JPWO2009150992A1 - 耐候性樹脂基材及び光学部材 - Google Patents

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Abstract

本発明は、熱、光及び水分による影響を受けても十分な耐候性を有する耐候性樹脂基材及び光学部材を提供する。この耐候性樹脂基材は、光安定剤を含有する樹脂基材の少なくとも片面に、SiまたはAlを含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とするセラミック層を少なくとも1層有し、かつ、水蒸気透過率(JIS K7129−1992 B法、40℃90%RH条件下)が、0.01g/(m2・24h)以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、例えば鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられるマーキング用フィルムの表面保護、光沢向上、変退色・劣化防止等を目的としたオーバーレイフィルムや、外装看板の表面保護用フィルム、液晶ディスプレイ反射防止用シート、太陽電池用バックシート、電子ペーパー用フィルム、プラズマディスプレーの電磁波遮蔽性フィルム、有機エレクトロルミネッセンス用フィルム、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムの基材、反射板の基材、集光板の基材、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる耐候性樹脂基材及び光学部材に関するものである。
通常、高分子フィルムは酸素が存在すると、紫外線照射による光酸化反応によって分子鎖の切断が生じ、強度劣化、ヘイズ上昇、黄変等による透明性、色調の低下が生じる(紫外線劣化)。また、太陽光の紫外線は波長295〜400nmであり、この領域の光のエネルギーは、C、H、Oの結合エネルギーと同等のエネルギーを有する。そのため、主としてC、H、Oの結合からなるプラスチック成形品は、紫外線が照射されるとその結合が崩壊し、樹脂の劣化、変色、機械強度の低下を伴う恐れがあり、屋外にて長期間安定して使用することができない。このため、従来より高分子フィルムに光安定剤を配合し、得られる高分子フィルムの耐候性を向上させる手法が一般によく知られている。
光安定剤とは、高分子の紫外線による光酸化反応を抑止する目的で使用される安定剤であって、紫外線吸収剤、クエンチャー及びHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)がよく知られている。
紫外線吸収剤とは、紫外線等を吸収し、分子内で吸収したエネルギーを、熱、燐光、蛍光等に低エネルギー化して放出する光安定剤であり、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系等が実用化されている。
クエンチャーとは、基底状態にある発色団(主に不飽和炭化水素及びその化合物)が紫外線を吸収して励起状態になったものを、元の基底状態に戻す光安定剤であり、Ni化合物が用いられている。
HALSとは、紫外線の照射によって生じるアルキルラジカル、パーオキシラジカル等をトラップすることにより、光酸化反応を抑止する光安定剤であって、ヒンダードピペリジン骨格を有する化合物である。
しかしながら、高分子フィルムの中に紫外線吸収剤等の光安定剤を含有させても、表面は十分に紫外線の影響を排除できず、高分子樹脂の極表面での劣化を抑えることができない。また、十分な耐候性を得るためには、光安定剤を十分量含有させる必要があるが、熱、水分の環境に晒されると、ブリードアウト、昇華等が発生し、光安定剤が失われ、耐候性の低下、透明性の低下、ヘイズの上昇等を招く。また、光安定剤は高価なものであり、大幅なコストアップを招く。
別の耐候性を向上させる方法として、紫外線吸収性物質をコーティングする方法(例えば、特許文献1〜3参照)が有力な手段であるが、そのコーティング膜の極表面が雨水や大気の酸素や汚染物質に晒されるため、劣化し、黄色み等の着色や、透過率低下、ヘイズアップ等の弊害が大きな問題となっている。
また、耐候性を向上させる別の方法として、一般的には耐候性の優れたアクリル樹脂の塗膜を形成すれば、耐候性の向上には有効である。しかし、実際の屋外で長期使用すると、アクリル樹脂の劣化が見られ、耐候性は十分ではない。
また、光安定剤を混ぜ込んだ基材にARを設けたものが公開されている。この構成は、表面が無機であり、比較的耐候性が高い。しかし、バリア性が十分でなく、風雨に晒される、または露点による結露で水が表面に付着していると、徐々に酸化源が浸透し、基材まで到達して十分な酸化源を与えることとなり、結果として十分な耐候性が得られない。
特開2005−153441号公報 特開2005−15557号公報 特開2001−315262号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、熱、光及び水分による影響を受けても十分な耐候性を有する耐候性樹脂基材及び光学部材を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.光安定剤を含有する樹脂基材の少なくとも片面に、SiまたはAlを含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とするセラミック層を少なくとも1層有し、かつ、水蒸気透過率(JIS K7129−1992 B法、40℃、90%RH条件下)が、0.01g/(m・24h)以下であることを特徴とする耐候性樹脂基材。
2.前記樹脂基材の樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであることを特徴とする前記1に記載の耐候性樹脂基材。
3.前記光安定剤が、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、または、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする前記1または2に記載の耐候性樹脂基材。
4.前記セラミック層が、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を形成することにより該ガスを励起し、励起したガスに晒すことにより、薄膜を形成する薄膜形成方法により形成されたことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
5.前記放電ガスが窒素ガスであり、放電空間に形成される高周波電界は、第1の高周波電界及び第2の高周波電界を重畳したものであり、該第1の高周波電界の周波数ω1より該第2の高周波電界の周波数ω2が高く、該第1の高周波電界の強さV1、該第2の高周波電界の強さV2及び放電開始電界の強さIVとの関係が、V1≧IV>V2またはV1>IV≧V2の関係を満たし、該第2の高周波電界の出力密度が1W/cm以上であることを特徴とする前記4に記載の耐候性樹脂基材。
6.前記セラミック層の屈折率が、1.3以上1.8未満であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
7.前記セラミック層が、炭素含有量0.1at%未満である酸化ケイ素膜と炭素含有量が1〜40at%である酸化ケイ素膜を、少なくともそれぞれ1層以上ずつ含むことを特徴とする前記4〜6のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
8.前記樹脂基材の少なくとも片面にポリマー層を有し、該ポリマー層の上にセラミック層が設けられていることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
9.前記セラミック層の上にポリマー層が設けられていることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
10.前記ポリマー層が光安定剤を含有することを特徴とする前記8または9に記載の耐候性樹脂基材。
11.前記1〜10のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材を用いることを特徴とする光学部材。
本発明により、熱、光及び水分による影響を受けても十分な耐候性を有する耐候性樹脂基材及び光学部材を提供することができた。
耐候性樹脂基材の構成を示す断面構成図である。 ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。 対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。 ロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、光安定剤を含有する樹脂基材の少なくとも片面に、SiまたはAlを含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とするセラミック層を少なくとも1層有し、かつ、水蒸気透過率(JIS K7129−1992 B法、40℃、90%RH条件下)が、0.01g/(m・24h)以下である耐候性樹脂基材により、熱、光及び水分による影響を受けても十分な耐候性を有する耐候性樹脂基材及び光学部材が得られることを見出し、本発明に至った次第である。
本発明では、セラミック層が、劣化の原因である酸素、水分を遮断することで表面の劣化を防止し、樹脂基材中の光安定剤(UV吸収剤等)がUVによる光酸化を防止し、セラミック層を設けることにより光安定剤のブリードアウトを抑制することにより、屋外で長期に使用しても、黄変、機械強度劣化、ヘイズUP等の劣化がない耐候性樹脂基材が得られるものと思われる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の耐候性樹脂基材は、樹脂基材上に、少なくともSiまたはAlを含む酸化物、窒酸化物、窒化物を主成分とするセラミック層を少なくとも1層有し、かつ、水蒸気透過率(JIS K7129−1992 B法、40℃、90%RH条件下)が、0.01g/(m・24h)以下であることを特徴とする耐候性樹脂基材である。
《樹脂基材》
本発明において樹脂基材とは、樹脂フィルム単体、または樹脂フィルムの片面または両面にポリマー層等の有機層を積層した樹脂フィルムをいう。本発明の耐候性樹脂基材は、この樹脂基材の少なくとも片面に後述するセラミック層を設けたものである。
本発明に用いられる樹脂フィルムは、上記有機層やセラミック層を保持することができる樹脂フィルムであれば特に限定されるものではない。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、具体的には、エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂等を用いることができる。
また、上記樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物よりなる樹脂組成物や、上記アクリルレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解した樹脂組成物等の光硬化性樹脂及びこれらの混合物等を用いることも可能である。さらに、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層したものを樹脂フィルムとして用いることも可能である。
これらの素材は単独で、あるいは適宜混合して使用することもできる。中でもゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカタックKC4UX、KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)等の市販品を好ましく使用することができる。
また、樹脂フィルムは透明、高耐光性、高耐候性であることが好ましい。
また、上記に挙げた樹脂フィルムは、未延伸フィルムでも、延伸フィルムでもよい。
本発明に係る樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することができるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
基材フィルムを構成する樹脂のうち、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表される芳香族ポリエステル、ナイロン6やナイロン66に代表される脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィン、ポリカーボネート等が好ましい。これらの中、芳香族ポリエステル、さらにはポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが好ましい。
前記芳香族ポリエステルには、必要により、適当なフィラーを含有させることができる。このフィラーとしては、従来からポリエステルフィルムの滑り性付与剤として知られているものが挙げられるが、その例を挙げると、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコン樹脂粒子等が挙げられる。滑り性付与剤の平均粒径は、0.01〜10μm、含有量はフィルムが透明性を保持する量範囲であって、0.0001〜5質量%であることが好ましい。さらに芳香族ポリエステルには、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒残渣微粒子等も適宜含有させることができる。
また、本発明に係る樹脂フィルムにおいては、ポリマー層、セラミック層等を形成する前に、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の表面処理を行ってもよい。
樹脂フィルムは、ロール状に巻き上げられた長尺品が便利である。樹脂フィルムの厚さは、耐候性樹脂基材としての適性から、10〜400μm、中でも30〜200μmの範囲内とすることが好ましい。
《光安定剤》
