JPH09193328A - 反射防止膜を有するプラスティックフィルム - Google Patents

反射防止膜を有するプラスティックフィルム

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JPH09193328A
JPH09193328A JP8024637A JP2463796A JPH09193328A JP H09193328 A JPH09193328 A JP H09193328A JP 8024637 A JP8024637 A JP 8024637A JP 2463796 A JP2463796 A JP 2463796A JP H09193328 A JPH09193328 A JP H09193328A
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film
thickness
antireflection
antireflection film
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JP8024637A
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Shunroku Toyama
俊六 遠山
Kiyoto Mochizuki
清人 望月
Tsutomu Aoyanagi
力 青柳
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Toyo Metallizing Co Ltd
Original Assignee
Toyo Metallizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】LCDやCRTの前面に装着して傷や汚れがな
く、良好な装着性と使用耐久性がある、反射防止性の高
いプラスティックフィルムを提供する。 【解決手段】ポリエチレンテレフタレ−トを主成分とす
る樹脂からなるフィルムの片面に反射防止膜が形成さ
れ、もう一方の面には、架橋成分で変成された2次転移
点が10〜50℃で厚みが0.1〜2μmの樹脂コ−ト
層が形成され、さらにその上に、適切な保護フィルムが
設けられた反射防止膜を有するプラスティックフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
(LCD)、テレビ・コンピュ−タ−のブラウン管(C
RT)その他の表示画面などの前面に装着され、優れた
反射防止性能を有する光学物品に関する。さらにはディ
スプレイ面との接着性が良好で、装着しやすくしかも装
着後剥離や目的である反射防止性能の耐久性の良好な反
射防止性を有するるプラスティックフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的には液晶ディスプレイ(LC
D)、テレビ・コンピュ−タ−のブラウン管(CRT)
の表示画面はガラスである場合が多く、従来はそのガラ
ス面に反射防止能を付与することで背後光源の反射によ
る障害を避けてきた。しかし数十cm四方の大きさで、
しかも曲面を持つCRTのようなガラス面に、以下に示
すような高真空中で、金属酸化物や誘電体からなる多層
膜を蒸着させて反射防止膜を作るというような生産方式
は設備的に大掛かりとなり、経済性の面では好ましくな
かった。かかる状況で、反射防止性能を有するプラステ
ィックフィルムを用意し、それを表示板ガラス面に装着
することが行われるようになった。しかし、プラスティ
ックフィルムとガラスなどディスプレイ面との接着性不
良の問題があり、装着面および装着工程での種々の傷の
発生などの点から問題があった。
【0003】特開平1-307701には、プラスティックフィ
ルム表面上の反射防止層形成用薄膜を接着剤層を介して
透明基盤と接着した後、プラスティックフィルムを剥離
することによって、反射防止を目的とする部品、装置表
面にに形成する方法と反射防止層形成用フィルムが提案
されている。しかしこれにおいても、接着の装着性や密
着の装着工程での種々の傷の発生などの点についての考
慮がなされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、上
記,製品の取扱いおよび使用段階での問題に対し、従来
技術の範囲では未解決の問題点を解決し、種々のディス
プレイに装着されて使用目的に対して必要な反射防止性
能を持ち、しかも接着の装着性や密着の装着工程での種
