JP5074723B2 - 燃料電池システム及びその起動方法 - Google Patents
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Description
このような燃料電池システムによれば、現在の蓄電装置の残量が、反応ガス置換用電力量に基づく判定残量以上である場合に、反応ガス置換手段を実際に作動させるので、途中で蓄電装置が残量不足とならずに、反応ガスを置換することができる。そして、反応ガスが置換されたことによって、所定のOCVが発生しているので、燃料電池を好適に発電開始させることができる。
また、反応ガスが電解質膜を透過すること等による反応ガス濃度変化を考慮して、燃料電池の発電停止時間に基づいて反応ガス置換用電力量を算出するので、反応ガス置換用電力量を過不足なく求めることができる。その結果として、反応ガス置換用電力量に基づく判定残量も適切に求めることができる。
また、このような燃料電池システムによれば、アノード掃気検出手段によって、前回の燃料電池の発電停止から現在の間に、アノード掃気が実施されたか否かを検出することができる。そして、アノード掃気が実施されていた場合、アノード流路の燃料ガス濃度は略ゼロに低下しているので、当該略ゼロの燃料ガス濃度を燃料電池が発電可能な濃度に高めるべく、反応ガス置換用電力量が大きくなるように補正する。次いで、現在の残量が、補正された反応ガス置換用電力量に基づく判定残量以上である場合、実際に反応ガス置換手段を作動させるので、途中で蓄電装置が残量不足とならずに、反応ガスを置換することができる。
また、このような燃料電池システムの起動方法によれば、前回の燃料電池の発電停止から現在の間にアノード掃気が実施されたか否かを検出し、アノード掃気が実施されていた場合、反応ガス置換用電力量が大きくなるように補正する。次いで、現在の残量が、補正された反応ガス置換用電力量に基づく判定残量以上である場合、実際に反応ガス置換手段を作動させるので、途中で蓄電装置が残量不足とならずに、反応ガスを置換することができる。
図1に示す本実施形態に係る燃料電池システム1は、図示しない燃料電池自動車に搭載されている。燃料電池システム1は、燃料電池10の出力端子(図示しない)に接続された走行モータ45を備えている。走行モータ45は燃料電池10の発電電力によって駆動し、これにより、燃料電池自動車が走行するようになっている。
燃料電池10(燃料電池スタック)は、単セルが複数積層されることによって構成された固体高分子型燃料電池である。単セルは、電解質膜(固体高分子膜)の両面をアノード(燃料極)及びカソード(空気極)で挟んでなるMEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、MEAを挟む一対のセパレータと、を主に備えている。各セパレータには、各単セルを構成するMEAの全面に水素又は空気を供給するための溝や、全単セルに水素、酸素を導くための貫通孔等が形成されており、これら溝等がアノード流路11、カソード流路12(いずれも反応ガス流路)として機能している。
さらに、前記セパレータには、ラジエータ液流通系から送られ、燃料電池10と熱交換するラジエータ液が流通するラジエータ液流路13が形成されている。
アノード系は、水素が貯蔵された水素タンク21と、遮断弁22と、第1三方弁23(切替手段)と、エゼクタ24と、パージ弁25とを主に備えている。
水素タンク21は、配管21a、遮断弁22、配管22a、第1三方弁23、配管23a、エゼクタ24、配管24aを順に介して、アノード流路11の入口に接続されている。第1三方弁23は、配管22a、配管23a、及び、後記する配管51aの接続点(合流点)に配置されており、3つの配管間の連通を遮断すること(完全閉状態)、配管22aと配管23aとを連通させること(燃料電池10側が開いた状態)、配管22aと配管51aとを連通させること(燃焼器51側が開いた状態)、が適宜に切替可能となっている。すなわち、水素タンク21からの水素が、遮断、又は、燃料電池10若しくは燃焼器51に供給されるようになっている。ただし、このように切替可能であれば第1三方弁23に限定されず、例えば、配管23a及び配管51aにそれぞれ開閉弁を設け、これらを適宜に開閉させる構成としてもよい。
