JPH0768921A - インクジェット記録シート及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録シート及びその製造方法

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JPH0768921A
JPH0768921A JP5219774A JP21977493A JPH0768921A JP H0768921 A JPH0768921 A JP H0768921A JP 5219774 A JP5219774 A JP 5219774A JP 21977493 A JP21977493 A JP 21977493A JP H0768921 A JPH0768921 A JP H0768921A
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JP
Japan
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recording sheet
ink
base paper
receiving layer
pulp
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JP5219774A
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English (en)
Inventor
Toshihiko Matsushita
壽彦 松下
Toru Katsura
徹 桂
Yoshihiko Hibino
良彦 日比野
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インク受理層面の塗工ムラがなく、インクの
吸収性や鮮明性に優れ、剛直性のある微塗工タイプのイ
ンクジェット記録シート及びその製造方法を提供する。 【構成】 平均粒子径0.1〜5.0μmの填料と保水
度を特定した針葉樹パルプを定着剤と共に混合後、保水
度を特定した広葉樹パルプと混合し、抄紙して得た該原
紙を用い、該原紙上に、インク受理層組成物として主成
分に非球状カチオン性コロイダルシリカを用いてなるイ
ンクジェット記録シート及びその製造方法。好ましく
は、針葉樹パルプNと広葉樹パルプLの重量比N/Lが
5/95〜20/80の範囲であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録シ
ート及びその製造方法に関するものであり、更に詳しく
は、不透明性ある原紙で、原紙の平滑性に反映してイン
ク受理層塗液の塗工性に優れ、インク受理層面の塗工ム
ラがなく、且つインクの吸収性や鮮明性に優れ、剛直性
のある微塗工タイプのインクジェット記録シート及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】インクジェット記録方式は、種々の作動原
理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録シー
トに付着させ、画像、文字等の記録を行なうものである
が、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通
性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を
含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の
用途において急速に普及している。又、多色インクジェ
ット方式により形成される画像は、製版方式による多色
印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のな
い記録を得ることが可能である。更に、作成部数が少な
くて済む用途においては、写真技術によるよりも安価で
あることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用さ
れつつある。
【0003】特に、近年では、ニーズの多様化に伴っ
て、インクジェット記録方式で印字された記録シート
が、価格表示用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベ
ル、品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用
ラベル(ステッカー)等のラベル用途、或はCD/AT
M、自動発券機等の金銭に係わる用途に使用されつつあ
る。これらの用途においては、インクジェット記録シー
ト自体の種々特性に加えて、十分な剛直性を有すること
が求められる。
【0004】インクジェット記録方式で使用される記録
シートとしては、通常の印刷や筆記に使われる上質紙や
コーテッド紙を使うべく、装置やインク組成の面から努
力がなされてきた。しかし、装置の高速化・高精細化或
はフルカラー化等インクジェット記録装置の性能の向上
や用途の拡大に伴い、記録シートに対してもより高度な
特性が要求されるようになった。即ち、当該記録シート
としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮や
かであること、インクの吸収が早くて印字ドットが重な
った場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしな
いこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大き
くなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと等が要求さ
れる。
【0005】インクジェット記録シートの形態として
は、所謂、上質紙・ボンド紙等に代表される普通紙タイ
プと上質紙等の紙、合成紙、合成樹脂フィルム等の支持
体面上にインク受理層を設けた塗工タイプに大別され
る。
【0006】塗工タイプには、1〜10/m2程度の低
塗工タイプ、10〜20g/m2程度の中塗工タイプ、
20g/m2以上の高塗工タイプの各インクジェット記
録シートがある。特に、近年に至っては、低塗工タイプ
でも下限の塗工量0.5〜5g/m2の微塗工タイプが
普通紙に近いものとなり、外観的にも、取扱いとしても
好ましく、この微塗工タイプが望まれてきている。微塗
工タイプのインクジェット記録シートは、原紙に塗設さ
れるインク受理層の塗工量が少なく、インクジェット記
録シートの種々特性が、原紙に大きく依存することか
ら、均一なインク受理層を得るには、原紙の平滑性を高
くすることが最も好ましい手段である。即ち、原紙の平
滑性を高めることにより、インク受理層塗液の塗工が容
