JP5093107B2 - ガスバリア性樹脂基材の製造方法及びガスバリア性樹脂基材の製造装置 - Google Patents

ガスバリア性樹脂基材の製造方法及びガスバリア性樹脂基材の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマ放電処理により基材上にガスバリア膜を形成、あるいは基材表面の改質処理を行うプラズマ放電処理で製造されるガスバリア性樹脂基材の製造方法及びガスバリア性樹脂基材の製造装置に関し、詳しくは、連続搬送する長尺基材において、表面のスリ傷、おされ故障等による欠陥の発生を防止して、高品位のガスバリア性樹脂基材が得られるガスバリア性樹脂基材の製造方法及びガスバリア性樹脂基材の製造装置に関するものである。
従来、プラスチック基板やフィルム表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途等に広く用いられている。また、包装用途以外にも、液晶表示素子、太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)デバイス等で使用されている。特に、液晶表示素子、有機ELデバイスなどへの応用が進んでいる透明基材では、近年、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求因子が加わり、重く割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって、透明プラスチック等のフィルム基材が採用され始めている。また、プラスチックフィルムは、上記の各要求に応えるだけでなく、ロールトゥロール方式が可能であることから、ガラス基板よりも生産性に優れ、経済性の面からも有利である。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基材は、ガラス等の基材に比較して、ガスバリア性が劣るという問題を抱えている。ガスバリア性が劣る基材を用いると、水蒸気や空気が内部に浸透し、例えば、液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位の劣化を招く結果となる。
この様な問題を解決するための方法の一つとして、フィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成して、ガスバリア性を付与したガスバリア性フィルムとする方法が知られている。
包装材料や液晶表示素子に使用されるガスバリア性フィルムとしては、例えば、プラスチックフィルム上に酸化珪素膜を蒸着したもの(例えば、特許文献1参照。)や酸化アルミニウム膜を蒸着したもの(例えば、特許文献2参照。)が知られており、いずれも水蒸気透過率で1g/m2/day程度の水蒸気バリア性を備えている。
しかしながら、近年では、更なるガスバリア性が要求される有機ELディスプレイや、液晶ディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発により、フィルム基板へのガスバリア性能についての要求は、水蒸気バリア性で10-2g/m2/dayオーダー程度まで高まってきている。これら高い水蒸気遮断性の要望に応える方法の1つとして、樹脂基材の片面または両面に緻密なセラミック層と、柔軟性を有し、外部からの衝撃を緩和するポリマー層とを積層した構成のガスバリア性フィルムが提案されている(例えば、特許文献3、4参照。)。しかしながら、セラミック層とポリマー層とでは、一般に組成が大きく異なるため、それぞれの接触界面部での密着性が劣化し、剥離等を引き起こすことがある。特に、この密着性の劣化は、高温高湿等の過酷な環境下や紫外線の照射を長期間にわたり受けた際に顕著に現れ、早急な改良が求められている。
また、上記の様な膜剥離等の品質劣化が少なく、密着性が優れたガスバリア性樹脂基材として、炭素含有量の異なる酸化珪素を積層する方法が開示されている(例えば、特許文献5、6参照)。
特公昭53−12953号公報 特開昭58−217344号公報 米国特許第6,268,695号明細書 特開2005−324406号公報 特開2003−257619号公報 特開平8−48369号公報
しかしながら、高度のガス遮断性が要求されるガスバリア性樹脂基材の製造過程では、連続搬送時に、基材を保持するロール面との接触により肉眼では確認できない様な微小な傷や異物の発生が、高いガス遮断性を実現する上で問題となっている。特に、基材の両面にガスバリア層を設けるガスバリア性樹脂基材の製造において、例えば、一方の面(A面)に予めガスバリア層を形成した後、裏面側(B面)に再度ガスバリア層を形成する際、予め形成したA面のガスバリア膜厚の不均一性や樹脂基材のつれ、あるいは膜質差により、搬送時にA面が電極と接するため、ガスバリア層に直接電極が接することなり、その結果、A面に形成したガスバリア層の一部分に傷や異物等が入り、高度なガス遮断性を達成する上で大きな問題となることが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ガスバリア性樹脂基材の製造において、樹脂基材上に形成したガスバリア層に離型性を有する樹脂材料をラミネートすることにより、接触するロールよるスリ傷の発生や異物付着を防止し、更に被プラズマ処理面に直接接触するロールを最小限にし、ガスバリア層への傷や異物の混入を極力低減することにより、ガス遮断性に優れたガスバリア性樹脂基材を高収率で製造できるガスバリア性樹脂基材の製造方法及びガスバリア性樹脂基材の製造装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.樹脂基材に少なくとも1層のガスバリア層を有するガスバリア性樹脂基材の製造方法であって、
少なくとも一対の対向する電極と該対向する電極の間に形成された放電空間を有し、ワインダ(巻き取り軸)とアンワインダ(巻き出し軸)との間を連続的に移送する該樹脂基材が、該対向する電極の少なくとも一方の電極に接しながら該放電空間を通過することで、該放電空間において電極に接していない面側がプラズマ処理されてガスバリア層を形成するプラズマ処理する工程と、
該ワインダ(巻き取り軸)とアンワインダ(巻き出し軸)との間を連続的に移送する樹脂基材の一方の面(A面)側に、少なくとも1層のガスバリア層を形成した後、該A面側に離型性を有する樹脂材料をラミネートする工程と、
該樹脂基材の他方の面(B面)側に少なくとも1層の構成層を形成する工程と
該樹脂基材の他方の面(B面)側に少なくとも1層の構成層を形成した後、該樹脂基材の一方の面(A面)側にラミネートした、該離型性を有する樹脂材料を剥離する工程とを経て製造することを特徴とするガスバリア性樹脂基材の製造方法。
2.前記離型性を有する樹脂材料が、少なくともフィルムと、該フィルムの片面に形成された粘着剤を含む粘着層からなり、該粘着剤がアクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤及びゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種であり、該粘着剤の粘着力が1mN/cm以上、2N/cm以下で、かつ厚さが0.1μm以上、30μm以下であることを特徴とする前記1に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
3.前記粘着剤の粘着力が、1mN/cm以上、200mN/cm以下であることを特徴とする前記2に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
4.前記粘着剤の重量平均分子量が、40万以上、140万以下であることを特徴とする前記2又は3に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
5.前記構成層が、ガスバリア層であることを特徴とする前記1乃至4のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
6.前記ガスバリア層は、前記樹脂基材の側から、密着膜、セラミック膜及び保護膜がこの順に積層されてなることを特徴とする、前記1項乃至5のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
7.前記セラミック層の密度は、前記密着膜及び前記保護膜のそれぞれの密度よりも高いことを特徴とする、前記6に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
8.前記樹脂基材の他方の面(B面)側に、離型性を有する樹脂材料をラミネートする工程と、
前記樹脂基材の一方の面(A面)及び前記樹脂基材の他方の面(B面)の両方の側に前記離型性を有する樹脂材料がラミネートされた前記樹脂基材をワインダに巻き取る工程と、をこの順で有することを特徴とする、前記1乃至7のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
.前記プラズマ処理が、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、前記放電空間に薄膜形成ガスおよび放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、前記樹脂基材を励起した該ガスに晒すことにより、前記樹脂基材上に前記ガスバリア層を形成する大気圧プラズマ処理であることを特徴とする前記1乃至のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
10.前記樹脂基材が接する電極が、回転するロール電極であることを特徴とする前記1乃至のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
11.前記プラズマ処理工程で用いる装置は、前記ワインダとアンワインダの間に配列され、前記樹脂基材の被プラズマ処理面に直接接触するロールが、前記樹脂基材が接する電極上に設けられたニップロールのみであることを特徴とする前記1乃至10のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
12.前記プラズマ処理工程で用いる装置は、前記樹脂基材を前記ワインダとアンワインダの間で双方向に往復して移動させ、連続的にプラズマ処理を行うことを特徴とする前記1乃至11のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
13.前記連続的に樹脂基材を移送する手段が、気体を吹き出し口より噴出することにより連続的に走行する前記樹脂基材を支持する無接触搬送装置で構成されていることを特徴とする前記1乃至12のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
14.前記樹脂基材のA面側に少なくとも1層のガスバリア層を形成し、次いでB面側に前記離型性を有する樹脂材料をラミネートした後、前記B面側にプラズマ処理する前に該樹脂材料を剥離した後、該B面側に少なくとも1層の構成層を形成することを特徴とする前記1乃至13のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
15.前記樹脂基材のA面側に前記離型性を有する樹脂材料をラミネートし、該A面側にプラズマ処理によりガスバリア層を形成する前に、該A面側に付与した樹脂材料を剥離することを特徴とする前記1乃至14のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
16.前記1乃至14のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法で用いることを特徴とするガスバリア性樹脂基材の製造装置。
本発明により、樹脂基材上に形成したガスバリア層に離型性を有する樹脂材料をラミネートすることにより、接触するロールよるスリ傷の発生や異物付着を防止し、更に被プラズマ処理面に直接接触するロールを最小限にし、ガスバリア層への傷や異物の混入を極力低減することにより、ガス遮断性に優れたガスバリア性樹脂基材を高収率で製造できるガスバリア性樹脂基材の製造方法及びガスバリア性樹脂基材の製造装置を提供することができた。
本発明に係る樹脂材料のラミネート部を備え、異なる周波数の電界を2つ印加した大気圧プラズマ処理装置の一例を示す概略図である。 本発明に係る樹脂材料のラミネート部を備え、異なる周波数の電界を2つ印加した大気圧プラズマ処理装置の他の一例を示す概略図である。 本発明に係る樹脂材料のラミネート部を備え、異なる周波数の電界を2つ印加した大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。 無接触搬送方式のプラズマ放電処理装置と、樹脂材料のラミネート部とを有するガスバリア性樹脂基材の製造方法の一例を示す概略図である。 ロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
符号の説明
3 ロール回転電極
4 固定電極
10 放電部
13 テンションメータ
14 EFCセンサ
16 粘着ロール
21 第2電源
22 第2フィルタ
23 第1電源
24 第1フィルタ
31 プラズマ放電容器
66 ニップロール
70 ラミネート工程
71 樹脂基材
74 樹脂材料
100 アンワインダ
101 ワインダ
214A〜214D 無接触搬送装置(フロータ)
231 放電処理室
535A、636A 金属質母材
535B、636B 誘電体
F 基材フィルム
R1〜R4 リムーバー
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、樹脂基材に少なくとも1層のガスバリア層を有するガスバリア性樹脂基材の製造方法であって、少なくとも一対の対向する電極と該対向する電極の間に形成された放電空間を有し、ワインダ(巻き取り軸)とアンワインダ(巻き出し軸)との間を連続的に移送する該樹脂基材が、該対向する電極の少なくとも一方の電極に接しながら該放電空間を通過することで、該放電空間において電極に接していない面側がプラズマ処理されてガスバリア層を形成するプラズマ処理する工程と、該ワインダ(巻き取り軸)とアンワインダ(巻き出し軸)との間を連続的に移送する樹脂基材の一方の面(A面)側に、少なくとも1層のガスバリア層を形成した後、該A面側に離型性を有する樹脂材料をラミネートする工程と、該樹脂基材の他方の面(B面)側に少なくとも1層の構成層を形成する工程とを経て製造することを特徴とするガスバリア性樹脂基材の製造方法により、接触するロールよる形成済のガスバリア層へのスリ傷の発生や異物付着を防止し、ガス遮断性に優れた両面にガスバリア層を備えたガスバリア性樹脂基材を高収率で製造できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
《離型性を有する樹脂材料》
本発明のガスバリア性樹脂基材の製造方法においては、樹脂基材の一方の面側(A面)に、プラズマ処理法でガスバリア層を形成した後、裏面側(B面)にガスバリア層を設ける前に、既に形成したA面側のガスバリア層上に、離型性を有する樹脂材料をラミネートすることを特徴とする。
本発明に係る離型性を有する樹脂材料は、特に制限はないが、少なくともフィルムと、該フィルムの片面に形成された粘着剤を含む粘着層からなり、該粘着剤がアクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤及びゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種であり、該粘着剤の粘着力が1mN/cm以上、2N/cm以下であることが好ましく、更には1mN/cm以上、200mN/cm以下であることが好ましい。
粘着剤の粘着力が1mN/cm以上であれば、樹脂材料とガスバリア層との十分な密着力を得ることができ、連続搬送中での剥離が発生しなくなると共に、搬送時のロール等の接触による既に形成したガスバリア層に対する影響を防止することができる。また、粘着力が2N/cm以下であれば、樹脂材料を剥離するときに、ガスバリア層に対し過度の力を掛けることなく、ガスバリア層の破壊や、ガスバリア層上への粘着剤の残留を起こすことがない点で好ましい。
本発明に係る粘着剤の粘着力は、JIS Z 0237に準拠した測定法に従って、試験板としてコーニング1737を用い、樹脂材料を試験板に圧着して20分後に測定して求めることができる。
また、粘着剤の厚さとしては、0.1μm以上、30μm以下であることが好ましい。粘着剤の厚さが0.1μm以上であれば、樹脂材料と樹脂基材との十分な密着力を得ることができ、連続搬送中での剥離が発生しなくなると共に、搬送時のロール等の接触による既に形成したガスバリア層に対する影響を防止することができる。また、粘着剤の厚さが30μm以下であれば、樹脂材料を剥離するときに、ガスバリア層に対し過度の力を掛けることなく、ガスバリア層の破壊や、ガスバリア層上への粘着剤の残留を起こすことがない。
また、粘着層を構成する粘着剤の重量平均分子量は、40万以上、140万以下であることが好ましい。重量平均分子量が40万以上であれば、過度の粘着力となることはなく、140万以下であれば十分な粘着力を得ることができる。本発明で規定する重量平均分子量の範囲であれば、ガスバリア層上への粘着剤の残留を防止することができ、また、特に、プラズマ処理法でガスバリア層を形成する際には、熱やエネルギーがかかるため、適当な分子量範囲であれば、粘着材料の転写や剥離が生じることを防止することができる。