本発明に係る樹脂基材は光安定剤を含有する。また、後述するポリマー層は光安定剤を含有することが好ましい。さらに好ましくは、樹脂フィルムにもポリマー層にも光安定剤を含有することが好ましい。
本発明に用いられる光安定剤としては、例えば紫外線吸収剤、ラジカル補足剤、酸化防止剤等が挙げられ、このような光安定剤としては、ヒンダードアミン系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系、ベンゾエート系、蓚酸アニリド系等の有機系の光安定剤、あるいはゾルゲル等の無機系の光安定剤を用いることができる。好適に用いられる光安定剤の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。
ヒンダードアミン系:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル/1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物
サリチル酸系:p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート
ベンゾフェノン系:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2′−4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン
ベンゾトリアゾール系:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ・t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェノール)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ・t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2(2′ヒドロキシ−5′−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−アクリロイルエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール
シアノアクリレート系:エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート
上記以外:ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ・t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチルジチオカーバメート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′,5′−ジ・t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3′,5′−ジ・t−ブチル−4′−ハイドロキシベンゾエート、2−エトキシ−2′−エチルオキザックアシッドビスアニリド、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール。
本発明においては、紫外線吸収剤またはヒンダードアミン系光安定剤を用いることが好ましく、さらには、これらを併用して用いることがより好ましい。
好ましい光安定剤の含有量は、ポリマー層に含有する場合、バインダーに対して0.1〜30質量%である。さらに好ましくは5〜20質量%である。含有量が0.1質量%未満では十分な耐候(光)性を得ることができず、30質量%を超えるとポリマー層の透明性が損なわれ、好ましくない。
また、樹脂フィルムに含有する場合、好ましい光安定剤の含有量は、樹脂基材に対して0.1〜5質量%である。さらに好ましくは0.2〜3質量%である。含有量が0.1質量%未満では紫外線劣化防止効果が小さく、5質量%を超えると樹脂フィルムの製膜特性が低下し、好ましくない。
本発明においては、樹脂基材やポリマー層等の塗布層の形成をより容易にするために、塗布層中の光安定剤に対し、適宜他の樹脂成分を混合することが好ましい。すなわち、樹脂成分及び光安定剤をそれぞれ溶解し得る有機溶媒、水、2種以上の有機溶媒の混合液、あるいは有機溶媒/水混合液に樹脂成分と光安定剤を溶解もしくは分散して塗液状態にして用いることが好ましい。樹脂成分と光安定剤を予め別々に有機溶媒、水、有機溶媒混合液、あるいは有機溶媒/水混合液に溶解または分散したものを任意に混合して使用してもよい。また、予め光安定剤成分と樹脂成分との共重合体を、そのまま塗布材料として用いることも好ましい。該共重合体を有機溶媒、水、2種以上の有機溶媒の混合液、あるいは有機溶媒/水混合液に溶解したものを用いてもよい。混合または共重合する樹脂成分は特に限定されないが、その一例を挙げれば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、フッ素系樹脂等である。これらの樹脂は単独で用いても、あるいは2種以上の共重合体もしくは混合物としたものを用いてもよい。
上記の樹脂製分のうち、アクリル樹脂もしくはメタクリル樹脂を選択して用いることが好ましく、さらにアクリル樹脂もしくはメタクリル樹脂に光安定剤成分を共重合したものを塗布層に使用することが、より好ましい。共重合する場合には、光安定剤モノマー成分に対して、アクリルモノマー成分あるいはメタクリルモノマー成分を共重合することが好ましい。
光安定剤モノマー成分としては、例えばベンゾトリアゾール系反応性モノマー、ヒンダードアミン系反応性モノマー、ベンゾフェノン系反応性モノマー等が好ましく使用できる。ベンゾトリアゾール系モノマーとしては、基体骨格にベンゾトリアゾールを有し、かつ不飽和結合を有するモノマーであればよく、特に限定されないが、例えば2−(2′−ヒドロキシ−5−アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−アクリロイルエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。同様に、ヒンダードアミン系反応性モノマー、ベンゾフェノン系反応性モノマーとしては、基体骨格に各々ヒンダードアミン、ベンゾフェノンを有し、かつ不飽和結合を有するモノマーであればよい。ヒンダードアミン系反応性モノマーとしては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−5−アクリロイルオキシエチルフェニル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−5−アクリロイルオキシエチルフェニルピペリジン重縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−5−メタクリロキシエチルフェニル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−5−メタクリロキシエチルフェニルピペリジン重縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−5−アクリロイルエチルフェニル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−5−アクリロイルエチルフェニルピペリジン重縮合物等を挙げることができる。また、ベンゾフェノン系反応性モノマーとしては、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−アクリロイルオキシエチルフェニルベンゾフェノン、2,2′−4,4′−テトラヒドロキシ−5−アクリロイルオキシエチルフェニルベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−5−アクリロイルオキシエチルフェニルベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−5−アクリロイルオキシエチルフェニルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−メタクリロキシエチルフェニルベンゾフェノン、2,2′−4,4′−テトラヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニルベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−5−アクリロイルエチルフェニルベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−5−アクリロイルエチルフェニルベンゾフェノン等を挙げることができる。
これらの光安定剤モノマー成分と共重合されるアクリルモノマー成分あるいはメタクリルモノマー成分、またはそのオリゴマー成分としては、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基等)、及び架橋性官能基を有するモノマー、例えばカルボキシル基、メチロール基、酸無水物基、スルホン酸基、アミド基、メチロール化されたアミド基、アミノ基、アルキロール化されたアミノ基、水酸基、エポキシ基等を有するモノマーを例示することができる。さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ブチルビニルエーテル、マレイン酸、イタコン酸及びそのジアルキルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル基を有するアルコキシシラン、不飽和ポリエステル等との共重合体としてもよい。
これらの光安定剤モノマー成分と共重合するモノマー類との共重合比率は特に限定するものではなく、それぞれの1種または2種以上を任意の割合で共重合することができるが、好ましくは光安定剤モノマー成分の比率が10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらには35質量%以上であることが最も好ましく、また塗布性や耐熱性の点から70質量%以下であることが好ましい。光安定剤モノマー成分の単独重合体であってもよい。これらの重合体の分子量は特に限定されないが、通常5,000以上、好ましくは10,000以上、さらには20,000以上であることが塗布層の強靱性の点で最も好ましい。これらの重合体は有機溶媒、水あるいは有機溶媒/水混合液に溶解もしくは分散した状態で使用される。これら以外にも市販のハイブリッド系光安定ポリマー、例えば、“ユーダブル”(日本触媒(株)製)等も使用することができる。
樹脂フィルムとしてポリエステルフィルムを用いる場合には、ポリエステルフィルム中に光安定剤として紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。紫外線吸収剤としては、紫外線吸収剤、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、及びトリアジン系化合物、ベンゾオキサジノン系化合物、環状イミノエステル系化合物等を挙げることができるが、380nmでの紫外線カット性、色調及びポリエステル中への分散性の点からトリアジン系化合物、ベンゾオキサジノン系化合物が特に好ましい。
また、これらの化合物は1種単独であるいは2種以上一緒に併用することができる。またHALSや酸化防止剤等の安定剤を併用することもでき、また酸化防止剤を併用することが好ましい。
ここでベンゾトリアゾール系の化合物としては、例えば2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−アミルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−ブチルフェノール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等が挙げられる。
ベンゾオキサジノン系化合物としては、例えば2−p−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(p−ベンゾイルフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2′−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−(2,6−ナフチレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。
《セラミック層》
本発明の耐候性樹脂基材は、樹脂基材の少なくとも片面に、SiまたはAlを含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とするセラミック層を少なくとも1層有することを特徴とする。
これらのセラミック層は、水分、またガス透過率が低く、また低屈折率であり、ガスバリア層を構成するとともに、最上層に設けられた場合には、耐久性向上とともにハンドリング性が向上し、傷つき防止や多少の傷が付いても色味の変化が起こりづらい耐候性樹脂基材が得られる。
セラミック層の形成方法としては気相成長法が好ましく、さらに真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、触媒化学気相成長(Cat−CVD)法、またはプラズマCVD法が好ましい。特に、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を形成することにより該ガスを励起し、樹脂基材を励起したガスに晒すことにより、該樹脂基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法により形成される、所謂大気圧プラズマCVD法により形成される膜は、低残留応力であり好ましい。
大気圧プラズマ法及び大気圧プラズマ法による、少なくともSiまたはAlを含む酸化物、窒酸化物、窒化物を主成分とする低屈折率のセラミック層の形成については後述する。
