JP4829759B2 - 防護柵 - Google Patents

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本発明は、道路に沿って設置される防護柵に関する。
道路からの車両等の逸脱を防止する防護柵として、所定間隔で立設した複数の支柱(以下、「防護柵用支柱」という。)間に横梁(横架材)を掛け渡したものが知られている。
車両等の逸脱防止という観点からすると、強固な防護柵であることが望ましいが、必要以上に強固にすると、衝突時の衝撃により運転手や添乗員にダメージを与える虞があり、また、防護柵に接触又は衝突した車両が当該防護柵で道路側に跳ね返され、二次災害を引き起こす虞もあるので、従来の防護柵は、車両等が接触又は衝突してある程度以上の外力が加わったときに、先ず横梁の圧潰および曲げ変形によって衝突エネルギーが吸収され、次いで防護柵用支柱の傾倒や座屈等によって衝突エネルギーが吸収されるように構成されている。このように構成することで、運転手や添乗員へのダメージを最小限に抑えつつ、車両等の道路側への跳ね返えりを防止することができる。
ところで、防護柵用支柱は、道路脇に構築された基礎に固定される台座と、この台座に立設された断面H形の支柱本体とを備えるものが一般的であるが、例えば、特許文献1および特許文献2には、図7の(a)および(b)に示すように、支柱本体の後面フランジに後方への傾倒の起点となる湾曲凹部Dを形成し、支柱本体の下半部の中立軸NをS字状にした防護柵用支柱が開示されている。なお、特許文献1に開示されている防護柵用支柱は、アルミニウム合金鋳物製であり、特許文献2に開示されている防護柵用支柱は鋳鉄製である。
特公昭57−42764号公報 特開平11−336034号公報
この種の防護柵用支柱においては、支柱本体を後方に傾倒させることで衝突エネルギーを吸収しているが、支柱本体の断面形状が一般的なH形を呈している場合には、支柱本体が傾倒する際に、前面フランジに引張変形(塑性変形による伸び)が発生することになるので、前面フランジが破断しないように、前面フランジの肉厚を大きくしておく必要がある。ところが、前面フランジの肉厚を大きくすると、材料コストが増大するとともに、防護柵用支柱の重量が嵩んでしまうという問題がある。また、特許文献1および特許文献2に示すものにあっては、その形状が複雑であるが故に製造方法が限定され、さらには、最適な形状を決定するために、破壊試験等を何回も行う必要があった。また、この場合も前面フランジに引張変形が発生することになるので、前面フランジが破断しないように、前面フランジの肉厚を大きくしておく必要があった。
このような観点から、本発明は、優れた衝撃吸収能力を確保しつつ、前面フランジの薄肉化を図ることが可能な防護柵用支柱を具備した防護柵を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために創案された本発明は、道路に沿って設置される複数条の横梁と、前記各横梁を支持する防護柵用支柱と、を備える防護柵であって、前記防護柵用支柱は、道路脇に構築された基礎に固定される台座と、前記台座に立設された支柱本体とを有し、前記支柱本体は、前記道路に面する前面フランジと、前記前面フランジの後方に配置された後面フランジと、前記前面フランジと前記後面フランジとを繋ぐウェブとを備えており、前記前面フランジは、前記台座から立ち上がる基部と、当該基部の上端から前側斜め上方に向かって立ち上がる傾斜部と、前記傾斜部の上端から後側斜め上方に向かって立ち上がる主体部とを有し、前記基部と前記傾斜部とによって形成された下側屈曲部および前記傾斜部と前記主体部とによって形成された上側屈曲部は、最下段の前記横梁の下側に位置していることを特徴とする。
