JP5090991B2 - 操舵装置 - Google Patents

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本発明は、モータの回転軸の回転を滑りねじよりなる送りねじ機構で出力ロッドの伸縮動に変換し、前記出力ロッドに接続された車輪のトー角を変化させる操舵装置に関する。
自動車の後輪を操舵する操舵装置に、モータの回転軸の回転を送りねじ機構で出力ロッドの伸縮動に変換する伸縮アクチュエータを用いるものが、下記特許文献1および下記特許文献2により公知である。
特開2007−290417号公報 特開2007−46637号公報
ところで、上記特許文献1に記載されたものは、送りねじ機構に雄ねじ部材および雌ねじ部材が滑り接触する滑りねじを用いているため、雄ねじ部材および雌ねじ部材が1回転相対回転したときの移動量であるリードを大きく設定すると送りねじ機構の不可逆性が確保できなくなり、車輪側から逆伝達される荷重によって雄ねじ部材および雌ねじ部材が相対回転してしまい、伸縮アクチュエータが意図しない伸縮をして後輪のトー角が変化してしまう可能性があった。そこで、送りねじ機構の不可逆性を確保すべくリードを小さく設定することが考えられるが、そのようにすると、送りねじ機構の伝達効率が低下するためにモータが大型するという問題がある。
また上記特許文献2に記載されたものは、送りねじ機構に雄ねじ部材および雌ねじ部材がボールを介して転がり接触するボールねじを用いているため、たとえリードを小さく設定しても送りねじ機構の不可逆性が確保することができず、モータと送りねじ機構との間にばねクラッチよりなる不可逆クラッチを配置して後輪側からモータ側への駆動力の逆伝達を阻止し、伸縮アクチュエータの意図せぬ伸縮によって後輪のトー角が変化するのを防止している。しかしながら、不可逆クラッチをロックさせて後輪側からモータ側への駆動力の逆伝達を阻止した後、モータを駆動して送りねじ機構を作動させるとき、ロックした不可逆クラッチをロック解除するのに大きなトルクが必要になるため、モータが大型するという問題がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、送りねじ機構を用いた操舵装置の伸縮アクチュエータが外力により伸縮するの、小型のモータを用いながら確実に阻止することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、モータの回転軸の回転を滑りねじよりなる送りねじ機構で出力ロッドの伸縮動に変換し、前記出力ロッドに接続された車輪のトー角を変化させる操舵装置において、前記送りねじ機構および前記モータの間に、前記モータ側から前記送りねじ機構側への正転・逆転両方向の駆動力の伝達を許容し、前記送りねじ機構側から前記モータ側への正転・逆転両方向の駆動力の伝達を遮断する不可逆クラッチを配置し、前記不可逆クラッチは、ハウジングに固定された環状のアウター部材と、前記送りねじ機構側に接続されて外周に複数の平坦面が形成されたインナー部材と、前記モータ側に接続されて前記インナー部材に対して同軸に配置された駆動部材と、前記各々の平坦面と前記アウター部材の内周面との間に配置されてスプリングで相互に離反する方向に付勢された一対のニードルころと、前記駆動部材に突設された複数のピンと、前記インナー部材に形成されて前記複数のピンが緩く嵌合する複数のピン孔と、前記駆動部材に突設されて前記一対のニードルころの円周方向外側に臨む係合解除突起とを備えることを特徴とする操舵装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記不可逆クラッチおよび前記モータの間に、前記モータの回転を減速して前記不可逆クラッチに伝達する減速機を配置したことを特徴とする操舵装置が提案される
尚、実施の形態の第2ハウジング32は本発明のハウジングに対応し、実施の形態の第2キャリヤ70は本発明の駆動部材に対応し、実施の形態の後輪Wは本発明の車輪に対応する。