本発明においては、セラミック層の屈折率が1.3以上1.8未満であることが好ましい。屈折率を1.8未満にすることで、可視光透過率及び赤外線反射率にほとんど影響を及ぼさずに、耐久性やハンドリング性を向上させるために、低屈折率層の層設計を比較的自由に行うことができる。また、屈折率が1.3未満になると膜が緻密でなくなり、耐久性の向上が望めない。
本発明において、前記セラミック層は、好ましくは、酸化珪素膜からなり、炭素含有量が異なる酸化ケイ素膜を少なくともそれぞれ1層以上ずつ含むものが好ましい。
これらの酸化珪素膜は略同一組成物といっても、気相成長法を用いて薄膜を形成する場合、例えば、大気圧プラズマCVD法の場合において、製造条件、また用いる薄膜形成ガス(原料ガス、添加ガス等の種類、比率等)によって、酸化珪素粒子の充填の程度、また混入する微量の不純物粒子等に差が生じることで、物性、例えば密度等が異なってくる。
セラミック層の屈折率は1.3以上、1.8未満が好ましいが、具体的には、例えば酸化珪素膜の屈折率は、X線反射率法により求めた値を用いる。
〈X線反射率法〉
X線反射率法の概要は、X線回折ハンドブック 151ページ(理学電機株式会社編 2000年 国際文献印刷社)や化学工業1999年1月No.22を参照して行うことができる。
本発明に有用な測定方法の具体例を以下に示す。
これは、表面が平坦な物質に非常に浅い角度でX線を入射させ測定を行う方法で、測定装置としては、マックサイエンス社製MXP21を用いて行う。X線源のターゲットには銅を用い、42kV、500mAで作動させる。インシデントモノクロメータには多層膜パラボラミラーを用いる。入射スリットは0.05mm×5mm、受光スリットは0.03mm×20mmを用いる。2θ/θスキャン方式で0から5°をステップ幅0.005°、1ステップ10秒のFT法にて測定を行う。得られた反射率曲線に対し、マックサイエンス社製Reflectivity Analysis Program Ver.1を用いてカーブフィッティングを行い、実測値とフィッティングカーブの残差平方和が最小になるように各パラメータを求める。各パラメータから積層膜の屈折率、厚さ及び密度を求めることができる。
酸化珪素膜の密度は、微量成分である炭素含有量と密接に相関があり、例えば、炭素原子濃度が低い(0.1at%未満)膜は密度が高くガスバリア性が高い膜であるが、炭素原子濃度がこれよりも高い(1〜40at%)膜は、膜密度もより低くより柔らかい組成物である。
本発明においてセラミック層の炭素含有量(at%)は、原子数濃度%(atomic concentration)を表す。
炭素含有量を示す原子数濃度%(at%)は公知の分析手段を用いて求めることができるが、本発明においては下記のXPS法によって算出されるもので、以下に定義される。
原子数濃度%(atomic concentration)=炭素原子の個数/全原子の個数×100
XPS表面分析装置は、本発明では、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。具体的には、X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5eV〜1.7eVとなるように設定した。
測定としては、先ず、結合エネルギー0eV〜1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこない、各元素のスペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピュータの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理を行い、各分析ターゲットの元素(炭素、酸素、ケイ素、チタン等)の含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めた。
定量処理を行う前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションを行い、5ポイントのスムージング処理をおこなった。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。また、Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
本発明に係る前記セラミック層の、例えば、第1、第2、あるいは第3の酸化珪素膜を製造する方法において、気相成長法のうち、特に大気圧プラズマCVD法による製造方法で用いられる原料化合物について説明する。
酸化珪素膜は、大気圧プラズマCVD法において、原料(原材料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力等の条件を選ぶことで、SiまたはAlを含む酸化物、窒化酸化物、窒化物を主成分とするセラミック層の組成を作り分けることができる。
例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。また、シラザン等を原料化合物として用いれば、酸化窒化珪素が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような酸化珪素膜の形成原料としては、珪素化合物であれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。また、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサン等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。なお、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響はほとんど無視することができる。
このような珪素化合物としては、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
また、これら珪素またアルミニウムを含む原料ガスを分解して酸化珪素、または酸化アルミニウム膜を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガス等が挙げられる。
例えば、珪素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、酸化珪素、また、窒化物、炭化物等を含有する酸化珪素膜を得ることができる。
プラズマCVD法においては、これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。このような放電ガスとしては、窒素ガス及び/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、薄膜形成(混合)ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
セラミック層を構成する積層された酸化珪素膜においては、例えば、上記有機珪素化合物に、さらに酸素ガスや窒素ガスを所定割合で組み合わせて、O原子とN原子の少なくともいずれかと、Si原子とを含む本発明に係る酸化珪素を主体とした酸化珪素膜を得ることができる。
セラミック層は、前記第1、第2等の酸化珪素膜からなる一組のユニットを、一組以上樹脂基材上に形成したものが好ましく、二組、またこれ以上のユニットが形成されていてもよい。例としては、樹脂基材上に、第1の酸化珪素膜、第2の酸化珪素膜といった一組のユニットのみを有する形態があり、また、例えば、樹脂基材上に、第1の、第2の酸化珪素膜、からなる前記ユニットを二、あるいは三つ有する構成でもよい。
セラミック層における各酸化珪素層の膜厚は、1〜500nmの範囲とすればよい。セラミック層全体としては10nm〜5μmの範囲が好ましい。
つぎに大気圧プラズマCVD法について詳細に、説明する。
本発明に係るセラミック層、例えば酸化珪素膜、またこれらの積層体の形成には、物理、あるいは化学気相成長法が用いられる。中でも、これらのうち最も好ましい方法である、大気圧プラズマCVD法について、以下説明する。
大気圧プラズマCVD法は、例えば、特開平10−154598号公報や特開2003−49272号公報、WO02/048428号パンフレット等に記載されているが、特に、特開2004−68143号公報に記載されている薄膜形成方法が、緻密でガスバリア性が高い酸化珪素膜を形成するには好ましい。また、ロール状の元巻きからウエブ状の樹脂基材を繰り出して、組成の異なる酸化珪素膜を連続的に形成することができる。
本発明に係るセラミック層の形成に用いられる上記の大気圧プラズマCVD法は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるプラズマCVD法であり、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93〜104kPaが好ましい。
セラミック層を構成する例えば酸化珪素膜の形成において、放電条件は、放電空間に異なる周波数の電界を2つ以上形成するものが好ましく、第1の高周波電界と第2の高周波電界とを重畳し、電界を形成する。
前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、かつ、前記第1の高周波電界の強さV1と、前記第2の高周波電界の強さV2と、放電開始電界の強さIVとの関係が、
V1≧IV>V2
または V1>IV≧V2 を満たし、
前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm以上である。
高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものをいう。
重畳する高周波電界が、ともにサイン波である場合、第1の高周波電界の周波数ω1と該周波数ω1より高い第2の高周波電界の周波数ω2とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重なった鋸歯状の波形となる。
本発明において、放電開始電界の強さとは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成等)及び反応条件(ガス条件等)において放電を起こすことのできる最低電界強度のことを指す。放電開始電界強度は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種または電極間距離等によって多少変動するが、同じ放電空間においては、放電ガスの放電開始電界強度に支配される。
上記で述べたような高周波電界を放電空間に形成することによって、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することができると推定される。
ここで重要なのは、このような高周波電界が対向する電極間に形成され、すなわち、同じ放電空間に形成されることである。特開平11−16696号公報のように、電極を2つ併置し、離間した異なる放電空間それぞれに、異なる高周波電界を形成する方法は好ましくない。
上記でサイン波等の連続波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方が連続波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、さらに周波数の異なる第3の電界を有していてもよい。
上記本発明の高周波電界を、同一放電空間に形成する具体的な方法としては、例えば、対向電極を構成する第1電極に周波数ω1であって電界強度V1である第1の高周波電界を形成する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2であって電界強度V2である第2の高周波電界を形成する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置を用いる。
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、対向電極間に、放電ガスと薄膜形成ガスとを供給するガス供給手段を備える。さらに、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
また、第1電極、第1電源またはそれらの間のいずれかには第1フィルタを、また第2電極、第2電源またはそれらの間のいずれかには第2フィルタを接続することが好ましく、第1フィルタは第1電源から第1電極への第1の高周波電界の電流を通過しやすくし、第2の高周波電界の電流をアースして、第2電源から第1電源への第2の高周波電界の電流を通過しにくくする。また、第2フィルタはその逆で、第2電源から第2電極への第2の高周波電界の電流を通過しやすくし、第1の高周波電界の電流をアースして、第1電源から第2電源への第1の高周波電界の電流を通過しにくくする機能が備わっているものを使用する。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過しやすいとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
例えば、第1フィルタとしては、第2電源の周波数に応じて数10pF〜数万pFのコンデンサ、もしくは数μH程度のコイルを用いることができる。第2フィルタとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサを介してアース接地することでフィルタとして使用できる。
さらに、大気圧プラズマ放電処理装置の第1電源は、第2電源より高い電界強度を形成できる能力を有していることが好ましい。
ここで、本発明でいう電界強度と放電開始電界強度は、下記の方法で測定されたものをいう。
電界強度V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部に高周波電圧プローブ(P6015A)を設置し、該高周波電圧プローブの出力信号をオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、所定の時点の電界強度を測定する。
放電開始電界強度IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、この電極間の電界強度を増大させていき、放電が始まる電界強度を放電開始電界強度IVと定義する。測定器は上記形成電界強度測定と同じである。
