A1…基板洗浄装置、10…洗浄槽、11…予備洗浄用ノズル、12…主洗浄用ノズル、13…仕上げ洗浄用ノズル、14…循環用タンク、15…予備洗浄用ポンプ、 16…主洗浄用ポンプ、17…仕上げ洗浄用ポンプ、18…循環用配管、19…排水管、20…バルブ、21…バルブポンプコントローラ、30…外部タンク、40…排水設備、A2…基板洗浄装置、51A…第1洗浄槽、51B…第2洗浄槽、52A…第1洗浄液噴射部、52A1…予備洗浄用アーム、52A2…主洗浄用アーム、52B…第2洗浄液噴射部、52B1…仕上洗浄用アーム、52B2…主洗浄用アーム、53A…第1洗浄液回収部、53B…第2洗浄液回収部、54A…第1洗浄タンク(第1洗浄液貯留槽)、54B…第2洗浄タンク(第2洗浄液貯留槽)、54C…仕上洗浄タンク(第3洗浄液貯留槽)、55A…第1洗浄ポンプ、55B…第2洗浄ポンプ、55C…仕上洗浄ポンプ、56A…オーバーフロー配管、56B…第2オーバーフロー配管、57…排水部、60A1…予備洗浄液圧力計、60A2…主洗浄液圧力計、61A…主洗浄ノズル開閉弁、62A…主洗浄循環弁、63A1…第1洗浄タンク排水弁、63A2…予備洗浄排水弁、64A…第1洗浄タンク水位計、60B1…仕上洗浄液圧力計、60B2…主洗浄液圧力計、63B…第2洗浄タンク排水弁、63C…仕上洗浄タンク排水弁、64B…第2洗浄タンク水位計、64C…仕上洗浄タンク水位計、66B…給水弁、67…制御部、68…操作部、69…表示部、70a、70b…上部基板検出器、70c、70d…下部基板検出器
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1Aは、第1実施形態に係る基板洗浄装置A1の正面図であり、図1Bは基板洗浄装置A1の側面図であり、また図2は基板洗浄装置A1の機能ブロック図である。なお、以下では、図1A、図1Bに示すように、X-Y平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定されたX-Y-Z直交座標系を参照しつつ、基板洗浄装置A1における各部材の位置関係について説明する。つまり、図1Aは、基板洗浄装置A1をY軸方向から視た図であり、図1Bは、基板洗浄装置A1をX軸方向から視た図である。また、図2において、実線の矢印は洗浄液の流れを表し、破線の矢印は電気信号を表している。
これら図1A、図1B及び図2に示すように、基板洗浄装置A1は、洗浄槽10、予備洗浄用ノズル(予備洗浄用噴射手段)11、主洗浄用ノズル(主洗浄用噴射手段)12、仕上げ洗浄用ノズル(仕上げ洗浄用噴射手段)13、循環用タンク14、予備洗浄用ポンプ(予備洗浄用供給手段)15、主洗浄用ポンプ(主洗浄用供給手段)16、仕上げ洗浄用ポンプ(仕上げ洗浄用供給手段)17、循環用配管18、排水管19、バルブ(流路切換手段)20及びバルブ・ポンプコントローラ21(制御手段)から構成されている。
洗浄槽10は、前工程であるメッキ工程からハンガー等の外部搬送装置(図示省略)によって搬送されるメッキ処理後の基板P(洗浄対象物)を洗浄するために使用される槽である。予備洗浄用ノズル11は、取り付け板10aを介して洗浄槽10の内側の側壁面に設置されており、予備洗浄用ポンプ15から供給される洗浄液を洗浄槽10の内部に向かって噴射する。
ここで、図1A、図1Bに示すように、洗浄槽10の開口部直上に設定された投入位置(Z軸方向の最上点)に搬送された基板Pは、外部搬送装置によって、この投入位置と洗浄槽10の内部に設定された待機位置(Z軸方向の最下点)との間でZ軸方向に往復移動する。上記の予備洗浄用ノズル11は、基板Pが待機位置に向かって降下している期間に、洗浄液が基板Pの下端部から上端部まで噴射されるような位置に設置されている。また、この予備洗浄用ノズル11は、洗浄槽10のX軸方向に沿って所定間隔で複数設置されており、基板P全体に洗浄液が噴射されるように構成されている。
主洗浄用ノズル12は、上記予備洗浄用ノズル11の下部に、取り付け板10aを介して洗浄槽10の内側の側壁面に設置されており、主洗浄用ポンプ16から供給される洗浄液を洗浄槽10の内部に向かって噴射する。この主洗浄用ノズル12は、基板Pが待機位置で待機している期間に、洗浄液が基板Pの上端部に噴射されるような位置に設置されていると共に、洗浄槽10のX軸方向に沿って所定間隔で複数設置されている。
仕上げ洗浄用ノズル13は、上記予備洗浄用ノズル11の上部に、取り付け板10aを介して洗浄槽10の内側の側壁面に設置されており、仕上げ洗浄用ポンプ17から供給される洗浄液を洗浄槽10の内部に向かって噴射する。この仕上げ洗浄用ノズル12は、基板Pが待機位置から投入位置に向かって上昇している期間に、洗浄液が基板Pの上端部から下端部まで噴射されるような位置に設置されていると共に、洗浄槽10のX軸方向沿って所定間隔で複数設置されている。
なお、これら予備洗浄用ノズル11、主洗浄用ノズル12及び仕上げ洗浄用ノズル13の上下の配置関係は、図1A、図1Bに限定されるものではない。また、図1A、図1Bに示すように、これら予備洗浄用ノズル11、主洗浄用ノズル12及び仕上げ洗浄用ノズル13は、基板Pを挟んで両側から洗浄液を噴射できるように、洗浄槽10の両方の側壁に設置することが望ましい。
循環用タンク14は、洗浄液を貯留するためのタンクであり、洗浄槽10の下部に設置されていると共に、予備洗浄用ポンプ15、主洗浄用ポンプ16及び循環用配管18と連結されている。なお、この循環用タンク14は、洗浄液の貯留量がタンク容量を越えた場合に、内部に貯留している洗浄液を排水管19に流出させて外部の排水設備40(図2参照)に排水するオーバーフロー機能を備えている。
予備洗浄用ポンプ15は、バルブ・ポンプコントローラ21による制御の下、循環用タンク14に貯留されている洗浄液を予備洗浄用ノズル11に供給する。主洗浄用ポンプ16は、バルブ・ポンプコントローラ21による制御の下、循環用タンク14に貯留されている洗浄液を主洗浄用ノズル12に供給する。仕上げ洗浄用ポンプ17は、外部に設けられた外部タンク30と連結されており、バルブ・ポンプコントローラ21による制御の下、この外部タンク30に貯留されている洗浄液を仕上げ洗浄用ノズル13に供給する。
循環用配管18は、洗浄槽10の排水口10bと連結されており、この排水口10bから排水される洗浄液を循環用タンク14に送り返すための配管である。排水管19は、バルブ20を介して洗浄槽10の排水口10bと連結されており、この排水口10bから排水される洗浄液を外部の排水設備40に排水するための配管である。
バルブ20は、例えば電磁弁であり、バルブ・ポンプコントローラ21による制御の下、洗浄槽10の排水口10bから排水される洗浄液を循環用配管18と排水管19とのいずれか一方に選択的に流入させるための流路切換手段である。具体的には、このバルブ20が閉状態の場合、排水口10bから排水される洗浄液は循環用配管18に流入し、バルブ20が開状態の場合、排水口10bから排水される洗浄液は排水管19に流入する。
バルブ・ポンプコントローラ21は、通信ケーブル等を介して外部搬送装置の動作情報を受信し、この受信した外部搬送装置の動作情報に基づいて、予備洗浄用ポンプ15、主洗浄用ポンプ16、仕上げ洗浄用ポンプ17及びバルブ20を制御する。
次に、上記のように構成された基板洗浄装置A1の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、この基板洗浄装置A1は外部搬送装置の動作と同期して動作するため、以下では外部搬送装置の動作と共に基板洗浄装置A1の動作を説明する。また、初期状態として、外部搬送装置によって、前工程であるメッキ工程からメッキ処理後の基板Pが洗浄槽10直上の投入位置に搬送されているものとする。
