JPH10249988A - 金属酸化物蒸着プラスチックフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

金属酸化物蒸着プラスチックフィルムおよびその製造方法

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JPH10249988A
JPH10249988A JP9074504A JP7450497A JPH10249988A JP H10249988 A JPH10249988 A JP H10249988A JP 9074504 A JP9074504 A JP 9074504A JP 7450497 A JP7450497 A JP 7450497A JP H10249988 A JPH10249988 A JP H10249988A
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plastic film
film
metal oxide
layer
thickness
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Application number
JP9074504A
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English (en)
Inventor
Shunroku Toyama
俊六 遠山
Kiyoto Mochizuki
清人 望月
Masami Saito
正己 斎藤
Masahiro Nakamura
正弘 中村
Tsutomu Aoyanagi
力 青柳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Metallizing Co Ltd
Original Assignee
Toyo Metallizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】LCDやCRTの前面に装着して傷や汚れがな
く、良好な装着性と使用耐久性がある、反射防止性の高
いプラスチックフィルムを提供する。 【解決手段】厚さが50〜250μmの基材プラスチッ
クフィルムの片面に厚さが5〜40μmの粘着層と、そ
れと複合させた、使用に際して剥離可能な保護フィルム
とを設けてなる積層体フィルムの基材フィルムのもう一
方の面に金属酸化物からなる蒸着層を形成せしめてなる
金属酸化物蒸着プラスチックフィルム、及びその製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示板(LC
D)、テレビやコンピュ−タ−の表示画面ブラウン管
(CRT)、その他の表示画面などの前面に、装着さ
れ、反射防止性能を付与する金属酸化物蒸着プラスチッ
クフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的には液晶表示板(LCD)、テレ
ビやコンピュ−タ−表示画面のブラウン管(CRT)な
どの表示画面はガラスである場合が多く、従来はそのガ
ラス面に直接反射防止能を付与することで背後光原の反
射による視覚的障害を避けてきた。ところで反射防止加
工は,通常高真空中で、金属酸化物や誘電体からなる多
層膜を蒸着させて行われるが,被処理材がCRTのよう
な数十cm四方の大きさの物や、曲面を持つような場合
は、大掛かりな生産設備を必要とし、経済性の面で問題
があった。
【0003】したがって、あらかじめ反射防止性能を付
与したフィルムを用意し、それを表示用ガラス面に接着
して装着することが行われるようになった。すなわち反
射防止膜を有するプラスチックフィルムまたはシート状
の基材を粘接着剤、加熱、紫外線硬化型接着剤等を用い
てガラス面上に貼合せ,時間の経過とともにあるいは加
熱、紫外線の照射等により強固に固定をおこなうことが
おこなわれている(“機能性接着剤・粘着剤の新展開”
121頁 東レリサーチセンター1996年12月発
行)。しかしこの方法は工程が複雑で、貼付け当初は端
部のハガレ、浮き上りが発生し易い問題を本質的に含ん
でいる。
【0004】特開平1−307701には、プラスチッ
クフィルム表面上の反射防止層形成用薄膜を接着剤層を
介して透明基盤と接着した後、プラスチックフィルムを
剥離することによって、反射防止を目的とする部品、装
置表面に形成する方法と反射防止層形成用フィルムが提
案されている。しかしこれにおいても、接着の装着性や
装着工程での種々の傷の発生などの点についての考慮が
なされていない。 特開平8−248404には、プラ
スチックフィルムに直接又は離型層を介して反射防止層
