JP4377868B2 - 防護柵用支柱の立設構造 - Google Patents
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車両が車道(走行車線)から逸脱した場合、車両は、横梁に接触し、横梁に接触した際の衝突エネルギーは複数の支柱に伝達され、支柱と横梁の変形によりエネルギーが吸収されることにより、被害を最小限にとどめるものである。
近年では、施工性や支柱の耐久性(耐蝕性)、そして車両衝突後における修復性や、橋梁への設置を可能とするなどからベース固定方式を用いた支柱の立設が主流になってきている。
つまり、ベース金具20は、地覆Tの上面に固定(設置)された状態において、車道R側に位置する支持部材22の支持壁22aの地覆上面から高さL3と、その反対側(例えば歩道や法面側など)に位置する支持壁22bとの高さL4とを同じ高さとするほぼ筒状の支持部材22をベースプレート21に取り付けている構造となし、これによって、支柱24の下端側を外嵌めまたは内嵌めによって嵌合し、その後に、溶接やボルト止めにより支柱24と支持部材22とを結合することによって、車両が激突した際の衝撃力により支柱24がベース金具20から抜け外れたり、倒壊しないように支柱24の下端側を剛の状態で強固に結合保持し得るように構成されている。また、強度補強のために支持部材22の周り補強リブ29が設けられている。
また、ベースプレート21は支持部材22の外周を囲む位置にあり、これを地覆Tに固定するアンカーボルト23も支持部材22の車道R側にも配置されていた。また、強度補強のために設けられる補強リブ29は支柱24の車道R側にも設けられている。このために、車両が支柱24や横梁に衝突する前に、支柱24の下端側を剛の状態で結合保持するベース金具20の支持部材22や補強リブ29に衝突することとなり、車体に与えるダメージは大きいものとなる。しかも、支柱24の立設根元部分の景観も悪くなる。
以上のように、従来では衝突時に車両が横梁に沿って誘導されて衝突エネルギーが吸収される前に車道R側のアンカーボルト23や補強リブ29に衝突する問題点があった。
また、このような問題は、特に車高が低い車両において起こし易くなり、結果として、車体に与えるダメージが大きいばかりか、運転者や搭乗者などに対しても大きなダメージを与える恐れがあった。
ここで、前記穴壁部の側方とは、前記防護柵を構成する横梁と平行な方向(支柱間への横梁の横架方向)である。
さらに、支柱根元の外観(景観)を向上させることができるなどの効果が期待できる。また、ベース金具の材料費の節約をも期待することができる。
図1は、本発明に係る防護柵用支柱の立設構造におけるベース金具を示す斜視図であり、図2は、ベース金具を用いて防護柵を、地覆などに設置した状態の一例を示す斜視図であり、図3は、同設置状態を拡大して示す縦断面図であり、図4は、同横断面図である。
防護柵3は、図2に示すように、車道R脇の基礎コンクリートの打設によって構築される地覆Tに沿って一定の間隔をおいて立設される複数の支柱2間にわたり上下の横梁を横架するなどによって構成されるようになっている。そして、支柱2の地覆T上への立設は、地覆Tの上面にアンカーボルト6によって固定されるベース金具1により行われる。
なお、以下において前記上下の横梁のうち、上側を上段横梁4と称し、その下側を下段横梁5と称する。
ベース金具1は、砂型鋳物材料(例えば、JIS H 5202「アルミニウム合金鋳物」に規定されたAC4CH−T6)などによって一体に成形される鋳造品であり、図1に示すように、中央部位に支柱2の下端側を内嵌めによって嵌合させる支柱立設穴1aを備えている。そして、支柱立設穴1aの穴壁部7の側方にはベース部1bが一体に備えられている。穴壁部7の側方とは、上段および下段横梁4,5と平行な方向である。
支柱立設穴1aは、開口形状が、支柱2の外形(水平断面形状)と同形で、ほぼ同じ寸法に形成されており、図2および図3に示すように、地覆Tの上面にベース金具1が固定(設置)された状態において、穴壁部7における車道R側に位置する車道側壁部7aの地覆Tからの高さL1を低く形成している。
そして、車道側壁部7aとは反対側(例えば歩道や法面側など)に位置する反対側壁部7bの地覆Tから高さL2を車道側壁部7aの高さL1よりも高く形成することによって、この反対側壁部7bを支柱2との締結壁部8としている(図1および図3参照)。