易となり、塗設されたインク受理層を均一な塗層とする
ことができる。
【0007】一方、原紙に関して、通常、原紙の規格は
坪量で規定されているが、インクジェット記録シートの
ような情報用紙の特性としては厚さの方が重要であるこ
とが多い。特に、プリンター等の自動化に伴って、機械
に紙を供給する際の作業性や機械内での紙の走行性の向
上が求められる場合は、十分な剛直度が必要なこともあ
り、機械や装置に合った厚さの紙を供給することが先ず
求められる。その際、当然のことではあるが、平滑性の
ような本来の用途の印字に関連した品質特性を損わず、
むしろ向上させることが期待される。又、紙の低坪量化
の動向に伴って、不透明性の高いことも同時に求められ
るようになってきている。
【0008】上記原紙の厚さに対する要求を満たすた
め、叩解の程度を減少させたり、プレスでの加圧を軽く
する等の技術的対応が先ずとられるが、それに伴って填
料歩留まりの減少、プレスロールでの汚れ発生、平滑性
の低下、強度の低下等を生じるため、対策には限界があ
った。そこで、やむを得ず規格以上の坪量で原紙を製造
すること等が行われているが、最近は木材資源保護の観
点からその見直しが求められている。
【0009】一方、原紙の製造方法を改良して、積極的
に低密度な紙を製造することも試みられている。それら
には、特開昭59−43199号公報に開示されている
ような湿潤時に圧縮処理して潰した繊維を紙に含有させ
る方法、特開昭51−132822号公報に開示されて
いるような発泡性の微小球状体をパルプに添加する方
法、特公昭55−47385号、特開昭58−2400
0号、同58−197400号等の各公報に開示されて
いるような、軽度に叩解したパルプと叩解を進めたパル
プを混合使用する方法等がある。又、原紙の不透明性を
向上させる手段としては、高屈折率顔料の利用や填料含
有率の増加が試みられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明のインクジェッ
ト記録シートにおいて、該記録シートに用いられる原紙
として、不透明性があり、剛直性と平滑性の優れた原紙
の検討を行ってきた。その結果、圧縮処理して潰した繊
維を含有させる方法や発泡性の微小球状体を紙に含有さ
せる方法で得た原紙では、低密度な原紙は得られるもの
の、十分な剛直度と平滑性を有する原紙は得られないこ
とが明らかになった。又、軽度に叩解したパルプと叩解
を進めたパルプを混合使用して抄造した原紙も、上記公
報等に開示されている条件では、叩解を進めるパルプの
保水度が低すぎる(特公昭55−47385号公報)、
或は高すぎる(特開昭58−24000号公報、同58
−197400号公報)ため、低密度で剛直性の優れて
いるものの、平滑性については不十分であった。更に、
填料の種類や添加量を変化させて得た原紙では、不透明
性が向上するものの、強度や剛直度の低下が避けられ
ず、劣った。上述したとおり、目的とする平滑性が良好
で、インク受理層塗液の塗工性の優れ、且つ十分な剛直
性を有し、不透明性のあるインクジェット記録シートの
原紙とすることができなかった。
【0011】即ち、本発明の目的は、インクジェット記
録シートでも、微塗工タイプのインクジェット記録シー
トであり、使用する原紙が不透明性で、該原紙の平滑性
に反映してインク受理層塗液の塗工性に優れ、インク受
理層の塗工ムラがなく、且つインク吸収性や鮮明性に優
れ、剛直性を有するインクジェット記録シートを得るこ
とを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記に鑑
み鋭意研究した結果、軽度に叩解したパルプと叩解を進
めたパルプを混合し、パルプ繊維の膨潤性と填料の分散
性を考慮して得た原紙で、不透明性、剛直性並びに平滑
性を備えた原紙を使用することにより、インク受理層塗
液の塗工性に優れ、インク受理層の塗工ムラがなく、且
つインク吸収性や鮮明性に優れ、剛直性を有するインク
ジェット記録シート及びその製造方法を発明するに至っ
た。即ち、本発明のインクジェット記録シートは、原紙
上にインク受理層を塗設してなるインクジェット記録シ
ートにおいて、該原紙が、平均粒子径0.1〜5.0μ
mの填料及び保水度が2.0〜3.0の針葉樹パルプを
定着剤と共に混合して後、保水度が1.1〜1.4の広
葉樹パルプと混合して抄紙した該原紙であり、該インク
受理層組成物が、主成分として非球状カチオン性コロイ
ダルシリカであることを特徴とするものである。
【0013】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、針葉樹パルプNと広葉樹パルプLの重量比N/L
が、5/95〜20/80であることを特徴とするもの
である。
【0014】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、平均粒子径0.1〜5.0μmの填料Pと針葉樹パ
ルプNの重量比P/Nが、1/2〜5/1であることを
特徴とするものである。
【0015】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、非球状カチオン性コロイダルシリカが、針状或は繊
維状のものであることを特徴とする。
【0016】又、本発明のインクジェット記録シートの
製造方法は、原紙上にインク受理層を塗設してなるイン
クジェット記録シートの製造方法において、平均粒子径
0.1〜5.0μmの填料及び保水度が2.0〜3.0
の針葉樹パルプを定着剤と共に混合して後、保水度が
1.1〜1.4の広葉樹パルプと混合して該原紙を抄造
し、該原紙上に、主成分として非球状カチオン性コロイ
ダルシリカからなる該インク受理層組成物を塗工するこ
とを特徴とするものである。
【0017】以下、本発明のインクジェット記録シート
について、詳細に説明する。本発明のインクジェット記
録シートにおいて、該記録シートの原紙に用いられる填
料としては、平均粒子径が、0.1〜5.0μmの填料
である。具体的には、タルク、クレー、カオリン、焼成
カオリン、二酸化チタン、沈降性炭酸カルシウム、重質
炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸
化アルミニウム、硅酸アルミニウム、硅酸カルシウム、
プラスチィックピグメント等が挙げられ、通常、原紙に
使用される填料を単独又は混合して使用することができ
る。ここで、填料の平均粒子径が0.1μm未満或は
5.0μmを超えて大きいと、十分な不透明性が得られ
ない。
【0018】上記填料の平均粒子径とは、填料の水分散
液を5分間、超音波分散機で分散後、光透過式粒度分布
測定器(SKN式、セイシン企業社製)により得られる