および接着層を順次形成して反射防止膜用転写箔が提案
されている。またこのとき、ハ−ドコ−ト層を反射防止
層と接着層の間に設けた場合も提案されている。ここで
は、反射防止機能を発現させる場合、接着層によって液
晶パネルなどに反射防止層を転写させ、プラスチックフ
ィルムは実際の使用段階では剥離されている。そのため
に、反射防止膜を支える膜が存在しないので、実用面で
ごみ付着物を布で拭いた場合など剥がれやすく、製品安
定性の面から極めて不満足である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、上
記のごとき製品の取扱いおよび使用段階での問題に対
し、従来技術の範囲では未解決の問題点を解決し、種々
のディスプレイに装着されて使用されるに当たって必要
十分な反射防止性能を有し,しかもキズ等の外観上の品
位や擦過処理による耐摩耗安定性等の品質特性にも優
れ、かつ各種ディスプレイに装着が容易な金属酸化物蒸
着プラスチックフィルムを提供し、もって優れたプラス
チックフィルム光学材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次の構成を有する。
【0007】[1]厚さが50〜250μmの基材プラ
スチックフィルムの片面に厚さが5〜40μmの粘着層
と、それと複合させた、使用に際して剥離可能な保護フ
ィルムとを設けてなる積層体フィルムの基材プラスチッ
クフィルムのもう一方の面に金属酸化物からなる蒸着層
を形成せしめてなる金属酸化物蒸着プラスチックフィル
ム。
【0008】[2]積層体フィルムの基材プラスチック
フィルムのもう一方の面に厚さが1〜10μmの、耐擦
過性を有し、その鉛筆硬度が2H以上であるハ−ドコ−
ト層を介して金属酸化物からなる蒸着層を形成せしめて
なる上記[1]記載の金属酸化物蒸着プラスチックフィ
ルム。
【0009】[3]金属酸化物からなる蒸着層が、屈折
率の異なる金属酸化物の層の組合せからなる多層膜反射
防止膜であることを特徴とする上記[1]または[2]
に記載の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
【0010】[4]基材プラスチックフィルムが少なく
ともその片面に厚さ0.1〜2μmの易接着層が形成さ
れていることを特徴とする上記[1]〜[3]のいすれ
かに記載の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
【0011】[5]粘着層がガラス面への初期粘着力が
300〜1500g/25mmであって、再剥離型の粘
着剤であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいす
れかに記載の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
【0012】[6]保護フィルムが、シリコンコ−トフ
ィルムであることを特徴とする上記[1]〜[5]のい
すれかに記載の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
【0013】[7]保護フィルムの剥離強度が、3〜9
0g/25mmであることを特徴とする上記[1]〜
[6]のいすれかに記載の金属酸化物蒸着プラスチック
フィルム。
【0014】[8]最高90℃/最長60分の熱処理を
受けて、粘着層の粘着力および保護フィルムの剥離強度
が、該熱処理の影響を受ける前の±50%以内の変化で
ある上記[1]〜[7]いすれかに記載の金属酸化物蒸
着プラスチックフィルム。 [9]多層膜反射防止膜が、基材プラスチックフィルム
の屈折率より高い屈折率の透明な金属酸化物からなる層
と、基材プラスチックフィルムの屈折率より低い屈折率
の透明な金属酸化物の層の組合せからなる多層膜である
ことを特徴とする上記[3]〜[8]のいずれかに記載
の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
【0015】[10]厚さが50〜250μmの基材プ
ラスチックフィルムの片面に、厚さが1〜10μmの、
耐擦過性を有し、その鉛筆硬度が2H以上であるハ−ド
コ−ト層を設けた後、もう一方の面に厚さが5〜40μ
mの粘着層と、それと複合させた、使用に際して剥離可
能な保護フィルムとからなる複合層を、保護フィルムが
外面になる形で設けた後、ついでハ−ドコ−ト層の上
に、金属酸化物からなる蒸着層をエレクトロンビーム蒸
着方式またはスパッタリング方式で形成させることを特
徴とする金属酸化物蒸着プラスチックフィルムの製造方
法。
【0016】[11]金属酸化物からなる蒸着層が屈折
率の異なる金属酸化物の層の組合せからなる多層膜反射
