JP5073794B2 - 喪中用色付きインクジェット用光沢記録シート及びそれを用いた葉書 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット印字適性に優れたインクジェット用記録シートの中でも、特に喪中用に特化したものに関し、より詳しくは、インクジェット用記録シートのインクジェット記録面と裏面との色調が無彩色系であり喪中用として適切な色調と風合いとをもち、かつ、インクジェット記録面と裏面との色調及び光沢度に差があり容易に目視によって識別可能であり、かつ、裏面において毛筆による筆記性に優れ、更に、裏面のオフセット印刷を行ったときに、印刷版の汚れが少なく、実用上、耐刷力が十分な性質を有するインクジェット用光沢記録シートに関する。
近年、インクジェット記録方式が一般大衆へ普及するに至る。それに伴い、喪中用に特化したインクジェット用記録シートへの要求が高まっている。
喪中用葉書用紙などの喪中用シートは、一般的には原紙を着色しており、目視にて淡い墨色を有した商品が多い。これは、葬儀の熨斗袋に書かれる「御霊前」の文字が、遺族の悲しみが早く薄まるようにとの願いを込めて、又はあまりの悲しみに涙で墨も薄まるという意味を込めて薄墨によって書くことと同様の意味をもつ。このように、喪中用葉書などでも、薄墨の色に近い灰色又は銀色の枠で囲ったデザインのものが使われている。喪中用葉書は、通信面においては、無機顔料を含んだ塗料が塗工されているものは殆どなく、オフセット印刷によって黒文字と淡い色調の花などの絵柄とが印刷されていることが多い。宛名面においては、一般的に郵便番号欄、切手添付個所などの不変情報がオフセット印刷されており、宛名、宛先などの可変情報が毛筆、万年筆、ボールペン又はそれらに準ずるものによって直筆される場合が多い。
一方、一般的なインクジェット葉書では、通信面においては、可変情報はインクジェットで印字される。宛名面においては、郵便番号欄、切手添付個所などの不変情報は、オフセット印刷されているのが通常であり、宛名、宛先などの可変情報はインクジェットで印字される場合と毛筆、万年筆、ボールペン又はそれらに準ずるものによって直筆される場合とがある。このように、インクジェット葉書用紙には、宛名面において、オフセット印刷適性、インクジェット適性のほかに、ある程度の筆記性を有することが求められる。インクジェット適性と筆記適性とを有するインクジェット記録用紙が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。インクジェット記録面の製造方法及び非インクジェット記録面(非塗工面)の万年筆などの水性インク筆記性を有する記録用紙に関する製造技術は、特許文献1が参考になる。
一般的な喪中用葉書は、既成のイラストデザインが多い。この場合、個性が無く、故人への慈しみ、尊び、思い出の回顧、そして念の残像を感じることが不十分である。最近は、故人に関わる内容のほか、ペットを偲ぶものもあり、白黒のデジタル画像で、故人又は亡くなった動物を印刷するケースもあり、写真画質のハイグレードな印字適性が求められるケースが多々予想される。インクジェット葉書用紙においても、白黒が映え、かつ、明度と光沢度とがある程度抑えられた無彩色の色調で、ハーフトーン部においてもデジタル画像に忠実なパターンと色調と諧調性とを再現できるようなオンデマンド型パーソナルユースのインクジェット葉書用紙の必要性が高まっている。そして、前記経緯から、喪中に関する記録用シートとして、葉書だけでなく、ポスター、垂れ幕などもインクジェット適性が付与されたものは必要性が高く、その中でも写真画質が得られる光沢タイプのものは、更に必要性が高くなっている。
記録媒体への色味付けの効果は様々なものがあるが、低コストで商品の新規性を訴求できる効果が提案されている(例えば、非特許文献1を参照。)。非特許文献1によると、色彩は、電磁波の一部である可視光線が引き起こす主観的な感覚又は知覚である。その理解には、電磁波の物理的変化に人間の心理がどのように変化するかを知る必要がある。色彩には大きく情緒性と識別性との二つの特質がある。色彩はそれぞれ意味が宿っており、状況に応じて、優しい慈しみの心を抱かせることもある。黒又は白といった無彩色は、中国、韓国又は日本において尊ばれ、現在でも民族的な嗜好が存在する。日本において、無彩色のうちでも、黒色は何をイメージするかを調査したところ、「死」、「夜」、「殺人」が多い順列で3番に入るという結果となっている。また、灰色は、「敗北」、「機械」、「不幸」が上位に入っている。比較として、有彩色のいくつかを例に挙げると、赤色は、「熱情」、「勝利」、「野望」、紫色は、「嫉妬」、「怨恨」、「憐れみ」となっている。さらに、来世に存在するであろう個人認識されている霊魂への親近感、尊敬を表すのには、黒色のイメージを鑑みた場合、濃い色よりも淡い色の方が無難であるといえる。また、弔事において、有彩色を採用してしまうと、おくやみの気持ちが十分に表現されず、更に濃い色であった場合には、部屋に置いておくときに、景観を損ね、福祉住環境のデザインとしても不適切なものとなってしまう。また、無彩色であっても、濃い色を採用した場合、故人への尊厳といった微妙な感情の表現を逸脱してしまう可能性もある。したがって、喪中といった深い悲しみや憐れみ、慈しみ、更に尊びを連想させ、表現するに適切な色は灰色などの無彩色系であり、かつ、ある程度の淡い色がより好適であるといえる。また、風合いは、光沢むらがなく、全体的な面質が均質性を有し、光沢度が抑えられたものが慎ましく、好適である。さらに、印字部の光沢度が抑制され、下地と印字部との光沢度差が少ないほうが喪中又は欠礼用途で謹慎感が湧き、好ましい。
特開2005−254501号公報
東京商工会議所編、「カラーコーディネーション」、第4版、東京商工会議所、2002年6月、p.187〜191
特許文献1に記載のインクジェット記録用紙をはじめとする水性インク適性を有するインクジェット用記録シート又はインクジェット記録用葉書は、白色を基調とするものであり、喪中用に適するとはいえない。一方、色が付いているいわゆるカラー記録シート又はカラー葉書は存在するものの、インクジェット適性を付与しているインクジェット用記録シートは僅かである。特に、喪中用として無彩色又はほとんど有彩色が感じられない色調の品性のあるインクジェット用記録シートは未だ開発されていない。
インクジェット用記録シートに色を付ける方法として、着色していないインクジェット用記録シートにオフセット印刷を行い、着色する方法がある。しかし、この方法では、インクジェット記録面にオフセット印刷した場合に、色むらは少ないが普通紙タイプのインクジェット用記録シートに比べ、ブランケット汚れが発生し、更にインクの吸収性を阻害することになるので、インクジェット適性が低下する。
前記の課題を受けて、喪中用又は欠礼用葉書として適切な色調をインクジェット葉書に適用すれば、従来には無かった社会ニーズの一端に応えることができ、一般葉書には無い商品価値を創生することができる。
本発明は、インクジェット記録面でのインクジェットプリンターでの印字の滲みが無く、裏面における毛筆、ボールペンなどによる筆記性及び筆記品位に優れ、オフセット印刷での作業性が改善され、かつ、表裏を目視にて容易に識別可能であり、喪中用に適切な色調を有し、光沢タイプの記録シートでありながら、明度がある程度抑えられた無彩色系の喪中用色付きインクジェット用光沢記録シート及びそれを用いた葉書を提供することを目的とする。
本発明に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートは、木材繊維を主体とした支持体の片面に顔料とバインダーと着色剤とを含有する1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に顔料とバインダーとを含有する光沢発現層がキャストコート法のうちゲル化法によって設けられ、前記支持体の前記インク受容層とは反対面に水溶性高分子又は親水性樹脂とインク定着剤として水溶性高分子電解質とを含有するクリア塗工層が設けられた喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートであって、前記インク受容層は、前記着色剤としてノニオン性の着色顔料だけを含有し、該着色顔料は、ノニオン性の黒系着色顔料を含有し、該黒系着色顔料の含有量が、前記インク受容層中の前記着色剤を除いた顔料の合計含有量100質量部に対して0.050〜0.170質量部であり、前記光沢発現層は、前記顔料として単分散の球状コロイダルシリカを1種類だけ含有し、かつ、前記ゲル化法のゲル化液は、ゲル化剤としてアルカリ土類金属イオンの金属塩を含有し、前記光沢発現層の表面は、JIS P 8142:2005に従って測定した75°における光沢度が60%以上80%未満であり、前記クリア塗工層における前記水溶性高分子又は親水性樹脂の乾燥塗工量は、0.14g/m未満であり、かつ、前記水溶性高分子電解質の乾燥塗工量は、1.38g/m未満であり、前記光沢発現層の表面と前記クリア塗工層の表面とは、JIS P 8150:2004に従って測定した明度指数の差ΔLが−5.0≦ΔL≦−3.0であり、かつ、JIS P 8148:2001に従って測定したISO白色度の差ΔWが−5.0≦ΔW≦−1.0であることを特徴とする。
本発明に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、前記黒系着色顔料は、単独で黒系の色調を有する顔料又は混合した黒系の色調を有する顔料である形態を含む。
本発明に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、前記インク受容層は、前記着色顔料として前記黒系着色顔料とノニオン性の有彩色着色顔料とを含有し、前記有彩色着色顔料の含有量が、前記インク受容層中の前記着色剤を除いた顔料の合計含有量100質量部に対して0.030質量部以下であることが好ましい。墨色以外の色調を有しながら、有彩色がほとんど感じられない喪中用に適した記録シートとすることができる。
本発明に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、前記クリア塗工層は、JIS P 8140:1998に規定する吸水度試験方法において、接触時間を5秒とし、水の代わりにインクジェットインクの水溶性有機溶媒を想定したポリエチレングリコールの30質量%水溶液を用いて求めたコブ吸水度が28g/m以下であることが好ましい。水性又は油性インキの筆記性に優れ、特に優れた毛筆の筆記品位を実現することができる。また、オフセット印刷適性を付与することができる。
本発明に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、前記支持体から分離した表面積が25cmの前記クリア塗工層からなる試験片4枚をオフセット印刷用の湿し水50ml(20℃)に30分間浸漬したときに、その浸漬前後の湿し水の濁度差が1.7Haze未満であることが好ましい。オフセット印刷適性に優れたインクジェット用記録シートとすることができる。
本発明に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、前記光沢発現層の表面は、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」に準じ、光学くし幅2mm入反射角度60°の条件で測定した写像性が30〜50%であることが好ましい。写真画質のハイグレードな印字適性と喪中用として適した印字画像の視覚的な鮮映性を抑制した面感とを両立することができる。
本発明に係る喪中用色付きインクジェット葉書は、本発明に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを用いたことを特徴とする。