請求項1の構成によれば、滑りねじよりなる送りねじ機構およびモータの間に、モータ側から送りねじ機構側への正転・逆転両方向の駆動力の伝達を許容し、送りねじ機構側からモータ側への正転・逆転両方向の駆動力の伝達を遮断する不可逆クラッチを配置したので、送りねじ機構側からモータ側への駆動力の伝達を不可逆クラッチで遮断することで、モータに通電することなく車輪のトー角の意図せぬ変化を防止することができる。滑りねじよりなる送りねじ機構は、駆動力を出力ロッド側から不可逆クラッチ側へと伝達する際の逆効率が正効率よりも低いので、出力ロッド側から不可逆クラッチ側に大きな駆動力が入力しても、不可逆クラッチをロックさせるロックトルクは小さくなり、モータは小さい駆動力を発生するだけで不可逆クラッチのロックを解除することが可能となり、モータの小型化を達成することができる。しかも、不可逆クラッチが駆動力の逆伝達を阻止するので、送りねじ機構のリードを大きくして駆動力の伝達効率を高めることができ、これによってモータの更なる小型化が可能になる。
しかもモータにより駆動部材が回転すると、駆動部材に突設した係合解除突起が一方のニードルころを押圧し、スプリングの弾発力に抗して他方のニードルころに向けて移動させることで、前記一方のニードルころはインナー部材の平坦面とアウター部材の内周面との間に噛み込むことが阻止されるため、駆動部材に突設したピンがインナー部材のピン孔に当接し、駆動部材の回転がインナー部材に伝達される。一方、車輪から逆伝達される駆動力でインナー部材が回転しようとすると、一方のニードルころがインナー部材の平坦面とアウター部材の内周面との間に噛み込むことにより、インナー部材はハウジングに固定されたアウター部材に回転不能に結合されるため、インナー部材の回転が駆動部材に伝達されることはない。
また請求項2の構成によれば、不可逆クラッチおよびモータの間に、モータの回転を減速して不可逆クラッチに伝達する減速機を配置したので、モータのトルクを増加させて不可逆クラッチに伝達することが可能となり、モータを更に小型化しても不可逆クラッチのロック解除トルクを発生させることができる
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図9は本発明の実施の形態を示すもので、図1は左後輪のサスペンション装置の斜視図、図2は図1の2方向矢視図、図3は図1の3−3線拡大断面図、図4は図3の4部拡大図、図5は図3の5部拡大図、図6は図4の6−6線断面図(不可逆クラッチ係合状態)、図7は図6に対応する作用説明図(不可逆クラッチ非係合状態)、図8は減速機、不可逆クラッチおよびカップリングの分解斜視図、図8は本実施の形態の効果の説明図である。
図1および図2に示すように、四輪操舵車両のダブルウイッシュボーン式のリヤサスペンションSは、後輪Wを回転自在に支持するナックル11と、ナックル11を上下動可能に車体に連結するアッパーアーム12およびロアアーム13と、後輪Wのトー角を制御すべくナックル11および車体を連結するトーコントロールアクチュエータ14と、後輪Wの上下動を緩衝する懸架ばね付きダンパー15等で構成される。
基端をそれぞれゴムブッシュジョイント16,17で車体に連結されたアッパーアーム12およびロアアーム13の先端は、それぞれボールジョイント18,19を介してナックル11の上部および下部に連結される。トーコントロールアクチュエータ14は、基端がゴムブッシュジョイント20を介して車体に連結され、先端がゴムブッシュジョイント21を介してナックル11の後部に連結される。上端を車体(サスペンションタワーの上壁22)に固定された懸架ばね付きダンパー15の下端が、ゴムブッシュジョイント23を介してナックル11の上部に連結される。