防止膜であることを特徴とする上記[10]記載の金属
酸化物蒸着プラスチックフィルムの製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の内容について詳
しく説明する。
【0018】本発明において基材プラスチックフィルム
としては、可視光線を透過できる透明性があり、その表
面に、下記に示すようなハ−ドコ−ト層と反射防止膜を
構成する2〜6層程度の金属酸化物を蒸着またはスパッ
タリングなどの手段で付着が可能であり,またディスプ
レイ前面に接着する工程に耐える熱的、機械的、形態的
安定性のあるものであれば差支えない。具体的には、厚
みが50〜250μmの、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
メタクリル酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカ−ボ
ネ−ト系樹脂、トリアセテ−ト系樹脂などからなるフィ
ルムが挙げられるが、その中で、熱的、機械的、形態的
安定性の面と経済性のバランスの面から、ポリエステル
系樹脂、その中でもポリエチレンテレフタレ−トを主体
とする樹脂からなるプラスチックフィルムが好ましく使
われる。場合によっては、ディスプレイの使用目的やデ
ザイン設計の点から、これらのフィルムは原着や染色に
よって着色されたものも可視光線透過率の許容できる範
囲で好ましく使われる。
【0019】また本発明の製品をディスプレイなどに装
着する場合、一般的には片面に反射防止膜を形成し、他
の面とディスプレイ表示画面とを密着させて使用するた
めに、その接合面の接着性を設けるために粘着剤層を設
けることが本発明の趣旨であるが、その粘着剤層とフィ
ルム基板との良好な密着性を得るためにフィルム基板に
易接着としてコ−ティング処理や化学的処理を施すこと
が望ましい。あるいはコ−ティング、コロナ放電処理な
どの物理的表面処理を施すことも好ましい。同様に、以
下に説明するハ−ドコ−ト層との密着性を得るために
も、ハ−ドコ−ト層の形成の前に易接着としてコ−ティ
ング処理や化学的処理を施すことが望ましい。ポリエチ
レンテレフタレ−トを主体とする樹脂からなる基材フィ
ルムを用いた場合は、これに対応して、かかるコ−ティ
ング樹脂被膜としては、ポリエステル樹脂が望ましい。
しかしポリエチレンテレフタレ−ト骨格が主体の高分子
では、剛直すぎて充分な接着性を発現できない。脂肪族
を主体とするポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタ
レ−ト基材フィルムともまたLCDやCRTの表面部材
とも良好な接着性を発現できる。適度な剛直柔軟性と接
着性を発現するために、エステル基やその生成反応前段
階のヒドロキシル基と反応しうるメラミン、グアナミ
ン、グアニジン、ポリ尿素系統の架橋成分を加えて、2
次転移点が10〜50℃になるように変成したポリエス
テル樹脂が最も好ましい。この樹脂被膜の厚みは、0.
1〜2μmの範囲が好ましく、0.1μmより小さいと
充分な接着性が得られず、また2μmを越えると接着性
の効果は飽和して実用的ない。
【0020】この樹脂被膜は、ポリエチレンテレフタレ
−トフィルムを製造した後、本樹脂の溶液を塗布、乾燥
して成膜してもよいし、またポリエチレンテレフタレ−
トフィルムを製造するときに同時に、インラインで成膜
してもよい。またポリエチレンテレフタレ−トフィルム
の製造時に表裏同時にインライン成膜してもよい。ハ−
ドコ−ト層は、本発明の製品の表面を、ディスプレイが
使用される状態で、本来的には目的とはしない物品との
接触(鉛筆、シャ−ペンシル先端、爪など)や、また表
面を拭いて清浄化するときの摩擦によるキズの発生を抑
えるためのものである。表面硬度の表現方法は種々ある
が、鉛筆硬度が実用的に使われ、少なくとも2H以上の
硬度が必要である。本来、以下に説明する本発明の、各
種酸化物で構成される反射防止膜自体は充分硬いもので
あるが、以下に示すようにその厚さは多層全体でも0.
5μm以下であり、これの下に硬度の低い50μm以上
の厚さのある基材プラスチックフィルムが存在する場
合、上記の種々のキズ発生原因に対してはほとんど効果
がない。キズ防止の効果を発揮するためにかなりの厚み
を必要とするハ−ドコ−ト層を反射防止膜の外側に設け
ることは、反射防止の原理から不可能である。したがっ
て、ハ−ドコ−ト層は基材プラスチックフィルムと反射
防止膜の間に設けることになる。この厚さは、キズの付
きにくい表面効果を発揮するためには1μm以上かつ1
0μm以下から選ばれる。1μmより小さいと表面硬度
の硬化が得られず、10μmを越すとフルム全体として
の柔軟性がなくなりクラック、カール等の問題が無視で