本発明は、インクジェット記録面でのインクジェットプリンターでの印字の滲みが無く、裏面における毛筆、ボールペンなどによる筆記性及び筆記品位に優れ、オフセット印刷での作業性が改善され、かつ、表裏を目視にて容易に識別可能であり、喪中用に適切な色調を有し、光沢タイプの記録シートでありながら、明度がある程度抑えられた無彩色系の喪中用色付きインクジェット用光沢記録シート及びそれを用いた葉書を提供することができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートは、木材繊維を主体とした支持体の片面に顔料とバインダーと着色剤とを含有する1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に顔料とバインダーとを含有する光沢発現層がキャストコート法のうちゲル化法によって設けられ、前記支持体の前記インク受容層とは反対面に水溶性高分子又は親水性樹脂とインク定着剤として水溶性高分子電解質とを含有するクリア塗工層が設けられた喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートであって、前記インク受容層は、前記着色剤としてノニオン性の着色顔料だけを含有し、該着色顔料は、ノニオン性の黒系着色顔料を含有し、該黒系着色顔料の含有量が、前記インク受容層中の前記着色剤を除いた顔料の合計含有量100質量部に対して0.050〜0.170質量部であり、前記光沢発現層は、前記顔料として単分散の球状コロイダルシリカを1種類だけ含有し、かつ、前記ゲル化法のゲル化液は、ゲル化剤としてアルカリ土類金属イオンの金属塩を含有し、前記光沢発現層の表面は、JIS P 8142:2005に従って測定した75°における光沢度が60%以上80%未満であり、前記クリア塗工層における前記水溶性高分子又は親水性樹脂の乾燥塗工量は、0.14g/m未満であり、かつ、前記水溶性高分子電解質の乾燥塗工量は、1.38g/m未満であり、前記光沢発現層の表面と前記クリア塗工層の表面とは、JIS P 8150:2004に従って測定した明度指数の差ΔLが−5.0≦ΔL≦−3.0であり、かつ、JIS P 8148:2001に従って測定したISO白色度の差ΔWが−5.0≦ΔW≦−1.0である。以下、インク受容層及び光沢発現層の設けた面をインクジェット記録面といい、クリア塗工層の設けた面を裏面ということもある。喪中用色付きインクジェット葉書用紙として使用する場合には、インクジェット記録面を通信面とし、裏面を宛名面とすることが好ましい。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートは、インク受容層が着色剤を含有し、インクジェット記録面を喪中に適した色調に着色している。本実施形態では、着色剤は、ノニオン性の着色顔料に限定される。すなわち、インク受容層は、ノニオン性以外の着色顔料を含有しない。また、インク受容層は、着色剤として染料を含有しないことが好ましい。インク受容層を形成するため塗工液(以下、インク受容層用塗工液と称す。)には、pH調整剤、耐水化剤などのイオン性が強い助剤を含有させるため、イオン性を有する着色顔料又は染料を用いると凝集しやすく、色むらの原因となる。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートのインクジェット記録面の色調は、主に黒系着色顔料の含有量によって調整される。黒系着色顔料の含有量は、インク受容層中の着色剤を除いた顔料の合計含有量100質量部に対して0.050〜0.170質量部である。より好ましくは、0.070〜0.150質量部であり、特に好ましくは、0.090〜0.130質量部である。黒系着色顔料を前記範囲で添加することによって、インクジェット記録面を喪中用に適した墨色に調整することができる。0.050質量部未満では、白色度が強くなり、明度が高くなるため、喪中用として適さない。0.170質量部を超えると、黒色が強くなりすぎて、インクジェット印字及び筆記部とのコントラストが得られず、喪中用として適さない。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、黒系着色顔料は、単独で黒系の色調を有する顔料又は混合されて黒系の色調を有する顔料である形態を含む。単独で黒系の色調を有する顔料は、例えば、チタンブラック、カーボンブラック、鉄黒など黒色の顔料が挙げられる。混合されて黒系の色調を有する顔料は、例えば、前述の黒色顔料と白色顔料とを組み合せて灰色に調色した顔料、青色顔料と赤色顔料と黄色顔料とを組み合せて黒系に調色した顔料である。ただし、有彩色の顔料を組み合せる場合には、色バランスが崩れると、華美な印象を受ける色彩となってしまうため、注意を要する。黒色、白色又は有彩色の顔料は、ノニオン性であれば特に限定されず、商用公知のものを使用することができる。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、色調を微調整する目的でインク受容層に、黒系着色顔料に加えて、ノニオン性の有彩色の着色顔料を含有させることができる。さらに、インク受容層中の全着色顔料のうち色調を微調整する目的で含有する有彩色着色顔料の含有量は、インク受容層中の着色剤を除いた顔料の合計含有量100質量部に対して、0.030質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.020質量部以下であり、特に好ましくは、0.010質量部以下である。0.030質量部を超えると、華美な印象を与え、喪中用として適さなくなる場合がある。有彩色着色顔料としては、ノニオン性であれば、商用公知のものがすべて使用可能である。有彩色着色顔料の色は、好ましくは、青、紫である。青色着色顔料は、例えば、コバルトブルー、アルカリブルー、フタロシアニンブルーが挙げられる。紫色着色顔料は、例えば、コバルトバイオレット、ミネラルバイオレットが挙げられる。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートは、インク受容層の最表層上にキャストコート法のうちゲル化法によって光沢発現層を形成する。光沢発現層を設ける目的は、写真画質のハイグレードな印字適性と喪中用として光沢度及び写像性をある程度抑制した面感とを両立させることである。したがって、インク受容層で喪中用に適するように調整した色調に与える影響が小さい必要がある。また、光沢発現層の表面は、JIS P 8142:2005「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に従って測定した75°における光沢度が60%以上80%未満である。光沢度は、より好ましくは、60%以上70%未満である。光沢度が80%以上であると、インクジェット記録面の印象が慎ましさに欠け、喪中用に適さない。光沢度の調整は、光沢発現層に顔料として単分散の球状コロイダルシリカを1種類だけ含有させることによって実現できる。光沢度の下限値は、60%とすることが好ましい。光沢度が60%未満では、光沢タイプの記録シートとして不適である。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、前記光沢発現層の表面は、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」に準じ、光学くし幅2mm入反射角度60°の条件で測定した写像性が30〜50%であることが好ましい。より好ましくは、30〜40%である。30%未満では、写真画質のハイグレードな印字画像の鮮映性が不足する場合がある。50%を超えると、印字画像の鮮映性が高くなり、ギラツキ感が生じて喪中用として好ましくない。
支持体のインクジェット記録面の反対面は、水溶性高分子又は親水性樹脂とインク定着剤として水溶性高分子電解質とを含有するクリア塗工層が設けられた裏面である。クリア塗工層を設ける目的は、紙面強度、水性インキ滲み、インクジェットプリンターでの搬送性などを改善し、インクジェット印字適性、オフセット印刷適性及び筆記適性を付与することである。
水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体、澱粉、カチオン化澱粉、酸化澱粉、グラフト化澱粉などの澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェートなどのセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白などの水溶性天然高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸樹脂などの水溶性高分子、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性合成樹脂が例示できる。この中で、ポリビニルアルコールを含有させることが、表面強度を改善する効果が高いためより好ましい。本実施形態において、親水性樹脂は、水へ容易に分散する樹脂をいい、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、スチレン−ブタジエン共重合体が例示できる。これらは、エマルションなど水に分散させた分散液の状態で使用することができる。
クリア塗工層における水溶性高分子又は親水性樹脂の乾燥塗工量は、0.14g/m未満である。より好ましくは、0.12g/m未満であり、特に好ましくは、0.10g/m未満である。0.14g/m以上では、オフセット印刷時に湿し水に水溶性高分子又は親水性樹脂が溶出して湿し水が汚れ、結果として非画線部のインク汚れが発生する。クリア塗工層における水溶性高分子又は親水性樹脂の乾燥塗工量の下限値は、0.05g/mとすることが好ましい。0.05g/m未満では、表面強度が脆弱になり、繊維の脱落によるパイリングの発生、インク転写時の紙剥けなど印刷トラブルが発生するおそれがある。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、クリア塗工層には、裏面におけるインクジェット印字適性を付与することを目的として、更にインク定着剤として水溶性高分子電解質を含有させる。本実施形態において、水溶性高分子電解質には、第4級アンモニウム塩ポリマー、第3級アンモニウム塩ポリマー、第2級アンモニウム塩ポリマーを例示できる。この中で、カチオン性の第4級アンモニウム塩ポリマーを含有させることが、インクジェット印字を定着させる効果が高いためより好ましい。クリア塗工層における水溶性高分子電解質の乾燥塗工量は、1.38g/m未満である。より好ましくは、1.25g/m未満である。1.38g/m以上では、オフセット印刷時に湿し水が汚れやすくなり、結果として非画線部のインク汚れが発生する。クリア塗工層における水溶性高分子電解質の乾燥塗工量の下限値は、0.40g/mとすることが好ましい。より好ましくは、0.50g/mである。0.40g/m未満では、インクジェット印字適性に劣る場合がある。