次いで、離型性を有する樹脂材料の各構成材料について説明する。
本発明に係る離型性を有する樹脂材料は、主には、基材と、この基材の片面に形成された粘着層と、粘着層の表面、すなわち基材とは反対側の表面に積層された樹脂基材等からなる剥離層とから構成されている。
(基材)
本発明に係る樹脂材料に用いられる基材としては、特に制限はないが、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム;ヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド系フィルム;ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリフルオロエチレン等の含ハロゲン系フィルム;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル及びその誘導体フィルム等のプラスチックフィルムが、紙とは異なり微細塵を発生しないことから好ましい。なお、本発明においては、耐熱性および入手の容易性の観点からポリエチレンテレフタラートフィルムが好ましく用いられる。
基材の厚さも特に制限はされないが、10μm〜300μmのものが使用される。好ましくは25μm〜150μmのものである。10μm以下であるとフィルムが薄いことから、取り扱いが困難であり、300μm以上だと硬くなり、搬送性やロールへの密着性が悪くなる。
(粘着層)
本発明においては、粘着剤の種類として、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤、紫外線硬化型粘着剤などを挙げることができるが、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤及びゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
〈アクリル系粘着剤〉
アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体または他の共重合性モノマーとの共重合体が用いられる。更に、これらの共重合体を構成するモノマーもしくは共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、オクチルエステル、イソノニルエステル等)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(例えば、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシブチルエステル、ヒドロキシヘキシルエステル)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。主要成分のモノマーとしては、通常、ホモポリマーのガラス転移点が−50℃以下のアクリル酸アルキルエステルが使用される。
アクリル系粘着剤の硬化剤としては、例えば、イソシアネート系、エポキシ系、アリジリン系硬化剤が利用できる。イソシアネート系硬化剤では、長期保存後も安定した粘着力を得ることと、より硬い粘着層とする目的で、トルイレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系のタイプを好ましく用いることができる。更に、この粘着剤には、添加剤として、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤を含有させることもできる。
また、再剥離性を付与させるため、あるいは粘着力を低く安定に維持するために、それらの成分が相手基材に移行しない程度に、ワックス等の有機樹脂、シリコン、フッ素等の低表面エネルギーを有する成分を添加しても良い。例えば、ワックス等の有機樹脂では、高級脂肪酸エステルや低分子のフタル酸エステルを用いても良い。
〈ゴム系粘着剤〉
ゴム系粘着剤としては、例えば、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴムとこれらの混合物、或いは、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体などの粘着付与剤を配合したものが用いられる。
ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、更にはスチレン−イソプレン−スチレン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム等が挙げられる。
中でも、ブロックゴム系粘着剤は、一般式A−B−Aで表されるブロック共重合体や一般式A−Bで表されるブロック共重合体(但し、Aはスチレン系重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、またはそれらを水素添加して得られるオレフィン重合体ブロックであり、以下、スチレン系熱可塑性エラストマーという)を主体に、粘着付与樹脂、軟化剤などが配合された組成物が挙げられる。
上記ブロックゴム系粘着剤において、スチレン系重合体ブロックAは平均分子量が4,000〜120,000程度のものが好ましく、更に10,000〜60,000程度のものがより好ましい。そのガラス転移温度は15℃以上のものが好ましい。また、ブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロックまたはこれらを水素添加して得られるオレフィン重合体ブロックBは、平均分子量が30,000〜400,000程度のものが好ましく、更に60,000〜200,000程度のものがより好ましい。そのガラス転移温度は−15℃以下のものが好ましい。上記A成分とB成分との好ましい質量比はA/B=5/95〜50/50であり、更に好ましくはA/B=10/90〜30/70である。A/Bの値が、50/50を超えると常温においてポリマーのゴム弾性が小さくなり、粘着性が発現しにくくなり、5/95未満ではスチレンドメインが疎になり、凝集力が不足し、所望の接着力が得られないばかりか、剥離時に接着層がちぎれてしまう等の不具合が見られる。
更に、上記粘着剤に、ポリオレフィン系樹脂を添加することにより、剥離紙もしくは剥離フィルムからの離型性を向上することができる。このポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−n−ブチルアクリレート共重合体及びこれらの混合物が挙げられる。
このポリオレフィン系樹脂は、低分子量分が少ないことが好ましく、具体的には、n−ペンタンによる沸点乾留で抽出される低分子量分が1.0質量%未満であることが好ましい。低分子量分が1.0質量%を超えて存在すると、この低分子量分が温度変化や経時変化に応じて、粘着特性に悪影響を及ぼし、粘着力を低下させるからである。
また、上記粘着剤には、シリコンオイルを添加することにより、ポリビニルアルコールを主成分とする塗膜が設けられた自背面との親和性を更に低下せしめることができる。このシリコンオイルはポリアルコキシシロキサン鎖を主鎖にもつ高分子化合物で、粘着層の疎水性を高め、更に接着界面、即ち、粘着層表面にブリードするため、粘着剤の接着力を抑制し、接着昂進現象が起き難くする働きがある。
上記ゴム系粘着剤に、架橋剤を添加し架橋することで粘着層とする。
架橋剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤の架橋には、イオウと加硫助剤および加硫促進剤(代表的なものとして、ジブチルチオカーバメイト亜鉛など)が使用される。天然ゴムおよびカルボン酸共重合ポリイソプレンを原料とした粘着剤を室温で架橋可能な架橋剤として、ポリイソシアネート類が使用される。ブチルゴムおよび天然ゴムなどの架橋剤に耐熱性と非汚染性の特色がある架橋剤として、ポリアルキルフェノール樹脂類が使用される。ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムおよび天然ゴムを原料とした粘着剤の架橋に有機過酸化物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどがあり、非汚染性の粘着剤が得られる。架橋助剤として、多官能メタクリルエステル類を使用する。その他紫外線架橋、電子線架橋などの架橋による粘着剤の形成がある。
〈シリコン系粘着剤〉
本発明に係る粘着層においては、シリコン系粘着剤としては付加反応硬化型シリコン粘着剤と縮重合硬化型シリコン粘着剤があるが、本発明では付加反応硬化型が好ましく用いられる。
付加反応硬化型シリコン粘着剤組成物の組成としては、以下に挙げるものが好適に用いられる。
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン
(B)SiH基を含有するポリオルガノシロキサン
(C)制御剤
(D)白金触媒
(E)導電性微粒子
ここで、(A)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサンであり、このようなアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサンとしては、下記一般式(1)で示されるものが例示できる。
一般式(1)
(3-a)aSiO−(RXSiO)m−(R2SiO)n−(RXSiO)p−R(3-a)XaSiO
一般式(1)において、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基含有の有機基である。aは0〜3の整数で1が好ましく、mは0以上であるが、a=0の場合、mは2以上であり、m及びnは、それぞれ100≦m+n≦20,000を満足する数であり、pは2以上である。
Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基などが挙げられるが、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
Xはアルケニル基含有の有機基で炭素数2〜10のものが好ましく、具体的にはビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基等が挙げられるが、特にビニル基、ヘキセニル基などが好ましい。
このポリジオルガノシロキサンの性状は、オイル状、生ゴム状であればよく、(A)成分の粘度は、25℃において100mPa・s以上、特に1,000mPa・s以上が好ましい。なお、上限としては、特に限定されないが、他成分との混合の容易さから、重合度が20,000以下となるように選定することが好ましい。また、(A)成分は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
(B)成分であるSiH基を含有するポリオルガノシロキサンは架橋剤であり、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノヒドロポリシロキサンで、直鎖状、分岐状、環状のものなどを使用することができる。
(B)成分としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができるが、これらのものには限定されない。
一般式(2)
b1 (3-b)SiO−(HR1SiO)x−(R1 2SiO)y−SiR1 (3-b)b
一般式(2)において、R1は炭素数1〜6の脂肪族不飽和結合を含有しない1価炭化水素基である。bは0〜3の整数、x、yはそれぞれ整数であり、このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度が1〜5,000mPa・sとなる数を示す。
このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜5,000mPa・s、特に5〜1000mPa・sであることが好ましく、また2種以上の混合物でもよい。
付加反応による架橋は、(A)成分と架橋剤の(B)成分の間で生じ、硬化後の粘着層のゲル分率は架橋成分の割合によって決まる
(B)成分の使用量は、(A)成分中のアルケニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比が0.5〜20、特に0.8〜15の範囲となるように配合することが好ましい。0.5以上であれば、架橋密度が保たれ、これにともない保持力を得ることができる。一方で、20以下であれば、粘着力及びタックが得られる。
また、耐熱保持力などの耐熱性や溶剤浸透抑制などの耐溶媒性を向上させるためには、組成物中の架橋成分の割合を増やせばよいが、過剰に増やすと粘着力の低下や膜の柔軟性が低下するなどの影響が発生する場合がある。このような点から、(A)/(B)成分の配合質量比は20/80〜80/20とすればよく、特に45/55〜70/30とすることが好ましい。(A)成分の配合割合が20/80以上であれば、粘着力、タックなどの十分な粘着特性を得ることができ、また、80/20以下であれば十分な耐熱性が得られる。
(C)成分は付加反応制御剤であり、シリコン粘着剤組成物を調合し、基材に塗工する際、加熱硬化の以前に処理液が増粘やゲル化をおこさないようにするために添加するものである。
(C)成分の具体例としては、
3−メチル−1−ブチン−3−オール、
3−メチル−1−ペンチン−3−オール、
3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、
1−エチニルシクロヘキサノール、
3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、
3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、
3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、
1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、
ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、
1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン
などが挙げられる。
(C)成分の配合量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して0〜5.0質量部の範囲であることが好ましく、特に0.05〜2.0質量部が好ましい。5.0質量部を越えると硬化性が低下することがある。
(D)成分は白金系触媒であり、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物などが挙げられる。
(D)成分の添加量は、(A)及び(B)成分の合計量に対し、白金分として1〜5,000ppm、特に5〜2,000ppmとすることが好ましい。1ppm以上であれば、十分な硬化性が得られ、架橋密度も高く、保持力を維持することができる。
(E)成分の導電性微粒子の形状は、球状、樹枝状、針状など特に制限はない。また、粒径は特に制限はないが、最大粒径が粘着剤の塗工厚みの1.5倍を越えないことが好ましく、これを越えると粘着剤塗工表面に導電性微粒子の突出が大きくなりすぎて、この部分を起点に被着体からの浮きなどが発生しやすくなる。
粘着剤層には種々の添加剤が添加されていても良い。例えば、架橋剤、触媒、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、充填剤、粘着付与剤、界面活性剤等を添加してもよい。
粘着層の基材上への塗布方法としては、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター、コンマコーター等により行われ、必要によりスムージングや、乾燥、加熱、紫外線等電子線露光工程等を経て、粘着層が形成される。
(剥離層)
剥離層として用いられる素材は、塵埃を発生しないプラスチックフィルム等が好ましい。本発明に係る剥離層に用いられるプラスチックフィルムとしては、特に制限はないが、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム;ヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド系フィルム;ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリフルオロエチレン等の含ハロゲン系フィルム;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル及びその誘導体フィルムが用いられる。好ましくは、ポリエステル系フィルムであり、例えば、ポリエチレンテレフタレートである。適度な弾性を有するからである。剥離層に用いられるプラスチックフィルムは、剥離剤が塗布されているものであっても良い。離型処理を施すための塗布液の具体例を挙げると、旭化成ワッカーシリコン株式会社製のDEHESIVEシリーズのうち、無溶剤型の636、919、920、921、924、エマルジョン型の929、430、440、39005、39006、溶剤型の940、942、952、953、811等が、GE東芝シリコン株式会社製の剥離紙用シリコン:TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9315、XS56−A2775、XS56−A2982、TPR6600、TPR6605、TPR6604、TPR6705、TPR6722、TPR6721、TPR6702、XS56−B3884、XS56−A8012、XS56−B2654、TPR6700、TPR6701、TPR6707、TPR6710、TPR6712、XS56−A3969、XS56−A3075、YSR3022等が挙げられる。