トーコントロールアクチュエータ14を伸長駆動すると、ナックル11の後部が車幅方向外側に押されて後輪Wのトー角がトーイン方向に変化し、トーコントロールアクチュエータ14を収縮駆動すると、ナックル11の後部が車幅方向内側に引かれて後輪Wのトー角がトーアウト方向に変化する。従って、ステアリングホイールの操作による通常の前輪の操舵に加えて、車速やステアリングホイールの操舵角に応じて後輪Wのトー角を制御することで、車両の直進安定性能や旋回性能を高めることができる。
次に、図3〜図8に基づいてトーコントロールアクチュエータ14の構造を詳細に説明する。
図3および図4に示すように、トーコントロールアクチュエータ14は、車体側に連結されるゴムブッシュジョイント20が一体に設けられた第1ハウジング31と、ナックル11側に連結されるゴムブッシュジョイント21が一体に設けられた出力ロッド33を伸縮自在に支持する第2ハウジング32とを備えており、第1、第2ハウジング31,32の対向部は、シール部材34を介してインロー嵌合した状態で、各々の結合フランジ31a,32aを複数本のボルト35…で締結して一体化される。第1ハウジング31の内部には駆動源となるブラシ付きのモータ36が収納され、第2ハウジング32の内部には遊星歯車式の減速機37と、駆動力の逆伝達を阻止する不可逆クラッチ151と、弾性を有するカップリング38と、台形ねじを用いた送りねじ機構39とが収納される。
モータ36の外郭は、フランジ40aを有するをカップ状に形成されたヨーク40と、ヨーク40のフランジ40aに複数のボルト41…で締結されたベアリングホルダ42とで構成される。ヨーク40およびベアリングホルダ42を締結するボルト41…は第1ハウジング31の端面に螺合しており、このボルト41…を利用してモータ36が第1ハウジング31に固定される。
ヨーク40の内周面に支持した環状のステータ43内に配置されるロータ44は、その回転軸45の一端がヨーク40の底部に設けたボールベアリング46に回転自在に支持され、他端がベアリングホルダ42に設けたボールベアリング47に回転自在に支持される。ベアリングホルダ42の内面には、回転軸45の外周に設けたコミュテータ48に摺接するブラシ49が支持される。ブラシ49から延びる導線50は、第1ハウジング31に設けたグロメット51を介して外部に引き出される。
図4および図8から明らかなように、減速機37は第1遊星歯車機構61および第2遊星歯車機構62を2段に結合して構成される。第1遊星歯車機構61は、第2ハウジング32の開口部に嵌合して固定されたリングギヤ63と、モータ36の回転軸45の先端に直接形成された第1サンギヤ64と、円板状の第1キャリヤ65と、第1キャリヤ65に圧入により片持ち支持された第1ピニオンピン66…にボールベアリング67…を介して回転自在に支持され、前記リングギヤ63および前記第1サンギヤ64に同時に噛合する4個の第1ピニオン68…とで構成される。第1遊星歯車機構61は、入力部材である第1サンギヤ64の回転を、出力部材である第1キャリヤ65に減速して伝達する。
減速機37の第2遊星歯車機構62は、第1遊星歯車機構61と共通のリングギヤ63と、第1キャリヤ65の中心に固定された第2サンギヤ69と、円板状の第2キャリヤ70と、第2キャリヤ70に圧入により片持ち支持された第2ピニオンピン71…にスライドブッシュ72…を介して回転自在に支持され、前記リングギヤ63および前記第2サンギヤ69に同時に噛合する4個の第2ピニオン73…とで構成される。第2遊星歯車機構62は、入力部材である第2サンギヤ69の回転を、出力部材である第2キャリヤ70に減速して伝達する。
このように第1、第2遊星歯車機構61,62を直列に接続することで、大きな減速比を得ることができ、しかも減速機37の小型化を図ることができる。また第1遊星歯車機構61のサンギヤ64を、モータ36の回転軸45に固定することなく回転軸45に直接形成したので、回転軸45と別体の第1サンギヤ64を用いる場合に比べて部品点数を削減することができるだけでなく、第1サンギヤ64の直径を最小限に抑えて第1遊星歯車機構61の減速比を大きく設定することができる。
