JP2011257527A - 液晶配向剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】長時間連続点灯した場合であっても、表示品位が劣化することのない液晶配向膜を形成することができ、少ない液量で印刷を行った場合でも印刷性に優れる液晶配向剤を提供すること。
【解決手段】上記液晶配向剤は、下記式(A”)で表される構造を有するポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する。
Figure 2011257527

(式(A”)中、XおよびXは単結合、エーテル結合またはエステル結合であり、XおよびXは、それぞれ独立に、エーテル結合またはエステル結合であり、Rはメチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基であり、a1、a2、a3およびa4は0または1であり、Rは水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基であり、a5は0〜14の整数であり、「*」は結合手であることを示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤に関する。さらに詳しくは、長時間連続駆動しても電気特性の悪化や液晶配向不良などの表示品位の低下が抑制され、且つ液晶表示素子製造工程における省液化塗布プロセスにおいて、良好な印刷性を与えることが可能な液晶配向剤に関する。
液晶表示素子としては、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型などに代表される、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を用いる水平配向モードの液晶表示素子のほか、負の誘電異方性を有するネマチック型液晶を用いる垂直(ホメオトロピック)配向モードのVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子が知られている。
このような液晶表示素子は、液晶分子を一定の方向に配向させる機能を有する液晶配向膜を具備している。この液晶配向膜を構成する材料としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルガノシロキサンなどが知られており、特にポリアミック酸またはポリイミドからなる液晶配向膜が、耐熱性、機械的強度、液晶分子との親和性に優れることなどから、古くから好ましく使用されている(特許文献1〜3)。
近年、液晶表示素子の高精細化を始めとする表示品位向上、低消費電力化などの検討が進み、液晶表示素子の利用範囲が拡大している。特に精緻な画像情報が送信されるデジタルテレビ放送の開始に伴い、ブラウン管テレビに代わる液晶テレビ用としての利用が急速に拡大している。このため、電気特性において従来よりも優れ、表示品位がより高度であるとともに、より長時間の連続駆動が可能な液晶表示素子が求められている。
しかしながら、従来知られている液晶配向膜を具備する液晶表示素子は、長時間の連続点灯において、熱や光によって液晶配向膜が劣化し、電気特性の悪化や液晶分子の配向不良といった表示品位を著しく低下させる問題が発生しやすいことが指摘されている。
そのため、長時間連続点灯した場合であっても、電気特性の悪化や液晶分子の配向不良といった表示品位が劣化することのない液晶配向膜の開発が待ち望まれている。
これに加えて近年では、液晶配向剤を有効利用するため、液晶配向剤の塗布プロセス(印刷工程)において使用される液晶配向剤の液量を低減する試みがなされている。しかしながら従来の配向剤では、液量を少なくして印刷すると、印刷中の液晶配向剤中の溶媒の蒸散に起因すると思われる、印刷不良や塗膜中に樹脂成分が析出するなどの異常が発生することがあり、問題となっている。そこで、液晶配向剤の省液化を達成しつつ膜質の品位を維持するために、少ない液量でも優れた印刷性を示す液晶配向剤が待ち望まれている。
ところで最近、新規なジアミンとしてビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン構造を有する化合物が提案され、液晶配向膜用途への適用が可能であると説明されている(特許文献4)。しかしながら本発明者らの検討によると、このような構造を有するジアミンを用いて合成された重合体からなる液晶配向膜は電圧保持率が極めて低いものであり、実用には適さないものであることが明らかとなっている。
特開平4−153622号公報 特開昭56−91277号公報 特開平11−258605号公報 特開2004−262889号公報 特開2010−97188号公報 特開平6−222366号公報 特開平6−281937号公報 特開平5−107544号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、長時間連続点灯した場合であっても、電気特性の悪化や液晶分子の配向不良といった表示品位が劣化することのない液晶配向膜を形成することができ、さらに少ない液量で印刷を行った場合でも印刷性に優れる液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明の上記目的および利点は、
下記式(A”)で表される構造を有するポリアミック酸および下記式(A”)で表される構造を有するポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する、液晶配向剤によって達成される。
Figure 2011257527
(式(A”)中、XおよびXは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合またはエステル結合であり、
およびXは、それぞれ独立に、エーテル結合またはエステル結合であり、
Rは、それぞれ独立に、メチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基であり、
a1、a2、a3およびa4は、それぞれ独立に、0または1であり、
は水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基であり、
a5は0〜14の整数であり、
「*」は結合手であることを示す。)
本発明の液晶配向剤は、少ない液量で印刷を行った場合でも優れた印刷性を示し、膜質およびその均一性に優れる液晶配向膜を形成することができる。また、本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、長時間連続駆動した場合であっても電気特性の悪化や液晶分子の配向不良などの表示品位を来たす劣化が抑制されたものである。
従って、かかる本発明の液晶表示素子から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子は、種々の装置に有効に適用することができ、例えば時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、携帯情報端末、デジタルカメラ、携帯電話、各種モニター、液晶テレビなどの表示装置に好適に用いることができる。
さらに、本発明の液晶配向剤から形成された膜は、種々の電子材料における絶縁膜としても好適に適用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶配向剤は、上記式(A”)で表される構造を有するポリアミック酸および上記式(A”)で表される構造を有するポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する。このような重合体を、本明細書において、以下、「特定重合体」という。該特定重合体において、上記式(A”)で表される構造は、重合体の主鎖中に存在していてもよく、重合体の側鎖中に存在していてもよく、あるいは重合体の主鎖および側鎖の双方に存在してもよい。
上記式(A”)におけるRの炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基などを;
炭素数1〜4のアルコキシル基としては、例えばメトキシル基、エトキシル基、イソプロポキシル基、イソブトキシル基などを;
炭素数2〜5のカルボキシアルキル基としては、例えばカルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシ−n−プロピル基、3−カルボキシ−2−メチル−プロピル基、4−カルボキシ−n−ブチル基などを、それぞれ挙げることができる。
上記式(A”)におけるa5は0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記式(A”)におけるX、X、XおよびXのうちのいずれかがエステル結合である場合、該エステル結合はどちらの方向を向いていてもよい。