《ガスバリア層》
本発明の樹脂基材に少なくとも1層のガスバリア層を有するガスバリア性樹脂基材の製造方法においては、樹脂基材の一方の面(A面)側に、少なくとも1層のガスバリア層を形成し、該A面側に離型性を有する樹脂材料をラミネートした後、該樹脂基材の他方の面(B面)側に少なくとも1層の構成層を形成することを特徴とする。
(B面)側に形成する構成層としては、いかなる層であっても良いが、特には、ガスバリア層であることが好ましい。
本発明におけるガスバリア層とは、ガスバリア性を有する層およびそれを補助する層のことをいい、例えば、酸化珪素や窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミ、ITOのような無機膜単膜や、無機膜と有機膜の(交互)積層構造、炭素の含有する無機膜と炭素をほとんど含有しない無機膜の積層構造のことをいう。
本発明に係るガスバリア層は、少なくとも密着膜、セラミック膜、保護膜を含む積層構造が好ましく用いられる。
セラミック膜は、酸素及び水蒸気の透過性の低い緻密な層であり、密着膜、保護膜は、これよりも密度の低い同一組成物を含有する層からなる。
本発明による密着膜、セラミック膜、保護膜等から構成されるガスバリア層において、セラミック膜の密度は、その上下に位置する密着膜及び保護膜のそれぞれの密度よりも高く設定されることが好ましい。密着膜及び保護膜の密度をセラミック膜より低下させることで、密着膜及び保護膜はやや柔軟性を有する充填度合いの低い膜となり、セラミック膜と積層したときにガスバリア性の高い緻密な高密度のセラミック膜に比べ、柔軟性を向上させることで応力緩和を行うことができる。密着膜は、同時に外部からの応力を緩和させる作用を有すると共に、セラミック膜と基材または後述するポリマー膜との接着を向上させ、折り曲げ耐性を向上させ、又、保護膜は、外部からの応力を緩和させる作用を有すると共に、硬度の高い緻密なセラミック膜が外部からの応力に弱い、又、折り曲げ等により割れやすい性質をカバーし、例えば、有機EL素子製造において、透明導電層の形成等、後工程適性を付与することができる。
本発明に係るガスバリア性樹脂基材は、水蒸気透過率が0.01g/m2/day以下、酸素透過率が0.01ml/m2/day/atm以下であることが好ましい。そのために、前記セラミック膜は、1×10-14g・cm/(cm2・sec・Pa)以下の水蒸気透過係数を有するように形成されることが好ましい。
水蒸気透過率は、JIS K 7129Bや特開2004−333127号公報等に記載された方法により測定することができる(g/m2/day)。
また、酸素透過率についても同じく、JIS K 7126B等に記載された方法で測定することができる(ml/m2/day/atm)。
また、水蒸気透過係数は以下の方法で測定することができる。水蒸気透過係数が既知の支持体(例えばセルローストリアセテートフィルム;厚み100μm)上に前記セラミック膜を所定の厚みで形成しそのまま試料膜として用い、この試料膜を挟んで隔てた一次側と二次側の2つの容器を真空にする。一次側に相対湿度92%の水蒸気を導入し、試料膜を透過し二次側に出てきた水蒸気量を、25℃において真空計を用いて計測する。これを経時で測定し、縦軸に二次側水蒸気圧(Pa)、横軸に時間(秒)をとり透過曲線を作成する。この透過曲線の直線部の勾配を用いて水蒸気透過係数(g・cm・cm-2・sec-1・Pa-1)を求める。支持体の水蒸気透過係数は既知なので、この厚み、また、支持体上に形成したセラミック膜の厚みから、セラミック膜の水蒸気透過係数が計算できる。
本発明における密着膜、セラミック膜層、保護膜それぞれ(総称してガスバリア層という)の厚さは、用いられる材料の種類、構成により最適条件が異なり、適宜選択されるが、0.1〜5000nmの範囲内であることが好ましく、更に好ましいのは1〜2000nmの範囲内である。ガスバリア層の厚さが、上記の範囲より薄い場合には、均一な膜が得られず、ガスに対するバリア性を得ることが困難であるからである。また、特にセラミック膜の厚さは、0.1〜5000nmの範囲内、更には1〜1000nmの範囲が好ましい。セラミック層が上記の範囲より厚い場合には、ガスバリア性樹脂基材(フィルム)にフレキシビリティを保持させることが困難であり、成膜後に折り曲げ、引っ張り等の外的要因により、ガスバリア性樹脂基材に亀裂が生じる等のおそれがあるからである。
前記密着膜は、応力緩和の役割をもつと同時に基材との密着、接着を向上させる層であり、密着膜の膜厚は1〜500nmが好ましく、さらに好ましいのは20〜200nmである。また、保護膜は、セラミック膜の保護のため保護膜の膜厚としては1〜1000nm、さらには20nm〜800nmが好ましい。
本発明においてガスバリア層は、それぞれの薄膜が酸素及び水蒸気の透過を阻止する層であれば、その組成等は特に限定されるものではない。本発明に係るガスバリア層、即ち密着膜、セラミック膜及び保護膜は具体的には同じセラミック材料を含有して構成され、セラミック材料としては金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、またこれらの混合物(金属酸窒化物、金属酸化ハロゲン化物、金属窒化炭化物など)があげられる。これらのうち、金属酸化物、金属酸窒化物、金属窒化物が好ましく、具体的には、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等が好ましく挙げられる。
特に、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明において、密着膜、セラミック膜、保護膜を、基材上に形成する方法としては、少なくとも一対の対向する電極と該対向する電極の間に形成された放電空間を有し、ワインダ(巻き取り軸)とアンワインダ(巻き出し軸)との間を連続的に移送する該樹脂基材が、該対向する電極の少なくとも一方の電極に接しながら該放電空間を通過することで、該放電空間において電極に接していない面側がプラズマ処理されてガスバリア層を形成することを特徴の1つとし、更には、本発明においては、本発明に係る密着膜、セラミック膜及び保護膜の少なくとも1層あるいは全層を、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガスおよび放電ガスを含有するガスを供給し、放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、ガスバリア層を形成しようとする樹脂基材を前記励起したガスに晒すことにより、基材上に薄膜を形成する大気圧プラズマ処理法(以下、大気圧プラズマCVD法ともいう)を用いて形成することが好ましい。
本発明でいう大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
上記のような大気圧プラズマCVD法による薄膜形成においては、薄膜形成ガスは、主に、薄膜を形成するための原料ガス、該原料ガスを分解して薄膜形成化合物を得るための分解ガス及びプラズマ状態とするための放電ガスとから構成されている。
本発明では、樹脂フィルム上に密着膜、セラミック膜及び保護膜を、同一組成物から構
成することが好ましく、例えば、前記大気圧プラズマCVD法による薄膜形成において、同一組成物から構成された薄膜を形成する薄膜形成ガスをそれぞれ用いることが好ましく、これにより不純物の混入がなく、非常に安定した製造が可能となり、かつ過酷な環境下で保存した場合においても密着性が劣化することなく、良好な透明性、ガスバリア耐性を備えたガスバリア層を有するガスバリア性樹脂基材を得ることができる。
本発明のガスバリア性樹脂基材において、同一組成物から構成された薄膜を形成するような薄膜形成ガスを用いて、所望の構成からなる密着膜、セラミック膜及び保護膜を形成する方法としては、特に制限はないが、最適な原材料を選択すると共に、原料ガス、分解ガス及び放電ガスの組成比、プラズマ放電発生装置への薄膜形成ガスの供給速度、あるいはプラズマ放電処理時の出力条件等を適宜選択することが好ましい。
本発明に係るガスバリア性樹脂基材においては、セラミック膜の密度を、その上下に位置する密着膜及び保護膜のそれぞれの密度よりも高く設定することが好ましく、例えば、同一組成物から構成される密着膜、セラミック膜及び保護膜においては、各薄膜間の分離、例えば、各薄層間での密度差の確認方法として、原料化合物の含有量差、各薄膜の硬度差等があるが、本発明においては各膜中の炭素含有量差を測定することにより、密着膜、セラミック膜、保護膜の分離を行うことができる。
次いで、本発明に係るガスバリア性樹脂基材を構成する構成要素について説明する。
(密着膜、セラミック膜及び保護膜)
本発明に係るガスバリア層(密着膜、セラミック膜及び保護膜の総称)の製造に用いる原料について説明する。
本発明に係るガスバリア層は、プラズマ処理法、大気圧プラズマCVD法において、原料(原材料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、またこれらの混合物(金属酸窒化物、金属酸化ハロゲン化物、金属窒化炭化物など)等その組成を作り分けることができる。
例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。また、亜鉛化合物を原料化合物として用い、分解ガスに二硫化炭素を用いれば、硫化亜鉛が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機物の原料としては、典型または遷移金属元素を有していれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。又、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール,エタノール,n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
このような有機金属化合物としては、
ケイ素化合物としては、例えば、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソポロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムトリ−n−ブトキシドアセチルアセトネート、ジルコニウムジ−n−ブトキシドビスアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムヘキサフルオロペンタンジオネート等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
硼素化合物としては、例えば、ジボラン、テトラボラン、フッ化硼素、塩化硼素、臭化硼素、ボラン−ジエチルエーテル錯体、ボラン−THF錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリ(イソプロポキシ)ボラン、ボラゾール、トリメチルボラゾール、トリエチルボラゾール、トリイソプロピルボラゾール、等が挙げられる。
錫化合物としては、例えば、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等が挙げられる。
また、その他の有機金属化合物としては、例えば、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、バリウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、ベリリウムアセチルアセトナート、ビスマスヘキサフルオロペンタンジオネート、ジメチルカドミウム、カルシウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、クロムトリフルオロペンタンジオネート、コバルトアセチルアセトナート、銅ヘキサフルオロペンタンジオネート、マグネシウムヘキサフルオロペンタンジオネート−ジメチルエーテル錯体、ガリウムエトキシド、テトラエトキシゲルマン、テトラメトキシゲルマン、ハフニウムt−ブドキシド、ハフニウムエトキシド、インジウムアセチルアセトナート、インジウム2,6−ジメチルアミノヘプタンジオネート、フェロセン、ランタンイソプロポキシド、酢酸鉛、テトラエチル鉛、ネオジウムアセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロペンタンジオネート、トリメチルシクロペンタジエニル白金、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート、ストロンチウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、タンタルメトキシド、タンタルトリフルオロエトキシド、テルルエトキシド、タングステンエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシドオキシド、マグネシウムヘキサフルオロアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、などが挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガスなどが挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、各種の金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物を得ることができる。
これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。このような放電ガスとしては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、薄膜形成(混合)ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
本発明に係るガスバリア層においては、ガスバリア層が含有する無機化合物が、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特に水蒸気や酸素などのガス遮断性、光線透過性及び後述する大気圧プラズマCVD適性の観点から、酸化珪素であることが好ましい。
本発明に係る無機化合物は、例えば、上記有機珪素化合物に、更に酸素ガスや窒素ガスを所定割合で組み合わせて、O原子とN原子の少なくともいずれかと、Si原子とを含む膜を得ることができる。
過酷な条件下においても、ガスバリア性能が変化しない安定なガスバリア性樹脂基材を得るためには本発明に係るガスバリア層、例えば、密着膜、セラミック膜および保護膜のうち、特にセラミック膜は、0MPaを超え20MPa以下の圧縮応力を有することが好ましい。
ゾル−ゲル法、また、真空蒸着法、スパッタリング法等に比べ、プラズマCVD法、特に大気圧プラズマCVD法により形成されるガスバリア膜は内部応力が小さく歪みの少ない膜をつくることができる点に特徴がある。
これらの方法により形成したセラミック膜は、従って、緻密で密度が高いと同時に、内部応力が小さいことは、膜に歪みが少ないことを意味し、平滑で、折り曲げ等による変形に対し平均的には強いことを意味するため、本発明に係るセラミック膜が、0MPa超20MPa以下と低い圧縮応力をもつ膜であることは好ましい。
応力が小さすぎるときには部分的に引っ張り応力になっている場合もあり、膜にひびや、亀裂が入りやすく、耐久性のない膜となり、大きすぎる場合には割れ易い膜となる。
また、本発明においては、密着膜と樹脂基材(後述する樹脂フィルム基材)の間に、ポリマー膜を有することが好ましい。これは、基材の平滑化と、ガスバリア層のうち、特に密着層と樹脂基材との密着性、接着性の向上を目的として形成される。また、ポリマー膜のTgが樹脂基材より高いものを選択すれば、熱による伸縮を抑制する効果をうることが出来、より過酷な条件に晒されたときの密着性の向上に寄与する。
ポリマー膜としては、厚みで0.1〜10μmの範囲にあるポリマー膜であり、好ましくは0.5〜10μmの範囲である。
ポリマー膜としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂コート層が好ましく、ロールコート、グラビアコート、ディップコート等公知の方法により樹脂基材上に相当する樹脂溶液をコーティングして容易に形成できる。
又、本発明においては、これらポリマー層は、熱硬化樹脂または活性線硬化樹脂から形成することが好ましく、特に紫外線硬化樹脂を用いて樹脂硬化層を形成することが好ましい。なお、これらの層を形成する前に樹脂基材(フィルム)の表面をコロナ放電処理またはグロー放電処理することは好ましい。
樹脂硬化層は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを1種以上含む成分を重合させて形成した層であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを含む成分を重合させて形成した樹脂層としては、活性線硬化樹脂または熱硬化樹脂を硬化させて形成された層が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられるのは活性線硬化樹脂層である。ここで、活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。