なお、本実施形態では、反対側壁部7bの高さL2を、車道側壁部7aの高さL1の2倍以上としている。
穴壁部7は、高さL1の低い車道側壁部7aと、高さL2の高い反対側壁部7bとから形成されている。
このように、穴壁部7の反対側壁部7bの高さL2を高くすることで、車両Sが防護柵3(主に横梁)に衝突した際の荷重は、複数の支柱2に伝わり、支柱に伝わった荷重は反対側壁部7bに大部分が伝達され、また、支柱2の座屈などの塑性変形によるエネルギーの吸収性能を向上させる上で有効である。
一方、車道側壁部7aは、車両Sが防護柵3に衝突した際の荷重は余り掛からない(受けない)ことから、後記するように、衝撃によって支柱2が塑性変形した場合に抜け外れない程度の高さL1まで低くすることができる。
車道側壁部7aは、支柱2の下端側が内嵌めによる嵌合のみによって支柱2を保持するように形成されており、車両Sの衝突により支柱2が塑性変形した場合においても支柱2が抜け外れない程度の高さL1を有する。つまり、車道側壁部7aは、車両Sが防護柵3に衝突した際の荷重は余り掛からない(受けない)ことから、衝撃によって支柱2が塑性変形した場合に抜け外れない程度の高さL1まで低くすることができる。これにより、ベース金具1の材料費を減少させることができる。
そして、この車道側壁部7aは、図3に示すように、車道R(路面)から地覆Tの上面までの高さL5との合計高さ(L5+L1)が、車道Rを走行する車両Sの車高L(路面に接地するタイヤの接地部から車体の下面(裏面)までの高さ)よりも低くなるように、地覆Tの上面からの高さL1が設計されている。つまり、車道Rからの地覆Tの高さL5に応じて、地覆Tからの車道側壁部7aの高さL1は、車高Lよりも低くなるように適宜設計されるようになっている。
これにより、車両Sのバンパーなどの車体部分が防護柵3に衝突した際、ベース金具1に直接衝突しない。つまり、衝突エネルギーを吸収しないベース金具1に直接衝突することなく、防護柵3の上段および下段横梁4,5に車両Sが衝突することによって、車両Sへの衝突ダメージを低減させるようにしている。
また、車道側壁部7aは、図1に示すように、その壁厚が後記する側壁部の壁厚より厚く、しかも、下方に向けて漸次肉厚状(幅広状)に形成されている。
反対側壁部7bは、車両Sが防護柵3に衝突した際に、支柱2に求められる破断・倒壊(大部分の衝突荷重)などに対する耐荷重強度を維持し得るように支柱2の下端側を、大きな面積(高さL2方向の面積)と数本のボルト9による締結力とによって強固に結合保持し得るように地覆Tからの高さL2が設計されている。
つまり、車道側壁部7aの高さL1は、車高Lの低い車両Sが衝突しないように低くしたが、反対側壁部7bは、支柱2の塑性変形によるエネルギー吸収を有効に行えるように高く形成することで、支柱2を強固に結合保持し得る高さL2を有する締結壁部8としている。
また、反対側壁部7bは、車道側壁部7aと同じく、その壁厚が後記する側壁部の壁厚より厚く、しかも、下方に向けて漸次肉厚状に形成することによって、剛性の高い壁構造の締結壁部8としている(図1参照)。
そして、締結壁部8には、図1に示すように、上下2箇所のボルト挿通孔10が開口されており、支柱2の下端側内面に当てがわれる板状のナット部材11にボルト12によってボルト止めすることによって、支柱2が締結壁部8にナット部材11とによるサンドイッチ構造(挟着構造)によって強固に、かつ、強靭に結合保持されるように形成されている(図3参照)。
なお、図示を省略しているが、ボルト12の頭部と締結壁部8との間にはワッシャ、座金などの介在部材が介装されており、ボルト12の緩み止めと締結強度を強化するようにしている。また、ナット部材11は、縦長の平板状に限らず、支柱2の内面に沿わせて平面視がほぼ円弧形状に湾曲させるなど、任意である。
すなわち、車両Sが防護柵3に衝突した際に、横梁4,5を介して支柱2に加わる衝突エネルギーにより反対側壁部7bに加わる荷重に対する耐荷重強度を有効に保つことと、その荷重をベース金具1に有効に伝えられるように、車道側壁部7aと反対側壁部7bとの開口上端縁を連設させている。