この防護柵によると、衝突荷重によって支柱本体が後方へ傾倒する際に、基部と傾斜部とによって形成された下側屈曲部および傾斜部と主体部とによって形成された上側屈曲部が直線状に伸ばされることで、支柱本体の傾倒に必要な前面フランジの変形量(伸び量)の一部が確保されることになるので、前面フランジの引張変形だけで支柱本体の傾倒に必要な前面フランジの変形量を確保する場合に比べて、前面フランジの肉厚を小さくすることが可能となる。つまり、この防護柵によれば、前面フランジ各部の引張変形に加えて、下側屈曲部および上側屈曲部が直線状に伸ばされることで、支柱本体の傾倒に必要な前面フランジの変形量が確保され、その結果、充分な量の衝突エネルギーを吸収できるので、前面フランジを薄肉にしても、前面フランジを破断させずに、支柱本体を従来のものと同等以上傾倒させることが可能となる。
なお、前記台座の上面と前記下側屈曲部との高低差が200mmを上回ると、前記水平荷重によって下側屈曲部に発生する曲げモーメントが小さくなり、下側屈曲部が直線状に伸ばされ難くなるので、前記台座の上面と前記下側屈曲部との高低差は、200mm以下であることが望ましい。また、前記台座の上面と前記下側屈曲部との高低差が30mmを下回ると、下側屈曲部が伸ばされた際の変形量が充分に得られず、前面フランジの薄肉化を図ることができなくなるので、前記した高低差は、30mm以上であることが望ましい。
また、本発明においては、前記基部を前記後面フランジ側に傾けることが望ましい。つまり、基部を台座から後側斜め上方に向かって立ち上げるとともに、傾斜部を基部の上端から前側斜め上方に向かって立ち上げることが望ましい。このようにすると、基部の上端部におけるウェブの幅が小さくなり、この位置における曲げ剛性が小さくなるので、下側屈曲部が直線状に伸ばされ易くなる。また、支柱本体の下部が必要以上に重厚になることが防止されるので、防護柵用支柱の軽量化を図ることが可能となり、ひいては、材料費を抑えることが可能となる。
本発明では、前記前面フランジに、前記傾斜部の上端から後側斜め上方に向かって立ち上がる主体部を設け、前記傾斜部と前記主体部とによって上側屈曲部を形成している。このようにすると、支柱本体が後方へ傾倒するときに、基部と傾斜部とによって形成された下側屈曲部および傾斜部と主体部とによって形成された上側屈曲部が直線状に伸ばされることになるので、支柱本体の傾倒に必要な前面フランジの変形量をより一層容易に確保することが可能となる。
なお、前記下側屈曲部と前記上側屈曲部との高低差を30mmよりも小さくすると、下側屈曲部および上側屈曲部が直線状に伸ばされ難くなり、100mmよりも大きくすると、傾斜部の上端部におけるウェブの幅が大きくなってこの位置における曲げ剛性が高くなりすぎてしまい、上側屈曲部が直線状に伸ばされ難くなるので、前記下側屈曲部と前記上側屈曲部との高低差は、30mm以上100mm以下であることが望ましい。
前記後面フランジは、折れ曲がりのない帯板状を呈していることが望ましい。このようにすると、防護柵用支柱の外観がすっきりとしたものになる。
なお、前記後面フランジに平行な面と前記傾斜部とのなす角度が、5度を下回ると、屈曲部が直線状に伸ばされることで確保される前面フランジの変形量が小さくなってしまい、30度を上回ると、傾斜部の上端部におけるウェブの幅が大きくなってこの位置における曲げ剛性が高くなりすぎてしまい、上側の屈曲部が直線状に伸ばされ難くなるので、前記後面フランジに平行な面と前記傾斜部とのなす角度は、5度以上30度以下であることが望ましい。
本発明によれば、優れた衝撃吸収能力を確保しつつ、前面フランジの薄肉化を図ることが可能となる。
図1は、本実施形態に係る防護柵用支柱Pを備えた車両用防護柵Gを示す斜視図である。この図に示すように、車両用防護柵Gは、道路Rに沿って設置される三条の横梁Hと、この横梁Hを支持する複数の防護柵用支柱P,P,…と、を備えている。なお、各部材において、道路Rに臨む面を「前面」とし、その反対側(路肩側)の面を「後面」とする。
三条の横梁Hは、互いに平行に配置されている。なお、本実施形態においては、三条の横梁Hを備える車両用防護柵Gを例示するが、横梁の条数を限定する趣旨ではない。