なお、遮断弁22及び第1三方弁23は、ECU80と接続されており、ECU80に制御される。また、配管22aには、図示しない減圧弁が設けられており、所定圧力に減圧された水素が、燃料電池10又は燃焼器51に供給されるようになっている。
一方、アノードオフガス中の水分等の不純物が増加した場合や、後記するOCVチェックモードにおいてアノード流路11内をガス置換する場合、ECU80によってパージ弁25は適宜に開かれ、アノードオフガスが配管25bを介して希釈器33に送られ、希釈器33で希釈された後、外部に排出されるようになっている。
カソード系は、コンプレッサ31(スーパーチャージャ)と、第2三方弁32(切替手段)と、希釈器33と、水素センサ34とを主に備えている。
コンプレッサ31は、配管31a、第2三方弁32、配管32aを順に介して、カソード流路12の入口に接続されている。第2三方弁32は、配管31a、配管32a、及び、後記する配管51bの接続点(合流点)に配置されており、3つの配管間の連通を遮断すること(完全閉状態)、配管31aと配管32aと連通させること(燃料電池10側が開いた状態)、配管31aと配管51bとを連通させること(燃焼器51側が開いた状態)、が適宜に切替可能となっている。すなわち、コンプレッサ31からの空気が、遮断、又は、燃料電池10若しくは燃焼器51に供給されるようになっている。ただし、このように切替可能であれば第2三方弁32に限定されず、例えば、配管32a及び配管51bにそれぞれ開閉弁を設け、これらを適宜に開閉させる構成としてもよい。
なお、コンプレッサ31及び第2三方弁32は、ECU80と接続されており、ECU80に制御される。また、配管32aには、加湿器(図示しない)が設けられており、燃料電池10に供給される空気が適宜に加湿されるようになっている。
電力消費系は、電力を消費する系であり、出力検出器41と、コンタクタ42と、VCU43(Voltage Control Unit)と、PDU44(Power Drive Unit)と、走行モータ45と、蓄電装置46と、残量検出器47(残量検出手段)と、コンバータ48とを主に備えている。そして、燃料電池10の出力端子(図示しない)から、出力検出器41、コンタクタ42、VCU43、PDU44、走行モータ45が順に接続されている。蓄電装置46及びコンバータ48は、VCU43とPDU44との間に、それぞれ接続されている。
この他、ECU80が、蓄電装置46の現在の電圧に基づいて、残量L11を算出するようにしてもよい。
触媒燃焼系は、水素及び空気を触媒燃焼させることで熱エネルギを取得し、この熱エネルギによって、ラジエータ液流通系のラジエータ液を加熱する系である。このような触媒燃焼系は、燃焼反応を促進させる触媒を内蔵する燃焼器51と、熱交換器52とを主に備えている。
ラジエータ液流通系は、燃料電池10と熱交換器52とを経由するように、ラジエータ液を循環(流通)させる系であり、ポンプ61と、温度センサ62(温度検出手段)とを主に備えている。因みに、ラジエータ液は、例えば、エチレングリコール等を主成分とする不凍液から構成される。
そして、ラジエータ液流路13の出口から、配管61a、ポンプ61、配管61b、熱交換器52、配管61c、ラジエータ液流路13の入口の順に接続されており、ECU80からの指令に従ってポンプ61が作動すると、ラジエータ液が循環するようになっている。
IG71は、燃料電池自動車及び燃料電池システム1の起動スイッチであり、運転席周りに設けられている。また、IG71はECU80と接続されており、ECU80はIG71のON/OFF信号を検知するようになっている。
ECU80は、燃料電池システム1を電子制御する制御装置である。このようなECU80は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されている。
