JP5092426B2 - 位相差薄膜用樹脂組成物、液晶表示装置用カラーフィルター基板、および液晶表示装置、並びに位相差薄膜付き液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法 - Google Patents

位相差薄膜用樹脂組成物、液晶表示装置用カラーフィルター基板、および液晶表示装置、並びに位相差薄膜付き液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、位相差薄膜用樹脂組成物、液晶表示装置用カラーフィルター基板、および液晶表示装置、並びに位相差薄膜付き液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法に関する。
現在、液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。液晶表示装置は、大画面化やモニター用途への展開に伴い視野角の拡大が求められている。
液晶表示装置の視野角が自発光型の陰極線管(CRT)表示装置やプラズマ表示装置と比べて狭い理由は、液晶表示装置が一般に2枚の偏光フィルムで液晶層を挟む構造をしているため、光の進行方向の違いから生じる液晶層のリターデーションの違いが透過強度に影響を与えるためである。すなわち、斜め方向ではリターデーションが大きくなるため入射直線偏光が楕円偏光になり、暗状態での光漏れ量が増え、コントラストの低下に繋がるためである。
したがって、斜め方向でのコントラスト低下を抑制するためには、液晶層のリターデーションを補償するための位相差薄膜を使用することが有効である。現在、ツイスティド・ネマチック方式の液晶表示装置では、位相差薄膜としてディスコティック液晶からなる視野角拡大フィルムを貼付することによって視野角拡大が図られている。
一方、視野角拡大を目指した新規な液晶表示方式であるVA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-plane Switching)方式などが開発されている。
VA方式に対しても、さらに視野角を拡大する目的で2軸延伸した位相差フィルムが使用されている。しかし、これらのフィルムの作製は容易ではなく、また、配向または延伸工程が不可欠であるため、工程が煩瑣となっている。
この課題に対して、光学的に負の一軸異方性を有し、光軸が薄膜面に対して垂直または略垂直であるポリイミド位相差薄膜を設けることによって、液晶表示装置の視野角を拡大する方法が提案されている。(特許文献1)
ポリイミドが位相差薄膜の機能を示すのは、高分子の主鎖方向に芳香族環や芳香族複素環などをもつため、主鎖に垂直な方向に比べて主鎖方向の屈折率が大きくなり、分子として大きな複屈折を示すこと、また、その分子鎖が基板に平行に配向しやすいため膜厚方向と膜面に平行な方向の間に屈折率差(膜としての複屈折)が生じることによる。
しかしながら、前述のポリイミド位相差薄膜は芳香族性の分子構造に起因する光吸収性が強く、透明性が十分とは言えず、位相差薄膜に使用した場合に液晶表示装置の白表示が黄色みを帯び、画像表示品位上課題があった。
ポリイミドの透明性を向上するために、ポリイミド系樹脂に脂環式基などの非芳香族性基をもつ酸成分やジアミン成分を導入し、分子内共役および電荷移動錯体形成を妨害することが提案されている(特許文献2〜4)。また、透明性を向上するとともに、配向複屈折および応力複屈折を低減した、高透明性と低複屈折性を特徴とするポリイミド系樹脂を光学用素子として応用することが提案されている(特許文献5〜7)。
一方、位相差薄膜に好適なポリイミド材料として、高い透明性とともに、高い複屈折性を有するポリイミド材料が求められていた。
特開2001−290023号公報 特開平7−56030号公報 特開平9−73172号公報 特開2002−161136号公報 特開平10−221549号公報 特開平11−60732号公報 特開2005−163012号公報
本発明は、配向および延伸工程が不要であり、基板上に塗布することによって高透明性、高複屈折性の位相差薄膜が形成できる位相差薄膜用樹脂組成物、該位相差薄膜を有するカラーフィルター基板、および広視野角、高コントラストの液晶表示装置、並びに位相差薄膜付き液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明は下記の構成からなる。
1. 液晶表示装置に用いられ、光学的に負の一軸異方性を有し、光軸が薄膜面に対して略垂直であり、かつ、厚み方向の複屈折Δnが0.01〜0.3である位相差薄膜を形成するための位相差薄膜用樹脂組成物であって、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリイミド前駆体および有機溶剤を含み、少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物であるか、または少なくとも1種のジアミンが、一般式(1)で表されるトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物であることを特徴とする位相差薄膜用樹脂組成物
Figure 0005092426
(式中、Rは1価の有機基または水素原子を表す。)
少なくとも1種のジアミンが、一般式(1)で表されるトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物である場合に、少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物が、一般式(2)で表される3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物化合物であることを特徴とする項に記載の液晶表示装置用樹脂組成物。
Figure 0005092426
(式中、R、およびRはそれぞれ1価の有機基または水素原子を表し、それぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。)
. ポリイミド前駆体が、少なくとも下記一般式(3)で示される構成単位を有することを特徴とする項に記載の液晶表示装置用樹脂組成物。
Figure 0005092426
(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ1価の有機基または水素原子を表し、それぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。)
少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物である場合に、ジアミンが、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、3,6−ジアミノデュレン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする項に記載の位相差薄膜用樹脂組成物。
アミンが、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする項に記載の位相差薄膜用樹脂組成物。
. ポリイミド前駆体のアミン末端基の一部または全部が、ジカルボン酸無水物とのアミック酸形成反応によって末端封止されていることを特徴とする1〜項に記載の位相差薄膜用樹脂組成物。
. ジカルボン酸無水物が、無水マレイン酸、無水フタル酸 、無水コハク酸および無水ナジック酸から選ばれた少なくとも1種のジカルボン酸無水物であることを特徴とする項に記載の位相差薄膜用樹脂組成物。
. 透明基板上に赤、青、緑の各色の画素が二次元的に配列された液晶表示装置用カラーフィルター基板であって、1〜項に記載の位相差薄膜用樹脂組成物から形成された位相差薄膜が画素を被覆するように形成されていることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター基板。
項に記載の液晶表示装置用カラーフィルター基板を用いた液晶表示装置であって、該液晶表示装置の表示方式が、電圧無印加時に液晶分子が液晶セル面に対し略垂直な方向に配向しており、電圧印加時に液晶分子が液晶セル面に対し略平行な方向に配向する液晶表示方式であることを特徴とする液晶表示装置。
10. 1〜項に記載の位相差薄膜用樹脂組成物を、透明基板上に赤、青、緑の各色の画素が二次元的に配列されたカラーフィルター基板の画素が配列された側の面に塗布し、熱処理することを特徴とする位相差薄膜付き液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法。
本構成の位相差薄膜用樹脂組成物によって簡便に液晶表示装置用位相差薄膜を形成でき、さらに、該位相差薄膜によって液晶表示装置の視野角特性、コントラストのさらなる向上が図れる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の位相差薄膜用樹脂組成物は、液晶表示装置に用いられ、光学的に負の一軸異方性を有し、光軸が薄膜面に対して略垂直であり、かつ、厚み方向の複屈折Δnが0.01〜0.3である位相差薄膜を形成するための位相差薄膜用樹脂組成物であって、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリイミド前駆体および有機溶剤を含み、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンの少なくともいずれか一方が脂環式化合物であることを特徴とする。
本発明に用いるポリイミド前駆体は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸部分エステル、ポリアミック酸シリルエステル、ポリアミック酸塩、ポリイソイミド等、加熱もしくは化学的にポリイミドに変換可能な構造体のいずれでも良い。