クリア塗工層表面は、JIS P 8119:1998「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に従って測定したベック平滑度S(秒)が20<S<60であることが好ましい。より好ましくは、20<S<50であり、特に好ましくは、30<S<40である。ベック平滑度Sが60秒以上では、水性又は油性ボールペンでの筆記において、筆記時の抵抗が少なく、インクの転写が不十分となる場合がある。また、毛筆による筆記の場合には、毛筆特有の墨汁が原紙又は支持体に吸収し、セットされた後の筆末の微妙なかすれ具合、筆圧又は墨汁吸収量に応じた墨の濃淡が出にくくなり、印字調となってしまい、文字から受ける印象では力強さ及び立体的な深みが失われてしまうおそれがある。ベック平滑度Sが20秒以下では、毛筆による筆記において、筆記抵抗が高くなり、滑らかな書き味が得られなくなるばかりか、文字から受ける印象ではしなやかさ及び柔らかさが失われてしまうおそれがある。さらに、墨汁の過度なかすれから、文字の端末部のまとまりがなくなり、毛筆の筆記品位を損ねてしまうおそれがある。ベック平滑度Sは、例えば、水溶性高分子の含有量、インク定着剤の含有量、キャレンダー処理の線圧を調整することによって制御することができる。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、クリア塗工層は、JIS P 8140:1998「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」に規定する吸水度試験方法において接触時間を5秒とし、ポリエチレングリコール(PEG)の30質量%水溶液を用いて求めたコブ吸水度(以下、吸水度(PEG)と略記することもある。)が28g/m以下であることが好ましい。より好ましくは、26g/m以下であり、特に好ましくは、24g/m以下である。なお、吸水度(PEG)の下限値は、15g/mとすることが好ましい。15g/m未満では、水性又は油性ボールペンでの筆記において、筆記時の抵抗が少なく、インクの転写が不十分となる場合がある。また、毛筆による筆記の場合には、毛筆特有の墨汁が原紙又は支持体に吸収し、セットされた後の筆末の微妙なかすれ具合、筆圧又は墨汁吸収量に応じた墨の濃淡が出にくくなり、印字調となってしまい、文字から受ける印象では力強さ及び立体的な深みが失われてしまうことがある。28g/mを超えると、毛筆による筆記において、筆記抵抗が高くなり、滑らかな書き味が得られなくなるばかりか、文字から受ける印象ではしなやかさ及び柔らかさが失われてしまう場合がある。さらに、墨汁の過度なかすれから、文字の端末部のまとまりがなくなり、毛筆の筆記品位を損ねてしまうおそれがある。吸水度(PEG)は、例えば、水溶性高分子の含有量、インク定着剤の含有量、キャレンダー処理の線圧を調整することによって制御することができる。
喪中用色付きインクジェット葉書用紙として使用する場合において、裏面では、通常、郵便番号記入欄、切手添付個所などの不変情報がオフセット印刷される。オフセット印刷では、印刷工程において、プロセスインキの画線部と非画線部とを区分けするため、印刷画像が形成されている印版の上に湿し水が使用される。この湿し水には印版への親和性をもたせるため、アルコール又はアルコール代替品が添加されており、かつ、インキの乳化を抑制させる目的でpH調整剤が含まれているのが通常である。印刷工程において、印刷枚数が多くなると、湿し水へ水溶性物質、脱落した紙粉などが混入するようになり、印刷品では非画線部の汚れを生ずるようになる。こうなると、印刷工程において、印版の洗浄の回数が多くなり、湿し水の入れ替えなどによる作業面での損失が生じる。そして、印刷品では、印刷商品としての価値が無くなる場合も出てくる。こうした現象を改善するために、オフセット印刷用紙の支持体としては、木材繊維の脱落が出ないような工夫、原紙の上に塗布する薬剤の選定を適切に行う工夫などが必要である。これらの湿し水への影響を評価する指標としては、湿し水に所定条件で試料を浸漬した後に、光学的手法を用いて、湿し水の汚れ具合を濁度(Haze:HZ:ヘイズ)として計測することが簡便で把握しやすい。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、支持体から分離した表面積が25cmのクリア塗工層からなる試験片4枚をオフセット印刷用の湿し水50ml(20℃)に30分間浸漬したときの浸漬前後の湿し水の濁度差が1.7Haze未満であることが好ましい。より好ましくは、1.5Haze未満である。湿し水の濁度差が1.7Haze以上では、印版の洗浄の回数が多くなり、湿し水の入替えなどによる作業面での損失が生じる場合がある。また、印刷品では、印刷商品としての価値が低下する場合もある。湿し水の濁度差を前記範囲にするには、クリア塗工層に含有させる水溶性高分子又は親水性樹脂の含有量をある一定以上含ませないこと、具体的には、0.14g/m未満とすることである。
光沢発現層の表面とクリア塗工層の表面とは、JIS P 8150:2004「紙及び板紙−色(C/2°)の測定方法−拡散照明法」に従って測定した明度指数の差ΔLが−5.0≦ΔL≦−3.0であり、かつ、JIS P 8148:2001「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に従って測定したISO白色度の差ΔWが−5.0≦ΔW≦−1.0である。ここで、明度指数の差ΔLは、数1によって求めることができる。
(数1) ΔL=L’−L
数1において、Lはクリア塗工層の表面(裏面)の明度、L’はインク受容層の表面(インクジェット記録面)の明度である。
また、ISO白色度の差ΔWは、数2によって求めることができる。
(数2)ΔW=W’−W
数2において、Wはクリア塗工層の表面(裏面)のISO白色度、W’はインク受容層の表面(インクジェット記録面)のISO白色度である。
明度指数の差ΔLは、より好ましくは、−5.0≦ΔL≦−4.0であり、特に好ましくは、−5.0≦ΔL≦−4.5である。明度指数の差ΔLが−3.0を超えると、インクジェット記録面と裏面とを目視で識別することが難しくなる。また、インクジェット記録面の明度が高くなり、喪中用として適さない。明度指数の差ΔLが−5.0未満では、インクジェット記録面の明度が低くなりすぎ、インクジェット印字のハーフトーン部におけるコントラストが得られず、所望のパターンを再現することができない。一方、ISO白色度の差ΔWは、より好ましくは、−5.0≦ΔW≦−2.0であり、特に好ましくは、−5.0≦ΔW≦−3.0である。ISO白色度の差ΔWが−1.0を超えると、インクジェット記録面の白色度が高くなり、喪中用として適さない。ISO白色度の差ΔWが−5.0未満では、インクジェット記録面の白色度が低くなりすぎて、インクジェット印字のハーフトーン部におけるコントラストが得られず、所望のパターンを再現することができない。
なお、本実施形態において、裏面に塗工するクリア塗工層を形成するための塗工液(以下、クリア塗工液と称す。)は、明度指数L及びISO白色度Wに与える影響が小さいため、支持体の明度指数L’’及びISO白色度W’’と、クリア塗工層を設けた裏面の明度指数L及びISO白色度Wとは、ほぼ同等である。したがって、明度指数の差ΔL及びISO白色度の差ΔWの基準とする面を、クリア塗工層を設けた裏面に替えて、インク受容層又はクリア塗工層を形成する前の支持体の表面とすることができる。すなわち、本実施形態では、明度指数の差ΔLをインク受容層の表面の明度指数L’とクリア塗工層の表面の明度指数Lとの差として管理しているが、インク受容層形成前後の明度指数L’’とLとの差として管理してもよい。また、ISO白色度の差ΔWを、インク受容層の表面のISO白色度W’とクリア塗工層の表面のISO白色度Wとの差に替えて、インク受容層形成前後のISO白色度W’’とWとの差として管理してもよい。
支持体の原料となる木材繊維としては、広葉樹さらしクラフトパルプ(LBKP)、針葉樹さらしクラフトパルプ(NBKP)などの化学パルプ、グランドパルプ、加圧式砕木パルプ、リファイナー砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミメカニカルパルプ、ケミグランドパルプなどの機械パルプ、脱墨パルプ(DIP)などの古紙パルプなどの木材パルプが例示できる。また、必要に応じて、木材パルプ以外に、非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維などを用いてもよい。また、フレッシュなさらしパルプを使用する場合には、環境を考慮し、塩素含有量の少ないECF(Elemental Chlorine Free)パルプ又はTCF(Totally Chlorine Free)パルプの使用が望ましい。白色度などの品質面を考慮すると、ECFパルプが最適である。
前記パルプは、適切な叩解度を有するパルプスラリーとする。各層のパルプの叩解度は、本実施形態では、限定されるものではないが、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、350〜600mlCSFとすることが好ましい。より好ましくは、400〜570mlCSFである。350mlCSF未満では、パルプの繊維間結合が強くなるため空隙率が減少し、透気抵抗度の増加及びインク吸収性の低下が生じる傾向がある。600mlCSFを超えると、支持体の強度が低下し、ギロチン断裁時に紙粉が発生しやすくなる。また、繊維の脱落によるパイリングの発生、インク転写時の紙剥けなど印刷トラブルが発生するおそれがある。
さらに、前記パルプスラリーには、必要に応じて従来公知の填料、バインダー、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤などの各種抄紙用薬品を1種類以上適宜用いることができる。パルプスラリーの調製方法、配合、各抄紙薬品の添加方法については、本実施形態の効果を損なうものでなければ特に限定されない。調製されたパルプスラリーは、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機を用いて紙匹を形成し、その後乾燥させて支持体用の原紙を得ることができる。特に、インク吸収性に優れた支持体を使用することが望ましい。
原紙構造としては、単層又は多層のどちらでもよい。多層構造とする場合には、裏面側とインクジェット記録面側とで、それぞれの要求特性に対応させるような、非対称構造を形成させることが可能である。例えば、2層構造とした場合には、各層の薬品の配合、パルプの種類など各種抄紙条件を変更することができる。また、3層以上の構造とした場合には、表裏層以外の中層に比較的安価な種類のパルプを適用することができ、経済的にも有利である。また、その中層に用いるパルプは、古紙パルプであることが好ましい。環境対応品としても優良な商品となり得る。
原紙の両面には、表面強度の付与、インク受容層用塗工液又はクリア塗工液の過度な浸透の抑制などを目的として、サイズプレス、ゲートロール、サイザーなどの装置を用いて、サイズ剤として澱粉、ポリアクリルアマイド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースを塗布して支持体とすることができる。
本実施形態では、支持体のISO白色度は、78%以上であることが好ましい。より好ましくは、82%以上である。支持体の白色度は、所定以上とした方が、文字、イラスト、写真画像などの印刷・印字が映える。さらに、インク受容層を設けて着色した後においても、喪中用に適したくすみと品位とを得ることができる。支持体のISO白色度が78%未満では、文字、イラスト、写真画像などの印刷又は印字が映えにくくなる場合がある。また、インク受容層を形成したときに、喪中用として適切な色調になりにくい。ISO白色度は、例えば、支持体の原料となるパルプの種類、パルプスラリーに添加する填料の含有量によって制御することができる。
このようにして製造された支持体に直接インク受容層を設けてもよいが、本実施形態では、支持体の表面を平滑化する目的で、予めマシンキャレンダー、ソフトキャレンダー、ラスターなどの処理を施してもよい。
