JP2006077081A - 重荷重用タイヤトレッドゴム組成物 - Google Patents

重荷重用タイヤトレッドゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 重荷重用タイヤトレッドゴム組成物のウェット性能、転がり抵抗、耐摩耗性および加工性を高次元でバランスさせる。
【解決手段】 天然ゴムを主成分とした加硫可能なゴム100重量部、平均粒子直径が1〜100μmで、平均アスペクト比が1〜9のイノ珪酸塩粉体5〜30重量部及び窒素吸着比表面積(N2SA)が110m2/g以上のカーボンブラック30〜45重量部を含み、カーボンブラックとイノ珪酸塩との合計量が35〜75重量部である重荷重用タイヤトレッドゴム組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は重荷重用タイヤトレッドゴム組成物に関し、更に詳しくは耐摩耗性、転がり抵抗及びウェット制動性能がバランスした重荷重用タイヤトレッドゴム組成物に関する。
トラック・バス等の重荷重用タイヤにおいては低燃費化や省メンテナンス性を目的とし、1)キャップトレッドゴムに配合するカーボンブラックの減量や低グレード化、2)シリカの配合、3)タイヤトレッドの浅溝化などが検討されている(特許文献1〜5参照)。これらの手法によれば低燃費性能は向上するが、カーボンブラックの配合量の減量では耐摩耗性とウェット性能の低下を来したり、シリカの配合では耐摩耗性が悪化したりするという問題があり、またそして、浅溝化では耐摩耗性が悪化するという問題があり、いずれの方法を用いてもタイヤ、特に重荷重用タイヤトレッド用ゴムとしては低燃費性/耐摩耗性/ウェット性能を高次元でバランスさせることは困難であった。
特公昭59−2451号公報 特開平7−76634号公報 特開平6−270602号公報 特開平11−59124号公報 特開2000−233610号公報
従って、本発明は、前記した従来技術の問題点を排除して、従来のシリカ配合コンパウンドに比較して、タイヤのウェット性能、転がり抵抗、耐摩耗性及び加工性を高次元でバランスさせることができる重荷重用タイヤトレッドとして使用するのに適したゴム組成物を提供することにある。
本発明に従えば、天然ゴムを主成分とした加硫可能なゴム100重量部、平均粒子直径が1〜100μmで、平均アスペクト比が1〜9のイノ珪酸塩粉体5〜30重量部及び窒素吸着比表面積(N2SA)が110m2/g以上のカーボンブラック30〜45重量部を含んでなり、カーボンブラックとイノ珪酸塩粉体との合計量が35〜75重量部である重荷重用タイヤトレッドゴム組成物が提供される。
本発明に従って、天然ゴム(NR)を主成分としたゴム成分、好ましくは更にポリブタジエンゴム(BR)を含む加硫可能なゴムに、特定のイノ珪酸塩粉体及び特定のカーボンブラックを配合することにより、ウェット制動性能が向上し、転がり抵抗が低減し、そして耐摩耗性が向上した重荷重用タイヤトレッドゴム組成物が得られ、更にムーニー粘度の低下による加工性の改善も認められる。
本発明に従った重荷重用タイヤトレッドゴム組成物は、天然ゴムを主体とする重荷重用コンパウンドに、イノ珪酸カルシウムなどのイノ珪酸塩を主成分とする粉体(具体例としてはメタ珪酸カルシウムのウォラストナイト)とカーボンブラックとを配合し、更に好ましくはシランカップリング剤を配合し、これを、例えばイノ珪酸塩の極性基とシランカップリング剤とが反応する条件下にて混練りを行い、加硫する。ここでゴム成分中のNRの含有率は60重量%以上であるのが好ましく、イノ珪酸塩粉体は平均粒子直径が1〜100μm、アスペクト比(代表長L/代表幅D)が1〜9で、配合量が5〜30phr(ゴム100重量部当りの重量部)である。イノ珪酸塩粉体の粒径が大きすぎるとイノ珪酸塩粉体が異物として作用するので好ましくなく、また極性が強いために小粒径化や配合量増により再凝集しやすくなる。
本発明で使用する前記配合成分は温度140〜150℃に到達後に1〜10分間更に混合して調製することにより、ゴム焼けを抑制しつつ、カップリング反応を促進させることができる。そのため得られるゴム組成物のムーニー粘度の低減が可能となり、加工性の改善効果も得られる。
本発明において使用するイノ珪酸カルシウム、メタ珪酸カルシウムのウォラストナイトなどのイノ珪酸塩粉体は、それをゴムに配合することにより、tanδ(60℃)が低下してペイン効果も低下するという効果を有するため、ウェット制動性と転がり抵抗を高次元で両立させることができる。従来、極性フィラーを配合すると、ゴムの耐摩耗性が悪化する傾向にあるが、本発明に従ったイノ珪酸塩粉体、特にウォラストナイト配合コンパウンドでは、このように耐摩耗性の低下は見られない。
本発明に係る重荷重用タイヤトレッドゴム組成物に配合するゴム成分は、天然ゴム(NR)を主体とした加硫可能なゴムで、ゴム100重量部中にNRが60重量部以上であるのが好ましく、70重量部以上であるのが更に好ましい。NRの配合量が少ないとゴムの破断強度(TB)が低下するので好ましくない。好ましい態様ではNR/BR(重量%)が60〜95/40〜5、更に好ましくは、NR/BR=70〜90/30〜10でNRとBRを含む。本発明において使用することができる他の加硫可能なゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)などをあげることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
