JP6394046B2 - ワニス、積層体、および積層体の製造方法 - Google Patents

ワニス、積層体、および積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明性及び機械特性に優れ、熱膨張率が低いポリイミド膜を形成する際に有用なワニス、このワニスを用いて得られる積層体、及びこの積層体の製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにおいては、薄型化、軽量化、フレキシブル化が求められてきている。
このため、このような用途に用いられる透明基材として、極めて薄いガラスフィルムを用いることが提案されている。
例えば、特許文献1には、フィルム厚200μm以下のガラスフィルムをロール状に巻き取った特定のガラスロールが記載されている。また、特許文献1には、そのガラスフィルムが、ディスプレイ用基板として用いられることも記載されている。
また、耐熱性や透明性に優れる樹脂としてポリイミドが知られている。
例えば、特許文献2には、特定の脂環式構造を有する、ガラス転移温度が高く、透明性に優れ、低吸水率のポリイミドが記載されている。
特開2011−042508号公報 特開2007−284414号公報
特許文献1に記載のガラスフィルムを基材として用いる際、ガラスフィルム表面に樹脂層を設けて積層フィルムにすることで、ガラスフィルムが破損し難くなると考えられる。
しかしながら、この樹脂層の材料として、特許文献2に記載のポリイミドを用いた場合、ガラスフィルムに比べて樹脂層の熱膨張率が大きくなり易く、積層フィルムに熱負荷がかかった時に、積層フィルムが反ったり、樹脂層がガラスフィルムから剥離したりすることがあった。
また、ポリイミド鎖中に、π結合が広がってなる剛直構造を導入することにより、ポリイミドの熱膨張率を低くすることができるが、この場合、ポリイミド膜が黄みを帯びたり、ポリイミドの溶解性の問題で、適当な濃度のワニスを調製できなかったりするという問題があった。
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、透明性及び機械特性に優れ、熱膨張率が低いポリイミド膜を形成する際に有用なワニス、このワニスを用いて得られる積層体、及びこの積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく、ポリイミドと、これを用いて得られるポリイミド膜について鋭意検討した。その結果、特定の剛直構造を有する繰り返し単位を有するポリイミドを含有するワニスを用いて、特定の方法により形成されたポリイミド膜は、透明性及び機械特性に優れ、熱膨張率が低いことを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔2〕のワニス、〔3〕〜〔4〕の積層体、〔5〕〜〔10〕の積層体の製造方法が提供される。
〔1〕ポリイミド及び溶媒を含有するワニスであって、前記ポリイミドが、分子内に、下記式(1)で示される繰り返し単位、又は、下記式(1)で示される繰り返し単位及び下記式(2)で示される繰り返し単位を有し、下記式(1)で示される繰り返し単位と下記式(2)で示される繰り返し単位の合計量が、全繰り返し単位中80〜100モル%で、かつ、式(1)で示される繰り返し単位と式(2)で示される繰り返し単位の割合〔式(1)で示される繰り返し単位:式(2)で示される繰り返し単位〕のモル比が、20:80〜100:0の高分子であり、前記溶媒が、沸点が170℃以下の非プロトン性極性溶媒であることを特徴とするワニス。
Figure 0006394046
〔式中、R、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルコキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。Aは、下記式(3a)又は(3b)
Figure 0006394046
(式中、*は、結合手を表す。)
で示される基を表す。a、bはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。a、bがそれぞれ2以上のとき、複数のR同士およびR同士は、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。〕
Figure 0006394046
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルコキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。Aは、前記式(3a)又は(3b)で示される基を表す。c〜fはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。c、d、e、fがそれぞれ2以上のとき、複数のR同士、R同士、R同士およびR同士は、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。)
〔2〕前記ポリイミドが、厚みが10μmのフィルムに成形したときに、そのフィルムの、波長400nmの光の光線透過率が85%以上になるものである、〔1〕に記載のワニス。
〔3〕基材と、基材上に形成されたポリイミド膜とを有する積層体であって、前記ポリイミド膜が、請求項1又は2に記載のワニスを用いて形成された、熱膨張率が30ppm/℃以下の膜であることを特徴とする積層体。
〔4〕前記基材がガラス基材である、〔3〕に記載の積層体。
〔5〕積層体の製造方法であって、
基材上に〔1〕又は〔2〕に記載のワニスを塗布し、得られた塗膜をプリベークするステップ(A−I)
ステップ(A−I)の後、塗膜を、前記ワニスに含まれるポリイミドに対する貧溶媒に浸漬処理するステップ(A−II)
ステップ(A−II)の後、塗膜を加熱乾燥して、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を形成するステップ(A−III)
を有することを特徴とする積層体の製造方法。
〔6〕ステップ(A−I)後の塗膜中の残留溶媒量が5〜45重量%である、〔5〕に記載の積層体の製造方法。
〔7〕前記貧溶媒が、水、炭素数1〜4のアルコール系溶媒、炭素数2〜4のケトン系溶媒、及び炭素数3〜4の酢酸エステル系溶媒からなる群から選ばれる溶媒である、〔5〕又は〔6〕に記載の積層体の製造方法。
〔8〕前記基材が、膜厚が100μm以下の長尺のガラスフィルムであって、前記ガラスフィルムを一定方向に搬送しながら、ステップ(A−1)〜(A−III)を連続して行うことを特徴とする、〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔9〕積層体の製造方法であって、
基材上に〔1〕又は〔2〕に記載のワニスを、乾燥後の膜厚が5μm以下になるように塗布するステップ(B−I)
ステップ(B−I)で得られた塗膜を、100〜200℃で加熱乾燥することにより、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を形成するステップ(B−II)
