JP5080361B2 - 防風雪柵 - Google Patents

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Description

本発明は、降雪地の道路沿いに設置される防風雪柵に関するものであり、特に、冬期以外の不使用時に防風雪柵用支柱が現地で収納可能な防風雪柵に関するものである。
一般に、降雪地の道路沿いにおいては、道路の側方から道路側に吹き込む風雪や、地吹雪等の影響を軽減させるため防風雪柵が取付けられている。防風雪柵は道路沿いに間隔をおいて立設した支柱の間に、ネット部材や、横長のルーバー材を上下方向に複数配したものが取付けられるものが多く用いられている。又、ネット部材やルーバー材の下端部と道路路面とのあいだには隙間が設けられ、この隙間から吹き抜ける風を利用して道路上の積雪を吹き払う効果を併せて備えたものも用いられている。
ところで、防風雪柵が必要となるのは積雪がある冬期のみであり、他の時期には不要なものとなるばかりでなく、ネット部材,ルーバー材,支柱等によって、道路を利用するドライバー等に対して圧迫感を与え、又、景観を損なうことにも繋がるため、不使用時における防風雪柵の収納方法についても様々なものが提案されている。
例えば、道路に沿って設置された固定支柱と、隣接する固定支柱間に下部を柵長手方向と直交する面内で回転可能に軸支された柵本体と、前記柵本体を垂直な姿勢に係止する第1係止手段および下端が道路側に向いた水平な姿勢に係止する第2係止手段とを備え、前記柵本体は、前記固定支柱に回転可能に軸支される左右の支柱部を持つフレームと、前記フレームの左右の支柱部間に回転可能に軸支された上下に並ぶ複数の防雪パネルと、各防雪パネルを同時に開閉駆動する防雪パネル開閉駆動機構とを備えた防雪柵が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この防雪柵は、不使用時に防雪柵全体を収納できる構造として、走行車両からの視界を向上させることができるとともに、動力を用いずに収納作業が可能となり、しかも、収納作業を簡便にかつ軽作業でかつ能率的に行うことができるものである。
特開2002−266320号公報
しかしながら、前記の防雪柵には次のような問題点があった。すなわち、柵本体を水平な姿勢に係止した状態では、柵本体の上端は支持されていないため、柵本体自身の自重と相まって上下方向に振動が発生しやすく、第2係止手段に繰り返し荷重を含めた想定以上の負荷がかかり、変形等の不具合が発生する恐れがある。又、柵本体上に部外者が載ったりしても同様な負荷が掛かり、不具合が発生する恐れがあり、その点で不足するものであった。
本発明は、前記の如き問題点を解消し、防風雪柵の支柱等の部材を収納した時の景観性に配慮し、収納状態を安定的に保持することができる防風雪柵を提供せんとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわちこの発明に係る防風雪柵は、支柱の間で着脱可能に支持するネット部材の下端を道路の路面より上方に配置されると共に、前記支柱は、道路の路面端部より下向きに傾斜した法面に突設された基礎ブロック上に立設され、さらに前記支柱は隣の支柱に向けて傾倒可能となされ、且つ傾倒された該支柱の先端部は、道路の路面より下方の位置で支持されるようになされると共に、前記支柱は、隣の支柱に向けて傾倒された際に、支柱先端部が同じ方向に傾倒された隣の支柱の上面と重合されることを特徴とするものである。
本発明によれば、ネット部材の下端が道路の路面より上方に配置されるので、路面上の積雪は、ネット部材の下端と路面との隙間を通る風によって吹き払われると共に、ネット部材を支持する支柱は、道路の路面端部より下向きに傾斜した法面に突設された基礎ブロック上に立設され、さらに前記支柱は隣の支柱に向けて傾倒可能となされ、且つ傾倒された該支柱の先端部は、道路の路面より下方の位置で支持されるので、防風雪柵を使用しない季節に支柱を傾倒した際に、支柱を安定した状態で支持することが可能であり、加えて、支柱は路面から見えにくく景観の低下を抑えることができる。