横梁Hは、長手方向に連設された複数の中空梁材H1,H1,…と、隣り合う中空梁材H1,H1の境界部分の内部に配置された連結部材H2とを備えて構成されている。中空梁材H1は、円筒状の形材であり、隣り合う防護柵用支柱P,Pの間隔と同じ長さに切断されている。連結部材H2は、中空梁材H1に内挿される中空材からなり、隣り合う中空梁材H1,H1の境界部分を跨ぐように配置される。
なお、本実施形態においては、横梁Hの断面が円形である場合を例示したが、これに限定されることはなく、例えば、楕円形、砲弾形、矩形などであっても差し支えない。
防護柵用支柱Pは、図2に示すように、道路R脇に構築された鉄筋コンクリート製の基礎Kに固定される台座1と、この台座1に立設された支柱本体2と、を有する。
台座1は、上方から見た形状が矩形を呈する鋼製の板材からなり、基礎Kに埋設されたナットN1に対応する位置にボルト挿通孔1aが形成されている。ボルト挿通孔1aには、ナットN1に螺合するボルトB1が挿通される。なお、本実施形態では、ボルト挿通孔1aは、後記するウェブ23を挟んで両側に二箇所ずつ形成されているが、ボルト挿通孔1aの数を限定する趣旨ではない。なお、台座1は、矩形を呈するものに限定されることはなく、図示は省略するが、多角形や円形等を呈するものであっても差し支えない。
図2に示す支柱本体2は、道路Rに面する前面フランジ21と、この前面フランジ21の後方に配置された後面フランジ22と、前面フランジ21と後面フランジ22とを繋ぐウェブ23とを備えており、さらに本実施形態においては、前面フランジ21の上端から後面フランジ22の上端に亘って形成された取付部24を備えている。
前面フランジ21は、台座1から立ち上がる基部21aと、この基部21aの上端から立ち上がる傾斜部21bと、この傾斜部21bの上端から立ち上がる主体部21cとを備えて構成されていて、少なくとも基部21aと傾斜部21bとの境界部分において折れ曲がっており、本実施形態にあっては、さらに、傾斜部21bと主体部21cとの境界部分において折れ曲がっている。前面フランジ21は、折り曲げ加工が施された鋼板からなり、溶接により台座1の前端部およびウェブ23の前縁部に固着されている。図3の(a)に示すように、前面フランジ21の幅寸法は、上に向かうに従って漸減しているが、図3の(b)に示すように、前面フランジ21の肉厚は、下端から上端まで一定である。
なお、以下の説明においては、基部21aと傾斜部21bとによって形成された屈曲部C1を下側屈曲部C1と称し、傾斜部21bと主体部21cとによって形成された屈曲部C2を上側屈曲部C2と称することとする。
基部21aは、図3の(a)に示すように、平板状を呈しているが(図2参照)、その幅寸法が上に向かうに従って漸減していて、前方から見た形状が略台形を呈している。図3の(b)に示すように、基部21aは、後面フランジ22側に傾いている。本実施形態では、基部21aのうち、台座1よりも上側に位置する平板状の部位が、後側斜め上方に向かって真っ直ぐに立ち上がっている。基部21aを後面フランジ22側に傾けると、基部21aの上端部(下側屈曲部C1)におけるウェブ23の幅が小さくなり、その結果、下側屈曲部C1における曲げ剛性が小さくなる。図4に示すように、台座1の上面に垂直な面Vに対する基部21aの傾斜角度θは、20度以下に設定されており、台座1の上面と基部21aの上端との高低差(すなわち、台座1の上面と下側屈曲部C1との高低差)hは、200mm以下に設定されている。なお、図示は省略するが、基部21aを台座1の上面に対して垂直(すなわち、θ=0)となるように立ち上げてもよい。なお、高低差hが30mmよりも小さくなると、下側屈曲部C1が真っ直ぐになるように変形した際の前面フランジ21の変形量(伸び量)が小さくなる虞があるので、高低差hは、30mm以上必要であることが望ましい。
