JP5222121B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関するものである。
近年、水素(燃料ガス、反応ガス)がアノードに、酸素を含む空気(酸化剤ガス、反応ガス)がカソードに、それぞれ供給されることで発電する固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)等の燃料電池の開発が盛んである。このような燃料電池は、燃料電池車等に搭載されつつある。
ところで、燃料電池を良好に発電させるためには、アノードおよびカソードにおける電極反応が進むように、アノード等に含まれる触媒等に依存する好適発電温度(PEFCの場合60〜80℃)で発電させることが好ましい。
そこで、水素および酸素を含む空気が混合されてなる反応ガス(燃料混合ガス)を、Pt、Ru等の触媒下で触媒燃焼反応させて、高温の燃焼ガスを生成し、この高温の燃焼ガスを利用して燃料電池を暖機する燃料電池システムが提案されている。
また、燃料電池システムにおいて、アノードオフガスをシステムの外部に排出する際に、アノードオフガス内に残留する水素をそのまま外部に排出しないようにするために、アノードオフガスの排出管に燃焼器を配置し、この燃焼器でアノードオフガスを燃焼させることで、アノードオフガス内の水素を触媒燃焼反応させ、そのときの熱を利用して燃料電池を暖めるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−116368号公報
しかしながら、前記した従来の燃料電池システムでは、燃料電池のオフガスが燃焼器を経由するので、燃料電池において生成した生成水で燃焼器の触媒が濡れる虞があり、触媒反応面積の減少や触媒温度の低下を来たす虞があった。このため、燃料電池の暖機時間が長時間になる可能性があった。
そこで、本発明は、反応ガスを触媒燃焼反応させる触媒を有する燃料電池システムにおいて、暖機を速やかに完了することができる燃料電池システムを提供することを課題とする。
前記目的を達成するために、本発明の燃料電池システムは、反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、前記反応ガス供給手段から供給される反応ガスで発電する燃料電池と、前記燃料電池を経由するように冷媒を通流させる冷媒通流手段と、前記反応ガス供給手段から供給される反応ガスのみによって触媒燃焼反応させる触媒を有し、当該触媒燃焼反応により生成する熱で、前記燃料電池に向かう冷媒を暖めて前記燃料電池を暖機する燃焼手段と、前記反応ガス供給手段から前記燃料電池および前記燃焼手段に供給される反応ガスの流量を調節する流量調節手段と、前記流量調節手段を制御し、前記燃料電池の発電および前記燃焼手段の運転を制御する制御手段と、電力を蓄える蓄電装置と、を備え、前記反応ガス供給手段は、前記蓄電装置および前記燃料電池の少なくとも1つを電源とするようになっており、前記制御手段は、前記反応ガス供給手段から前記燃焼手段のみに反応ガスを供給し、当該燃焼手段のみを単独で運転する単独運転モードと、前記反応ガス供給手段から前記燃焼手段および前記燃料電池にそれぞれ反応ガスを供給し、前記燃焼手段の運転と前記燃料電池の発電とを並行させる並行運転モードと、を有し、前記単独運転モード時に、前記蓄電装置の充電率が所定値以下になった場合、当該単独運転モードから前記並行運転モードに移行させるようになっており、前記燃焼手段を、前記蓄電装置および前記燃料電池の少なくとも1つを電源として作動させることを特徴とする。
この燃料電池システムによれば、反応ガス供給手段に対して、燃料電池および燃焼手段がそれぞれ並列に接続されており、燃焼手段の触媒は、反応ガス供給手段から供給される反応ガスのみによって触媒燃焼反応するので、従来のように燃料電池で生成された生成水に触媒が晒されることがなくなり、生成水で触媒が濡れるのを阻止することができる。したがって、触媒反応面積を確保することができ、供給される反応ガスで好適な触媒燃焼反応を得ることができる。
また、触媒が生成水に晒されることがないので、燃焼手段における触媒温度の低下を生じることがなくなり、好適な触媒温度が維持されて、生成される熱で冷媒を効果的に暖めることができる。したがって、燃料電池の暖機を速やかに完了することができる。
また、反応ガス供給手段に対して、燃料電池および燃焼手段がそれぞれ並列に接続されているので、燃焼手段に供給される反応ガスは、反応ガス供給手段から直接に燃焼手段に対して供給されることとなる。したがって、燃焼手段に供給される反応ガスが燃料電池を経由することがなく、これによって、燃料電池を構成する電解質膜等が乾燥するのを防止することができる。
また、単独運転モードでは、反応ガス供給手段から燃焼手段にのみ反応ガスが供給され、燃焼手段のみが単独で運転されることとなるので、予備的段階で効果的に燃料電池を暖めることができる。
また、並行運転モードでは、反応ガス供給手段から燃焼手段および燃料電池にそれぞれ反応ガスが供給され、燃焼手段の運転と燃料電池の発電とが並行して行われるので、燃焼手段による燃料電池の暖機と燃料電池の発電に伴う自己発熱とにより、燃料電池を早期に昇温することが可能となる。したがって、燃料電池の暖機に要する時間が短縮されることとなり、燃料電池の暖機を速やかに行うことができる。
また、前記単独運転モードの後、前記並行運転モードに移行させるので、例えば、システムが低温環境下(例えば0℃未満)で起動される場合等に、単独運転モードによる燃焼手段によって生成した熱で燃料電池を前もって暖機しておいてから、並行運転モードに移行させることが可能となり、燃料電池が低温環境下で発電する状況を回避することができる。つまり、低温環境下において、システム起動時から燃料電池を連動して発電させたときに生じる虞のある燃料電池の劣化を、未然に回避することができる。