このようなECU80(制御手段)は、前記したように、パージ弁25等から構成される反応ガス置換手段と、第1三方弁23、コンプレッサ31、第2三方弁32、及び、ポンプ61等から構成される暖機手段と、を適宜に制御し、燃料電池システム1を、準備モード、燃焼モード、冷却モード、OCVチェック(反応ガス置換)モードで作動させる機能を備えている。
なお、燃料電池10の暖機が必要な場合、準備モード、燃焼モード、冷却モード、OCVチェックモードが順に実施される。一方、燃料電池10の暖機が不要な場合、準備モード、燃焼モード、及び、冷却モードは実施されず、OCVチェックモードのみが実施される。因みに、ECU80は、IG71のON時の燃料電池温度T11と、その内部に記憶された暖機開始判定温度T2(例えば0℃)とに基づいて、燃料電池10の暖機の必要の有無を判定する機能を備えている。
ただし、冷却モードを実施する時間t3を一定長さにすることに限定されず、例えば、燃焼モード終了時における燃焼器51内の水分量等に基づいて、可変するようにしてもよい。この場合、冷却モード時の消費電力量は、時間t3に対応して変動することになる。
これに対し、前回発電停止から現在の間に、アノード掃気が実施されていた場合、アノード流路11内の水素濃度は略ゼロに低下しているので、発電停止時間の長さに関わらず、OCVチェックモードを実施する時間t4は一定の長さとなる。その結果として、アノード掃気が実施されていた場合におけるOCVチェックモード時の消費電力量は、アノード掃気が実施されていない場合よりも大きい値で、一定値となる(図6参照)。したがって、アノード掃気が実施されたことが検出された場合、OCVチェックモード時の消費電力量が大きくなるように補正されることになる。
因みに、前記したように、本実施形態では、準備モード、冷却モードの実施時間は、それぞれ、一定長さの時間t1、t3であるので、準備モード時の消費電力量と冷却モード時の消費電力量とは、それぞれ一定値(固定値)となる。これに対し、燃焼モード時の消費電力量は、図5に示すように、IG71のON時の燃料電池温度T11が低いほど、大きくなる。なお、図5に示すマップは、事前試験等によって求められ、ECU80に記憶されている。
次に、燃料電池システム1の起動時の動作と共に、燃料電池システム1の起動方法を説明する。
本実施形態に係る燃料電池システム1の起動方法は、システム起動時において燃料電池10が発電開始するまでに、パージ弁25等の反応ガス置換手段が消費すると予測される反応ガス置換用電力量を、燃料電池10の発電停止時間に基づいて算出する反応ガス置換用電力量算出ステップと、現在の蓄電装置46の残量L11が、反応ガス置換用電力量に基づく残量である第1判定残量L1又は第2判定残量L2以上である場合、パージ弁25等の反応ガス置換手段を、実際に作動させる作動ステップと、を含んでいる。
また、燃料電池システム1の起動方法は、燃料電池10の暖機が必要な場合、燃料電池温度T11が暖機完了温度T1に到達するまでに、コンプレッサ31等の暖機手段が消費する暖機用電力量を算出する暖機用電力量算出ステップを、さらに含んでおり、現在の残量L11が、反応ガス置換用電力量と暖機用電力量との和に基づく残量である第1判定残量L1以上である場合、暖機手段及びガス置換手段を実際に作動させる。
さらに、アノード掃気が実施されたか否かを検出するアノード掃気検出ステップを、さらに含んでおり、アノード掃気が実施されたことが検出された場合、反応ガス置換用電力量算出ステップにおいて、反応ガス置換用電力量が大きくなるように補正する。
なお、初期状態において、遮断弁22、第1三方弁23、パージ弁25、及び、第2三方弁32は閉じており、コンプレッサ31、ポンプ61、及び、コンタクタ42はOFF状態にある。
ステップS101において、ECU80は、燃料電池10の暖機が必要であるか否かを判定する。具体的には、現在の燃料電池温度T11(システム温度)が暖機開始判定温度T2(例えば0℃)未満である場合、暖機は必要と判定し(S101・Yes)、ECU80の処理はステップS200に進む。一方、現在の燃料電池温度T11が暖機開始判定温度T2未満でない場合、暖機は不要と判定し(S101・No)、ECU80の処理はステップS300に進む。