傾斜部21bは、図3の(a)に示すように、平板状を呈しているが(図2参照)、その幅寸法が上に向かうに従って漸減していて、前方から見た形状が略台形を呈している。図3の(b)に示すように、傾斜部21bは、基部21aの上端から前側斜め上方に向かって立ち上がっていて、基部21aとともに後側に凸な下側屈曲部C1を形成している。なお、傾斜部21の上端(すなわち、上側屈曲部C2)は、下段の横梁Hよりも下側に位置している。図4に示すように、後面フランジ22に平行な面Wと傾斜部21bとのなす角度θは、5度以上30度以下に設定されており、傾斜部21bの下端と上端の高低差(すなわち、下側屈曲部C1と上側屈曲部C2の高低差)hは、30mm以上100mm以下に設定されている。
主体部21cは、図3の(a)に示すように、平板状を呈しているが(図2参照)、その幅寸法が上に向かうに従って漸減していて、前方から見た形状が略台形を呈している。主体部21cには、挿通孔211,212が形成されている。上側の挿通孔211は、中段の横梁H(図3の(b)参照)の設置高さにおいて、ウェブ23を挟んで両側に形成されている。挿通孔211には、中段の横梁Hを固定するための固定ボルトB3(図3の(b)参照)が挿通される。また、下側の挿通孔212は、最下段の横梁H(図3の(b)参照)の設置高さにおいて、ウェブ23を挟んで両側に形成されている。挿通孔212には、最下段の横梁Hを固定するための固定ボルトB4(図3の(b)参照)が挿通される。図3の(b)に示すように、主体部21cは、傾斜部21bの上端から後側斜め上方に向かって立ち上がっていて、傾斜部21bとともに前側に凸な上側屈曲部C2を形成している。図4に示すように、台座1の上面に垂直な面Vに対する主体部21cの傾斜角度θは、20度以下であり、かつ、基部21aの傾斜角度θよりも小さくなっている。なお、図示は省略するが、主体部21cを台座1の上面に対して垂直(すなわち、θ=0)となるように立ち上げてもよい。
後面フランジ22は、図3の(b)および(c)に示すように、折れ曲がりのない帯板状を呈する鋼製の部材からなり、台座1の上面に立設された状態で、溶接により台座1の上面およびウェブ23の後縁部に固着されている。後面フランジ22の幅寸法は、下端から上端まで一定であるが、前面フランジ21よりも幅狭になっている。また、後面フランジ22の肉厚は、下端から上端まで一定であるが、前面フランジ21よりも厚肉になっている。後面フランジ22は、台座1の上面から前側斜め上方に向かって立ち上がっている。台座1の上面に垂直な面Vに対する後面フランジ22の傾斜角度θは、5度以下である。なお、図示は省略するが、後面フランジ22を台座1の上面に対して垂直となるように立ち上げてもよい。
ウェブ23は、台座1の上面から起立している。ウェブ23は、前面フランジ21の幅方向の中央線と後面フランジ22の幅方向の中央線とを含む鉛直面上に位置している。なお、図3の(b)に示すように、ウェブ23の下端部の角部23a,23aは、台座1と前面フランジ21との接合部および台座1と後面フランジ22との接合部に施される隅肉溶接のビードを避けることができるように、扇状に切欠かれている。
取付部24は、最上段の横梁Hの外面に沿うように円筒面状に成形された取付座24aを具備する鋼製の部材からなり、前面フランジ21、後面フランジ22およびウェブ23の上端部に溶接により固着されている。取付座24aには、図3の(a)に示すように、ウェブ23を挟んで両側に、挿通孔241が形成されている。挿通孔241には、上段の横梁Hを固定するための固定ボルトB2(図3の(b)参照)が挿通される。
図2に示すように、防護柵用支柱Pを基礎Kの上面に設置するには、台座1のボルト挿通孔1a,1a,…が基礎Kに埋設したナットN1、N1,…の直上に位置するように台座1を基礎Kの上面に載置し、その後、台座1のボルト挿通孔1aにボルトB1を挿通し、その軸部をナットN1に螺合すればよい。
また、図3の(b)に示すように、防護柵用支柱Pに最上段の横梁Hを固定するには、中空梁材H1,H1(図1参照)の境界部分(すなわち、連結部材H2が配置されている部分)を支柱本体2の取付部24に保持させればよい。具体的には、横梁Hの後部を取付部24の取付座24aに当接させつつ、取付座24aの挿通孔241(図3の(a)参照)と中空梁材H1の挿通孔(図示略)とにボルトB2の軸部を挿通するとともに、その先端部を連結部材H2に形成された雌ねじ孔(図示略)に螺合すればよい。