々の傷の発生などの軽減されたプラスティックフィルム
光学材料を提供することである。
【0005】すなわち、本発明が目的とする反射防止膜
を有するプラスティックフィルムは次の特徴と性能・品
質要件を持つ。 (1)通常のディスプレイ装置画面の表面部材であるガ
ラスあるいはポリエステル、ポリカ−ボネ−ト、ポリア
セテ−ト、ポリメタクリル樹脂などの高分子樹脂と、適
切な接着剤で接着したとき、良好な接着性が発現できる
ものであること。一般には、上記の種々の材料との接着
強度が、500g/25mm以上であることが望まし
い。 (2)好ましくは、反射防止性能のみならず上記の密着
性に関しても、温度(−10〜50℃)、湿度(10〜
90%RH)の環境変化を伴う長期使用状態における耐
候性が良好なものであること。 (3)反射防止層の成膜工程から、種々のディスプレイ
に装着される工程に至るまで取扱いが容易で、しかもそ
れらの全工程で種々の物品や面との直接の接触がなく、
光学部材として好ましくない傷が発生しにくいものであ
ること。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明の上記課題は、次の
本発明によって工業的に有利に達成された。
【0007】[1]厚みが50〜250μmのポリエチ
レンテレフタレ−トを主成分とする樹脂からなるフィル
ム基材の片面に反射防止膜が形成され、もう一方の面に
は、厚みが0.1〜2μmの易接着層が形成され、その
上に使用に際して剥離可能な保護フィルムが設けられた
反射防止膜を有するプラスティックフィルム。
【0008】[2]保護フィルムの剥離強度が、3〜9
0g/2.5cmであることを特徴とする請求項[1]
記載の反射防止膜を有するプラスティックフィルム。
【0009】[3]保護フィルムの剥離強度が、最高9
0℃/最長60分の熱処理を受けて、保護フィルムの剥
離強度が、該熱処理の影響を受ける前の±50%以内の
変化であることを特徴とする[1]もしくは[2]に記
載の反射防止膜を有するプラスティックフィルム。
【0010】[4]保護フィルムが、高密度線状ポリエ
チレンと低密度線状または分岐状ポリエチレンを厚み比
率6:1から1:1の範囲で共押し出し製膜した、総厚
みが20〜100μmであり、低密度線状または分岐状
ポリエチレン成分側を粘着・剥離層側として設けられて
いるフィルムであることを特徴とする[1]〜[3]の
いずれかに記載の反射防止膜を有するプラスティックフ
ィルム。
【0011】[5]反射防止膜が、ベ−スフィルムの屈
折率より高い屈折率の透明な金属酸化物からなる層と、
ベ−スフィルムの屈折率より低い屈折率の透明な金属酸
化物の層の組み合わせからなる多層膜であることを特徴
とする[1]〜[4]のいずれかに記載の反射防止膜を
有するプラスティックフィルム。
【0012】[6]反射防止膜の第1層とフィルム基材
の間に、厚み1μm〜7μmの、耐擦過性を有し、その
鉛筆硬度が2H以上であるハ−ドコ−ト層が設けられて
いることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載
の反射防止膜を有するプラスティックフィルム。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、上記[1]〜[6]の各
項の内容について詳しく説明する。
【0014】本発明においてプラスティック製フィルム
基材としては、可視光線を透過できる透明性があり、そ
の表面に、以下に示すようなハ−ドコ−ト層と反射防止
膜を構成する2〜6層程度の金属酸化物を蒸着などの手
段で乗せ、またディスプレイ前面に接着する工程に耐え
る熱的、機械的、形態的安定性のあるものでる必要があ
る。本発明においては、これらの物性と経済性のバラン
スの面から、ポリエチレンテレフタレ−トを主体とする
樹脂を使用する。このブラスチック製フィルム基材の厚
みは50〜250μmである必要がある。50μm未満
では、機械的、形態的安定性に難点があり、また250
μmを超えるとディスプレイなどに対する装着性が悪く
なり、それぞれ好ましくない。場合によっては、ディス
プレイの使用目的やデザイン設計の点から、これらのフ
ィルムは原着や染色によって着色されたものも可視光線
透過率の許容できる範囲で好ましく使われる。
【0015】また本発明の製品をディスプレイなどに装
着する場合、一般的には片面に反射防止膜を形成し、他
の面とディスプレイを密着させて使用するために、その