a1およびa2がともに0である場合、Xはエーテル結合またはエステル結合であることが好ましく;
a3およびa4がともに0である場合、Xはエーテル結合またはエステル結合であることが好ましい。
上記式(A”)で表される構造としては、下記式(A’)
Figure 2011257527
(式(A’)中、X、X、X、X、R、a1、a2、a3、a4、Rおよびa5ならびに「*」は、それぞれ、上記式(A”)におけるのと同義である。))
で表される構造が好ましく、その具体例としては、例えば下記式(A’−1)〜(A’−12)
Figure 2011257527
Figure 2011257527
Figure 2011257527
(上記式中、「*」は結合手であることを表す。)
のそれぞれで表される構造を挙げることができる。
本発明における特定重合体は、上記の如き式(A”)で表される構造を、2.5×10−5モル/g以上有することが好ましく、2.5×10−5〜2.25×10−3モル/g有することがより好ましく、さらに1.25×10−4〜1.75×10−3g/モル有することが好ましい。
上記式(A”)で表される構造を有するポリアミック酸は、例えば
上記式(A”)で表される構造および2つのカルボン酸無水物基を有する化合物を含むテトラカルボン酸二無水物と、ジアミンと、を反応させるか、あるいは
テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A”)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物を含むジアミンと、を反応させることにより得ることができ、
上記式(A”)で表される構造を有するポリイミドは、例えば上記の如くして得られたポリアミック酸を脱水閉環することにより得ることができる。
本発明の液晶配向剤に含有される特定重合体としては、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A”)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物を含むジアミンと、を反応させて得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体であることが好ましい。
以下、本発明における好ましい特定重合体であるポリアミック酸およびポリイミドについて、順に説明する。
<ポリアミック酸>
上記のとおり、本発明における好ましいポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A”)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物を含むジアミンと、を反応させることにより、得ることができる。
[テトラカルボン酸二無水物]
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンなどを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを、それぞれ挙げることができるほか、
特許文献5(特開2010−97188号公報)に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物および芳香族テトラカルボン酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および、ピロメリット酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましく、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンよりなる群から選択される少なくとも一種であることが特に好ましい。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンからなる群から選ばれる少なくとも一種を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、10モル%以上含むものであることが好ましく、20モル%以上含むものであることがより好ましく、特に40モル%以上含むものであることがより好ましい。
[ジアミン]
本発明の液晶配向剤における好ましいポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A”)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物(以下、「ジアミン(A)」という。)を含むものである。
ジアミン(A)としては、上記式(A”)で表される構造および2つのアミノ基を有する芳香族ジアミンであることが好ましく、例えば下記式(A0)
Figure 2011257527
(式(A0)中、X、X、X、X、R、R、a1、a2、a3、a4およびa5は、それぞれ、上記式(A”)におけるのと同義であり、
は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基であり、
a6は、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
で表される化合物を例示することができる。
上記式(A0)におけるRの炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基および炭素数2〜5のカルボキシアルキル基は、それぞれ、上記式(A”)におけるRについて例示したものと同様のものであることができる。
上記式(A0)におけるa6は、それぞれ、0であることが好ましい。
上記式(A0)の左右に存在する2つの(置換)アミノフェニル基におけるアミノ基の位置は、XまたはXに対して、3位または4位であることが好ましい。
ジアミン(A)としては、上記式(A’)で表される構造および2つのアミノ基を有する芳香族ジアミンであることがより好ましく、例えば下記式(A)
Figure 2011257527
(式(A)中、X、X、X、X、R、R、a1、a2、a3、a4およびa5は、それぞれ、上記式(A”)におけるのと同義であり、
およびa6は、それぞれ、上記式(A0)におけるのと同義である。)
で表される化合物を、さらに好ましい例として挙げることができる。
上記式(A)の左右に存在する2つの(置換)アミノフェニル基におけるアミノ基の位置は、XまたはXに対して、3位または4位であることが好ましい。
本発明において使用されるジアミン(A)の特に好ましい具体例としては、例えば下記式(A−1)〜(A−14)
Figure 2011257527
Figure 2011257527
Figure 2011257527
のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
このようなジアミン(A)は、有機化学の定法を適宜に組み合わせることにより合成することができる。例えば上記式(A−1)で表される化合物は、1,3−アダマンタンジオールと2当量の4−フルオロニトロベンゼンとを反応させて1,3−ビス(4−ニトロフェノキシ)アダマンタンとし、次いで適当な還元系を用いてニトロ基をアミノ化することにより、合成することができる。ここで、1,3−アダマンタンジオールの代わりに1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタンを用いることにより、上記式(A−6)で表される化合物を得ることができ;
1,3−アダマンタンジオールの代わりに1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタンを用い、さらに4−フルオロニトロベンゼンの代わりに3−フルオロニトロベンゼンを用いることにより、上記式(A−14)で表される化合物を得ることができる。
上記式(A−2)で表される化合物は、1,3−アダマンタンジオールと2当量の無水こはく酸とを反応させて得た1,3−ビス(2−カルボキシプロパノイルオキシ)アダマンタンを塩化チオニルとさらに反応させて酸塩化物とした後、2当量の4−ニトロフェノールを反応させて得た化合物のニトロ基をアミノ化することにより、得ることができる。
上記式(A−4)で表される化合物は、1,3−アダマンタンジオールと2当量の4−ニトロベンゾイルクロリドとを反応させて1,3−ビス(4−ニトロベンゾイルオキシ)アダマンタンとし、次いで適当な還元系を用いてニトロ基をアミノ化することにより、合成することができる。ここで、1,3−アダマンタンジオールの代わりに1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタンを用いることにより、上記式(A−9)で表される化合物を得ることができ;