また、防護柵用支柱Pに中段の横梁Hを固定するには、中空梁材H1,H1の境界部分を前面フランジ21の挿通孔211(図3の(a)参照)の前側に位置させるとともに、横梁Hと前面フランジ21との間にスペーサ25(図2参照)を介在させ、前面フランジ21の挿通孔211、スペーサ25の挿通孔(図示略)および中空梁材H1の挿通孔(図示略)にボルトB3の軸部を挿通するとともに、その先端部を連結部材H2の雌ねじ孔(図示略)に螺合すればよい。最下段の横梁Hを防護柵用支柱Pに固定する場合も同様である。
以上のように構成された防護柵用支柱Pに、道路R側から衝突荷重が作用すると、図5の(a)に示すように、下側屈曲部C1と上側屈曲部C2とが直線状に伸ばされつつ、支柱本体2が後方へ傾倒し、最終的には、図5の(b)に示すように、後面フランジ22に横倒れ座屈が発生するとともに、ウェブ23が面外方向に座屈する。下側屈曲部C1と上側屈曲部C2とが直線状に伸ばされつつ、支柱本体2が後方へ傾倒することで、車両に加わる衝撃が緩和され、さらに、後面フランジ22とウェブ23が座屈することで、前面フランジ21の破断が防止されるとともに、車両に加わる衝撃が緩和される。
このように、防護柵用支柱Pによると、衝突荷重によって支柱本体2が後方へ傾倒した際の変形抵抗により衝突エネルギーが吸収されることになるが、前面フランジ21自体の引張変形によらずに、下側屈曲部C1および上側屈曲部C2が直線状に伸ばされることで、支柱本体2の傾倒に必要な変形量(伸び量)が確保されることになるので、前面フランジ21が破断することはなく、ウェブ23等の変形と相俟って衝突エネルギーが吸収されることになる。すなわち、前面フランジ21の引張変形(伸び)だけで支柱本体2の傾倒に必要な前面フランジ21の変形量を確保する場合に比べて、引張変形量の限界を超え難くなるので、特殊な材質の材料を用いたり、複雑な形状にせずとも所定の傾倒量を得ることができ、その結果、必要な衝突エネルギーの吸収量を確保することができる。つまり、この防護柵用支柱Pによれば、前面フランジ21各部の引張変形に加えて、下側屈曲部C1と上側屈曲部C2が直線状に伸ばされることで、支柱本体2の傾倒に必要な前面フランジ21の変形量が確保されるので、特殊な材質の材料を用いたり、複雑な形状にしなくとも、前面フランジ21を破断させずに、支柱本体2を従来のものと同等以上傾倒させ、衝突エネルギーを吸収させることが可能となる。
また、本実施形態では、基部21aを後面フランジ22側に傾けて、基部21aの上端部(下側屈曲部C1)におけるウェブ23の幅を小さくすることで、下側屈曲部C1における曲げ剛性を小さくしたので、下側屈曲部C1が直線状に伸ばされ易くなる。また、基部21aの上端部におけるウェブ23の幅を小さくすると、支柱本体2の下部が必要以上に重厚になることが防止されるので、防護柵用支柱Pの軽量化を図ることが可能となり、ひいては、材料費を抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、後面フランジ22が、折れ曲がりのない帯板状を呈しているので、防護柵用支柱Pの外観がすっきりとしたものになり、さらには、後面フランジ22の設計が容易になる。
なお、台座1の上面と下側屈曲部C1との高低差hを200mmより大きくしてもよいが、200mmを上回ると、衝突荷重によって下側屈曲部C1に発生する曲げモーメントが小さくなり、下側屈曲部C1が直線状に伸ばされ難くなるので、好適には、本実施形態の如く200mm以下であることが望ましい。また、台座1の上面と下側屈曲部C1との高低差hが30mmを下回ると、下側屈曲部C1が真っ直ぐになるように変形した際の前面フランジ21の変形量が小さくなる虞があるので、好適には、30mm以上であることが望ましい。