ポリイミド前駆体を得るために用いる脂環式化合物であるジアミンとしては、下記一般式(1)で表されるトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物が好ましい。
Figure 0005092426
(式中、Rは1価の有機基または水素原子を表す。)
ここで、Rは好ましくは炭素数1〜30の有機基または水素原子であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基または水素原子が挙げられる。これらのうち、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,4−ジアミノ−2−メチルシクロヘキサン、トランス−1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルシクロヘキサンが好ましく、特に、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンが好ましい。
1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物には、1,4位のアミノ基の立体配置がトランス配置であるトランス体と、シス配置であるシス体が存在する。通常、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物は、前駆体であるp−フェニレンジアミン化合物を水添して得られるが、この反応の生成物はトランス体とシス体の混合物である(例えば、特公昭51−48198号)。本発明に用いられる好適なトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物としては、上記水添化合物を蒸留、再結晶等の公知の方法に従い分離精製したものが用いられる。シス体含有量は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されない。通常シス体含有量は50重量%以下、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下に精製することが推奨される。シス体含有量を上記の範囲とすることによって、シス体の折れ曲がり構造に起因するポリイミド分子鎖の配向性低下を抑え、実用上十分な複屈折を得ることができる。
トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物を、n−ヘキサン等の溶媒を用いて再結晶による精製を繰り返すことによって着色成分を低減することは、透明性を高めるうえで有効な方法である。
トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物には、本発明の効果を損なわない範囲で他のジアミン化合物を併用することができる。この場合のトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物の使用割合は、全体のジアミン中50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物の使用割合が50モル%よりも低いと本発明の目標とする特性が得られない場合がある。
トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物と併用できるジアミンとしては、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどの芳香族ジアミン;1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、2,5−ノルボルナンビス(メチルアミン)、2,6−ノルボルナンビス(メチルアミン)、2,7−ノルボルナンビス(メチルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミンが挙げられる。
また、ジアミンの一部として、シロキサンジアミンを用いると、無機基板等との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いることが好ましい。シロキサンジアミンの具体例としては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンが挙げられる。
脂環式化合物であるジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ノルボルネンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3:5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3:5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらテトラカルボン酸二無水物のうち、下記一般式(2)で表される置換あるいは無置換の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましく、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いることがより好ましい。
Figure 0005092426
(式中、R、およびRはそれぞれ1価の有機基または水素原子を表し、それぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物化合物とともに、他のテトラカルボン酸二無水物を使用することも可能である。この場合の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物化合物の使用割合は、全体のテトラカルボン酸二無水物中50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物化合物の使用割合が50モル%よりも低いと本発明の目標とする特性が得られないことがあるためである。
下記一般式(1)で表されるトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物と下記一般式(2)で表される置換あるいは無置換の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物化合物を反応させて得られるポリイミド前駆体は、下記一般式(3)で示される構造単位を有することが好ましい。また、一般式(3)で示される構造単位以外にも一般式(4)〜(8)で示される構造単位を含んでいても良い。これらの構造単位はいずれも、加熱もしくは化学的なイミド化反応によって一般式(8)で示される同一の構造単位に変換される。
Figure 0005092426
(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ1価の有機基または水素原子を表し、それぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。)
Figure 0005092426
Figure 0005092426
Figure 0005092426
Figure 0005092426
Figure 0005092426
(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ1価の有機基または水素原子を表し、それぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。)
ポリイミド前駆体中の一般式(3)〜(8)で示される構造単位の割合は50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。一般式(3)〜(8)で示される構造単位の割合が50モル%よりも低いと本発明の目標とする特性が得られないことがある。
ポリイミド前駆体はテトラカルボン酸二無水物とジアミンの反応によって公知の方法で得られる。また、ポリアミック酸エステルは、例えば特開平8−92496号公報に記載されているように、テトラカルボン酸二無水物をアルコール性水酸基をもつ有機物でエステル化してテトラカルボン酸ジエステルとした後、酸クロライド化し、その後ジアミンと反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物をアルコール性水酸基をもつ有機物でエステル化してテトラカルボン酸ジエステルとし、カルボジイミド類と反応させた後に、ジアミンと反応させる方法によって得られる。ポリアミック酸部分エステルは、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることによって得られたポリアミック酸のカルボキシル基に、グリシジル基またはイソシアナート基をもつ有機物を付加反応させる方法、特開2000−212216号公報に記載されているようにテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることによって得られたポリアミック酸のカルボキシル基にアセタール化合物を反応させる方法によって得られる。ポリアミック酸シリルエステルは、例えば特開昭64−63070号公報、特開2001−72768号公報、特開2005−146073号公報に記載されているようにジアミンをシリル化剤によってビスシリル化ジアミンとした後、テトラカルボン酸二無水物と反応させる方法によって得られる。
ポリイミド前駆体を得るために用いる脂環式化合物であるテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物は公知の方法(例えば、特公平2−61956号方法、特開平3−137125号公報、J. Polym. Sci.: Part A: Polymer Chemistry, 38巻, 108頁(2000年))によって合成できる。