本発明に係る重荷重用タイヤトレッドゴム組成物には、平均粒子直径(走査型電子顕微鏡(SEM)日立製作所製にて測定)が1〜100μm、好ましくは2〜80μmで、平均アスペクト比(代表長/代表幅)(走査型電子顕微鏡(SEM)日立製作所製にて測定)が1〜9、好ましくは3〜8のイノ珪酸の金属塩粉体を5〜30phr(ゴム100重量部当りの重量部数)配合する。この粒子サイズが小さすぎると強い極性により、再凝集し、加工性が悪化するので好ましくなく、逆に大きすぎるとゴムの補強性が低下するので好ましくない。また平均アスペクト比が小さすぎると再凝集して加工性が悪化するので好ましくなく、逆に大きすぎるとゴムの補強性が低下するので好ましくない。イノ珪酸塩粉体の配合量が少な過ぎるとウェットスキッド性能、転がり抵抗、加工性が悪化するので好ましくなく、逆に多過ぎると再凝集が起こり、加工性が悪化するので好ましくない。
本発明において用いるイノ珪酸塩(塩としては、例えばカルシウム塩など)は直鎖状の−Si−O−分子構造を有し、これに単位質量当りに多くのフリーな酸素原子(イオン)が結合した構造を有しており、極性フィラーとしての性質が強に材料である。典型的な材料としては珪灰石(ウォラストナイト)と呼ばれる化学式CaSiO3を有する天然鉱物をあげることができ、ウォラストナイトとしてNYCO Minerals,Incから市販されている。
本発明に係る重荷重用タイヤトレッドゴム組成物には、必須成分として更にN2SA(JIS−K6217に準拠して測定)が110m2/g以上、好ましくは110〜150m2/gのカーボンブラックを30〜45phr、好ましくは30〜40phr(但し、前記イノ珪酸塩とカーボンブラックの合計量は35〜75phr、好ましくは40〜65phrでなければならない。)配合する。配合するカーボンブラックのN2SA値が低過ぎると耐摩耗性が悪化するので好ましくない。またカーボンブラックの配合量が少な過ぎるとゴムの破断強度が低下するので好ましくなく、逆に多過ぎるとムーニー粘度の増加により加工性やウェットスキッド性能が低下するので好ましくない。なお、イノ珪酸塩粉体とカーボンブラックの合計量が少な過ぎるとゴムの破断強度が低下するので好ましくなく、逆に多過ぎるとムーニー粘度が増加し、加工性が悪化するので好ましくない。
本発明に係る好ましい態様の重荷重用タイヤトレッドゴム組成物には、ゴムの加工性/ウェットスキッド性能/耐摩耗性を向上させるために、イノ珪酸塩粉体(ウォラストナイト)とゴムを反応させるという観点から、シラノール基を有する含硫黄シランカップリング剤を配合するのが好ましい。前記含硫黄シランカップリング剤の配合量は、好ましくは前記イノ珪酸塩粉体の配合量の5〜20重量%、更に好ましくは6〜12重量%である。この配合量が少な過ぎるとウォラストナイトとの反応が不十分で、加工性、ウェットスキッド性能の耐摩耗性が低下するので好ましくなく、逆に多過ぎると加工時にスコーチを引き起こすので好ましくない。
本発明の好ましい態様で使用する含硫黄シランカップリング剤は従来から公知であり、例えば下記化学式(1)で表わされるシランカップリング剤が好適である
{(Cm2n+1O)3−Si−(CH2n−Sl2 (I)
式(I)中、nは1〜4の整数、mは1〜4の整数、lは2〜8の整数である。
このようなシランカップリング剤として具体的にはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ポリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルメチル)ポリスルフィドなどがあげられる。これらのシランカップリング剤は1種、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明に従った重荷重用タイヤトレッドゴム組成物は一般的な方法で製造することができるが、天然ゴムを含む加硫可能なゴム及びイノ珪酸塩を含み、硫黄及び加硫助剤を含まない配合成分を、密閉式混練機で140℃以上、好ましくは140℃〜150℃となるように混練した後、更に1〜10分間混練し、その混合より後の加工段階において、ゴム組成物を硫黄及び加硫助剤と共に混練りして加硫するのが好ましい。
本発明に係る重荷重用タイヤトレッドゴム組成物には、前記した必須成分に加えて、シリカなどのその他の補強剤(フィラー)、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練、加硫して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
標準例1、実施例1〜12及び比較例1〜5
サンプルの調製
表Iに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を3リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、表Iに示した温度に達したときに表Iに示す時間保持し、その後放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて以下に示す試験法で未加硫物性を評価した。結果は表Iに示す。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で148℃で30分間加硫して加硫ゴムシート及び直径63.5mm、厚さ5mmの円盤状、ランボーン摩耗試験用サンプルを作製し、以下に示す試験法で加硫ゴムの物性を測定した。結果は表Iに示す。なお、結果はすべて標準例1の値を100として指数表示し、標準例1は表Iのいずれにも載せた。
