JP5086557B2 - ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ

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Description

本発明は、ゴム組成物及び該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関するものである。
近年、スタッドレス用タイヤ、オールシーズン用タイヤ等には低温柔軟性が求められるため、ガラス転移点の低いポリブタジエンゴム、天然ゴム等が用いられている。しかし、これらのゴム成分では低温柔軟性を確保できるものの、ドライ・グリップ性が低下するため、双方の特性を両立させるべく、種々の開発がなされている。
例えば、ドライ・グリップ性を高めるために、乳化重合により得られるスチレン−ブタジエンゴムを用いる手法が提案されているが(特許文献1参照)、ガラス転移点を高くするとドライ・グリップ性は改善されるものの、低温柔軟性が低下し、一方、ガラス転移点を低くすると低温柔軟性は改善されるものの、ドライ・グリップ性(乾燥路面でのグリップ性)が低下してしまい、依然として、双方の特性を両立させることは困難であった。
また、カーボンブラックやシリカ等の充填材の種類の変更や増量、また、オイル等の軟化剤の減量等によりドライ・グリップ性を改良する試みもなされている。
例えば、特許文献2においては、スチレン−ブタジエンゴム主体のゴム成分に、表面処理されたシリカ及びカーボンブラックを配合しドライ・グリップ性を高める手法が提案されている。
しかしながら、これらの手法も、低温柔軟性の低下や未加硫ゴムの粘度上昇による作業性の悪化を招くという問題点があった。
そこで、スタッドレス用タイヤ、オールシーズン用タイヤ等の低温柔軟性とドライ・グリップ性の両立を達成する技術が要望されていた。
WO97/48267パンフレット 特開2000−239449号公報 特開平8−81505号公報 特開平9−136903号公報 特開2001−261707号公報
本発明は、このような状況下で、低温柔軟性とドライ・グリップ性の両立を達成するゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、天然ゴムを含むゴム組成物において、特定の液状天然ゴムを含有させることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.ゴム成分中、天然ゴムを30質量%以上含有するゴム組成物において、天然ゴムを解重合して得られる重量平均分子量が60000〜150000である液状天然ゴムを含有することを特徴とするゴム組成物。
2.液状天然ゴムと天然ゴムとの質量比(液状天然ゴム/天然ゴム)が(10/100)〜(100/100)である上記1に記載のゴム組成物。
3.液状天然ゴムが、天然ゴムラテックスにカルボニル化合物を添加し、空気酸化されることにより製造される上記1又は2に記載のゴム組成物。
4.液状天然ゴムが、更に、ラジカル発生剤の存在下で空気酸化されることにより製造される上記3に記載のゴム組成物。
5.カルボニル化合物が、アルデヒド類及び/又はケトン類である上記3又は4に記載のゴム組成物。
6.ラジカル発生剤が、過酸化物系ラジカル発生剤、レドックス系ラジカル発生剤及びアゾ系ラジカル発生剤からなる群から選ばれる上記4に記載のゴム組成物。
7.ゴム成分100質量部に対して、充填材を20〜100質量部含有する上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
8.上記1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤ。
本発明により、低温柔軟性とドライ・グリップ性の両立を達成するゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分中、天然ゴムを30質量%以上、好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上含有する。ゴム成分中の天然ゴムの含有量が30質量%未満であるとドライ・グリップ性が低下するからである。
また、天然ゴムを解重合して得られる液状天然ゴムの重量平均分子量が60000〜150000であることを要するのは、重量平均分子量が60000未満であるとドライ・グリップ性が低下するからであり、重量平均分子量が150000を超えると低温柔軟性が低下するからである。
さらに、液状天然ゴムと天然ゴムとの質量比(液状天然ゴム/天然ゴム)が(10/100)〜(100/100)の範囲内であることが好ましく、10/100)〜(80/100)の範囲内であることがより好ましく、10/100)〜(60/100)の範囲内であることが更に好ましく、10/100)〜(40/100)の範囲内であることが特に好ましい。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分である天然ゴムと液状天然ゴムが全く同じシス−1,4結合のミクロ構造を有することにより、ガラス転移点を変えず、また完全に相溶したゴム構造をとる。そのため、このゴム組成物は、低温柔軟性を損なわず、破壊特性を維持する。
また、この液状天然ゴムは比較的重量平均分子量が高く、ポリマーとして架橋するので、軟化剤としての各種オイルと置換して使用した場合、加硫後はゴム組成物の貯蔵弾性率(E')を高め、ドライ・グリップ性を改良することができる。
以上のようにして、本発明のゴム組成物の低温柔軟性とドライ・グリップ性の両立が達成できることとなる。
本発明のゴム組成物に用いられる液状天然ゴムは公知の方法で製造することができる。
例えば、特許文献3では、有機溶剤に1〜30重量%の割合で溶解した天然ゴムを金属系酸化触媒の存在下で空気酸化して得られる。
ここで、空気酸化を促進するために用いられる金属系酸化触媒の好適な金属種はコバルト、銅、鉄等であり、これらの塩化物や有機化合物との塩や錯体が用いられる。なかでも塩化コバルト、コバルトアセチルアセトナート、ナフテン酸コバルト等のコバルト系触媒が好適である。
そして、有機溶媒としては、それ自体がゴムと反応せず、また容易に酸化されることがなく、ゴムを溶解するものであれば良く、種々の炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、有機ハロゲン系溶媒等が好適に用いられる。炭化水素系溶媒としては、例えばヘキサン、ガソリンなどが使用可能である。芳香族炭化水素系溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、ベンゼンなどが使用可能である。有機ハロゲン系溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタンなどが使用可能である。中でも芳香族炭化水素系のトルエンを用いるのが好適である。また、それらとアルコール等との混合溶媒を用いることも可能である。