また、単独運転モードで、蓄電装置の充電率が所定値以下になると、単独運転モードから並行運転モードに切り換えられるので、電力不足によって燃焼手段が使用できなくなるのを未然に防止することができ、蓄電装置の電力および燃料電池の発電による電力の少なくとも一方の電力で暖機を継続することができる。この場合において、燃料電池の発電電力を基に充電すれば、蓄電装置の暖機も可能となる。
また、本発明の燃料電池システムは、前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御手段は、前記単独運転モード時に、前記温度検出手段の検出する前記燃料電池の温度が、所定温度以上となった場合、当該単独運転モードから前記並行運転モードに移行させる構成とするのがよい。
この燃料電池システムによれば、燃料電池の温度が所定温度(例えば、自己発電可能な温度や発電を開始しても燃料電池が劣化しない温度)以上となった場合に、制御手段により単独運転モードから並行運転モードに移行、つまり、切り換えられるので、燃焼手段による燃料電池の暖機と燃料電池による自己発熱により、燃料電池を早期に昇温することが可能となる。したがって、燃料電池の暖機に要する時間が短縮されることとなり、燃料電池の暖機を速やかに行うことができる。
また、本発明の燃料電池システムは、前記反応ガスは水素と空気とを混合して生成され、前記制御手段は、前記単独運転モード時に、前記燃焼手段内の結露水等が押出されるように前記燃焼手段に空気を先行して供給し、その後、水素を供給して前記燃焼手段に反応ガスが供給されるように前記流量調節手段を制御する構成とするのがよい。
本発明によれば、反応ガスを触媒燃焼反応させる触媒を有する燃料電池システムにおいて、暖機を速やかに完了することができる燃料電池システムが得られる。
以下、本発明の一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
≪燃料電池システムの構成≫
図1に示す本実施形態に係る燃料電池システム1は、図示しない燃料電池車(移動体)に搭載されている。燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス)を給排するカソード系と、燃料電池スタック10の発電電力を消費等する電力消費系と、燃料電池スタック10を経由するように冷媒を通流させる冷媒通流系(冷媒通流手段)と、循環する冷媒を加熱する冷媒加熱系と、IG81(イグニッション)と、これらを電子制御するECU90(Electronic Control Unit、電子制御装置)と、を備えている。
また、燃料電池スタック10と、冷媒加熱系の後記する触媒燃焼器60とは、水素タンク21(燃料ガス供給手段)およびカソード系の後記するコンプレッサ31(酸化剤ガス供給手段)に対して並列で配置されている。そして、反応ガス供給手段としての水素タンク21からの水素、およびコンプレッサ31からの空気が、燃料電池スタック10および触媒燃焼器60に対して適宜に振り分けられて供給される(後記する単独運転モードでは、触媒燃焼器60にのみ供給される)ようになっている。
<燃料電池スタック>
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400枚)の固体高分子型の単セルが積層して構成されたスタックであり、複数の単セルは直列で接続されている。単セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、これを挟む2枚の導電性を有するセパレータと、を備えている。MEAは、1価の陽イオン交換膜等からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノード及びカソード(電極)とを備えている。
アノード及びカソードは、カーボンペーパ等の導電性を有する多孔質体から主に構成されると共に、アノード及びカソードにおける電極反応を生じさせるための触媒(Pt、Ru等)を含んでいる。
各セパレータには、各MEAの全面に水素又は空気を供給するための溝や、全単セルに水素又は空気を給排するための貫通孔が形成されており、これら溝及び貫通孔がアノード流路11(燃料ガス流路)、カソード流路12(酸化剤ガス流路)として機能している。
そして、アノード流路11を介して各アノードに水素が供給され、カソード流路12を介して各カソードに空気が供給されると、電極反応が起こり、各単セルで電位差(OCV(Open Circuit Voltage)、開回路電圧)が発生するようになっている。次いで、OCVが所定OCV以上となった状態で、発電要求があり、後記するコンタクタ43がONされ、VCU42が制御され、電流が取り出されると、燃料電池スタック10が発電するようになっている。
また、各セパレータには、単セルを適宜に冷却するために冷媒が通流する溝や貫通孔が形成されており、これら溝及び貫通孔が、燃料電池スタック10の冷媒流路13として機能している。
<アノード系>
アノード系は、水素タンク21と、常閉型の遮断弁22とを備えている。
水素タンク21は、配管21a、遮断弁22、配管22aを介して、アノード流路11の入口に接続されている。そして、ECU90からの指令によって遮断弁22が開かれると、水素が、水素タンク21から遮断弁22等を通って、アノード流路11に供給されるようになっている。
アノード流路11の出口は、配管22bを介して、後記する希釈器32に接続されている。そして、アノード流路11から排出された未消費の水素を含むアノードオフガスが、希釈器32に排出されるようになっている。