結合面の接着性をよくするために化学的処理を施すもの
である。さらには物理的表面処理(コ−ティング、コロ
ナ放電処理など)を施すことも好ましい。本発明の、反
射防止膜を有するプラスティックフィルムは、LCDや
CRTの前面に装着して使用することが本発明の主旨で
あることから、当然ながらプラスティックフィルムの反
射防止膜の形成されていない裏面とLCDやCRTの表
面部材との接着が重要な問題となる。種々検討の結果、
LCDやCRTの表面部材である硝子、ポリエステル、
ポリカ−ボネ−ト、ポリアセテ−ト、ポリメタクリル樹
脂などの種々の高分子樹脂面と良好な接着性を得るため
に、特定の化学組成と物性を供えた、適切な厚みの易接
着層をプラスティックフィルムの反射防止膜の形成され
ていない裏面に設けて、透明な接着剤を用いて、この面
と上記LCDやCRTの表面部材と接着することが、密
着性能、その耐久性、そして広い範囲での適応性の点か
ら最も好ましいことを見出だした。
【0016】ポリエチレンテレフタレ−トを主体とする
樹脂からなるベ−スフィルムに対応して、易接着層とし
ては、ポリエステル樹脂が望ましい。しかしポリエチレ
ンテレフタレ−ト骨格が主体の高分子では、剛直すぎて
充分な接着性を発現できない。脂肪族を主体とするポリ
エステル樹脂がポリエチレンテレフタレ−トベ−スとも
またLCDやCRTの表面部材とも良好な接着性を発現
できる。適度な剛直柔軟性と接着性を発現するために、
エステル基やその生成反応前段階のヒドロキシル基と反
応しうるメラミン、グアナミン、グアニジン、ポリ尿素
系統の架橋成分を加えて、2次転移点が10〜50℃に
なるように変成したポリエステル樹脂が最も好ましい。
この易接着層の厚みは、0.1〜2μmの範囲である必
要がある。0.1μm以下では充分な接着性が得られ
ず、またある程度厚すぎても接着性の効果は飽和して意
味がない。
【0017】この易接着層は、ポリエチレンテレフタレ
−トフィルムを製造した後、本樹脂の溶液を塗布、乾燥
して成膜してもよいし、またポリエチレンテレフタレ−
トフィルムを製造するときに同時に、インラインで成膜
してもよい。後者のほうが好ましい。また、後述するご
とく、反射防止膜層とベ−スであるポリエチレンテレフ
タレ−トフィルムの層間にハ−ドコ−ト層を設ける場合
には、ハ−ドコ−ト層とポリエチレンテレフタレ−トフ
ィルムの層間に、厚みが2μm以下のアンカ−コ−ト被
膜を設けることが好ましいが、このアンカ−コ−ト被膜
も上記の2次転移点が10〜50℃になるように変成し
たポリエステル樹脂であることが望ましい。ポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルムの製造時に表裏同時にインラ
イン成膜してもよい。
【0018】本発明のもう一つの重要な要件は、裏面と
LCDやCRTなどディスプレイ前面との接着面として
使われる易接着層の上に適切な保護フィルムを設けるこ
とである。保護フィルムを設ける必要の第一の理由は、
LCDやCRTなどディスプレイ前面に接着剤を使って
貼る工程での取扱い時に、装着直前に保護フィルムをは
がして、その工程での接触などによる傷や汚れの発生を
防止することにある。第二の理由は、本発明の反射防止
膜を有するプラスティックフィルムを製造する工程の中
で最大限初期の工程で保護フィルムを裏面に貼ることに
よって、製造工程全体を通して接触などによる傷や汚れ
の発生を防止することにある。これによって、諸工程で
の傷、汚れ防止のための諸種の手当てや生産性を犠牲に
せざるを得ないような処置を大幅に低減できるようにな
り、結果として大きな生産性の向上に寄与するものであ
る。
【0019】この目的を達成するために、種々の検討の
結果、保護フィルムとして、剥離強度が、3〜30g/
2.5cmであることが好ましいことが判明した。3g
/2.5cm以下の剥離強度の場合は製造工程あるいは
取扱いの段階で、簡単な衝撃や接触で剥離しやすいので
好ましくない。また90g/2.5cm以上の剥離強度
では、装着工程での剥離作業に支障が起こるので好まし
くない。
【0020】また、この保護フィルムは、製造工程でそ
の粘着性すなわち剥離強度が熱の影響を受けて大きくは
変化しないことが好ましい。具体的には、最高90℃/
最長60分の熱処理を受けて、保護フィルムの剥離強度
が、該熱処理の影響を受ける前の±50%以内の変化で
あることが好ましい。一般には、粘着性保護フィルムに
は多少の粘着剤を添加するものであり、粘着剤成分の種