4−フルオロニトロベンゼンの代わりに3−フルオロニトロベンゼンを用いることにより、上記式(A−13)で表される化合物を得ることができる。
上記式(A−5)で表される化合物は、4−ニトロフェノールと1,2−ジブロモエタンとの反応により得られる化合物の2当量を、1,3−アダマンタンジオールと反応させてジニトロ化合物を得て、該ジニトロ化合物の有するニトロ基をアミノ化することにより得ることができる。ここで、1,3−アダマンタンジオールの代わりに1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタンを用いることにより、上記式(A−10)で表される化合物を得ることができる。
上記式(A−7)で表される化合物は、上記式(A−2)で表される化合物の合成において、1,3−アダマンタンジオールの代わりに1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタンを用いる方法によるか、あるいは
4−ニトロフェノールと無水コハク酸との反応により得られる化合物の2当量を、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタンと反応させてジニトロ化合物を得て、該ジニトロ化合物の有するニトロ基をアミノ化する方法によって、得ることができる。
上記式(A−11)で表される化合物は、1,3−アダマンタンジカルボン酸と2当量の4−フルオロニトロベンゼンを反応させて1,3−アダマンタンジカルボン酸のジ(4−ニトロフェニル)エステルとし、次いでこのジエステル化合物の有するニトロ基をアミノ化することにより、得ることができる。
上記式(A−12)で表される化合物は、4−ニトロフェノールと2−ブロモエタノールとを反応させて得た化合物の2当量を1,3−アダマンタンジカルボン酸と反応させて1,3−アダマンタンジカルボン酸のジ(2−(4−ニトロフェノキシ)エチル)エステルとし、次いでこのジエステル化合物の有するニトロ基をアミノ化することにより、得ることができる。
本発明で使用されるジアミン(A)としては、化合物の合成上の容易性の観点からは、上記式(A−2)、(A−4)〜(A−7)および(A−9)〜(A−12)のそれぞれで表される化合物が好ましく、上記式(A−6)、(A−7)および(A−9)〜(A−12)のそれぞれで表される化合物がより好ましい。形成される液晶配向膜の耐熱性の観点からは、上記式(A−1)、(A−4)、(A−6)、(A−9)および(A−11)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。一方、得られる液晶配向剤の印刷性の観点からは、上記式(A−1)、(A−4)、(A−6)、(A−9)および(A−11)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましく、上記式(A−1)、(A−4)、(A−6)および(A−11)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される1種以上を使用することがより好ましい。
本発明における好ましいポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンとしては、ジアミン(A)のみを単独で用いてもよく、ジアミン(A)とその他のジアミンとを組み合わせて用いてもよい。
ここで使用することのできるその他のジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えば1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
芳香族ジアミンとして、例えばo−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、1−(2,4−ジアミノフェニル)ピペラジン−4−カルボン酸、4−(モルホリン−4−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,3−ビス(N−(4−アミノフェニル)ピペリジニル)プロパン、N,N−ジアリル−ジアミノアニリン、α−アミノ−ω−アミノフェニルアルキレン、下記式(D−1)
Figure 2011257527
(式(D−1)中、XおよびXIIは、それぞれ、単結合、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手が式(D−I)の左方向を向く。)であり、Rはメチレン基または炭素数2もしくは3のアルキレン基であり、aは0または1であり、bは0〜2の整数であり、ただしaおよびbが同時に0になることはなく、cは1〜20の整数である。)
で表される化合物などを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができ、これらのうちから選択される少なくとも1種のジアミン(以下、「他の特定ジアミン」という。)を使用することができるほか、
これらとともに、あるいはこれらに代えて特許文献5(特開2010−97188号公報)に記載のジアミンを挙げることができる。
上記式(D−1)におけるX−R−XII−で表される2価の基としてはメチレン基、炭素数2もしくは3のアルキレン基、−O−、−COO−または−O−CHCH−O−(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。基C2c+1−の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。ジアミノフェニル基における2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位または3,5−位にあることが好ましい。
上記式(D−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(D−1−1)〜(D−1−3)
Figure 2011257527
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
本発明において用いられる他のジアミンとしては、他の特定ジアミンを使用することが好ましく、特にp−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、1−(2,4−ジアミノフェニル)ピペラジン−4−カルボン酸、4−(モルホリン−4−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼンおよび3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニルよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
本発明の液晶配向剤に好ましく含有されるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、ジアミン(A)を、全ジアミンに対して、1モル%以上含むものであることが好ましく、1〜90モル%含むものであることがより好ましく、5〜70モル%含むものであることがさらに好ましく、特に10〜50モル%含むものであることが好ましい。また、好ましいポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、ジアミン(A)のほかに、上記の如き他の特定ジアミンを含むものであることが好ましい。この場合における他の特定ジアミンの使用割合としては、全ジアミンに対して、1〜99モル%であることが好ましく、30〜95モル%であることがより好ましく、特に50〜90モル%であることが好ましい。
本発明の液晶配向剤に好ましく含有されるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、ジアミン(A)のみからなるか、あるいはジアミン(A)および他の特定ジアミンのみからなるものであることが好ましい。
[ポリアミック酸の合成]
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン(A)を含むジアミンとを反応させることにより得られる。
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間行われる。
ポリアミック酸の合成に際して使用することのできる有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノールおよびその誘導体、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。上記非プロトン性極性溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを;