なお、上記測定に使用する高周波電圧プローブとオシロスコープによる電界強度の測定位置については、後述の図2に示してある。
本発明で規定する放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電界強度が高い放電ガスでも、放電を開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持でき、高性能な薄膜形成を行うことができる。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電界強度IV(1/2Vp−p)は3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の電界強度を、V1≧3.7kV/mmとして形成することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることができる。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることができる。またこの電界波形としては、連続波でもパルス波でもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
このような2つの電源から高周波電界を形成することは、第1の高周波電界によって高い放電開始電界強度を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の高周波電界の高い周波数及び高い出力密度によりプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成することが重要な点である。
また、第1の高周波電界の出力密度を高くすることで、放電の均一性を維持したまま、第2の高周波電界の出力密度を向上させることができる。これにより、さらなる均一高密度プラズマが生成でき、さらなる製膜速度の向上と、膜質の向上が両立できる。
本発明に用いられる大気圧プラズマ放電処理装置は、上述のように、対向電極の間で放電させ、前記対向電極間に導入したガスをプラズマ状態とし、前記対向電極間に静置あるいは電極間を移送される基材を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基材の上に薄膜を形成させるものである。また他の方式として、大気圧プラズマ放電処理装置は、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起しまたはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基材(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって該基材の上に薄膜を形成させるジェット方式の装置がある。
図2は、本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電界形成手段の他に、図2では図示してない(後述の図3に図示してある)が、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界が形成され、また第2電極12からは第2電源22からの周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界が形成されるようになっている。第1電源21は第2電源22より高い高周波電界強度(V1>V2)を形成し、また第1電源21の第1の周波数ω1は第2電源22の第2の周波数ω2より低い周波数を印加する。
第1電極11と第1電源21との間には、第1フィルタ23が設置されており、第1電源21から第1電極11への電流を通過しやすくし、第2電源22からの電流をアースして、第2電源22から第1電源21への電流が通過しにくくなるように設計されている。
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2フィルタ24が設置されており、第2電源22から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源21からの電流をアースして、第1電源21から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、後述の図3に図示してあるようなガス供給手段から前述した薄膜形成ガスGを導入し、第1電源21と第2電源22により第1電極11と第2電極12間に、前述した高周波電界を形成して放電を発生させ、前述した薄膜形成ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と樹脂基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る樹脂基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、後述の図3に図示してあるような電極温度調節手段から媒体が配管を通って電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成等は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、基材の幅手方向あるいは長手方向での温度ムラができるだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
また、図2に前述の電界強度と放電開始電界強度の測定に使用する測定器と測定位置を示した。25及び26は高周波電圧プローブであり、27及び28はオシロスコープである。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置を、樹脂基材Fの搬送方向と平行に複数台並べ、同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることにより、同一位置に複数層の薄膜を形成可能となり、短時間で所望の膜厚を形成可能となる。また樹脂基材Fの搬送方向と平行に複数台並べ、各装置に異なる薄膜形成ガスを供給して異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することもできる。
図3は本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電界形成手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)(以下角筒型固定電極群を固定電極群と記す)36との対向電極間32(以下対向電極間を放電空間32とも記す)で、樹脂基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ロール回転電極35と固定電極群36との間に形成された放電空間32に、ロール回転電極35には第1電源41から周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界を、また固定電極群36には第2電源42から周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール回転電極35と第1電源41との間には、第1フィルタ43が設置されており、第1フィルタ43は第1電源41から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源42からの電流をアースして、第2電源42から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、固定電極群36と第2電源42との間には、第2フィルタ44が設置されており、第2フィルタ44は、第2電源42から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源41からの電流をアースして、第1電源41から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
なお、本発明においては、ロール回転電極35を第2電極、また角筒型固定電極群36を第1電極としてもよい。いずれにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より高い高周波電界強度(V1>V2)を形成することが好ましい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有している。
また、電流はI1<I2となることが好ましい。第1の高周波電界の電流I1は、好ましくは0.3〜20mA/cm、さらに好ましくは1.0〜20mA/cmである。また、第2の高周波電界の電流I2は、好ましくは10〜100mA/cm、さらに好ましくは20〜100mA/cmである。
ガス供給手段50のガス発生装置51で発生させた薄膜形成ガスGは、不図示のガス流量調整手段により流量を制御して給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に導入する。
樹脂基材Fを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から矢印方向に搬送されて来て、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群36との間に移送する。
移送中にロール回転電極35と固定電極群36との両方から電界をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。樹脂基材Fはロール回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されており、該電極の放電面積はロール回転電極35に対向している全ての角筒型固定電極のロール回転電極35と対向する面の面積の和で表される。
樹脂基材Fは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口53より排出する。
薄膜形成中、ロール回転電極35及び固定電極群36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
図4は、図3に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図4において、ロール電極35aは導電性の金属質母材35Aとその上に誘電体35Bが被覆されたものである。プラズマ放電処理中の電極表面温度を制御し、また、樹脂基材Fの表面温度を所定値に保つため、温度調節用の媒体(水もしくはシリコンオイル等)が循環できる構造となっている。
図5は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図5において、角筒型電極36aは、導電性の金属質母材36Aに対し、図4同様の誘電体36Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
図5に示した角筒型電極36aは、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
図4及び図5において、ロール電極35a及び角筒型電極36aは、それぞれ導電性の金属質母材35A及び36Aの上に誘電体35B及び36Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
導電性の金属質母材35A及び36Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることができるが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
対向する第1電極及び第2の電極の電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、該誘電体表面ともう一方の電極の導電性の金属質母材表面との最短距離のことをいう。双方の電極に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離の最短距離のことをいう。電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、電界強度の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
プラズマ放電処理容器31はパイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けてもよく、該金属フレームにセラミックス溶射を行い、絶縁性をとってもよい。図3において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質のもので覆うことが好ましい。
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3-4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5-4500
A3 春日電機 15kHz AGI-023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50-4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF-6k
A6 パール工業 200kHz CF-2000-200k
A7 パール工業 400kHz CF-2000-400k
等の市販のものを挙げることができ、いずれも使用することができる。
また、第2電源(高周波電源)としては、
電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF-2000-800k
B2 パール工業 2MHz CF-2000-2M
B3 パール工業 13.56MHz CF-5000-13M
B4 パール工業 27MHz CF-2000-27M
B5 パール工業 150MHz CF-2000-150M