また、本発明に係る防風雪柵は、支柱を隣の支柱に向けて傾倒された際に、支柱先端部が同じ方向に傾倒された隣の支柱の上面と重合させるようになされているので、支柱端部が地面に接触せず、錆等の腐食を抑えることができる。加えて、支柱を再び起立させる時は、作業者は法面を上り下りすることなく傾倒された支柱を立ち上げることが可能となり、作業性を高めることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
すなわち、図1は本発明に係る防風雪柵において第一の実施形態を示す正面図、図2は図1のA−A断面における拡大縦断面図、図3は図1の側面図、図4は図3の部分拡大図、図5は本発明に係る防風雪柵の収納状態の一形態を示す正面図、図6は図5のC−C断面における拡大縦断面図、図7は図5の斜視図、図8は本発明に係る防風雪柵において第二の実施形態を示す正面図、図9は本発明に係る防風雪柵において第三の実施形態を示す平面図である。
である。
先ず図1〜7は本発明に係る防風雪柵の第一の実施形態を示すもので、図1は道路側から見た正面図である。図1に示すように、間隔をおいて立設された支柱1の間にネット部材2が架設され、防風雪柵Pが形成されている。支柱1は、縦板状の2個のフランジ11とその間に配置された縦板状のウエブ12とからなる断面H型の鋼材であり、その表面は塗装やめっき等の処理が施されている。支柱1の材料は、大きな風圧のかかるネット部材2が架設されることを考慮すると金属製のものを用いるのが好ましく、一般的なH形鋼、アルミニウム、ステンレス、鉄鋼等の型材やパイプ等を適宜用いることができる。又、支柱1の上端には横桟13が架設されており、支柱1の間隔を保持すると共に、防風雪柵Pの剛性を高めることができる。
ネット部材2は、多数の透孔を有すると共に可撓性を備えたものであり、道路の側方からの風が透孔を通過するときの抵抗を利用して、道路側に吹き抜ける風の風速を低減させると共に、風によりネット部材2が振動して、ネット部材2に付着した雪が落ちやすく、雪により透孔が塞がれることを抑えることができるものである。
ネット部材2は、本実施形態においては、合成樹脂製の繊維からなる縦糸と横糸とによってネット状に形成されたものであり、縦糸と横糸との交点において互いに編み込まれて容易に解れないようになされたものである。尚、ネット部材2は、本実施形態に限られるものではなく、例えば、金属製の線材から構成されるものでもよく、或いは樹脂シートに多数の透孔を穿設したものでもよく、必要とされる強度や開口率、開口径等によって適宜選択することができる。又、本実施形態においては、収納性や運搬の容易性を考慮して、ネット部材2が巻き取り可能となるように可撓性を有するものであるが、例えば、ネット部材が複数の帯状部材からなり、これらが折り曲げ可能に連結されて折り畳み可能な形態となされたものでもよい。
ネット部材2の下端21は、図1に示すように、路面より上方に配置されている。これにより、道路の側方からの風は、一部は上記の如くネット部材2の透孔を通過すると共に、一部がネット部材2を避けて上方或いは下方に迂回するため、この下方に迂回した風が道路の路面上を吹き抜けることにより、路面上に積雪した雪を吹き払うことができる。
図2は図1のA−A断面における拡大縦断面図である。ネット部材2は、その両端部を支持する支持部材3を介して支柱1の間に架設されている。支持部材3は、ネット部材2が巻き付けられる断面矩形状の軸部材31と、巻き付けられた軸部材31との間でネット部材2を挟持する断面L字状の押さえ部材32とからなる。そして、ネット部材2の両側端部は、上下に亘って支持部材3が取付けられると共に、支柱1のウエブ12から固定ボルトBが挿入され、押さえ部材及びネット部材2を経て軸部材31に挿通され、ワッシャW1及びナットN1で締結されている。そして、ナットN1の締結位置を適宜調節することによって、支柱1の間でネット部材2を左右方向に張設する。支持部材3は、支柱1の間にネット部材2を張設できるものであればよく、例えば、ネット部材2の側端部を支持する支持部と、ボルトBを介して支柱1に連結される連結部とが別体で形成されたものでもよい。支持部材3は、大きな風圧が加わるネット部材2を支持することを考慮すると金属製のものを用いるのが好ましく、アルミニウム、ステンレス、鉄鋼等のパイプ、形材や、それらにめっき、塗装を施したもの等を好適に用いることができる。