類と量によって、熱処理によって、すなわち保護するべ
き面に保護フィルムとして貼りつけた後、種々の工程で
熱の影響を受けて剥離強度が変化する。粘着剤成分が変
質して、剥離することが困難になったり、剥離後に一部
分を表層に残したりして弊害を起こす。また逆に、工程
中に粘着性が低下して工程途中で剥離が生じて障害とな
る。本発明の反射防止膜の成膜においては、50〜90
℃程度の環境に置かれることになる。 以上の要件を満
たすために、保護フィルムとして具体的には、高密度線
状ポリエチレンと低密度線状または分岐状ポリエチレン
を厚み比率6:1から1:1の範囲で共押し出し製膜し
た、総厚みが20〜100μmであり、低密度線状また
は分岐状ポリエチレン成分側を粘着・剥離層側として構
成されているものが最も好ましいことを見出だした。
【0021】ハ−ドコ−ト層は、本発明の製品の表面
を、ディスプレイが使用される状態で、本来的には目的
とはしない物品との接触(鉛筆、シャ−ペンシル先端、
爪など)や、また表面を拭いて清浄化するときの摩擦に
よる傷の発生を抑えるためのものである。表面硬度の表
現方法は種々あるが、鉛筆硬度が便利に使われ、少なく
とも2H以上の硬度が必要である。本来、以下に説明す
る本発明の、各種酸化物で構成される反射防止膜自体は
充分硬いものであるが、以下に示すようにその厚みは多
層全体でも0.5μm以下であり、これの下に一般の硬
度の低い20μm以上の厚みのあるプラスティック基材
が存在する場合、上記の種々の傷発生原因に対してはほ
とんど効果がない。傷防止の効果を発揮するためにかな
りの厚みを必要とするハ−ドコ−ト層を反射防止膜の外
側に設けることは、反射防止の原理から不可能である。
したがって、ハ−ドコ−ト層フィルム基材と反射防止膜
の間に設けることになる。この厚みは、傷の付きにくい
表面硬度を発揮するために最小限の厚みとして一般には
2μm以上必要であり、厚すぎるとフルム全体としての
柔軟性をなくしたり、また光学特性の点からも障害原因
となりやすいので7μm以下が望ましい。
【0022】ハ−ドコ−ト層の化学的組成としては、ポ
リオルガノシロキサン、シリカ、アルミナなどの無機酸
化物系あるいは有機アクリル系いずれでもよい。またこ
れらのハ−ドコ−ト層の成膜方法としては、真空蒸着方
式も溶液の塗布/乾燥によるいわゆるウヱット・コ−テ
ィング方式など、通常行われているいずれの方式も可能
である。しかし、上記のように一般には2μm以上の厚
みが必要であるので、ウヱット・コ−ティング方式によ
る方が好ましい。その場合は、有機アクリル系が選択し
やすく、メタクリル酸などのアクリル化合物と多官能グ
リコ−ルとのエステル化合物を架橋させて成膜する方法
が好ましく使用される。
【0023】ハ−ドコ−ト層と基材フィルムとの接着性
を高めるために、2μm以下程度の薄いアンカ−コ−ト
層を設けることも好ましく行われる。その場合には、ア
クリル系あるいはポリエステル系樹脂を用いて、基材フ
ィルムの製造時でのインライン方式またはオフライン方
式によるのが望ましい。
【0024】次に多層の反射防止膜の成膜について説明
する。一般的な多層反射防止膜の原理とその成膜方法に
ついてはすでに公知であり、種々の目的に応じて多種多
様の方法と実施例が紹介されている。その余りに多くの
公知技術の例を列挙することは意味が無いが、基本的に
は、基材フィルムの、また本発明の場合ば、アンカ−コ
−ト層やハ−ドコ−ト層を含めた基材フィルムの屈折率
より、小さい屈折率をもつ透明な化合物、好ましくは金
属酸化物と、基材フィルムの屈折率より大きい屈折率を
もつ透明な化合物、好ましくは金属酸化物の層を、全体
の反射率を極小に近い値にするように設計された光学的
膜厚み (屈折率nと絶対厚みdの積)で構成すること
からなる。そのときに、使用される目的、許容される生
産のための費用、生産のために採用できる成膜の方法に
よって、具体的な多層の構成内容が異なってくる。
【0025】本発明のさらに好ましい態様として、さら
に、反射防止膜の上に、厚みが1nm〜20nmの範囲
の、水の接触角が90deg以上である撥水性の透明層
が設けられている請求項1項の反射防止膜を有するプラ
スティックフィルムが挙げられる。この目的は、本発明
による製品が、ディスプレイ表面に装着されて使用され
る場合に、本来の使用目的ではない、いろいろな使用環
境に置かれて、表面が汚れ難くするためである。よごれ
の原因物質としては、口紅、コ−ヒ−、マジックイン
キ、マヨネ−ズ、……などを想定して撥水性、撥油性の