上記フェノール誘導体としては、例えばm−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノールなどを;
上記アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどを;
上記ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどを;
上記エステルとしては、例えば乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチルなどを;
上記エーテルとしては、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフランなどを;
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼンなどを;
上記炭化水素としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを、それぞれ挙げることができる。
これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒ならびにフェノールおよびその誘導体よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される1種以上、または前記第一群の有機溶媒から選択される1種以上とアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素および炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される1種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒および第二群の有機溶媒の合計に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに30重量%以下であることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。
この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
ポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドとする場合には、上記反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで脱水閉環反応に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで脱水閉環反応に供してもよい。
ポリアミック酸の単離は、上記反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥する方法、あるいは、反応溶液中の溶媒をエバポレーターで減圧留去する方法により行うことができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解し、次いで貧溶媒で析出させる方法、あるいは、ポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解して得た溶液を洗浄後、再びエバポレーターで減圧留去する工程を1回または数回行う方法により、ポリアミック酸を精製することができる。
<ポリイミド>
本発明の液晶配向剤に含有されることのできるポリイミドは、上記の如くして得られたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
本発明の液晶配向剤に好ましく含有されるポリイミドは、原料であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。本発明の液晶配向剤に好ましく含有されるポリイミドは、そのイミド化率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、特に50〜90%であることが好ましい。上記イミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくは(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるポリイミドの分子量が低下することがある。反応時間は好ましくは1.0〜24時間であり、より好ましくは1.0〜12時間である。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用割合は、所望するイミド化率によるが、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用割合は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。イミド化率は上記の脱水剤、脱水閉環剤の使用割合が多いほど高くすることができる。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
上記方法(i)において得られるポリイミドは、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、あるいは得られるポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。一方、上記方法(ii)においてはポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除くには、例えば溶媒置換などの方法を適用することができる。ポリイミドの単離、精製は、ポリアミック酸の単離、精製方法として上記したのと同様の操作を行うことにより行うことができる。
−末端修飾型の重合体−
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸およびポリイミドは、それぞれ分子量が調節された末端修飾型の重合体であってもよい。末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損なわれることなく液晶配向剤の塗布特性などをさらに改善することができる。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、適当な分子量調節剤を重合反応系に添加することにより行うことができる。分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
上記酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。上記モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。上記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、ポリアミック酸を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計100重量部に対して好ましくは20重量以下であり、より好ましくは10重量部以下である。
−溶液粘度−
以上のようにして得られるポリアミック酸およびポリイミドは、それぞれ濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
<その他の添加剤>
本発明の液晶配向膜は、上記の如き特定重合体を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えばその他の重合体、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物などを挙げることができる。
[その他の重合体]
上記その他の重合体は、溶液特性および電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体は、特定重合体以外の重合体であり、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミン(A)を含まないジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」という。)、該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミド(以下、「他のポリイミド」という。)、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、他のポリアミック酸または他のポリイミドが好ましい。