また、穴壁部7の車道側壁部7aと反対側壁部7bとの開口上端縁を斜め直線状に連設させてもよいが、前記したように、側面視ほぼ逆向きへの字形状の連設させているのは、車両Sが衝突した際の荷重のベース部1bへの伝達に対して有効でない部分を除去することで、ベース金具1の材料費の節約に有効であるからである。
ベース部1bは、支柱立設穴1aの穴壁部7における両側に一体に形成されている。すなわち、図2に矢印Zで示す車道R方向に位置する穴壁部7の両側に一体に備えられており、車道側壁部7aより車道R側には張り出していない。
また、ベース部1bには、図1に示すように、地覆Tとの締結用のボルト挿通孔13が開口されており、地覆Tに植設(埋設)されたアンカーボルト6に、長尺筒状(パイプ状)のナット部材14を介してボルト15を取り付けることで、ベース部1bを地覆Tの上面に固定し得るように形成している(図3参照)。また、このアンカーボルト6は、車道側壁部7aよりも車道Rに位置することはない。
このように、車両Sの衝突に際して、ベース金具1や、ベース金具1を固定するボルト6、ナット15に直接衝突したりすることなく、車両Sが横梁4,5に衝突し、横梁4,5に沿って誘導されて衝突エネルギーが適切に吸収されることになる。
そして、車道側壁部7aとは反対側に位置する反対側壁部7bについては、支柱2の下端側を、大きな面積(受圧面積)と縦数本のボルト9による締結力とによって強固に結合保持させることができる高さL2と壁厚を有する締結壁部8としていることで、支柱2を剛の状態で強固に立設保持し、車両Sが衝突したときに支柱2に求められる破断・倒壊などに対する耐荷重強度を維持することができる。
さらに、支柱立設穴1aの開口上端縁形状が、車道R側から反対側に向かって側面視がほぼ逆向きへの字形状や、下向き円弧形状または上向き円弧形状に連設させた傾斜線形状または曲線形状であることで、車両Sが衝突したとき支柱2を介して穴壁部7の反対側壁部7bに加わる荷重を充分な強度で受け止めることができるとともに、ベース部1bに有効に荷重を伝えることができる。また、支柱2根元の外観(景観)を向上させるなどの効果も期待することができる。
例えば、支柱2の外形(水平断面形状)が円形や角形で、同じく円形や角形状に形成されたベース金具1の支柱立設穴1aに支柱2を内嵌めにて嵌合させるなど任意である。また、ベース部1bを、穴壁部7の両側2方向に限らず、反対側壁部7bを含めた3方向に設けるなど任意である。
1a 支柱立設穴
1b ベース部
2 支柱
3 防護柵
4 上段横梁
5 下段横梁
6 アンカーボルト
7 穴壁部
7a 車道側壁部
7b 反対側壁部
8 締結壁部
13 ボルト挿通孔
T 地覆
R 車道
S 車両
Claims (4)
- 車道に沿った地覆などに設置される防護柵の支柱と、前記支柱を前記地覆上に立設させるために用いられるベース金具とを備える防護柵用支柱の立設構造であって、
前記ベース金具は、前記支柱の下端側が内嵌めにより嵌合される支柱立設穴と、前記地覆の上面に固定されるベース部と、を備え、
前記支柱立設穴は、その上下が開口しており、
前記支柱の下端が、前記ベース部の下面と面一であり、
前記地覆の上面に固定された状態において、前記支柱立設穴の穴壁部の車道側に位置する車道側壁部の前記地覆からの高さよりも、前記車道側とは反対側に位置する反対側壁部の前記地覆からの高さを高く形成し、かつ、前記反対側壁部と前記支柱とを当接させた状態で前記反対側壁部に前記支柱を固定することを特徴とする防護柵用支柱の立設構造。 - 前記支柱は、前記車道に面する厚肉部と、前記厚肉部の反対側に位置する薄肉部とを有し、
前記反対側壁部と前記薄肉部とに挿通したボルトを、前記支柱の下端部の内面に配置したナット部材に螺合し、前記反対側壁部と前記ナット部材とで前記薄肉部を挟持することを特徴とする請求項1に記載の防護柵用支柱の立設構造。 - 前記ベース部は、前記支柱立設穴の穴壁部の側方に一体に形成されるとともに、前記地覆との締結用のボルト挿通孔が開口されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防護柵用支柱の立設構造。
- 前記ベース金具は、鋳物材料によって一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防護柵用支柱の立設構造。
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