等の市販のものを挙げることができ、いずれも好ましく使用できる。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明においては、このような電界を形成して、均一で安定な放電状態を保つことができる電極を大気圧プラズマ放電処理装置に採用することが好ましい。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成ガスに与え、薄膜を形成する。第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm、より好ましくは20W/cmである。下限値は、好ましくは1.0W/cmである。なお、放電面積(cm)は、電極間において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、第1電極(第1の高周波電界)にも、1W/cm以上の電力(出力密度)を供給することにより、第2の高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることができる。これにより、さらなる均一高密度プラズマを生成でき、さらなる製膜速度の向上と膜質の向上が両立できる。好ましくは5W/cm以上である。第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cmである。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10−6/℃以下、さらに好ましくは5×10−6/℃以下、さらに好ましくは2×10−6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
1:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
2:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング
3:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜
4:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング
5:金属質母材がセラミックス及び鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
6:金属質母材がセラミックス及び鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
7:金属質母材がセラミックス及びアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
8:金属質母材がセラミックス及びアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記1項または2項及び5〜8項が好ましく、特に1項が好ましい。
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることができる。
本発明に有用な電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用できるが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐蝕性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることができる。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることができ、いずれも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐蝕性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることができ、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることができ、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることができる。
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することができる。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることができる。さらに空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、さらにエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることができる。詳しくは、特開2000−301655号に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することができる。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることができる。
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、さらに、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射等がある。さらに封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化のない緻密な電極ができる。
誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPS(X線光電子分光法)により誘電体層の断層を分析することにより測定する。
薄膜形成方法に係る電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、さらに好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、さらに熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、かつ、高精度で、耐久性を大きく向上させることができる。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。さらにJIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さ(Ra)は0.5μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以下である。
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。また上限は500℃である。なお、耐熱温度とは、大気圧プラズマ処理で用いられる電圧において絶縁破壊が発生せず、正常に放電できる状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、上記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
本発明においては、セラミック層が、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を形成することにより該ガスを励起し、励起したガスに晒すことにより、薄膜を形成する薄膜形成方法により形成されることが好ましい。
また、前記放電ガスが窒素ガスであり、放電空間に形成される高周波電界は、第1の高周波電界及び第2の高周波電界を重畳したものであり、該第1の高周波電界の周波数ω1より該第2の高周波電界の周波数ω2が高く、該第1の高周波電界の強さV1、該第2の高周波電界の強さV2及び放電開始電界の強さIVとの関係が、V1≧IV>V2またはV1>IV≧V2の関係を満たし、該第2の高周波電界の出力密度が1W/cm以上であることが好ましい。
《ライナーの使用》
セラミック層を片面に設けた基材において、裏面に、ポリマー層や、低屈折率セラミック層等、さらに層(例えば、Al等の金属層、誘電体、Ag(または合金)、誘電体を順次積層した熱線反射層等)を設ける際は、既に設けたセラミック層を傷や異物付着防止のため、離型性の樹脂基材を設けてもよい。
樹脂基材上に形成したセラミック層に離型性を有する樹脂材料をラミネートすることにより、接触するロールよるスリ傷の発生や異物付着を防止し、さらに被プラズマ処理面に直接接触するロールを最小限にし、セラミック層への傷や異物の混入を極力低減することにより、ガス遮断性に優れたセラミック層を設けた耐候性樹脂基材を高収率で製造できる。よって、樹脂基材の両面にバリア性のあるセラミック層を設ける場合に樹脂材料をラミネートすることが望ましい。
《離型性を有する樹脂材料》
本発明のガスバリア性の耐候性樹脂基材の製造方法においては、樹脂基材の一方の面側(A面)に、セラミック層を形成した後、裏面側(B面)にセラミック層を設ける前に、既に形成したA面側のセラミック層上に、離型性を有する樹脂材料をラミネートすることが好ましい。
本発明に係る離型性を有する樹脂材料は、特に制限はないが、少なくともフィルムと、該フィルムの片面に形成された粘着剤を含む粘着層からなり、該粘着剤がアクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤及びゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種であり、該粘着剤の粘着力が1mN/cm以上、2N/cm以下であることが好ましく、さらには1mN/cm以上、200mN/cm以下であることが好ましい。
粘着剤の粘着力が1mN/cm以上であれば、樹脂材料とセラミック層との十分な密着力を得ることができ、連続搬送中での剥離が発生しなくなるとともに、搬送時のロール等の接触による既に形成したセラミック層に対する影響を防止することができる。また、粘着力が2N/cm以下であれば、樹脂材料を剥離するときに、セラミック層に対し過度の力をかけることなく、セラミック層の破壊や、セラミック層上への粘着剤の残留を起こさない。
粘着剤の粘着力は、JIS Z 0237に準拠した測定法に従って、試験板としてコーニング1737を用い、樹脂材料を試験板に圧着して20分後に測定して求めることができる。
また、粘着剤の厚さとしては、0.1μm以上、30μm以下であることが好ましい。粘着剤の厚さが0.1μm以上であれば、樹脂材料と樹脂基材との十分な密着力を得ることができ、連続搬送中での剥離が発生しなくなるとともに、搬送時のロール等の接触による既に形成したセラミック層に対する影響を防止することができる。また、粘着剤の厚さが30μm以下であれば、樹脂材料を剥離するときに、セラミック層に対し過度の力を掛けることなく、セラミック層の破壊や、セラミック層上への粘着剤の残留を起こすことがない。
また、粘着層を構成する粘着剤の重量平均分子量は、40万以上、140万以下であることが好ましい。重量平均分子量が40万以上であれば、過度の粘着力となることはなく、140万以下であれば十分な粘着力を得ることができる。この重量平均分子量の範囲であれば、セラミック層上への粘着剤の残留を防止することができ、また、特に、プラズマ処理法でセラミック層を形成する際には、熱やエネルギーがかかるため、適当な分子量範囲でないと粘着材料の転写や剥離が生じる恐れがある。
次いで、離型性を有する樹脂材料の各構成材料について説明する。
本発明に係る離型性を有する樹脂材料は、主には、基材と、この基材の片面に形成された粘着層と、粘着層の表面、すなわち基材とは反対側の表面に積層された樹脂基材等からなる剥離層とから構成されている。
(基材)
本発明に係る樹脂材料に用いられる基材としては、特に制限はないが、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム;ヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド系フィルム;ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリフルオロエチレン等の含ハロゲン系フィルム;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル及びその誘導体フィルム等のプラスチックフィルムが、紙とは異なり微細塵を発生しないことから好ましい。なお、本発明においては、耐熱性及び入手の容易性の観点からポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。
基材の厚さも特に制限はされないが、10μm〜300μmのものが使用される。好ましくは25μm〜150μmのものである。10μm以下であるとフィルムが薄いことから、取り扱いが困難であり、300μm以上だと硬くなり、搬送性やロールへの密着性が悪くなる。
(粘着層)
本発明においては、粘着剤の種類として、特に制限はなく、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤、紫外線硬化型粘着剤等を挙げることができるが、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤及びゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
〈アクリル系粘着剤〉
アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体または他の共重合性モノマーとの共重合体が用いられる。さらに、これらの共重合体を構成するモノマーもしくは共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、オクチルエステル、イソノニルエステル等)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(例えば、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシブチルエステル、ヒドロキシヘキシルエステル)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。主要成分のモノマーとしては、通常、ホモポリマーのガラス転移点が−50℃以下のアクリル酸アルキルエステルが使用される。
