1.1
破断時強度 (MPa) 4.0 4.2 4.2 2.7 2.5
破断時伸び (%) 260 260 260 240 240
圧縮永久歪 (%) 45 47 47 60 62
低温特性
TR10 (℃) -48 -48 -48 -47 -47
TR70 (℃) -36 -36 -36 -34 -34
メタノール浸漬試験
体積変化率 (%) +3 +3 +3 +3 +3
Claims (14)
- 上記一般式において、Xがヨウ素原子である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
- 上記一般式において、R1がメチル基である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
- 上記一般式において、Rfが-CF2CF2CF2-である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
- 上記一般式において、Rfが-CF2CF(CF3)-(ただし、側鎖CF3基はオキシフェニル基側)である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
- ピリジンまたは3級アミンの存在下で縮合反応が行われる請求項6記載の含フッ素ポリエーテル化合物の製造方法。
- (A) 請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B) 一般式
(ここで、R2は炭素数2〜10の直鎖状または
分岐状の2価の脂肪族炭化水素基である)
で表わされる芳香族ボロン酸エステル化合物 0.1〜10重量部
(C) 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D) 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E) 一般式
(ここで、R3、R4、R5はそれぞれ独立に、それ
ぞれ置換基を有し得る炭素数1〜10の鎖状脂
肪族炭化水素基、炭素数5〜12の環状脂肪族
炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化
水素基である)
または一般式
(ここで、Phは置換基を有し得るフェニル基
または炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、
Zは2価の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはメタロ
セン基である)
で表わされる有機リン化合物 0〜5重量部
を含有する硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。 - Xがヨウ素原子である含フッ素ポリエーテル化合物が(A)成分として用いられた請求項8記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
- (C)成分2価の有機パラジウム化合物が酢酸パラジウムである請求項8記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
- (D)成分塩基性無機化合物がリン酸カリウムである請求項8記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
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