ここで、配管21aには、分岐された配管71aが接続されており、この配管71aは、後記する触媒燃焼器60に通じている。
<カソード系>
カソード系は、コンプレッサ31と、希釈器32とを備えている。
コンプレッサ31は、配管31aを介して、カソード流路12の入口に接続されている。そして、コンプレッサ31は、ECU90の指令に従って作動すると、酸素を含む空気を取り込み、カソード流路12に供給するようになっている。
なお、配管31aには、カソード流路12に向かう空気を加湿する加湿器(図示しない)が設けられている。
カソード流路12の出口は、配管32aを介して、希釈器32に接続されている。そして、カソード流路12から排出されたカソードオフガスは希釈器32に供給されるようになっている。
希釈器32は、アノード系からのアノードオフガスと、カソード流路12からのカソードオフガスとを混合し、アノードオフガス中の水素を希釈する機器であり、これらガスを混合し、水素を希釈するための希釈空間を備えている。そして、希釈された後のガスは、配管32bを通って、車外(外部)に排出されるようになっている。
なお、システム起動時において、燃料電池スタック10の暖機中(後記する単独運転モード中)は、燃料電池スタック10からアノードオフガスは排出されず、コンプレッサ31からの空気は、カソード流路12、希釈器33を通って、配管33bから車外に排出されるようになっている。
ここで、配管31aには、分岐された配管72aが接続されており、この配管72aは、後記する触媒燃焼器60に通じている。
<電力消費系>
電力消費系は、燃料電池スタック10の発電電力を消費等する系であって、燃料電池自動車の動力源となる走行モータ41と、VCU42(Voltage Control Unit)と、コンタクタ43と、蓄電装置としての高圧バッテリ44とを備えている。
走行モータ41は、燃料電池自動車の動力源となる外部負荷である。
VCU42は、燃料電池スタック10の出力電力(電流、電圧)を制御する機器であって、DC/DCチョッパ等を備えている。コンタクタ43は、燃料電池スタック10とVCU42および走行モータ41との電気的接続をON/OFFするスイッチである。走行モータ41は、三相交流電流を発生させるPDU(Power Drive Unit、図示しない)、VCU42、コンタクタ43を順に介して、燃料電池スタック10の出力端子に接続されている。
そして、ECU90がコンタクタ43をONした状態で、図示しないアクセルペダル等からの発電要求に応じてVCU42を制御すると、燃料電池スタック10から電流が取り出され、燃料電池スタック10が発電し、走行モータ41が回転するようになっている。一方、コンタクタ43がOFFされている場合、燃料電池スタック10から電流が取り出されないので、燃料電池スタック10が発電することはない。
高圧バッテリ44は、リチウムイオン型の二次電池から構成され、燃料電池スタック10の余剰電力を充電したり、走行モータ41からの回生電力を蓄えたり、燃料電池スタック10の発電電力が低い場合、その充電電力を放電し燃料電池スタック10の負荷変動が少なくなるように補助するものである。
高圧バッテリ44には、高圧バッテリ44のSOC(State Of Charge、充電率)を検出する残量検出器44aが高圧バッテリ44の適所に設けられている。そして、残量検出器44aは、検出したSOCをECU90に出力するようになっている。検出したSOCは、ECU90による後記する触媒燃焼器60のみを単独で運転する単独運転モードから、触媒燃焼器60の運転と燃料電池スタック10の発電とを並行させる並行運転モードに移行させる制御をECU90が行う際の信号としてECU90に入力される。
なお、電力消費系には、その他、高圧バッテリ44に充放電される電力を適宜に昇降圧するDC/DCコンバータ等が設けられている。
また、コンプレッサ31、ポンプ53等も電力消費系に含まれ、高圧バッテリ44および燃料電池スタック10の少なくとも1つを電源として作動するようになっている。
本実施形態では、後記するように触媒燃焼器60のみを単独で運転する単独運転モードで暖機が行われる場合に、高圧バッテリ44の放電によってコンプレッサ31やポンプ53等がECU90の制御により作動されるようになっている。
<冷媒循環系>
冷媒循環系は、燃料電池スタック10の冷媒流路13を経由するように、エチレングリコール等の冷媒を循環させる系であって、ラジエータ51と、サーモスタット52と、ポンプ53と、三方弁54(切替手段)と、温度センサ55(温度検出手段)とを備えている。
冷媒流路13の出口は、配管52a、サーモスタット52、配管52b、ポンプ53、配管53a、三方弁54、配管54aを介して、冷媒流路13の入口に接続されている。そして、ポンプ53がECU90の指令に従って作動すると、冷媒が循環するようになっている。
三方弁54は、ECU90に制御され、配管53aと、配管54aまたは後記する配管60aとを連通させることができ、循環する冷媒を触媒燃焼器60を経由させるか否かを切り換え可能となっている。なお、システム起動時において、触媒燃焼器60によって燃料電池スタック10を暖機する場合、冷媒が配管53a、60aを通って触媒燃焼器60に向かうように、三方弁54が制御される。
なお、循環する冷媒の触媒燃焼器60の経由/迂回を切替可能であれば、三方弁54に限定されず、例えば、配管54a、60aにそれぞれ開閉弁を設け、これらを適宜に開閉制御するように構成してもよい。