きなくなる。実用的硬度を発現し、基材プラスチックフ
ィルムの柔軟性を維持し、光学的特性への障害を回避で
きる厚さとして、より好ましくは3〜8μmから選ばれ
る。
【0021】ハ−ドコ−ト層の化学的組成としては、ポ
リオルガノシロキサン、シリカ、アルミナなどの無機酸
化物系あるいは有機アクリル系いずれでもよい。またこ
れらのハ−ドコ−ト層の成膜方法としては、真空蒸着方
式,溶液の塗布/乾燥によるいわゆるウェット・コ−テ
ィング方式など、通常行われているいずれの方式も可能
である。しかし、上記のように一般には1μm以上の厚
さが必要であるので、ウェット・コ−ティング方式が好
ましい。その場合は、有機アクリル系が選択しやすく、
メタクリル酸などのアクリル化合物と多官能グリコ−ル
とのエステル化合物を架橋させて成膜する方法が好まし
く使用される。
【0022】ハ−ドコ−ト層と基材フィルムとの接着性
を高めるために、2μm以下程度の薄いアンカ−コ−ト
層を設けることも好ましく行われる。その場合には、ア
クリル系あるいはポリエステル系樹脂を用いて、基材フ
ィルムの製造時でのインライン方式またはオフライン方
式によるのが望ましい。
【0023】粘着層は、本発明である反射防止膜を有す
るプラスチックフィルムをディスプレイ表示部材である
ガラス、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセテ
ート、ポリメタクリル樹脂等の高分子樹脂に接着保持せ
しめる機能を有する。粘着剤成分として、アクリル系、
ゴム系、シリコーン系等があるが、粘着特性の制御の自
由度、耐熱耐候安定性、被着体の選択自由度等の面でア
クリル系が好ましく用いられる。粘着剤の形態として、
通常用いる溶剤型のみならず、加工条件上の制約、所望
の粘着要求特性等によっては、エマルジョン系、無溶剤
系、水溶性型と適宜選択することができる。
【0024】前述の表示部材への接着には、通常の使用
に当たって剥がれたり、ずれたりすることのない十分な
初期密着強度として100〜2000g/25mm巾が
必要である。初期密着強度が100g/25mm巾より
小さいと、貼合せ作業中や、使用中にフィルムの端部が
剥がれたり、ずれたりする問題が発生し易い。2000
g/25mm巾を越えると、貼合せ作業時に位置ずれ等
の問題が生じた時に再剥離を行なった場合、表示部材に
粘着剤が一部残ったり、フィルムそのものが破損して、
残部が表示部材に固着する等の問題を招くことがある。
貼合せ作業の効率性、再剥離の容易性、使用時の安定性
等を考えた場合、初期密着強度として好ましくは300
〜1500g/25mm巾が適宜選ばれる。本発明の粘
着剤は再剥離型の粘着剤であることが好ましい。
【0025】ここで言う初期密着強度とは裏面に粘着層
を形成せしめた反射防止膜を有するプラスチックフィル
ムを少なくとも7日間室温下で静置した後、粘着層をガ
ラス板に貼りつけさらに1日後,25mm巾でJIS
Z0237の規格に沿って180°の引剥がしで測定し
た強度を示す。
【0026】また当然のことながら、粘着層および保護
フィルムは、残存溶媒など真空蒸着中にガス発生の原因
を持っていてはならない。また、径0.4μm程度以上
の気泡や凹み欠点などが存在すると接着後の製品が使用
段階で大きな障害となることはいうまでもない。
【0027】保護フィルムは粘着層の上面に設けるもの
であって、本発明のプラスチックフィルムをディスプレ
イ表示部材上に貼合せ固定するまで粘着層の粘着性を一
時遮断して他の取扱い作業に支障の生じないようにする
こととともに、貼合せ作業時には容易に粘着層から剥が
れることを必要とする。かかる剥離効果を付与する成分
として長鎖アルキル基を含有したアクリレート、ビニル
エステル、ビニルエーテル等の化合物、ポリビニルアル
コール系、セルロース系、フッ素系、シリコーン系のポ
リマ等が挙げられる。これら成分については,剥離効果
の良好性、移行性の程度、透明性、処理操作の容易性等
から使用条件によって適宜選択されるが本発明の保護フ
ィルムに用いる剥離成分としてはシリコーン系が好まし
く選ばれる。本発明に用いる保護フィルムとして、剥離
強度は3〜90g/25mm巾が好ましい。3g/25
mm巾より小さいと、製造工程あるいは取扱いの段階で
簡単な衝撃や接触で剥離し易いので好ましくない。90
g/25mm巾を越すと貼合せ作業に支障を生じ好まし
くない。また粘着層の粘着力および保護フィルムの剥離
強度は熱の影響を受けて大きく変化しないことも必要で
ある。具体的には最高90℃/最長60分の熱処理を受
けて、粘着層の粘着力および保護フィルムの剥離強度
が、熱処理の影響を受ける前の±50%以内の変化であ
ることが好ましい。
【0028】次に粘着層と保護フィルムを裏面に接合す