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と他のテトラカルボン酸二無水物を共に用いることも可能である。この場合の1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の使用割合は、全体のテトラカルボン酸二無水物中50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の使用割合が50モル%よりも低いと本発明の目的とする特性が得られないことがある。
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と共に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ノルボルネンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3:5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3:5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
脂環式化合物であるテトラカルボン酸二無水物と反応させるジアミンとしては、高複屈折の位相差薄膜を得る目的から剛直な分子構造を有する芳香族ジアミンを用いることが好ましい。ここで、剛直な分子構造を有する芳香族ジアミンとは、分子の熱運動によるコンフォメーション(立体配座)変化が小さく、ジアミンを構成する2個のアミノ基の相対的位置の変化が小さい構造を有する芳香族ジアミンを言う。好ましくは、(1)ベンゼン環、芳香族複素環、若しくはそれらの縮合環からなる群から選択されるいずれか1個からなり、2個のアミノ基が対向し、一方のアミノ基のC−N結合ともう一方のアミノ基のC−N結合がおよそ同一直線上にあるか、あるいはおよそ平行である構造を有する芳香族ジアミン、(2)ベンゼン環、芳香族複素環、若しくはそれらの縮合環からなる群から選択される2個以上の構造単位からなり、それらが直接またはアミド結合を介して連結した構造を有し、2個のアミノ基が対向し、一方のアミノ基のC−N結合ともう一方のアミノ基のC−N結合がおよそ同一直線上にあるか、あるいはおよそ平行である構造を有する芳香族ジアミンを言う。
剛直な分子構造を有する芳香族ジアミンの例としては、下記式(9)に示したような化合物を挙げることができる。
Figure 0005092426
Figure 0005092426
Figure 0005092426
(式中、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ−H、−CH、−OH、−CF、−SOH、−COOH、−CONH、−F、−Cl、−Br、−CF、および−OCHからなる群から選択されるいずれかひとつの基を表し、それぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。)
剛直な分子構造を有する芳香族ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、3,6−ジアミノデュレン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレンが挙げられる。中でも、4,4’−ジアミノベンズアニリド、p−フェニレンジアミン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンが好ましく使用でき、特に4,4’−ジアミノベンズアニリド、p−フェニレンジアミンがより好ましく使用できる。これらのジアミンと1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリイミドを含有する位相差薄膜は、特に高透明性、高複屈折性を有するため好ましく使用される。上記のジアミンは1種または2種以上を混合して使用することができる。
また、剛直な分子構造を有する芳香族ジアミンとともに他のジアミンを併用することもできる。この場合の剛直な分子構造を有する芳香族ジアミンの使用割合は、全体のジアミン中50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。剛直な分子構造を有する芳香族ジアミンの使用割合が50モル%よりも低いと本発明の目的とする特性が得られないことがある。
剛直な分子構造を有する芳香族ジアミンとともに併用できる他のジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどの芳香族ジアミンが使用できる。
また、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、2,5−ノルボルナンビス(メチルアミン)、2,6−ノルボルナンビス(メチルアミン)、2,7−ノルボルナンビス(メチルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミンも使用できる。
また、ジアミンの一部として、シロキサンジアミンを用いると、無機基板等との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いることが好ましい。シロキサンジアミンの具体例としては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンが挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンの反応は、極性有機溶媒中で混合させることにより行うことができる。この時、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの混合比により、得られるポリアミック酸の重合度を調節することができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンの使用割合は、ジアミンに含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.2当量となる割合である。通常の重縮合反応同様に、テトラカルボン酸二無水物とジアミンのモル比が1に近いほど生成する重合体の重合度は大きくなる。重合度が小さすぎるとポリイミド塗膜の強度が不十分となり、重合度が大きすぎるとポリイミド塗膜形成時の作業性が悪くなる場合がある。従って、ポリアミック酸の重合度は、還元粘度(ηsp/Cとも記す)が0.05〜5.0dl/g(温度30℃のN−メチルピロリドン中、濃度0.5g/dlで測定)が好ましく、0.1〜2.0dl/gがより好ましい。
また、耐熱性、加工性の向上を目的としてポリアミック酸分子末端のアミノ基またはカルボキシル基の一部または全部を封止するために、ジカルボン酸無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することも可能である。ジカルボン酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、4−メチル無水フタル酸、4−tert−ブチル無水フタル酸、無水イタコン酸、無水ナジック酸などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。特にアミン末端基の一部または全部がジカルボン酸無水物とのアミック酸形成反応によって末端封止されていることが好ましく、ジカルボン酸無水物が無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸および無水ナジック酸から選ばれた少なくとも1種のジカルボン酸無水物であることが好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20〜200℃、より好ましくは0〜150℃の温度条件下で行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミドなどの非プロトン性極性溶媒を例示することができる。また、有機溶媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンを含む固形分の濃度が、反応溶液の全量に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素および炭化水素などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、3―メチル―3―メトキシブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチル−3−メトキシプロピオネ−ト、3―メチル―3―メトキシブチルアセテート、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−イソプロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンを挙げることができる。
位相差薄膜用樹脂組成物はポリイミド前駆体またはその溶液に、有機溶剤を加え、常法により均一に混合することにより製造することができる。樹脂組成物を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。有機溶剤としては、ポリアミック酸の合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
樹脂組成物における固形分濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、樹脂組成物は、基板表面に塗布され、位相差薄膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な位相差薄膜を得ることができず、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な位相差薄膜を得ることができず、また、樹脂組成物の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