アクリル系粘着剤の硬化剤としては、例えば、イソシアネート系、エポキシ系、アリジリン系硬化剤が利用できる。イソシアネート系硬化剤では、長期保存後も安定した粘着力を得ることと、より硬い粘着層とする目的で、トルイレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系のタイプを好ましく用いることができる。さらに、この粘着剤には、添加剤として、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤を含有させることもできる。
また、再剥離性を付与するため、あるいは粘着力を低く安定に維持するために、それらの成分が相手基材に移行しない程度に、ワックス等の有機樹脂、シリコン、フッ素等の低表面エネルギーを有する成分を添加してもよい。例えば、ワックス等の有機樹脂では、高級脂肪酸エステルや低分子のフタル酸エステルを用いてもよい。
〈ゴム系粘着剤〉
ゴム系粘着剤としては、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴムとこれらの混合物、あるいは、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体等の粘着付与剤を配合したものが用いられる。
ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、さらにはスチレン−イソプレン−スチレン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム等が挙げられる。
中でも、ブロックゴム系粘着剤は、一般式A−B−Aで表されるブロック共重合体や、一般式A−Bで表されるブロック共重合体(ただし、Aはスチレン系重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、またはそれらを水素添加して得られるオレフィン重合体ブロックであり、以下、スチレン系熱可塑性エラストマーという)を主体に、粘着付与樹脂、軟化剤等が配合された組成物が挙げられる。
上記ブロックゴム系粘着剤において、スチレン系重合体ブロックAは平均分子量が4,000〜120,000程度のものが好ましく、さらに10,000〜60,000程度のものがより好ましい。そのガラス転移温度は15℃以上のものが好ましい。また、ブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロックまたはこれらを水素添加して得られるオレフィン重合体ブロックBは、平均分子量が30,000〜400,000程度のものが好ましく、さらに60,000〜200,000程度のものがより好ましい。そのガラス転移温度は−15℃以下のものが好ましい。上記A成分とB成分との好ましい質量比はA/B=5/95〜50/50であり、さらに好ましくはA/B=10/90〜30/70である。A/Bの値が、50/50を超えると常温においてポリマーのゴム弾性が小さくなり、粘着性が発現しにくくなり、5/95未満ではスチレンドメインが疎になり、凝集力が不足し、所望の接着力が得られないばかりか、剥離時に接着層がちぎれてしまう等の不具合が見られる。
さらに、上記粘着剤に、ポリオレフィン系樹脂を添加することにより、剥離紙もしくは剥離フィルムからの離型性を向上することができる。このポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−n−ブチルアクリレート共重合体及びこれらの混合物が挙げられる。
このポリオレフィン系樹脂は、低分子量分が少ないことが好ましく、具体的には、n−ペンタンによる沸点乾留で抽出される低分子量分が1.0質量%未満であることが好ましい。低分子量分が1.0質量%を超えて存在すると、この低分子量分が温度変化や経時変化に応じて、粘着特性に悪影響を及ぼし、粘着力を低下させるからである。
また、上記粘着剤には、シリコンオイルを添加することにより、ポリビニルアルコールを主成分とする塗膜が設けられた自背面との親和性をさらに低下せしめることができる。このシリコンオイルはポリアルコキシシロキサン鎖を主鎖にもつ高分子化合物で、粘着層の疎水性を高め、さらに接着界面、即ち、粘着層表面にブリードするため、粘着剤の接着力を抑制し、接着昂進現象が起き難くする働きがある。
上記ゴム系粘着剤に、架橋剤を添加し架橋することで粘着層とする。
架橋剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤の架橋には、イオウと加硫助剤及び加硫促進剤(代表的なものとして、ジブチルチオカーバメイト亜鉛等)が使用される。天然ゴム及びカルボン酸共重合ポリイソプレンを原料とした粘着剤を室温で架橋可能な架橋剤として、ポリイソシアネート類が使用される。ブチルゴム及び天然ゴム等の架橋剤に耐熱性と非汚染性の特色がある架橋剤として、ポリアルキルフェノール樹脂類が使用される。ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及び天然ゴムを原料とした粘着剤の架橋に有機過酸化物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等があり、非汚染性の粘着剤が得られる。架橋助剤として、多官能メタクリルエステル類を使用する。その他紫外線架橋、電子線架橋等の架橋による粘着剤の形成がある。
〈シリコン系粘着剤〉
本発明に係る粘着層においては、シリコン系粘着剤としては付加反応硬化型シリコン粘着剤と縮重合硬化型シリコン粘着剤があるが、本発明では付加反応硬化型が好ましく用いられる。
付加反応硬化型シリコン粘着剤組成物の組成としては、以下に挙げるものが好適に用いられる。
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン
(B)SiH基を含有するポリオルガノシロキサン
(C)制御剤
(D)白金触媒
(E)導電性微粒子
ここで、(A)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサンであり、このようなアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサンとしては、下記一般式(1)で示されるものが例示できる。
一般式(1)
(3−a)SiO−(RXSiO)−(RSiO)−(RXSiO)−R(3−a)XaSiO
一般式(1)において、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基含有の有機基である。aは0〜3の整数で1が好ましく、mは0以上であるが、a=0の場合、mは2以上であり、m及びnは、それぞれ100≦m+n≦20,000を満足する数であり、pは2以上である。
Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基等が挙げられるが、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
Xはアルケニル基含有の有機基で炭素数2〜10のものが好ましく、具体的にはビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基等が挙げられるが、特にビニル基、ヘキセニル基等が好ましい。
このポリジオルガノシロキサンの性状は、オイル状、生ゴム状であればよく、(A)成分の粘度は、25℃において100mPa・s以上、特に1,000mPa・s以上が好ましい。なお、上限としては、特に限定されないが、他成分との混合の容易さから、重合度が20,000以下となるように選定することが好ましい。また、(A)成分は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B)成分であるSiH基を含有するポリオルガノシロキサンは架橋剤であり、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノヒドロポリシロキサンで、直鎖状、分岐状、環状のもの等を使用することができる。
(B)成分としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができるが、これらのものには限定されない。
一般式(2)
(3−b)SiO−(HRSiO)−(R SiO)−SiR (3−b)
一般式(2)において、Rは炭素数1〜6の脂肪族不飽和結合を含有しない1価炭化水素基である。bは0〜3の整数、x、yはそれぞれ整数であり、このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度が1〜5,000mPa・sとなる数を示す。
このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜5,000mPa・s、特に5〜1000mPa・sであることが好ましく、また2種以上の混合物でもよい。
付加反応による架橋は、(A)成分と架橋剤の(B)成分の間で生じ、硬化後の粘着層のゲル分率は架橋成分の割合によって決まる。(B)成分の使用量は、(A)成分中のアルケニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比が0.5〜20、特に0.8〜15の範囲となるように配合することが好ましい。0.5未満では架橋密度が低くなり、これにともない保持力が低くなることがある。一方で、20を越えると粘着力及びタックが低下したり、処理液の使用可能時間が短くなる場合がある。
また、耐熱保持力等の耐熱性や溶剤浸透抑制等の耐溶媒性を向上させるためには、組成物中の架橋成分の割合を増やせばよいが、過剰に増やすと粘着力の低下や膜の柔軟性が低下する等の影響が発生する場合がある。このような点から、(A)/(B)成分の配合質量比は20/80〜80/20とすればよく、特に45/55〜70/30とすることが好ましい。(A)成分の配合割合が20/80より少ないと、粘着力、タック等の粘着特性が低下することがあり、また、80/20より多いと十分な耐熱性が得られない。
(C)成分は付加反応制御剤であり、シリコン粘着剤組成物を調合し、基材に塗工する際、加熱硬化の以前に処理液が増粘やゲル化を起こさないようにするために添加するものである。
(C)成分の具体例としては、
3−メチル−1−ブチン−3−オール、
3−メチル−1−ペンチン−3−オール、
3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、
1−エチニルシクロヘキサノール、
3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、
3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、
3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、
1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、
ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、
1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン
等が挙げられる。
(C)成分の配合量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して0〜5.0質量部の範囲であることが好ましく、特に0.05〜2.0質量部が好ましい。5.0質量部を越えると硬化性が低下することがある。
(D)成分は白金系触媒であり、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物等が挙げられる。
(D)成分の添加量は、(A)及び(B)成分の合計量に対し、白金分として1〜5,000ppm、特に5〜2,000ppmとすることが好ましい。1ppm未満では硬化性が低下し、架橋密度が低くなり、保持力が低下することがあり、5,000ppmを越えると処理浴の使用可能時間が短くなる場合がある。
(E)成分の導電性微粒子の形状は、球状、樹枝状、針状等特に制限はない。また、粒径は特に制限はないが、最大粒径が粘着剤の塗工厚みの1.5倍を越えないことが好ましく、これを越えると粘着剤塗工表面に導電性微粒子の突出が大きくなりすぎて、この部分を起点に被着体からの浮き等が発生しやすくなる。
粘着剤層には種々の添加剤が添加されていてもよい。例えば、架橋剤、触媒、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、充填剤、粘着付与剤、界面活性剤等を添加してもよい。
粘着層の基材上への塗布方法としては、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター、コンマコーター等により行われ、必要によりスムージングや、乾燥、加熱、紫外線等電子線露光工程等を経て、粘着層が形成される。
(剥離層)
剥離層として用いられる素材は、塵埃を発生しないプラスチックフィルム等が好ましい。本発明の剥離層に用いられるプラスチックフィルムとしては、特に制限はないが、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム;ヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド系フィルム;ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリフルオロエチレン等の含ハロゲン系フィルム;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル及びその誘導体フィルムが用いられる。好ましくは、ポリエステル系フィルムであり、例えば、ポリエチレンテレフタレートである。適度な弾性を有するからである。剥離層に用いられるプラスチックフィルムは、剥離剤が塗布されているものであってもよい。離型処理を施すための塗布液の具体例を挙げると、旭化成ワッカーシリコン株式会社製のDEHESIVEシリーズのうち、無溶剤型の636、919、920、921、924、エマルジョン型の929、430、440、39005、39006、溶剤型の940、942、952、953、811等が、GE東芝シリコン株式会社製の剥離紙用シリコン:TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9315、XS56−A2775、XS56−A2982、TPR6600、TPR6605、TPR6604、TPR6705、TPR6722、TPR6721、TPR6702、XS56−B3884、XS56−A8012、XS56−B2654、TPR6700、TPR6701、TPR6707、TPR6710、TPR6712、XS56−A3969、XS56−A3075、YSR3022等が挙げられる。