図3は図1の側面図である。支柱1は、道路の路面Rの端部より下向きに傾斜した法面Sに適宜間隔をおいて突設された基礎ブロック4の上に立設されている。基礎ブロック4の上面には支柱1を支えるための支持台5が取付けられている。このように、防風雪柵Pは、路面端部から離れているので、除雪車の稼働に支障が生じることがなく、又除雪車により道路側方に除去された雪は法面に落下するため、防風雪柵Pのネット部材2の下端と路面との隙間が塞がりにくくなり、路面上に積雪した雪を吹き払う効果を維持することができる。
支持台5は、コンクリートの基礎ブロック4上に載置され、アンカーボルトB2によって固定されるベースプレート51と、このベースプレート51上に前後方向に間隔をあけて相対して形成された縦板部52とを備え、この両縦板部52の間に支柱1の下部が配置されて固定されている。そして、両縦板部52の上縁部は道路の路面Rと同じ高さかそれより低くなされている。縦板部52は、相対する縦板部52の反対面から縦リブが形成され、この縦リブの下端部がベースプレートに接合されている。本実施形態においては、縦リブは間隔をおいて2個設けられているが、縦板部52の支持するために必要な個数を適宜設けてよい。
図4は、図3の支柱1の下部を拡大したものであり、(a)は拡大側面図、(b)は(a)のA−A断面における縦断面図である。支柱1は、支持台5の一方の縦板部52から支柱1の下部を経て、もう一方の縦板部52に挿通された固定ボルトB3により固定されている。固定ボルトB3は、支柱1の下部において、一方のフランジ11を通り、ウエブ12に形成された挿通孔14を経て、もう一方のフランジ11を通り、外部からは見えないようになされている。そして、この固定ボルトB3は、上下2段に設けられているので、固定ボルトB3の一方を外せば、もう一方の固定ボルトB3を軸として、支柱1が左右方向に傾倒可能となされている。
支持台5のベースプレート51には、支柱1のウエブ12において縦板状の一方の面に当接される当て板部53が設けられている。これにより、支柱1を左右方向に傾倒させる際、傾倒方向をいずれか一方のみに規制することができ、又、支柱1を傾倒状態から立設させる時は、支柱1が略垂直に立設された状態から更にそれを超えて反対方向に傾倒することはなく、支柱1の立設作業が容易となる。支持台5は、支柱1を支持することを考慮すると金属製のものを用いるのが好ましく、アルミニウム、ステンレス、鉄鋼等の板材や形材を溶接等で接合して形成したものや、それらにめっき、塗装を施したもの等を好適に用いることができる。
図5〜7は、図1において、ネット部材2を収納して支柱1を左方向に傾倒させた後の状態を示すものであり、図5は支柱1の傾倒状態を示す部分拡大正面図、図6は図5のC−C断面における縦断面図、図7は図5の斜視図である。まず、ネット部材2の収納は、本実施形態では、ネット部材2の端部において一方の支持部材3を支柱1から外し、この支持部材3を芯として、もう一方の支持部材3側に向けてネット部材2を巻き取り、ネット部材2が支柱1に取付られた状態で、支柱1のH形の内側に収納するようにしたものである。尚、ネット部材2の両側の支持部材3を支柱1から外して収納してもよい。
次に、支柱1の下部において、上方の固定ボルトB3を外して、残った下方の固定ボルトB3を回動軸として支柱1を左側の隣の基礎ブロック4側に向けて傾倒させる。この時、作業者は、基礎ブロック4より下った側の法面Sに位置して支柱1の傾倒作業を行えば、水平面上に立設された同様な支柱を傾倒させる場合に比べて、作業者は比較的高い位置で支柱1を持って作業することができるので、作業者への負荷が低減され、作業性を向上させることができる。
そして、傾倒させた支柱1の先端部15を、同方向に倒した隣の支柱1の上面に重合させる。これにより、支柱1の先端部15は、地面に接触せず地面より上方で保持されるので、支柱1の傾倒時に、支柱先端部が雨水等により錆等の腐食が起こりにくくなる。又、前記下方の固定ボルトB3を回動軸に支柱1を傾倒させているので、支柱1の先端部15を傾倒された隣の支柱1の上面に重合した際、支柱1の先端部15は回動軸の固定ボルトB3より高い位置で保持されることとなり、支柱1を傾倒させる際、或いは立設させる際、作業負荷がより軽減されると共に、支柱1は回動軸の固定ボルトB3側が低い傾斜状態となるので、支柱1及び支柱1の内側に収納されたネット部材2の箇所に雨水等が滞留せず、腐食等の不具合を防ぐことができる。