インク受容層に用いるインクジェットインクの吸収性を付与するための顔料として、合成非晶質シリカ、焼成クレー、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、天然ゼオライト、合成ゼオライト、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、各種層間化合物、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイトなどの白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、各種マイクロカプセルなどの有機顔料を使用することができる。この中で、高いインク吸収性から、合成シリカが好適である。その他、多元的な機能を付与する目的で、顔料粒子をシード粒子にし、水系析出法による異種材料の複合粒子を形成させた材料、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)、MOCVD(Metal Organic CVD)などの表面処理によって得られた異種金属酸化物の複合材料、ゾルゲル法などで異種金属酸化物複合体をビルドアップさせた材料、無機顔料表面に各種重合反応によって有機物を化学的に結合させた材料、物理的に混和させた材料などのハイブリッド型顔料粒子を適宜使用しても構わない。また、使用するのに好適な合成シリカは、プラズマエッチングなどの物理的手法を用いて表面構造だけを変質させた材料、メカノケミカル反応を利用して表面改質された材料(水系で水以外の物質が無い場合には、合成シリカ表面の水酸基の数が多くなる。)、カップリング剤、各種熱処理によって表面改質させた材料(この場合には、合成シリカ表面の水酸基の数が少なくなる。)などを目的に応じて使用しても構わない。また、前記の顔料は、1種類を単独で又は2種類以上をブレンドして使用することができる。なお、前記に示した各種鉱物は、天然又は合成の表記がなくとも、所望する性能が満たされるならば、いずれでもよく、合成である場合は、合成法も特に制限されるものではない。
インク受容層に含有させるバインダーは、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレン酢酸ビニル、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、澱粉、変性澱粉(物理的構造変性のバイオラテックスを含む。)などの澱粉誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸エチル、アルギン酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、カゼイン、ゼラチン、テルペンなどの水溶性バインダー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリビスクロロメチルオキサシクロブタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリ‐P‐キシリレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル共重合体などのエマルジョン型バインダー又はエマルジョン型であるウレタン樹脂バインダーを例示することができる。これらのバインダーの重合度、ケン化度、Tg(ガラス転移温度)、MFT(最低造膜温度)などは、限定されない。また、これらの分子鎖中に架橋性の官能基を付加することも可能である。また、前記バインダーは1種類を単独で又は2種類以上をブレンドして使用してもよいし、各種ポリマー、モノマーを物理的に混ぜるだけでなく、化学的に組み合せて使用してもよい。また、官能基の修飾のほかに、電磁波(放射線、光又は音波を含む。)、電気エネルギー、熱エネルギー、機械的エネルギー、磁気、生物などによる改質がなされても構わない。さらに、目的に応じて、各種エネルギーに応答するようなエンジニアリングポリマー、生体高分子、イオン交換樹脂などを適宜適用しても構わない。そして、前記に示したバインダーの合成法は、特に制限されるものではない。
インク受容層には、更にインクジェットインクの定着性と発色性とを向上させることを目的として、カチオン性高分子を主成分とする次に列記するインク定着剤を用いることが好ましい。カチオン性インク定着剤としては、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他、第4級アンモニウム塩類、ポリアミンなどが例示できる。インク定着剤は、所望する性能を得るために、2種類以上ブレンドして用いてもよい。また、分子量の異なる化学的組成が同一のものをブレンドしても構わない。また、物理的に混ぜるだけでなく、共重合の構成体の組合せを変化させながら、化学的に組み合せて使用してもよい。さらに、インクジェットインクの耐水性強化を目的として、カチオン化度を上げたもの、耐光性強化を目的としたカチオン化度を減らしたものなどを適宜使用しても構わない。
インク受容層には、顔料、バインダー及び着色剤のほかに、必要に応じて着色染料、分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、保水剤、粘度調整剤、架橋剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、ワックス、導電防止剤、帯電防止剤、サイズ剤、耐水化剤、可塑剤、蛍光増白剤、還元剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、脱臭剤、防炎剤、忌避剤、防錆剤などの助剤を適宜含有させることができる。さらに、医薬用外の使用目的で各種薬効成分、精油成分、抗菌剤、各種酵素などの助剤を、インクジェット印字適性を損なわない範囲内で含有させることが可能である。これら助剤の形態は、単純な物理的な混合のほか、カプセル化若しくは反応性の官能基導入による化学結合タイプのもの又はポリイオンコンプレックスによる樹脂内部への内包型複合材料から適宜適切に選ばれるものである。また、これらを添加する工程、方法については特に限定されず、例えば、シリカスラリーに含有させる、バインダーに含有させることができる。
本実施形態に係る喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートでは、光沢発現層は、公知のキャストコート法によって形成する。キャストコート法には、ウエット法、ゲル化法、リウエット法が知られており、本実施形態においてはゲル化法である。ゲル化法は、光沢発現層を形成するための塗工液(以下、光沢発現層用塗工液と称す。)を塗工し、塗工面が湿潤状態にあるうちに処理液を塗布して凝固処理した後、キャストドラムに圧接して乾燥する方法である。ここで、光沢層用塗工液を塗工後の処理液は、ゲル化液と呼ばれ、光沢発現層用塗工液に含まれる樹脂成分を凝固させ、成膜させる機能を有する。ゲル化法の利点は、得られる光沢発現層が比較的、微視レベルで多孔性となり、ウエット法又はリウエット法にはない特性を付与することが可能であることである。つまり、その多孔性のため、インクジェット適性の点で有利となる。また、ウエット法又はリウエット法とは異なり、原紙物性の影響を受けにくい利点がある。しかしながら、ゲル化液の凝固能及び化学的特性如何では、光沢品質及びインクジェット適性が大きく変化することから、その設計思想は重要となり寄与率も大きい。そして、付与する特性はかなり自由度が広がる。
光沢発現層に用いる顔料として、一般的に、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、気相法シリカなどの微粒タイプの無機顔料が使用される。その他、多元的な機能を付与する目的で、顔料粒子をシード粒子にし、水系析出法による異種材料の複合粒子を形成させた材料、CVD、PVD、MOCVDなどの表面処理によって得られた異種金属酸化物の複合材料、ゾルゲル法などで異種金属酸化物複合体をビルドアップさせた材料、無機顔料表面に各種重合反応によって有機物を化学的に結合させた材料、物理的に混和させた材料などのハイブリッド型顔料粒子を適宜使用される。また、通常、前記の顔料は、1種類を単独で又は2種類以上をブレンドして使用することができる。さらにまた、前記に示した各種鉱物は、天然又は合成の表記がなくとも、所望する性能が満たされるならば、いずれでもよく、合成である場合は、合成法は特に制限されるものではない。したがって、微粒子形状、微粒子径、化学的組成又は物理的構造の違いは限定されることはなく、光沢発現性及びインクジェット適性を考慮し設計思想に従い、適宜選択、使用が可能である。しかし、本実施形態において、喪中用として適した光沢シートにするために、光沢面の光沢度及び写像性をある程度抑制することが必要である。よって、光沢発現層には、顔料として単分散の球状コロイダルシリカを1種類だけを選択することにした。コロイダルシリカ以外の顔料を使用した場合、コロイダルシリカとその他の顔料とを併用した場合又は平均粒子径の異なるものを使用した場合は、光沢発現層中のコロイダルシリカの充填率が上がってしまい、光沢度が高くなってしまう。
本実施形態で使用される球状コロイダルシリカは、単分散微粒子であり、粒子径がほぼ単一に揃っており、かつ、凝集もしていない。ここで、単分散とは、粒度分布がシャープで、粒子が凝集せずに個々に分散した一次粒子として存在する状態を意味する。そして、球状とは、球状に近い形状を包含し、好ましくは真球を意味する。
球状コロイダルシリカのアスペクト比は、1.0〜1.5であることが好ましい。より好ましくは、1.0〜1.2である。1.5を超えると、写像性が高くなり、喪中用に適さない場合がある。例えば、アスペクト比が高い微細なアルミナ粒子を添加すると、光沢発現層中のピグメントの配向性が高くなり、受光する光の反射が指向性を有するようになるため、写像性が高くなってしまう。喪中用としての用途から慎ましさを印象づけるため、光沢度及び写像性をある程度抑制した面感が好ましく、材料の選定もこの設計思想に沿ったものでなくてはいけない。さらに、印字した後に、印字光沢が上がらないような特性を有するのが最善と考えられる。
球状コロイダルシリカの平均粒子径は、20〜100nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜50nmであり、特に好ましくは、20〜30nmである。20nm未満では、塗工膜表面が脆くなるおそれがある。100nmを超えると、光沢度が高くなり喪中用に適さない場合がある。また、塗工膜の成膜性が良好すぎてインク吸収性に劣る場合がある。
また、複数個の球状コロイダルシリカが房状に凝集した房状コロイダルシリカ、複数個の球状コロイダルシリカが細長く連結した鎖状コロイダルシリカ、複数個の球状コロイダルシリカが真珠のネックレスのように環状に連結しているパールネックレス状コロイダルシリカなどの非球状コロイダルシリカは、インク吸収性の点で優れるが、塗工膜表面が脆弱となる点で劣る。
本実施形態では、光沢発現層には、次のようなバインダーを用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレン酢酸ビニル、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、澱粉、変性澱粉(物理的構造変性のバイオラテックスを含む)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸エチル、アルギン酸ソーダ、カゼイン、ゼラチン、テルペンなどの水溶性バインダーが挙げられる。これらのバインダーの重合度、ケン化度、Tg(ガラス転移温度)、MFT(最低造膜温度)などは、限定されない。しかしながら、ゲル化法のキャスト処理でのゲル化液に含有されるゲル化剤との適切な反応性を有するのが前提である。この中で、ゲル化剤との反応性が高い点で、カゼインを使用することが好ましい。また、これらの分子鎖中に架橋性の官能基を付加することも可能である。また、前記バインダーは1種類を単独で又は2種類以上をブレンドして使用してもよいし、各種ポリマー、モノマーを物理的に混ぜるだけでなく、化学的に組み合せて使用してもよい。また、官能基の修飾のほかに、電磁波(放射線、光又は音波を含む。)、電気エネルギー、熱エネルギー、機械的エネルギー、磁気、生物などによる改質がなされても構わない。さらに、目的に応じて、各種エネルギーに応答するようなエンジニアリングポリマー、生体高分子、イオン交換樹脂などを適宜適用しても構わない。そして、前記に示したバインダーの合成法は、特に制限されるものではない。
バインダーの含有量は、通常、光沢発現層中の全顔料質量100質量部に対して乾燥質量で、1〜60質量部の範囲である。好ましくは、5〜50質量部の範囲で添加される。1質量部未満であると塗工層強度が低下する場合がある。60質量部を超えるとインク吸収性が低下する場合がある。