ステップS200において、ECU80は、第1判定残量L1を算出する。算出方法については、後で詳細に説明する。
ステップS102において、ECU80は、この後、蓄電装置46が残量不足(いわゆるバッテリ切れ)になることなく、燃料電池10の暖機等を含めて燃料電池システム1を起動できるか否かを判定する。具体的には、現在の残量L11が第1判定残量L1以上である場合、残量不足とならずにシステムを起動できると判定し(S102・Yes)、ECU80の処理はステップS103に進む。一方、現在の残量L11が第1判定残量L1以上でない場合、途中で残量不足となるためシステムを起動できないと判定し(S102・No)、ECU80の処理はステップS109に進む。
ステップS103において、ECU80は、燃料電池システム1を、準備モードで作動させる。具体的には、ECU80は、遮断弁22を開くと共に、第2三方弁32の燃焼器51側を開く(配管31a、51bを連通)。また、ECU80は、ポンプ61を作動させ、燃料電池10と熱交換器52との間で、ラジエータ液を循環させる。このような準備モードは、一定長さの時間t1にて実施される(図7参照)。
その後、ステップS104において、ECU80は、燃料電池システム1を、燃料電池10を暖機するための燃焼モードで作動させる。具体的には、ECU80は、第1三方弁23の燃焼器51側を開き(配管22a、51aを連通)、燃焼器51に水素を供給する。これに並行して、ECU80はコンプレッサ31を作動させ、燃焼器51側が開いた第2三方弁32を介して、燃焼器51に酸素を含む空気を供給する。
このような燃焼モードを実施する時間t2は、IG71のON時の燃料電池温度T11と図5のマップとに基づいて算出される。
その後、ステップS105において、ECU80は、燃料電池システム1を冷却モードで作動させる。
具体的には、ECU80は、第1三方弁23を閉じ(配管22a、23a、51a間の連通を遮断)、燃焼器51への水素供給を停止する。これにより、水素タンク21の水素消費が抑えられ、その結果として、燃料電池自動車の燃費が向上する。
一方、ECU80は、コンプレッサ31の作動を継続させ、燃焼器51側が開いた第2三方弁32を介して、燃焼器51に空気を供給する。これにより、触媒燃焼により高温となった燃焼器51は冷却される。これと共に、燃焼器51及び熱交換器52に残留する未燃焼の水素、水蒸気(水分)は、希釈器33を介して外部に排出され、燃焼器51及び熱交換器52の耐久性が高められる。また、このように水素が排出されるので、燃料電池システム1の安全性が確保されると共に、次回暖機時において、燃焼器51等から水素が排出されることもなく、燃料電池システム1から外部に排出される水素濃度が極端に高くなることはない。
その後、ステップS106において、ECU80は、燃料電池システム1をOCVチェックモードで作動させる。
具体的には、ECU80は、第1三方弁23の燃料電池10側を開き(配管22a、23aを連通)、アノード流路11に水素を供給し、第2三方弁32の燃料電池10側を開き(配管31a、32aを連通)、カソード流路12に空気を供給する。そして、ECU80は、コンタクタ42をOFFしたまま、出力検出器41を介して燃料電池10のOCVを検出する。次いで、ECU80は、燃料電池10の発電を開始させてもよい所定OCVが発生するように、パージ弁25を適宜に開いてアノード流路11内のガスを置換し、アノード流路11内を前記所定OCVが発生する水素濃度に高める。
このようなOCVチェックモードを実施する時間t4は、アノード掃気の実施の有無と、発電停止時間と、図6のマップとに基づいて算出される。
次いで、ステップS107において、ECU80はコンタクタ42をONし、VCU43を燃料電池10から電流を取り出すように制御する。これにより、燃料電池10の発電が開始する。
次に、燃料電池10の暖機は不要と判定(S101・No)された場合に進むステップS300について説明する。