その他の重合体の使用割合としては、重合体の合計(上記の特定重合体およびその他の重合体の合計をいう。以下同じ。)に対して、好ましくは85重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは40重量%以下であり、特に30重量%以下であることが好ましく、就中その他の重合体を使用しないことが好ましい。
[エポキシ化合物]
上記エポキシ化合物としては、分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物であることが好ましく、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミンなどを好ましいものとして挙げることができる。
これらエポキシ化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。
[官能性シラン化合物]
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン含有化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.2重量部以下である。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記の如き特定重合体および必要に応じて任意的に配合されるその他の添加剤が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10℃〜50℃であり、より好ましくは20℃〜30℃である。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備するものである。
本発明の液晶表示素子は、例えば以下(1)ないし(3)の工程により製造することができる。工程(1)は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程(2)および(3)は各動作モードに共通である。
(1)先ず基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(1−1)TN型、STN型またはVA型液晶表示素子を製造する場合、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法またはインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布し、次いで、各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができ、パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後フォト・エッチングによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成するべき面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止等の目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じてポリアミック酸を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。この焼成(ポストベーク)温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃であるポストベーク時間は好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして、形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
(1−2)一方、IPS型液晶表示素子を製造する場合、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜が設けられている基板の導電膜形成面と、導電膜が設けられていない対向基板の一面とに本発明の液晶配向剤をそれぞれ塗布し、次いで各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。
このとき使用される基板および透明導電膜の材質、透明導電膜のパターニング方法、基板の前処理ならびに液晶配向剤の塗布方法および塗布後の加熱方法については上記(1−1)と同様である。
形成される塗膜の好ましい膜厚は、上記(1−1)と同様である。
(2)本発明の方法により製造される液晶表示素子がVA型の液晶表示素子である場合には、上記のようにして形成された塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、所望に応じて次に述べるラビング処理を行った後に使用に供してもよい。
一方、VA型以外の液晶表示素子を製造する場合には、上記のようにして形成された塗膜にラビング処理を施すことにより液晶配向膜とする。
ラビング処理は、上記のようにして形成された塗膜面に対し、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることにより行うことができる。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。
さらに、上記のようにして形成された液晶配向膜に対し、例えば特許文献6(特開平6−222366号公報)や特許文献7(特開平6−281937号公報)に記載された如き、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、特許文献8(特開平5−107544号公報)に記載された如くに、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成したうえで先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにすることによって得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより、液晶セルを製造する。ここで、塗膜に対してラビング処理を行った場合には、2枚の基板は、各塗膜におけるラビング方向が互いに所定の角度、例えば直交または逆平行となるように対向配置される。
液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができ、これらのうちネマティック型液晶が好ましい。VA型液晶セルの場合、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などが用いられる。TN型液晶セルまたはSTN型液晶セルの場合には、正の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名C−15、CB−15(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、さらに添加して使用してもよい。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。以下の合成例における重合体の溶液粘度およびポリイミドのイミド化率は以下の方法により評価した。
[重合体の溶液粘度]
重合体の溶液粘度(mPa・s)は、それぞれ重合体濃度10重量%に調整したN−メチルピロリドン溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
重合体のイミド化率は、各合成例で得られたポリイミド溶液の少量を純水に投入し、生成した沈殿を回収して室温で十分に減圧乾燥した後、これを重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で測定したH−NMRスペクトルから、下記数式(1)によって求めた。
イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 (1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
<ジアミン(A)の合成例>
合成例A1
下記スキーム1
Figure 2011257527
に従って、上記式(A−1)で表される化合物(以下、「化合物(A−1)」という。)を合成した。
1,3−アダマンタンジオール0.30mol(50.47g)、水素化ナトリウム(50重量%オイル懸濁液)0.66mol−NaH(懸濁液として31.68g)、トルエン540mlおよびN,N−ジメチルホルムアミド360mlを混合し、80℃において1時間撹拌下に反応を行った。次いで、反応混合物を20℃まで冷却した後、ここに、4−フルオロニトロベンゼン0.63mol(88.89g)のN,N−ジメチルホルムアミド180mL溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃において64時間撹拌下に反応を行った。反応混合物を5℃まで冷却した後、ここに、蒸留水2,700mLを加え、ジクロロメタン1,800mLで抽出した。ジクロロメタン層を蒸留水1,500mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物1を0.19mol(77.98g)得た。