更に、本実施形態においては、傾倒させた支柱1の先端部15は、隣の基礎ブロック4上に取付けられた支持台5の縦板部52の間に配置されている。これにより、傾倒させた支柱1は、前後方向への移動が縦板部52により阻止されるため、不用意に前後方向にずれて生じる変形等の不具合は起こりにくくなる。
加えて、傾倒させた支柱1の先端部15は、道路の路面Rより、低い位置で保持されている。これにより、支柱1を傾倒させた状態では、道路を通行する自動車等からの運転手からは、支柱1が見えにくく、景観を損なうことがない。このように、防風雪柵Pが不要となる期間は防風雪柵Pを別の場所へ移動させることがなく、設置場所に防風雪柵Pの支柱1等の部材を収納することができる。
図8,9は、防風雪柵Pの第二,第三の実施形態を示す正面図である。本実施形態に係る防風雪柵Pは、図5,7に示された防風雪柵Pと比べて、支柱1を傾倒させた際の支柱1の先端部15の支持形態が異なるのみであり、その他の点については、図5,7に示された防風雪柵Pと同様である。
すなわち、図8に示された防風雪柵Pは、支柱1の長さが比較的短いものであり、支柱1を傾倒させた際に、先端部15が隣の基礎ブロック4上に重合されて支持されるものである。その他の点については、図5,7に示された防風雪柵Pと同様である。尚、支柱1の長さが更に短く、支柱1を傾倒させた際に、基礎ブロック4と重合せず、先端部15が法面S上に位置する場合は、その法面Sの位置に予備のブロックやスペーサー等を利用して、先端部15が法面Sに接触しないようにする。
又、図9に示された防風雪柵Pは、支柱1の長さが比較的長いものであり、支柱1の上端部に斜め上方に向けて折れ部16が形成されたものである。そして、支柱1を傾倒させた際に折れ部が基礎ブロック4上に重合されて支持されるものである。その他の点については、図5,7に示された防風雪柵Pと同様である。尚、折れ部16の形態は、図9に示されるように支柱1の本体に対して斜め上方に形成されたものに限定されるものではなく、例えば、支柱1の本体から折れ部16が斜め上方或いは垂直方向に設けられ、更に折れ部16の先端が再び支柱1の本体と同方向に立ち上がるように形成されたものでもよい。つまり、支柱1が比較的長く形成された場合に、図5、7の形態では、支柱1を傾倒させた際に、支柱1どうしの重合部分が支柱1の長手方向に長くなって支柱1を持ち上げにくくなる場合があり、支柱1の設置間隔と支柱1の長さ等を考慮して適宜選択することができる。
本発明に係る防風雪柵の実施の一形態を示す正面図である。 図1のA−A断面における拡大縦断面図である。 図1の側面図である。 図3の部分拡大図である。 本発明に係る防風雪柵の収納状態の一形態を示す正面図である。 図5のC−C断面における拡大縦断面図である。 図5の斜視図である。 本発明に係る防風雪柵において第二の実施形態を示す正面図である。 本発明に係る防風雪柵において第三の実施形態を示す平面図である。
符号の説明
1 支柱
11 フランジ
12 ウエブ
15 先端部
16 折れ部
2 ネット部材
21 下端
3 支持部材
4 基礎ブロック
5 支持台
52 縦板部
B3 固定ボルト
P 防風雪柵
R 道路の路面
S 法面

Claims (1)

  1. 支柱の間で着脱可能に支持するネット部材の下端を道路の路面より上方に配置されると共に、前記支柱は、道路の路面端部より下向きに傾斜した法面に突設された基礎ブロック上に立設され、さらに前記支柱は隣の支柱に向けて傾倒可能となされ、且つ傾倒された該支柱の先端部は、道路の路面より下方の位置で支持されるようになされると共に、前記支柱は、隣の支柱に向けて傾倒された際に、支柱先端部が同じ方向に傾倒された隣の支柱の上面と重合されることを特徴とする防風雪柵。
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