温度センサ55は、配管52aに設けられており、燃料電池スタック10から排出される冷媒の温度を燃料電池スタック10の温度Twとして検出するようになっている。すなわち、温度Twは、燃料電池スタック10の温度と略等しいものとしている。このため、温度センサ55は、冷媒流路13の出口の近傍(配管52aの上流側)に配置することが望ましい。温度センサ55は、温度TwをECU90に送出するようになっている。
なお、サーモスタット52は、冷媒の温度が所定温度以上である場合に開くように構成されている。そして、サーモスタット52が開くと、冷媒がポンプ53から配管51aを通じてラジエータ51に導入され、このラジエータ51で冷却された後、配管51b、52bに戻るようになっている。
<冷媒加熱系>
冷媒加熱系は、システム起動時に、循環する冷媒を介して燃料電池スタック10を暖機(加熱)する系であって、常閉型の水素導入弁71と、常閉型の空気導入弁72と、触媒燃焼器60とを備えている。
空気導入弁72の上流側は配管72aを介して配管31aに接続されており、空気導入弁72の下流側は配管72bを介して、触媒燃焼器60の触媒燃焼部61に接続されている。そして、コンプレッサ31の作動中、空気導入弁72がECU90によって開かれると、酸素を含む空気(酸化剤ガス)が触媒燃焼部61に向かうようになっている。
水素導入弁71の上流側は配管71aを介して配管21aに接続されており、水素導入弁71の下流側は配管71bを介して配管72bに接続されている。そして、ECU90からの指令によって水素導入弁71が開かれると、水素(燃料ガス)が配管72b内に吐出され、配管72bを通る空気と混合し、反応ガス(水素と空気が混合したもの、燃料混合ガス)を生成するようになっている。次いで、この生成した反応ガスは、触媒燃焼部61に導入されるようになっている。
つまり、本実施形態において、触媒燃焼器60と燃料電池スタック10とは、水素タンク21(水素源)とコンプレッサ31(空気源)に対して、並列で配置されており、触媒燃焼器60は、水素タンク21から供給される水素およびコンプレッサ31から供給される酸素を含む空気で生成された反応ガスのみによって触媒燃焼反応させるようになっている。
[触媒燃焼器]
触媒燃焼器60は、反応ガスを触媒下で触媒燃焼反応させ、その燃焼熱によって、冷媒を介して燃料電池スタック10を暖機(加熱)する機器である。
そして、熱交換後の燃焼ガス(排気ガス)は、配管52cを通って、燃料電池スタック10からのオフガス(アノードオフガス、カソードオフガス)が通流する配管32bに排出されるようになっている。これにより、触媒燃焼器60から仮に未燃焼の水素が排出されたとしても、この水素が燃料電池スタック10のオフガスで希釈された後、車外に排出されるようになっている。
触媒燃焼器60は、高温の燃焼ガスを生成する触媒燃焼部61と、燃焼ガスと冷媒とを熱交換させる熱交換部62とを備えている。
触媒燃焼部61には、触媒本体64が配置されている。触媒本体64は、コージエライト等から形成され、反応ガスが導入される複数の細孔を有するハニカム体と、前記各細孔を取り囲む壁面に担持された触媒(Pt、Ru等)と、を備えている。
そして、反応ガスが配管72bから触媒本体64に導入されると、水素および酸素が触媒下で触媒燃焼し、燃焼熱を帯びた高温の燃焼ガスを生成し、この高温の燃焼ガスが熱交換部62に供給されるようになっている。
また、触媒燃焼部61には、システム起動時において、触媒の暖機を促進するため適宜に作動するグロープラグ(図示しない)が設けられている。
また、熱交換部62には、配管60aからの冷媒が通流する熱交換部65が配置されている。そして、高温の燃焼ガスは、熱交換部65を通流する冷媒を加熱した後、配管52cに排出されるようになっている。
<IG>
IG81は、燃料電池自動車および燃料電池システム1の起動スイッチであり、図示しない運転席周りに設けられている。また、IG81はECU90と接続されており、ECU90はIG81のON/OFF信号を検知するようになっている。
<ECU>
ECU90は、燃料電池システム1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、各種機器を制御し、各種処理を実行するようになっている。
ECU90は、遮断弁22、コンプレッサ31等を適宜に制御して、燃料電池スタック10に水素および空気を供給し、そして、コンタクタ43およびVCU42を制御して、燃料電池スタック10の発電を制御する機能を備えている。
また、ECU90(暖機必要判定手段)は、燃料電池システム1の起動時に、燃料電池スタック10の温度Twと、暖機必要温度T1(例えば60℃以下)とに基づいて、触媒燃焼器60を使用し、燃料電池スタック10を暖機する必要あるか否か判定する機能を備えている。暖機必要温度T1は、燃料電池スタック10内が凍結している虞がある場合を含めてと予測される温度であり、MEAの材質等に関係し、事前試験によって求められる。
ECU90は、燃料電池システム1を、触媒燃焼器60のみを単独で運転する単独運転モード、触媒燃焼器60の運転および燃料電池スタック10の発電とを並行させる並行運転モードで運転させる機能を有している。
そして、ECU90は、単独運転モードの後、並行運転モードに移行させるように制御するようになっている。つまり、並行運転モードの前に単独運転モードで暖機を行うように制御する。
[単独運転モード]
単独運転モードは、触媒燃焼器60のみに反応ガスを供給し、触媒燃焼器60のみを単独で運転するモードであり、燃料電池スタック10の温度Twが単独運転必要温度T2(例えば、0℃未満の温度)であるときに、触媒燃焼器60のみを単独で運転して燃料電池スタック10を昇温させるモードである。
単独運転必要温度T2は、システム起動時において、燃料電池スタック10内が凍結している虞があると予測される温度であり、MEAの材質等に関係し、事前試験によって求められる。