樹脂組成物には、基板表面に対する接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物またはエポキシ基含有化合物が含有されていてもよい。また、塗膜の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる観点から、界面活性剤が含有されていてもよい。
樹脂組成物は、ディップ法、ロールコータ法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法などによって基板上に塗布された後、風乾、真空乾燥、オーブンやホットプレートを用いた加熱乾燥などにより塗膜を形成する。加熱条件は、使用する樹脂、溶媒、塗布量により異なるが、通常50〜400℃で、1〜300分間加熱することが好ましい。
塗布する基板は液晶表示装置用基板、すなわちカラーフィルター基板あるいはTFT基板自身であってもよい。また、一度ベースフィルムに樹脂組成物を塗布した後、接着層を介して液晶表示基板上に貼り付けてもよい。これらは液晶層とは反対側の基板面に形成される。また、液晶表示装置用基板の液晶層に接する側の面に形成してもよい。例えば、上記の樹脂組成物を、透明基板上に赤、青、緑の各色の画素が二次元的に配列された液晶表示装置用カラーフィルター基板上の画素が形成された側の面に塗布することも可能である。さらに、上記の樹脂組成物に顔料、染料等の着色成分を含有し、これをカラーフィルターの各色画素用のワニスとして使用し、各色画素自体に位相差補償機能を付与することも可能である。色画素に使用する場合には、各色画素、すなわち、赤、緑、青の画素においてリターデーションRは主波長λに対して位相差R/λがほぼ同一になるように調節することが、各色での位相差補償効果をそろえるうえで好ましい。
本発明の液晶表示装置用位相差薄膜は、樹脂組成物を基板上に塗布し、熱処理を行うことで形成する。位相差薄膜は位相差を有し、液晶表示装置において光が液晶層を透過する過程で発生する複屈折を補正する機能を有する。ポリイミド系樹脂の分子鎖は基板面に平行に配向しやすいため膜厚方向と膜面に平行な方向とで屈折率差(膜としての複屈折率)が生じる。また、膜面内での分子の配向はランダムであるので、膜面に平行な方向での屈折率の異方性はない。すなわち、本発明の位相差薄膜は、膜面内方向にx軸、y軸を取り、膜面に垂直方向にz軸を取ると、ポリイミド系樹脂を含む薄膜の各方向での屈折率はnx≧ny>nzとなり、光学的に負の一軸異方性を有し、かつ、光軸が膜面に対して略垂直な位相差薄膜(負のCプレート)である。
位相差薄膜の厚み方向の複屈折Δn(=nx−nz)は0.01〜0.3であることが好ましい。より好ましくは、0.03以上であり、さらに好ましくは0.05以上である。複屈折が0.01よりも小さいと、液晶の位相差を補償するために必要な位相差薄膜の膜厚が過大となり、膜形成が困難になる。
位相差薄膜の膜厚は0.5〜20μmであることが好ましい。
本発明の位相差薄膜は液晶表示装置一般に有効であるが、光軸が位相差薄膜面に略垂直であるので、液晶表示装置の中でも、特に電圧無印加時に液晶分子が液晶セル面に対して略垂直な方向に配向(ホメオトロピック配向)し、電圧印加時に液晶分子が液晶セル面に略平行な方向に配向する表示方式、具体的にはMVA(Multi-domain Vertical Alignment)方式、PVA(Patterned Vertical Alignment)方式、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)方式などの垂直配向方式の液晶表示装置においてより好ましく用いられる。
上述のように本発明の位相差薄膜の光軸は液晶を挟む2枚の基板の基板面に対して略垂直方向にあるので、画面を垂直に見た場合には位相差補償効果がないが、垂直配向方式の場合には電圧無印加時において垂直方向では液晶層の位相差もほぼゼロであるため位相差の補償は必要ない。すなわち、電圧無印加時、位相差を補償しなくても良好な黒表示が得られる。しかし、斜め方向では電圧無印加時においても液晶層に位相差があるため、この位相差を補償しないと光漏れが起こり、良好な黒表示が得られず、コントラスト低下の原因となる。したがって、本発明の位相差薄膜は垂直配向方式において斜め方向でのコントラスト向上、ひいては視野角拡大に顕著な効果を示す。
<ポリイミド前駆体の還元粘度(ηsp/C)の測定>
ポリイミド前駆体を0.5g/dlの濃度になるようにN−メチルピロリドンで溶解、希釈した溶液を、ウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定した。
<複屈折の測定方法>
メトリコン社製“プリズムカプラー2010”を用いて測定した。
ガラス基板上に仕上がりの厚みが2.0μmになるようにポリイミド前駆体溶液をスピナーで塗布した後、120℃で20分間乾燥し、240℃で30分間または270℃で40分間熱処理することによって、ポリイミド樹脂薄膜を得た。このポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率n1(=nx)と膜厚方向の屈折率n2(=nz)を測定し、これらの屈折率の差から複屈折を下式により算出した。光源には632.8nmのHeNeレーザー光を使用した。
Δn=n1−n2
<膜の着色の測定方法>
大塚電子(株)製の“MCPD−2000”顕微分光光度計を用いて測定を行った。
ガラス基板上に仕上がりの厚みが2.0μmになるようにポリイミド前駆体溶液をスピナーで塗布した後、120℃で20分間乾燥し、240℃で30分間または270℃で40分間熱処理することによって、ポリイミド樹脂薄膜を得た。XYZ表色系(CIE1931標準表色系)において、標準C光源の色座標(x,y)=(0.3100,0.3162)とポリイミド樹脂薄膜を透過した後の光の色座標(x1,y1)との差(Δx,Δy)を求めた。ここで、Δx=x1−x、Δy=y1−yである。Δx、Δyがともに大きい場合には白表示が黄色味を帯び、表示品位が低下する。Δx、Δyはともに0.005以下となることが好ましく、0.003以下であることがより好ましい。
合成例(1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の合成)
パイレックス(登録商標)ガラス製水冷ランプジャケットをつけた内容積2リットルの内部照射型ガラス製反応フラスコに無水マレイン酸255g(2.60モル)と酢酸エチル1,445gを仕込み、フラスコ内を窒素で置換した後、室温で攪拌溶解した。引き続き攪拌しながら、反応溶液を5℃に冷却した後、400W高圧水銀灯の照射を開始し、96時間光照射を続けた。照射中、反応溶液温度を3〜5℃に保った。反応終了後、ろ過により結晶とろ液を分離した。粗結晶を酢酸エチルで洗浄した後、真空乾燥器で40℃、10時間乾燥し、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の結晶194gを得た。
実施例1
乾燥窒素気流下、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン10.96g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をN−メチル−2−ピロリドン177.28gに溶解した。その後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物28.25g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液A(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Aの粘度は830mPa・sであった。還元粘度は0.70dl/gであった。
ガラス基板上に仕上がりの厚みが2.0μmになるようにポリアミック酸溶液Aをスピナーで塗布した後、120℃で20分間乾燥、さらに熱処理することによって、ポリイミド樹脂薄膜を得た。240℃で30分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.683、膜厚方向の屈折率はn2=1.592であり、複屈折はΔn=0.091であった。また、透過光の色座標は(0.3108,0.3172)、Δx=0.0008、Δy=0.0010であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。また、270℃で40分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜は、屈折率n1=1.745、n2=1.571から複屈折Δn=0.174であり、透過光の色座標(0.3116,0.3179)からΔx=0.0016、Δy=0.0017であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。
実施例2
乾燥窒素気流下、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン10.96g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をN−メチル−2−ピロリドン173.28gに溶解した。その後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物25.30g(0.086モル)、無水ピロメリット酸2.18g(0.010モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液B(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Bの粘度は690mPa・sであった。還元粘度は0.67dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、270℃で40分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.698、膜厚方向の屈折率はn2=1.586であり、複屈折はΔn=0.112、透過光の色座標は(0.3111,0.3174)、Δx=0.0011、Δy=0.0012であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。