粒度分布曲線から求めた、累積重量パーセントが50%
に相当する粒子の直径である。
【0019】填料の定着剤としては、カチオン性ポリア
クリルアミド、ポリエチレンイミンポリアミドアミン、
ポリアミノ・ポリアミド・エピクロルヒドリン、カチオ
ン澱粉、カチオン性グアーガム等のカチオン性高分子電
解質、硫酸バンド、塩化アルミニウム、PAC等の無機
カチオン性物質を使用することができる。更に、アニオ
ン性ポリアクリルアミド、コロイダルシリカ、ベントナ
イトのようなカチオン性高分子電解質と複合体を形成す
るアニオン性物質や両性高分子電解質をカチオン性物質
と併用することも可能である。
【0020】平均粒子径0.1〜5.0μmの填料Pと
保水度が2.0〜3.0の針葉樹パルプNの混合比率P
/Nは、重量で1/2〜5/1であることが好ましい。
混合比率の範囲は、N/L比率と目的とする原紙の填料
含有率により制限されるが、通常1/2未満の場合に
は、十分な不透明性と剛直度が得られず、一方、5/1
を超えると不透明性向上の効果が減少する傾向にある。
填料を定着剤と共に針葉樹パルプに混合する手段として
は、チェストやタンクで濃度数パーセントのパルプスラ
リーに填料と定着剤を攪拌しながら添加混合する方法と
インラインミキサー等を利用して連続的に添加混合する
方法が利用できる。
【0021】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、該記録シートの原紙では、繊維膨潤性及び叩解度の
指標として、保水度を取り上げた。測定の容易さの点か
らは濾水度が好ましいが、濾水度はパルプの繊維形態や
化学組成の影響も受け易いため、繊維の膨潤性を規定す
る方法としては不適当と考えた。
【0022】保水度は、TAPPI標準法UM256に
準拠して測定した値であり、所定の条件で遠心分離後、
湿潤パルプに保持されている水分の重量Wを、パルプ乾
燥重量に対する比W/Pとして表した。但し、本発明で
は、遠心分離条件として、温度21±3℃、3000g
(g=重力加速度)、15分間とした。
【0023】パルプの保水度は、針葉樹パルプについて
は2.0〜3.0、広葉樹パルプについては1.1〜
1.4である。ここで、針葉樹パルプの保水度が2.0
未満の場合は、繊維間結合の補強効果が不十分なために
良好な剛直度が得られないと共に、填料の添加による不
透明度向上効果も小さく、一方、3.0を超える場合に
は、乾燥時の収縮が大きくなるために平滑性が低下す
る。又、広葉樹パルプの保水度が1.1未満の場合は、
繊維の柔軟性が不足するために十分な結合強度が得られ
ず、剛直度も低くなり、1.4を超える場合は、厚さが
減少し(密度が高くなり)、剛直度が低下すると共に平
滑性も低下するため好ましくない。
【0024】パルプの保水度を調節するための手段とし
ては、通常、パルプの叩解に用いられる設備、即ちビー
ター、コニカルリファイナー、ディスクリファイナー
等、或は特開昭56−100801号公報に記載されて
いるようなパルプを高圧下でホモジザイザー処理する方
法が使用できる。なお、針葉樹パルプについては、特に
粘状叩解の可能な装置或は刃型の選択が好ましい。
【0025】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、該記録シートの原紙に使用するパルプとしては、ク
ラフトパルプ、サルファイトパルプ、ケミサーモメカニ
カルパルプ等が挙げられる。針葉樹パルプと広葉樹パル
プの混合比N/Lは、5/95〜20/80の範囲が良
い。ここで、5/95未満では十分な剛直度が得られ
ず、20/80より大きくなると乾燥時の収縮が大きく
なるため、良好な平滑性が得られない。
【0026】上記原紙には、通常抄紙で用いられる、染
料、填料、サイズ剤、定着剤、乾燥紙力増強剤等を必要
に応じて含有させてもよい。更に、原紙表面にサイズプ
レス等により、澱粉やポリビニルアルコール等を塗布す
ることも可能である。なお、その際の塗工装置として
は、エアナイフコーター、グラビアコーター、カーテン
コーター、ダイコーター、ブレードコーター等が用いら
れる。
【0027】本発明のインクジェット記録シートは、微
塗工タイプのインクジェット記録シートであり、原紙の
上に、インク受理層が塗工量0.5〜5g/m2と薄く
塗工され、原紙面の平滑性をそのまま反映した状態で微
塗工され、且つ剛直性を有するものである。微塗工の程
度は、原紙自体の表面がより平滑性を有するほど塗工ム
ラの少ないものとすることができる。即ち、原紙の平滑
性が高いほど、インク受理層塗液の塗工性が向上し、均
一にインク受理層を塗工することが可能となったのであ
る。又、剛直性あるインクジェット記録シートとするこ
とが可能となった。
【0028】本発明のインクジェット記録シートは、上
述したような本発明の範囲内にある原紙にインク受理層
を微塗工したものであり、原紙の均一性に反映して平
滑、且つ均一なインク受理層とすることができる。イン
ク受理層が均一に塗工されている場合、インクジェット
プリンターを使用してインク受理層面にインクが与えら
れたとき、インク受理層面が均一に塗工されているた
め、インクのインク受理層面方向の広がりを起こさず、
真円に近い記録ドットを表現することができ、余剰イン
クがインク受理層面から原紙の厚さ方向に浸透していく
ためである。一方、本発明の範囲外の原紙では、インク
受理層面に塗工ムラを生じやすく、インクが記録面方向
に広がる比率が多くなり、結果として記録ドットは、真
円からはずれた形状となる。更に、原紙への浸透も不規
則となり、インクの滲みが現れる。
【0029】更に、本発明のインクジェット記録シート
においては、該記録シートの原紙が、不透明性を備えた
原紙であることから、記録画像の鮮明性が顕著に現れ
る。
【0030】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、インク受理層面は、非球状カチオン性コロイダルシ
リカを主体とする組成物を使用することで、原紙面の平
滑性を反映した面とすることができる。非球状カチオン
性コロイダルシリカの粒子径について、原紙を形成する
パルプ繊維と比較すると、パルプ繊維の繊維幅が数10
μmのオーダーに対して、該コロイダルシリカの最大短
径は、50nm以下、好ましくは30nm以下である。
最大短径が微小であればあるほど、原紙面への塗工が均
一となり好ましい。又、該コロイダルシリカの長さは、
300nm以下、好ましくは100nm以下である。こ
れら非球状カチオン性コロイダルシリカは、通常水中に
一次粒子径を維持した状態でコロイド状に分散している
ものを使用する。
【0031】本発明に用いられる非球状カチオン性コロ