る方法について説明する。剥離強度が異なる2種類の保
護フィルム(粘着層支持フィルム)にはさまれた(サン
ドイッチ)された両面保護フィルム付き粘着層を用意
し、剥離強度の小さい方の保護フィルムを剥離しつつ粘
着層と裏面とで接合する第1の方法および、裏面になん
らかのコ−ティング方式で粘着層を形成しつつ保護フィ
ルムを貼り合わせる第2の方法とがある。
【0029】次に多層の反射防止膜について説明する。
一般的な多層反射防止膜の原理とその成膜方法について
はすでに公知であり、種々の目的に応じて多種多様の方
法と数多くの公知技術が開示されている。基本的には、
基材フィルムの屈折率より、小さい屈折率をもつ透明な
化合物と、基材フィルムの屈折率より大きい屈折率をも
つ透明な化合物の層を、全体の反射率を極小に近い値に
するように設計された光学的膜厚み(屈折率nと絶対厚
みdの積)で構成することからなる。かかる多層膜の成
分組、膜厚、構成等の内容は、具体的に使用される目
的、許容される生産のための費用、生産のために採用で
きる成膜の方法等によって、適宜選択される。
【0030】本発明である反射防止膜又は金属酸化物か
らなる蒸着層を有するプラスチックフィルムは、その構
成を形成するに当たって、幾つかの選択が考えられるな
かで当初は不都合と困難を伴なうと想定された本発明に
よる工程を採ることによって、得られたプラスチックフ
ィルムの反射防止性能等の性能を十分に保持するととも
に、キズ等の外観上の品位や擦過処理による耐摩耗安定
性等の品質特性にも極めて優れたものが得られることを
見出したものである。厚さが50〜250μmの基材プ
ラスチックフィルムの片面にあらかじめ厚さが5〜40
μmの粘着層と、それと複合させた、使用に際して剥離
可能な保護フィルムとを設け、しかる後得られた積層体
フィルムの基材プラスチックフィルムのもう一方の面に
金属酸化物からなる蒸着層を形成せしめことが必要であ
ることを見出したものである。
【0031】また、粘着層を形成させた後、多層膜反射
防止膜を形成することは、粘着層の実用性能に思いがけ
ない利点効果を及ぼすことが分かった。すなわち、理由
は十分には定かではないが、粘着層を形成させた後、多
層膜反射防止膜を形成すると、逆の方法による場合に比
べて、粘着層のガラスなどディスプレイ面への装着性が
なめらかで装着後の表面が極めてフラットに仕上げられ
ることが分かった。
【0032】一方多層膜反射防止膜を形成してから、粘
着層と保護フィルムを付与をおこなったものは、粘着層
を付与する前の種々の取扱い工程で、粘着層に接するプ
ラスチックフィルム基材の表面にキズの発生が入り易
く、外観品位の劣化が避けられなかった。また理由は明
確でないが,反射防止膜の形成を先行したものは,明ら
かに擦過処理による耐摩耗安定性や溶剤で浸漬した擦過
安定性に劣る結果になった。粘着層と保護フィルムの形
成を先行し、後からハードコート層ついで反射防止膜を
形成することは、ハードコート層の塗工での塗膜厚の調
整に困難を伴ない,粘着剤の品種によっては不要な熱履
歴を招き、加工作業性、外観品位および加工物性等の面
で明らかに不利な結果を招来した。したがって本発明に
よって得られた反射防止膜を有するプラスチックフィル
ムは、目的とする反射防止性能を備えていることは勿論
であるが、LCDやCRTの前面に装着して、良好な外
観品位,耐摩耗性,耐溶媒浸漬擦過安定性に優れている
ことを特徴とするものである。
【0033】
【実施例】以下本発明の様態を実施例をもって説明する
が、これによって限定されるものではない。
【0034】[実施例1]ベースフィルムには、製膜時
にインラインで、固形重量で15%のトリメチロールメ
ラミンを添加した脂肪族骨格を主体とした2次転移点が
約23℃のポリエステル樹脂を両面に、0.4μmの厚
さに製膜した188μmのポリエチレンテレフタレート
(以下PETと略称)フィルムを得た。ハードコート層
は、PETフィルムの片面に多官能エリスリトール/ポ
リエステル/ヒドロキシプロピル系共重合アクリレー
ト、表面平滑剤(ポリシロキサン)、光増感剤(フェニ
ルケトン化合物)のトルエン、メチルエチルケトン混合
溶媒の溶液を塗布し、乾燥後、紫外線照射で架橋反応を
完結させることにより、鉛筆硬度3Hの、厚さ5μmの
層を形成させた。ハードコート層の反対面にブチルアク
リレート/ヒドロキシエチル系共重合アクリレート10
0重量部、架橋剤(トルエンジイソシアネート)6.5
重量部のトルエン、酢酸エチル混合溶媒の溶液を塗布
し、乾燥後厚さ30μmの粘着層を得、その表層を保護
する形で、紫外線ラジカル硬化型のシリコーンが0.1
μmの厚さで塗布された厚さ38μmのPETフィルム
をシリコーンコート面を粘着層に対向させて貼合せ粘着