を有することを特徴とする積層体の製造方法。
〔10〕前記基材が、膜厚が100μm以下の長尺のガラスフィルムであって、前記ガラスフィルムを一定方向に搬送しながら、ステップ(B−1)〜(B−II)を連続して行うことを特徴とする、〔9〕に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、透明性及び機械特性に優れ、熱膨張率が低いポリイミド膜を形成する際に有用なワニス、このワニスを用いて得られる積層体、及びこの積層体の製造方法、が提供される。
以下、本発明を、1)ワニス、2)積層体、及び、3)積層体の製造方法、に項分けして詳細に説明する。
1)ワニス
本発明のワニスは、ポリイミド及び溶媒を含有するワニスであって、前記ポリイミドが、分子内に、前記(1)で示される繰り返し単位、又は、前記式(1)で示される繰り返し単位及び前記式(2)で示される繰り返し単位を有し、前記式(1)で示される繰り返し単位と前記式(2)で示される繰り返し単位の合計量が、全繰り返し単位中80〜100モル%で、かつ、式(1)で示される繰り返し単位と式(2)で示される繰り返し単位の割合〔式(1)で示される繰り返し単位:式(2)で示される繰り返し単位〕のモル比が、20:80〜100:0の高分子であり、前記溶媒が、沸点が170℃以下の非プロトン性極性溶媒であることを特徴とする。
〔ポリイミド〕
本発明に用いるポリイミドは、分子内に、前記式(1)で示される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」ということがある。)、又は、前記繰り返し単位(1)及び前記式(2)で示される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(2)」ということがある。)を有し、前記繰り返し単位(1)と繰り返し単位(2)の合計量が、全繰り返し単位中80〜100モル%で、繰り返し単位(1)と繰り返し単位(2)の割合〔繰り返し単位(1):繰り返し単位(2)〕のモル比が、20:80〜100:0のものである。
繰り返し単位(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルコキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。
、Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
、Rの炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基の炭素数は1〜3が好ましい。炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
、Rの炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルコキシル基の炭素数は1〜3が好ましい。炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
a、bは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。a、bが、2〜4の整数の場合、複数のRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、複数のRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
は、前記式(3a)又は(3b)で示される基を表す。
繰り返し単位(1)は、下記式(4a)又は(4b)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、下記式(5)で示されるジアミンとを反応させて得られる構造を有する。
テトラカルボン酸二無水物〔下記式(4a)又は(4b)で示される化合物〕に由来する部分は、脂環式構造を有する。
Figure 0006394046
Figure 0006394046
このため、本発明に用いるポリイミドは透明性に優れる。また、この脂環式構造を有するポリイミドは、有機溶媒に対する溶解性に優れる。したがって、このポリイミドを用いることで、十分な樹脂濃度を有する本発明のワニスを効率よく得ることができる。
また、ジアミン〔下記式(5)で示される化合物〕に由来する部分は、π結合が広がってなる剛直構造を有する。
Figure 0006394046
このため、本発明に用いるポリイミドを用いることで、熱膨張率が低いポリイミド膜を効率よく形成することができる。
繰り返し単位(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルコキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。
これらの基の具体例としては、R、Rとして例示したものと同様のものが挙げられる。
c〜fは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。cが2〜4の整数の場合、複数のRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、e〜fが2〜4の整数の場合におけるR〜Rについても同様である。
は、前記式(3a)又は(3b)で示される基を表す。
繰り返し単位(2)は、前記式(4a)又は(4b)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、下記式(6)で示されるジアミンとを反応させて得られる構造を有する。
テトラカルボン酸二無水物〔前記式(4a)又は(4b)で示される化合物〕に由来する部分は、繰り返し単位(1)のテトラカルボン酸二無水物と同様のものである。したがって、本発明に用いるポリイミドは透明性及び有機溶媒に対する溶解性に優れる。
また、ジアミン〔下記式(6)で示される化合物〕に由来する部分は、フルオレン環を有する。
Figure 0006394046
このフルオレン環構造を有するポリイミドは、有機溶媒に対する溶解性に優れる。したがって、このポリイミドを用いることで、十分な樹脂濃度を有する本発明のワニスを効率よく得ることができる。
ポリイミド中の繰り返し単位(1)と繰り返し単位(2)の合計量は、全繰り返し単位中、80〜100モル%であり、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%である。
繰り返し単位(1)と繰り返し単位(2)の合計が上記範囲内にあることで、透明性及び機械特性に優れ、熱膨張率が低いポリイミド膜の原料として有用なポリイミドを得ることができる。
用いるポリイミドの、繰り返し単位(1)と繰り返し単位(2)の割合〔繰り返し単位(1):繰り返し単位(2)〕のモル比は、20:80〜100:0であり、好ましくは30:70〜70:30である。
繰り返し単位(1)の割合が少な過ぎると、熱膨張率が低いポリイミド膜を形成することが困難になる。また、繰り返し単位(2)を適度に有することで、有機溶媒に対する溶解性が高まるため、ワニスを調製する際に、多くの種類の有機溶媒の中から、用いる有機溶媒を選択することができる。