ステップS300において、ECU80は、第2判定残量L2を算出する。算出方法については、後で詳細に説明する。
ステップS108において、ECU80は、ステップS102と同様に、蓄電装置46が残量不足になることなく、燃料電池システム1を起動できるか否かを判定する。具体的には、現在の残量L11が第2判定残量L2以上である場合、残量不足とならずにシステムを起動できると判定し(S108・Yes)、ECU80の処理はステップS106に進む。一方、現在の残量L11が第2判定残量L2以上でない場合、途中で残量不足となるためシステムを起動できないと判定し(S108・No)、ECU80の処理はステップS109に進む。
次に、ステップS102、又は、ステップS108における判定がNoとなって進むステップS109について説明する。
ステップS109において、ECU80は、燃料電池システム1を起動、具体的には、コンプレッサ31、ポンプ61、第1三方弁23等を作動させない。これにより、蓄電装置46の残量不足によるシステム起動の中断や、蓄電装置46の電力の無駄な消費が抑えられる。なお、このような場合、運転者に対して、蓄電装置46の残量不足と共に、蓄電装置46への充電を促すように、ECU80が、警告ランプ(図示しない)を点灯させる構成としてもよい。
次に、ステップS200における第1判定残量L1の算出処理について、図3を参照して説明する。
ステップS201において、ECU80は、アノード掃気の実施の有無に対応するフラグを参照して、前回の燃料電池10の発電停止から現在(例えば、IG71のON時)の間に、アノード掃気が実施されたか否かを判定する。
そして、アノード掃気は実施されていたと判定された場合(S201・Yes)、ECU80の処理はステップS202に進む。一方、アノード掃気は実施されていないと判定された場合(S201・No)、ECU80の処理はステップS203に進む。
ステップS202において、ECU80は、暖機が必要であってアノード掃気の実施ありに対応した第1判定残量L1を算出する。
具体的に、第1判定残量L1は、準備モード時の消費電力量と、燃焼モード時の消費電力量と、冷却モード時の消費電力量と、OCVチェックモード時の消費電力量とに基づいて算出される。なお、第1判定残量L1は、例えば、各モードにおける消費電力量を、各モードにおいて作動するコンプレッサ31等の機器の定格出力で除することによって求められる。第2判定残量L2も同様である。
その後、ECU80の処理は、リターンを通って、図2のステップS102に進む。
ステップS203において、ECU80は、暖機が必要であってアノード掃気の実施なしに対応した第1判定残量L1を算出する。
具体的に、第1判定残量L1は、ステップS202と同様に、準備モード時の消費電力量と、燃焼モード時の消費電力量と、冷却モード時の消費電力量と、OCVチェックモード時の消費電力量とに基づいて算出される。準備モード時の消費電力量、燃焼モード時の消費電力量、及び、冷却モード時の消費電力量は、ステップS202と同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、燃料電池10(アノード及びカソードに含まれる触媒)の温度が高くなれば、この触媒の活性が高くなるので、燃料電池温度T11に基づいて、OCVチェックモード時の消費電力量を補正、つまり、燃料電池温度T11が高ければ、OCVチェックモード時の消費電力量を小さくするように補正してもよい。
次に、ステップS300における第2判定残量L2の算出処理について、図4を参照して説明する。
ステップS301において、ECU80は、アノード掃気の実施の有無に対応するフラグを参照して、前回の燃料電池10の発電停止から現在(例えば、IG71のON時)の間に、アノード掃気が実施された否かを判定する。
そして、アノード掃気は実施されていたと判定された場合(S301・Yes)、ECU80の処理はステップS302に進む。一方、アノード掃気は実施されていないと判定された場合(S301・No)、ECU80の処理はステップS303に進む。