層/保護フィルムの2層を形成させた。
【0035】反射防止膜の形成は、ハードコート層の上
に、ITO、SiO2、ITO、SiO2の順に4層すべ
てを、EB(電子銃)加熱を蒸発エネルギー源とする真
空蒸着装置を用いて、部分的にRFイオンプレーティン
グ方式の併用で、各層の膜厚さを光学膜厚(n×d)と
してオンラインで計測制御しながら形成させた。
【0036】撥水層の形成は(ヘプタデカフロロ−1,
1,2,2−テトラヒドロデシル)−1−トリメトキシ
シランを蒸発気化させて、真空装置内に放電電極に10
0Wの高周波プラズマを発生させた雰囲気に導入し、反
射防止膜を形成した上記フィルム表面上に約20オング
ストロームの厚さに反応させることによっておこなっ
た。得られた物の接触角は108°であった。この製品
の裏面表層の保護フィルムを剥がして、17インチ型円
筒型CRT面に粘着層を対向して、ロール圧接着した。
これにより、背面からの光源の反射による障害のほとん
ど無い、極めて視感良好なCRTが得られた。このもの
のキズは極めて少なく使用に当たって外観上問題になる
ことは無かった。エタノールで湿らせた布を用いて1k
g荷重下100回擦過を繰り返しても剥がれ等の外観不
良は見られなかった。なお粘着層を剥がした時の初期粘
着力は900g/25mm巾であって、CRT面に粘着
剤が残るような不具合はまったく見られなかった。
【0037】[比較例1]裏面に粘着剤と保護フィルム
を設ける工程を、反射防止膜の形成の後におこなう以外
は実施例と同様に、ベースフィルム、ハードコート層、
反射防止膜としての4層、撥水層、裏面に粘着剤と保護
フィルムの各層の形成をおこない、実施例1と同じ構成
の反射防止機能を持つフィルムを得た。実施例1と同様
に、17インチ型円筒型CRT面にロール圧接着して、
ディスプレイ画面を観察したところ、微小のキズや汚れ
欠点が目立ち、非常に見にくい画面となった。エタノー
ルで湿らせた布を用いて1kg荷重下、擦過処理を行っ
たところ、50回で膜剥がれが発生し外観が不良になっ
た。
【0038】[比較例2]裏面に粘着剤と保護フィルム
を設ける工程を先行し、ついでハードコート層,反射防
止膜の形成を順次おこなった以外は実施例1と同様に、
ベースフィルム、ハードコート層、反射防止膜としての
4層、撥水層、裏面に粘着剤と保護フィルムの各層の形
成をおこない、実施例と同じ構成の反射防止機能を持つ
フィルムを得た。実施例と同様に、17インチ型円筒型
CRT面にロール厚接着した。ディスプレイ画面を観察
したところ、キズによる外観品位の欠点は問題なかった
が、フィルム表面をエタノールで湿らせた布を用いて1
kg荷重下擦過処理をおこなったところ30回で膜剥が
れが発生し外観が不良になった。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による保護
フィルムが設けられた反射防止膜を有するプラスチック
フィルムは、特許請求の範囲の要件を満たすことによ
り、各種ディスプレイに装着したときに、背後から入射
する光の反射を極めて少なくすることによって、ディス
プレイ使用者の目の疲労を防止することが出来,製品と
して目に見える傷や汚れがほとんど無く、かつ使用中も
表面にキズがつきにくく、さらにエタノールや各種ガラ
スクリーナ等の溶液に湿らせて擦過しても膜剥がれ等の
欠点の少ない耐久性に優れた反射防止フィルム製品を得
ることができる。
【0040】本発明の物品は、フィルム状であるために
直接には反射防止処理を施しにくい各種ディスプレイに
容易に装着使用することができる特徴を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 正弘 静岡県三島市長伏33の1 東洋メタライジ ング株式会社三島工場内 (72)発明者 青柳 力 静岡県三島市長伏33の1 東洋メタライジ ング株式会社三島工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚さが50〜250μmの基材プラスチッ
    クフィルムの片面に厚さが5〜40μmの粘着層と、そ
    れと複合させた、使用に際して剥離可能な保護フィルム
    とを設けてなる積層体フィルムの基材プラスチックフィ
    ルムのもう一方の面に金属酸化物からなる蒸着層を形成
    せしめてなる金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
  2. 【請求項2】積層体フィルムの基材プラスチックフィル
    ムのもう一方の面に厚さが1〜10μmの、耐擦過性を
    有し、その鉛筆硬度が2H以上であるハ−ドコ−ト層を
    介して金属酸化物からなる蒸着層を形成せしめてなる請