用いるポリイミドは、繰り返し単位(1)、(2)以外の任意の繰り返し単位を有していてもよい。このような繰り返し単位としては、後述する、前記式(4a)、(4b)で示されるテトラカルボン酸二無水物以外のテトラカルボン酸二無水物(以下、「その他のテトラカルボン酸二無水物」ということがある。)や、前記式(5)、(6)で示されるジアミン以外のジアミン(以下、「その他のジアミン」ということがある。)を用いて形成された繰り返し単位が挙げられる。
本発明に用いるポリイミドの合成方法は特に限定されない。例えば、前記式(4a)又は(4b)で示されるテトラカルボン酸二無水物、前記式(5)で示されるジアミン、前記式(6)で示されるジアミン、その他必要に応じて用いられる、その他のテトラカルボン酸二無水物やその他のジアミンを原料として用いて反応を行うことにより、目的のポリイミドを合成することができる。
前記その他のテトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
前記その他のジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3− アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2’−ジ(p−アミノフェニル)−6,6’−ビスベンゾオキサゾール、2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール、N−(4−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン等が挙げられる。
本発明に用いるポリイミドの合成方法としては、テトラカルボン酸二無水物とジアミン(以下、これらの化合物をまとめて「モノマー」ということがある。)を反応させて、ポリイミド前駆体を得た後、得られたポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドを合成する方法(方法1)や、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから、直接、ポリイミドを合成する方法(方法2)等が挙げられる。
方法1(ポリイミド前駆体をイミド化する方法)において、ポリイミド前駆体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
例えば、まず、前記式(5)で示されるジアミンと、必要に応じて用いられる、前記式(6)で示されるジアミンやその他のジアミンを溶媒に溶かして溶液を得た後、撹拌下、この溶液に、用いたジアミンと実質的に当量の、前記式(4a)又は(4b)で示されるテトラカルボン酸二無水物、及び、必要に応じて用いられるその他のテトラカルボン酸二無水物を徐々に添加し、撹拌を継続して反応させることにより、ポリイミド前駆体の溶液を得ることができる。
このときのモノマー濃度は特に限定されないが、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。
ポリイミド前駆体を合成する際に用いる溶媒は、モノマー及びポリイミド前駆体を十分溶解するものであれば、特に限定されない。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等の含硫黄系溶媒;クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール系溶媒;ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライム等のジグライム系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン系溶媒;イソホロン、シクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ピリジン、エチレングリコール、ジオキサン、テトラメチル尿素等のその他の溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
反応温度は特に限定されないが、通常、−10〜80℃、好ましくは0〜40℃である。
反応時間は特に限定されないが、通常、0.5〜150時間、好ましくは3〜24時間である。
得られたポリイミド前駆体の溶液は、ポリイミド前駆体を単離することなく、そのまま、あるいは濃度を調整した後、次のイミド化反応に供することができる。また、ポリイミド前駆体の溶液を大量の水やメタノール等の貧溶媒に滴下し、ポリイミド前駆体を析出させ、これをろ取、洗浄、乾燥することにより、ポリイミド前駆体を単離することもできる。
本明細書において、貧溶媒とは、目的物(上記の場合は、ポリイミド前駆体)に対する溶解性に乏しい溶媒をいう。例えば、25℃における目的物の飽和溶液の濃度が、1重量%以下となる溶媒が挙げられ、0.5重量%以下となる溶媒が好ましい。
貧溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4のアルコール系溶媒;アセトン等の炭素数2〜4のケトン系溶媒;酢酸エチル等の炭素数3〜4の酢酸エステル系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
ポリイミド前駆体をイミド化する方法は特に限定されず、例えば、公知の化学イミド化法や、熱イミド化法を採用することができる。なかでも、過度に加熱する必要が無く、ポリイミドの分子量低下を抑制し得ることから、化学イミド化法がより好適に用いられる。
化学イミド化法は、例えば、ポリイミド前駆体の溶液を撹拌しながら、この溶液に、有機酸無水物と有機塩基を滴下することにより行うことができる。
ポリイミド前駆体の溶液の溶媒としては、ポリイミド前駆体の合成用の溶媒として示したものと同様のものが挙げられる。
有機酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等が挙げられる。なかでも、反応後の除去が容易であることや、費用の観点から、無水酢酸が好適に用いられる。
有機酸無水物の使用量は特に限定されないが、ポリイミド前駆体の理論脱水量の1〜10当量が好ましく、2〜5当量がより好ましい。
有機塩基としては、ピリジン、ピコリン等の複素環式化合物;トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の3級アミン;等が挙げられる。
有機塩基の使用量は特に限定されないが、有機酸無水物に対して0.1〜2当量が好ましく、0.2〜1.5当量がより好ましい。
化学イミド化法において、反応温度は特に限定されないが、通常、0〜130℃、好ましくは20〜110℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
熱イミド化法は、例えば、ポリイミド前駆体の溶液を脱水閉環反応が起きる温度に加熱することにより行うことができる。加熱する際は、最高温度まで一段階で昇温する方法、多段階で昇温する方法のどちらでもよい。
ポリイミド前駆体の溶液の溶媒としては、ポリイミド前駆体の合成用の溶媒として示したものと同様のものが挙げられる。