活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂または紫外線硬化型エポキシ樹脂等あげられるが、アクリルを主成分とした、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂等が好ましい。
具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させる容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
これらの光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及び誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。
上記光反応開始剤は光増感剤としても使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応剤を使用する際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
本発明において使用し得る市販品の紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用できる。
これらの活性線硬化樹脂層は公知の方法で塗設することができる。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させるための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cm2である。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって効率よく形成することができる。
紫外線硬化樹脂層組成物塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
紫外線硬化性樹脂組成物塗布液の塗布量は、ウェット膜厚として0.1〜30μmが適当で、好ましくは0.5〜15μmである。紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥中または後に、紫外線を照射するのがよく、照射時間としては0.5秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から3秒〜2分がより好ましい。
また、本発明に係るポリマー膜として、前記大気圧プラズマCVD法を用いて形成されたプラズマ重合膜は好ましいポリマー膜である。即ち、大気圧プラズマCVD法において、薄膜形成ガス中に少なくとも1種類以上の有機化合物を含有させ、有機化合物をプラズマ重合することによりポリマー膜を形成する。
大気圧プラズマCVD法において、薄膜形成ガスは、放電ガスと原料成分からなり、更に添加ガスを用いることもある。
本発明に係る原料成分である有機化合物としては、公知の有機化合物を用いることができるが、その中でも、分子内に少なくとも1つ以上の不飽和結合または環状構造を有する有機化合物が好ましく用いることができ、特に(メタ)アクリル化合物、エポキシ化合物、またはオキセタン化合物のモノマーまたはオリゴマー等が好ましく用いることができるが、特に好ましいのは、アクリル、メタアクリル化合物等アクリルを主成分とするものである。
有用な(メタ)アクリル化合物としては特に限定はないが、代表例として以下のような化合物があげられる。2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオ
キソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸等。前記活性線硬化樹脂としても挙げられた化合物も含まれる。
放電ガスとしては、前記ガスバリア層の場合と同様であり、窒素、希ガス、空気などがあり、希ガスとしては、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等から選ばれ、本発明において、放電ガスとしては窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましく、更に好ましくは窒素であることも同様である。
放電ガス量は、プラズマ重合においては、放電空間内に供給する薄膜形成ガス量に対して70〜99.99体積%含有することが好ましい。
プラズマ重合法においても、前記原料ガス、放電ガスに加えて、添加ガスを、反応や膜質を制御するために導入してもよく、水素、酸素、窒素酸化物、アンモニア、メタン等の炭化水素類、アルコール類、有機酸類または水分を該ガスに対して0.001体積%〜30体積%混合させて使用してもよい。
これらの方法によって得られる前記ポリマー膜の中心線平均粗さRaは、5nm以下である平滑な膜であることが好ましく、より好ましくは1nm以下、さらに好ましくは0.5nm以下である。また、前記ポリマー膜の十点平均粗さRzは、50nm以下である平滑な膜であることが好ましく、好ましくは20nm以下、さらに好ましくは10nm以下である。中心線平均粗さが5nm以上、十点平均粗さRzが50nm以上の膜では、この上に形成されるガスバリア層の均質性が損なわれガスバリア層に欠陥(孔)ができガスバリア性が低下する。
(樹脂基材)
本発明係るガスバリア性樹脂基材で用いられる樹脂基材(樹脂フィルム)は、上述したガスバリア層を保持することができる樹脂フィルムであれば特に限定されるものではない。
具体的には、エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂等を用いることができる。
また、上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリルレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物等を用いることも可能である。さらに、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを樹脂フィルムとして用いることも可能である。
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカタックKC4UX、KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。
また、樹脂フィルムは透明であることが好ましい。樹脂フィルムが透明であり、樹脂フィルム上に形成するガスバリア層も透明であることにより、透明なガスバリア性フィルムとすることが可能となるため、有機EL素子等の透明基板とすることも可能となるからである。
また、上記に挙げた樹脂フィルムは、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に係る樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明に係る樹脂フィルム基材においては、前記ガスバリア膜、またポリマー膜等を形成する前にコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理などの表面処理を行ってもよい。
樹脂フィルムは、ロール状に巻き上げられた長尺品が便利である。樹脂フィルムの厚さは、得られるガスバリア性フィルムの用途によって異なるので一概には規定できないが、ガスバリア性フィルムを包装用途とする場合には、特に制限を受けるものではなく、包装材料としての適性から、3〜400μm、中でも6〜100μmの範囲内とすることが好ましい。
また、本発明に用いられる樹脂フィルムは、フィルム形状のものの膜厚としては10〜200μmが好ましい。
本発明のガスバリア性樹脂基材の水蒸気透過度としては、有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイ等の高度の水蒸気バリア性を必要とする用途に用いる場合、JIS K7129 B法に従って測定した水蒸気透過率が、0.01g/m2/day以下であることが好ましく、より好ましくは1×10-3g/m2/day以下であり、さらに有機ELディスプレイ用途の場合、極わずかであっても、成長するダークスポットが発生し、ディスプレイの表示寿命が極端に短くなる場合があるため、水蒸気透過度が、1×10-5g/m2/day未満であることが好ましい。
《プラズマ処理法、プラズマ処理装置及び粘着層のラミネート》
本発明においては、密着膜、セラミック膜、保護膜を、基材上に形成する方法としては、少なくとも一対の対向する電極と該対向する電極の間に形成された放電空間を有し、ワインダ(巻き取り軸)とアンワインダ(巻き出し軸)との間を連続的に移送する該樹脂基材が、該対向する電極の少なくとも一方の電極に接しながら該放電空間を通過することで、該放電空間において電極に接していない面側がプラズマ処理されてガスバリア層を形成することを特徴の1つとし、更には、本発明においては、本発明に係る密着膜、セラミック膜及び保護膜の少なくとも1層あるいは全層を、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガスおよび放電ガスを含有するガスを供給し、放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、ガスバリア層を形成しようとする樹脂基材を前記励起したガスに晒すことにより、基材上に薄膜を形成する大気圧プラズマ処理法(以下、大気圧プラズマCVD法ともいう)を用いて形成することが好ましい。
本発明に係る密着膜、セラミック膜、保護膜等の積層膜の形成や、前記ポリマー膜をプラズマ重合により形成するための大気圧プラズマ法としては、特開平10−154598号公報や特開2003−49272号公報、WO02/048428号パンフレットなどに記載されている薄膜形成方法を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されている薄膜形成方法が、緻密でガスバリア性が高い圧縮応力の小さいセラミック膜を形成するには好ましく、それにより、薄膜形成ガスを前記のように選択し、また形成条件をそれぞれ調整することで、樹脂基材上に、プラズマ重合によるポリマー膜の形成や、密着膜、セラミック膜、保護膜等のガスバリア層を形成することができる。また、ロール状の元巻きからウエブ状の基材を繰り出して、これらを連続的に形成することもできる。
本発明における放電条件は、放電空間に異なる周波数の電界を2つ以上印加したもので、第1の高周波電界と第2の高周波電界とを重畳した電界を印可する方法が好ましい。
前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、且つ、前記第1の高周波電界の強さV1と、前記第2の高周波電界の強さV2と、放電開始電界の強さIVとの関係が、
V1≧IV>V2
または V1>IV≧V2 を満たし、
前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm2以上である。
高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。
重畳する高周波電界が、ともにサイン波である場合、第1の高周波電界の周波数ω1と該周波数ω1より高い第2の高周波電界の周波数ω2とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重なった鋸歯状の波形となる。
本発明において、放電開始電界の強さとは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成など)および反応条件(ガス条件など)において放電を起こすことのできる最低電界強度のことを指す。放電開始電界強度は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種または電極間距離などによって多少変動するが、同じ放電空間においては、放電ガスの放電開始電界強度に支配される。
上記で述べたような高周波電界を放電空間に印加することによって、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することができると推定される。
ここで重要なのは、このような高周波電界が対向する電極間に印加され、すなわち、同じ放電空間に印加されることである。特開平11−16696号公報のように、印加電極を2つ併置し、離間している放電空間のそれぞれに、異なる高周波電界を印加する方法は好ましくない。
上記でサイン波等の連続波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方が連続波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に周波数の異なる第3の電界を有していてもよい。
上記本発明の高周波電界を、同一放電空間に印加する具体的な方法としては、例えば、対向電極を構成する第1電極に周波数ω1であって電界強度V1である第1の高周波電界を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2であって電界強度V2である第2の高周波電界を印加する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置を用いる。
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、対向電極間に、放電ガスと薄膜形成ガスとを供給するガス供給手段を備える。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
また、第1電極、第1電源またはそれらの間の何れかには第1フィルタを、また第2電極、第2電源またはそれらの間の何れかには第2フィルタを接続することが好ましく、第1フィルタは第1電源から第1電極への第1の高周波電界の電流を通過しやすくし、第2の高周波電界の電流をアースして、第2電源から第1電源への第2の高周波電界の電流を通過しにくくする。また、第2フィルタはその逆で、第2電源から第2電極への第2の高周波電界の電流を通過しやすくし、第1の高周波電界の電流をアースして、第1電源から第2電源への第1の高周波電界の電流を通過しにくくする機能が備わっているものを使用する。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過しやすいとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
例えば、第1フィルタとしては、第2電源の周波数に応じて数10pF〜数万pFのコンデンサ、もしくは数μH程度のコイルを用いることができる。第2フィルタとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサを介してアース接地することでフィルタとして使用できる。
更に、本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置の第1電源は、第2電源より高い電界強度を印加できる能力を有していることが好ましい。
ここで、本発明でいう印加電界強度と放電開始電界強度は、下記の方法で測定されたものをいう。
印加電界強度V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部に高周波電圧プローブ(P6015A)を設置し、該高周波電圧プローブの出力信号をオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、所定の時点の電界強度を測定する。
放電開始電界強度IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、この電極間の電界強度を増大させていき、放電が始まる電界強度を放電開始電界強度IVと定義する。測定器は上記印加電界強度測定と同じである。
本発明で規定する放電条件をとることにより、たとえ窒素ガスのように放電開始電界強度が高い放電ガスでも、放電を開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持出来、高性能な薄膜形成を行うことができる。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電界強度IV(1/2Vp−p)は3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の印加電界強度を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることができる。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることができる。またこの電界波形としては、連続波でもパルス波でもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
このような2つの電源から高周波電界を印加することは、第1の高周波電界によって高い放電開始電界強度を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の高周波電界の高い周波数および高い出力密度によりプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成することが本発明の重要な点である。