ステップS302において、ECU80は、暖機が不要であってアノード掃気の実施ありに対応した第2判定残量L2を算出する。この場合において、燃料電池10を暖機する必要はないので、準備モード、燃焼モード及び冷却モードは実施されず、各モードの消費電力量はゼロとなる。よって、第2判定残量L2は、実質的にOCVチェックモード時の消費電力量に基づいて算出されることになる。
ここで、アノード掃気が実施されているので、ステップS202と同様に、OCVチェックモードを実施する時間t4は一定となり、OCVチェックモード時の消費電力量は一定となる。したがって、これに基づいて算出される第2判定残量L2も一定値となる。
その後、ECU80の処理は、リターンを通って、図2のステップS108に進む。
ステップS303において、ECU80は、暖機が不要であってアノード掃気の実施なしに対応した第2判定残量L2を算出する。この場合において、ステップS302と同様に、燃料電池10を暖機する必要はないので、準備モード、燃焼モード及び冷却モードは実施されず、各モードの消費電力量はゼロとなる。よって、第2判定残量L2は、OCVチェックモード時の消費電力量に基づいて算出される。
ここで、アノード掃気が実施されていないので、ステップS203と同様に、OCVチェックモードを実施する時間t4、及び、OCVチェックモード時の消費電力量は、発電停止時間と、図6のマップとに基づいて算出される。そして、ECU80は、OCVチェックモード時の消費電力量に基づいて、燃料電池10の暖機が不要で、且つ、アノード掃気ありに対応した第2判定残量L2を算出する。
その後、ECU80の処理は、リターンを通って、図2のステップS108に進む。
このような本実施形態に係る燃料電池システム1によれば、主に以下の効果を得ることができる。
(1)システム起動時において、燃料電池10の暖機が必要な場合、現在の残量L11が、暖機(準備、燃焼、冷却モード)及び反応ガスの置換(OCVチェックモード)によって消費されると予測される消費電力量に基づく第1判定残量L1以上のとき、実際に燃料電池10を暖機し、反応ガスを置換するので、暖機(準備、燃焼、冷却モード)及び反応ガスの置換(OCVチェックモード)の途中に、蓄電装置46が残量不足になることを防止しつつ、燃料電池10の発電を開始させることができる。そして、このように反応ガスが置換されるので、発電開始時におけるアノード流路11内の水素濃度を容易に把握することができる。
(2)また、燃料電池10の暖機が不要な場合、反応ガスの置換(OCVチェックモード)によって消費されると予測される消費電力量に基づく第2判定残量L2以上のとき、実際に反応ガスを置換するので、反応ガスの置換の途中に蓄電装置46が残量不足になることを防止しつつ、燃料電池10の発電を開始させることができる。
(3)さらに、反応ガスの置換(OCVチェックモード)によって消費されると予測される消費電力量は、燃料電池10の発電停止中におけるアノード掃気の実施の有無、そして、アノード掃気が実施されていない場合には発電停止時間を考慮するので、適切に算出することができる。
次に、図7を参照して、燃料電池システム1の一動作例を説明する。なお、ここでは燃料電池10の暖機が必要であって、発電停止中にアノード掃気が実施されていない場合を例示する。
そして、所定のOCVが発生したことにより、OCVチェックは完了し、コンタクタ42がONされ、燃料電池10の発電が開始する。
10 燃料電池
11 アノード流路(反応ガス流路)
12 カソード流路(反応ガス流路)
21 水素タンク
23 第1三方弁
25 パージ弁(反応ガス置換手段)
31 コンプレッサ(暖機手段)
32 第2三方弁
44 出力検出器
45 蓄電装置
46 残量検出器(残量検出手段)
51 燃焼器(暖機手段)
52 熱交換器(暖機手段)
61 ポンプ(暖機手段)
62 温度センサ(温度検出手段)
80 ECU(制御手段、停止時間検出手段、反応ガス置換用電力量算出手段、暖機用電力量算出手段、アノード掃気検出手段)
T1 暖機完了温度
T2 暖機開始判定温度
T11 燃料電池温度
L1 第1判定残量
L2 第2判定残量
L11 現在の残量
Claims (4)