なお、温度Twが運転切換温度T3(例えば、0℃)であるときに、ECU90の制御により、単独運転モードから後記する並行運転モードに切り換えられる。
また、残量検出器44aにより検出される高圧バッテリ44のSOCが所定残量Vt(%)以下となったときに、ECU90の制御により、単独運転モードから後記する並行運転モードに切り換えられる。
所定残量Vt(%)は、単独運転モードでコンプレッサ31等の作動中に、高圧バッテリ44の残量がゼロ、つまり、バッテリ切れになって燃料電池スタック10の発電に支障を来たさないように、燃料電池スタック10の発電を可能にする最小の残量(例えば、数十%残)に設定される。
[並行運転モード]
並行運転モードは、触媒燃焼器60および燃料電池スタック10にそれぞれ反応ガスを供給し、触媒燃焼器60の運転と燃料電池スタック10の発電とを並行させるモードである。そして、並行運転モードは、温度Twが並行運転必要温度T4(例えば、0℃〜60℃の範囲の温度)であるときに、触媒燃焼器60の運転および燃料電池スタック10の発電を並行して行うことにより燃料電池スタック10を昇温させるようになっている。
並行運転必要温度T4は、システム起動時または単独運転モードによる触媒燃焼器60の運転時において、燃料電池スタック10内が解氷したと予測される温度であり、自己発電可能な温度や発電を開始しても燃料電池が劣化しない温度である。この並行運転必要温度T4は、MEAの材質等に関係し、事前試験によって求められる。
そして、単独運転モード時に検出された温度Twが運転切換温度T3(例えば、0℃)であるとき、または、単独運転モード時に、残量検出器44aにより検出される高圧バッテリ44のSOCが所定残量Vt(%)以下となったときに、ECU90の制御により、単独運転モードから後記する並行運転モードに切り換えられる。
≪燃料電池システムの動作≫
次に、図2を参照して、燃料電池システム1の動作を、ECU90に設定されたプログラム(フローチャート)の流れとともに説明する。
なお、IG81がONされると、図2のフローチャートに示す処理がスタートする。また、IG81のON前(初期状態)において、コンプレッサ31およびポンプ53は停止している。遮断弁22、水素導入弁71、空気導入弁72は閉じており、コンタクタ43はOFFされている。
ステップS101において、ECU90は、温度センサ55で検出された燃料電池スタック10の温度Twに基づいて、触媒燃焼器60を単独で使用(運転)する単独運転モードを選択する必要があるか否かを判定する。
具体的に、ECU90は、燃料電池スタック10の温度Twが単独運転必要温度T2、例えば、0℃未満である場合、触媒燃焼器60を単独運転モードで運転して暖機する必要があると判定する。
なお、前記の他に例えば、システム停止中に低温環境下(0℃未満)に晒されたことにより、燃料電池スタック10が掃気されている場合、システム起動時における燃料電池スタック10の温度Twに関わらず、触媒燃焼器60を単独運転モードで運転して暖機する必要があると判定する構成としてもよい。
単独運転モードで触媒燃焼器60を運転する必要があると判定した場合(S101・Yes)、ECU90の処理は、ステップS102に進む。一方、単独運転モードで触媒燃焼器60を運転する必要がないと判定した場合(S101・No)、ECU90の処理は、ステップS110に進む。
<単独運転モード>
ステップS102において、ECU90は、触媒燃焼器60への反応ガスの供給を開始する。すなわち、ECU90は、触媒燃焼器60を単独運転モードで運転、つまり、触媒燃焼器60のみに反応ガスを供給して触媒燃焼器60の運転を開始する。
具体的に、ECU90は、空気導入弁72を開き、コンプレッサ31を作動させるとともに、水素導入弁71を開き、水素を吐出させる。これにより、水素および空気が混合されて反応ガスが生成され、この反応ガスが触媒燃焼器60の触媒本体64に供給される。
なお、暖機の初期段階では、触媒本体64に内蔵される図示しないグロープラグ等によって、触媒燃焼反応を促進させることが好ましい。
なお、触媒燃焼器60に空気を先行して供給し、触媒燃焼器60内の結露水等を押し出し、その後、水素を吐出して反応ガスを供給するようにすることが望ましい(図4参照)。
そうすると、反応ガス中の水素と酸素とが、触媒本体64の触媒下で触媒燃焼反応し、燃焼熱を帯びた燃焼ガスを生成する。そして、この燃焼熱により触媒本体64が暖機され、触媒温度が上昇し始める。なお、燃焼熱を帯びた高温の燃焼ガスは、後段の熱交換部65に供給される。
ここで、反応ガスの流量、水素と空気との混合比は、事前試験等に基づいて、例えば、多量の水素が触媒本体64を通り抜けないように設定される。
ECU90は、これに並行して、ポンプ53を作動させる。そうすると、冷媒が、熱交換部65および燃料電池スタック10経由で循環する。これによって、熱交換部65を通流することで高温の燃焼ガスにより暖められた冷媒が、燃料電池スタック10を暖め始め、燃料電池スタック10の温度Twが上昇し始める。
単独運転モードで、コンプレッサ31およびポンプ53は、燃料電池スタック10が発電してないので、高圧バッテリ44を電源としている。
<運転モード切換判定>
ステップS103、S104において、ECU90は、単独運転モードから並行運転モードに切り換える必要があるか否かを判定する。
まず、ステップS103において、ECU90は、高圧バッテリ44のSOCに基づいて単独運転モードから並行運転モードに切り換える必要があるか否かを判定する。
具体的に、ECU90は、残量検出器44aにより検出される高圧バッテリ44のSOCが所定残量Vt(%)以下である場合に、単独運転モードから並行運転モードに切り換える必要があると判定する。