また、基部21aの傾斜角度θを、20度より大きくしてもよいが、前面フランジ21の折れ曲がりが目立つようになり、すっきりとした外観を損ねる虞があるので、好適には、本実施形態の如く20度以下とすることが望ましい。
また、下側屈曲部C1と上側屈曲部C2の高低差hを30mmより小さくしてもよいが、30mmを下回ると、下側屈曲部C1および上側屈曲部C2が直線状に伸ばされ難くなるので、好適には、本実施形態の如く30mm以上であることが望ましい。なお、下側屈曲部C1と上側屈曲部C2の高低差hを100mmより大きくしてもよいが、100mmを上回ると、上側屈曲部C2におけるウェブ23の幅が大きくなってこの位置における曲げ剛性が高くなりすぎてしまい、上側屈曲部C2が直線状に伸ばされ難くなるので、好適には、本実施形態の如く100mm以下であることが望ましい。
また、後面フランジ22に平行な面Wと傾斜部21bとのなす角度θを5度より小さくしてもよいが、5度を下回ると、下側屈曲部C1および上側屈曲部C2が直線状に伸ばされることで確保される前面フランジ21の伸び量が小さくなってしまうので、好適には、本実施形態の如く5度以上であることが望ましい。なお、角度θを30度より大きくしてもよいが、30度を上回ると、上側屈曲部C2におけるウェブ23の幅が大きくなってこの位置における曲げ剛性が高くなりすぎてしまい、上側屈曲部C2が直線状に伸ばされ難くなるので、好適には、本実施形態の如く30度以下であることが望ましい。
また、主体部21cの傾斜角度θを、20度より大きくしてもよいが、20度を上回ると、ウェブ23の上部における幅寸法が小さくなってこの位置における強度が不足する虞があるので、好適には、本実施形態の如く20度以下とすることが望ましい。
なお、防護柵用支柱Pの構成は適宜変更しても差し支えない。例えば、前記した実施形態においては、前面フランジ21の基部21a、傾斜部21bおよび主体部21cをそれぞれ平面状(平板状)としたが、円弧面状としても差し支えない。同様に、本実施形態においては、後面フランジ22の後面を平面状としたが、円弧面状としても差し支えない。
また、本実施形態においては、前面フランジ21の幅寸法を上に向かうに従って漸減させたが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、不変としても差し支えない。本実施形態においては、前面フランジ21の肉厚を下端から上端まで一定としたが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、上に向かうに従って漸減させても差し支えない。
また、本実施形態においては、後面フランジ22の幅寸法および肉厚を下端から上端まで一定としたが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、どちらか一方若しくは両方を上に向かうに従って漸減させても差し支えない。
また、図示は省略するが、必要に応じて、台座1の上面と後面フランジ22の後面とで形成される入隅部分に、補強リブを設けてもよい。
また、本実施形態では、鋼製の部材を溶接により一体にしてなる防護柵用支柱Pを例示したが、防護柵用支柱Pの材質や製造方法を限定する趣旨ではなく、アルミニウム合金製や鋳鉄製の鋳造品としても差し支えない。
(防護柵用支柱Pに対する載荷試験)
支柱本体2の上端部に衝撃荷重を模擬した水平荷重を静的に作用させたときの荷重と変位量との関係を図6に示す。
試験に用いた防護柵用支柱Pの材質は、最低引張強さが400N/mm以上である一般構造用圧延鋼材(SS400)である。台座1の厚さは19mmで、支柱本体2の高さ(台座1の上面から取付部24の上端までの距離)は809mmである。
前面フランジ21の下端における幅寸法は125mmで、上端における幅寸法は90mmである。また、前面フランジ21の肉厚は6mmである。台座1の上面と下側屈曲部C1との高低差hは171mmで、下側屈曲部C1と上側屈曲部C2との高低差hは70mmである。また、基部21aの傾斜角度θは14°10′28″、後面フランジ22に対する傾斜部21bの傾斜角度θは9°16′3″、主体部21cの傾斜角度θは1°32′15″である。