また、第1の高周波電界の出力密度を高くすることで、放電の均一性を維持したまま、第2の高周波電界の出力密度を向上させることができる。これにより、更なる均一高密度プラズマが生成でき、更なる製膜速度の向上と、膜質の向上が両立できる。
本発明に用いられる大気圧プラズマ放電処理装置は、上述のように、対向電極の間で放電させ、前記対向電極間に導入したガスをプラズマ状態とし、前記対向電極間に静置あるいは電極間を移送される基材を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基材の上に薄膜を形成させるものである。また他の方式として、大気圧プラズマ放電処理装置は、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起しまたはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基材(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって該基材の上に薄膜を形成させるジェット方式の装置がある。
図1は、本発明に係る樹脂材料のラミネート部を備えた、異なる周波数の電界を2つ印加した大気圧プラズマ処理装置(大気圧プラズマ放電処理装置ともいう)の一例を示す概略図である。
図1のa)において、本発明に係るプラズマ放電処理装置において、アンワインダ(巻き出し軸)100に取り付けられた巻き芯に巻かれた元巻1から、X方向に繰り出された基材フィルム(樹脂基材)Fは、放電部10の搬送される。この時、放電部の搬送する前に、基材フィルムを予め加熱する予備加熱ゾーンを設けることが、放電部における急激な温度上昇による基材フィルムの収縮や変形を防止する観点から好ましい。
本発明においては、基材表面と搬送ロールあるいは保持ロールとの接触を極力低減する観点から、基材を保持する電極は、回転するロール電極であることが好ましい。
放電部10は、ロール回転電極3上に配置された2つのニップロール5、8の間にあって、ロール回転電極3およびこれと対向した固定電極4(此処では角型)間の空間からなり、該ロール回転電極をバックロールとした基材フィルムの搬入側のニップロール5及び仕切板6とプラズマ放電処理容器7により、また搬出側のニップロール8及び仕切板9により仕切られており、基材フィルムFは、この放電部を、ロール回転電極が回転することで、ロール回転電極に接して、X方向に搬送される。なお11、12はそれぞれ反応ガスの供給口(供給手段)、処理後の排ガスを排出する排出口(排出手段)であり、該反応ガス供給口より反応ガス(ガスバリア層を形成する薄膜形成ガス)を供給しつつ、ロール回転電極(第1電極)3と角筒型固定電極(第2電極)(以下、角筒型固定電極を固定電極と記す)4との対向電極間で、基材フィルムFをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ロール回転電極3と固定電極4との間に形成された放電空間に、ロール回転電極3には第1電源23から周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界を、また固定電極4には第2電源21から周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール回転電極3と第1電源23との間には、第1フィルタ24が設置されており、第1フィルタ24は第1電源23から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源21からの電流をアースして、第2電源21から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、固定電極4と第2電源21との間には、第2フィルタ22が設置されており、第2フィルター22は、第2電源21から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源23からの電流をアースして、第1電源23から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
なお、本発明においては、ロール回転電極3を第2電極、また角筒型固定電極4を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加することが好ましい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有している。
電極間の放電部にプラズマ放電を発生させ、ロール回転電極3上を搬送される基材フィルム表面にガスバリア層を形成する。処理後の排ガスは、排出口12より排出される。
対向する電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離で、均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
また、プラズマ放電処理中の電極表面温度を制御し、また、基材フィルムFの表面温度を所定値に保つため、温度調節用の媒体(水もしくはシリコンオイル等)が循環できる構造となっている。例えば、角筒型電極の金属質母材構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置においては、対向する電極間に印加する高周波電圧は、100kHzを越えた高周波電圧で、且つ、1W/cm2以上の電力(出力密度)
を供給し、処理ガスを励起してプラズマを発生させる。
本発明において、電極間に印加する高周波電圧の周波数の上限値は、好ましくは150MHz以下であり、より好ましくは15MHz以下である。また、高周波電圧の周波数の下限値としては、好ましくは200kHz以上、より好ましくは800kHz以上である。
また、電極間に供給する電力の上限値とは、好ましくは50W/cm2以下、より好ましくは20W/cm2以下である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2以上である。なお、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
高周波電源より印加電極に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が10V〜10kV/cm程度で、上記のように電源周波数は100kHzを越えて150MHz以下に調整される。
ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用しても良いが連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られる。
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
本発明においては、印加電極に電圧を印加する電源としては、特に限定はないが、神鋼電機製高周波電源(3kHz)、神鋼電機製高周波電源(5kHz)、神鋼電機製高周波電源(10kHz)、春日電機製高周波電源(15kHz)、神鋼電機製高周波電源(50kHz)、ハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、パール工業製高周波電源(2MHz)、パール工業製製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(27MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。好ましくは、100kHz超〜150MHzの高周波電源であり、好ましくは、200kHz〜150MHzの高周波電源であり、特に好ましくは、800kHz〜15MHzのものである。
次いで、図1のa)に示すように、これらプラズマ放電処理された基材は、被処理面がニップロール8に接するのみで、放電部からX方向に搬送され、下流側に配置したラミネート工程70により、ガスバリア層上に本発明に係る離型性を有する樹脂材料74をラミネートする。本発明に係る離型性を有する樹脂材料74は、前述のように、主には、基材上の粘着剤を含む粘着層を有し、更にその上に離型剤を含む離型層とから構成されている。離型層を内側にしてロール状に積層された樹脂材料71は、サポートロールを介して繰り出され、離型層剥離位置72で離型層が分離され、分離された離型層は離型層巻き取りロール73に巻き取られる。粘着層が露出した樹脂材料74は、ガスバリア層を形成した基材フィルムFと会合し、ガスバリア層上に粘着層が貼り付けられ、その後、ワインダ(巻き取り軸)101に取り付けられた巻き芯に、ロール状に巻き取られる。
本発明に係るラミネート工程は、図1のa)に示したように、ガスバリア層形成工程の下流側に配置し、ガスバリア層の形成と連続して樹脂材料をラミネートするオンライン方式であっても、あるいは、ガスバリア層を形成した後、一旦、ワインダ101で基材フィルムを巻き取った後、別工程で樹脂材料をラミネートするオフライン方式であっても良い。
次いで、上記の方法に従ってワインダ(巻き取り軸)とアンワインダ(巻き出し軸)との間を連続的に移送する樹脂基材の一方の面(A面)側に、ガスバリア層を形成した後、該A面側に離型性を有する樹脂材料をラミネートした後、A面の裏面側である樹脂基材の他方の面(B面)側にガスバリア層を形成し、両面にガスバリア層を有するガスバリア性樹脂基材を製造することを特徴とする。
図1のb)において、上記の方法に従って、樹脂基材のA面側にガスバリア層及び樹脂材料を形成し、ワインダ(巻き取り軸)101に取り付けられたロール状元巻を、再びアンワインダ部に装着して、これをアンワインダ100′(積層ロールとしては101)とし、B面が表面になるようにX方向に搬送し、上記の方法と同様にして、B面にガスバリア層を形成する。この時、A面はガスバリア層上に粘着層が設けられており、ロール回転電極3との接触によるスリ傷等のダメージを受けることなく、安定して搬送することができる。放電部から搬送されたB面は、必要に応じて、A面と同様にラミネート工程70により、ガスバリア層上に本発明に係る離型性を有する樹脂材料74をラミネートし、樹脂基材の両面にガスバリア層と樹脂材料とを積層した状態で、ワインダ101′に巻き取っても良い。あるいは、B面には離型性を有する樹脂材料74をラミネートせず、また、裏面(A面)に付与した樹脂基材を、ワインダ部で巻き取る前に、リムーバーR1により剥離した後、樹脂基材の両面にガスバリア層のみを付与した状態で巻き取っても良い。
また、前記の方法に従って、X方向に搬送しながら樹脂基材のA面側にガスバリア層及び樹脂材料を形成し、ワインダ(巻き取り軸)101に取り付けられたロール状元巻を、図1のc)に示すように、ワインダで搬送面を逆転(B面が表面となる搬送)させた後、これをワインダ100″(積層ロールとしては101)とし、B面が表面になるように、搬送方向をX方向からY方向に逆転させて搬送し、上記の方法と同様にして、B面にガスバリア層を形成する。この時、A面はガスバリア層上に粘着層が設けられており、ロール回転電極3との接触によるスリ傷等のダメージを受けることなく、安定して搬送することができる。放電部から搬送されたB面は、必要に応じて、A面と同様にラミネート工程70′により、ガスバリア層上に本発明に係る離型性を有する樹脂材料74をラミネートし、樹脂基材の両面にガスバリア層と樹脂材料とを積層した状態で、アンワインダ101″に巻き取っても良い。あるいは、B面には離型性を有する樹脂材料74をラミネートせず、また、A面に付与した樹脂基材を、ワインダ101″で巻き取る前に、リムーバーR2により剥離した後、樹脂基材の両面にガスバリア層のみを付与した状態で巻き取っても良い。
図2は、本発明に係る樹脂材料のラミネート部を備え、異なる周波数の電界を2つ印加した大気圧プラズマ処理装置の他の一例を示す概略図である。
本発明のガスバリア性樹脂基材の製造方法において、他の好ましい形態の1つとしては、図2のa)に示すように、A面にガスバリア層及び樹脂材料を付与する(X方向への搬送)際に、ガスバリア層を放電部で形成する前に、ラミネート工程70により、樹脂基材上に離型性を有する樹脂材料74をラミネートし、放電部に搬送する前に、付与した樹脂材料74をリムーバーR3により剥離する方法が好ましい。この様な製造形態を採ることにより、樹脂基材のA面側に付着したゴミ、異物等を、ガスバリア層形成前に取り除くことができ、膜面故障が少なく、均質性に優れたガスバリア膜を形成することができる。
図2のb)は、図1のb)と同様な方法で、A面側にガスバリア層及び粘着層を付与した後、B面側にガスバリア層及び樹脂材料を付与する(X方向への搬送)際に、ガスバリア層を放電部で形成する前に、ラミネート工程70により、樹脂基材上に離型性を有する樹脂材料74をラミネートし、放電部に搬送する前に、付与した樹脂材料74をリムーバーR4により剥離する方法が好ましい。この様な製造形態を採ることにより、樹脂基材のB面側に付着したゴミ、異物等を、ガスバリア層形成前に取り除くことができ、膜面故障が少なく、均質性に優れたガスバリア膜を形成することができる。
本発明に係るラミネート工程を備えたプラズマ放電処理装置においては、上述の様に回転するロール電極であるロール回転電極に接するニップロール以外は、薄膜形成されたガスバリア層表面に接するロールが存在しない製造形態とすることが好ましい。従って、ダンサーロール等、搬送の張力を調整するロールの導入や、これにより必要となるロール群等は、ガスバリア層表面に接するロールを必然的に導入する可能性があり、本発明においては用いないことが好ましい。また、本発明においては、ニップロールを特に必要としない場合やニップロールの代替手段がある場合は、用いなくてもよい。
本発明に係る該回転するロール電極であるロール回転電極をバックロールとするニップロールには、弾性のある材料を用いることが好ましく、硬質のゴム、プラスチック等、より好ましくはJIS K 6253−1997規格によるゴム硬度で60〜80のゴム、プラスチック製のロールが好ましい。
本発明においては、図1、図2に記載のワインダ(巻き取り軸)、アンワインダ(巻き出し軸)においては、直接トルク制御を行うことが好ましい。ワインダ、アンワインダにおけるトルク制御は、基材フィルムFの搬送張力が一定とするように制御される。例えば、ワインダ、または巻き芯の中心から巻き取られる基材フィルムの張力(テンション)は一定となるようワインダのトルクは制御される。好ましい張力としては、50〜500±10(N/m)の範囲が好ましく、最も好ましいのは略100±10N/mの範囲で制御されることである。
図1及び図2において、13はテンションメータであり、基材フィルム側に、或いは両端部等に設置して、微少変位を測定してテンションを測定する。測定された情報を巻き取り軸の回転にフィードフォワードすることで、張力が一定になるように制御する(フィードフォワード制御)。テンションメータとしては、非接触の張力計も好ましく、例えば、微圧〜低圧の範囲でブロアーより空気を供給したエアーターンバーを用いて空気圧力によりフィルム非接触で張力測定できるものを用いてもよい(例えば、Bellmatic製:非接触ウェブテンションメーター)。また、トルクモータの出力を換算して用いてもよい。
巻き取られる基材フィルムの張力を一定とするためのワインダ(巻き取り軸)のトルク制御は、いかなる方法を用いてもよいが、例えば、ワインダ回転をモータで駆動する場合、モータのトルク制御は、電圧の調整により行うことで、行うことができる。電流制御、またインバーターにより周波数を変化させる制御でもよい。
本発明に係るプラズマ放電処理装置には、少なくとも1つ以上のEPCセンサ(エッジポジションコントロールセンサ)が備えられていることが好ましい。EPCセンサを用い基材フィルム耳端をエアーサーボセンサや光センサにて検知して、幅手方向エッジの位置の動きを検知する。図1において、14はこのEPCセンサを示す。
長尺基材フィルムを搬送する際の蛇行修正は、単純に、このセンサの情報に基づきワインダ101の位置を幅手方向で適宜修正を行うことで行うことができる。
また、蛇行修正を精度よく行うには、蛇行修正装置が使用されることが好ましい。即ち、検知した情報に基づいて搬送方向を制御し、フィルムの耳端や幅方向の中央が一定の搬送位置となるようにするもので、そのアクチュエーターとして、具体的には1〜2本のガイドロールや駆動付きフラットエキスパンダーロールをライン方向に対して、左右(または上下)にふることで蛇行修正したり、フィルムの左右に小型の2本1組のピンチロールを設置(フィルムの表と裏に1本ずつ設置されていて、それがフィルムの両側にある)し、これにてフィルムを挟み引っ張り蛇行修正したりしている(クロスガイダー方式)。これらの装置の蛇行修正の原理は、フィルムが走行中に、例えば左にいこうとする時は前者の方式ではロールをフィルムが右にいくように傾ける方法をとり、後者の方法では右側の1組のピンチロールがニップされて、右に引っ張るというものである。これら蛇行防止装置を設置することができる。
更に、本発明のプラズマ放電処理装置には、基材フィルムが接触しつつその上を搬送される円筒型電極に接してクリーニングロールが備えられていることが好ましい。