図3に示すように、まず、外部搬送装置は、基板Pを投入位置から洗浄槽10内部の待機位置に向かって降下(垂直移動)させる(ステップS10)。このように、外部搬送装置が基板Pを投入位置から待機位置に向かって降下させている期間において、基板洗浄装置A1のバルブ・ポンプコントローラ21は、予備洗浄用ポンプ15を制御して循環用タンク14に貯留されている洗浄液を予備洗浄用ノズル11に供給することにより、予備洗浄用ノズル11から洗浄液を噴射させて基板Pの予備洗浄を行う(ステップS10a)。この予備洗浄によって、基板Pが待機位置に到達する間に、基板Pの下端部から上端部まで洗浄され、基板Pに付着しているメッキ処理液が除去される。このように、予備洗浄は従来の回収洗浄と同じ役割を担うものである。
この時、洗浄槽10の排水口10bから排水される洗浄液はメッキ処理液を含んだ汚水であるので、バルブ・ポンプコントローラ21は、バルブ20を開状態に制御して排水口10bから排水される洗浄液を排水管19に流入させることにより、汚水である予備洗浄処理後の洗浄液を外部の排水設備40に排水する(ステップS10b)。
続いて、基板Pが待機位置に到達すると、外部搬送装置は動作を停止して基板Pを待機位置にて所定時間待機させる(ステップS20)。このように、外部搬送装置が基板Pを待機位置にて待機させている期間において、基板洗浄装置A1のバルブ・ポンプコントローラ21は、主洗浄用ポンプ16を制御して循環用タンク14に貯留されている洗浄液を主洗浄用ノズル12に供給することにより、主洗浄用ノズル12から洗浄液を噴射させて基板Pの主洗浄を行う(ステップS20a)。
上述したように、主洗浄用ノズル12は、基板Pが待機位置で待機している期間に、洗浄液が基板Pの上端部に噴射されるような位置に設置されているため、基板Pに噴射された洗浄液は基板Pの下端部に向かって流れ落ち、基板Pの全体がムラ無く洗浄される。このような主洗浄によって、基板Pはより清浄に洗浄される。
この時、洗浄槽10の排水口10bから排水される洗浄液は比較的清浄な水であるので、バルブ・ポンプコントローラ21は、バルブ20を閉状態に制御して排水口10bから排水される洗浄液を循環用配管18に流入させることにより、主洗浄処理後の洗浄液を循環用タンク14に送り返す(ステップS20b)。つまり、主洗浄処理後の比較的清浄な洗浄液は、基板洗浄装置A1内を循環させて再利用する。
続いて、外部搬送装置は、待機位置にて所定時間が経過すると、基板Pを待機位置から投入位置に向かって上昇(垂直移動)させる(ステップS30)。このように、外部搬送装置が基板Pを待機位置から投入位置に向かって上昇させている期間において、基板洗浄装置A1のバルブ・ポンプコントローラ21は、仕上げ洗浄用ポンプ17を制御して外部タンク30に貯留されている洗浄液を仕上げ洗浄用ノズル13に供給することにより、仕上げ洗浄用ノズル13から洗浄液を噴射させて基板Pの仕上げ洗浄を行う(ステップS30a)。この仕上げ洗浄によって、基板Pが投入位置に到達する間に、基板Pの上端部から下端部までより清浄に洗浄される。
この時、洗浄槽10の排水口10bから排水される洗浄液は比較的清浄な水であるので、バルブ・ポンプコントローラ21は、バルブ20を閉状態に制御して排水口10bから排水される洗浄液を循環用配管18に流入させることにより、仕上げ洗浄処理後の洗浄液を循環用タンク14に送り返す(ステップS30b)。つまり、主洗浄処理後の洗浄液と同様に、仕上げ洗浄処理後の比較的清浄な洗浄液は、基板洗浄装置A1内を循環させて再利用する。
基板Pが投入位置に到達すると(つまり基板洗浄装置A1による洗浄処理が終了すると)、外部搬送装置は洗浄処理後の基板Pを次工程に搬送する(ステップS40)。
以上のように、本実施形態に係る基板洗浄装置A1によれば、1つの洗浄槽10で予備洗浄、主洗浄、仕上げ洗浄を行うため、洗浄工程の省スペース化を図ることができる。また、予備洗浄後のメッキ処理液を含む汚れた洗浄液は外部に排水する一方、主洗浄及び仕上げ洗浄後の比較的清浄な洗浄液は循環用タンク14に送り返して再利用するので、2回目以降の洗浄には仕上げ洗浄に要する洗浄液だけが新たに必要となるだけであり、従来の各洗浄処理毎に洗浄槽を設けて浸漬洗浄する方法と比べて洗浄液の使用量を大幅に低減しコストを削減することができる。なお、仕上げ洗浄の場合は外部から洗浄液を供給するため、予備洗浄後に排水した分を補って循環用タンク14内の洗浄液が空になることを防止することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、洗浄槽10が縦置き設置されており、基板Pを鉛直上方から洗浄槽10内部へ搬送する場合を例示して説明したが、洗浄槽10を横置き設置して、基板Pを水平方向(若しくは排水しやすいように洗浄槽10を水平面に対してある程度傾けて横置き設置した場合はその傾いた方向)から洗浄槽10内部へ搬送するような構成としても良い。この場合、基板Pを挟んで上下方向から洗浄液を噴射する構成となる。
(2)洗浄槽10内部の側壁に、洗浄槽10の内部に向かって送風または放熱のいずれか、或いは両者の組み合わせによる乾燥処理を行う乾燥処理手段(例えば、ブロア、エアーナイフ、ドライア等)を設け、バルブ・ポンプコントローラ21によって、外部搬送装置が基板Pを待機位置から投入位置に向かって上昇させている期間において、上記の乾燥処理手段を制御して基板Pに対して乾燥処理を行うような構成としても良い。このような乾燥処理手段は、当該乾燥処理が仕上げ洗浄用ノズル13による仕上げ洗浄処理の後処理になるように配置する(図1A、図1Bでは仕上げ洗浄用ノズル13の上部に配置する)ことが望ましい。
(3)上記実施形態では、基板洗浄装置A1をメッキ工程後の洗浄工程に使用する場合を例示して説明したが、基板洗浄装置A1はこのようなメッキ工程後の洗浄工程だけでなく、基板Pに付着している切り粉や埃等を洗浄するための一般的な洗浄工程に利用することができる。
また、基板P以外の洗浄対象物を洗浄する場合にも基板洗浄装置A1を利用することができる。
〔第2実施形態〕
図4は、本第2実施形態に係る基板洗浄装置A2の外観構成を示す正面図、図5は基板洗浄装置A2の外観構成を示す上面図、また図6は、基板洗浄装置A2の外観構成を示す右側面図である。なお、これら図におけるx軸、y軸及びz軸は直交座標系を示している。これら3軸のうち、x軸及びz軸は互いに直交する水平方向であり、y軸は垂直方向である。
これら図に示すように、基板洗浄装置A2は、主な構成要素として、第1洗浄槽51A、第2洗浄槽51B、第1洗浄液噴射部52A、第2洗浄液噴射部52B、第1洗浄液回収部53A、第2洗浄液回収部53B、第1洗浄タンク54A(第1洗浄液貯留槽)、第2洗浄タンク54B(第2洗浄液貯留槽)、仕上洗浄タンク54C(第3洗浄液貯留槽)、第1洗浄ポンプ55A、第2洗浄ポンプ55B、仕上洗浄ポンプ55C、オーバーフロー配管56A、第2オーバーフロー配管56Bを備えている。このような基板洗浄装置A2は、例えばプリント基板(プリント配線板)の製造工程において、前工程から搬入された母材となる基板Wに洗浄処理を施す装置である。基板洗浄装置A2によって洗浄された基板Wは後工程に送り出される。