熱イミド化法において、反応温度は特に限定されないが、通常、130〜450℃、好ましくは300〜400℃である。反応時間は特に限定されないが、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。
反応は、真空中、窒素、アルゴン等の不活性ガス中、あるいは空気中で行うことができる
反応系内には、触媒としてγ−ピコリン等の有機塩基や、副生成物である水を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加してもよい。
また、単離したポリイミド前駆体を、そのまま加熱して熱イミド化することもできる。
反応温度は特に限定されないが、通常、200〜400℃、好ましくは250〜300℃である。
反応時間は特に限定されないが、通常、0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
反応は、真空中、窒素、アルゴン等の不活性ガス中、あるいは空気中で行うことができるが、着色を防ぐことができることから、真空中又は不活性ガス中で行うことが好ましい。
方法2(テトラカルボン酸二無水物とジアミンから、直接、ポリイミドを合成する方法)によりポリイミドを合成する場合、例えば、方法1におけるポリイミド前駆体の合成方法の反応条件を変えることにより、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから、直接、ポリイミドを合成することができる。
反応に用いる溶媒としては、ポリイミド前駆体の合成用の溶媒として示したものと同様のものが挙げられる。なかでも、アミド系溶媒やフェノール系溶媒が好ましい。
反応温度は特に限定されないが、通常、130〜250℃、好ましくは150〜200℃である。
反応時間は特に限定されないが、通常、0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
反応系内には、触媒としてγ−ピコリン等の有機塩基や、副生成物である水を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加してもよい。
上記の方法1や方法2により反応を行い、得られたポリイミドの溶液を大量の貧溶媒中に滴下することで、ポリイミドを析出させることができる。さらに、析出したポリイミドを、ろ取、洗浄、乾燥等することにより、ポリイミドを単離することができる。
貧溶媒としては、ポリイミド前駆体の貧溶媒として示したものと同様のものが挙げられる。
本発明に用いるポリイミドの重量平均分子量は、通常5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000である。
ポリイミドの分子量分布は、通常1.3〜3、好ましくは1.5〜2.5である。
重量平均分子量や、分子量分布が上記範囲内のポリイミドを用いることで、透明性及び機械特性に優れ、熱膨張率が低いポリイミド膜を形成し易くなる。
なお、重量平均分子量および分子量分布は、シクロペンタノンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により得られた、ポリスチレン換算値である。
本発明に用いるポリイミドは、透明性に優れる。用いるポリイミドは、厚みが10μmのフィルムに成形したときに、そのフィルムの、波長400nmの光の光線透過率が85%以上になるものが好ましく、90%以上になるものがより好ましい。
本発明に用いるポリイミドは、有機溶媒に対する溶解性が高い。用いるポリイミドは、25℃のシクロペンタノンに溶かして飽和溶液を調製したときに、その飽和溶液の濃度が5重量%以上になるものが好ましく、10重量%以上になるものがより好ましい。飽和溶液の濃度の好ましい上限は特にないが、通常は、50重量%以下である。
〔溶媒〕
本発明に用いる溶媒は、沸点が170℃以下の非プロトン性極性溶媒である。
溶媒の沸点が170℃以下であることで、ポリイミド膜を形成する際に、効率よく溶媒を除去することができる。溶媒の沸点は、好ましくは、より好ましくは150℃以下である。
溶媒が、非プロトン性極性溶媒であることで、ポリイミドを十分に溶解させることができる。
用いる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等の含硫黄系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン系溶媒;ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、ポリイミド膜を形成する際に、効率よく除去することができることから、ケトン系溶媒が好ましく、シクロペンタノンがより好ましい。
〔ワニス〕
本発明のワニス中のポリイミドの濃度(樹脂濃度)は、ワニスの塗工方法や目的のポリイミド膜厚みに応じて適宜決定することができる。樹脂濃度は、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
本発明の効果を損ねない範囲において、ワニスは添加剤を含有してもよい。添加剤としては、酸化安定剤、フィラー、接着促進剤、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤、増感剤、末端封止剤、架橋剤等が挙げられる。
ワニスの調製方法は特に限定されない。例えば、ポリイミドを合成した直後の反応液の濃度を調整したものをワニスとして用いることができる。また、一旦単離したポリイミドを適当な溶媒に溶かすことでワニスを調製することができる。
本発明のワニスを用いることで、透明性及び機械特性に優れ、熱膨張率が低いポリイミド膜を効率よく形成することができる。
したがって、本発明のワニスは、ガラス等の脆性材料の保護膜形成剤として好ましく用いられる。
2)積層体
本発明の積層体は、基材と、基材上に形成されたポリイミド膜とを有する積層体であって、前記ポリイミド膜が、本発明のワニスを用いて形成された、熱膨張率が30ppm/℃以下の膜であることを特徴とする
〔基材〕
本発明の積層体を構成する基材は、ポリイミド膜を担持することができ、かつ、ポリイミド膜を形成する際の加熱条件下で安定なものであれば、特に制限されない。
基材としては、ガラス基材、セラミック基材、半導体基材等の無機基材や、ステンレス基材、アルミニウム基材、銅基材等の金属基材や、樹脂フィルム基材等が挙げられる。
ガラス基材としては、ソーダライムガラス、ソーダカリガラス、ソーダアルミケイ酸塩ガラス、アルミノボレ−トガラス、アルミノボロシリケートガラス、低膨張ガラス、石英ガラス等のガラス材料からなるものが挙げられる。
セラミック基材としては、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コディライト、ステアタイト、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック材料からなるものが挙げられる。