図4および図6〜図8から明らかなように、減速機37の下流側に配置される不可逆クラッチ151は、第2遊星歯車機構62の第2キャリヤ70を入力部材とし、その駆動力を出力部材であるインナー部材153に伝達するとともに、インナー部材153から入力部材である第2キャリヤ70への駆動力の逆伝達を阻止するように機能する。
不可逆クラッチ151は、第2ハウジング32の内周面に螺合する環状のアウター部材152と、アウター部材152の内周に同軸に配置された前記円板状のインナー部材153とを備えており、第2キャリヤ70の中心に突設した軸部70aがニードルベアリング154を介してインナー部材153の内周に相対回転自在に支持される。インナー部材153の外周面には45°間隔で8個の平坦面153a…が形成されており、各々の平坦面153aと円筒状のアウター部材152の内周面との間に、スプリング155で相互に離反する方向に付勢された一対のニードルころ156A,156Bが配置される。
第2キャリヤ70の端面から軸方向に突出する複数のピン157…が、インナー部材153の端面に形成した複数のピン孔158…に緩く嵌合しており、ピン157…とピン孔158…との間には環状の隙間α(図6参照)が形成される。また第2キャリヤ70の端面から軸方向に突出する複数の係合解除突起159…が、対をなすニードルころ156A,156Bの円周方向両側に、それぞれ隙間βを介して臨んでいる。隙間α,βの関係はα>β(図6参照)に設定される。
図4および図8から明らかなように、不可逆クラッチ151の出力部材であるインナー部材153は、送りねじ機構39の入力部材であるスラスト受けフランジ74にカップリンング38を介して接続される。概ね円板状のスラスト受けフランジ74は、その外周部を一対のスラストベアリング75,76に挟まれて回転自在に支持される。即ち、第2ハウジング32の内周面にスペーサカラー77を挟むように前記不可逆クラッチ151のアウター部材152が螺合しており、一方のスラストベアリング75は第2ハウジング32とスラスト受けフランジ74との間のスラスト荷重を支持し、他方のスラストベアリング76はアウター部材152とスラスト受けフランジ74との間のスラスト荷重を支持するように配置される。
カップリング38は、例えばポリアセタールで構成された2枚の外側弾性ブッシュ79,79と、例えばシリコンゴムで構成された1枚の内側弾性ブッシュ80とを備えており、それらの外周には各8個の突起79a…,80a…および各8個の溝79b…,80b…が等間隔で放射状に突出する。一方、インナー部材153およびスラスト受けフランジ74の対向面には、各4個の爪153b…,74a…が等間隔で軸方向に対峙するように突出する。
外側弾性ブッシュ79,79および内側弾性ブッシュ80は突起79a…,80a…の位相が揃うように重ね合わされ、8個の溝79b…,80b…のうちの一つおきの4個にインナー部材153の4個の爪153b…が係合し、8個の溝79b…,80b…のうちの残りの4個にスラスト受けフランジ74の4個の爪74a…が係合する。
図5から明らかなように、第2ハウジング32の軸方向中間部の内周面に第1スライドベアリング91が固定され、また第1ハウジング32の軸方向端部に螺合するエンド部材93の内周面に第2スライドベアリング92が固定されており、これら第1、第2スライドベアリング91,92に前記出力ロッド33が摺動自在に支持される。スラスト受けフランジ74の回転運動を出力ロッド33のスラスト運動に変換する送りねじ機構39は、スラスト受けフランジ74と一体に形成された雄ねじ部材95と、この雄ねじ部材95の外周に螺合するとともに、中空の出力ロッド33の内周面に嵌合してロックナット97で固定された雌ねじ部材96とを備える。
このように、出力ロッド33を第1、第2スライドベアリング91,92を介して第2ハウジング32に支持したので、出力ロッド33に加わる径方向の荷重を第2ハウジング32で確実に支持して送りねじ機構39のコジリを防止することができる。