クリーニングロールは、前記放電部の領域外の、ロール回転電極に接して設置される。最も単純な形態としては、図1、図2に示されるが、ゴムローラ15が用いられる。ゴムローラがロール回転電極に(一定の圧力で)接しつつロール回転電極の回転に合わせて回転することでロール回転電極上に付着するゴミ、チリ、ホコリ等の異物をゴムローラ表面に転写して除く作用をもつ。このゴムローラはJIS硬度で30〜70の範囲にある、前記ニップローラよりは弾性のある材質が好ましい。
ゴムローラに付着したチリ、ホコリ等の異物は、更に、ゴムローラに接して回転する粘着性の表面を有する粘着ロール16に転写される。これは両面テープ等が表面に貼られたローラ等であり材質は問わない。粘着ローラとしては、例えばTEKNEK社製粘着ローラがあり、ラバー(ゴム)ローラ(ゴム)がウェブ等と接触することでミクロンレベルの異物を除去した後、それを粘着ロールに転写することでラバーローラーを常にクリーンな状態に保つ。粘着テープはゴムローラからチリ、ホコリを転写しなくなる前に、適宜、張り替えて使用することができる。
またクリーニングの方式としては、必ずしもクリーニングロールに拘らず、クリーニングブレードを用いたり、またこれを併用する等他の方式を用いてもよい。
クリーニングロールにより、ロール回転電極表面に付着した異物を除くことで、放電部において基材の背面(電極との間)に異物の混入がなく、プラズマ放電処理が均一に行われる。
以上の例において、アンワインダ(巻き出し軸)100から繰り出された基材フィルムに、プラズマ放電処理により、薄膜形成或いは表面改質処理が施されたのち、ワインダ(巻き取り軸)101に表面処理済み基材フィルムはロール状に巻き取られ、第一回目のプラズマ放電処理は終了するが、本発明の好ましい形態においては、前記アンワインダ(巻き出し軸)100が、今度は巻き取り軸となり、前記ワインダ(巻き取り軸)101が、巻き出し軸となることで、基材フィルムの搬送方向を逆にして、前記表面処理された基材上に更に他の薄膜形成等のプラズマ放電処理を行うことができる。この様に往復で、プラズマ放電処理を行うことができることも本装置の利点である。
この為に、前記アンワインダ(巻き出し軸)、またワインダ(巻き取り軸)は、逆方向の回転を、切り替えて行えるギア構成とする。
これにより、例えば、密着膜、ガスバリア膜、更に密着膜、ガスバリア膜といった複数構成からなる積層ガスバリア層の作製が、搬送の方向を変え、かつ反応ガスを選択し、プラズマ放電条件を各処理毎に設定することで、本発明に係わるプラズマ放電処理装置により、目的とする処理が、また薄膜形成を順次行うことができる。
この様に、プラズマ放電処理を用いて幾層にも亘って薄膜を形成し積層する、或いは薄膜形成後、表面改質処理を連続して行うなど、幾つかの処理を連続し行わなければならない場合に本発明のプラズマ放電処理装置は有用であり、幾度の処理によっても巻き出し工程、薄膜形成工程または表面改質工程、巻き取り工程が連続してあるほかは、途中に薄膜形成面または表面改質面に接触するガイドロールが存在しない点有利であり、表面の傷や押されによる異物故障のない高品位の膜が得られる。
図3は、本発明に係る樹脂材料のラミネート部を備え、異なる周波数の電界を2つ印加した大気圧プラズマ放電処理装置の他の一例を示す概略図である。
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電界印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)(以下、角筒型固定電極群を固定電極群と記す)36との対向電極間32(以下、対向電極間を放電空間32とも記す)で、基材フィルムFをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ロール回転電極35と固定電極群36との間に形成された放電空間32に、ロール回転電極35には第1電源41から周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界を、また固定電極群36には第2電源42から周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール回転電極35と第1電源41との間には、第1フィルタ43が設置されており、第1フィルタ43は第1電源41から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源42からの電流をアースして、第2電源42から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、固定電極群36と第2電源42との間には、第2フィルタ44が設置されており、第2フィルター44は、第2電源42から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源41からの電流をアースして、第1電源41から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
なお、本発明においては、ロール回転電極35を第2電極、また角筒型固定電極群36を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加することが好ましい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有している。
また、電流はI1<I2となることが好ましい。第1の高周波電界の電流I1は、好ましくは0.3mA/cm2〜20mA/cm2、さらに好ましくは1.0mA/cm2〜2
0mA/cm2である。また、第2の高周波電界の電流I2は、好ましくは10mA/cm2〜100mA/cm2、さらに好ましくは20mA/cm2〜100mA/cm2である。
ガス供給手段50のガス発生装置51で発生させた薄膜形成ガスGは、不図示のガス流量調整手段により流量を制御して給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に導入する。
基材フィルムFを、A面側を上面としてアンワインダ100より繰り出して、プラズマ放電処理容器31内に導入され、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群36との間に移送する。
移送中にロール回転電極35と固定電極群36との両方から電界をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。基材フィルムFはロール回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスによりガスバリア層を形成する。
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されており、該電極の放電面積はロール回転電極35に対向している全ての角筒型固定電極のロール回転電極35と対向する面の面積の和で表される。
A面側にガスバリア層を形成した基材フィルムFは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、プラズマ放電処理容器31より搬出され、下流側に設置されたラミネート工程70により、離型性を有する樹脂材料74をラミネートし、アンワインダ101により巻き取られる。放電処理済みの処理排ガスG′は排気口53より排出する。
薄膜形成中、ロール回転電極35及び固定電極群36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
また、図3に示す大気圧プラズマ放電処理装置を用い、前述の図1のb)、c)と同様の方法で、B面側にガスバリア層を形成する。また、図3に示す大気圧プラズマ放電処理装置を用い、図2のa)、b)と同様の方法で、各ガスバリア層を形成する前に、各樹脂基材面上に樹脂材料74をラミネートした後、ガスバリア層を形成する前に剥離して、各樹脂基材に付着したゴミや異物を除去する方法を適用しても良い。
また、本発明のガスバリア性樹脂基材の製造方法においては、ワインダとアンワインダ間を連続的に樹脂基材を移送する手段が、気体を吹き出し口より噴出することにより、連続的に走行する樹脂基材を支持する無接触搬送装置で構成されていることが、好ましい態様の1つである。
図4は、回転するロール電極と、該ロール電極に対向する角筒型電極を有し、該電極間に周波数の異なる第1の高周波電界と第2の高周波電界とを重畳し印加するプラズマ放電処理工程を有する無接触搬送方式のプラズマ放電処理装置と、樹脂材料のラミネート部とを有するガスバリア性樹脂基材の製造方法の一例を示す概略図である。
アンワインダ100より、A面側を処理面として、ロール状の基材元巻きから繰り出された基材フィルムFは、特定の曲率半径となるように設計された無接触搬送装置(フロータ)214Aを介し、ニップロール400、仕切板420を経て放電処理室231に入り、回転するロール電極210Aに抱かれ、密着して移送され、対向する角筒型電極210aとの間に形成される放電部300Aにおいて、プラズマ放電処理が施され、ガスバリア層(例えば、密着膜等)が形成される(反応ガスGは、反応ガス供給部230Aから供給され、処理後のガスG′はそれぞれ排出口240Aから排出される。)。その後、ニップロール410、仕切板430を経て放電処理室から一旦出た後、処理面が反転ロールと接触しないよう、別の無接触搬送装置(フロータ)214Bにより搬送方向を逆転され、再び、同様の放電処理室231に入り、連続して処理を受け、第2層目のガスバリア層(例えば、セラミック膜等)が形成される。次いで、同様にして、第3層目(例えば、保護膜等)が形成される。この装置では、回転するロール電極と、各ロール電極に対向する三つの角筒型電極から構成される放電処理室231が3つ連続したプラズマ放電処理装置を示している。勿論、角筒型電極は、各放電処理室に一つでも、また更に多数配置されていてもよく、また、放電処理室も必要に応じて4つ以上配列しても良い。
いずれにしても、気体が吹き出し口より噴出することで連続的に走行するウエブを支持する無接触搬送装置214A〜214Dにより、プラズマ放電処理を受けた面は無接触で、一定の曲面に沿って表面を搬送されつつ、この例では3つの放電処理室にてプラズマ放電処理を受ける。
本発明に係る無接触搬送装置(フロータ)を介して、放電処理面は無接触の状態で、A面側に3層から構成されるガスバリア層が形成された基材フィルムFが放電処理室231から搬送された後、下流側に設置されたラミネート工程70により、離型性を有する樹脂材料74をラミネートし、アンワインダ101により巻き取られる。
また、本発明に係る無接触搬送装置(フロータ)において、無接触搬送装置(フロータ)の曲率半径については、特に限定は無いが、ガスバリア性フィルムを連続搬送する際、処理面側の曲率半径を75mm以上とすることにより、処理面のガスバリア層への過度の圧縮応力を付与することがなく、ガスバリア性能劣化を抑制することができ、好ましい。また、処理面の反対側の面の搬送時の曲率半径を37.5mm以上とすることにより、処理面のガスバリア層への過度の引っ張り応力を付与することがなく、ガスバリア性能劣化を抑制することができ、好ましい。
また、前記図3と同様に、図4の構成からなるプラズマ放電処理装置を用い、前述の図1のb)、c)と同様の方法で、B面側にガスバリア層を形成する。また、図4に示す大気圧プラズマ放電処理装置を用い、図2のa)、b)と同様の方法で、各ガスバリア層を形成する前に、各樹脂基材面上に樹脂材料74をラミネートした後、ガスバリア層を形成する前に剥離して、各樹脂基材に付着したゴミや異物を除去する方法を適用しても良い。
また、この装置においては、無接触搬送装置は、プラズマ放電処理の直前に設けられており、プラズマ放電処理による急激な温度上昇による基材の収縮等、変形を避けるための余熱手段としても使用することができる。
尚、図4に示された、ロール電極210A、210B、210C、また角筒型電極についても、前記同様に、導電性の金属質母材上に誘電体が被覆された構造を有する。
対向するロール電極と角筒型電極間の距離についても、誘電体表面同士の距離で、均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
固定電極(この場合角筒型電極)の数は、ここではロール回転電極の円周上に沿って3つ配置されているが、1本でもまた複数本設置しても構わない。電極の放電面積は回転するロール電極に対向している全ての固定電極のロール電極に対向する面の面積の和で表される。複数本設置することで放電面積を大きくすることが出来る。
また、プラズマ放電処理中の電極表面温度を制御し、また、基材フィルムFの表面温度を所定値に保つため、温度調節用の媒体(水もしくはシリコンオイル等)が循環できる構造となっており、放電中の温度調節が行えるようになっていることが好ましく、これも同様である。
図4におけるプラズマ放電装置は、各ロール電極、角筒型電極間に形成される放電部300A〜300Cにおいて、基材フィルムFを、プラズマ放電処理して薄膜の形成或いは表面改質処理を行うものである。
各ロール電極を第1電極、また角筒型電極を第2電極として、ロール電極210Aと角筒型電極210a間に、例えば、ロール電極210Aには第1電源291から周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界を、また対向する角筒型電極210aには第2電源292から周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール電極210A(第1電極)と第1電源291との間には、第1フィルタ293が設置されており、第1フィルタ293は第1電源291から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源292からの電流をアースして、第2電源292から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、対向する角筒型電極210a(第2電極)と第2電源292との間には、第2フィルタ294が設置されており、第2フィルター294は、第2電源292から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源291からの電流をアースして、第1電源291から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
また、ロール電極210B、および角筒型電極210bに、またロール電極210C、および210c間にも同様に、ロール電極210B、またロール電極210Cを第1の電極とし、角筒型電極210b、および210cを第2の電極として、同様に、第1電源291およびフィルタ293が、また、第2の電極には第2電源292、およびフィルタ294が接続され、同様に動作する。
図5は、図1〜4に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図5において、ロール電極535aは導電性の金属質母材535Aとその上に誘電体535Bが被覆されたものである。プラズマ放電処理中の電極表面温度を制御し、また、基材フィルムFの表面温度を所定値に保つため、温度調節用の媒体(水もしくはシリコンオイル等)が循環できる構造となっている。
図6は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図6において、角筒型電極636aは、導電性の金属質母材636Aに対し、図5同様の誘電体636Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
図6に示した角筒型電極636aは、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
図5及び6において、ロール電極535a及び角筒型電極636aは、それぞれ導電性の金属質母材535A及び636Aの上に誘電体535B及び636Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
導電性の金属質母材535A及び636Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることができるが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
対向する第1電極および第2の電極の電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、該誘電体表面ともう一方の電極の導電性の金属質母材表面との最短距離のことを言う。双方の電極に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離の最短距離のことを言う。電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電界強度の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
プラズマ放電処理容器31はパイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。図1において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
図7は、本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