半導体基材としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、錫(Sn)、テルル(Te)などの元素半導体材料や、SiC、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、AlGaAs、GaInAs、AlInAs、AlGaInAs等の化合物半導体材料からなるものが挙げられる。
基材の厚みは、特に限定されないが、通常600μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは10〜100μm、特に好ましくは20〜60μmである。
本発明においては、前記基材として、熱膨張率が+1〜+21ppm/℃の単層基材、又はこの単層基材が2以上積層してなる複合基材を用いることが好ましい。かかる基材を用いることで、その上に形成されるポリイミド膜の熱膨張率との差が近くなるため、積層体の反りが小さくなる。
これらの基材は、そのまま用いてもよく、ポリイミド膜との密着性を高めたり、より熱膨張率が低いポリイミド膜を形成するために、表面処理を行っても良い。表面処理としては、従来から知られている一般的な方法を用いることができ、具体的には、シランカップリング剤処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、チタネート系カップリング剤処理等が挙げられる。なかでも、効率よく表面処理を行うことができることから、シランカップリング剤処理が好ましく、アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤処理がより好ましい。
〔ポリイミド膜〕
本発明の積層体を構成するポリイミド膜は、本発明のワニスを用いて形成された、熱膨張率が30ppm/℃以下の膜である。
熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜は、後述する方法により形成することができる。
ポリイミド膜の厚みは、特に限定されないが、通常、1〜500μm、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜50μmである。
前記ポリイミド膜は、透明性に優れる。ポリイミド膜の、波長400nmの光の光線透過率は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
前記ポリイミド膜は、機械特性に優れる。膜厚10μm、幅10mmのポリイミド膜を用いて、100mm/分の速度で引張試験を行ったときに、破断強度は、60MPa以上が好ましく、80MPa以上がより好ましく、上限は特に限定されないが、200MPa程度である。また、破断伸びは、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、上限は特に限定されないが、50%程度である。
ポリイミド膜の機械特性は、実施例に記載の方法により基材からポリイミド膜を剥離して測定試料を得、これを用いることで測定することができる。
〔積層体〕
本発明の積層体は、前記基材とポリイミド膜とを有する。
前記ポリイミド膜は保護膜としても機能するため、基材として、ガラスのような脆性材料を用いた場合であっても、積層体の強度が高い。
また、前記ポリイミド膜は熱膨張率が低いため、熱負荷がかかっても、積層体が反ったり、ポリイミド膜が、基材から剥離したりし難い。
また、前記ポリイミド膜は透明性に優れるため、基材として透明基材を用いた場合、積層体は、透明性に優れる。
これらの特性を有することから、本発明の積層体は、薄型有機ELディスプレイ、フレキシブル液晶ディスプレイ、タッチパネル等のディスプレイ用基板や、封止シート材料等として好適に用いられる。
3)積層体の製造方法
本発明の積層体の製造方法は、以下の積層体の製造方法(A)又は(B)である。
積層体の製造方法であって、基材上に本発明のワニスを塗布し、得られた塗膜をプリベークするステップ(A−I)、ステップ(A−I)の後、塗膜を貧溶媒に浸漬処理するステップ(A−II)、ステップ(A−II)の後、塗膜を加熱乾燥して、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を形成するステップ(A−III)、を有することを特徴とする積層体の製造方法(A)。
積層体の製造方法であって、基材上に本発明のワニスを、乾燥後の膜厚が5μm以下になるように塗布するステップ(B−I)、ステップ(B−I)で得られた塗膜を、100〜200℃で加熱乾燥することにより、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を形成するステップ(B−II)、を有することを特徴とする積層体の製造方法(B)。
これらの製造方法(A)、(B)は、いずれも、本発明のワニスを塗工して形成された塗膜中の溶媒を効率よく除去しながら、ポリイミド膜を形成するという特徴を有する。
〔製造方法(A)〕
製造方法(A)は、前記ステップ(A−I)〜(A−III)を有するものである。
ステップ(A−I)は、基材上に本発明のワニスを塗布し、得られた塗膜をプリベークするステップである。
基材、ワニスとしては、先に説明したものと同様のものが挙げられる。
ワニスを塗布する方法は特に制限されず、従来公知の方法を利用することができる。塗布方法としては、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等が挙げられる。
塗膜をプリベークする方法は特に限定されず、例えば、ホットプレート、加熱炉等を用いてプリベークすることができる。
加熱温度は、通常30〜100℃、好ましくは40〜80℃であり、加熱時間は、通常1〜60分、好ましくは1〜50分、より好ましくは1〜40分である。
ステップ(A−I)におけるプリベークは、ある程度の溶媒が残留する程度に塗膜を乾燥させるものである。このような塗膜をステップ(A−II)の浸漬処理に供することで、最終的に熱膨張率が低いポリイミド膜を形成することができる。
ステップ(A−I)後の塗膜中の残留溶媒量は、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは10〜40重量%である。残留溶媒量が上記範囲内にあることで、ステップ(A−II)の浸漬処理において、効率よく溶媒を除去することができ、熱膨張率が低いポリイミド膜を形成することができる。
ステップ(A−II)は、ステップ(A−I)の後、塗膜を貧溶媒に浸漬処理するステップである。
貧溶媒は、ポリイミドを溶解し難いものであれば特に限定されない。なかでも、塗膜中に残存する、ワニス由来の溶媒を効率よく除去できることから、用いたワニス中の溶媒〔以下、「溶媒(A)」ということがある。〕と親和性がある溶媒が好ましく、25℃において、同体積の溶媒(A)と均一に混ざるものがより好ましい。
また、ステップ(A−III)において、効率よく乾燥除去できることから、貧溶媒としては沸点が比較的低い溶媒が好ましい。貧溶媒の沸点は、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。常温付近で浸漬処理を行えるものである限り、貧溶媒の沸点の下限値は特に制限されない。