また、特許文献4では、天然ゴムラテックスにカルボニル化合物を添加し、ラジカル発生剤の存在下で天然ゴムを空気酸化することにより液状天然ゴムを製造する方法が提案されている。
天然ゴムラテックスに添加するカルボニル化合物は、ゴム分に関係なくラテックス容量に対して20容量%(V/V%)以下、好ましくは1〜10容量%となるように添加するのが適当である。カルボニル化合物の濃度が上記範囲を超えても問題はないが、反応性を高めないばかりか、経済的に不利である。
ここで、カルボニル化合物の好適な例としては、種々のアルデヒド類、ケトン類等があげられる。
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、カプロアルデヒド、ヘプタアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、バニリン、ピペロナール、メチルバレルアルデヒド、イソカプロアルデヒド、パラホルムアルデヒド等があげられる。
ケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、ジエチルケトン、イソプロピルメチルケトン、ベンジルメチルケトン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、イソブチルメチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、n−ブチロフェノン、ベンゾフェノン、3−ニトロ−4′−メチルベンゾフェノン等があげられる。
また、上述のように、天然ゴムの空気酸化を促進するためにラジカル発生剤が用いられる。ラジカル発生剤としては、例えば過酸化物系ラジカル発生剤、レドックス系ラジカル発生剤、アゾ系ラジカル発生剤等が好適に用いられる。過酸化物系ラジカル発生剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルペルオキシカルボナート、ジシクロヘキシルペルオキシカルボナート等が使用可能である。
レドックス系ラジカル発生剤としては、例えばクメンヒドロキシペルオキシドとFe(II)塩、過酸化水素とFe(II)塩、過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウムと亜硫酸ナトリウム、硫酸セリウム(IV)とアルコール、アミンまたは澱粉、過酸化ベンゾイルや過酸化ラウロイル等の過酸化物とジメチルアニリン等が使用可能である。
アゾ系ラジカル発生剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸等が使用可能である。
上述のラジカル発生剤は上記天然ゴムラテックス中に溶解または分散させて用いられる。ラジカル発生剤の添加量は、天然ゴム固形分に対して0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%であるのが適当である。ラジカル発生剤の濃度が上記範囲より低いと空気酸化の速度が遅く実用的でない。一方、ラジカル発生剤の濃度が上記範囲を超えても、反応率がそれに比例して高くならず、経済的に不利である。
空気酸化では、溶液を空気と均一に接触させることが望ましい。空気との接触を均一にする手法は特に限定されないが、例えば振盪フラスコ中で振盪させるほか、攪拌や空気を吹き込むバブリング等により容易に行うことができる。空気酸化を進める温度は、通常、室温〜100℃で行われるが、特に限定されるものではない。反応は、通常1〜5時間程度で終了する。
反応後、反応生成物を反応液から分離し精製する。例えば、反応後の反応液に塩溶液を適量添加し凝固させた後、精製する。
更に、特許文献5では、天然ゴムラテックスにオゾン含有ガスを吹き込み、オゾンの酸化作用でゴムを分解することを特徴とする天然ゴムの解重合方法が提案されている、この方法では、過酸化水素の添加により、分解反応が促進される。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、充填材を20〜100質量部含有することが好ましい。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物に用いる充填材として、カーボンブラック及びシリカが好ましい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は70〜160m2/gであることが好ましい。好適なカーボンブラックとしては、HAF、IISAF、ISAF、SAF等のファーネス・カーボンブラックが挙げられる。また、シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにドライ・グリップ性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。そして、シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は100〜500m2/gであることが好ましい。好適な湿式シリカとしては、東ソー・シリカ(株)製のAQ、VN3、LP、NA等、デグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:210m2/g)等が挙げられる。
上述以外の充填材として、所望により、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。また、上記一般式(I)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはアルミニウムの炭酸塩から選ばれる無機充填材を含有してもよい。特に水酸化アルミニウムが好ましい。
本発明のゴム組成物においては、充填材としてシリカを用いる場合、その補強性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルチトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。これらのシランカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカに対して、好ましくは1〜20質量%の範囲で選定される。この量が上記範囲にあれば、カップリング剤としての効果が十分に発揮されると共に、ゴム成分のゲル化が起こりにくい。カップリング剤としての効果及びゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、シリカ配合量を基準として3〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%の範囲である。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