イダルシリカとしては、該コロイダルシリカの表面をカ
チオン変性剤である金属酸化水和物を使用して被覆し、
カチオン変性にしたものである。本発明で言う非球状と
は、実質的に球状でないという意味であり、針状、柱
状、数珠状、棒状、板状、塊状、繊維状、紡錘状等各種
形態があるが、特に針状或は繊維状のものが好ましく用
いられる。
【0032】又、本発明のインクジェット記録シートに
用いられる非球状カチオン性コロイダルシリカとして
は、酸化アルミニウム水和物、酸化ジルコニウム水和
物、酸化錫水和物等の金属酸化水和物からなるカチオン
変性剤で被覆された該コロイダルシリカが好ましく用い
られ、特に酸化アルミニウム水和物でカチオン変性され
たものが好ましく用いられる。カチオン変性の方法とし
ては、米国特許第3,007,878号明細書、特公昭
47−26959号公報等に記載の方法で行うことが出
来る。
【0033】本発明のインクジェット記録シートに用い
られる非球状カチオン性コロイダルシリカにおいて、カ
チオン変性剤である金属酸化水和物の被覆量としては、
シリカ(SiO2換算)に対して、金属酸化物換算で1
〜30重量%の範囲が有用である。カチオン変性剤の被
覆量が1重量%と少なすぎると、インクジェット記録用
シ−トのインク記録された画像の耐水性が顕著に悪化
し、逆に多過ぎると被覆面の皮膜物性が脆弱となってヒ
ビ割れを起こし、パルプ繊維表面の露呈が目立ってく
る。該被覆量として、好ましくは2.5〜25重量%、
更に好ましくは5〜20重量%である。又、非球状カチ
オン性コロイダルシリカの分散液中には、コロイド安定
剤等の目的で酢酸、クエン酸、硫酸、リン酸等の酸成分
を含有してもよい。
【0034】本発明のインクジェット記録シートには、
非球状カチオン性コロイダルシリカに加えて、超微粒子
無機顔料を併用することができる。超微粒子無機顔料と
しては、以下のものを例示することができる。例えば、
シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナ或はアルミナ水
和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性
アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト
等)、表面処理カチオン性コロイダルシリカ、珪酸アル
ミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙
げられ、一次粒子が多孔性であれば、なお好ましいが、
非多孔性であっても塗工液調製時に凝集したり、塗工乾
燥時に更に凝集し、パルプ繊維表面に多孔性の表面被覆
面が形成されることが好ましい。特に、本発明において
は、原紙表面のパルプ繊維1本1本に繊維の幅の数10
0分の1以下の平均粒子径を有する非球状カチオン性コ
ロイダルシリカを用いてパルプ繊維自体を被覆すること
が好ましい。
【0035】更に、超微粒子無機顔料と併用することの
できる無機顔料は、従来公知の如何なるものも用いるこ
とができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カ
ルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜
鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、
珪酸カルシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニウ
ム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化
マグネシウム等を挙げることができる。これら該無機顔
料の中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非
晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ
等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質
シリカが好ましい。又、スチレン系プラスチックピグメ
ント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレ
ン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有
機顔料等を上記超微粒子無機顔料と共に併用することも
できる。
【0036】インク受理層を塗工する上で、非球状カチ
オン性コロイダルシリカと共に使用されるバインダーと
して、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸
化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導
体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビ
ニルアルコール等;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブ
タジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン
共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリ
ル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共
重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重
合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビ
ニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いはこ
れらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量
体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、
尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性バインダー;ポ
リメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、
ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系
バインダーを挙げることができ、少なくとも1種以上で
使用することができる。又、従来公知の染料を定着する