貧溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜4のアルコール系溶媒;アセトン等の炭素数2〜4のケトン系溶媒;酢酸エチル等の炭素数3〜4の酢酸エステル系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、貧溶媒としては、水、アセトン及びメタノールから選ばれる二種以上の混合溶媒が好ましく、水とアセトンの混合溶媒がより好ましい。水とアセトンの混合溶媒において、その混合比(水:アセトンの重量比)は、通常1:99〜99:1、好ましくは5:95〜95:5である。
塗膜を貧溶媒に浸漬させる温度は、通常10〜40℃、好ましくは15〜35℃である。浸漬温度がこの範囲内であることで、貧溶媒の蒸発を抑えることができるため、安全に作業を行うことができる。また、2種以上の貧溶媒を用いる場合、上記温度条件を用いることで混合比の変化を抑えることができるため、再現性よく溶媒Aを塗膜から除去することができる。
塗膜を貧溶媒に浸漬させる時間は、通常1〜60分、好ましくは1〜45分、より好ましくは1〜30分である。浸漬時間がこの範囲内であることで、塗膜から溶媒Aを効率よく除去することができる。
ステップ(A−II)においては、少なくとも、塗膜を貧溶媒に浸漬させればよい。したがって、基材ごと塗膜を貧溶媒に浸漬させてもよく、基材の一部が貧溶媒と接触しない状態で塗膜を貧溶媒に浸漬させてもよい。
ステップ(A−III)は、ステップ(A−II)の後、塗膜を加熱乾燥して、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を形成するステップである。
加熱温度は、通常、130〜250℃、好ましくは150〜240℃、より好ましくは170〜230℃である。加熱時間は、特に制限はないが、通常1〜120分、好ましくは1〜90分、より好ましくは1〜60分である。
ステップ(A−I)、(A−II)の処理を施した塗膜を十分に乾燥することで、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を効率よく形成することができる。ポリイミド膜の熱膨張率は、20ppm/℃以下が好ましく、1〜20ppm/℃がより好ましい。
製造方法(A)は、比較的厚いポリイミド膜を形成する際に好適に用いられる。製造方法(A)により形成されるポリイミド膜の厚みは、通常5〜500μm、好ましく5〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。
〔製造方法(B)〕
製造方法(B)は、前記ステップ(B−I)〜(B−II)を有するものである。
ステップ(B−I)は、基材上に本発明のワニスを、乾燥後の膜厚が5μm以下になるように塗布するステップである。
ステップ(B−I)は、塗膜の膜厚を薄くすることを除き、ステップ(A−I)の塗布方法と同様にして行うことができる。
ステップ(B−II)は、ステップ(B−I)で得られた塗膜を、100〜200℃で加熱乾燥することにより、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を形成するステップである。
ステップ(B−1)における加熱温度は、100〜200℃、好ましくは150〜200℃である。加熱時間は、特に制限はないが、通常1〜120分、好ましくは1〜90分、より好ましくは1〜60分である。
製造方法(B)は、薄いポリイミド膜を形成する際に用いられる。製造方法(B)により形成されるポリイミド膜の厚みは、5μm以下、好ましくは1〜5μmである。
このように、本発明のワニスを使用し、薄いポリイミド膜を形成する場合には、浸漬処理を施さなくても溶媒を効率よく除去することができ、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を効率よく形成することができる。
製造方法(A)、(B)においては、基材として長尺のガラスフィルムを用いて、ロールtoロール法を行うことで、長尺の積層体を製造することができる。
例えば、基材として、膜厚が100μm以下の長尺のガラスフィルムを使用し、これを一定方向に搬送しながら、ステップ(A−1)〜(A−III)又はステップ(B−1)〜(B−II)を連続して行うことで、長尺の積層体を効率よく製造することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、下記の実施例および比較例において、「部」および「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
実施例において用いた材料は以下の通りである。
基材(1):ダウコーニング社製ホワイトガラス基板に対して、シランカップリング剤(チッソ社製、商品名:サイラエースS330)を用いて表面処理を行ったもの。
〔製造例1〕
4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABA)3.41g(0.015モル)、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(BAFL)5.23g(0.015モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)107.60gを混合し、全容を25℃で20分間攪拌した。次いで、得られた溶液を氷冷し、この溶液に、ビス(オクタヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸)4,4’−スルホニルジアニリド(PSHT)18.259g(0.03モル)を加え、氷冷下で2時間、次いで25℃で20時間攪拌してポリイミド前駆体ワニスを得た。
得られたポリイミド前駆体ワニスに、無水酢酸12.25g(0.12モル)、ピリジン11.87g(0.15モル)を加え、全容を25℃で1時間、80℃で1時間、110℃で4時間攪拌して化学イミド化反応を行った。この際、反応液はゲル化しなかった。反応終了後、樹脂濃度が7%になるように、反応液にDMAcを加えて希釈し、得られた希釈液をメタノール8L中に滴下することにより、ポリイミドを析出させ、これをろ過により回収した。
得られたポリイミドをメタノールで2度洗浄した後、130℃で6時間、真空乾燥した(収量:25.12g、収率:97.1%)。
〔製造例2〕
製造例1において、PSHTに代えて、ビス(オクタヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸)1,4−フェニレンジアミド(PPHT)14.05g(0.03モル)を使用し、DMAcの使用量を90.74gに変更したことを除き、製造例1と同様にして、ポリイミドを得た(収量:20.78g、収率:96.2%)。
〔製造例3〕
製造例1において、DABAの使用量を4.77g(0.021モル)、BAFLの使用量を3.14g(0.009モル)に変更したことを除き、製造例1と同様にしてポリイミドを得た(収量:22.91g、収率:91%)。
〔製造例4〕
製造例1において、ジアミンとして、DABA6.82g(0.03モル)のみを使用し、DMAcの使用量を100.31gに変更したことを除き、製造例1と同様にして、ポリイミドを得た(収量:22.44g、収率:93,5%)。
