JP2006335805A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シリカ含有ゴム組成物のウェット性能及び低転がり抵抗が高次にバランスさせ、かつペイン効果を改良する。
【解決手段】 ゴム成分100重量部並びに平均粒径2μm以上5μm未満、平均細孔径20〜500Å及びBET比表面積650〜1000m2/gの多孔質シリカ3〜40重量部を含むタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ。
【選択図】 なし

Description

本発明はタイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳しくは多孔質シリカを配合した、ウェット性能及び低転がり抵抗を高度にバランスさせかつペイン効果に優れたタイヤ用ゴム組成物並びにそれを用いた空気入りタイヤに関する。
ゴム組成物、特にタイヤ用ゴム組成物にシリカを配合することによりウェット性能と低転がり抵抗を両立させる技術が普及しており、さらに高いレベルでウェット性能及び低転がり抵抗を両立させるために様々な加工助剤を配合することが提案されている。例えば特許文献1にはBET比表面積85〜250m2/g、粒径5〜300μm、孔径175〜275Åの細孔の孔体積V1が400Å以下の細孔の孔体積V2の50%以下のシリカを配合したゴム組成物が記載されている。特許文献2には、BET比表面積が45〜400m2/g、重量平均粒度が20〜300nmで、L/FI≧−0.0025×CTAB+0.85(式中、L:孔径分布の中央〜最大値の幅、FI:微細度係数(孔径分布の最高値に相当する孔半径値))を満たす多孔度を有するシリカを配合した組成物が記載されている。特許文献3にはBET比表面積が10〜800m2/g、粒径が5〜2000μmで、平均孔径が40〜1000Åであるシリカを配合した氷上引掻き性の改良されたゴム組成物が開示されている。更に特許文献4にはBET比表面積が550〜600m2/g、粒径が0.5〜6μmで、平均孔径が50〜150Åのシリカを配合したサイド外観の改良されたゴム組成物が記載されている。しかしながら、これらの提案にも拘らず、ウェット性能と低転がり抵抗とを更に高次にバランスさせたゴム組成物の開発が依然として望まれている。
特開1999−124474号公報 特表2005−500420号公報 特開1997−302153号公報 特開2002−037926号公報
従って、本発明の目的は、ウェット性能及び低転がり抵抗を更に改良すると共に、ペイン効果に優れたタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
本発明に従えば、ゴム成分100重量部並びに平均粒径2μm以上5μm未満、平均細孔径20〜500Å及びBET比表面積650〜1000m2/gの多孔質シリカ3〜40重量部を含むタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤが提供される。
本発明によれば、汎用のシリカと比較して粒径が大きい多孔質シリカをゴム組成物に配合することによってウェット性能及び低転がり抵抗が向上し、更にペイン効果を下げることができる。
本発明者らは、前記課題、即ちゴム組成物にシリカを配合することによりウェット性能と低転がり抵抗を両立させる技術において、さらに高いレベルでのウェット性能と低転がり抵抗を両立させるべく検討をすすめた結果、汎用のシリカと比較して粒径の大きい多孔質シリカをゴム組成物に配合することにより、ウェット性能及び低転がり抵抗を向上させると共に、ペイン効果を下げることに成功した。ここでペイン効果とは、多孔質シリカのゴム中への分散性を表わす尺度で、歪率0.28%と450%のG’の差をいう。
本発明のタイヤ用ゴム組成物にゴム成分として使用するゴムはタイヤ用に使用することができる任意のゴム、特にジエン系ゴムをあげることができ、具体的には天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどのジエン系ゴムをあげることができ、その他必要に応じブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどをあげることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。本発明のゴム組成物のゴム成分はSBRが30重量%以上含むのがウェットグリップ力の観点から好ましい。
本発明のゴム組成物に配合する多孔質シリカは、平均粒径が2μm以上5μm未満、好ましくは2.5〜4μmである。多孔質シリカの平均粒径が2μm未満であると多孔質シリカとして十分な比表面積が得られず、逆に5μm以上であると、シリカが異物化して耐摩耗性が悪化するので好ましくない。本発明で用いる多孔質シリカの平均細孔径は20〜500Åでなければならず、24〜300Åであるのが好ましい。多孔質シリカの平均細孔径が20Å未満ではアンカー効果が得られないので好ましくなく、逆に500Åを超えると十分な比表面積が得られないので好ましくない。本発明で用いる多孔質シリカのBET比表面積は650〜1000m2/gでなければならず、好ましくは680〜800m2/gである。BET比表面積が650m2/g未満(細孔径大)では多孔質シリカとして十分な比表面積が得られず、逆に1000m2/gを超えると(細孔径小)アンカー効果が期待できないので好ましくない。
本発明によれば、前記特定の多孔質シリカとゴム100重量部に対し3〜40重量部、好ましくは10〜30重量部配合する。この配合量が3重量部より少ないと所望の効果がえられず、逆に40重量部を超えると耐摩耗性が低下するので好ましくない。