光沢発現層には、顔料及びバインダーのほかに、必要に応じて着色顔料、着色染料、分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、保水剤、粘度調整剤、架橋剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、ワックス、導電防止剤、帯電防止剤、サイズ剤、耐水化剤、可塑剤、蛍光増白剤、還元剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、脱臭剤、防炎剤、忌避剤、防錆剤などの助剤を適宜含有させることができる。さらに、医薬用外の使用目的で各種薬効成分、精油成分、抗菌剤、各種酵素などの助剤を、インクジェット印字適性を損なわない範囲内で含有させることが可能である。これら助剤の形態は、単純な物理的な混合のほか、カプセル化若しくは反応性の官能基導入による化学結合タイプのもの又はポリイオンコンプレックスによる樹脂内部への内包型複合材料から適宜適切に選ばれるものである。また、これらを添加する工程、方法については特に限定されない。
ゲル化液は、光沢発現層の中に含まれるバインダーの樹脂成分を凝固させるために、ゲル化剤として金属塩が含有される水溶液である。
ゲル化剤は、光沢発現層のバインダー成分と効果的に凝固する物を選定することが重要である。ゲル化剤のバインダーの樹脂成分に対する凝固能が高過ぎる場合、光沢発現層の多孔化が過度に進み、光沢面の光沢度が低下する。反対に、凝固能が低い場合には、光沢発現層の不動化が十分に行われず、ドラム汚れの原因となったり、最表層の密度が十分に高まらないため、光沢面の光沢度が低くなったり、その他の副次的な要因でのピットなどの光沢面の欠陥を生じやすくなる。したがって、ゲル化液で選択される金属塩は、操業条件及び所望する製品特性を考慮し、適切に選択されなければいけない。一つの目安としては、金属イオンの有効核電荷であり、金属イオン半径に対する電荷の大きさが大きいほど、カチオンの電荷として、硬い性質となり、樹脂に対する凝固能が高くなると予想される。反対に、金属イオン半径に対する電荷の大きさが小さいほど、カチオンの電荷として、柔らかいカチオンとなり、樹脂に対する凝固能が低いと予想される。ここで、硬い及び柔らかいは、HSAB(Hard and Soft Acids and Bases)理論における表現である。これを踏まえ、凝固能の適正範囲を考えると、金属イオンのうちでも、2価のアルカリ土類金属イオンが適正である。アルカリ土類金属イオンは、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオンである。この中で、特に、カルシウムイオンが好適である。さらに、金属イオンに配位するものとしては、蟻酸、酢酸、乳酸などが挙げられるが、易水溶性を考慮すると、蟻酸又は酢酸のいずれか一方が配位しているのが更に好適である。具体的には、蟻酸カルシウム、酢酸カルシウム、蟻酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、蟻酸バリウム、酢酸バリウム、蟻酸ラジウム、酢酸ラジウムである。より好ましくは、蟻酸カルシウム、酢酸カルシウムである。
ゲル化液には、インク定着剤としてカチオン性の水溶性高分子電解質を含有することが好ましい。水溶性高分子電解質は、例えば、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、その他、第4級アンモニウム塩類、ポリアミンが挙げられる。この中で、カチオン性の第4級アンモニウム塩ポリマーを含有させることが、インクジェット印字を定着させる効果が高いためより好ましい。また、インク定着剤は、所望する性能を得るために、2種類以上ブレンドして用いてもよい。また、分子量の異なる化学的組成が同一のものをブレンドしても構わない。また、物理的に混ぜるだけでなく、共重合の構成体の組合せを変化させながら、化学的に組み合せて使用してもよい。さらに、インクジェットインクの耐水性強化を目的として、カチオン化度を上げたもの、耐光性強化を目的としたカチオン化度を減らしたものなどを適宜使用しても構わない。
ゲル化液には、ゲル化剤及びインク定着剤のほかに、必要に応じて着色顔料、着色染料、分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、保水剤、粘度調整剤、架橋剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、ワックス、導電防止剤、帯電防止剤、サイズ剤、耐水化剤、可塑剤、蛍光増白剤、還元剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、脱臭剤、防炎剤、忌避剤、防錆剤などの助剤を適宜含有させることができる。さらに、医薬用外の使用目的で各種薬効成分、精油成分、抗菌剤、各種酵素などの助剤を、インクジェット印字適性を損なわない範囲内で含有させることが可能である。これら助剤の形態は、単純な物理的な混合のほか、カプセル化若しくは反応性の官能基導入による化学結合タイプのもの又はポリイオンコンプレックスによる樹脂内部への内包型複合材料から適宜適切に選ばれるものである。
ゲル化液の濃度は、3質量%以上であることが好ましい。3質量%未満の場合には、凝固力が不足することがある。より好ましくは、5質量%以上である。5質量%以上とすることで、凝固力がより強くなるため、特に好ましい。なお、凝固液の濃度の上限値は、作業性及びコストの点から10質量%とすることが好ましい。
クリア塗工液には、水溶性高分子又は親水性樹脂及びインク定着剤のほかに、本発明に影響を及ぼさない程度に、着色顔料、カチオン性サイズ剤、界面活性剤、バインダー、防腐剤、ワックス、耐水化剤、蛍光増白剤、着色染料、などの助剤を適宜選定して添加することができる。これらを添加させる工程及び方法については特に限定されない。
インク受容層用塗工液及びクリア塗工液の調製・各種処理液の調製において、人体に対し有害又は危険な薬品の使用及び取り扱いは極力避けるべきであり、可能な限り、有害性の少ない薬品の選定が前提である。それ故に、自然環境で容易に分解し、分解後は有害な物質を排出することの無い薬品であれば、最善の選択といえる。使用する薬品は、自然界に無いような極度に化学修飾されたものや、重合度がかなり進んだ物質の選択は賢明ではない。また、ハンドリングが良好であったり、容易に溶解、分散又は混合が可能といった作業性が良好であったりする薬品の選定は製造工程において、非常に重要な項目となり得る。作業効率及び有害性のほかに、トラブルフリーな安全性の高い薬品を使うことが重要である。
インク受容層用塗工液の塗工には、公知一般の塗工機を使用でき、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、リップコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ダイコーター、チャンブレックスコーター、チップブレード−コーター、ラボスケールでのスピニングコーターが挙げられる。また、塗工時の環境は、塗工層構造を制御する目的で常圧、減圧、加圧のいずれの状態を選んでも構わない。
インク受容層の乾燥塗工量は、5〜20g/mであることが好ましい。より好ましくは、8〜20g/mであり、特に好ましくは、10〜15g/mである。5g/m未満では、支持体表面を完全に覆うことが難しく、塗工層におけるインク吸収性が不十分となり、吸収むらが発生する場合がある。20g/mを超えると、インク受容層と支持体との間の接着強度が不足する場合があり、粉落ちと呼ばれる支持体からの塗工層の脱落、剥離などが発生するおそれがある。また、インク受容層用塗工液を2回以上塗工して、インク受容層を2層以上で構成してもよい。2層以上で構成するときは、各層を異なる組成としてもよい。
光沢発現層を設ける為の塗工液は、公知一般の塗工機を使用でき、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、リップコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ダイコーター、チャンブレックスコーター、チップブレード−コーター、ラボスケールでのスピニングコーターが挙げられる。また、塗工時の環境は、塗工層構造を制御する目的で常圧、減圧、加圧のいずれの状態を選んでも構わない。
光沢発現層の乾燥塗工量は、5〜20g/mであることが好ましい。より好ましくは、10〜15g/mである。5g/m未満では、光沢発現層表面の光沢面質が不均一となり、所望の光沢度得られない場合がある。20g/mを超えると、インクの吸収性が悪化する場合がある。また、経済的に不利益を被ることになる。
光沢発現層は、光沢発現層用塗工液を塗工した塗工面が湿潤状態にあるうちに、ゲル化液によって表面を凝固処理した後、熱せられた鏡面を有するキャストドラムに圧接され、キャストドラムから剥離した塗工面は、鏡面を転写された表面構造となる。キャストドラムの温度、フォーミング圧力、ライン速度などの各種操作条件は、適宜適切に選択することができる。ただし、ライン速度にもよるが、ドラム温度及びフォーミング圧力が高過ぎると、ドラム圧接時に紙層又は塗工層側での水分の突沸によるピット又はブリスターが発生するようになる。反対に、ドラム温度及びフォーミング圧力が低過ぎると、ドラムと光沢発現層との密着が悪くなり、光沢面の不均一性及び光沢度低下が生じるようになる。したがって、ドラム温度、フォーミング圧力などの相差条件は、適切な範囲があり、特にドラムの表面温度は、好適には、110〜130℃である。
クリア塗工液の塗工には、公知一般の塗工機を使用でき、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、リップコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ダイコーター、チャンブレックスコーター、チップブレード−コーター、ラボスケールでのスピニングコーターが挙げられる。また、塗工時の環境は、塗工層構造を制御する目的で常圧、減圧、加圧のいずれの状態を選んでも構わない。
クリア塗工層の乾燥塗工量は、0.45g/m以上1.54g/m未満であることが好ましい。より好ましくは、1.37g/m以上1.52g/m未満である。0.45g/m未満では、表面強度が不足する場合があり、繊維の脱落によるパイリングの発生、インク転写時の紙剥けの発生など印刷トラブルが生じるおそれがある。1.54g/m以上では、オフセット印刷時に湿し水に水溶性高分子が溶出して工程汚れが発生する場合がある。また、クリア塗工液を2回以上塗工して、クリア塗工層を2層以上で構成してもよい。2層以上で構成するときは、各層を異なる組成としてもよい。
インク受容層用塗工液及びクリア塗工液の塗工は、オンマシンであることが好ましい。さらに、支持体の抄紙工程からインク受容層形成工程と、クリア塗工層形成工程と、キャレンダー工程とを経て連続した工程で行うことが好ましい。オンマシンの連続した工程で製造することによって、工程間でのロスが少なくすることができる。また、色替わりのときには、各塗工液を入れ替えるだけで行うことができる。塗工をオフコートで行うことは、枠替え時でのダウンタイムなどの時間損失が発生する上、実作業においても、のべ工程時間が長くなる分、エネルギー消費量と時間損失とが多くなる。したがって、生産の主目的である利潤の追求が不十分となってしまう。さらに、虫などの異物混入、工程内のコンタミネーションなどによって商品の欠陥が発生する確率が高まり、製品の仕上げ率の低下が避けられない。また、工程内品質保証を行う場合には、管理事項が増えるため、試験員への負荷がかかる又は人員を増員せざるを得なくなるという不利点がある。