目的として添加するカチオン性樹脂を併用することもで
きる。
【0037】バインダーの総量は、目的とするインクジ
ェット記録シートの特性に合わせて、適宜調整すること
が出来るが、一般には、顔料100重量%に対して、5
〜60重量%である。更に、その他の添加剤として、顔
料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離
型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐
水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合
することもできる。
【0038】本発明において、インク受理層を塗工する
方法は、塗工或は含浸の方法があるが、インク受理層面
の塗工量については、特に限定するものではない。通
常、普通紙ライクを指向する場合には、0.5〜5g/
2が好ましいが、これ以上塗工してもよい。
【0039】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、上述した原紙に、そのままインク受理層を設けても
良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレ
ンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレン
ダー装置を使用して、インク受理層を設けても良い。
【0040】インク受理層を塗工する方法としては、各
種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコー
タ、バーコータ、ロッドコータ、ゲートロールコータ、
カーテンコータ、ショートドウェルコータ、グラビアコ
ータ、フレキソグラビアコータ、サイズプレス等の各種
装置をオンマシン或はオフマシンで用いることができ
る。しかし、本発明においては、特にサイズプレス、ロ
ッドコータ、ゲートロールコータ、エアーナイフコータ
が好ましい。又、塗工後には、マシンカレンダー、TG
カレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等
のカレンダーを用いて仕上げても良い。
【0041】本発明で云う水性インクとは、下記の着色
剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反
応性染料或は食品用色素等の水溶性染料が挙げられる。
【0042】水性インクの溶媒としては、水及び水溶性
の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアル
コール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等
の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセト
ン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコ
ール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2,6 −ヘキサントリオール、チ
オジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレング
リコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリ
コール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエー
テル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エー
テル、トリエチレングリコール、モノメチルエーテル等
の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げら
れる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチ
レングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリ
コールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエ
ーテルが好ましい。 その他の添加剤としては、例え
ば、PH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、
表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が
挙げられる。
【0043】本発明におけるインクジェット記録シート
は、インクジェット記録シートとしての使用に留まら
ず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記
録シートとして用いることもできる。例えば、熱溶融性
物質、染顔料等を主成分とする熱溶融性インクを樹脂フ
ィルム、高密度紙、合成紙などの薄い支持体上に塗布し
たインクシートを、その裏面より加熱し、インクを溶融
させて転写する熱転写記録用受像シート、熱溶融性イン
クを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジェ
ット記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを
用いたインクジェット記録シート、光重合型モノマー及
び無色又は有色の染顔料を内包したマイクロカプセルを
用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シート等
が挙げられる。
【0044】これらの記録シートの共通点は、記録時に
インクが液体状態である点である。液状インクは、硬
化、固化又は定着までに、記録シートのインク受理層の
深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上
述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収
性を必要とするもので、本発明のインクジェット記録シ
ートを上述した各種の記録シートとして利用しても何ら
制限しない。更に、複写機・プリンター等に広く使用さ
れている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録
シートとして、本発明におけるインクジェット記録シー
トを使用することもできる。
【0045】
【作用】本発明のインクジェット記録シートにおいて、
平均粒子径0.1〜5.0μmの填料及び保水度が2.