ゴム物性評価試験法
ムーニー粘度(ML1+4):JIS K−6300に準拠して測定
tanδ(60℃):伸長型粘弾性測定機(東洋精機(株)製)を使用して初期伸長10%、歪率±2%、周波数20Hz条件で60℃で測定した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この値が小さいほど加工性が良好である。
破断強度(TB):JIS K−6251に準拠して測定した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほど引張物性が良好である。
耐摩耗性:ランボーン摩擦試験機(岩本製作所(株)製)を使用して荷重5N、スリップ率25%、時間9分、室温条件で測定し、標準例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほど耐摩耗性は良好である。
ウェット制動距離:10トントラック全輪にテストタイヤを装着し、湿潤路面において80km/hからの停止距離を測定した。タイヤサイズは11R22.5、指数値が小さいほど停止距離が短かく、性能が優れることを表す。
Figure 2006077081
Figure 2006077081
Figure 2006077081
表I脚注
*1:天然ゴム RSS#4
*2:BR 日本ゼオン(株)製ポリブタジエンゴム NipolBR1220
*3:165GR ローディア製ZEOSIL 165GR
*4:ウォラストナイト NYCO Minerals,Inc
(平均直径3μm、繊維長9μm アスペクト比3)
*5:Si69 デグッサ社製
*6:CB1 東海カーボン(株)製シースト9M
*7:6C FLEXYS社製SANTOFLEX 6PPD
*8:RD バイエル社製VULKANOX HS/LG
*9:亜鉛華 東邦亜鉛(株)製銀嶺
*10:ステアリン酸 日本油脂(株)製ビーズステアリン酸
*11:プロセスオイル ジャパンエナジー(株)製X−140
*12:NS 大内新興化学(株)製ノクセラーNS−P
*13:PVI FLEXYS社製SANTOGURAD PVI DSPOWDER
*14:硫黄 細井化学工業(株)製油処理硫黄(硫黄:油=100:5)
以上の通り、本発明に従ったゴム組成物は、NRを主体としたゴムに、イノ珪酸の金属塩、例えばイノ珪酸カルシウムを主成分とする粉体(例えばウォラストナイト)を配合し、更に好ましくはこれにシランカップリング剤を配合することにより、耐摩耗性、転がり抵抗及びウェット制動性能がバランスしたゴム組成物が得られ、重荷重用タイヤトレッドとして使用するのに最適である。

Claims (6)

  1. 天然ゴムを主成分とした加硫可能なゴム100重量部、平均粒子直径が1〜100μmで、平均アスペクト比が1〜9のイノ珪酸塩粉体5〜30重量部及び窒素吸着比表面積(N2SA)が110m2/g以上のカーボンブラック30〜45重量部を含んでなり、カーボンブラックとイノ珪酸塩粉体との合計量が35〜75重量部である重荷重用タイヤトレッドゴム組成物。
  2. イノ珪酸塩配合量の5〜20重量%の量で、硫黄原子及びシラノール基を有する含硫黄シランカップリング剤を更に含む請求項1に記載の重荷重用タイヤトレッドゴム組成物。
  3. 前記加硫可能なゴムが天然ゴム(NR)とポリブタジエンゴム(BR)とのNR/BR(重量%)=60〜95/40〜5のブレンドである請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤトレッドゴム組成物。
  4. 前記イノ珪酸塩がメタ珪酸カルシウムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤトレッドゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を製造するにあたり、ジエン系ゴムとイノ珪酸塩を含み、硫黄及び加硫助剤を含まない配合成分を混合して温度が140〜150℃に達した後に、1〜10分間混練りし、その混合段階より後の加工段階において、ジエン系ゴム及びイノ珪酸塩を含むゴム組成物を硫黄及び加硫助剤とともに混練りすることを特徴とする重荷重用タイヤトレッドゴム組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤトレッドゴム組成物又は請求項5に記載の方法で製造された重荷重用タイヤトレッドゴム組成物をトレッドに用いた重荷重用空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007277310A (ja) * 2006-04-03 2007-10-25 Bridgestone Corp ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP2010163544A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Toyo Tire & Rubber Co Ltd タイヤトレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

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