実施例3
乾燥窒素気流下、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン10.96g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をN−メチル−2−ピロリドン171.06gに溶解した。その後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物28.25g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で5時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液C(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Cの粘度は5,222mPa・sであった。還元粘度は0.81dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.706、膜厚方向の屈折率はn2=1.592であり、複屈折はΔn=0.114、透過光の色座標は(0.3109,0.3171)、Δx=0.0009、Δy=0.0009であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。また、270℃で40分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜は、屈折率n1=1.735、n2=1.572から複屈折Δn=0.163であり、透過光の色座標(0.3116,0.3180)からΔx=0.0016、Δy=0.0018であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。
実施例4
乾燥窒素気流下、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン11.42g(0.100モル)をN−メチル−2−ピロリドン174.42gに溶解した。その後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.100モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で5時間攪拌した。室温に冷却した後、N−メチル−2−ピロリドン85.07gを加え、透明で粘稠なポリアミック酸溶液D(ポリマー濃度12重量%)を得た。25℃で測定した溶液Dの粘度は5,878mPa・sであった。還元粘度は1.68dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、270℃で40分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.745、膜厚方向の屈折率はn2=1.571であり、複屈折はΔn=0.174、透過光の色座標は(0.3120,0.3187)、Δx=0.0020、Δy=0.0025であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。
実施例5
乾燥窒素気流下、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン11.42g(0.100モル)をN−メチル−2−ピロリドン176.30gに溶解した。その後、4,4’−オキシジフタル酸二無水物29.78g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で5時間攪拌した。室温に冷却した後、N−メチル−2−ピロリドン85.83gを加え、透明で粘稠なポリアミック酸溶液E(ポリマー濃度12重量%)を得た。25℃で測定した溶液Eの粘度は1,139mPa・sであった。還元粘度は0.96dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、270℃で40分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.631、膜厚方向の屈折率はn2=1.616であり、複屈折はΔn=0.015、透過光の色座標は(0.3122,0.3190)、Δx=0.0022、Δy=0.0028であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。
実施例6
乾燥窒素気流下、p−フェニレンジアミン10.38g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をN−メチル−2−ピロリドン124.79gに溶解した。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物18.83g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液F(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Fの粘度は384mPa・sであった。還元粘度は0.56dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.621、膜厚方向の屈折率はn2=1.586であり、複屈折はΔn=0.035であった。また、透過光の色座標は(0.3109,0.3173)、Δx=0.0009、Δy=0.0011であり、Δx、Δyともに0.005以下であり、着色の小さい位相差薄膜が得られた。また、270℃で40分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜は、屈折率n1=1.631、n2=1.586から複屈折Δn=0.045であり、透過光の色座標(0.3127,0.3197)からΔx=0.0027、Δy=0.0035であり、Δx、Δyともに0.005以下であり、着色の小さい位相差薄膜が得られた。
実施例7
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノベンズアニリド21.82g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をγ−ブチロラクトン112.41gに溶解した。次に、N−メチル−2−ピロリドン72.41gを加えた。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物18.83g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液G(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Gの粘度は1,080mPa・sであった。還元粘度は0.71dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.669、膜厚方向の屈折率はn2=1.604であり、複屈折はΔn=0.065、透過光の色座標は(0.3115,0.3180)、Δx=0.0015、Δy=0.0018であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。また、270℃で40分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜は、屈折率n1=1.688、n2=1.601から複屈折Δn=0.087であり、透過光の色座標(0.3142,0.3212)からΔx=0.0042、Δy=0.0050であり、Δx、Δyともに0.005以下であり、着色の小さい位相差薄膜が得られた。
実施例8
乾燥窒素気流下、2,2’−ジメチルベンジジン20.38g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をN−メチル−2−ピロリドン177.28gに溶解した。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物18.83g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液H(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Hの粘度は1,055mPa・sであった。還元粘度は0.78dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.625、膜厚方向の屈折率はn2=1.587であり、複屈折はΔn=0.038、透過光の色座標は(0.3114,0.3180)、Δx=0.0014、Δy=0.0018であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。また、270℃で40分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜は、屈折率n1=1.625、n2=1.586から複屈折Δn=0.039であり、透過光の色座標(0.3134,0.3210)からΔx=0.0034、Δy=0.0048であり、Δx、Δyともに0.005以下であり、着色の小さい位相差薄膜が得られた。
実施例9