《ポリマー層》
本発明においては、樹脂基材と前記セラミック層の間に、ポリマー層を設けることが好ましく、ポリマー層には光安定剤を含有することが好ましい。
さらに耐擦傷性向上のために、セラミック層の上にポリマー層を設けることが好ましい。
本発明において、これらポリマー層は、光硬化性または熱硬化性の樹脂を主成分とすることが好ましい。
(多官能アクリレート)
光硬化性または熱硬化性の樹脂を主成分とするポリマー膜(層)は、一般に紫外線のような活性光線硬化性樹脂より構成され、多官能アクリレートが好ましい。多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。ここで、多官能アクリレートとは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基及び/またはメタクロイルオキシ基を有する化合物である。多官能アクリレートのモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等が好ましく挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
活性光線硬化性樹脂の添加量は、ポリマー層形成組成物中では、固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが好ましい。
また、ポリマー層には光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤:活性光線硬化性樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
ポリマー層には、中間層に用いる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはゼラチン等の親水性樹脂等のバインダーを上記活性光線硬化性樹脂に混合して使用することもできる。また、ポリマー層には耐傷性、滑り性や屈折率を調整するために酸化珪素等無機化合物または有機化合物の微粒子を含んでもよい。
本発明においては、ポリマー層中に、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を用いることができる。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができる。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−tert−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることができる。
これらのポリマー層は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理を行う。ポリマー層の厚さは1〜20μmが好ましく、3〜10μmが特に好ましい。
ポリマー層形成組成物には、溶媒が含まれていてもよく、必要に応じて適宜含有し、希釈されたものであってもよい。塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
ポリマー層は塗布乾燥後に、紫外線を照射するのがよく、必要な活性光線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜1分程度がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から0.1〜10秒がより好ましい。
また、これら活性光線照射部の照度は0.05〜0.2W/mであることが好ましい。
また、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする本発明に係るポリマー層には、前述の光安定剤を含んでいることが好ましい。
《耐候性樹脂基材》
図1は本発明の耐候性樹脂基材(1)〜(5)及び比較の耐候性樹脂基材(6)、(7)の構成を示す断面構成図である。(1)は光安定剤4を含有する樹脂フィルム1の片面に、ポリマー層5を設けた樹脂基材3上にセラミック層2を有する耐候性樹脂基材、(2)は光安定剤4を含有する樹脂フィルム1の片面に、光安定剤4を含有するポリマー層5を設けた樹脂基材3上にセラミック層2を有する耐候性樹脂基材、(3)は樹脂フィルム1の片面に、光安定剤4を含有するポリマー層5を設けた樹脂基材3上にセラミック層2を有する耐候性樹脂基材、(4)は上記(2)の耐候性樹脂基材のセラミック層2のない側の樹脂基材3上に、ポリマー層5及びセラミック層2を設けた耐候性樹脂基材、(5)は樹脂フィルム1の両面に、光安定剤4を含有するポリマー層5及びセラミック層2を設け、その片面にポリマー層5を有する耐候性樹脂基材を示す。(6)は光安定剤4を含有する樹脂フィルム1の片面に、光安定剤4を含有するポリマー層5を設けた耐候性樹脂基材、(7)は樹脂フィルム1の片面に、ポリマー層5を設けた樹脂基材3上にセラミック層2を有する耐候性樹脂基材を示す。
本発明の耐候性樹脂基材は、水蒸気透過率(JIS K7129−1992 B法、40℃、90%RH条件下)が、0.01g/(m・24h)以下である。より好ましくは1×10−3g/(m・24h)以下であり、さらに好ましくは、1×10−5g/(m・24h)以下である。水蒸気透過率は、例えばMOCON社製水蒸気透過率測定装置 PERMATRAN−W3/33MGモジュールにより測定することができる。
《光学部材》
本発明により作製される耐候性樹脂基材は、幅広い分野に応用することができる。例えば、鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられるマーキング用フィルムの表面保護、光沢向上、変退色・劣化防止等を目的としたオーバーレイフィルムや、外装看板の表面保護用フィルム、液晶ディスプレイ反射防止用シート、太陽電池用バックシート、電子ペーパー用フィルム、プラズマディスプレーの電磁波遮蔽性フィルム、有機エレクトロルミネッセンス用フィルム、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムの基材、反射板の基材、集光板の基材、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。特に、紫外線に晒される環境下で使用され、紫外線に晒されることにより、基材の光学性能、例えば、透過率、反射率、ヘイズ、色味等や、機械強度が変化することにより、その機能が大きく損なわれる光学部材に好適である。具体的には液晶ディスプレイ反射防止用シート、太陽電池用バックシート、電子ペーパー用フィルム、プラズマディスプレーの電磁波遮蔽性フィルム、有機エレクトロルミネッセンス用フィルム、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムの基材、反射板の基材、ビニールハウス用フィルム等の光学部材が挙げられる。さらに、屋外で使用される部材にはさらに好適である。具体的には太陽電池用バックシート、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムの基材、反射板、集光板、ビニールハウス用フィルム等が挙げられる。
光学部材として用いる場合は、ガラス等の基板に貼り合わせるため接着剤層を塗設することが好ましい。
接着剤層は樹脂基材に対しセラミック層がない側またはある側のどちらに設けてもよいが、ガラス等の基板上に貼り合わせたとき、セラミック層が樹脂基材に対して片面にのみ設けられている場合は、セラミック層がない側をガラス等の基板に貼りつけることが好ましい。前記接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
前記接着剤としては、紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコン系粘着剤が好ましい。さらに粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系及びエマルジョン系の中で溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。例えば、骨格としての主モノマーとしては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクリルアクリレート等のアクリル酸エステルを好ましく例示できる。凝集力を向上させるためのコモノマーとしては、酢酸ビニル、アクリルニトリル、スチレン、メチルメタクリレート等を好ましく例示できる。さらに架橋を促進して安定した粘着力を付与させ、また水の存在下でもある程度の粘着力を保持するための官能基含有モノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等を好ましく例示できる。
前記接着剤として用いられる粘着剤の製造は、公知の方法で行うことができる。例えば、酢酸エチルやトルエン等の有機溶剤の存在下で、反応釜内に所定の出発物質を投入し、ベンゾイルパーオキサイド等のパーオキサイド系やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾビス系を触媒として、加熱下で重合させることで製造できる。分子量を上げるためには、例えば反応初期にモノマーを一括投入する方法や、また使用する有機溶剤種では、連鎖移動係数が大きくポリマー成長を抑制するトルエンより酢酸エチルを使用するとよい。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は40万以上が好ましく、50万以上がさらに好ましい。分子量が40万未満では、イソシアネート硬化剤で架橋されても、凝集力が十分なものが得られず、荷重をかけての保持力評価でもすぐに落下したり、またガラス板に貼り合せた後経時後に剥がしたとき、粘着剤がガラス板に残ることがある。
粘着剤の硬化剤としては、特にアクリル溶剤系では一般的なイソシアネート系硬化剤やエポキシ系硬化剤が使用できるが、均一な皮膜を得るためには経時による粘着剤の流動性と架橋が必要なため、イソシアネート系硬化剤が好ましい。
前記接着剤層には、添加剤として、例えば安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤等を含有させることもできる。接着剤層の厚みは5〜50μmが好ましい。
接着剤層の塗布形成方法としては、任意の公知の方法が使用でき、例えばダイコーター法、グラビアコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法等が挙げられる。さらに、粘着層の積層前に、必要に応じて密着性、塗工性向上の目的で、フィルム表面に火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の物理的表面処理、易接着性の有機または無機樹脂塗布等の化学的表面処理を行うことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例
〔試料1の作製〕
〈樹脂基材1の作製〉
酢酸マグネシウム、三酸化アンチモン、リン酸を用いて重合し、ポリエステルA1を得た。該ポリエステルA1と紫外線吸収剤として2,2′−(1,4−フェニレン)ビス−(4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン)をベント付き2軸押出機にて紫外線吸収剤が15質量%となるようにコンパウンドし、紫外線吸収剤入りポリエステルA2を得た。ポリエステルA1とポリエステルA2を紫外線吸収剤が全体のポリエステルに対し0.5質量%となるように仕込み、先ず150℃にて2時間真空乾燥した後、引き続き175℃で3時間真空乾燥し、278℃で溶融押出して、キャスティングドラムにて、テープ状の電極で静電印加しながら、キャスト上で急冷固化し、未延伸フィルムを得た。これを75℃で予熱し、ラジエーションヒーターを併用しながら80℃のロールにて、長手方向に3.3倍延伸し一軸延伸フィルムとした。この後、該一軸延伸フィルムの両面に、積層膜として易滑剤(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.35質量部)を含む水分散性アクリル系樹脂(濃度4.0質量%)を#4のメタバーにて両面に塗布した後、110℃で幅方向に3.6倍延伸し、220℃で熱処理して、全体の膜厚が125μmの二軸延伸の樹脂基材1(光安定剤含有)を得た。
〈ポリマー層の形成〉
上記樹脂基材1上に、下記組成のポリマー層用塗布液を、硬化後の膜厚が2μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布し、溶剤を蒸発乾燥後、高圧水銀灯を用いて0.2J/cmの紫外線照射により硬化させ、アクリル系硬化層からなるポリマー層(ポリマー膜)を形成した。
(ポリマー層用塗布液)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分
20質量部
ジメトキシベンゾフェノン光反応開始剤 4質量部
メチルエチルケトン 75質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
〈セラミック層の形成〉