インク受容層用塗工液及びクリア塗工液を塗工した後の乾燥方式としては、熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などが挙げられるが、本実施形態においては、特に限定されるものではない。バインダーマイグレーション及び塗工層構造の制御を目的として、適宜適切に乾燥温度、乾燥温度勾配、乾燥時間などの乾燥条件を変更し適用してよい。
インク受容層表面及びクリア塗工層表面には、表面の平滑性を制御する目的で、キャレンダー処理を施すことが好ましい。キャレンダーは、スーパーキャレンダー、マシンキャレンダー、ソフトキャレンダーなどが挙げられる。また、キャレンダー前後の工程にて、加湿機などを配置することも可能である。また、キャレンダー配置については、縦型、横型のいずれでもよく、所望する物性が得られる限りにおいては、縦型においてのスタック数と横型においての台数とは何ら制限を受けるものではない。処理速度、処理温度、処理圧力、ロール表面の硬度・粗さなどの処理条件は、適宜適切に選ばれる。
本実施形態において、インクジェット記録面又は裏面へ各塗工液を塗工する工程は、オンマシンであれば順序を問わない。支持体の片面にインク受容層及び光沢発現層を形成した後、クリア塗工層を形成してもよいし、クリア塗工層を形成した後、インク受容層及び光沢発現層を形成してもよい。キャレンダー処理を施す場合には、インク受容層及びクリア塗工層を形成して、インク受容層及びクリア塗工層の両面を、同時にキャレンダー処理を施した後、インク受容層上に光沢発現層を形成することが好ましい。
本実施形態に係る喪中用インクジェット用記録シートは、前述のように、インクジェット記録面において喪中に適した色調とインクジェット印字適性とをもち、かつ、裏面においてオフセット印刷及びインクジェット印字適性と各種筆記用具での筆記適性とをもつため、喪中用葉書用紙に好適である。喪中用色付きインクジェット葉書用紙として使用する場合には、インクジェット記録面を通信面とし、裏面を宛名面とすることが好ましい。クリア塗工層が形成された裏面には、郵便番号記入欄、切手貼付箇所などの不変情報がオフセット印刷されるが、裏面の表面強度が弱かったり、水溶性高分子が多く塗工されたりすると、印刷時に湿し水が汚れてしまい、その結果、非画線部のインク汚れが発生するようになる。また、ブランケット付着物が発生し、印刷面への欠陥となる場合がある。したがって、裏面は、外観、表面強度、オフセット印刷適性、インクジェット印字適性、重送性改善などの対策から、水溶性高分子又は親水性樹脂の含有量が、過度にならないよう注意しなくてはいけない。すなわち、水溶性高分子又は親水性樹脂の含有量は、クリア塗工層の全固形分のうち11質量%以下とすることが好ましい。反対に、水溶性高分子又は親水性樹脂をクリア塗工層に含有させない又は少なすぎる場合は、表面強度の脆弱さから、繊維の脱落によるパイリングが発生したり、インクの転写時の紙剥けが発生したりしての印刷トラブルになる可能性があるため注意が必要である。すなわち、水溶性高分子又は親水性樹脂の含有量の下限値は、インク受容層の全固形分のうち6質量%とすることが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。
(実施例1)
<原紙の作製>
LBKP100部のパルプスラリー(カナダ標準ろ水度500mlCSF)に、絶乾パルプ100部に対し、カチオン澱粉(商品名:ネオタック40T、日本食品化工社製)1.00部と、タルク(商品名:NTL、日本タルク社製)5.00部と、酸性ロジンサイズ剤(商品名:AL1203、星光PMC社製)0.200部と、液体硫酸バンド1.00部とを配合して紙料を得た。この紙料を長網式抄紙機で抄紙し、坪量180g/mの原紙を得た。
<サイズプレス塗布による支持体の作製>
引続き、前記原紙上にサイズ液として酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コンスターチ社製)の固形分濃度6%水溶液をサイズプレスによって乾燥塗布量が片面当たり1.5g/mとなるようにオンマシンで両面に塗布し、シリンダードライヤーで乾燥し、支持体を得た。支持体の白色度は、80.12%であった。
<インク受容層の塗工液の調製>
顔料として平均粒子径7μmの合成非晶質シリカ(商品名:サイロジェットP407、グレースデビソン社製)50.0部と、平均粒子径6μmの合成非晶質シリカ(商品名:サイロイド74X6500、グレースデビソン社製)50.0部と、水と、pH調整剤として酢酸0.500部とを配合し、カウレス分散機にて固形分濃度28%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーにバインダーとしてポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、クラレ社製)15.0部と、ポリエチレン酢酸ビニルバインダー(商品名:スミカフレックス450、住友化学社製)25.0部と、ノニオン性黒系着色顔料として黒色着色顔料(商品名:TB510 BlackTR、大日精化社製)0.128部とを添加・攪拌し、更に水を添加して固形分濃度が25%のインク受容層用塗工液を得た。
<インク受容層の形成>
得られたインク受容層用塗工液を前記支持体のインクジェット記録面となる面に乾燥塗工量が10g/mとなるように、引続きオンマシンでエアナイフコーター塗工し、エアドライヤーで熱風乾燥してインク受容層を形成した。
<クリア塗工液の調製>
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、クラレ社製)0.500部とインク定着剤として水溶性高分子電解質である第4級アンモニウム塩ポリマー(商品名:パピオゲンP105、センカ社製)6.00部とを配合して、水を添加して固形分濃度が1.0%のクリア塗工液を得た。
<裏面へのクリア液の塗工>
引続き、前記支持体の裏面となる面に得られたクリア塗工液15ml/mをオンマシンでエアナイフコーターにて塗工し、エアドライヤーで熱風乾燥した。クリア塗工層の乾燥塗工量は、1.00g/mであり、クリア塗工層のうち、水溶性高分子の乾燥塗工量は、約0.08g/m、インク定着剤の乾燥塗工量は、約0.92g/mであった。
<平滑処理>
引続き、オンマシンにてソフトキャレンダーを用いて、線圧30kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
<光沢発現層用塗工液の調製>
顔料として球状コロイダルシリカ(商品名:シリカドール20、アスペクト比1.0、平均粒子径20nm、日本化学工業社製)100部と、バインダーとしてカゼイン(商品名:ニュージーランドカゼイン、フォンテラ社製)20.0部と、離型剤としてステアリン酸カルシウム(商品名:ノプコートC−104、サンノプコ社製)を2部、ポリエチレンワックスエマルジョン(商品名:メイカテックスHP70、明成化学社製)を1部及びロート油(商品名:ロート油、第一工業製薬社製)を2部と、を混合し、更に水を加えて固形分濃度が20%の光沢発現層用塗工液を得た。
<光沢発現層の形成>
得られた光沢発現層用塗工液を前記支持体のインク受容層形成面にエアナイフコーターで絶乾塗工量8g/mとなるように塗工した。
<ゲル化液の調製>
ゲル化剤として蟻酸カルシウム3.0%水溶液とインク定着剤として第4級アンモニウム塩ポリマー(商品名:パピオゲンP105、センカ社製)3.0%とを混合して、固形分濃度が6.0%のゲル化液を得た。
<ゲル化液の塗布>
前記光沢発現層用塗工液の塗工面が湿潤状態にあるうちに、得られたゲル化液をウエット塗布量が40g/mとなるようにシャワー塗布して凝固処理を行った後、得られた凝固面をキャストドラムに圧着し、喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。キャストドラムの条件は、ライン速度70m/分、キャストドラムの材質は、クロム鍍金の金属鏡面であり、塗工面を圧接させたときのフォーミング圧力は、約50kg/cmで、かつ、キャストドラムの表面温度は120℃であった。得られた喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートの色調は、次のとおりとなった。なお、明度指数L、色度a、b及び白色度Wは、分光式白度計・色差計(SPECTRO COLOR METER MODEL PF−10、日本電色工業社製)によって測定した。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b*:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:88.98、a’:−0.48、b*’:2.34、W’:76.42
(実施例2)
実施例1において、インク受容層用塗工液の調製で、ノニオン性黒系着色顔料の黒色着色顔料を2/3倍減らして0.085部とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b*:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:90.25、a’:−0.55、b*’:2.31、W’:78.69
(実施例3)
実施例1において、インク受容層用塗工液の調製で、ノニオン性黒系着色顔料の黒色着色顔料を2/3倍減らして0.085部とし、更に有彩色着色顔料としてバイオレット系顔料(商品名:TB1500 Violet3R、大日精化社製)を0.015部添加した以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:89.97、a’:−0.41、b’:2.72、W’:79.02
(実施例4)
実施例1において、インク受容層用塗工液の調製で、ノニオン性黒系着色顔料の黒色着色顔料を2/3倍減らして0.085部とし、更に有彩色着色顔料としてブルー系顔料(商品名:TB520 Blue2B、大日精化社製)を0.0008部添加した以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:90.03、a’:−0.57、b’:1.94、W’:79.07
(実施例5)
実施例1において、ゲル化液の調製で、ゲル化剤として酢酸カルシウム3.0%水溶液とインク定着剤として第4級アンモニウム塩ポリマー(商品名:パピオゲンP105、センカ社製)3.0%とを混合して、固形分濃度が6.0%のゲル化液とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、実施例1と同様であった。
(実施例6)
実施例1において、ゲル化液の調製で、ゲル化剤として蟻酸ストロンチウム3.0%水溶液とインク定着剤として第4級アンモニウム塩ポリマー(商品名:パピオゲンP105、センカ社製)3.0%とを混合して、固形分濃度が6.0%のゲル化液とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、実施例1と同様であった。
(実施例7)
実施例1において、ゲル化液の調製で、ゲル化剤として酢酸ストロンチウム3.0%水溶液とインク定着剤として第4級アンモニウム塩ポリマー(商品名:パピオゲンP105、センカ社製)3.0%とを混合して、固形分濃度が6.0%のゲル化液とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、実施例1と同様であった。
(実施例8)
実施例1において、ゲル化液の調製で、ゲル化剤として蟻酸バリウム3.0%水溶液とインク定着剤として第4級アンモニウム塩ポリマー(商品名:パピオゲンP105、センカ社製)3.0%とを混合して、固形分濃度が6.0%のゲル化液とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、実施例1と同様であった。
(実施例9)