〔製造例5〕
製造例1において、ジアミンとして、BAFL10.45g(0.03モル)のみを使用し、DMAcの使用量を114.85gに変更したことを除き、製造例1と同様にして、ポリイミドを得た(収量:25.78g、収率:93.3%)。
〔実施例1〕
製造例1で得たポリイミドをシクロペンタノン(CPN)に溶解させ、樹脂濃度20%、粘度15.3ポイズのワニス1を得た。
〔実施例2〕
製造例1で得たポリイミドをCPNに溶解させ、樹脂濃度10%、粘度3.6ポイズのワニス2を得た。
〔実施例3〕
製造例2で得たポリイミドをCPNに溶解させ、樹脂濃度20%、粘度12.8ポイズのワニス3を得た。
〔実施例4〕
製造例2で得たポリイミドをCPNに溶解させ、樹脂濃度10%、粘度3.0ポイズのワニス4を得た。
〔実施例5〕
製造例3で得たポリイミドをCPNに溶解させ、樹脂濃度17%、粘度23ポイズのワニス5を得た。
〔実施例6〕
製造例4で得たポリイミドをDMAcに溶解させ、樹脂濃度20%、粘度18.9ポイズのワニス6を得た。
〔比較例1〕
4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABA)3.41g(0.015モル)、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(BAFL)5.23g(0.015モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)107.60gを混合し、全容を25℃で20分間攪拌した。次いで、得られた溶液を氷冷し、この溶液に、ビス(オクタヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸)4,4’−スルホニルジアニリド(PSHT)18.26g(0.03モル)を加え、全容を氷冷下で2時間、次いで25℃で20時間攪拌して、ポリイミド前駆体ワニス(ワニス7)を得た。
〔比較例2〕
製造例5で得たポリイミドをCPNに溶解させ、樹脂濃度20%、粘度13.2ポイズのワニス8を得た。
実施例1〜6、比較例1、2で得られたワニスに含まれる重合体のモノマー割合、溶媒、樹脂濃度、及び粘度を第1表にまとめた。
Figure 0006394046
〔実施例7〕
実施例1で得たワニス1を、ドクターブレードを用いて、乾燥後の膜厚が約20μmになるように、基材(1)上に塗工した。次いで、塗膜が形成された基材(1)をホットプレート上に置き、80℃で6分間プリベークした。プリベーク後の塗膜中の残留溶剤量は8.7%であった。
プリベーク後の塗膜付基材(1)をアセトン:水(7:3)混合溶媒中に8分間浸漬させた後、窒素ガスを吹き付けて表面を乾燥させ、さらに、塗膜付基材(1)をオーブンに入れ、窒素気流下、80℃で10分、次いで150℃で15分加熱乾燥させ、基材(1)とポリイミド膜からなる積層体1を得た。
プリベーク後の残留溶剤量は同一条件で別途作製した試料〔塗膜付基材(1)〕をNMPに溶かして得られた溶液を用いて、GC分析を行うことで求めた。
〔実施例8〕
実施例7において、ワニス1に代えてワニス3を用いたことを除き、実施例7と同様の方法により、積層体2を得た。
〔実施例9〕
実施例7において、ワニス1に代えてワニス5を用いて、乾燥後の膜厚が約10μmになるように基材(1)上に塗工したことを除き、実施例7と同様の方法により、積層体3を得た。
〔実施例10〕
実施例7において、ワニス1に代えてワニス6を使用したことと、プリベーク条件を60℃で6分、次いで90℃で3分に変更したことを除き、実施例7と同様の方法により、積層体4を得た。
〔実施例11〕
ワニス2を、ディップ法により、乾燥後の膜厚が約2μmになるように基材(1)上に塗工した。次いで、塗膜が形成された基材(1)を、25℃で6分間吊るして、膜厚を均一にした。
次いで、この塗膜付基材(1)をイナートオーブン中に入れ、窒素気流下、150℃で15分加熱乾燥させ、基材(1)とポリイミド膜からなる積層体5を得た。
〔比較例3〕
実施例7において、浸漬処理を行わなかったことを除き、実施例7と同様の方法により、積層体6を得た。
〔比較例4〕
実施例7において、ワニス1に代えて、ワニス7を用いたことを除き、実施例7と同様の方法により、ワニスを塗工し、プリベーク処理、浸漬処理を行った。
浸漬処理を行ったところ、塗膜に濁りが生じた。次いで、塗膜付基材(1)をイナートオーブン中に入れ、窒素気流下、50℃で30分、150℃で30分、250℃で60分加熱し、熱イミド化処理を行った。この基板を温水に漬けて、ポリイミド膜の回収を試みたが、このポリイミド膜は非常に脆く、剥離することができなかった。また、このポリイミド膜は濁りが生じていた。
〔比較例5〕
実施例7において、ワニス1に代えて、ワニス8を用いたことを除き、実施例7と同様の方法により、積層体8を得た。
実施例7〜11、比較例3〜5で得た積層体1〜8のポリイミド膜にカッターナイフで切り込みを入れた後、温水50℃に24時間漬け、ポリイミド膜を剥離した。得られたポリイミド膜を130℃で3時間真空乾燥した。
ポリイミド膜について、以下の測定を行った。結果を第2表に示す。
〔膜厚測定〕
剥離する前のポリイミド膜の膜厚を、触針式形状測定装置(DEKTAK150)を用いて測定した。
〔熱膨張率の測定〕
熱機械分析装置(SII社製、製品名:TMASS7100)を用いて、窒素雰囲気下、温度範囲:室温〜300℃、昇温速度:5℃/分、2サイクルの条件でポリイミド膜の熱膨張率(ppm/℃)を測定し、2サイクル目の測定値を採用した。
〔膜破断強度、破断伸び〕
精密万能試験機(島津製作所社製、製品名:オートグラフAG)を用いて、膜厚10μm、幅10mmのポリイミド膜を用いて、100mm/分の速度で引張り試験を行い、破断強度(MPa)、破断伸び(%)を測定した。
〔光線透過率の測定〕
上記のポリイミド膜の形成方法において、膜厚が10μmになるようにガラス基材上にワニスを塗工し、積層体を得た。紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、製品名:V−570)を用いて、各積層体の波長400nm、600nmの光線透過率を測定した。なお、実施例11については、上記の積層体5(膜厚が2μmのもの)を用いて測定した。
Figure 0006394046
第2表から以下のことが分かる。
実施例7〜10で得られた積層体1〜4のポリイミド膜は、透明性及び機械特性に優れ、熱膨張率が低い。
また、実施例11においては、浸漬処理を行っていないものの、ポリイミド膜厚が薄いため、積層体5のポリイミド膜もまた、透明性に優れ、熱膨張率が低い。
一方、比較例3では、浸漬処理を施さなかったため、積層体6のポリイミド膜は熱膨張率が高い。
比較例4においては、ポリイミド前駆体のワニスを用いて塗膜を形成し、後でイミド化を行ったものであり、形成されたポリイミド膜は脆く、濁っていた。
また、比較例5においては、DABA由来の繰り返し単位を含まないポリイミドのワニスを用いたため、積層体8のポリイミド膜は熱膨張率が高い。
〔実施例12〕