上記ポリマー層上に、下記条件でセラミック層1(50nm、C含有量7.8at%)、セラミック層2(50nm、C含有量0.1at%以下)及びセラミック層3(500nm、C含有量7.8at%)をこの順に設け、セラミック層を形成し、試料1を作製した。セラミック層の屈折率は1.46であった。
(セラミック層1の作製)
〈セラミック層1混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.85体積%
薄膜形成ガス:ヘキサメチルジシロキサン 0.15体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈セラミック層1成膜条件〉
第1電極側
電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 120℃
第2電極側
電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm(この時の電圧Vpは1kVであった)
電極温度 90℃
(セラミック層2の作製)
〈セラミック層2混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.99体積%
薄膜形成ガス:テトラエトキシシラン 0.01体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈セラミック層2成膜条件〉
第1電極側
電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 120℃
第2電極側
電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは2kVであった)
電極温度 90℃
(セラミック層3の作製)
〈セラミック層3混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.5体積%
薄膜形成ガス:ヘキサメチルジシロキサン 0.5体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈セラミック層3成膜条件〉
第1電極側
電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 120℃
第2電極側
電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm(この時の電圧Vpは1kVであった)
電極温度 90℃
〔試料2の作製〕
樹脂基材1(光安定剤含有)の片面に、下記塗工液1(光安定剤含有)をグラビアコーターにて、塗布量が固形分で5g/mとなるように塗工し、乾燥温度60℃の条件で乾燥し、ポリマー層を形成した。このポリマー層の上に、試料1と同様にして、セラミック層を設け、試料2を作製した。
(塗工液1の調製)
メチルメタクリレート65質量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート35質量%を共重合し、平均分子量50000の水酸基導入メタクリル酸エステル樹脂を得た。この樹脂に対して、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール(TINUVIN328;チバ・ジャパン(株)製)を5質量%、光安定剤としてヒンダードアミン系光安定剤であるデカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル]エステル(TINUVIN123;チバ・ジャパン(株)製)を5質量%配合し、粘度調整のためメチルエチルケトンにて希釈し、固形分が20質量%となるよう調整した主剤(a)を得た。一方、架橋剤(硬化剤)となるポリイソシアネート化合物として、アダクト型のヘキサメチレンジイソシアネートをメチルエチルケトンで固形分が75質量%となるように調整した硬化剤(b)を得た。上記主剤(a)に対して、上記硬化剤(b)を15質量%添加して塗工液1を調製した。
(塗工液2の調整)
上記で用意したポリマー層用塗布液に、この樹脂に対して、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェノール(TINUVIN328;チバ・ジャパン(株)製)を5質量%、光安定剤としてヒンダードアミン系光安定剤であるデカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル]エステル(TINUVIN123;チバ・ジャパン(株)製)を5質量%配合し、粘度調整のためメチルエチルケトンにて希釈し、固形分が20質量%となるよう調整した。
〔試料3の作製〕
光安定剤を含有しない帝人デュポン社製PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ38μm)HSの片面に、上記塗工液1(光安定剤として紫外線吸収剤を含有)をグラビアコーターにて、塗布量が固形分で5g/mとなるように塗工し、乾燥温度60℃の条件で乾燥し、ポリマー層を形成した。このポリマー層を形成した樹脂基材は、本発明でいう「光安定剤を含有する樹脂基材」である。このポリマー層の上に、試料1と同様にして、セラミック層を設け、試料3を作製した。
〔試料4の作製〕
試料2の作製において、樹脂基材1のポリマー層及びセラミック層を有しない片面に、塗工液1を塗工、乾燥した後、その上にセラミック層を設け、樹脂基材1の両面にポリマー層及びセラミック層を有する試料4を作製した。
この際に、片面にセラミック層を設けた後、反対の面にセラミック層を設ける際に、以下の方法で作製した、離型性の樹脂基材をセラミック層上に張り合わせ、既に設けたセラミック層を保護しながら作製した。
(離型性の樹脂材料の作製)
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にシリコン系剥離剤を塗布し、このシリコン系剥離剤が塗布された面に、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレートを主モノマーとする重合体100質量部、架橋剤として75質量%濃度のヘキサメチレンジイソシアネート・トリメチロールプロパンアダクト溶液(商品名コロネートHL、固形分濃度75質量%、日本ポリウレタン株式会社製)6質量部、20質量%濃度のメチル化メチロールメラミン4質量部、及び架橋触媒としてジノニルナフタレン・ジスルホニックアシド0.5質量部を、乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、乾燥装置により100℃で3分間乾燥させて粘着層を形成し、その直後、粘着層と厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)とを貼り合わせ、離型性の樹脂材料を作製した。
〔試料5の作製〕
試料4の作製において、片方のセラミック層の上に塗工液1を用いて、ポリマー層を設け、試料5を作製した。
〔試料6の作製〕
試料3の作製において、セラミック層の上に塗工液2を硬化後の膜厚が3μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布した。溶剤を蒸発乾燥後、高圧水銀灯を用いて0.4J/cmの紫外線照射により硬化させポリマー層を形成し、試料6を作製した。
〔試料7の作製〕
樹脂基材1の片面に塗工液1をグラビアコーターにて、塗布量が固形分で5g/mとなるように塗工し、60℃で乾燥し、試料7を作製した。
〔試料8の作製〕
試料1の作製において、樹脂基材1を、光安定剤を含有しない帝人デュポン社製PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム(厚さ38μm)HSにした以外は同様にして試料8を作製した。
〔試料9作製〕
試料2の作製において、セラミック層を以下のように形成した以外は同様にして試料9を作製した。
〈セラミック層の形成〉
樹脂基材1をマグネトロンスパッタ装置にセットし、真空引きをした。そしてチャンバー中にArガスに酸素ガスを7%添加した混合ガスを圧力0.25Paとなるように導入し、珪素ターゲットをセットしたカソードに直流を印加してスパッタリングを引き起こし、酸化珪素膜を100nm形成した。セラミック層の屈折率は1.58であった。
〔試料の評価〕
作製した試料について、下記評価を行った。
(水蒸気透過率)
水蒸気透過率は、JIS K 7129Bで規定の方法(40℃、90%RH)に準拠して、MOCON社製水蒸気透過率測定装置 PERMATRAN−W3/33MGモジュールにより測定した。
(ヘイズ)
サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−HCL型)を使用し、JIS−K−6783bに準じて試料に3000時間(屋外曝露3年間に相当)照射することにより屋外曝露促進試験(耐候試験)を行った。全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて、この耐候試験後の試料について厚み方向のヘイズを測定し、下記基準で評価した。
◎:ヘイズが1.0%未満
△:ヘイズが1.01%以上3.0%未満
×:ヘイズが3.0%以上
(黄変)
分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JIS−K−7105に従って透過法で上記耐候試験前後の試料のL、a、bを測定し、黄変をbで評価し、下記基準で評価した。
◎:耐候試験後のbの増加量が1.0未満
△:耐候試験後のbの増加量が1.0以上3.0未満
×:耐候試験後のbの増加量が3.0以上
(機械強度)
上記耐候試験前後の試料の機械強度を、ISO 527−1−2に従い、引張応力測定装置(Ulm社製Zwick 010、ドイツ)を用いて測定し、下記基準で評価した。
◎:耐候試験前に対して、耐候試験後の機械強度比が80%以上
△:耐候試験前に対して、耐候試験後の機械強度比が60%以上80%未満
×:耐候試験前に対して、耐候試験後の機械強度比が60%未満
評価の結果を表1に示す。
表1より、光安定剤を含有する樹脂基材の少なくとも片面に、Siの酸化物を主成分とするセラミック層を少なくとも1層有し、かつ、水蒸気透過率(JIS K7129−1992 B法、40℃90%RH条件下)が、0.01g/(m・24h)以下である本発明の試料は、比較試料に比べ、耐候性に優れていることが分かる。
1 樹脂フィルム
2 セラミック層
3 樹脂基材
4 光安定剤
5 ポリマー層
10 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
21 第1電源
22 第2電源
24 第2フィルタ
30 プラズマ放電処理装置
32 放電空間
35 ロール回転電極
35a ロール電極
35A 金属質母材
35B 誘電体
36 角筒型固定電極群
40 電界形成手段
41 第1電源
42 第2電源
43 第1フィルタ
44 第2フィルタ
50 ガス供給手段
51 ガス発生装置
52 給気口
53 排気口
60 電極温度調節手段
G 薄膜形成ガス
G° プラズマ状態のガス
G′ 処理排ガス
F 樹脂基材

Claims (11)

  1. 光安定剤を含有する樹脂基材の少なくとも片面に、SiまたはAlを含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とするセラミック層を少なくとも1層有し、かつ、水蒸気透過率(JIS K7129−1992 B法、40℃、90%RH条件下)が、0.01g/(m・24h)以下であることを特徴とする耐候性樹脂基材。
  2. 前記樹脂基材の樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであることを特徴とする請求項1に記載の耐候性樹脂基材。
  3. 前記光安定剤が、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、または、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐候性樹脂基材。
  4. 前記セラミック層が、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を形成することにより該ガスを励起し、励起したガスに晒すことにより、薄膜を形成する薄膜形成方法により形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
  5. 前記放電ガスが窒素ガスであり、放電空間に形成される高周波電界は、第1の高周波電界及び第2の高周波電界を重畳したものであり、該第1の高周波電界の周波数ω1より該第2の高周波電界の周波数ω2が高く、該第1の高周波電界の強さV1、該第2の高周波電界の強さV2及び放電開始電界の強さIVとの関係が、V1≧IV>V2またはV1>IV≧V2の関係を満たし、該第2の高周波電界の出力密度が1W/cm以上であることを特徴とする請求項4に記載の耐候性樹脂基材。
  6. 前記セラミック層の屈折率が、1.3以上1.8未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
  7. 前記セラミック層が、炭素含有量0.1at%未満である酸化ケイ素膜と炭素含有量が1〜40at%である酸化ケイ素膜を、少なくともそれぞれ1層以上ずつ含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
  8. 前記樹脂基材の少なくとも片面にポリマー層を有し、該ポリマー層の上にセラミック層が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
  9. 前記セラミック層の上にポリマー層が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材。
  10. 前記ポリマー層が光安定剤を含有することを特徴とする請求項8または9に記載の耐候性樹脂基材。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の耐候性樹脂基材を用いることを特徴とする光学部材。
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