乾燥窒素気流下、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン30.74g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をN−メチル−2−ピロリドン231.69gに溶解した。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物18.83g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液I(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Iの粘度は275mPa・sであった。還元粘度は0.58dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.560、膜厚方向の屈折率はn2=1.540であり、複屈折はΔn=0.020、透過光の色座標は(0.3103,0.3164)、Δx=0.0003、Δy=0.0002であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。また、270℃で40分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜は、屈折率n1=1.559、n2=1.541から複屈折Δn=0.018であり、透過光の色座標(0.3108,0.3171)からΔx=0.0008、Δy=0.0009であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。
実施例10
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル19.22g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をN−メチル−2−ピロリドン171.21gに溶解した。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物18.83g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液J(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Jの粘度は258mPa・sであった。還元粘度は0.56dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.620、膜厚方向の屈折率はn2=1.608であり、複屈折はΔn=0.013、透過光の色座標は(0.3111,0.3178)、Δx=0.0011、Δy=0.0016であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。また、270℃で40分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜は、屈折率n1=1.622、n2=1.607から複屈折Δn=0.015であり、透過光の色座標(0.3127,0.3197)からΔx=0.0027、Δy=0.0035であり、Δx、Δyともに0.005以下であり、着色の小さい位相差薄膜が得られた。
実施例11
乾燥窒素気流下、p−フェニレンジアミン10.81g(0.100モル)をN−メチル−2−ピロリドン132.41gに溶解した。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物19.61g(0.100モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で4時間攪拌した。透明で粘稠なポリアミック酸溶液K(ポリマー濃度15重量%)を得た。25℃で測定した溶液Kの粘度は9,257mPa・sであった。還元粘度は1.36dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.635、膜厚方向の屈折率はn2=1.584であり、複屈折はΔn=0.051であった。また、透過光の色座標は(0.3116,0.3182)、Δx=0.0016、Δy=0.0020であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜が得られた。
実施例12
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノベンズアニリド22.73g(0.100モル)をγ−ブチロラクトン111.14gに溶解した。次に、N−メチル−2−ピロリドン71.14gを加えた。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物19.61g(0.100モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で4時間攪拌した。透明で粘稠なポリアミック酸溶液L(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Lの粘度は31,400mPa・sであった。還元粘度は1.81dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.685、膜厚方向の屈折率はn2=1.598であり、複屈折はΔn=0.087、透過光の色座標は(0.3131,0.3204)、Δx=0.0031、Δy=0.0042であり、Δx、Δyともに0.005以下であり、着色の小さい位相差薄膜が得られた。
比較例1
乾燥窒素気流下、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン11.92g(0.048モル)、p−フェニレンジアミン5.19g(0.048モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をN−メチル−2−ピロリドン209.55gに溶解した。その後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物28.25g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液M(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Mの粘度は940mPa・sであった。還元粘度は0.64dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、270℃で40分間熱処理したポリイミド系樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.754、膜厚方向の屈折率はn2=1.663であり、複屈折はΔn=0.091、透過光の色座標は(0.3170,0.3272)、Δx=0.0070、Δy=0.0110であり、Δx、Δyともに0.005よりも大きく、黄色に着色した位相差薄膜であった。
比較例2
乾燥窒素気流下、p−フェニレンジアミン10.38g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をN−メチル−2−ピロリドン174.23gに溶解した。その後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物28.25g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液N(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Nの粘度は664mPa・sであった。還元粘度は0.66dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.810、膜厚方向の屈折率はn2=1.621であり、複屈折はΔn=0.189、透過光の色座標は(0.3195,0.3327)、Δx=0.0095、Δy=0.0165であり、Δx、Δyともに0.005よりも大きく、黄色に着色した位相差薄膜であった。また、270℃で40分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜は、屈折率n1=1.831、n2=1.616から複屈折Δn=0.215であり、透過光の色座標(0.3206,0.3339)からΔx=0.0106、Δy=0.0177であり、Δx、Δyともに0.005よりも大きく、黄色に着色した位相差薄膜であった。
比較例3
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノベンズアニリド21.82g(0.096モル)とビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.99g(0.004モル)をγ−ブチロラクトン137.14gに溶解した。次に、N−メチル−2−ピロリドン97.14gを加えた。その後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物28.25g(0.096モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で3時間攪拌した。さらに、無水フタル酸1.18g(0.008モル)を加えた後、60℃で3時間攪拌し、透明で粘稠なポリアミック酸溶液O(ポリマー濃度16重量%)を得た。25℃で測定した溶液Oの粘度は5,878mPa・sであった。還元粘度は1.03dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド系樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.826、膜厚方向の屈折率はn2=1.610であり、複屈折はΔn=0.216、透過光の色座標は(0.3260,0.3450)、Δx=0.0160、Δy=0.0288であり、Δx、Δyともに0.005よりも大きく、黄色に着色した位相差薄膜であった。また、270℃で40分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜は、屈折率n1=1.838、n2=1.609から複屈折Δn=0.229であり、透過光の色座標(0.3255,0.3437)からΔx=0.0155、Δy=0.0275であり、Δx、Δyともに0.005よりも大きく、黄色に着色した位相差薄膜であった。