窒素雰囲気下、上記の化合物1の0.19mol(77.98g)、Pd/C(パラジウムカーボン)3.35g、テトラヒドロフラン300mLおよびエタノール300mLを混合し、60℃で撹拌した。次いでここに、ヒドラジン一水和物47.6mLを1時間かけて滴下した後、60℃において4時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、セライトろ過により反応混合物からPd/Cを除去した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−1)0.17mol(59.57g)を得た。
合成例A2
下記スキーム2
Figure 2011257527
に従って、上記式(A−2)で表される化合物(以下、「化合物(A−2)」という。)を合成した。
窒素雰囲気下、1,3−アダマンタンジオール0.30mol(50.47g),こはく酸無水物0.60mol(60.04g)、4−ジメチルアミノピリジン26.0mmol(3.18g)、酢酸エチル400mLおよびトリエチルアミン0.36mol(49.9mL)を混合し、還流下で18時間撹拌下に反応を行った。反応混合物から減圧下で溶媒を除去した後、残存物にクロロホルム800mLを加え、希塩酸400mLで1回および蒸留水400mLで2回、順次に洗浄した。洗浄後のクロロホルム層を硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄した後乾燥し、化合物2を0.22mol(81.04g)得た。
化合物2の0.22mol(81.04g)、塩化チオニル176mLおよび触媒量のジメチルホルムアミドを混合し、80℃において1時間撹拌下に反応を行った。水流式アスピレーターを用いて減圧することにより、反応混合物から未反応の塩化チオニルを除去した後、塩化メチレン300mLを加えた。得られた溶液を蒸留水60mLに3回通した後、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を除去した。残存物にテトラヒドロフラン200mLを加えて、溶液(1)とした。
4−ニトロフェノール0.46mol(63.99g)、テトラヒドロフラン400mLおよびトリエチルアミン0.66mol(91.5mL)を混合し、氷浴下で撹拌した。ここに、上記溶液(1)を1時間かけて滴下した後、25℃において4時間撹拌下に反応を行った。反応混合物に酢酸エチル1,200mLを加え、蒸留水500mLで4回洗浄した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物3を0.20mmol(122.11g)得た。
窒素雰囲気下、化合物3の0.20mol(122.11g)、亜鉛4.00mol(261.56g)、塩化アンモニウム0.80mol(42.79g)、エタノール720mLおよびテトラヒドロフラン720mLを混合し、0℃において撹拌した。ここに蒸留水100mLを添加した後、25℃において8時間撹拌して反応を行った。セライトろ過により反応混合物から触媒系を除去した後、酢酸エチル1,200mLを加えて得た溶液を蒸留水800mLで4回洗浄した。洗浄後の溶液から減圧下で溶媒を除去後、得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−2)0.14mol(77.08g)を得た。
合成例A3
下記スキーム3
Figure 2011257527
に従って、上記式(A−4)で表される化合物(以下、「化合物(A−4)」という。)を合成した。
1,3−アダマンタンジオール0.5mol(84.12g)、トリエチルアミン1.50mol(207.9mL)およびテトラヒドロフラン1,200mLを混合し、氷浴下で撹拌した。ここに、4−ニトロベンゾイルクロリド1.05mol(194.84g)およびテトラヒドロフラン600mLからなる溶液を2時間かけて滴下した後、25℃において4時間撹拌下に反応を行った。次いで反応混合物に酢酸エチル2,500mLを加え、蒸留水1,000mLで4回洗浄した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物4を0.39mol(181.91g)得た。
窒素雰囲気下、化合物4の0.39mol(181.91g)、Pd/C 6.87g、テトラヒドロフラン600mLおよびエタノール600mLを混合し、60℃において撹拌した。ここにヒドラジン一水和物97.6mLを1時間かけて滴下した後、60℃において4時間撹拌下に反応を行った。セライトろ過により反応混合物からPd/Cを除去した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−4)0.33mol(134.14g)を得た。
合成例A4
下記スキーム4
Figure 2011257527
に従って、上記式(A−6)で表される化合物(以下、「化合物(A−6)」という。)を合成した。
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン0.60mol(117.78g)、4−フルオロニトロベンゼン1.32mol(186.26g)、炭酸カリウム2.40mol(331.70g)およびジメチルホルムアミド1,000mLを混合し、80℃において18時間撹拌下に反応を行った。反応混合物に蒸留水1,000mLを加え、析出物(固体)をろ取により回収した。得られた固体を十分に水洗した後、エタノールから再結晶することにより、化合物5を0.56mol(245.54g)得た。
窒素雰囲気下、上記化合物5の0.56mol(245.54g)、Pd/C 9.86g、テトラヒドロフラン900mLおよびエタノール900mLを混合し、25℃において撹拌した。ヒドラジン一水和物140.2mLを2時間かけて滴下した後、25℃において24時間撹拌下に反応を行った。セライトろ過により反応混合物からPd/Cを除去した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−6)0.52mol(196.82g)を得た。
合成例A5
下記スキーム5(1)および5(2)
Figure 2011257527
Figure 2011257527
に従って、上記式(A−7)で表される化合物(以下、「化合物(A−7)」という。)を合成した。
4−ニトロフェノール0.75mol(104.33g)、こはく酸無水物1.50mol(150.11g)、4−ジメチルアミノピリジン0.09mol(11.00g)、酢酸エチル1,500mLおよびトリエチルアミン0.9mol(124.8mL)を混合し、25℃において6時間撹拌下に反応を行った。反応混合物に酢酸エチル750mLを追加した後、希塩酸1,500mLで2回および蒸留水1,500mLで順次に3回洗浄した。洗浄後の反応混合物から減圧下で溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフ(展開溶媒:クロロホルム/エタノール=20/1(体積比))にアプライし、該当留分から減圧下で溶媒を除去することにより、化合物6を0.57mol(136.33g)得た。
上記化合物6の0.53mol(126.77g)、塩化チオニル200mLおよび触媒量のジメチルホルムアミドを混合し、80℃において1時間撹拌下に反応を行った。水流式アスピレーターで減圧して反応混合物から未反応の塩化チオニルを除去した後、塩化メチレン800mLを加えて溶液とした。この溶液を蒸留水160mLに3回通した後、硫酸マグネシウムで脱水した。次いで脱水後の溶液から減圧下で溶媒を除去した後、テトラヒドロフラン500mLを加えて溶液(2)とした。
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン0.25mol(49.07g)、テトラヒドロフラン500mLおよびトリエチルアミン0.75mol(104.0mL)を混合し、氷浴下で攪拌した。ここに、上記溶液(2)を1時間かけて滴下した後、25℃において3時間撹拌下に反応を行った。反応混合物に酢酸エチル3,000mLを加えた後、蒸留水1,000mLで4回洗浄した。洗浄後の反応混合物から減圧下で溶媒を除去して得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物7を0.19mol(121.34g)得た。