    求項1記載の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
  3. 【請求項3】金属酸化物からなる蒸着層が、屈折率の異
    なる金属酸化物の層の組合せからなる多層膜反射防止膜
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属
    酸化物蒸着プラスチックフィルム。
  4. 【請求項4】基材プラスチックフィルムが少なくともそ
    の片面に厚さ0.1〜2μmの易接着層が形成されてい
    ることを特徴とする請求項1〜3のいすれかに記載の金
    属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
  5. 【請求項5】粘着層がガラス面への初期粘着力が300
    〜1500g/25mmであって、再剥離型の粘着剤で
    あることを特徴とする請求項1〜4記載のいすれかに記
    載の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
  6. 【請求項6】保護フィルムが、シリコンコ−トフィルム
    であることを特徴とする請求項1〜5のいすれかに記載
    の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
  7. 【請求項7】保護フィルムの剥離強度が、3〜90g/
    25mmであることを特徴とする請求項1〜6のいすれ
    かに記載の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
  8. 【請求項8】最高90℃/最長60分の熱処理を受け
    て、粘着層の粘着力および保護フィルムの剥離強度が、
    該熱処理の影響を受ける前の±50%以内の変化である
    請求項1〜7記載のいすれかに記載の金属酸化物蒸着プ
    ラスチックフィルム。
  9. 【請求項9】多層膜反射防止膜が、基材プラスチックフ
    ィルムの屈折率より高い屈折率の透明な金属酸化物から
    なる層と、基材プラスチックフィルムの屈折率より低い
    屈折率の透明な金属酸化物の層の組合せからなる多層膜
    であることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載
    の金属酸化物蒸着プラスチックフィルム。
  10. 【請求項10】厚さが50〜250μmの基材プラスチ
    ックフィルムの片面に、厚さが1〜10μmの、耐擦過
    性を有し、その鉛筆硬度が2H以上であるハ−ドコ−ト
    層を設けた後、もう一方の面に厚さが5〜40μmの粘
    着層と、それと複合させた、使用に際して剥離可能な保
    護フィルムとからなる複合層を、保護フィルムが外面に
    なる形で設けた後、ついでハ−ドコ−ト層の上に、金属
    酸化物からなる蒸着層をエレクトロンビーム蒸着方式ま
    たはスパッタリング方式で形成させることを特徴とする
    金属酸化物蒸着プラスチックフィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】金属酸化物からなる蒸着層が屈折率の異
    なる金属酸化物の層の組合せからなる多層膜反射防止膜
    であることを特徴とする請求項10記載の金属酸化物蒸
    着プラスチックフィルムの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000286592A (ja) * 1999-01-28 2000-10-13 Mitsui Chemicals Inc 電磁波シールド用フィルター
KR100995616B1 (ko) * 2003-12-15 2010-11-22 코오롱인더스트리 주식회사 태양 광선 제어 필름
JP5093107B2 (ja) * 2006-05-25 2012-12-05 コニカミノルタホールディングス株式会社 ガスバリア性樹脂基材の製造方法及びガスバリア性樹脂基材の製造装置
WO2015152300A1 (ja) * 2014-04-03 2015-10-08 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルムの製造方法およびその製造方法によって製造されてなるガスバリア性フィルム
US10662305B2 (en) 2015-09-30 2020-05-26 Lg Chem, Ltd. Plastic film

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