比較例4
乾燥窒素気流下、p−フェニレンジアミン10.81g(0.100モル)をN−メチル−2−ピロリドン92.92gに溶解した。その後、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物22.42g(0.100モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で4時間攪拌した。透明で粘稠なポリアミック酸溶液P(ポリマー濃度20重量%)を得た。25℃で測定した溶液Pの粘度は350mPa・sであった。還元粘度は0.30dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.600、膜厚方向の屈折率はn2=1.598であり、複屈折はΔn=0.002、透過光の色座標は(0.3111,0.3173)、Δx=0.0011、Δy=0.0011であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜であるが、複屈折が十分ではなかった。
比較例5
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノベンズアニリド22.73g(0.100モル)をγ−ブチロラクトン90.29gに溶解した。次に、N−メチル−2−ピロリドン50.29gを加えた。その後、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物22.42g(0.100モル)とN−メチル−2−ピロリドン40.00gを加え、60℃で4時間攪拌した。透明で粘稠なポリアミック酸溶液Q(ポリマー濃度20重量%)を得た。25℃で測定した溶液Oの粘度は209mPa・sであった。還元粘度は0.24dl/gであった。
実施例1と同様に作製し、240℃で30分間熱処理したポリイミド系樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.638、膜厚方向の屈折率はn2=1.632であり、複屈折はΔn=0.006、透過光の色座標は(0.3114,0.3178)、Δx=0.0014、Δy=0.0016であり、Δx、Δyともに0.003以下であり、着色のない位相差薄膜であるが、複屈折が十分ではなかった。
実施例13
位相差薄膜を有するカラーフィルターの作製方法を以下に示す。
<ブラックマトリックスの作製>
γ−ブチロラクトン(3825g)溶媒中で、無水ピロメリット酸(149.6g)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(225.5g)、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン(69.5g)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(210.2g)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(17.4g)を60℃で3時間反応させた後、無水マレイン酸(2.25g)を添加し、さらに60℃で1時間反応させ、ポリアミック酸溶液(ポリマー濃度15重量%)を得た。
カーボンブラック(三菱化学製MA−77)7.3g、前記のポリマー濃度15重量%のポリアミック酸溶液44.8g、N−メチル−2−ピロリドン35g、3−メチル−3−メトキシアセテート12.9gをガラスビーズ100gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度14重量%の顔料分散液を得た。用いたカーボンブラックの一次粒子径は23nmであった。この時のカーボンブラック/ポリアミック酸化合物の重量比率は52/48であった。
顔料分散液57.2gに、N−メチル−2−ピロリドン36.4g、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート6.4gを添加混合し、黒色ペーストを作製した。このペーストを無アルカリガラス基板上に塗布後、130℃でプリベークを行い、ポリアミック酸の黒色着色膜を形成した。次に、ポジ型フォトレジストを塗布して、90℃で加熱乾燥してフォトレジスト被膜を形成した。これを紫外線露光機を用いて、フォトマスクを介して露光した。露光後、アルカリ現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸黒色着色膜のエッチングを同時に行い、開口部を形成した。エッチング後、不要となったフォトレジスト層をエチレングリコールモノメチルアセテートで剥離した。エッチングされたポリアミック酸黒色着色膜を290℃に加熱して熱硬化を行い、ポリイミド樹脂ブラックマトリックスを形成した。
<画素の作製>
γ−ブチロラクトン中で、無水ピロメリット酸(0.49モル当量)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(0.50モル当量)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(0.75モル当量)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(0.20モル当量)、ビス−(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(0.05モル当量)を反応させ、さらに無水マレイン酸(0.02モル当量)を反応させて、ポリアミック酸溶液(ポリマー濃度20重量%)を得た。
このポリアミック酸の溶液を200g取り出し、それにγ−ブチロラクトン136g、エチレングリコールブチルエーテル64gを添加して、ポリマー濃度10重量%の画素用ポリアミック酸溶液を得た。
ピグメントレッド177(アントラキノンレッド)4g、γ−ブチロラクトン40g、エチレングリコールブチルエーテル6gをガラスビーズ100gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度8重量%の顔料分散液を得た。
顔料分散液30gに、前記のポリマー濃度10重量%の画素用ポリアミック酸溶液30gを添加混合し、赤色カラーペーストを得た。
樹脂ブラックマトリックスが形成された基板上に赤色ペーストを塗布し、プリベークを行い、ポリアミック酸赤色着色膜を形成した。フォトレジストを用い、前記と同様な手段により、赤色画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。
ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)3.6g、ピグメントイエロー83(ベンジジンイエロー)0.4g、γ−ブチロラクトン32g、エチレングリコールブチルエーテル4gをガラスビーズ120gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度10重量%の顔料分散液を得た。
顔料分散液32gに、前記のポリマー濃度10重量%の画素用ポリアミック酸溶液30gを添加混合し、緑色カラーペーストを得た。
赤色ペーストを用いた時と同様にして、緑色カラーペーストを使用し、緑色画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。
前記のポリマー濃度10重量%の画素用ポリアミック酸溶液60gと、ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー)2.8g、N−メチル−2−ピロリドン30g、エチレングリコールブチルエーテル10gをガラスビーズ150gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、青色カラーペーストを得た。
前記と同様な手順により、青色カラーペーストを使用し、青色画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。
このようにしてカラーフィルターを作製した。
次に、実施例1で作製したポリアミック酸溶液A(ポリマー濃度16重量%)187.5gに対して、界面活性剤“ディスパロン”LC951(楠本化成製)を0.25g、N−メチル−2−ピロリドン218.3g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール94.0gを加え、ポリマー濃度6重量%のコーティング用溶液を作製した。上記のカラーフィルター基板の画素が形成された面上にスリットダイコーティング法によって塗布し、120℃で10分間乾燥後、270℃で40分間熱処理することによって膜厚が1.2μmのポリイミド薄膜をカラーフィルター上に形成した。このポリイミド薄膜の複屈折はΔn=0.174であり、したがって、上記の方法によって、リタデーションが209nmで、光軸が薄膜に垂直である光学的に負の屈折率異方性をもつ位相差薄膜を有するカラーフィルターを得ることができた。
実施例14
実施例6で作製したポリアミック酸溶液F(ポリマー濃度16重量%)を使用した以外は実施例13と同様にして、ポリイミド薄膜をカラーフィルター上に形成した。このポリイミド薄膜の膜厚は4.4μm、複屈折はΔn=0.045であり、したがって、リタデーションが198nmで、光軸が薄膜に垂直である光学的に負の屈折率異方性をもつ位相差薄膜を有するカラーフィルターを得ることができた。