窒素雰囲気下、上記化合物7の0.19mol(121.34g)、亜鉛3.80mol(248.48g)、塩化アンモニウム0.76mol(40.65g)、エタノール680mLおよびテトラヒドロフラン680mLを混合し、0℃において攪拌した。ここに蒸留水95mLを添加した後、25℃において8時間撹拌下に反応を行った。セライトろ過により反応混合物から不溶の触媒を除去した。次いで、ここに酢酸エチル1,200mLを加え、蒸留水800mLで4回洗浄した後、減圧下で溶媒を除去して得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−7)0.16mol(87.46g)を得た。
合成例A6
下記スキーム6
Figure 2011257527
に従って、上記式(A−9)で表される化合物(以下、「化合物(A−9)」という。)を合成した。
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン0.5mol(98.15g)、トリエチルアミン1.50mol(207.9mL)およびテトラヒドロフラン1200mLを混合し、氷浴下で攪拌した。ここに、4−ニトロベンゾイルクロリド1.05mol(194.84g)およびテトラヒドロフラン600mLからなる溶液を2時間かけて滴下した後、25℃において4時間撹拌下に反応を行った。反応混合物に酢酸エチル2,500mLを加え、蒸留水1,000mLで4回洗浄した後、減圧下で溶媒を除去して得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物8を0.41mol(202.74g)得た。
窒素雰囲気下、上記化合物8の0.41mol(202.74g)、Pd/C 7.22g、テトラヒドロフラン630mLおよびエタノール630mLを混合し、60℃において攪拌した。ここに、ヒドラジン一水和物102.6mLを1時間かけて滴下した後、60℃において4時間撹拌下に反応を行った。セライトろ過により反応混合物からPd/Cを除去した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−9)0.34mol(147.74g)を得た。
合成例A7
下記スキーム7
Figure 2011257527
に従って、上記式(A−11)で表される化合物(以下、「化合物(A−11)」という。)を合成した。
1,3−アダマンタンジカルボン酸0.5mol(112.13g)、塩化チオニル400mLおよび触媒量のジメチルホルムアミドを混合し、80℃において1時間撹拌下に反応を行った。水流式アスピレーターで減圧して反応混合物から未反応の塩化チオニルを除去した後、塩化メチレン680mLを加えて溶液とした。この溶液を蒸留水150mLに3回通した後、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を除去して固体を得た。この固体をテトラヒドロフラン450mLに溶解し、溶液(3)とした。
4−ニトロフェノール1.05mol(146.07g)、テトラヒドロフラン800mL、トリエチルアミン1.50mol(207.9mL)を混合し、氷浴下で攪拌した、ここに、上記の溶液(3)を1時間かけて滴下した後、25℃において4時間撹拌下に反応を行った。反応混合物に酢酸エチル2,800mLを加え、蒸留水1,200mLで4回洗浄した後、減圧下で溶媒を除去して固体を得た。得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物9を0.41mmol(191.24g)得た。
窒素雰囲気下、上記化合物9の0.41mol(191.24g)、亜鉛8.20mol(536.20g)、塩化アンモニウム1.64mol(87.72g)、エタノール1,500mLおよびテトラヒドロフラン1,500mLを混合し、0℃において攪拌した。ここに蒸留水200mLを添加した後、25℃において8時間撹拌下に反応を行った。セライトろ過により反応混合物から不溶の触媒を除去した後、酢酸エチル2,500mLを加えて得た溶液を蒸留水1,500mLで4回洗浄した。洗浄後の溶液から減圧下で溶媒を除去して得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−11)0.29mol(117.88g)を得た。
合成例A8
下記スキーム8(1)および8(2)
Figure 2011257527
Figure 2011257527
に従って、上記式(A−12)で表される化合物(以下、「化合物(A−12)」という。)を合成した。
4−ニトロフェノール0.5mol(69.56g)、炭酸カリウム0.75mol(103.66g)、2−ブロモエタノール0.75mol(53.6mL)およびアセトニトリル500mLを混合し、85℃において24時間撹拌下に反応を行った。反応混合物に酢酸エチル1、500mLを加えて得た溶液を蒸留水1,000mLで4回洗浄した。洗浄後の溶液から減圧下で溶媒を除去して得た固体をカラムクロマトグラフ(展開溶媒:クロロホルム/エタノール=20/1(体積比))にアプライし、該当留分から減圧下で溶媒を除去することにより、化合物10を0.48mol(87.92g)得た。
1,3−アダマンタンジカルボン酸0.2mol(44.85g)、塩化チオニル160mLおよび触媒量のジメチルホルムアミドを混合し、80℃において1時間撹拌下に反応を行った。水流式アスピレーターで減圧して反応混合物から未反応の塩化チオニルを除去した後、塩化メチレン270mLを加えて溶液とした。この溶液を蒸留水60mLに3回通した後、硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を除去して固体を得た。この固体をテトラヒドロフラン180mLに溶解し、溶液(4)とした。
上記化合物10の0.42mol(76.93g)、テトラヒドロフラン320mLおよびトリエチルアミン0.60mol(83.2mL)を混合し、氷浴下で攪拌した、ここに上記溶液(4)を1時間かけて滴下した後、25℃において4時間撹拌下に反応を行った。反応混合物に酢酸エチル1,200mLを加えて得た溶液を蒸留水500mLで4回洗浄した後、減圧下で溶媒を除去して得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物11を0.15mmol(83.17g)得た。
窒素雰囲気下、上記化合物11の0.15mol(83.17g)、Pd/C 2.64g、テトラヒドロフラン240mLおよびエタノール240mLを混合し、25℃において攪拌した。ここにヒドラジン一水和物37.6mLを1時間かけて滴下した後、25℃において24時間撹拌下に反応を行った。セライトろ過により反応混合物からPd/Cを除去した後、減圧下で溶媒を除去して得られた固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−12)0.13mol(64.30g)を得た。
<特定重合体の合成>
合成例P1〜P16
N−メチル−2−ピロリドンに、第1表に示す種類および量のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を、表に記載の順で加えて、モノマー濃度20重量%の溶液とし、60℃において4時間の反応を行うことにより、ポリアミック酸(PA−1)〜(PA−16)を含有する溶液をそれぞれ得た。各溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度を第1表に示した。
これらポリアミック酸溶液のうちの各半量を確保し、それぞれ、以降の実施例1〜15、31および32ならびに比較例1で使用した。
上記各ポリアミック酸溶液の残りの半量に、ピリジンおよび無水酢酸を、それぞれポリアミック酸の有するアミック酸単位1モルに対して第1表に記載のモル比となるように添加した後、110℃に加熱して4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、ポリイミド(PI−1)〜(PI−16)をそれぞれ約16重量%含有する溶液を得た。これらポリイミド溶液に含まれる各ポリイミドのイミド化率およびポリイミド濃度10重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液として測定した溶液粘度を、それぞれ第1表に示した。
これらポリイミド溶液は、それぞれ、以降の実施例16〜32および比較例2で使用した。
なお、合成例P16は比較合成例である。
Figure 2011257527
Figure 2011257527
第1表中、ジアミンおよびテトラカルボン酸無水物の略称は、それぞれ以下の意味である。
<ジアミン>
[ジアミン(A)]