- 反応ガス流路を有し、当該反応ガス流路に反応ガスが供給されることで発電する燃料電池と、
電力を蓄える蓄電装置と、
前記蓄電装置の残量を検出する残量検出手段と、
起動時に前記蓄電装置を電源として作動し、前記反応ガス流路を、前記燃料電池が発電可能な濃度の反応ガスに置換する反応ガス置換手段と、
前記燃料電池の発電停止時間を検出する停止時間検出手段と、
前記燃料電池が発電開始するまでに前記反応ガス置換手段が消費する反応ガス置換用電力量を、前記燃料電池の発電停止時間に基づいて算出する反応ガス置換用電力量算出手段と、
前記反応ガス置換手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、現在の蓄電装置の残量が、前記算出された反応ガス置換用電力量に基づく判定残量以上である場合、前記反応ガス置換手段を作動させ、
前記反応ガス流路は、燃料ガスが供給されるアノード流路と、酸化剤ガスが供給されるカソード流路とを有し、
前記燃料電池の発電停止後から現在の間に、前記アノード流路に残留する燃料ガスを排出するアノード掃気が実施されたか否かを検出するアノード掃気検出手段を、さらに備え、
前記制御手段は、アノード掃気が実施されていた場合、前記反応ガス置換用電力量が大きくなるように補正する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、
起動時に前記燃料電池を暖機する必要がある場合、前記制御手段に制御され前記蓄電装置を電源として作動し、前記燃料電池を暖機する暖機手段と、
前記燃料電池の温度が暖機完了温度に到達するまでに、前記暖機手段が消費する暖機用電力量を算出する暖機用電力量算出手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、現在の蓄電装置の残量が、前記算出された反応ガス置換用電力量と暖機用電力量との和に基づく判定残量以上である場合、前記暖機手段及び前記反応ガス置換手段を作動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 反応ガス流路を有し、当該反応ガス流路に反応ガスが供給されることで発電する燃料電池と、
電力を蓄える蓄電装置と、
起動時に前記蓄電装置を電源として作動し、前記反応ガス流路を、前記燃料電池が発電可能な濃度の反応ガスに置換する反応ガス置換手段と、
を備え、
前記反応ガス流路は、燃料ガスが供給されるアノード流路と、酸化剤ガスが供給されるカソード流路とを有する燃料電池システムの起動方法であって、
前記燃料電池の発電停止後から現在の間に、前記アノード流路に残留する燃料ガスを排出するアノード掃気が実施されたか否かを検出するアノード掃気検出ステップと、
前記燃料電池が発電開始するまでに前記反応ガス置換手段が消費する反応ガス置換用電力量を、前記燃料電池の発電停止時間に基づいて算出する反応ガス置換用電力量算出ステップと、
現在の蓄電装置の残量が、前記算出された反応ガス置換用電力量に基づく判定残量以上である場合、前記反応ガス置換手段を作動させる作動ステップと、
を含み、
前記アノード掃気が実施されたことが検出された場合、前記反応ガス置換用電力量算出ステップにおいて、前記反応ガス置換用電力量が大きくなるように補正する
ことを特徴とする燃料電池システムの起動方法。 - 前記燃料電池システムは、起動時に前記蓄電装置を電源として作動し、前記燃料電池を暖機する暖機手段をさらに備えており、
前記燃料電池の温度が暖機完了温度に到達するまでに、前記暖機手段が消費する暖機用電力量を算出する暖機用電力量算出ステップを、さらに含み、
現在の蓄電装置の残量が、前記算出された反応ガス置換用電力量と暖機用電力量との和に基づく判定残量以上である場合、前記作動ステップにおいて、前記暖機手段及び前記反応ガス置換手段を作動させる
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システムの起動方法。
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