本発明のゴム組成物は、通常硫黄架橋性であり、加硫剤として硫黄などが好ましく用いられる。その使用量としては、ゴム分100質量部に対し、硫黄分として、0.1〜10.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5.0質量部である。0.1質量部以上であると加硫ゴムは低発熱性及び耐破壊性が良好なものとなり、10.0質量部以下であるとゴム弾性も良好である。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2-メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)等のチアゾール系、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のスルフェンアミド系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。
さらに、本発明のゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などを挙げることができる。その使用量は、ゴム分100質量部に対して、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜3.0質量部である。
本発明のゴム組成物は、前記配合処方により、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られる。
ここで、天然ゴムと液状天然ゴムは、充填材等との混練り時に別々に投入してもよいし、充填材等との混練り時より前の段階で天然ゴム中に液状天然ゴムを混入させてもよい。
また、天然ゴム製造工程中で、天然ゴム中に液状天然ゴムを混入させてもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、液状天然ゴムの重量平均分子量(Mw)並びに、加硫後のゴム組成物の低温柔軟性、ドライ・グリップ性及び破壊特性は、下記の方法に従って測定した。
1.液状天然ゴムの重量平均分子量(Mw)
GPCを用い、ポリスチレン換算にてMwを求めた。
2.低温柔軟性
上島製作所製、スペクトロメーター(動的粘弾性測定試験機)を用い、周波数52Hz、初期歪10%、測定温度−20℃、動歪1%で、動的貯蔵弾性率〔E'( −20℃)〕を測定し、E'測定値の逆数を低温柔軟性の尺度とした。比較例1のE'測定値の逆数を100として、各実施例及び比較例のE'測定値の逆数を指数表示した。数値が高い程、低温柔軟性が高い。
3.ドライ・グリップ性
スペクトロメーター(前出)を用い、周波数52Hz、初期歪10%、測定温度30℃、動歪1%でE’(30℃)を測定し、比較例1のE’を100として指数表示した。指数の値が大きいほど、ドライ・グリップ性が良好である。
液状天然ゴムの製造例
天然ゴムのフィールドラテックスを、ラテックスセパレーター(斎藤遠心工業製)を用いて回転数7500rpmで遠心分離することにより乾燥ゴム濃度60質量%の濃縮ラテックスを得た。このラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、1000gの水を加えた。その後、過硫酸カリウム30g、プロピオンアルデヒド10gを添加し、空気の存在下に70℃で6時間撹拌しながら反応させることで解重合による液状天然ゴムラテックスを得た。これにギ酸を添加してpHを4.7に調整することにより、液状天然ゴムラテックスを水系から分離した。このようにして得た分離物を2−プロパノールで洗浄し、真空乾燥機により80℃で15時間乾燥して液状天然ゴムAを得た。上記条件で反応時間を5時間、3時間、1時間と変更することによって液状天然ゴムB、C、Dを得た。これらの液状天然ゴムの重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
Figure 0005086557
実施例1〜3及び比較例1〜2
表2に示す配合処方により5種類のゴム組成物をバンバリーミキサーにより混練りして調製した。
各ゴム組成物を、145℃、33分間の条件で加硫し、加硫ゴムについて低温柔軟性及びドライ・グリップ性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005086557
Figure 0005086557
表3により明らかなように、実施例1〜3のゴム組成物は比較例1のゴム組成物対比、低温柔軟性を同等に維持しながら、ドライ・グリップ性を大幅に改良した。
比較例2のゴム組成物は低温柔軟性を同等に維持したが、ドライ・グリップ性を低下させた。
実施例1〜3及び比較例1の4種類のゴム組成物をそれぞれタイヤサイズ185/60R14の乗用車用ラジアルタイヤのトレッド部に配設して、ドライ・グリップ性を実車評価した所、実施例1〜3のタイヤはいずれも比較例1のタイヤ対比ドライ・グリップ性が良好であった。
本発明のゴム組成物は、乗用車用、軽自動車用、軽トラック用、トラック・バス用及び建設車両用タイヤのトレッド及びその他天然ゴムが使用される各種部材に好適に用いられる。特に、上述の各種タイヤのスタッドレス用タイヤ及びオールシーズン用タイヤのトレッドとして好適に用いられる。

Claims (8)

  1. ゴム成分中、天然ゴムを50質量%以上含有するゴム組成物において、天然ゴムを解重合して得られる重量平均分子量が60000〜150000である液状天然ゴムを含有することを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
  2. 液状天然ゴムと天然ゴムとの質量比(液状天然ゴム/天然ゴム)が(10/100)〜(100/100)である請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. 液状天然ゴムが、天然ゴムラテックスにカルボニル化合物を添加し、空気酸化されることにより製造される請求項1又は2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  4. 液状天然ゴムが、更に、ラジカル発生剤の存在下で空気酸化されることにより製造される請求項3に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  5. カルボニル化合物が、アルデヒド類及び/又はケトン類である請求項3又は4に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  6. ラジカル発生剤が、過酸化物系ラジカル発生剤、レドックス系ラジカル発生剤及びアゾ系ラジカル発生剤からなる群から選ばれる請求項4に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  7. ゴム成分100質量部に対して、充填材を20〜100質量部含有する請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤ。
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