本発明でいう多孔質シリカの平均粒径はレーザー法で測定した粒子の平均粒径であり、また比表面積は簡易BET方式の表面積測定装置を用いて測定した値をいう。このような多孔質シリカは公知であり、例えば高純度珪砂を原料として合成することによって製造することができ、また例えば富士シリシア化学(株)からサイシリアなどの商品名で市販されている。
本発明は好ましい態様ではシリカ重量の5〜10重量%、更に好ましくは6〜9重量%のシランカップリング剤、好ましくは含硫黄シランカップリング剤を配合するとシリカ−カップリング剤−ゴム間の反応効率がよく、補強性に優れるので好ましい。かかる含硫黄シランカップリング剤としては、例えばビストリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド(TESPT)、ビストリエトキシシリルプロピルジスルフィド(TESPD)などをあげることができる。
本発明に係るゴム組成物には、前記した成分に加えて、カーボンブラックや汎用シリカなどのその他の補強剤(フィラー)、加硫剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用、その他のゴム組成物用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができ、またかかるゴム組成物から一般的な方法で空気入りタイヤを製造することができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
実施例1及び比較例1〜5
サンプルの調製
表Iに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、150℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
次に得られたゴム組成物を15×15×0.2cmの金型中で160℃で30分間加硫して加硫ゴムシートを調製し、以下に示す試験法で加硫ゴムの物性を測定した。結果は表Iに示す。
ゴム物性評価試験法
tanδ(0℃及び60℃):(株)東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で測定した(測定温度0℃及び60℃)。結果は比較例1の値を100として表Iに指数表示した。この値が小さい方が転がり抵抗が少ないことを示す。
ペイン効果:ALPHA TECHNOLOGIES社製RUBBER PROCESS ANALYZER 2000を用いて、試験温度110℃、周波数6cpm、歪率0.28%〜450%で測定を行い、歪率0.28%と450%のG’の差を多孔質シリカの分散状態を表わす尺度とした。結果は比較例1の値を100として表Iに指数表示した。この数値が小さいほど分散状態が良好であることを示す。
耐摩耗性:ランボーン摩耗試験機を用いて、温度23℃/スリップ率50%の条件で摩耗損失体積を測定した。結果は比較例1の値を100として表Iに指数表示した。この数値が大きいほど耐摩耗性に優れていることを示す。
Figure 2006335805
表I脚注
SBR:バイエル社製VSL5025(溶液重合SBR、油展量37.5phr)
BR:日本ゼオン(株)製Nipol BR1220
CB:東海カーボン(株)製N234
シリカ:日本シリカ工業(株)製Nipsil AQ(BET比表面積215m2/g)
多孔質シリカA:富士シリシア化学(株)製サイリシア710(平均粒径2.8μm、平均孔径25Å、BET比表面積700m2/g)を粉砕及びふるいによる分級を行い、所望のサイズに調整した(平均粒径1.4μm)。
多孔質シリカB:富士シリシア化学(株)製サイリシア710(平均粒径2.8μm、平均孔径25Å、BET比表面積700m2/g)
多孔質シリカC:富士シリシア化学(株)製サイリシア730(平均粒径3.8μm、平均孔径25Å、BET比表面積700m2/g)
多孔質シリカD:富士シリシア化学(株)製サイリシア440(平均粒径6.2μm、平均孔径170Å、BET比表面積300m2/g)
シランカップリング剤:デクサ社製Si69
亜鉛華:正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種
ステアリン酸:日本油脂(株)製ビーズステアリン酸
老化防止剤:フレキシス社製老化防止剤6PPD
オイル:富士興産(株)製アロマオイル
イオウ:鶴見化学工業(株)製油処理硫黄(油含量:4.8%)
CBS:大内新興化学工業(株)製加硫促進剤ノクセラーCZ−G
DPG:大内新興化学工業(株)製加硫促進剤ノクセラーD
以上の通り、本発明によれば、多孔質シリカの配合により、耐摩耗性を実質的に保持しながら、高いレベルでのウェット性能と低転がり抵抗とを両立させることができ、しかも本発明に従って、粒径が大きい多孔質シリカを用いることにより、ウェット性能及び低転がり抵抗を向上させると共に、ペイン効果を下げることができるので、空気入りタイヤ、特に空気入りタイヤのトレッドゴムとして使用するのに有用である。

Claims (4)

  1. ゴム成分100重量部並びに平均粒径2μm以上5μm未満、平均細孔径20〜500Å及びBET比表面積650〜1000m2/gの多孔質シリカ3〜40重量部を含んでなるタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記ゴム成分がスチレン−ブタジエン共重合体ゴム30重量%以上を含む請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記多孔質シリカ重量の5〜10重量%の量の含硫黄シランカップリング剤を更に含む請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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