実施例1において、ゲル化液の調製で、ゲル化剤として酢酸バリウム3.0%水溶液とインク定着剤として第4級アンモニウム塩ポリマー(商品名:パピオゲンP105、センカ社製)3.0%とを混合して、固形分濃度が6.0%のゲル化液とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、実施例1と同様であった。
(実施例10)
実施例1において、クリア塗工液の調製で、水溶性高分子のポリビニルアルコールを3/2倍増やして0.750部とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。クリア塗工層のうち、水溶性高分子の乾燥塗工量は、約0.11g/mであった。ここで、色調は、実施例1と同様であった。
(比較例1)
実施例1において、インク受容層及び光沢発現層を設けなかった以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:93.80、a’:−0.90、b’:3.78、W’:80.12
(比較例2)
実施例1において、インク受容層用塗工液の調製で、ノニオン性黒系着色顔料の黒色着色顔料を添加しなかった以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:92.63、a’:−0.82、b’:2.01、W’:83.42
(比較例3)
実施例1において、インク受容層用塗工液の調製で、ノニオン性黒系着色顔料の黒色着色顔料を4/3倍増やして0.171部とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:88.96、a’:−0.24、b’:3.55、W’:74.86
(比較例4)
実施例1において、インク受容層用塗工液の調製で、ノニオン性黒系着色顔料の黒色着色顔料を添加せず、赤系着色顔料(商品名:TB−1100 Red FG−N、大日精化社製)を0.128部添加した以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:91.44、a’:1.60、b’:1.44、W’:81.91
(比較例5)
実施例1において、インク受容層用塗工液の調製で、ノニオン性黒系着色顔料の黒色着色顔料を添加せず、緑系着色顔料(商品名:TB−510 Green B、大日精化社製)を0.0426部と、黄系着色顔料(商品名:TB−110 Yellow 2G、大日精化社製)を0.0426部と、赤系着色顔料(商品名:TB−1100 Red FG−N、大日精化社製)を0.0426部と、を添加した以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:91.20、a’:−3.49、b’:6.63、W’:75.29
(比較例6)
実施例1において、クリア塗工液の調製で、水溶性高分子のポリビニルアルコールを2倍増やして1.00部とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。クリア塗工層のうち、水溶性高分子の乾燥塗工量は、約0.14g/mであった。色調は、実施例1と同様であった。
(比較例7)
実施例1において、クリア塗工液の調製で、インク定着剤を3/2倍増やして9.00部とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。クリア塗工層のうち、インク定着剤の乾燥塗工量は、約1.38g/mであった。色調は、実施例1と同様であった。
(比較例8)
実施例1において、クリア塗工液の調製で、インク定着剤を2倍に増やして12.0部とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。クリア塗工層のうち、インク定着剤の乾燥塗工量は、約1.85g/mであった。色調は、実施例1と同様であった。
(比較例9)
実施例1において、インク受容層用塗工液の調製で、ノニオン性黒色着色顔料に替えて、アニオン性黒色着色顔料(商品名:TB786、Black、大日精化工業社製)を0.128部添加した以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:88.58、a’:−0.40、b’:2.37、W’:76.20
(比較例10)
実施例1において、インク受容層用塗工液の調製で、ノニオン性黒色着色顔料に替えて、黒色染料(商品名:Black CN Liquid、カチオン性、日本化薬社製)を0.128部添加した以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、次のとおりとなった。
裏面・・・L:93.80、a:−0.90、b:3.78、W:80.12
インクジェット記録面・・・L’:89.25、a’:−0.52、b’:2.32、W’:78.10
(比較例11)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の調製で、顔料を球状コロイダルシリカ(商品名:シリカドール20、アスペクト比1.0、平均粒子径20nm、日本化学工業社製)50部及び気相法シリカ(商品名:レオロシール QS−10、アスペクト比1.0、平均一次粒子径16nm、トクヤマ社製)50部とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、実施例1と同様であった。
(比較例12)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の調製で、顔料をアルミナ粒子(商品名:セラシュール BMT−B、アスペクト比5〜15、平均一次粒子径2μm、河合石灰工業社製)とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、実施例1と同様であった。
(比較例13)
実施例1において、光沢発現層用塗工液の調製で、顔料を球状コロイダルシリカ(商品名:シリカドール20、アスペクト比1.0、平均粒子径20nm、日本化学工業社製)50部及び球状コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス PS−M、アスペクト比1.0、平均粒子径20nm、日産化学工業社製)50部とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、実施例1と同様であった。
(比較例14)
ゲル化液の調製で、ゲル化剤として酢酸ナトリウム3.0%水溶液とインク定着剤として第4級アンモニウム塩ポリマー(商品名:パピオゲンP105、センカ社製)3.0%とを混合して、固形分濃度が6.0%のゲル化液とした以外は、実施例1に準じて喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを作製した。ここで色調は、実施例1と同様であった。
得られた喪中用色付きインクジェット記録シートについて、次に示す特性を測定し、測定結果を表1に示す。さらに、得られた喪中用色付きインクジェット記録シートについて、次に示す方法によって評価を行い、評価結果を表2及び表3に示す。
<裏面とインクジェット記録面との明度指数の差ΔL及びISO白色度の差ΔW>(明度差ΔL、白色度差ΔW)
裏面及びインクジェット記録面の明度とISO白色度とを分光式白度計・色差計(SPECTRO COLOR METER MODEL PF−10、日本電色工業社製)によって測定した。インクジェット記録面と裏面との明度指数の差ΔL及び白色度の差ΔWを、それぞれ次に示す数1及び数2にて算出した。値を表1に示した。
ΔL=L’−L ・・・(数1)
数1において、Lは裏面の明度、L’はインクジェット記録面の明度である。
ΔW=W’−W ・・・(数2)
数2において、Wは裏面のISO白色度、W’はインクジェット記録面のISO白色度である。
<インクジェット記録面の光沢度>(光沢度G)
インクジェット記録面の75°における光沢度をJIS P 8142:2005に従って、精密光沢計(GM−26D、村上カラーリサーチラボラトリー社製)を使用して測定した。測定値を表1に示した。
<光沢発現層表面の写像性>(写像性)
光沢発現層表面の写像性を測定した。写像性は、JIS H 8686−2に従って、光学くし幅2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T、スガ試験機社製)にて測定した。評価としては、次のとおりである。
写像性が30〜50%・・・画像鮮映性が喪中用の記録シートとして適当である(実用レベル)、
写像性が30%未満・・・画像鮮映性に劣り、光沢タイプの記録シートとして不適である(実用に適さない)、
写像性が50%を超える・・・画像鮮映性が高く、喪中用の記録シートとして不適である(実用に適さない)。
<裏面のコブ吸水度>(吸水度(PEG))
裏面のコブ吸水度をJIS P 8140:1998に従って、次に示す条件によって測定した。被吸収液は、20℃に温度調節されたポリエチレングリコール(PEG)の30%水溶液とした。インクジェット記録面には液体を吸収しないテープを貼ってバリヤし、裏面にPEGの30%水溶液を5秒接触させた後に、吸水量を測定し、吸水度(PEG)とした。測定値を表1に示した。
<表裏識別性>
裏面とインクジェット記録面との目視による識別性を評価した。判定基準は、次のとおりとした。評価結果を表2に示した。
○・・・容易に識別が可能(実用レベル)、
△・・・やや識別性に劣る(実用下限レベル)、
×・・・識別が困難(実用に適さない)。
<インクジェット記録面の色調妥当性>(色調妥当性)
インクジェット記録面における喪中葉書としての色調の妥当性を目視によって評価した。判定の考え方は、次のとおりとした。無彩色で明度及び白色度の官能評価ではあるが、本発明の淡い灰色の定義として記載する。灰色は、黒(くろ)と共に無彩色の一つである。黒は、光が人間の可視領域における全帯域にわたりむらなく感得されないこと若しくはそれに近い状態又はそのように人間に感じられる状態であるが、灰色はこの黒と白との中間的な色であり、白さの要素が強くなれば、淡い灰色となる。この灰色について、インクジェット印字部及び毛筆による筆記部とのコントラストが得られるよう、また、紙面全体から受ける印象を総合的に考慮した評価を行った。なお、官能評価において、パネラーは、30代から50代の男性5名女性5名の合計10名とした。判定基準は、パネラーが前記のとおり、紙面全体から受ける印象を総合的に考慮して評価をした。すなわち、妥当な場合は3点、やや妥当な場合は2点、不適当な場合は1点とし、10名の平均点が2.5点以上3.0点以下の場合を実用レベル(○)、2.0点以上2.5点未満の場合を実用下限レベル(△)、2.0点未満の場合を実用に適さない(×)とした。評価結果を表2に示した。
<インクジェット記録面の風合い妥当性>(風合い妥当性)
インクジェット記録面の風合い妥当性について目視にて評価した。判定の考え方は、次のとおりである。「風合い妥当性」は、地合いなどの白紙肌、光沢むら、塗工面の均質性などの面感などを総合的に評価し、かつ、喪中用として適切な格調高い印象を受けるものについては評価が高くなるようにした。パネラーは、色調妥当性評価と同様とし、判定基準は、パネラーが地合いなどの白紙肌、光沢むら、塗工面の均質性などの面感などを総合的に評価し、かつ、喪中用として適切な格調高い印象を受けるものについては評価が高くなるように評価をし、塗工面の均一性に優れ、光沢むらが無く、格調高い印象を受け、妥当である場合は3点、やや光沢むらが発生し、やや妥当である場合は2点、光沢むらが出ており、全体的に光沢度が高く品位に欠ける印象を受け、不適当である場合は1点とし、10名の平均点が2.5点以上3.0点以下の場合を実用レベル(○)、2.0点以上2.5点未満の場合を実用下限レベル(△)、2.0点未満の場合を実用に適さない(×)とした。評価結果を表2に示した。
<裏面の毛筆による筆記性>(毛筆筆記性)