欄に記載の記号は、上記合成例A1〜A8で合成した化合物の記号に相当する。
[その他のジアミン]
d−1:3,5−ジアミノ安息香酸
d−2:コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン
d−3:3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
d−4:p−フェニレンジアミン
d−5:1−(2,4−ジアミノフェニル)ピペラジン−4−カルボン酸
d−6:4−(モルホリン−4−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン
d−7:4,4−ジアミノベンズアニリド
<テトラカルボン酸二無水物>
t−1:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
t−2:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
t−3:1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン
<液晶配向剤の調製および評価>
実施例1
(I)液晶配向剤の調製
(1)印刷性評価用液晶配向剤の調製
上記合成例P1で得られたポリアミック酸(PA−1)100重量部を含有する溶液に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=70:30(重量比)、固形分濃度6.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、印刷性評価用液晶配向剤を調製した。
(2)液晶表示素子製造用液晶配向剤の調製
上記印刷性評価用液晶配向剤の調製において、ろ過前の溶液の固形分濃度を4.0重量%としたほかは上記と同様にして、液晶表示素子製造用液晶配向剤を調製した。
(II)液晶配向剤の評価
上記で調製した2種の配向剤につき、それぞれ以下の方法により評価を行った。
(1)印刷性の評価
(1−1)塗布性の評価
上記で調製した印刷性評価用液晶配向剤につき、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてアニックスロールへの液晶配向剤滴下量を往復15滴(約0.15g)の条件にて、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布した。ここで上記の液晶配向剤滴下量は同型の印刷機において通常採用される滴下量(往復30滴、約0.3g)と比較して液量が少なく、より厳しい印刷条件である。液晶配向剤塗布後の基板を80℃において1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、180℃において10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察してハジキおよび塗布ムラの有無を調べ、双方とも観察されなかった場合を印刷性「良好」とし、どちらかが観察された場合を印刷性「不良」として評価した。評価結果を第2表に示した。
(1−2)膜厚均一性の評価
上記で形成した塗膜につき、触針式膜厚計(KLAテンコール社製)を用いて基板の中央における膜厚と塗膜の外側端から15mm中央に寄った位置における膜厚とをそれぞれ測定し、両者の膜厚差を調べた。この値を第2表に示した。
この膜厚差が25Å以下であれば膜厚均一性は優良(非常に良好)、25Åを超えて50Å以下であれば膜厚均一性は良好であるといえる。
(2)液晶表示素子の製造
厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記で調製した液晶表示素子製造用液晶配向剤をスピンナーにより塗布し、ホットプレート上で80℃1分間のプレベークを行い、次いで220℃において15分間ポストベークすることにより、平均膜厚800Åの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を2枚(一対)製造した。
これらの一対の基板のうちの1枚につき、液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を貼り合わせることにより、垂直配向型の液晶表示素子を製造した。
(3)耐熱性の評価
上記で製造した液晶表示素子に対し、70℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を、(株)東陽テクニカ製の「VHR−1」により測定した。このときの数値を初期電圧保持率(VHRBF)とした。
次いで初期電圧保持率測定後の液晶セルに対し、100℃の環境温度で1000時間熱ストレスを与えた。
熱ストレス後の液晶セルにつき、上記と同様の方法により再度電圧保持率を測定した。このときの数値を光照射後電圧保持率(VHRAF)とした。
上記で測定したVHRBFからVHRAFを減じて、光照射前後の電圧保持率の変化(△VHF)を求めた。これらの値を第2表に示した。
この変化が2.0%未満であった場合には耐熱性は優良(非常に良好)、2.0%以上5.0%未満であった場合には耐熱性良好、5.0%以上であった場合には、耐熱性は不良であるといえる。
実施例2〜32ならびに比較例1および2
重合体を含有する溶液として、第2表に示した重合体を含有する溶液をそれぞれ用い、第2表に特記した場合には液晶配向剤の調製において重合体溶液にNMPおよびBCを加えた後に第2表に特記した種類および量のエポキシ化合物をさらに加えたほかは、実施例1と同様にしてそれぞれ2種類ずつの液晶配向剤を調製して評価した。評価結果は第2表に示した。
なお、実施例31および32においては、液晶配向剤中の重合体の混合比が第2表に記載した値となるように、2種類の重合体溶液を混合して使用した。
Figure 2011257527
Figure 2011257527
第2表中、エポキシ化合物の略称は、それぞれ以下の意味である。
G1:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
G2:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン

Claims (6)

  1. 下記式(A”)で表される構造を有するポリアミック酸および下記式(A”)で表される構造を有するポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
    Figure 2011257527
    (式(A”)中、XおよびXは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合またはエステル結合であり、
    およびXは、それぞれ独立に、エーテル結合またはエステル結合であり、
    Rは、それぞれ独立に、メチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基であり、
    a1、a2、a3およびa4は、それぞれ独立に、0または1であり、
    は水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基であり、
    a5は0〜14の整数であり、
    「*」は結合手であることを示す。)
  2. 上記重合体が、
    テトラカルボン酸二無水物と
    下記式(A0)
    Figure 2011257527
    (式(A0)中、X、X、X、X、R、R、a1、a2、a3、a4およびa5は、それぞれ、上記式(A”)におけるのと同義であり、
    は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、カルボキシル基または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基であり、
    a6は、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
    で表される化合物を含むジアミンと
    を反応させて得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 請求項1または2に記載の液晶配向剤から形成されたことを特徴とする、液晶配向膜。
  4. 請求項3に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
  5. 上記式(A”)で表される構造を有することを特徴とする、ポリアミック酸。
  6. 上記式(A”)で表される構造を有することを特徴とする、ポリイミド。
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