第1洗浄槽51A及び第2洗浄槽51Bは、上方(y軸方向)から搬入された基板Wを略垂直姿勢で収容する容器であり、略同一形状である。第1洗浄槽51Aは製造工程の上流側に位置し、第2洗浄槽51Bは製造工程の下流側に位置する。図3に示す右側面図には、第1洗浄槽51A及び第2洗浄槽51Bの特徴が現れている。すなわち、第1洗浄槽51A及び第2洗浄槽51Bは、一般的な箱型容器と異なり、略垂直姿勢の基板Wに直交する断面(つまりy-z平面における断面)における下部Kが上部Jよりも狭い幅(z軸方向の幅)で、かつ、中間部Tの幅(z軸方向の幅)が上から下に向かって一定の傾斜で徐々に狭くなっている。
第1洗浄液噴射部52Aは、上記第1洗浄槽51A内に設けられ、第1洗浄槽51A内に収容された基板Wに両面から洗浄液を噴射する。すなわち、この第1洗浄液噴射部52Aは、図7の側面模式図に示すように、基板Wの両面かつ上下方向(y軸の方向)にそれぞれ位置する合計6本の第1洗浄アーム52a1〜52a3,52a4〜52a6から構成されている。各第1洗浄アーム52a1〜52a3,52a4〜52a6は、内部に洗浄液が通過する穴が形成された管状部材であり、図8の上面模式図に示すように複数の第1洗浄ノズル52a7が軸線に沿って一定間隔で設けられている。このような第1洗浄液噴射部52Aは、内部を通過してきた洗浄液を各第1洗浄ノズル52a7から基板Wに向けて噴射する。
これら6本の第1洗浄アーム52a1〜52a3,52a4〜52a6のうち、第1洗浄アーム52a1〜52a3は、第1洗浄槽51Aの正面側に位置しており、各第1洗浄ノズル52a7から基板Wの片面(以下、表面という。)に洗浄液を噴射し、一方、第1洗浄アーム52a4〜52a6は、第1洗浄槽51Aの背面側に位置しており、各第1洗浄ノズル52a7から基板Wの片面(以下、裏面という。)に洗浄液を噴射する。
また、各第1洗浄アーム52a1〜52a3,52a4〜52a6のうち、第1洗浄槽51A内において上段に位置する2本の第1洗浄アーム52a1,52a4は、予備洗浄液を各第1洗浄ノズル52a7から噴射する予備洗浄用アーム52A1であり、中段及び下段に位置する4本の第1洗浄アーム52a2,52a3,52a5,52a6は、主洗浄液を各第1洗浄ノズル52a7から噴射する主洗浄用アーム52A2である。
第2洗浄液噴射部52Bは、このような第1洗浄液噴射部52Aと同様の構成を備えている。すなわち、第2洗浄液噴射部52Bは、上記第2洗浄槽51B内に設けられ、第2洗浄槽51B内に収容された基板Wに両面から洗浄液を噴射する。この第2洗浄液噴射部52Bは、図7の側面模式図に示すように、基板Wの両面かつ上下方向(y軸の方向)にそれぞれ位置する合計6本の第2洗浄アーム52b1〜52b3,52b4〜52b6から構成されている。
各第2洗浄アーム52b1〜52b3,52b4〜52b6は、内部に洗浄液が通過する穴が形成された管状部材であり、図8の上面模式図に示すように複数の第2洗浄ノズル52b7が軸線に沿って一定間隔で設けられている。このような第2洗浄液噴射部52Bは、内部を通過してきた洗浄液を各第2洗浄ノズル52b7から基板Wに向けて噴射する。
これら6本の第2洗浄アーム52b1〜52b3,52b4〜52b6のうち、第2洗浄アーム52b1〜52b3は、第2洗浄槽51Bの正面側に位置しており、各第2洗浄ノズル52b7から基板Wの片面(以下、表面という。)に洗浄液を噴射し、一方、第2洗浄アーム52b4〜52b6は、第2洗浄槽51Bの背面側に位置しており、各第2洗浄ノズル52b7から基板Wの片面(以下、裏面という。)に洗浄液を噴射する。
また、各第2洗浄アーム52b1〜52b3,52b4〜52b6のうち、第2洗浄槽51B内において上段に位置する2本の第2洗浄アーム52b1,52b4は、仕上洗浄液を各第2洗浄ノズル52b7から噴射する仕上洗浄用アーム52B1であり、中段及び下段に位置する4本の第2洗浄アーム52b2,52b3,52b5,52b6は、主洗浄液を各第2洗浄ノズル2b57から噴射する主洗浄用アーム52B2である。
図9は、上記各第1洗浄アーム52a1〜52a3,52a4〜52a6及び各第2洗浄アーム52b1〜52b3,52b4〜52b6の取付構造を示す平面図である。なお、各第1洗浄アーム52a1〜52a3,52a4〜52a6及び各第2洗浄アーム52b1〜52b3,52b4〜52b6は同一の取付構造を有するので、図9では第1洗浄アーム52a1の取付構造を代表して示している。以下では、第1洗浄アーム52a1を代表して、各第1洗浄アーム52a1〜52a3,52a4〜52a6及び各第2洗浄アーム52b1〜52b3,52b4〜52b6の取付構造を説明する。
すなわち、管状部材である第1洗浄アーム52a1の左端面には固定用フランジ52a8が設けられており、第1洗浄アーム52a1は、この固定用フランジ52a8によって第1洗浄槽51Aに支持されている。固定用フランジ52a8は、拡大して示すように、中心部を挟んで対向する二箇所に長穴52a9,52a10が形成されている。第1洗浄アーム52a1は、この長穴52a9,52a10にボルト52a11,52a12を挿入することにより第1洗浄槽51Aに固定される。このような固定用フランジ52a8とボルト52a11,52a12とは、第1洗浄アーム52a1を第1洗浄槽51Aに固定するための支持具を構成している。
ここで、ボルト52a11,52a12は、第1洗浄槽51Aに予め設けられたネジ穴に螺合するので位置が固定されるが、固定用フランジ52a8は、長穴52a9,52a10を介してボルト52a11,52a12と係合している。この取付構造によれば、第1洗浄アーム52a1を軸線を中心として回動させることにより、第1洗浄槽51Aに対する各第1洗浄ノズル52a7の姿勢関係を調整することが可能である。すなわち、上記支持具によれば、第1洗浄アーム52a1の軸心を中心とする回動姿勢が調整自在なので、基板Wに対する洗浄液の噴付角(y-z平面における噴付角)を調整することができる。
図10Aは、各第1洗浄ノズル52a7及び各第2洗浄ノズル52b7の詳細構造を示す組立図、図10Bは、各第1洗浄ノズル52a7及び各第2洗浄ノズル52b7の装着状態を示す正面図、また図10Cは、各第1洗浄ノズル52a7及び各第2洗浄ノズル52b7の装着状態を示す側面図である。なお、各第1洗浄ノズル52a7及び各第2洗浄ノズル52b7は同一の構造を有するので、図10A〜図10Cでは、第1洗浄アーム52a1に設けられた第1洗浄ノズル52a7の構造を代表して示している。以下では、第1洗浄アーム52a1を代表して、第1洗浄ノズル52a7の構造を説明する。
第1洗浄ノズル52a7は、図10Aの組立図に示すように、ノズル本体52a13、シール部材52a14及び留金52a15から構成されている。ノズル本体52a13は、図10Bの正面図に示すように長穴状のノズル穴52a16が形成された樹脂成形体である。シール部材52a14は、ゴム製のリング状部材である。留金52a15は、弾力性を有する金属線を湾曲させて形成されており、ノズル本体52a13に可動自在に取り付けられている。
このような第1洗浄ノズル52a7は、ノズル本体52a13の端部を第1洗浄アーム52a1に形成された開口52a17にシール部材52a14を挟んだ状態で挿入すると共に、留金52a15を第1洗浄アーム52a1に巻き付けるようにノズル本体52a13に対して姿勢変更することにより第1洗浄アーム52a1に固定される。