トーコントロールアクチュエータ14を伸縮制御する際に、その出力ロッド33のストローク位置を検出して制御装置にフィードバックすべく第2ハウジング32に設けられたストロークセンサ102は、出力ロッド33の外周面にボルト103で固定された永久磁石よりなる被検出部104と、この被検出部104の位置を磁気的に検出するコイル等の検出部105を収納するセンサ本体106とを備える。第2ハウジング32には、出力ロッド33の移動に伴って被検出部104が干渉するのを回避すべく、軸方向に延びる開口32bが形成される。
第2ハウジング32と出力ロッド33との隙間に水や塵が侵入するのを防止すべく、第2ハウジング32に形成した環状段部32cと、出力ロッド33に形成した環状溝33aとにブーツ108の両端が嵌合し、それぞれバンド109,110で固定される。
出力ロッド33が伸長すると第1、第2ハウジング31,32の内部空間の容積が増加し、逆に出力ロッド33が収縮すると第1、第2ハウジング31,32の内部空間の容積が減少するため、前記内部空間の圧力が変動してトーコントロールアクチュエータ14のスムーズな作動を妨げる虞がある。しかしながら、中空の出力ロッド33の内部空間とブーツ108の内部空間とが、出力ロッド33に形成した通気孔33bを介して連通しているため、前記圧力の変動がブーツ108の変形により緩和されてトーコントロールアクチュエータ14のスムーズな作動が可能になる。
さて、路面の凹凸から後輪Wに伝達される荷重によってトーコントロールアクチュエータ14の出力ロッド33に軸方向の荷重が入力したとき、出力ロッド33に固定された雌ねじ部材96とモータ36に接続された雄ねじ部材95との間には若干の軸方向のガタが存在することが避けられないため、軸方向に移動しようとする雌ねじ部材96に対して雄ねじ部材95が次第に回転してしまい、後輪Wのトー角が変化してしまう可能性がある。このとき、雄ねじ部材95に接続されたモータ36に通電して回転を抑制すれば後輪Wのトー角の変化を防止することが可能であるが、このようにするとモータ36の消費電力が増加する問題がある。
そこで本実施の形態では、不可逆クラッチ151によりモータ36の駆動力の後輪W側への伝達を許容しながら、後輪W側からモータ36側への駆動力の逆伝達を阻止している。
即ち、モータ36の駆動に伴って減速機37の第2キャリヤ70が図7の矢印A方向に回転すると、図6に示す隙間αが隙間βよりも大きく設定されていることから、第2キャリヤ70と一体のピン157…がインナー部材153のピン孔158…に当接する前に、第2キャリヤ70と一体の係合解除突起159…が一方のニードルころ156A…を押圧し、スプリング155…の弾発力に抗して他方のニードルころ156B…に向けて移動させる。その結果、前記一方のニードルころ156A…はインナー部材153の平坦面153a…とアウター部材152の内周面とにより区画された楔状の空間に噛み込むことが阻止され、やがて隙間αが詰まって第2キャリヤ70のピン157…がインナー部材153のピン孔158…に当接する。しかして、第2キャリヤ70の矢印A方向の回転は、ピン157…からピン孔158…を介してインナー部材153に伝達され、そこからカップリング38および送りねじ機構39を介して後輪Wを左右一方に操舵する。
逆に、ウオームホイール141が図7の矢印B方向に回転すると、第2キャリヤ70と一体の係合解除突起159…が他方のニードルころ156B…を押圧し、スプリング155…の弾発力に抗して一方のニードルころ156A…に向けて移動させるため、前記他方のニードルころ156B…はインナー部材153の平坦面153a…とアウター部材152の内周面とにより区画された楔状の空間に噛み込むことが阻止される。従って、隙間αが詰まって第2キャリヤ70のピン157…がインナー部材153のピン孔158…に当接すると、第2キャリヤ70の矢印B方向の回転は、ピン157…からピン孔158…を介してインナー部材153に伝達され、そこからカップリング38および送りねじ機構39を介して後輪Wを左右他方に操舵する。