単独運転モードから並行運転モードに切り換える必要があると判定した場合(S103・Yes)、ECU90の処理は、ステップS105に進む。一方、単独運転モードから並行運転モードに切り換える必要がないと判定した場合(S103・No)、ステップS104に進む。
ステップS104において、ECU90は、燃料電池スタック10の温度Twに基づいて単独運転モードから並行運転モードに切り換えて並行運転モードでさらに暖機を促進させた方がよいか否かを判定する。
具体的に、ECU90は、燃料電池スタック10の温度Twが並行運転必要温度T4(第1閾値)以上(例えば、0℃以上)である場合に、単独運転モードから並行運転モードに切り換えて暖機を促進させた方がよいと判定する。
燃料電池スタック10の温度Twが並行運転必要温度T4(第1閾値)以上である場合(S104・Yes)、ECU90の処理は、ステップS105に進む。一方、燃料電池スタック10の温度Twが並行運転必要温度T4(第1閾値)未満である場合(S104・No)、ステップS103の判定に戻る。
<並行運転モード>
ステップS105において、ECU90は、前記した触媒燃焼器60への反応ガスの供給とともに、燃料電池スタック10に対する反応ガスの供給を開始する。すなわち、ECU90は、触媒燃焼器60の運転および燃料電池スタック10の発電を並行して開始する。
具体的に、ECU90は、遮断弁22を開き、燃料電池スタック10に向けて水素を吐出させる。これにより、水素および空気が燃料電池スタック10のアノード流路11、カソード流路12にそれぞれ送る。そして、ECU90は、VCU42を制御し、燃料電池スタック10の発電を開始させる。
なお、並行運転モード時には、空気不足を防止するためにポンプ53の回転速度を上昇させる。
また、前記したステップS103において、高圧バッテリ44のSOCに基づき、単独運転モードから並行運転モードに切り換えられた並行運転モードでは、燃料電池スタック10の発電による電力で、コンプレッサ31およびポンプ53を駆動するように制御される。この場合において、燃料電池スタック10の発電による電力で高圧バッテリ44を充電すれば、高圧バッテリ44の暖機も可能となる。
なお、並行運転モードに移行後、高圧バッテリ44の充電が進み、SOCが回復した場合、並行運転モード中において再度、高圧バッテリ44を電源としてもよい。
また、前記したステップS104において、燃料電池スタック10の温度Twに基づき、単独運転モードから並行運転モードに切り換えられた並行運転モードでは、燃料電池スタック10の発電による電力および高圧バッテリ44の電力の少なくとも1つによって、コンプレッサ31およびポンプ53を駆動するように制御される。この場合、高圧バッテリ44で駆動するように制御される場合には、高圧バッテリ44のSOCを監視しながら駆動が行われ、高圧バッテリ44のSOCが仮に所定残量Vt(%)以下となったときには、燃料電池スタック10の発電による電力に切り換えられて駆動が継続される。
ここで、並行運転モードで燃料電池スタック10を運転する際に、燃料電池スタック10に供給する反応ガスの供給量は、燃料電池スタック10の温度Twと、並行運転モード時の燃料電池スタック10の出力(電圧、電流)に対応した流量で、反応ガスを供給するようにする(図3参照)。つまり、温度が低いときには発電性能も低いので、反応ガスの供給量を減らすようにする。
このようにすれば、反応ガスが過剰に燃料電池スタック10に供給されることによる燃料電池スタック10の電圧の上昇が抑えられる。その結果、燃料電池スタック10の劣化が防止される。
仮に、このような制御を行わないとすると、低温状態(0℃〜60℃)では、十分に発電性能を確保することができないために、並行運転モードによる燃料電池スタック10の発電開始時から反応ガスを多く供給してしまうと、電圧が必要以上に上昇してしまい、燃料電池スタック10の劣化を生じる虞がある。
これに対して、本実施形態では、ECU90の前記制御により、燃料電池スタック10から取り出し可能な電力に応じた量だけ反応ガスが供給されるので、電圧の上昇による燃料電池スタック10の劣化を阻止することができる。
なお、燃料電池スタック10の発電性能が十分に確保される(低温状態を脱した状態、つまり、暖機完了となる)と、このような反応ガスの供給量を制限した制御が終了する。
ステップS106において、ECU90は、燃料電池スタック10の温度Twに基づいて単並行運転モードを終了する必要があるか否かを判定する。
具体的に、ECU90は、温度センサ55から検出される燃料電池スタック10の温度Twが並行運転終了温度T5(第2閾値)以上(例えば、60℃を超える温度)である場合に、並行運転モードを終了する必要があると判定する。
並行運転終了温度T5は、並行運転モードによる触媒燃焼器60の運転と燃料電池スタック10の発電とによる並行運転で燃料電池スタック10が暖機され、燃料電池スタック10の発電性能が十分に確保されるまでに燃料電池スタック10が暖機された温度である。
並行運転モードを終了する必要があると判定した場合(S106・Yes)、ECU90の処理は、ステップS107に進む。一方、並行運転モードを終了する必要がないと判定した場合(S106・No)、ステップS106の判定を繰り返す。
<発電モード>
ステップS107において、ECU90は、触媒燃焼器60への反応ガスの供給を終了し、触媒燃焼器60の運転を停止する。
具体的に、ECU90は、水素導入弁71を閉じるとともに空気導入弁72を閉じ、反応ガスの供給を終了する。これにより、触媒燃焼器60の燃焼が終了し、触媒燃焼器60を使用した暖機が終了する。