ここで、図10Bの正面図に示すように、第1洗浄ノズル52a7が第1洗浄アーム52a1に固定された状態において、第1洗浄ノズル52a7のノズル穴52a16は、第1洗浄アーム52a1の軸線方向(x軸の方向)に対して角度の調整を必要とせずに所定の角度θだけ傾斜している。したがって、第1洗浄アーム52a1に設けられた各第1洗浄ノズル52a7から基板Wに噴射される洗浄液の基板W上における軌跡は、図8に示すように、第1洗浄アーム52a1の軸線方向に対して角度θだけ傾いている。
すなわち、第1洗浄ノズル52a7は、第1洗浄アーム52a1に対して所定姿勢、つまり長穴状のノズル穴52a16が軸線方向(x軸の方向)に対して所定の角度θだけ傾斜した姿勢で着脱自在に取り付けられている。
また、上記洗浄液の軌跡についてさらに説明すると、第1洗浄液噴射部52Aにおいて、中段及び下段に位置する4本の第1洗浄アーム52a2,52a3,52a5,52a6(主洗浄用アーム)の各第1洗浄ノズル52a7は、互いに隣り合うものが千鳥状の位置関係となるように配置されている。このことは第2洗浄液噴射部52Bについても同様であり、第2洗浄液噴射部52Bにおいて、中段及び下段に位置する4本の第2洗浄アーム52b2,52b3,52b5,52b6(主洗浄用アーム)の各第2洗浄ノズル52b7は、互いに隣り合うものが千鳥状の位置関係となるように配置されている。
この結果として、第1洗浄液噴射部52Aにおいて中段及び下段に位置する4本の第1洗浄アーム52a2,52a3,52a5,52a6(主洗浄用アーム)の各第1洗浄ノズル52a7が形成する上記洗浄液の軌跡、また第2洗浄液噴射部52Bにおいて中段及び下段に位置する4本の第2洗浄アーム52b2,52b3,52b5,52b6(主洗浄用アーム)の各第2洗浄ノズル52b7が形成する上記洗浄液の軌跡は、図7の側面模式図に示すように、互い違いの位置関係となる。
すなわち、第1洗浄液噴射部52A及び第2洗浄液噴射部52Bにおいて、第1洗浄槽51A及び第2洗浄槽51Bの正面側に各々位置する第1洗浄アーム52a2,52a3(主洗浄用アーム)及び第2洗浄アーム52b2,52b3(主洗浄用アーム)の各第1洗浄ノズル52a7及び各第2洗浄ノズル52b7が形成する洗浄液の軌跡と第1洗浄槽51A及び第2洗浄槽51Bの背面側に各々位置する第1洗浄アーム52a5,52a6(主洗浄用アーム)及び第2洗浄アーム52b5,52b6(主洗浄用アーム)の各第1洗浄ノズル52a7及び各第2洗浄ノズル52b7が形成する洗浄液の軌跡とを重ねた状態で示すと、図11の模式図のように裏と表及び上下で互い違いの位置関係になっている。
第1洗浄液回収部53Aは、一端が第1洗浄槽51Aの底に開口すると共に他端が第1洗浄タンク54Aに接続する配管であり、主洗浄液を第1洗浄槽51Aから第1洗浄タンク54Aに回収する。第2洗浄液回収部53Bは、一端が第2洗浄槽51Bの底に開口すると共に他端が第2主洗浄タンク54Bに接続する配管であり、主洗浄液及び仕上洗浄液を第2洗浄槽51Bから第2洗浄タンク54Bに回収する。
第1洗浄タンク54A(第1洗浄液貯留槽)は、上記第1洗浄液回収部53Aによって第1洗浄槽51Aから回収された予備洗浄液及び主洗浄液、またオーバーフロー配管56Aを介して第2洗浄タンク54Bから供給された主洗浄液及び仕上洗浄液を貯留する容器である。なお、この第1洗浄タンク54Aには、オーバーフローした洗浄液を外部に排水する排水管が設けられている。第2洗浄タンク54B(第2洗浄液貯留槽)は、上記第2洗浄液回収部53Bによって第2洗浄槽51Bから回収された主洗浄液及び仕上洗浄液、また第2オーバーフロー配管56Bを介して仕上洗浄タンク54Cから供給された仕上洗浄液を貯留する容器である。仕上洗浄タンク54C(第3洗浄液貯留槽)は、外部から供給された仕上洗浄液を貯留する容器である。
第1洗浄ポンプ55Aは、第1洗浄タンク54Aに貯留された洗浄液を汲み上げて予備洗浄液として第1洗浄液噴射部52Aの第1洗浄アーム52a1,52a4(予備洗浄用アーム)に供給すると共に、第1洗浄タンク54Aに貯留された洗浄液を汲み上げて主洗浄液として第1洗浄液噴射部52Aの第1洗浄アーム52a2,52a3,52a5,52a6(主洗浄用アーム)に供給する。
第2洗浄ポンプ55Bは、第2洗浄タンク54Bに貯留された洗浄液を汲み上げて主洗浄液として第1洗浄液噴射部52Aの第2洗浄アーム52b2,52b3,52b5,52b6(主洗浄用アーム)に供給する。仕上洗浄ポンプ55Cは、仕上洗浄タンク54Cに貯留された仕上洗浄液を汲み上げて第1洗浄液噴射部52Aの第2洗浄アーム52b1,52b4(仕上洗浄用アーム)に供給する。
ここで、図4及び図6に示すように、第1洗浄槽51Aの下部Kが上部Jよりも狭い幅で、かつ、中間部Tの幅が上から下に向かって一定の傾斜で徐々に狭くなる形状になっている関係で下部Kの側部に空スペースができる。仕上洗浄液に関する仕上洗浄タンク54C及び仕上洗浄ポンプ55Cはこの空スペースに配置されており、基板洗浄装置A2は、これによって設置スペースの縮小を実現している。
オーバーフロー配管56Aは、第2洗浄タンク54Bの上部と第1洗浄タンク54Aとを接続する配管であり、第2洗浄タンク54Bでオーバーフローした洗浄液を第1洗浄タンク54Aに供給する。第2オーバーフロー配管56Bは、仕上洗浄タンク54Cの上部と第2洗浄タンク54Bとを接続する配管であり、仕上洗浄タンク54Cでオーバーフローした仕上洗浄液を第2洗浄タンク54Bに供給する。排水部57は、一端が第1洗浄槽51Aの底に開口する配管であり、予備洗浄に供された洗浄液を第1洗浄槽51Aから外部に排水する。
なお、外部から供給される仕上洗浄液は例えば純水であり、予備洗浄液及び主洗浄液は、このような仕上洗浄液が予備洗浄や主洗浄に供されたもの、つまり本基板洗浄装置Aにおける循環水である。
次に、このように構成された基板洗浄装置A2の動作について、図12に示す動作工程図を参照して詳しく説明する。なお、この動作工程図は、基板Wの搬送動作に対応する基板洗浄装置A2の基板洗浄動作を示すものである。
例えばプリント基板(プリント配線板)は、基板Wが専用の基板搬送装置によって所定の工程順に順次搬送されることによって製造される。基板洗浄装置A2をプリント基板の製造装置の1つとして含む製造設備では、例えばハンガー式の基板搬送装置によって垂直状態かつ上端が支持される状態で基板Wが搬送される。
基板Wの動きについて先に説明すると、上記基板搬送装置によって前工程から搬入された基板Wは、上方から第1洗浄槽51A内を順次降下し(ステップS1)、予め規定された最下位置で一旦停止し(ステップS2)、続いて第1洗浄槽51A内を順次上昇し(ステップS3)、予め規定された最上位置で一旦停止する(ステップS4)。そして、基板Wは、水平移動して第2洗浄槽51Bの上方に移動し(ステップS5)、第2洗浄槽51B内を順次降下し(ステップS6)、予め規定された最下位置で一旦停止し(ステップS7)、続いて第2洗浄槽51B内を順次上昇し(ステップS8)、予め規定された最上位置で一旦停止し(ステップS4)、後工程に送り出される。
基板洗浄装置A2は、ステップSa1〜Sa5に示すように、このような基板Wの動きに同期するように基板Wに対して洗浄処理を行う。すなわち、第1洗浄ポンプ55Aは、基板Wが第1洗浄槽51A内で降下を開始してから最下位置で停止するまでの間に、第1洗浄槽51A内において上段に位置する第1洗浄アーム52a1,52a4(予備洗浄用アーム)に第1洗浄タンク54Aの洗浄液を予備洗浄液として供給する。この結果、第1洗浄アーム52a1,52a4(予備洗浄用アーム)から基板Wに予備洗浄液が噴射されて基板Wが予備洗浄される(ステップSa1)。このような予備洗浄において、第1洗浄アーム52a1,52a4(予備洗浄用アーム)から基板Wに噴射された予備洗浄液は、基板Wの表面及び裏面に衝突後、基板Wから落下して第1洗浄槽51Aの底に集まり、排水部57を介して排水される(ステップSa2)。