プラズマ放電処理装置700の電極701と702の間に放電ガス及び薄膜形成ガスを含む反応ガスGを導入してプラズマ放電を起こさせる。それによりプラズマ励起された反応ガスG°(点線で表している)は下方に流れ、電極の下に移送して来る基材フィルムFの表面に薄膜を形成させる。G′は処理排ガスである。701A及び702Aは電極701及び702の金属母材であり、701B及び702Bは誘電体である。このように間隙を移送する基材フィルムFでなくとも、プラズマ放電を起こさせた反応ガスG°を発生させて、処理位置703でレンズ等の凹凸を有する基材に薄膜を形成させる方法もある。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置を、基材フィルムFの搬送方向と平行に複数台並べ、同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることにより、同一位置に複数層のガスバリア層を形成可能となり、短時間で所望の膜厚を形成可能となる。また基材フィルムFの搬送方向と平行に複数台並べ、各装置に異なる薄膜形成ガスを供給して異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することも出来る。
この様にして、基材フィルム上にガスバリア層を形成した後、下流側に設置されたラミネート工程70により、離型性を有する樹脂材料74をラミネートし、アンワインダ101により巻き取られる。
また、図7の構成からなるジェット方式のプラズマ放電処理装置を用い、前述の図1の
b)、c)と同様の方法で、B面側にガスバリア層を形成する。また、図7に示すジェット式の大気圧プラズマ放電処理装置を用い、図2のa)、b)と同様の方法で、各ガスバリア層を形成する前に、各樹脂基材面上に樹脂材料74をラミネートした後、ガスバリア層を形成する前に剥離して、各樹脂基材に付着したゴミや異物を除去する方法を適用しても良い。
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することができる。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用できる。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明においては、このような電界を印加して、均一で安定な放電状態を保つことができる電極を大気圧プラズマ放電処理装置に採用することが好ましい。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成ガスに与え、薄膜を形成する。第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm2、より好ましくは20W/cm2である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2である。なお、放電面積(cm2)は、電極間において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、第1電極(第1の高周波電界)にも、1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給することにより、第2の高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることができる。これにより、更なる均一高密度プラズマを生成出来、更なる製膜速度の向上と膜質の向上が両立できる。好ましくは5W/cm2以上である。第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cm2である。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、更に好ましくは5×10-6/℃以下、更に好ましくは2×10-6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
1:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
2:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング
3:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜
4:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング
5:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
6:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
7:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
8:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記1項または2項および5〜8項が好ましく、特に1項が好ましい。
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることができる。
本発明に有用な電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用できるが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることができる。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることが出来、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることが出来、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることが出来、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることができる。
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することができる。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることができる。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤー等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、更にエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることができる。詳しくは、特開2000−301655号に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することができる。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることができる。
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極ができる。
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPS(X線光電子分光法)により誘電体層の断層を分析することにより測定する。
本発明に係るガスバリア層の形成方法に適用する電極においては、電極の少なくとも基
材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、更に好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことが出来、放電状態を安定化できること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、且つ、高精度で、耐久性を大きく向上させることができる。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。更にJIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下である。
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。また上限は500℃である。なお、耐熱温度とは、大気圧プラズマ処理で用いられる電圧において絶縁破壊が発生せず、正常に放電できる状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、上記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《樹脂材料の作製》
(樹脂材料Aの作製)
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にシリコン系剥離剤を塗布し、このシリコン系剥離剤が塗布された面に、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレートを主モノマーとする重合体100質量部、架橋剤として75質量%濃度のヘキサメチレンジイソシアネート・トリメチロールプロパンアダクト溶液(商品名コロネートHL、固形分濃度75質量%、日本ポリウレタン株式会社製)6質量部、20質量%濃度のメチル化メチロールメラミン4質量部、および架橋触媒としてジノニルナフタレン・ジスルホニックアシド0.5質量部を、乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、乾燥装置により100℃で3分間乾燥させて粘着層を形成し、その直後、粘着層と厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)とを貼り合わせ、樹脂材料Aを作製した。
(樹脂材料Bの作製)
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にシリコン系剥離剤を塗布し、このシリコン系剥離剤が塗布された面に、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレートを主モノマーとする重合体100質量部、架橋剤として75質量%濃度のヘキサメチレンジイソシアネート・トリメチロールプロパンアダクト溶液(商品名コロネートHL、固形分濃度75質量%、日本ポリウレタン株式会社製)4質量部を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥装置により100℃で3分間乾燥させて粘着層を形成し、その直後、粘着剤層と厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)とを貼り合わせ、樹脂材料Bを作製した。
(樹脂材料Cの作製)
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にシリコン系剥離剤を塗布し、このシリコン系剥離剤が塗布された面に、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレートを主モノマーとする重合体100質量部、架橋剤として75質量%濃度のヘキサメチレンジイソシアネート・トリメチロールプロパンアダクト溶液(商品名コロネートHL、固形分濃度75質量%、日本ポリウレタン株式会社製)1質量部を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、乾燥装置により100℃で3分間乾燥させて粘着層を形成し、その直後、粘着剤層と厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)とを貼り合わせ、樹脂材料Cを作製した。
(樹脂材料Dの作製)
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にシリコン系剥離剤を塗布し、このシリコン系剥離剤が塗布された面に、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレートを主モノマーとする重合体100質量部、架橋剤として75質量%濃度のヘキサメチレンジイソシアネート・トリメチロールプロパンアダクト溶液(商品名コロネートHL、固形分濃度75質量%、日本ポリウレタン株式会社製)5質量部を、乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、乾燥装置により100℃で3分間乾燥させ、その直後、粘着層と厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)を貼り合わせ、樹脂材料Dを作製した。
(粘着層の粘着力の測定)
JIS Z−0237に記載の方法に準拠し、被着体としてコーニング1737を用い、引張速度300mm/min、剥離角度180°で粘着力(N/cm)を測定した。
表1に、上記方法に従って測定した各樹脂材料の粘着力の測定結果と、公知の分析手段を用いて測定した重量平均分子量を、表1に示す。
《ガスバリア性樹脂基材の作製》
〔試料1の作製〕
樹脂基材(帝人デュポンフィルム社製ポリエチレンナフタレート、厚さ125μm)の片面(A面)に、下記条件でポリマー層を形成した後、ポリマー層上に下記条件でガスバリア層を形成した。その後、オフラインでA面側に形成したガスバリア層上に樹脂材料Aをラミネートし、さらにガスバリア層を形成していない面(B面)に、A面側と同様な条件でポリマー層およびガスバリア層を形成し、両面にガスバリア層を形成した試料1を作製した。
(ポリマー層の形成)
上記樹脂基材上に、下記条件の大気圧プラズマ処理を行った後、下記ポリマー層組成物を、マイクログラビアコーターを用いて乾燥膜厚が6.5μmとなるように塗布し、80℃にて5分間乾燥した。次に、80W/cm高圧水銀灯を12cmの距離から4秒間照射して硬化させ、ポリマー層を有する樹脂基材を作製した。このときのA面側に形成したポリマー層の中心線平均粗さRaは0.5nm、十点平均粗さRzは6.3nmであった。
また、B面側に形成したポリマー層の中心線平均粗さRaは0.5nm、十点平均粗さRzは6.7nmであった。
〈大気圧プラズマ処理条件〉
図7に示す大気圧プラズマ処理装置を用いて、放電ガスとしてアルゴン:水素=99:1(体積比)を流入させ、基材をその励起放電ガスに3秒間晒した。尚、高周波電源として、パール工業製高周波電源(周波数;13.56MHz)、放電出力は5W/cm2
設定して行った。
〈ポリマー層組成物〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部
ジエトキシベンゾフェノン(UV光開始剤) 2質量部
メチルエチルケトン 50質量部
酢酸エチル 50質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
上記組成物を撹拌しながら溶解した。
(ガスバリア層の作製)
プラズマ放電処理装置は図1のa)に示すものを用いて処理を実施し、各電極部に原料及び電力を投入し、以下のように基材上にガスバリア層を形成した。
ここで誘電体は対向する電極共に、セラミック溶射加工のものに片肉で1mm被覆した。また、被覆後の電極間隙は、1mmに設定した。また誘電体を被覆した金属母材は、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケット仕様であり、放電中は冷却水による電極温度コントロールを行いながら実施した。
また、回転ロール電極は直径500mm、幅500mm、対向する角型の固定電極は、放電面積500cm2のものを用いた。また、ニップロールはシリコンゴム製(JIS
硬度70)でロール回転電極と同じ幅で、径75mmのものを用いた。
ガスバリア層は、密着膜(100nm)/バリア膜(50nm)/保護膜(100nm)の順に形成した。
プラズマ放電処理は、巻き取り後、ワインダ、アンワインダの役割をかえて、基材の搬送方向を逆転させ、往復させて、以下のようにそれぞれの作製条件を変え、各層の膜厚がそれぞれの厚みになるように搬送速度を調整してガスバリア層を形成した。
各膜の作製条件(高周波側電源の電力、薄膜形成ガス)は以下の通りである。
[密着膜及び保護膜の作製]
〈密着膜・保護膜混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.85体積%
薄膜形成ガス:ヘキサメチルジシロキサン 0.15体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈密着膜・保護層成膜条件〉
第1電極側 電源種類:ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数:100kHz
出力密度:10W/cm2(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度:120℃
第2電極側 電源種類:パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数:13.56MHz
出力密度:5W/cm2(この時の電圧Vpは1kVであった)
電極温度:90℃
このときの密着膜及び保護膜の膜密度は2.0、炭素濃度は3%であった。
[バリア膜の作製]
〈バリア膜混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.99体積%
薄膜形成ガス:テトラエトキシシラン 0.01体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈バリア膜成膜条件〉