0〜3.0の針葉樹パルプを定着剤と共に混合して後、
保水度が1.1〜1.4の広葉樹パルプと混合して抄紙
した原紙は、不透明性を備え、剛直度と平滑性が優れ、
又、針葉樹パルプNと広葉樹パルプLの重量比N/L
が、5/95〜20/80であり、更に、平均粒子径
0.1〜5.0μmの填料Pと針葉樹パルプNの重量比
P/Nが、1/2〜5/1である場合に、特に優れた効
果が得られ、該原紙上に主成分として非球状カチオン性
コロイダルシリカからなるインク受理層を塗工すること
で、インク受理層塗液の塗工性に優れ、インク受理層面
の塗工ムラがなく、且つインクの吸収性や鮮明性に優
れ、剛直性を有する微塗工タイプのインクジェット記録
シートとすることができる。
【0046】
【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げて説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
又、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示
しない限り重量部及び重量%を示す。
【0047】実施例1〜3 [原紙の作製]ダブルディスクリファイナーで保水度を
2.0(実施例1)、2.6(実施例2)並びに3.0
(実施例3)と変化させて叩解した針葉樹クラフトパル
プ(NBKP)に、平均粒子径1.0μmの沈降性炭酸
カルシウムを、NBKPに対する重量比が1.5になる
量をそれぞれ添加し、更に、パルプと填料の合計重量に
対し、0.5%相当量のカチオン澱粉(ケイトF、王子
ナショナル社製)を添加混合し、パルプと填料の凝集物
を得た。次いで、保水度が1.2まで叩解した広葉樹ク
ラフトパルプ(LBKP)をNBKPとの重量比N/L
が10/90になるように混合し、実施例1〜3の配合
のパルプを調製した。
【0048】続いて、それぞれのパルプ100部に対し
て、アルキルケテンダイマーサイズ剤(ハーコン11−
2、ディックハーキュレス社製)を0.1部、カチオン
澱粉(ケイトF、王子ナショナル社製)を0.7部添加
した紙料を用いて、長網抄紙機により坪量64g/m2
のインクジェット記録シート用原紙を製造した。多筒式
ドライヤーで乾燥後の原紙は 酸化澱粉の3%水溶液で
サイズプレス処理し乾燥後、マシンカレンダー処理を行
い、実施例1〜3のインクジェット記録シート用原紙と
した。
【0049】[インクジェット記録シートの作製]上記
により作製した3種のインクジェット記録シート用原紙
に、インク受理層組成物として、針状のコロイドダルシ
リカをシリカ(SiO2 換算)に対しAl23換算で約
6.2重量%の酸化アルミニウム水和物により変性した
針状のカチオン変性コロイダルシリカの10%水分散液
(粒径;幅10〜20nm×長さ50〜200nm)1
000部、接着剤としてポリビニルアルコールの10%
水溶液(PVA117、クラレ社製)300部、染料定
着剤としてカチオン性樹脂の60%水溶液(ポリフィッ
クス601、カチオン荷電量6.9meq./g、昭和
高分子社製)50部を主成分とする固形分濃度10%の
水性分散液をロッドコータを用いて、塗工速度300m
/分で乾燥固型分1g/m2となるように塗工、乾燥
し、カレンダー仕上げして実施例1〜3のインクジェッ
ト記録シートを作製した。
【0050】比較例1及び2 実施例1において、NBKPの保水度を1.9(比較例
1)及び3.1(比較例2)に変化させる以外は、実施
例1と同様にしてインクジェット記録シート用原紙を製
造した。続いて、製造した原紙に、実施例1と同様のイ
ンク受理層塗液を用いてインク受理層を塗工し、それぞ
れ比較例1及び比較例2のインクジェット記録シートと
した。
【0051】実施例1〜3及び比較例1〜2で作製した
インクジェット記録シートについて、下記の評価方法に
より評価し、その評価結果を表1に示した。なお、剛直
度、平滑度、不透明度(表1中では、不透明と略す)に
ついては、原紙を用いた。又、表1(表2〜6も同一)
中のN/Lは、NBKPとLBKPの重量比であり、P
/Nは填料とパルプの重量比である。
【0052】[剛直度]剛直度は、JIS P8143
に従って測定したクラークこわさの値であり、インクジ
ェットプリンターで良好な走行性を得るには、坪量が6
4g/m2の原紙の場合、縦方向で53.0cm3/10
0以上、更に好ましくは56cm3/100以上が必要
である。
【0053】[平滑度]平滑度は、英国標準法6563
に準拠し、測定圧10kg/cm2、圧板として硬い材
質使用の条件でパーカープリントサーフ(ローレンツエ
ン社製)により測定した平滑度であり、値(μm)の小
さい方が平滑である。良好な記録適性を得るには、5.
5μm以下、更に好ましくは5.3μm以下であること
が求められている。
【0054】[不透明度]不透明度は、JIS P81
38に準拠してハンター白色度試験機により測定した値
であり、良好な不透明性を有するためには、82%以
上、更に好ましくは85%以上であることが必要とされ
ている。
【0055】[塗工性]塗工性は、原紙上に各種コータ
を用いて、インク受理層組成物を塗工速度300m/分
で塗工したインクジェット記録シートについて評価し
た。なお、評価基準として、塗工ムラが少ない順に表
し、Aは特性が良好、Bは実用上問題ない範囲で良好、
Cは実用上問題ありとした。
【0056】[インク吸収性及び鮮明性]インク吸収性
及び画像の鮮明性は、重色ベタ印字部分の境界、例え
ば、赤印字(マゼンタ+イエロー)と緑印字(シアン+
イエロー)の境界部分のインクのにじみ具合いを、目視
で判定した。赤印字部分と緑印字部分が重ならず、分離
している場合を特性良好とし、重なりが大きくなって黒
線状になる場合を特性不良とした。インク吸収性の悪い
ものは、著しく画像品位(画像の鮮明性)を損なうた
め、他の特性、例えば、画像濃度等が良くても、何等意
味をなさない。なお、評価基準として、Aは特性が良
好、Bは実用上問題ない範囲で良好、Cは実用上問題あ
り、Dは特性が不良を示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1の結果から、NBKPの保水度が2.