ここで、予備洗浄液の回収・排水において、第1洗浄槽51Aが下部Kが上部Jよりも狭い幅(z軸方向の幅)で、かつ、中間部Tの幅(z軸方向の幅)が上から下に向かって一定の傾斜で徐々に狭くなる容器形状に設定されているので、一般的な箱型の容器形状の洗浄槽と比較した場合に、予備洗浄液が第1洗浄槽51A内においてより速やかに収集されて排水部57に流れ込む。
よって、基板洗浄装置A2によれば、一般的な箱型の容器形状の洗浄槽を用いる洗浄装置よりも予備洗浄液の回収・排水が速く、当該回収・排水に要する時間を短縮することができるので、洗浄時間を従来よりも短縮することができる。また、循環効率が良くなることから従来の洗浄槽を用いる洗浄装置よりもタンク容量を小さくすることが可能である。
また、このような第1洗浄槽51Aによれば、中間部Tの幅が上から下に向かって一定の傾斜で徐々に狭くなっているので、基板Wから飛び散った洗浄液を基板Wに再度衝突させることが可能である。したがって、基板洗浄装置A2によれば、洗浄効率を向上させることができる。
上記予備洗浄液の回収・排水が完了すると、第1洗浄ポンプ55Aは、基板Wが第1洗浄槽51A内で上昇を開始するまでの間に、第1洗浄タンク54Aに貯留された洗浄液を主洗浄液として第1洗浄液噴射部52Aの第1洗浄アーム52a2,52a3,52a5,52a6(主洗浄用アーム)に供給する。この結果、第1洗浄アーム52a2,52a3,52a5,52a6(主洗浄用アーム)から基板Wに主洗浄液が噴射されて基板Wが主洗浄される(ステップSa3)。
なお、このような主洗浄に供された主洗浄液は、第1洗浄液回収部53Aを介して第1洗浄タンク54Aに回収される。この第1洗浄タンク54Aに回収された洗浄液、つまり主洗浄に供された洗浄液は、上述したように予備洗浄に供されるものである。
このような第1洗浄槽51Aにおける主洗浄は、基板洗浄装置A2における第1主洗浄である。この第1主洗浄では、図7、図8及び図11に示した軌跡で主洗浄液が基板Wに噴射されるので、基板洗浄装置A2における第1主洗浄によれば、基板Wの両面をより効果的に洗浄することができる。
また、上記支持具によって基板Wに対する洗浄液の噴付角を最適化することができるので、これによっても基板Wの両面をより効果的に洗浄することができる。
続いて、第2洗浄ポンプ55Bは、基板Wが第2洗浄槽51B内において最下位置で停止する間に、第2洗浄タンク54Bの洗浄液を主洗浄液として第1洗浄液噴射部52Aの第2洗浄アーム52b2,52b3,52b5,52b6(主洗浄用アーム)に供給する。この結果、第2洗浄アーム52b2,52b3,52b5,52b6(主洗浄用アーム)から基板Wに主洗浄液が噴射されて基板Wが主洗浄される(ステップSa4)。
このような主洗浄(第2主洗浄)において、第2洗浄アーム52b2,52b3,52b5,52b6(主洗浄用アーム)から基板Wに噴射された予備洗浄液は、基板Wの表面及び裏面に衝突後、基板Wから落下して第2洗浄槽51Bの底に集まり、第2洗浄液回収部53Bを介して第2洗浄タンク54Bに回収される。
そして、このような第2主洗浄が終了し、基板Wが第2洗浄槽51B内において最下位置から上昇を開始すると、仕上洗浄ポンプ55Cは、仕上洗浄タンク54Cの仕上洗浄液を第1洗浄液噴射部2Aの第2洗浄アーム52b1,52b4(仕上洗浄用アーム)に供給する。この結果、第2洗浄アーム52b1,52b4(仕上洗浄用アーム)から基板Wに清浄な仕上主洗浄液(例えば純水)が噴射されて基板Wが仕上洗浄される(ステップSa5)。そして、このような仕上洗浄において、第2洗浄アーム52b1,52b4(仕上洗浄用アーム)から基板Wに噴射された仕上洗浄液は、第2洗浄液回収部53Bを介して第2洗浄タンク54Bに回収される。
ここで、第2洗浄槽51Bにおいて仕上洗浄液と第2主洗浄に供された主洗浄液は第2洗浄液回収部53Bを介して第2洗浄タンク54Bに回収され、また、仕上洗浄タンク54Cでオーバーフローした仕上洗浄液は第2オーバーフロー配管56Bを介して第2洗浄タンク54Bに回収される。そして、このような第2洗浄タンク54Bでオーバーフローした洗浄液(仕上洗浄液と第2主洗浄液との混合液)は、オーバーフロー配管56Aを介して第1洗浄タンク54Aに回収される。また、第1洗浄タンク54Aから汲み上げられて予備洗浄に供された予備洗浄液は、排水部57を介して外部に排水される。
すなわち、本基板洗浄装置A2によれば、仕上洗浄液を仕上洗浄→第2主洗浄→第1主洗浄→予備洗浄に再利用しつつ最終的に排水するので、洗浄液の利用効率が高く、よって洗浄液の使用量を従来よりも大幅に削減することができる。したがって、本基板洗浄装置Aによれば、ランニングコストを従来よりも大幅に低減することができる。
続いて、図13〜図19を参照して基板洗浄装置A2の制御構成の詳細及び当該制御構成に基づく詳細動作を説明する。
図13は、基板洗浄装置A2の制御構成を示すブロック図である。この図13に示すように、第1洗浄槽51Aには、予備洗浄液圧力計60A1、主洗浄液圧力計60A2、主洗浄ノズル開閉弁61A、主洗浄循環弁62A、第1洗浄タンク排水弁63A1、予備洗浄排水弁63A2及び第1洗浄タンク水位計64Aが設けられている。また、第2洗浄槽51Bには、仕上洗浄液圧力計60B1、主洗浄液圧力計60B2、第2洗浄タンク排水弁63B、仕上洗浄タンク排水弁63C、第2洗浄タンク水位計64B、仕上洗浄タンク水位計64C及び給水弁66Bが設けられている。
また、基板洗浄装置A2には、第1洗浄槽51A及び第2洗浄槽51Bに各々設けられた上記各種弁や第1〜第3洗浄ポンプ55A〜55Cを上記各種計測器の計測値等に基づいて制御する制御部67、作業者の操作指示を受け付ける操作部68、基板洗浄装置A2の動作状態等を作業者に知らせるための表示部69、また基板Wの動きを検出するための上部基板検出器70a、70b及び下部基板検出器70c、70dが備えられている。
予備洗浄液圧力計60A1は、上述した第1洗浄ポンプ55Aから予備洗浄用アーム52A1に供給される予備洗浄液の圧力を計測し、当該圧力が所定のしきい値以上か否かを制御部67に出力する。主洗浄液圧力計60A2は、第1洗浄ポンプ55Aから主洗浄ノズル開閉弁61Aを介して主洗浄用アーム52A2に供給される主洗浄液の圧力を計測し、当該圧力が所定のしきい値以上か否かを制御部67に出力する。主洗浄ノズル開閉弁61Aは、図示するように、第1洗浄ポンプ55Aと主洗浄用アーム52A2との間に設けられており、制御部67から入力される制御信号に基づいて第1洗浄ポンプ55Aから主洗浄用アーム52A2への主洗浄液の供給をON/OFFする。
主洗浄循環弁62Aは、第1洗浄槽51Aの底部と第1洗浄タンクとを接続する配管(図示略)の途中部位に設けられており、制御部67から入力される制御信号に基づいて第1洗浄槽51Aの底部から回収された主洗浄液の第1洗浄タンクへの供給をON/OFFする。第1洗浄タンク排水弁63A1は、上述した第1洗浄タンク54Aの底部に設けられており、制御部67から入力される制御信号に基づいて第1洗浄タンク54A内に貯留された洗浄液の外部への排水をON/OFFする。予備洗浄排水弁63A2は、制御部67から入力される制御信号に基づいて第1洗浄槽51Aの底部から回収された予備洗浄液の外部への排水をON/OFFする。