以上のように、モータ36を何れの方向に駆動した場合でも、その駆動力が不可逆クラッチ151を介して支障なく伝達されることで、後輪Wを左右何れの方向にも操舵することができる。
次に、後輪W側からモータ36側に駆動力が逆伝達される場合を考える。インナー部材153が図6の矢印C方向に回転しようとすると、一方のニードルころ156A…がインナー部材153の平坦面153a…とアウター部材152の内周面とにより区画された楔状の空間に即座に噛み込むことにより、第2ハウジング32と一体のアウター部材152にインナー部材153が結合され、インナー部材153は第2ハウジング32に回転不能にロックされる。逆に、インナー部材153が図6の矢印D方向に回転しようとすると、他方のニードルころ156B…がインナー部材153の平坦面153a…とアウター部材152の内周面とにより区画された楔状の空間に即座に噛み込むことにより、第2ハウジング32と一体のアウター部材152にインナー部材153が結合され、インナー部材153は第2ハウジング32に回転不能にロックされる。
以上のように、モータ36への通電を停止した状態で路面から後輪Wに荷重が加わっても、その荷重による駆動力がモータ36に逆伝達されるのを不可逆クラッチ151が阻止するため、モータ36に通電して雄ねじ部材95の回転を拘束しなくても、後輪Wのトー角が不用意に変化して走行状態に影響が出るのを防止することができる。
本実施の形態では、不可逆クラッチ151と滑りねじよりなる送りねじ機構39との組み合わせにより、モータ36を小型化することができる。以下、その理由を図9に基づいて説明する。
図9(A)は、滑りねじよりなる送りねじ機構を備え、不可逆クラッチを備えない伸縮アクチュエータ(前記特許文献1に記載されたもの)の、送りねじ機構のリードと伝達効率との関係を示すものである。
正効率とは、モータ側から出力ロッド側への駆動力伝達の効率、つまり回転運動から直線運動への駆動力伝達の効率であり、逆効率とは、出力ロッド側からモータ側への駆動力伝達の効率、つまり直線運動から回転運動への駆動力伝達の効率である。
滑りねじよりなる送りねじ機構では、リードの大小が変化しても正効率は常に逆効率よりも高くなるが、リードの大きい領域(斜線の領域)は出力ロッド側からモータ側への駆動力伝達を阻止できない領域、つまり自己保持が不能な領域であるため、斜線の領域の左側のリードの小さい領域しか使用することができない。しかしながら、リードの小さい領域では正効率も低くなるため、トルクの大きい大型のモータが必要になり、その結果として消費電力が増加してしまう問題がある。
図9(B)は、転がりねじよりなる送りねじ機構と、不可逆クラッチとを備えた伸縮アクチュエータ(前記特許文献2に記載されたもの)の、送りねじ機構のスラスト力とトルクとの関係を示すものである。
転がりねじよりなる送りねじ機構は、正効率および逆効率が等しく、かつ共に高いという特性を有しており、出力ロッド側からモータ側への駆動力伝達を阻止する自己保持機能は発生しない。従って、出力ロッド側から逆伝達されたスラスト力は全てトルクとなって不可逆クラッチに入力され、不可逆クラッチによってモータへの伝達が阻止されるため、不可逆クラッチが大きな荷重でロックすることになる。そのため、不可逆クラッチがロックした状態でモータを駆動して出力ロッドを駆動するとき、不可逆クラッチのロックを解除するのに必要なモータのトルクが大きくなり、モータが大型化して消費電力が増加するという問題がある。
図9(C)は本実施の形態の送りねじ機構39のリードと伝達効率との関係を示すものであり、図9(D)は本実施の形態の送りねじ機構39のスラスト力とトルクとの関係を示すものである。
本実施の形態では送りねじ機構39に逆効率が低い滑りねじを用いているため、出力ロッド33側からモータ36側に向けてスラスト力が入力されても、その一部がトルクとなって不可逆クラッチ151に伝達されるだけであり、不可逆クラッチ151が小さな荷重でロックすることになる。従って、不可逆クラッチ151がロックした状態でモータ36を駆動して出力ロッド33を駆動するとき、不可逆クラッチ151のロックを解除するのに必要なモータ36のトルクが小さくなり、モータ36を小型化して消費電力を節減することができる。