0〜3.0の場合に、良好な剛直度、平滑性、不透明性
を有するインクジェット記録シート用原紙の得られるこ
とが明らかである。保水度が2.0未満の場合には、剛
直度と不透明性の優れた該原紙は得られず、3.0を超
える場合には平滑性の悪化することがわかる。これに対
応して、実施例1〜3のインクジェット記録シートは、
良好なインクジェット記録特性を示したが、比較例1の
インクジェット記録シートは、不透明性が低くく、鮮明
性に劣った。又、比較例2のインクジェット記録シート
は、塗工性及びインク吸収性に劣った。
【0059】実施例4及び5 実施例1で、NBKPの保水度を2.6とし、LBKP
の保水度を1.1(実施例4)及び1.4(実施例5)
に変化させる以外は、実施例1と同様にして実施例4及
び実施例5のインクジェット記録シートを作製した。
【0060】比較例3及び4 実施例4において、LBKPの保水度を1.0(比較例
3)及び1.5(比較例5)に変化させる以外は、実施
例4と同様にして比較例3及び比較例4のインクジェッ
ト記録シートを作製した。
【0061】実施例4〜5及び比較例3〜4で作製した
インクジェット記録シートについて、上記の評価方法に
より評価し、その評価結果を表2に示した。
【0062】
【表2】
【0063】表2から、LBKPの保水度が1.1〜
1.4の場合に、剛直度と平滑性の優れたインクジェッ
ト記録シート用原紙の得られることがわかる。一方、
1.1未満の場合は、繊維の柔軟性が不足し十分な強度
が得られないために剛直度が低くくなり、1.4を超え
る場合は、剛直度が低下すると共に平滑性も低下するこ
とが認められる。これに対応して、実施例4及び5のイ
ンクジェット記録シートは、良好なインクジェット記録
特性を示したが、比較例3及び4のインクジェット記録
シートは、塗工性に劣った。
【0064】実施例6〜9 [原紙の作製]実施例1で、保水度が2.6のNBKP
と保水度が1.2のLBKPについて、重量比N/L
を、3/97(実施例6)、5/95(実施例7)、2
0/80(実施例8)並びに30/70(実施例9)に
変化させ、実施例1と同一の填料含有率になるように沈
降性炭酸カルシウム及びカチオン澱粉の添加量を変化さ
せる以外は、実施例1と同様にして実施例6〜実施例9
のインクジェット記録シート用原紙を製造した。 [インクジェット記録シートの作製]インク受理層組成
物として、柱状のカチオン性コロイダルシリカの10%
水分散液(粒径;幅40nm×長さ100〜300n
m)1000部、接着剤としてポリビニルアルコールの
10%水溶液(PVA117、クラレ社製)300部、
染料定着剤としてカチオン性樹脂の60%水溶液(ポリ
フィックス601、カチオン荷電量6.9meq./
g、昭和高分子社製)50部を主成分とする固形分濃度
15%の水性分散液をエアーナイフコータを用いて、塗
工速度300m/分で乾燥固型分3g/m2となるよう
に塗工、乾燥し、カレンダー仕上げして実施例6〜実施
例9のインクジェット記録シートを作製した。
【0065】実施例6〜9で作製したインクジェット記
録シートについて、上記の評価方法により評価し、その
評価結果を表3に示した。
【0066】
【表3】
【0067】表3の結果から、NBKPとLBKPの重
量比(N/L)は、5/95〜20/80の範囲が、剛
直度と平滑性の優れたインクジェット記録シート用原紙
を得るために必要なこと、5/95未満では十分な剛直
度が得られず、20/80より大きくなると乾燥時の収
縮が大きくなるため、良好な平滑性の得られないことが
明らかである。又、この場合の填料とNBKPの重量比
は、1/2〜5/1の範囲に入っている。これに対応し
て、実施例6〜9のインクジェット記録シートは、良好
なインクジェット記録特性を示した。
【0068】実施例10〜14 実施例1で、NBKPの保水度を2.6とし、LBKP
の保水度を1.2とし、N/Lを5/95とし、沈降性
炭酸カルシウム(P)とNBKP(N)の重量比P/N
を1/3(実施例10)、1/2(実施例11)、2.