第1洗浄タンク水位計64Aは、第1洗浄タンク54Aに貯留された洗浄液の水位を計測し、当該水位が所定のしきい値以上か否かを示す信号を制御部67に出力する。また、仕上洗浄液圧力計60B1は、上述した仕上洗浄ポンプ55Cから仕上洗浄用アーム52B1に供給される仕上洗浄液の圧力を計測し、当該圧力が所定のしきい値以上か否かを示す信号を制御部67に出力する。
主洗浄液圧力計60B2は、上述した第2洗浄ポンプ55Bから主洗浄用アーム52B2に供給される主洗浄液の圧力を計測し、当該圧力が所定のしきい値以上か否かを示す信号を制御部67に出力する。第2洗浄タンク排水弁63Bは、第2洗浄タンク54Bの底部に設けられており、制御部67から入力される制御信号に基づいて第2洗浄タンク54B内に貯留された主洗浄液の外部への排水をON/OFFする。
仕上洗浄タンク排水弁63Cは、仕上洗浄タンク54Cの底部に設けられており、制御部67から入力される制御信号に基づいて仕上洗浄タンク54C内に貯留された仕上洗浄液の外部への排水をON/OFFする。第2洗浄タンク水位計64Bは、第2洗浄タンク54Bに貯留された主洗浄液の水位を計測し、当該水位が所定のしきい値以上か否かを示す信号を制御部67に出力する。仕上洗浄タンク水位計64Cは、仕上洗浄タンク54Cに貯留された仕上洗浄液の水位を計測し、当該水位が所定のしきい値以上か否かを示す信号を制御部67に出力する。
上部基板検出器70a、70bは、基板Wが第1洗浄槽51A(第2洗浄槽51B)の上部に相当する高さにあるか否かを検出し、当該検出結果を示す信号を制御部67に出力する。下部基板検出器70c、70dは、基板Wが第1洗浄槽51A(第2洗浄槽51B)の下部に相当する高さにあるか否かを検出し、当該検出結果を示す信号を制御部67に出力する。上部基板検出器70a、70b及び下部基板検出器70c、70dは、基板Wの位置検出における冗長性を確保するために、各々に対をなして設けられている。給水弁66Bは、外部給水系と仕上洗浄タンク54Cとの間に設けられており、制御部67から入力される制御信号に基づいて仕上洗浄タンク54Cへの外部からの給水をON/OFFする。
制御部67は、内部メモリに予め記憶された所定の制御プログラム、上記各種計測器の計測値、上部基板検出器70a、70b及び下部基板検出器70c、70dの検出結果及び操作部68が作業員から受け付ける操作指示に基づいて上記各種弁や第1〜第3洗浄ポンプ55A〜55Cを制御することにより基板洗浄装置A2を統括的に制御するプログラム制御装置である。このような制御部67は、は、上記制御プログラムを記憶する不揮発性メモリ、上記制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)並びに各種計測器、各種弁及び第1〜第3洗浄ポンプ55A〜55Cとの間で各種信号の授受を行うインターフェース回路等から構成されている。
操作部68は、各々に個別の機能が割り当てられた複数の操作ボタンから構成されており、作業員がら受け付けた操作指示を示す信号(操作信号)を上記制御部67に出力する。表示部69は、基板洗浄装置A2の動作状態等を作業者等に知らせるために設けられており、制御部67から入力される表示制御信号に基づいて各種情報を視覚的に表示する。
図14は、このような制御構成に基づく基板洗浄装置A2の詳細動作を示すタイミングチャートである。プリント基板の製造において、基板Wは、基板搬送装置によって前工程から第1洗浄槽51Aに搬送され、続いて第1洗浄槽51Aから第2洗浄槽51Bに搬送され、さらに第2洗浄槽51Bから後工程に搬送される。
基板洗浄装置A2の制御部67は、このような基板搬送装置による基板Wの動きを、上部基板検出器70a、70b及び下部基板検出器70c、70dで検出することにより、第1洗浄槽51A及び第2洗浄槽51Bの各々において基板Wの動きに同期したかたちで上記各種弁や第1〜第3洗浄ポンプ55A〜55Cを制御する。
すなわち、上部基板検出器70a、70bによって第1洗浄槽51A内における上方からの基板Wの下降が検出されると(タイミング1)、制御部67は、第1洗浄ポンプ55Aを速やかに作動させて予備洗浄用アーム52A1に予備洗浄液を供給することにより基板Wの予備洗浄を開始させる(タイミング2)。
このようにして第1洗浄ポンプ55Aが作動することによって予備洗浄が開始すると、予備洗浄液圧力計60A1が検出する予備洗浄液の圧力は徐々に上昇し、図示するように例えば4秒後にしきい値を超える圧力となる(タイミング3)。制御部67は、上記予備洗浄液の圧力が例えば9秒の間、しきい値を越えた状態が継続すると(タイミング3)、第1洗浄ポンプ55Aを停止させて予備洗浄を終了させる(タイミング2)。
そして、制御部67は、洗浄ポンプ55Aが停止すると、主洗浄ノズル開閉弁61Aを閉状態から開状態に変化させる(タイミング6)と共に、第1洗浄ポンプ55Aの停止から所定時間、例えば15秒が経過すると(タイミング4)、予備洗浄排水弁63A2を開状態から閉状態に変化させる(タイミング7)。
すなわち、予備洗浄排水弁63A2が開状態で上記予備洗浄が行われるので、予備洗浄液は、第1洗浄タンク54Aに流れ込むことなく排水される。また、第1洗浄ポンプ55Aの停止から所定時間が経過した後、つまり第1洗浄槽51A内の予備洗浄液が十分に回収された状態で予備洗浄排水弁63A2が開状態から閉状態に変化するので、予備洗浄液の第1洗浄タンク54Aへの流入をより確実に防止することができる。
そして、予備洗浄排水弁63A2が完全に閉じると、制御部67は、主洗浄循環弁62Aを閉状態から開状態に変化させる(タイミング8)と共に第1洗浄ポンプ55Aを作動させて主洗浄を開始させる(タイミング9)。このようにして主洗浄が開始すると、主洗浄液圧力計60A2が検出する主洗浄液の圧力は徐々に上昇し、図示するように例えば4秒後にしきい値を超える圧力となる。
そして、制御部67は、所定のタイムアウト期間、例えば130秒の間において、上部基板検出器70a、70bあるいは下部基板検出器70c、70dによって第1洗浄槽51A内における基板Wの上昇が検出されると(タイミング11)、第1洗浄ポンプ55Aを停止させて主洗浄を終了させる(タイミング9)と共に、主洗浄ノズル開閉弁61Aを開状態から閉状態に変化させる(タイミング6)。
そして、制御部67は、第1洗浄ポンプ55Aの停止(主洗浄の終了)から所定時間、例えば12秒が経過すると(タイミング5)、予備洗浄排水弁63A2を閉状態から開状態に変化させる(タイミング7)。また、制御部67は、予備洗浄排水弁63A2が完全に閉じると、主洗浄循環弁62Aを開状態から閉状態に変化させる(タイミング8)。
このようにして予備洗浄及び主洗浄が終了した基板Wは、基板搬送装置によって第1洗浄槽51Aから第2洗浄槽51Bに搬送される。制御部67は、上部基板検出器70a、70bによって第2洗浄槽51B内における上方からの基板Wの降下が検出されると(タイミング1)、所定時間、例えば2秒経過後に第2洗浄ポンプ55Bを作動させて主洗浄用アーム52B2に主洗浄液を供給することにより基板Wの主洗浄を開始させる(タイミング13)。
このようにして第2洗浄ポンプ55Bが作動することによって主洗浄が開始すると、主洗浄液圧力計60B2が検出する主洗浄液の圧力は徐々に上昇し、図示するように例えば24秒後にしきい値を超える圧力となる(タイミング14)。