後面フランジ22の幅寸法は44mmで、肉厚は9mmである。また、後面フランジ22の傾斜角度θは1°20′9″である。
ウェブ23の下端における幅寸法は115mm、下側屈曲部C1における幅寸法は68mm、上側屈曲部C2における幅寸法は79.4mmである。また、ウェブ23の肉厚は6mmである。
同一の形状および同一の材質で形成された二つの供試体(ケース1、ケース2)について実験を行った。図6に示すように、ケース1では28.0kN、ケース2では28.6kNでウェブ23に座屈が発生したが、支柱本体2の上端部の変位量が30cmに達するまで急激な荷重の落ち込みはなかった。支柱本体2の上端部の変位量が30cmに達して時点での荷重が25kN程度であることから、防護柵用支柱Pが車両の接触・衝突時の衝撃荷重に十分耐え、所定の衝突エネルギーを吸収し得る特性を備えていることが分かる。
本発明の実施形態に係る防護柵用支柱を備える車両用防護柵の斜視図である。 本発明の実施形態に係る防護柵用支柱の斜視図である。 本発明の実施形態に係る防護柵用支柱を示す図であって、(a)は前面図、(b)は側面図、(c)は後面図である。 本発明の実施形態に係る防護柵用支柱の下部を示す拡大側面図である。 (a)は、防護柵用支柱を傾倒させた状態を示す側面図、(b)は後面図である。 防護柵用支柱の上端部に衝撃荷重を模擬した水平荷重を静的に作用させたときの荷重と変位量との関係を示すグラフである。 (a)および(b)は、従来の防護柵用支柱を示す側面図である。
車両用防護柵
P 防護柵用支柱
1 台座
1a ボルト挿通孔
2 支柱本体
21 前面フランジ
21a 基部
21b 傾斜部
21c 主体部
22 後面フランジ
23 ウェブ
C1,C2 屈曲部
K 基礎
R 道路

Claims (6)

  1. 道路に沿って設置される複数条の横梁と、
    前記各横梁を支持する防護柵用支柱と、を備える防護柵であって、
    前記防護柵用支柱は、道路脇に構築された基礎に固定される台座と、前記台座に立設された支柱本体とを有し、
    前記支柱本体は、前記道路に面する前面フランジと、前記前面フランジの後方に配置された後面フランジと、前記前面フランジと前記後面フランジとを繋ぐウェブとを備えており、
    前記前面フランジは、前記台座から立ち上がる基部と、当該基部の上端から前側斜め上方に向かって立ち上がる傾斜部と、前記傾斜部の上端から後側斜め上方に向かって立ち上がる主体部とを有し、
    前記基部と前記傾斜部とによって形成された下側屈曲部および前記傾斜部と前記主体部とによって形成された上側屈曲部は、最下段の前記横梁の下側に位置していることを特徴とする防護柵。
  2. 前記台座の上面と前記下側屈曲部との高低差が、30mm以上200mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の防護柵。
  3. 前記基部が、前記後面フランジ側に傾いていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防護柵。
  4. 下側屈曲部と前記上側屈曲部との高低差が、30mm以上100mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の防護柵。
  5. 前記後面フランジが、折れ曲がりのない帯板状を呈していることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の防護柵。
  6. 前記後面フランジに平行な面と前記傾斜部とのなす角度が5度以上30度以下であることを特徴とする請求項に記載の防護柵。
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