第1電極側 電源種類:ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数:100kHz
出力密度:12W/cm2(この時の電圧Vpは8kVであった)
電極温度:120℃
第2電極側 電源種類:パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数:13.56MHz
出力密度:10W/cm2(この時の電圧Vpは2kVであった)
電極温度:90℃
このときのバリア膜の膜密度は2.2、炭素濃度は0.1%以下であった。
〔試料2の作製〕
上記試料1の作製において、ラミネートに用いた樹脂材料Aを、樹脂材料Bに変更した以外は同様にして、試料2を作製した。
〔試料3の作製〕
上記試料1の作製において、ラミネートに用いた樹脂材料Aを、樹脂材料Cに変更した以外は同様にして、試料3を作製した。
〔試料4の作製:比較例〕
上記試料1の作製において、A面にガスバリア層を形成した後、A面側に樹脂材料Aをラミネートしないで、B面側にガスバリア層を形成した以外は同様にして、試料4を作製した。
〔試料5の作製:比較例〕
上記試料1の作製において、A面にガスバリア層を形成した後、A面側に樹脂材料Aのラミネートに代えて、A面側に試料1の作製で使用したポリマー層と同様な形成条件でA面側のガスバリア層上に樹脂層を設けた以外は同様にして、試料5を作製した。
〔試料6の作製〕
樹脂基材(きもと社製、両面クリアハードコート(CHC)付ポリエチレンテレフタラートフィルム(PET)、PET厚み125μm、CHC厚み6μm、樹脂基材のA面側の中心線平均粗さRaは0.5nm、十点平均粗さRzは6.1nm、B面側の中心線平均粗さRaは0.5nm、十点平均粗さRzは5.9nm)のA面に、下記の作製条件でガスバリア層を形成した。その後、オンライン上に設けたラミネーターでA面とB面に樹脂材料Dをラミネートし、さらに樹脂基材が放電空間に入る前にB面側の樹脂材料Dを除電しながら剥離した後、下記の作製条件でガスバリア層を形成し、両面にガスバリア層を形成した試料6を作製した。
(ガスバリア層の作製)
プラズマ放電処理装置は図4に示すものを用いて処理を実施し、各電極部に原料及び電力を投入し、以下のように基材上にガスバリア層を形成した。
ここで誘電体は、対向するロール電極、固定電極共に、セラミック溶射加工のものに片肉で1mm被覆した。また、被覆後の電極間隙は、1mmに設定した。また誘電体を被覆した金属母材は、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケット仕様であり、放電中は冷却水による電極温度コントロールを行いながら実施した。
ロール電極210A〜210Cは、直径500mm 幅500mm。また、ニップロール400、410はシリコンゴム製(JIS硬度70)でロール回転電極と同じ幅で、径100mmのものを用いた。
また、無接触搬送装置としては、7/8円弧(径500mm)の断面を持った筒形状で、表面の空気吐出部にはSUS−304のワイヤーが適宜のピッチで巻かれた構造を有し、ロール両端の固定軸部に、圧縮空気供給用の孔を有するロールを用い、圧縮空気の圧力値を基材の張力をテンションメータによって測定して、1kPa程度の加圧となるようエアーを供給して、基材表面とロール表面のギャップが5mmとなるよう調整した。これによりウエブの浮上具合は外周面に沿って平均になり、ロールに接触することなく搬送された。製膜後の基材は、放電処理室から、外気から放電処理室を隔てる隔室を経て排出された後、ワインダにより巻き取った。
また、プラズマ放電処理装置として、蛇行防止のためのEPCセンサを用いた。EPCセンサは光学タイプのニレコ社製、SLH20を用い、また、巻き取り軸にて直接トルク制御を行った。張力測定は直接トルクモータの出力をモニターした。
樹脂基材を巻き出し軸上にセットし、元巻きロールから基材を繰り出した。移送されてくる基材上に以下のように、それぞれ図4で示されるプラズマ放電処理工程を有するプラズマ放電処理装置において、放電部00A、00Bおよび00Cをそれぞれ用いて、基材上にガスバリア層を密着膜(50nm)/バリア膜(50nm)/保護膜(50nm)の順に形成した。
[密着膜・保護膜の作製]
〈密着膜・保護膜混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 98.85体積%
薄膜形成ガス:ヘキサメチルジシロキサン 0.15体積%
添加ガス:水素ガス 1.0体積%
〈密着膜・保護膜成膜条件〉
第1電極側 電源種類:ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数:100kHz
出力密度:10W/cm2(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度:120℃
第2電極側 電源種類:パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数:13.56MHz
出力密度:5W/cm2(この時の電圧Vpは1kVであった)
電極温度:90℃
このときの密着膜及び保護膜の膜密度は1.9、炭素濃度は8%であった。
[バリア膜の作製]
〈バリア膜混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.99体積%
薄膜形成ガス:ヘキサメチルジシロキサン 0.01体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈バリア膜成膜条件〉
第1電極側 電源種類:ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数:100kHz
出力密度:12W/cm2(この時の電圧Vpは8kVであった)
電極温度:120℃
第2電極側 電源種類:パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数:13.56MHz
出力密度:10W/cm2(この時の電圧Vpは2kVであった)
電極温度:90℃
このときのバリア膜の膜密度は2.2、炭素濃度は0.1%以下であった。
〔試料7の作製〕
樹脂基材(きもと社製、両面クリアハードコート(CHC)付ポリエチレンテレフタラートフィルム(PET)、PET厚み125μm、CHC厚み6μm、樹脂基材のA面側の中心線平均粗さRaは0.5nm、十点平均粗さRzは6.1nm、B面側の中心線平均粗さRaは0.5nm、十点平均粗さRzは5.9nm)のA面とB面に樹脂材料Dをラミネートし、さらに樹脂基材が放電空間に入る前にA面側の樹脂材料Dだけ(B面の樹脂材料Dは剥がさない)を除電しながら剥離した後、試料6と同様な条件でA面側にガスバリア層を形成した。その後、オンライン上にあるラミネーターでA面側に樹脂材Dをラミネートし、さらに樹脂基材が放電空間に入る前にB面側の樹脂材料Dを除電しながら剥離した後、試料6と同様な作製条件でガスバリア層を形成し、両面にガスバリア層を形成した試料7を作製した。
〔試料8の作製〕
上記試料7の作製において、プラズマ放電処理装置を図4に示すものから図3に示すものに変更した以外は同様にして、試料8を作製した。
《ガスバリア性樹脂基材の評価》
〔評価1:水蒸気透過率の評価〕
水蒸気透過率は、特開2004−333127号に記載の方法を従って、試料1、4、5、6は各樹脂材料を剥がした後、各試料につき10箇所(A面とB面にそれぞれ5箇所ずつ)について、2×2mm角の大きさのカルシウムを蒸着を行い、40℃、90%RHの条件下で、保存後のカルシウムの腐食面積から水蒸気透過率を見積もった。
〔評価2:表面粗度の評価〕
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)として、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800NプローブステーションおよびSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえる。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定した。測定領域2μm角を、1(or2)視野、走査周波数1Hzで測定した。得られた三次元データを最小二乗近似することにより、試料のわずかな傾きを補正し、基準面を求めた。
表面粗さの解析は、解析ソフトSPIwin(ver.2.05D2、セイコーインスツルメント社製)の「解析」メニューより表面粗さ解析を呼び出し、得られた三次元データより平均面粗さとして求めた。
評価は、5×5μmの範囲をA面とB面それぞれ10箇所測定し、それぞれの箇所の平均面粗さRaと10点平均荒さRzを平均した値を求めた。
〔評価3:膜面品質の評価〕
微分干渉顕微鏡として、ニコン社製エクリプスE600および顕微鏡用デジタルカメラDXM1200Fを使用し、フィルムのB面側に日東電工社製の表面保護材料SPV−A−303Sを貼り、反射モード400倍の倍率で30×30mmの範囲の観察を行い、下記の基準に従ってガスバリア製樹脂基材の異物や傷を評価し、下記の基準に従って膜面品質を評価した。
◎:1μm以上の異物や傷が見られなく、かつ1μm以下の異物や傷もほぼ見られなかった(1μm以下の異物:2個未満)
○:1μm以上の異物や傷が見られなかったが、1μm以下の異物や傷がわずかに見られた(1μm以下の異物:2〜10個)
△:1μm以上の異物や傷が見られなかったが、1μm以下の異物や傷が多数確認できた(1μm以下の異物:11個以上)。
×:1μm以上の異物や傷が確認され、かつ1μm以下の異物や傷が多数確認できた。
以上により得られた結果を、表2に示す。
表2に記載の結果より明らかなように、本発明の製造方法に準じて作製したガスバリア性樹脂基材は、比較例に対し、形成したガスバリア層の平面性に優れ、形成したガスバリア層に異物や傷の発生が低減され、その結果、高いガスバリア性(水蒸気遮断性)を有していることが分かる。
実施例2
実施例1に記載のガスバリア性樹脂基材である試料6の作製において、ラミネート工程で用いた樹脂材料D(アクリル系粘着剤)に代えて、粘着剤として、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤、紫外線硬化型粘着剤により各粘着層を設けた樹脂材料を用いて、実施例1に記載の方法と同様にして各評価を行った結果、ゴム系粘着剤及びシリコン系粘着剤により粘着層を形成した樹脂材料によりラミネートした試料は、実施例1に記載の試料6と同様の効果が得られることを確認することができ、それに対し、ウレタン系粘着剤及び紫外線硬化型粘着剤により粘着層を形成した樹脂材料によりラミネートした試料は、実施例1に記載の試料6に比較し、その効果がやや低い結果となった。

Claims (16)

  1. 樹脂基材に少なくとも1層のガスバリア層を有するガスバリア性樹脂基材の製造方法であって、
    少なくとも一対の対向する電極と該対向する電極の間に形成された放電空間を有し、ワインダ(巻き取り軸)とアンワインダ(巻き出し軸)との間を連続的に移送する該樹脂基材が、該対向する電極の少なくとも一方の電極に接しながら該放電空間を通過することで、該放電空間において電極に接していない面側がプラズマ処理されてガスバリア層を形成するプラズマ処理する工程と、
    該ワインダ(巻き取り軸)とアンワインダ(巻き出し軸)との間を連続的に移送する樹脂基材の一方の面(A面)側に、少なくとも1層のガスバリア層を形成した後、該A面側に離型性を有する樹脂材料をラミネートする工程と、
    該樹脂基材の他方の面(B面)側に少なくとも1層の構成層を形成する工程と
    該樹脂基材の他方の面(B面)側に少なくとも1層の構成層を形成した後、該樹脂基材の一方の面(A面)側にラミネートした、該離型性を有する樹脂材料を剥離する工程とを経て製造することを特徴とするガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  2. 前記離型性を有する樹脂材料が、少なくともフィルムと、該フィルムの片面に形成された粘着剤を含む粘着層からなり、該粘着剤がアクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤及びゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種であり、該粘着剤の粘着力が1mN/cm以上、2N/cm以下で、かつ厚さが0.1μm以上、30μm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  3. 前記粘着剤の粘着力が、1mN/cm以上、200mN/cm以下であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  4. 前記粘着剤の重量平均分子量が、40万以上、140万以下であることを特徴とする請求の範囲第又は第3項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  5. 記構成層が、ガスバリア層であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  6. 前記ガスバリア層は、前記樹脂基材の側から、密着膜、セラミック膜及び保護膜がこの順に積層されてなることを特徴とする、請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  7. 前記セラミック層の密度は、前記密着膜及び前記保護膜のそれぞれの密度よりも高いことを特徴とする、請求の範囲第6項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  8. 前記樹脂基材の他方の面(B面)側に、離型性を有する樹脂材料をラミネートする工程と、
    前記樹脂基材の一方の面(A面)及び前記樹脂基材の他方の面(B面)の両方の側に前記離型性を有する樹脂材料がラミネートされた前記樹脂基材をワインダに巻き取る工程と、をこの順で有することを特徴とする、請求の範囲第1項乃至第7項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  9. 前記プラズマ処理が、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、前記放電空間に薄膜形成ガスおよび放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、前記樹脂基材を励起した該ガスに晒すことにより、前記樹脂基材上に前記ガスバリア層を形成する大気圧プラズマ処理であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  10. 前記樹脂基材が接する電極が、回転するロール電極であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  11. 前記プラズマ処理工程で用いる装置は、前記ワインダとアンワインダの間に配列され、前記樹脂基材の被プラズマ処理面に直接接触するロールが、前記樹脂基材が接する電極上に設けられたニップロールのみであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第10項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  12. 前記プラズマ処理工程で用いる装置は、前記樹脂基材を前記ワインダとアンワインダの間で双方向に往復して移動させ、連続的にプラズマ処理を行うことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第11項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  13. 前記連続的に樹脂基材を移送する手段が、気体を吹き出し口より噴出することにより連続的に走行する前記樹脂基材を支持する無接触搬送装置で構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第12項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  14. 前記樹脂基材のA面側に少なくとも1層のガスバリア層を形成し、次いでB面側に前記離型性を有する樹脂材料をラミネートした後、前記B面側にプラズマ処理する前に該樹脂材料を剥離した後、該B面側に少なくとも1層の構成層を形成することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第13項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  15. 前記樹脂基材のA面側に前記離型性を有する樹脂材料をラミネートし、該A面側にプラズマ処理によりガスバリア層を形成する前に、該A面側に付与した樹脂材料を剥離することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第14項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法。
  16. 請求の範囲第1項乃至第14項のいずれか1項に記載のガスバリア性樹脂基材の製造方法で用いることを特徴とするガスバリア性樹脂基材の製造装置。
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