毛筆又は筆ペンで筆記されることを想定し、毛筆による筆記を模擬し、筆ペン(商品名:慶弔サインペン(筆文字)「うす墨」、ぺんてる社製)を用いて裏面に直筆によって筆記したときの書き味の滑らかさを官能評価した。パネラーは、色調妥当性評価と同様とした。判定基準は、パネラーが和紙に筆記したときの抵抗感との比較評価をした。すなわち、筆記時の抵抗感がない場合は3点、やや抵抗があるが、筆記に支障がない場合は2点、抵抗が高く、筆記に支障をきたす場合は1点とし、10名の平均点が2.5点以上3.0点以下の場合を実用レベル(○)、2.0点以上2.5点未満の場合を実用下限レベル(△)、2.0点未満の場合を実用に適さない(×)とした。評価結果を表2に示した。
<裏面の毛筆による筆記品位>(毛筆筆記品位)
筆ペン(商品名:慶弔サインペン(筆文字)「うす墨」、ぺんてる社製)で裏面に直筆によって筆記したときの筆記個所の筆記品位を目視評価した。判定基準は、毛筆特有の墨汁が毛筆用和紙に吸収、セットされた後の筆末の微妙なかすれ具合、筆圧や墨汁吸収量に応じた墨の濃淡の再現性を着目点とし、次のとおりとした。評価結果を表2に示した。
○・・・筆圧及び/又はインクの吸収量に応じた墨の濃淡が忠実に再現される(実用レベル)、
△・・・やや再現性に劣るが、墨の濃淡が出ている(実用下限レベル)、
×・・・色の濃淡が出にくく印字調となるか、又は、筆記個所がかすれ易く、文字になりにくい(実用に適さない。)。
<裏面のボールペン筆記性>(ボールペン筆記性)
油性ボールペン(商品名:uni laknock「黒」、三菱鉛筆社製)で、裏面に直筆によって筆記したときの書き味の感触と筆記品位とを官能評価した。パネラーは、色調妥当性評価と同様とした。判定基準は、パネラーがコピー用紙(商品名:マリコピーR70、北越紀州製紙社製)に筆記したときの抵抗感との比較評価をした。すなわち、筆記時にある程度の抵抗を感じることができ、ボールチップからインキの転写が十分に行われる場合は3点、筆記時に抵抗がやや小さいが、インクの転写が行われる場合は2点、筆記時の抵抗感が小さすぎて、ボールチップのスリップ現象が生じてしまい、インクの吸収が不十分となる又は筆圧を高く、直筆速度を抑制しなくては筆記品位を挙げられない場合は1点とし、10名の平均点が2.5点以上3.0点以下の場合を実用レベル(○)、2.0点以上2.5点未満の場合を実用下限レベル(△)、2.0点未満の場合を実用に適さない(×)とした。評価結果を表2に示した。
<裏面及びインクジェット記録面のインクジェット印字適性>(インクジェット印字適性)
市販のフルカラーインクジェットプリンター(商品名:PM−900C、セイコーエプソン社製)を用いて、インクジェット記録面(通信面)又は裏面(宛名面)に、白黒の写真画像を印刷し、画像細部のむら、境界部の滲み、発色の鮮やかさ(特に、地の色と印字部とのコントラスト)を目視で観察し、総合評価をした。また、裏面(宛名面)に関しては、印字部の耐水性を黒ベタ部に水を滴下した後の流れ具合を目視評価した。判定基準は、次のとおりとした。評価結果を表3に示した。
○・・・良好(実用レベル)、
△・・・やや劣る(実用下限レベル)、
×・・・劣る(実用に適さない。)。
<裏面のインクジェット印字耐水性>(インクジェット印字耐水性)
市販のフルカラーインクジェットプリンター(商品名:PM−900C、セイコーエプソン社製)を用いて、裏面(宛名面)に、白黒の写真画像を印刷し、印字部に水を滴下し、常温乾燥後のインクの滲み出しをインクジェット印字耐水性として評価した。判定基準は、次のとおりとした。評価結果を表3に示した。
○・・・良好(実用レベル)、
△・・・やや劣る(実用下限レベル)、
×・・・劣る(実用に適さない。)。
<オフセット印刷適性:裏面の湿し水による溶出試験>(湿し水濁度)
裏面の湿し水への耐久性を次の要領にて調査した。試料は、インクジェット記録面の影響を除するため、裏面側だけとなるように、支持体を層間に沿って分離し、1水準につき、25cm(5×5cm)の試験片を4個用意した。予め、20℃に温度調整しておいた湿し水50mlに、試験片4個を浸漬させ、30分後における湿し水の上澄み液を、濁度試験機(300A、日本電色工業社製)によって「湿し水濁度」を測定した。湿し水には、過乳化制御型エッチ液(SOLAIA 503、光陽化学工業社製)を0.8%とIPA代替アルコール(AG−U2、光陽化学工業社製)5%とを混合した水溶液を使用した。評価結果を表3に示した。
<オフセット印刷適性:版汚れ評価>
実機印刷における印刷版の汚れの程度を目視によって、評価した。印刷条件及び判定基準は、次のとおりとした。評価結果を表3に示した。
印刷条件:
印刷機 Roland社製印刷機
印刷速度 8000枚/時
印刷環境 25℃、50%RH
湿し水 SOLAIA 503/AG−U2=0.8/5.0%(10℃)
使用インキ KartonKing CKウインエコー 墨
判定基準:
○:2000枚印刷後に、画線部及び非画線部の汚れが発生せず、ブランケット付着物の発生が認められない(実用レベル)。
△:2000枚印刷後に、画線部及び非画線部の汚れが若干発生し、ブランケット付着物が若干発生する(実用下限レベル)。
×:2000枚印刷後に、画線部及び非画線部の汚れが問題になるレベルであり、ブランケット付着物も多く発生する(実用に適さない)。
Figure 0005073794
Figure 0005073794
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実施例1〜10は、比較例1〜14と比較して、表裏を目視にて容易に識別可能であり、クリア塗工層のオフセット印刷の湿し水への溶出が少なく、かつ、喪中に適した色調及び風合いを有しながら、インクジェット記録面でのインクジェット印字適性に優れ、裏面での毛筆及びボールペンの筆記適性に優れていた。
比較例1は、インク受容層を設けなかったため、インクジェット印字適性に劣り、かつ、明度差ΔL及び白色度差ΔWがなく、表裏識別性、色調妥当性に劣った。比較例2は、インク受容層に黒系着色顔料を添加しなかったため、表裏識別性及び色調妥当性及び風合い妥当性に劣った。比較例3は、インク受容層の黒系着色顔料の含有量が多かったため、白色度差ΔWが大きくなり、色調妥当性に劣った。比較例4及び5は、インク受容層の着色顔料を黒系着色顔料に変えて有彩色着色顔料にしたため、色調妥当性に劣った。比較例6は、クリア塗工層の水溶性高分子の含有量が多かったため、湿し水濁度差が大きくなり、オフセット印刷適性、毛筆筆記品位及びボールペン筆記性に劣った。比較例7及び8は、クリア塗工層のインク定着剤の含有量が多かったため、湿し水濁度差が大きくなり、オフセット印刷適性に劣った。比較例9は、黒系着色顔料がアニオン性であったため、色むらが発生し、風合い妥当性に劣った。比較例10は、染料がカチオン性であったため、塗工液に凝集が起こり、色むらが発生し、風合い妥当性に劣った。比較例11は、光沢発現層の顔料がコロイダルシリカと気相法シリカとの併用であったため、光沢度が高くなり喪中用として不適となった。比較例12は、光沢発現層の顔料がアルミナ微粒子であったため、写像性が高くなり喪中用として不適となった。比較例13は、光沢発現層の顔料が粒子径の異なるコロイダルシリカを併用したため、光沢度が高くなり喪中用として不適となった。比較例14は、ゲル化剤が1価のアルカリ金属イオンの金属塩であったため、所望の光沢度が得られなかった。また、光沢発現層表面の均質性が低くなり、風合い妥当性に劣った。
前記結果から明らかなように、本実施形態に係るインクジェット用記録シートは、インクジェット記録面にて良好なインクジェット印字適性を有するとともに、喪中用として適切な色調と外観とを有し、裏面にて各種筆記適性に優れ、かつ、オフセット印刷における作業性が向上していた。さらに、裏面とインクジェット記録面とは、容易に目視にて識別が可能であった。したがって、本実施形態に係るインクジェット用記録シートは、特に喪中用としての葉書、ポスター、垂れ幕などの利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 木材繊維を主体とした支持体の片面に顔料とバインダーと着色剤とを含有する1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層の最表層上に顔料とバインダーとを含有する光沢発現層がキャストコート法のうちゲル化法によって設けられ、前記支持体の前記インク受容層とは反対面に水溶性高分子又は親水性樹脂とインク定着剤として水溶性高分子電解質とを含有するクリア塗工層が設けられた喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートであって、
    前記インク受容層は、前記着色剤としてノニオン性の着色顔料だけを含有し、
    該着色顔料は、ノニオン性の黒系着色顔料を含有し、
    該黒系着色顔料の含有量が、前記インク受容層中の前記着色剤を除いた顔料の合計含有量100質量部に対して0.050〜0.170質量部であり、
    前記光沢発現層は、前記顔料として単分散の球状コロイダルシリカを1種類だけ含有し、かつ、前記ゲル化法のゲル化液は、ゲル化剤としてアルカリ土類金属イオンの金属塩を含有し、
    前記光沢発現層の表面は、JIS P 8142:2005に従って測定した75°における光沢度が60%以上80%未満であり、
    前記クリア塗工層における前記水溶性高分子又は親水性樹脂の乾燥塗工量は、0.14g/m未満であり、かつ、前記水溶性高分子電解質の乾燥塗工量は、1.38g/m未満であり、
    前記光沢発現層の表面と前記クリア塗工層の表面とは、JIS P 8150:2004に従って測定した明度指数の差ΔLが−5.0≦ΔL≦−3.0であり、
    かつ、JIS P 8148:2001に従って測定したISO白色度の差ΔWが−5.0≦ΔW≦−1.0であることを特徴とする喪中用色付きインクジェット用光沢記録シート。
  2. 前記黒系着色顔料は、単独で黒系の色調を有する顔料又は混合されて黒系の色調を有する顔料であることを特徴とする請求項1に記載の喪中用色付きインクジェット用光沢記録シート。
  3. 前記インク受容層は、前記着色顔料として前記黒系着色顔料とノニオン性の有彩色着色顔料とを含有し、
    前記有彩色着色顔料の含有量が、前記インク受容層中の前記着色剤を除いた顔料の合計含有量100質量部に対して0.030質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の喪中用色付きインクジェット用光沢記録シート。
  4. 前記クリア塗工層は、JIS P 8140:1998に規定する吸水度試験方法において、接触時間を5秒とし、ポリエチレングリコールの30質量%水溶液を用いて求めたコブ吸水度が28g/m以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の喪中用色付きインクジェット用光沢記録シート。
  5. 前記支持体から分離した表面積が25cmの前記クリア塗工層からなる試験片4枚をオフセット印刷用の湿し水50ml(20℃)に30分間浸漬したときに、その浸漬前後の湿し水の濁度差が1.7Haze未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の喪中用色付きインクジェット用光沢記録シート。
  6. 前記光沢発現層の表面は、JIS H 8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」に準じ、光学くし幅2mm入反射角度60°の条件で測定した写像性が30〜50%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の喪中用色付きインクジェット用光沢記録シート。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つに記載された喪中用色付きインクジェット用光沢記録シートを用いたことを特徴とする喪中用色付きインクジェット葉書。
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