また不可逆クラッチ151が完全なロック機能を発揮するため、送りねじ機構39に自己保持機能を負担させる必要がなくなり、自己保持機能の小さい高リードの送りねじ機構39、つまり効率の高い送りねじ機構39を使用することが可能となり、モータ36の更なる小型化が達成される。
以上のように、本実施の形態によれば、滑りねじよりなる送りねじ機構39と不可逆クラッチ151との組み合わせにより、モータ36を大型化することなく、出力ロッド33側からモータ36側への駆動力の逆伝達を完全に阻止し、後輪Wのトー角の意図せぬ変化を防止することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では減速機37に第1、第2遊星歯車機構61,62を用いているが、遊星歯車機構に変えてウオームギヤ等の他の手段を用いることができる。
また不可逆クラッチ151の構造は実施の形態に限定されず、任意の構造のものを採用することができる。
左後輪のサスペンション装置の斜視図 図1の2方向矢視図 図1の3−3線拡大断面図 図3の4部拡大図 図3の5部拡大図 図4の6−6線断面図(不可逆クラッチ係合状態) 図6に対応する作用説明図(不可逆クラッチ非係合状態) 減速機、不可逆クラッチおよびカップリングの分解斜視図 本実施の形態の効果の説明図
32 第2ハウジング(ハウジング)
33 出力ロッド
36 モータ
37 減速機
39 送りねじ機構
45 回転軸
70 第2キャリヤ(駆動部材)
151 不可逆クラッチ
152 アウター部材
153 インナー部材
153a 平坦面
155 スプリング
156A ニードルころ
156B ニードルころ
157 ピン
158 ピン孔
159 係合解除突起
W 後輪(車輪)

Claims (2)

  1. モータ(36)の回転軸(45)の回転を滑りねじよりなる送りねじ機構(39)で出力ロッド(33)の伸縮動に変換し、前記出力ロッド(33)に接続された車輪(W)のトー角を変化させる操舵装置において、
    前記送りねじ機構(39)および前記モータ(36)の間に、前記モータ(36)側から前記送りねじ機構(39)側への正転・逆転両方向の駆動力の伝達を許容し、前記送りねじ機構(39)側から前記モータ(36)側への正転・逆転両方向の駆動力の伝達を遮断する不可逆クラッチ(151)を配置し
    前記不可逆クラッチ(151)は、
    ハウジング(32)に固定された環状のアウター部材(152)と、
    前記送りねじ機構(39)側に接続されて外周に複数の平坦面(153a)が形成されたインナー部材(153)と、
    前記モータ(36)側に接続されて前記インナー部材(153)に対して同軸に配置された駆動部材(70)と、
    前記各々の平坦面(153a)と前記アウター部材(152)の内周面との間に配置されてスプリング(155)で相互に離反する方向に付勢された一対のニードルころ(156A,156B)と、
    前記駆動部材(70)に突設された複数のピン(157)と、
    前記インナー部材(153)に形成されて前記複数のピン(157)が緩く嵌合する複数のピン孔(158)と、
    前記駆動部材(70)に突設されて前記一対のニードルころ(156A,156B)の円周方向外側に臨む係合解除突起(159)と、
    を備えることを特徴とする操舵装置。
  2. 前記不可逆クラッチ(151)および前記モータ(36)の間に、前記モータ(36)の回転を減速して前記不可逆クラッチ(151)に伝達する減速機(37)を配置したことを特徴とする、請求項1に記載の操舵装置
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