なお、空気導入弁72は、遅延タイマー等によって水素導入弁71の閉弁よりも遅れて閉弁させてもよい。このように制御することによって、触媒燃焼器60等に仮に水素が残存していたとしてもこれを、供給される空気で希釈することができる。
また、ポンプ53は、触媒燃焼器60の運転停止後も触媒燃焼器60を冷却する目的で所定時間運転させてもよい。
また、前記したステップS101において、単独運転モードで触媒燃焼器60を運転する必要がないと判定した場合(S101・No)、ECU90の処理は、ステップS110に進み、平行運転モードで触媒燃焼器60の運転と燃料電池スタック10の発電とを行う必要があるか否かを判定する。
具体的に、ECU90は、燃料電池スタック10の温度Twが並行運転必要温度T4(例えば、0℃〜60℃の範囲の温度)以下である場合、並行運転モードで暖機運転する必要があると判定する。つまり、燃料電池スタック10内が凍結している虞はないと予測されるものの、燃料電池スタック10の暖機が必要であるとされて、並行運転モードで暖機運転される。
並行運転モードで触媒燃焼器60の運転と燃料電池スタック10の発電とを行う必要があると判定した場合(S110・Yes)、ECU90の処理は、前記したステップS105に進む。一方、並行運転モードで触媒燃焼器60の運転と燃料電池スタック10の発電とを行う必要がないと判定した場合(S110・No)、ECU90の処理は、ステップS111に進み、燃料電池スタック10の発電が開始され、ステップS108に進む。
ステップS108において、ECU90は、IG81がOFFされたか否かを判定し、IGがOFFされた場合(ステップS108・Yes)には、ステップS109に進んで燃料電池スタック10の発電が停止される。
また、IGがOFFされていない場合(ステップS108・No)には、ステップS108を繰り返す。
≪燃料電池システムの効果≫
以上説明した本実施形態の燃料電池システム1によれば、水素タンク21およびコンプレッサ31(反応ガス供給手段)に対して、燃料電池スタック10および触媒燃焼器60がそれぞれ並列に接続されており、触媒燃焼器60の触媒は、反応ガス供給手段から供給される反応ガスのみによって触媒燃焼反応するので、従来のように燃料電池で生成された生成水に触媒が晒されることがなくなり、生成水で触媒が濡れるのを阻止することができる。したがって、触媒反応面積を確保することができ、供給される反応ガスで好適な触媒燃焼反応を得ることができる。
また、触媒が生成水に晒されることがないので、触媒燃焼器60における触媒温度の低下を生じることがなくなり、好適な触媒温度が維持されて、生成される熱で冷媒を効果的に暖めることができる。したがって、燃料電池スタック10の暖機を速やかに完了することができる。
また、反応ガス供給手段に対して、燃料電池スタック10および触媒燃焼器60がそれぞれ並列に接続されているので、触媒燃焼器60に供給される反応ガスは、反応ガス供給手段から直接に触媒燃焼器60に対して供給されることとなる。したがって、触媒燃焼器60に供給される反応ガスが燃料電池スタック10を経由することがなく、これによって、燃料電池スタック10が乾燥するのを防止することができる。
また、単独運転モードでは、反応ガス供給手段から触媒燃焼器60にのみ反応ガスが供給され、触媒燃焼器60のみが単独で運転されることとなるので、予備的段階で効果的に燃料電池スタック10を暖めることができる。
また、並行運転モードでは、反応ガス供給手段から触媒燃焼器60および燃料電池スタック10にそれぞれ反応ガスが供給され、触媒燃焼器60の運転と燃料電池スタック10の発電とが並行して行われるので、触媒燃焼器60による燃料電池スタック10の暖機と燃料電池スタック10の発電に伴う自己発熱により、燃料電池スタック10を早期に昇温することが可能となる(図5参照)。したがって、燃料電池スタック10の暖機に要する時間が短縮されることとなり、燃料電池スタック10の暖機を速やかに行うことができる。
また、単独運転モードの後、並行運転モードに移行させるので、例えば、燃料電池システム1が低温環境下(例えば0℃未満)で起動される場合等に、単独運転モードによる触媒燃焼器60によって生成した熱で燃料電池スタック10を前もって暖機しておいてから、並行運転モードに移行させることが可能となり、燃料電池スタック10が低温環境下で発電する状況を回避することができる。つまり、低音環境下において、システム起動時から燃料電池スタック10を連動して発電させたときに生じる虞のある燃料電池スタック10の劣化を、未然に回避することができる。
また、単独運転モードで、高圧バッテリ44のSOCが所定残量Vt(%)以下になると、単独運転モードから並行運転モードに切り換えられるので、電力不足によって触媒燃焼器60が使用できなくなるのを未然に防止することができ、高圧バッテリ44の電力および燃料電池スタック10の発電による電力の少なくとも一方の電力で暖機を継続することができる。この場合において、燃料電池スタック10の発電電力を基に充電すれば、高圧バッテリ44の暖機も可能となる。
また、燃料電池スタック10の温度Twが並行運転必要温度T4(第1閾値)以上である場合に、単独運転モードから並行運転モードに切り換えられるので、触媒燃焼器60による燃料電池スタック10の暖機と燃料電池スタック10による自己発熱により、燃料電池スタック10を早期に昇温することが可能となる。したがって、燃料電池スタック10の暖機に要する時間が短縮されることとなり、燃料電池スタック10の暖機を速やかに行うことができる。
≪燃料電池システムの一動作例≫
次に、燃料電池システム1の動作例を図4を参照して説明する。ここでは、燃料電池スタック10の温度がシステム起動時に0℃未満である場合を想定して説明する。