膜厚50μmの薄板ガラス(日本電気ガラス社製、幅30mm×長さ100mm)を脱脂洗剤及び純水で洗浄した後、130℃で10分乾燥した。この薄板ガラスを密閉容器中で吊るした状態でシランカップリング剤(チッソ社製、商品名:サイラエースS330)の蒸気に30分間さらした。次いでオーブン中150℃で5分間放置して、シランカップリング剤の活性化処理を行い、基材(2)を得た。
ワニス2を、ディップ法により基材(2)上に塗工した。次いで、塗膜が形成された基材(2)を25℃で3分間吊るして、膜厚を均一にした。
次いで、この塗膜付基材(2)をイナートオーブン中に入れ、窒素気流下、60℃で10分加熱してプリベークした後、アセトン:水の混合溶媒(アセトン:水=40:60)に3分間浸漬した。
次いで、塗膜付基材(2)を再度イナートオーブン中に入れ、窒素気流下、80℃で10分、次いで150℃で10分加熱して乾燥処理を行い、薄板ガラスの両面に透明ポリイミド膜を有する積層体9を得た。透明ポリイミド膜の膜厚は3μmであった。
積層体9の一端を手で固定し、別の一端が50mm高くなるまで積層体9を湾曲させた後、元に戻す操作を30サイクル繰り返す湾曲試験を行った。試験後の積層体9の外観を観察したところ、クラック、破断等は見られなかった。
積層体9をホットプレート上に置いて150℃で5分間加熱した後、25℃の金属板上に移して急速に冷却する試験を20サイクル繰り返す、加熱冷却試験を行った。試験後の積層体9の外観を観察したところ、クラック、破断等は見られなかった。
〔実施例13〕
実施例12において、ワニス2に代えてワニス4を用いたことを除き、実施例12と同様にして積層体10を得た。
積層体10について、上記の湾曲試験、加熱冷却試験を行ったところ、いずれもクラック、破断等は見られなかった。
〔比較例6〕
ワニス8をCPNで希釈し、樹脂濃度を10%に調整し、ワニス8’を得た。
実施例12において、ワニス2に代えてワニス8’を用いたことを除き、実施例12と同様にして積層体11を得た。
積層体11について、上記の湾曲試験、加熱冷却試験を行ったところ、加熱冷却試験においてクラックが発生した。

Claims (11)

  1. ポリイミド及び溶媒を含有するワニスであって、
    前記ポリイミドが、分子内に、下記式(1)で示される繰り返し単位、又は、下記式(1)で示される繰り返し単位(1)及び下記式(2)で示される繰り返し単位を有し、
    下記式(1)で示される繰り返し単位と下記式(2)で示される繰り返し単位の合計量が、全繰り返し単位中80〜100モル%で、かつ、
    式(1)で示される繰り返し単位と式(2)で示される繰り返し単位の割合〔式(1)で示される繰り返し単位:式(2)で示される繰り返し単位〕のモル比が、20:80〜100:0である高分子であり、
    前記溶媒が、沸点が170℃以下の非プロトン性極性溶媒であることを特徴とするワニス。
    Figure 0006394046
    〔式中、R、Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルコキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。Aは、下記式(3a)又は(3b)
    Figure 0006394046
    (式中、*は、結合手を表す。)
    で示される基を表す。a、bはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。a、bがそれぞれ2以上のとき、複数のR同士およびR同士は、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。〕
    Figure 0006394046
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルコキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。Aは、前記式(3a)又は(3b)で示される基を表す。c〜fはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。c、d、e、fがそれぞれ2以上のとき、複数のR同士、R同士、R同士およびR同士は、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。)
  2. 前記ポリイミドが、厚みが10μmのフィルムに成形したときに、そのフィルムの、波長400nmの光の光線透過率が85%以上になるものである、請求項1に記載のワニス。
  3. 前記溶媒が、ケトン系溶媒である、請求項1又は2に記載のワニス。
  4. 基材と、基材上に形成されたポリイミド膜とを有する積層体であって、
    前記ポリイミド膜が、請求項1〜3のいずれかに記載のワニスを用いて形成された、熱膨張率が30ppm/℃以下の膜であることを特徴とする積層体。
  5. 前記基材がガラス基材である、請求項に記載の積層体。
  6. 積層体の製造方法であって、
    基材上に請求項1〜3のいずれかに記載のワニスを塗布し、得られた塗膜をプリベークするステップ(A−I)
    ステップ(A−I)の後、前記塗膜を、前記ワニスに含まれるポリイミドに対する貧溶媒に浸漬処理するステップ(A−II)
    ステップ(A−II)の後、塗膜を加熱乾燥して、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を形成するステップ(A−III)
    を有することを特徴とする積層体の製造方法。
  7. ステップ(A−I)後の塗膜中の残留溶媒量が5〜45重量%である、請求項に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記貧溶媒が、水、炭素数1〜4のアルコール系溶媒、炭素数2〜4のケトン系溶媒、及び炭素数3〜4の酢酸エステル系溶媒からなる群から選ばれる溶媒である、請求項6又は7に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記基材が、膜厚が100μm以下の長尺のガラスフィルムであって、前記ガラスフィルムを一定方向に搬送しながら、ステップ(A−1)〜(A−III)を連続して行うことを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  10. 積層体の製造方法であって、
    基材上に請求項1〜3のいずれかに記載のワニスを、乾燥後の膜厚が5μm以下になるように塗布するステップ(B−I)
    ステップ(B−I)で得られた塗膜を、100〜200℃で加熱乾燥することにより、熱膨張率が30ppm/℃以下のポリイミド膜を形成するステップ(B−II)
    を有することを特徴とする積層体の製造方法。
  11. 前記基材が、膜厚が100μm以下の長尺のガラスフィルムであって、前記ガラスフィルムを一定方向に搬送しながら、ステップ(B−1)〜(B−II)を連続して行うことを特徴とする、請求項10に記載の積層体の製造方法。
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