被膜を設けることによって目的は達成される。この撥水
性、撥油性の被膜の具体的な製膜方法としては、種々の
方法が有り得るが、例えば、特開平6−122776に
示されるようなフルオロアルキルシランなどの表面エネ
ルギ−の小さい化合物を、反射防止膜層の最外層表面で
化学結合によって高分子化被膜する方法が挙げられる。
汚れ防止性能の尺度として、水の接触角を用いるのが便
利であり、水の接触角が90deg以上であるときに、
上記のような汚れ原因に対して効果があり、顕著な汚れ
防止効果が発揮できる。より具体的な被膜方法と効果に
ついては、実施例の項で示す。
【0026】こうして得られた本発明による反射防止膜
を有するプラスティックフィルムは、目的とする反射防
止性能を供えていることはもちろんであるが、LCDや
CRTの前面に装着して良好な装着性と、傷や汚れの少
ない高品位のディスプレイを提供する。さらには表面に
傷がつきにくい適度な表面硬度、さらには撥水性の被膜
を設けた場合には高い汚れ防止性を供えているだけでは
なく、膜物性として実用に耐える密着性、耐候性、耐摩
耗性、耐クラック性なども兼ね備えている。
【0027】
【実施例】以下に本発明の態様を実施例をもって説明す
るが、これによって限定されるものではない。
【0028】[実施例1]ベ−スフィルムには、製膜時
にインラインで、固形重量で15%のトリメチロ−ルメ
ラミンを添加した脂肪族骨格を主体とした2次転移点が
約23℃のポリエステル樹脂を両面に、0.4μmの厚
みに成膜した188μmポリエチレンテレフタレ−ト
(以下PETと略称)フィルムを用いた。ハ−ドコ−ト
層は、PETフィルムの片面に多官能アクリレ−ト(エ
リスリト−ル系、ポリエステル系、ヒドロキシプロピル
系の混合物)、表面平滑活剤(ポリシロキサン)、光開
始剤(フェニルケトン化合物)のトルエン、メチルエチ
ルケトン混合溶媒の溶液を塗布し、乾燥後、UV照射に
より架橋反応を完結させることにより、鉛筆硬度3H
の、厚み3.5μmの層を形成させた。
【0029】反射防止膜を形成していない方の面に、高
密度線状ポリエチレンと低密度分岐状ポリエチレンを厚
み比率3:1の比率で共押し出し製膜した厚みが50μ
mの保護フィルムを、低密度分岐状ポリエチレン成分側
を密着層としてラミネ−トした。
【0030】反射防止膜の形成は、ハ−ドコ−ト層の上
に、ITO、SiO2 、ITO、SiO2 の順に4層す
べてを、EB(電子銃)加熱を蒸発エネルギ−源とする
真空蒸着装置を用いて、部分的にRFイオンプレ−ティ
ング方式併用で、各層の膜厚みを光学膜厚(n×d)を
オンラインで計測制御しながら製膜した。
【0031】撥水層の製膜は、(ヘプタデカフロロ−
1,1,2,2−テトラヒドロデシル)−1−トリメト
キシシランを蒸発気化して、真空装置内に放電電極に1
00Wの高周波プラズマを発生させた環境に導入し、反
射防止膜を成膜した上記フィルム表面上に約20オング
ストロ−ムの厚みに反応成膜させることによって行っ
た。得られた物の接触角は108度であった。
【0032】
【0013】[実施例2]実施例1で得た、裏面に保護
フィルムが設けられた反射防止膜を有するプラスティッ
クフィルムのを保護フィルムを剥離し、剥離した面を接
着面として、紫外線硬化型アクリル系接着剤を用いてC
RTガラス面と接着して、パソコン画面を映像し、ディ
スプレイ画面を処理する作業を行った。この反射防止膜
を有するプラスティックフィルムを無理に剥離しようと
しても容易には剥離できず、密着強度は1800g/2
5mmで充分に高かった。
【0033】[比較例]裏面に保護フィルムを設けない
こと以外は実施例1と同様に反射防止膜をつくり、実施
例1と同様に、紫外線硬化型アクリル系接着剤を用いて
CRTガラス面と接着した。パソコン画面を映像し、デ
ィスプレイ画面を処理する作業を行ったところ、表面の
反射像の写りこみはほとんど無く画面を見易かったもの
の、全面に大小のすり傷が目立ち、見苦しく好ましくな
かった。
【0034】[実施例3]実施例1で得た反射防止膜が
片面に形成されたポリエステルフィルムの、反射防止膜
の上に、(ヘプタデカフロロ−1,1,2,2−テトラ
ヒドロデシル)−1−トリメトキシシランを蒸気とし
て、真空装置内に放電電極に100Wの高周波プラズマ
を発生させた環境に導入し、厚みが約40オングストロ
ームの撥水防汚層を形成した。このフィルムを、反射防
止膜/撥水防汚層の形成されている面が外側になるよう
に、屈折率がCRTのガラストほぼ同一の多官能アクリ