燃料電池スタック10の温度がシステム起動時に0℃未満であるので、システム起動後、触媒燃焼器60を単独で運転する単独運転モードが必要であると判定され(S101・Yes)、高圧バッテリ44の電力によりコンプレッサ31が運転され、触媒燃焼器60に空気が供給される。続いて、触媒燃焼器60に水素が供給され、生成された反応ガスで触媒燃焼器60が運転されて暖機が開始される(S102)。
暖機開始後、高圧バッテリ44のSOCの残量が所定残量Vt(%)以下になる(S103・No)と、単独運転モードから並行運転モードに切り換えられ、必要量の水素および空気が燃料電池スタックに供給されて燃料電池スタック10の発電が開始される(S103)。なお、このとき、高圧バッテリ44のSOCの残量が所定残量Vt(%)以上である場合でも、燃料電池スタック10の温度Twが第1閾値以上(並行運転必要温度T4)である場合には、単独運転モードから並行運転モードに切り換えられる(S104・Yes)。
燃料電池スタック10の発電開始に伴い、高圧バッテリ44のSOCが回復し、また、燃料電池スタック10が昇温する。そして、燃料電池スタック10の温度Twが第2閾値(並行運転終了温度T5)以上になる(S106・Yes)と、並行運転モードが終了して暖機が完了する。
前記した実施形態では、温度センサ55を配管52aに設けたが、これに限定されるものではなく、燃料電池スタック10の筐体等に設けてもよい。また、配管22b、配管32aに設けて、燃料電池スタック10を通過した反応ガスの温度を燃料電池スタック10の温度としてもよい。
また、前記した実施形態では、触媒燃焼器60の触媒燃焼部61と熱交換部62とを一体として設けたが別体としてもよい。
前記した実施形態では、燃料電池システム1が燃料電池自動車に搭載された場合を例示したが、その他に例えば、自動二輪車、列車、船舶に搭載された燃料電池システムでもよい。また、家庭用の据え置き型の燃料電池システムや、給湯システムに組み込まれた燃料電池システムに、本発明を適用してもよい。
本実施形態に係る燃料電池システムの構成を示す図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。 燃料電池スタックのIV特性を示す図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの一動作例を示すタイムチャートである。 燃料電池スタックの効果を示したグラフである。
符号の説明
1 燃料電池システム
10 燃料電池スタック
21 水素タンク(反応ガス供給手段)
31 コンプレッサ(反応ガス供給手段)
44 高圧バッテリ(蓄電装置)
44a 残量検出器
53 ポンプ(冷媒通流手段)
55 温度センサ(温度検出手段)
60 触媒燃焼器(燃焼手段)
61 触媒燃焼部
62 熱交換部
64 触媒本体
65 熱交換部
71 水素導入弁(流量調節手段)
72 空気導入弁(流量調節手段)
90 ECU(制御手段)
T1 暖機必要温度
T2 単独運転必要温度
T3 運転切換温度
T4 並行運転必要温度
T5 並行運転終了温度
Tw 燃料電池スタックの温度

Claims (3)

  1. 反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
    前記反応ガス供給手段から供給される反応ガスで発電する燃料電池と、
    前記燃料電池を経由するように冷媒を通流させる冷媒通流手段と、
    前記反応ガス供給手段から供給される反応ガスのみによって触媒燃焼反応させる触媒を有し、当該触媒燃焼反応により生成する熱で、前記燃料電池に向かう冷媒を暖めて前記燃料電池を暖機する燃焼手段と、
    前記反応ガス供給手段から前記燃料電池および前記燃焼手段に供給される反応ガスの流量を調節する流量調節手段と、
    前記流量調節手段を制御し、前記燃料電池の発電および前記燃焼手段の運転を制御する制御手段と、
    電力を蓄える蓄電装置と、を備え、
    前記反応ガス供給手段は、前記蓄電装置および前記燃料電池の少なくとも1つを電源とするようになっており、
    前記制御手段は、
    前記反応ガス供給手段から前記燃焼手段のみに反応ガスを供給し、当該燃焼手段のみを単独で運転する単独運転モードと、
    前記反応ガス供給手段から前記燃焼手段および前記燃料電池にそれぞれ反応ガスを供給し、前記燃焼手段の運転と前記燃料電池の発電とを並行させる並行運転モードと、を有し、
    前記単独運転モード時に、前記蓄電装置の充電率が所定値以下になった場合、当該単独運転モードから前記並行運転モードに移行させるようになっており、
    前記燃焼手段を、前記蓄電装置および前記燃料電池の少なくとも1つを電源として作動させる
    ことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記単独運転モード時に、前記温度検出手段の検出する前記燃料電池の温度が、所定温度以上となった場合、当該単独運転モードから前記並行運転モードに移行させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記反応ガスは水素と空気とを混合して生成され、
    前記制御手段は、
    前記単独運転モード時に、前記燃焼手段内の結露水等が押出されるように前記燃焼手段に空気を先行して供給し、その後、水素を供給して前記燃焼手段に反応ガスが供給されるように前記流量調節手段を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
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