制御部67は、所定のタイムアウト期間、例えば130秒の間において、上部基板検出器70a、70bあるいは下部基板検出器70c、70dによって第2洗浄槽51B内における基板Wの上昇が検出されると(タイミング11)、第2洗浄ポンプ55Bを停止させて主洗浄を終了させる(タイミング13)と共に、仕上洗浄ポンプ55Cを作動させることによって仕上洗浄を開始させる(タイミング15)。
このようにして仕上洗浄が開始すると、仕上洗浄液圧力計60B1が検出する仕上洗浄液の圧力は徐々に上昇し、図示するように例えば4秒後にしきい値を超える圧力となる(タイミング16)。制御部67は、上記仕上洗浄液の圧力が例えば5秒の間、しきい値を越えた状態が継続すると(タイミング16)、仕上洗浄ポンプ55Cを停止させて仕上洗浄を終了させる(タイミング15)。また、制御部67は、上記仕上洗浄の終了と同時に給水弁66Bを閉状態から開状態に変化させて(タイミング12)、仕上洗浄タンク54Cに清浄な水を補充させる。
図15は、基板洗浄装置A2の動作に伴う各タンクの水位変化を示す模式図である。上述したように、基板洗浄装置A2は、3つのタンク、つまり第1洗浄タンク54A、第2洗浄タンク54B及び仕上洗浄タンク54Cを備えるが、外部からの洗浄液の補充は、仕上洗浄タンク54Cのみに行われる。そして、この仕上洗浄タンク54Cに外部から補充された洗浄液の一部は、第2オーバーフロー配管56B及びオーバーフロー配管56A等を介して第1洗浄タンク54A及び第2洗浄タンク54Bに供給される。
制御部67は、基板洗浄装置A2の電源投入時に、第1洗浄タンク水位計64A、第2洗浄タンク水位計64B及び仕上洗浄タンク水位計64Cから各々入力される信号をセルフチェックすることにより各タンクに洗浄液が満水状態になっていることを確認する。そして、全てのタンクが満水状態になっていない場合、制御部67は、図15の最上段に示すように、給水弁66Bを開状態に設定して全てのタンクを満水状態とする。
そして、基板洗浄装置A2は、このようにして全てのタンクが満水にされた状態で運転を開始し、上述したように第1洗浄槽51Aにおける予備洗浄と主洗浄及び第2洗浄槽51Bにおける主洗浄と仕上洗浄に各タンクの洗浄液が使用される。すなわち、第1洗浄タンク54Aの洗浄液は、予備洗浄と主洗浄とに使用されることによって、図示するように徐々に減少するが、オーバーフロー配管56Aを介して第2洗浄タンク54Bから補充される。
また、第2洗浄槽51Bの洗浄液は、主洗浄に使用されることによって減少するが、仕上洗浄に供された洗浄液によって補充される。また、仕上洗浄タンク54Cの洗浄液は、仕上洗浄に使用されることによって減少するが、制御部67は、仕上洗浄タンク水位計64Cの計測結果に基づいて給水弁66Bを適宜制御することによって満水状態に復帰させる。
このように、基板洗浄装置A2では、オーバーフロー配管56A及び第2オーバーフロー配管56Bを介した各タンク間における洗浄液の流れ及び洗浄液の流れにおいて最上位に位置する給水弁66Bを制御部67が適宜制御することによって、より清浄な洗浄液を必要とする順番、つまり第2洗浄槽51Bにおける仕上洗浄→第2洗浄槽51Bにおける主洗浄→第1洗浄槽51Aにおける主洗浄→第1洗浄槽51Aにおける予備洗浄の順番で順次使用されて、最終的に予備洗浄排水弁63A2を介して外部に排水される。
ところで、図14を参照して説明したように、基板洗浄装置A2における基板Wの洗浄は、外部の基板搬送装置によって第1洗浄槽51Aから第2洗浄槽51Bに順次搬送される基板Wの動きに同期するかたちで行われる。以下では、制御部67は、第1洗浄槽51Aにおける主洗浄処理における制御部67の制御処理を詳しく説明する。なお、第1洗浄槽51Aにおける予備洗浄処理及び第2洗浄槽51Bにおける主洗浄処理及び仕上洗浄処理の詳細については省略する。
図16は、制御部67による第1洗浄槽51Aの主洗浄処理を示すフローチャートである。制御部67は、この第1洗浄槽51Aの主洗浄処理では、図14にも示したように、主洗浄循環弁62Aが完全に開放された状態で第1洗浄ポンプ55Aを作動させる(ステップSb1)。この結果、第1洗浄ポンプ55Aから主洗浄用アーム52A2に主洗浄水が供給され、基板Wの両面への主洗浄水の吹き付けが開始される。
そして、制御部67は、第1洗浄ポンプ55Aの作動開始から所定時間、例えば4sが経過するのを待ち(ステップSb2)、その上で基板上昇が検出されたか否かを判断する(ステップSb3)。そして、制御部67は、ステップSb3の判断が「No」の場合、つまり基板Wが所定高さにで停止している場合は、タイマによる計時を開始して所定時間、例えば130sが経過したか否かを判断する(ステップSb4)。
また、制御部67は、上記ステップSb3の判断が「Yes」の場合には、上記タイマによる計時を停止させ(ステップSb5)、その上で第1洗浄ポンプ55Aを停止させる(ステップSb6)。すなわち、制御部67は、外部の基板搬送装置によって搬送される基板Wが上昇を開始したことを検出すると、速やかに第1洗浄ポンプ55Aを停止、つまり主洗浄を速やかに終了させる。
一方、制御部67は、基板上昇が検出されず、ステップSb3の判断が「No」の場合には、タイマが所定時間(130s)の計時を終了すると、つまりステップSb4の判断が「Yes」になると、第1洗浄ポンプ55Aを停止させ(ステップSb7)、つまり主洗浄を終了させた上で、エラー処理を行い(ステップSb8)、引き続いてステップSb3の基板上昇検出処理を行う。
すなわち、上記所定時間(130s)は、基板搬送装置が正常に機能している場合には到達することがないタイムアウト期間であり、このようなタイムアウト期間をタイマが計時した場合、制御部67は、何らかの異常が発生したものとしてエラー処理を行う。
また、制御部67は、上記ステップSb4の判断が「No」の場合には主洗浄液圧力計60A2から入力される信号がON状態(所定のしきい値を越えたか状態)かあるいはOFF状態(所定のしきい値を越えない状態)かを判断する(ステップSb9)。そして、制御部67は、主洗浄液圧力計60A2からの入力信号がOFF状態のときは、上記タイマを停止させ(ステップSb10)、その上でエラー処理を行い(ステップSb11)、、引き続いてステップSb3の基板上昇検出処理を行う。
すなわち、第1洗浄ポンプ55Aを作動させて所定時間(ステップSb2における4s)が経過した状態において主洗浄液の圧力が所定のしきい値を越えない状態は、第1洗浄ポンプ55Aあるいはその他に何らかの異常が発生していることが原因と考えられる。したがって、制御部67は、このような状態の場合、つまりステップSb9において主洗浄液圧力計60A2からの入力信号がOFF状態にあると判断した場合には、タイマを停止させた上でエラー処理を行う。
また、制御部67は、ステップSb9において主洗浄液圧力計60A2からの入力信号がON状態にあると判断した場合、主洗浄液圧力計60A2からの入力信号を再度判断する(ステップSb12)。そして、制御部67は、この判断結果が主洗浄液圧力計60A2からの入力信号がOFF状態にあることを示すものである場合はエラー処理を行い(ステップSb13)、一方、主洗浄液圧力計60A2からの入力信号がON状態にあることを示すものである場合には、引き続いてステップSb3の基板上昇検出処理を行う。
すなわち、主洗浄液の再度の圧力チェックの結果、主洗浄液の圧力が所定のしきい値を下回った場合、第1洗浄ポンプ55Aあるいはその他に何らかの異常が発生していることが考えられる。したがって、制御部67は、このような状態の場合には、ステップSb13のエラー処理を行った上で、ステップSb3の基板上昇検出処理を行う。