ル系接着剤を用いて、15インチCRTに装着した。こ
のCRTを使用したパソコン画面は、作業者背後の写り
込み(反射像)が極めて少なく、またディスプレイ前面
の電磁波はほとんど検知されず、作業者は安心して長時
間作業を疲労間なく継続できた。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による保護
フィルムが設けられた反射防止膜を有するプラスティッ
クフィルムは、特許請求の範囲を構成を持つことによ
り、つぎのような優れた効果を発揮することができる。
すなわち、各種ディスプレイに装着したときに、製品と
して目に見える傷や汚れがほとんど無く、背後から入射
する光の反射を極めて少なくすることによって、ディス
プレイ使用者の目の疲労を防止し、しかも表面に傷がつ
きにくく、しかも手の汗や生活用品による表面汚れが付
きにくく、拭き取りやすい特徴を持つ。また本発明の物
品は、フィルム製品であるために、ガラスなど直接には
反射防止処理を安価に施しにくい各種ディスプレイに装
着使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/16 B32B 27/16 C08J 7/04 CFD C08J 7/04 CFDF 7/06 CFD 7/06 CFDZ G02B 1/11 G02F 1/1335 530 G02F 1/1335 530 G02B 1/10 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚みが50〜250μmのポリエチレンテ
    レフタレ−トを主成分とする樹脂からなるフィルム基材
    の片面に反射防止膜が形成され、もう一方の面には、厚
    みが0.1〜2μmの易接着層が形成され、その上に使
    用に際して剥離可能な保護フィルムが設けられた反射防
    止膜を有するプラスティックフィルム。
  2. 【請求項2】保護フィルムの剥離強度が、3〜90g/
    2.5cmであることを特徴とする請求項1記載の反射
    防止膜を有するプラスティックフィルム。
  3. 【請求項3】保護フィルムの剥離強度が、最高90℃/
    最長60分の熱処理を受けて、保護フィルムの剥離強度
    が、該熱処理の影響を受ける前の±50%以内の変化で
    あることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の反射
    防止膜を有するプラスティックフィルム。
  4. 【請求項4】保護フィルムが、高密度線状ポリエチレン
    と低密度線状または分岐状ポリエチレンを厚み比率6:
    1から1:1の範囲で共押し出し製膜した、総厚みが2
    0〜100μmであり、低密度線状または分岐状ポリエ
    チレン成分側を粘着・剥離層側として設けられているフ
    ィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の反射防止膜を有するプラスティックフィルム。
  5. 【請求項5】反射防止膜が、ベ−スフィルムの屈折率よ
    り高い屈折率の透明な金属酸化物からなる層と、ベ−ス
    フィルムの屈折率より低い屈折率の透明な金属酸化物の
    層の組み合わせからなる多層膜であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜を有するプ
    ラスティックフィルム。
  6. 【請求項6】反射防止膜の第1層とフィルム基材の間
    に、厚み1μm〜7μmの、耐擦過性を有し、その鉛筆
    硬度が2H以上であるハ−ドコ−ト層が設けられている
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射
    防止膜を有するプラスティックフィルム。
JP8024637A 1996-01-18 1996-01-18 反射防止膜を有するプラスティックフィルム Pending JPH09193328A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007233392A (ja) * 2005-07-25 2007-09-13 Hitachi Maxell Ltd 光学フィルム及びそれを用いた画像表示装置用パネル

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