実施例15
実施例11で作製したポリアミック酸溶液K(ポリマー濃度15重量%)200.0gに対して、界面活性剤“ディスパロン”LC951(楠本化成製)を0.25g、N−メチル−2−ピロリドン205.8g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール94.0gを加え、ポリマー濃度6重量%のコーティング用溶液を作製した。実施例13と同様にカラーフィルター基板の画素が形成された面上にスリットダイコーティング法によって塗布し、120℃で10分間乾燥後、240℃で30分間熱処理することによって膜厚が4.0μmのポリイミド薄膜をカラーフィルター上に形成した。このポリイミド薄膜の複屈折はΔn=0.051であり、したがって、リタデーションが204nmで、光軸が薄膜に垂直である光学的に負の屈折率異方性をもつ位相差薄膜を有するカラーフィルターを得ることができた。
実施例16
<カラー液晶表示素子の作製と評価>
実施例13で作製した位相差薄膜付きカラーフィルター上に酸化インジウムからなる透明電極を製膜した。別途、無アルカリガラス上にTFT素子、画素電極、反射板等を形成した基板を対向基板として用意した。
その後、それぞれ基板の透明電極上に、フォトリソ法によってポリイミドからなるストライプ状の突起を形成した後、垂直配向膜を設けた。突起の断面は台形状であり高さは約1.5μmであった。ただし、カラーフィルター基板とTFT基板とを貼り合わせた時にストライプ状突起が対向のストライプ状突起と交互に配置されるようにストライプ状突起の位置を定めた。上記2枚の基板の端部をシール剤で塗布して貼り合わせた後、セル間にn型の液晶を充填して封じ、セルの前後に偏光板をクロスニコルとなるように配置した。このようにしてMVA(Multi-domain Vertical Alignment)方式を模した試験液晶表示素子(サンプルA)を作製した。セルの電極間隔はビーズスペーサーにより約5μmとした。また、ポリイミド位相差薄膜を設けないことだけが異なる試験液晶表示素子(サンプルB)を比較品として作製した。
突起物のストライプ方向から90°の方位角で、かつセル面の法線方向から70°の極角方向で、印加電圧5ボルト(on時)と0ボルト(off時)の透過光強度比(コントラスト)を比較したところ、サンプルBではコントラストは8.3であったのに対し、サンプルAでは18とポリイミド位相差薄膜によるコントラストの向上効果が認められた。また、サンプルAにおいて黄色みのない良質な白表示が得られた。
実施例17
実施例14で作製した位相差薄膜付きカラーフィルターを使用して、実施例16と同様にして試験液晶表示素子(サンプルC)を作製した。サンプルCの透過光強度比(コントラスト)は18であり、ポリイミド位相差薄膜によるコントラストの向上効果が認められた。また、黄色みのない良質な白表示が得られた。
実施例18
実施例15で作製した位相差薄膜付きカラーフィルターを使用して、実施例16と同様にして試験液晶表示素子(サンプルD)を作製した。サンプルDの透過光強度比(コントラスト)は18であり、ポリイミド位相差薄膜によるコントラストの向上効果が認められた。また、黄色みのない良質な白表示が得られた。
比較例6
比較例3で作製したポリアミック酸溶液O(ポリマー濃度16重量%)を使用した以外は実施例13と同様にして、ポリイミド薄膜をカラーフィルター上に形成した。このポリイミド薄膜の膜厚は0.9μm、複屈折はΔn=0.229であり、したがって、リタデーションが206nmで、光軸が薄膜に垂直である光学的に負の屈折率異方性をもつ位相差薄膜を有するカラーフィルターを得た。
作製した位相差薄膜付きカラーフィルターを使用して、実施例16と同様にして試験液晶表示素子(サンプルE)を作製した。サンプルEの透過光強度比(コントラスト)は15であった。しかし、白表示が黄色みを帯び、画像表示品位が劣るものであった。
実施例1〜12および比較例1〜5の結果を表1に示す。表1に記載のとおり、実施例1〜12では着色が少なく、複屈折の良好な位相差薄膜が得られていることが判る。なお、表1において、各略号はそれぞれ以下の化合物を表す。
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
H−PMDA:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物
PMDA:無水ピロメリット酸
PA:無水フタル酸
DABA:4,4’−ジアミノベンズアニリド
t-DACH:トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン
DDE:4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル
DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
PDA:p−フェニレンジアミン
SiDA:ビス−(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
m−TB−HG:2,2’−ジメチルベンジジン
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
Figure 0005092426

Claims (10)

  1. 液晶表示装置に用いられ、光学的に負の一軸異方性を有し、光軸が薄膜面に対して略垂直であり、かつ、厚み方向の複屈折Δnが0.01〜0.3である位相差薄膜を形成するための位相差薄膜用樹脂組成物であって、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリイミド前駆体および有機溶剤を含み、少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物であるか、または少なくとも1種のジアミンが、一般式(1)で表されるトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物
    Figure 0005092426
    (式中、R は1価の有機基または水素原子を表す。)
    であることを特徴とする位相差薄膜用樹脂組成物。
  2. 少なくとも1種のジアミンが、一般式(1)で表されるトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物である場合に、少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物が、一般式(2)で表される3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物化合物であることを特徴とする請求項に記載の液晶表示装置用樹脂組成物。
    Figure 0005092426
    (式中、R、およびRはそれぞれ1価の有機基または水素原子を表し、それぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。)
  3. ポリイミド前駆体が、少なくとも下記一般式(3)で示される構成単位を有することを特徴とする請求項に記載の液晶表示装置用樹脂組成物。
    Figure 0005092426
    (式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ1価の有機基または水素原子を表し、それぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。)
  4. 少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物である場合に、ジアミンが、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、3,6−ジアミノデュレン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の位相差薄膜用樹脂組成物。
  5. アミンが、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の位相差薄膜用樹脂組成物。
  6. ポリイミド前駆体のアミン末端基の一部または全部が、ジカルボン酸無水物とのアミック酸形成反応によって末端封止されていることを特徴とする請求項1〜に記載の位相差薄膜用樹脂組成物。
  7. ジカルボン酸無水物が、無水マレイン酸、無水フタル酸 、無水コハク酸および無水ナジック酸から選ばれた少なくとも1種のジカルボン酸無水物であることを特徴とする請求項に記載の位相差薄膜用樹脂組成物。
  8. 透明基板上に赤、青、緑の各色の画素が二次元的に配列された液晶表示装置用カラーフィルター基板であって、請求項1〜に記載の位相差薄膜用樹脂組成物から形成された位相差薄膜が画素を被覆するように形成されていることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター基板。
  9. 請求項に記載の液晶表示装置用カラーフィルター基板を用いた液晶表示装置であって、該液晶表示装置の表示方式が、電圧無印加時に液晶分子が液晶セル面に対し略垂直な方向に配向しており、電圧印加時に液晶分子が液晶セル面に対し略平行な方向に配向する液晶表示方式であることを特徴とする液晶表示装置。
  10. 請求項1〜に記載の位相差薄膜用樹脂組成物を、透明基板上に赤、青、緑の各色の画素が二次元的に配列されたカラーフィルター基板の画素が配列された側の面に塗布し、熱処理することを特徴とする位相差薄膜付き液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法。
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