図17は、制御部67における基板上昇検出処理を示すフローチャートである。また、図18は、この基板上昇検出処理における一部(ステップSc1、Sc3)の詳細処理を示すフローチャートである。
第1洗浄槽51A及び第2洗浄槽51Bにおける基板Wの上昇は、上部基板検出器70a、70bと下部基板検出器70c、70dとを組み合わせることによって検出されている。第1洗浄槽51Aにおける基板上昇検出処理と第2洗浄槽51Bにおける基板上昇検出処理とは全く同一のアルゴリズムなので、以下では、代表して第1洗浄槽51Aにおける基板上昇検出処理について説明する。
なお、基板下降検出処理は、以下に説明する基板上昇検出処理において、上部基板検出器70a、70b及び下部基板検出器70c、70dにおける基板検出のON/OFFを入れ替えた点で異なるものであり、本質的に基板上昇検出処理と同様なので説明を省略する。
制御部67は、一方の下部基板検出器70cの検出結果を用いて下部基板検出処理1を実行し(ステップSc1)、この処理結果に基づいて基板の上昇を判定する(ステップSc2)。また、制御部67は、上記ステップSc1、Sc2と並行して他方の下部基板検出器70dの検出結果を用いて下部基板検出処理2を実行し(ステップSc3)、この処理結果に基づいて基板の上昇を判定する(ステップSc4)。
なお、ステップSc1、Sc3の詳細については後述する。
そして、制御部67は、上記ステップSc2、Sc4の判定結果が何れも基板の上昇を示すものでなかった場合、つまりステップSc5の判断が「No」の場合、タイマによる計時を開始して所定時間、例えば500msが経過したか否かを判断し(ステップSc6)、この所定時間が経過するまでの間にステップSc5の判断が「Yes」のなると、タイマによる計時を停止し(ステップSc7)、その上で基板Wが上昇したと判定する(ステップSc8)。
また、制御部67は、上記所定時間(500ms)が経過した場合、つまりステップSc6の判断が「Yes」になった場合には、ステップSc1、Sc3の処理を停止し(ステップSc8)、その上で所定のエラー処理を実行する。
このような基板上昇検出処理では、上記所定時間(500ms)の時間差内において一方の下部基板検出器70cの検出結果に基づいて基板Wの上昇がステップSc2において判定され、あるいは、他方の下部基板検出器70dの検出結果に基づいて基板Wの上昇がステップSc4において判定された場合に、基板Wの上昇がステップSc8において最終的に判定される。
上記ステップSc1の下部基板検出処理1及びステップSc3の下部基板検出処理2は使用する検出器が一方の下部基板検出器70cと他方の下部基板検出器70dとで異なる点以外は同一なので、以下ではステップSc1の下部基板検出処理1について説明する。
この下部基板検出処理1において、制御部67は、図18のフローチャートに示すように、最初に下部基板検出器70cが基板Wを検出している状態、つまりON状態にあるか否かを判断する(ステップSd1)。そして、制御部67は、このステップSd1の判断が「Yes」の場合、所定時間、例えば10msを計時し(ステップSd2)、その上で下部基板検出器70cがON状態にあるか否かを再度判断する(ステップSd3)。
そして、制御部67は、このステップSd3の判断が「Yes」の場合には、ON状態の時間積算時間を開始し(ステップSd4)、この積算値が所定時間、例えば100msを越えたか否かを判断する(ステップSd5)。制御部67は、このステップSd5の判断が「No」の場合、また上記ステップSd1、Sd3の判断が「No」の場合は、ステップSd1の判断処理を繰り返し、ステップSd5の判断が「Yes」の場合には、引き続いて下部基板検出器70cが基板Wを検出していない状態、つまりOFF状態にあるか否かを判断する(ステップSd6)。
そして、制御部67は、このステップSd6の判断が「Yes」の場合、所定時間、例えば10msを計時し(ステップSd7)、その上で下部基板検出器70cがOFF状態にあるか否かを再度判断する(ステップSd8)。そして、制御部67は、このステップSd8の判断が「Yes」の場合には、OFF状態の時間積算時間を開始し(ステップSd9)、この積算値が所定時間、例えば100msを越えたか否かを判断する(ステップSd10)。
そして、制御部67は、このステップSd10の判断が「No」の場合、また上記ステップSd7、Sd9の判断が「No」の場合は、ステップSd6の判断処理を繰り返し、このステップSd10の判断が「Yes」の場合には下部基板検出処理1を終了する。
最後に、図19に示すフローチャートを参照して、各洗浄タンクに関する排水処理について説明する。制御部67は、稼動が終了すると、各洗浄タンクに残っている洗浄液を図19に示す手順で外部に排水する。
すなわち、制御部67は、稼動が終了すると、給水弁66Bを閉状態(ステップSe1)、第1洗浄ポンプ55Aを停止状態(ステップSe2)、第2洗浄ポンプ55Bを停止状態(ステップSe3)、仕上洗浄ポンプ55Cを停止状態(ステップSe4)、予備洗浄排水弁63A2を開状態(ステップSe5)、主洗浄循環弁62Aを開状態(ステップSe6)、主洗浄ノズル開閉弁61Aを開状態(ステップSe7)、第1洗浄タンク排水弁63A1を開状態(ステップSe8)にそれぞれ設定する。
そして、制御部67は、その上で、タイマで80秒(s)を計時すると(ステップSe9)、第2洗浄タンク排水弁63Bを開状態に設定する(ステップSe10)、また、タイマで160秒(s)を計時すると(ステップSe11)、仕上洗浄タンク排水弁63Cを開状態に設定し(ステップSe12)、さらにタイマで180秒(s)を計時すると(ステップSe13)、廃水処理を終了する。
このような手順の排水処理によれば、ステップSe1〜Se8の処理から時間を置いてステップSe10、Se12の処理を行うので、洗浄液を各洗浄タンクから確実に排水することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、第1洗浄槽51Aと第2洗浄槽51Bとからなる2槽式に構成したが、本発明はこれに限定されない。1槽式に構成し、1つの洗浄槽で予備洗浄、主洗浄及び仕上洗浄を行うようにしても良い。なお、この場合、洗浄タンクに溜められた洗浄液を予備洗浄と主洗浄とに供し、仕上洗浄は外部から取り入れる仕上洗浄液を用いることが考えられる。
(2)上記実施形態では、第1洗浄液噴射部2Aを合計6本の第1洗浄アーム52a1〜52a3,52a4〜52a6から構成し、また第2洗浄液噴射部52Bを合計6本の第2洗浄アーム52b1〜52b3,52b4〜52b6から構成したが、洗浄アームの本数は6本に限定されない。洗浄アームの本数は、基板Wの大きさ等に応じて適宜設定される。
(3)上記実施形態では、第1洗浄槽51A及び第2洗浄槽51Bの何れも下部Kが上部Jよりも狭い幅で、かつ、中間部Tの幅が上から下に向かって一定の傾斜で徐々に狭くなる形状に設定したが、必要に応じて何れか一方をこのような形状に設定するようにしても良い。
(4)基板洗浄装置A2は、上部基板検出器70a、70b及び下部基板検出器70c、70dを備えるように構成されているが、これに代えて上部基板検出器70a、70b及び下部基板検出器70c、70dを削除し、外部基板搬送装置から基板Wの動きに関する情報(信号)を制御部67に取り込んで各部を制御するようにしても良い。