0(実施例12)、5.0(実施例13)並びに6.0
(実施例14)に変化させ、填料含有率が30%になる
ように沈降性炭酸カルシウムの添加量を調節すると共
に、カチオン澱粉のパルプに対する添加量も一定になる
ように後で添加する量を調節する以外は、実施例1と同
様にしてインクジェット記録シート用原紙を製造した。
続いて、作製した原紙上に実施例6と同一のインク受理
層塗液を用い、実施例6と同様にし、実施例10〜14
のインクジェット記録シートを作製した。
【0069】実施例10〜14で作製したインクジェッ
ト記録シートについて、上記の評価方法により評価し、
その評価結果を表4に示した。
【0070】
【表4】
【0071】表4から、平均粒子径0.1〜5.0μm
の填料(P)と保水度が2.0〜3.0の針葉樹パルプ
(N)の混合比率(P/N)が、重量で1/2以上5/
1以下である場合に、特に剛直度と不透明性の優れたイ
ンクジェット記録シート用原紙が得られること、(P/
N)が1/2未満或は5/1を超えると、剛直度と不透
明性が低下することが明らかである。これに対応して、
実施例10〜14のインクジェット記録シートは、良好
なインクジェット記録適性を示した。
【0072】実施例15〜16 実施例1で、填料として平均粒子径が0.1μm(実施
例15)及び5.0μm(実施例16)と異なる沈降性
炭酸カルシウムを用い、NBKPの保水度を2.6とす
る以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録シ
ート用原紙を製造した。続いて、作製した原紙上に実施
例6と同一のインク受理層塗液を用い、実施例6と同様
にし、実施例15〜16のインクジェット記録シートを
作製した。
【0073】比較例5〜6 実施例15において、炭酸カルシウムの平均粒子径を
0.05μm(比較例5)及び8.0μm(比較例6)
に変化させた以外は、実施例15と同様にして比較例5
及び比較例6のインクジェット記録シートを作製した。
【0074】比較例7 実施例15で作製したインクジェット記録シート用原紙
を用い、インク受理層組成物として、球状のコロイダル
シリカの40%水分散液(一次粒子径300±30n
m)250部、接着剤としてポリビニルアルコールの水
溶液(PVA117クラレ社製)300部、染料定着剤
としてカチオン性樹脂の60%水溶液(ポリフィックス
601、カチオン荷電量6.9meq./g、昭和高分
子社製)50部を主成分とする固形分濃度10%の水性
分散液をゲートロールコータを用いて塗工速度300m
/分で乾燥固型分2g/m2となるように塗工、乾燥
し、カレンダー仕上げして比較例7のインクジェット記
録シートを作製した。
【0075】実施例15〜16及び比較例5〜7で作製
したインクジェット記録シートについて、上記の評価方
法により評価し、その評価結果を表5に示した。
【0076】
【表5】
【0077】表5を表1と比較することにより、平均粒
子径が0.1〜5.0μmの炭酸カルシウムを使用する
ことにより、剛直度と不透明性の優れたインクジェット
記録シート用原紙の得られることが明らかである。これ
に対応して、実施例15及び16のインクジェット記録
シートは、良好なインクジェット記録特性を示したが、
比較例5及び6のインクジェット記録シートは、塗工性
及び鮮明性に劣った。比較例7のインクジェット記録シ
ートは、インク受理層組成物が、本発明外の球状のコロ
イダルシリカを使用しているために、インク吸収性及び
鮮明性に劣った。
【0078】比較例8 実施例1で、NBKPの保水度を2.6とし、填料の定
着用のカチオン澱粉を添加しない以外は、実施例1と同
様にしてインクジェット記録シート用原紙を製造し、実
施例1と同様のインク受理層塗液を用いて比較例8のイ
ンクジェット記録シートを作製した。
【0079】 比較例9実施例1で、NBKPの保水度を2.6とし、
填料をNBKPとLBKPの混合パルプに添加する以外
は、実施例1と同様にしてインクジェット記録シート用
原紙を製造し、実施例1と同様のインク受理層塗液を用
いて比較例9のインクジェット記録シートを作製した。
【0080】比較例8〜9で作製したインクジェット記
録シートについて、上記の評価方法により評価し、その
評価結果を表6に示した。
【0081】
【表6】
【0082】表6の比較例8及び9を、表1の実施例2
のインクジェット記録シート用原紙と比較すると、填料
とNBKPを定着剤と共に混合後、LBKPと混合して
抄紙した実施例2のインクジェット記録シート用原紙
は、定着剤無添加或は填料を混合後のパルプに添加して
抄造した比較例8及び9のインクジェット記録シート用
原紙より、剛直度、平滑性、不透明性の優れたインクジ
ェット記録シート用原紙であることがわかる。又、イン
クジェット記録特性について、比較例8のインクジェッ
ト記録シートは、塗工性に劣り、比較例9のインクジェ
ット記録シートは、塗工性及び鮮明性に劣った。
【0083】
【発明の効果】以上から、本発明のインクジェット記録
シート用原紙、即ち特定の平均粒子径の填料と特定の保
水度の針葉樹パルプを定着剤と共に混合後、特定の保水
度の広葉樹パルプと混合し、抄紙して得た該原紙を用
い、該原紙上に、インク受理層を塗工したインクジェッ
ト記録シートは、不透明性があり、平滑性ある該原紙に
反映してインク受理層塗液の塗工性に優れ、インク受理
層面の塗工ムラがなく、インクの吸収性や鮮明性に優
れ、剛直性のある微塗工タイプのインクジェット記録シ
ートが得られた。又、インクジェット記録シートの製造
方法は、優れたインクジェット記録特性を有するインク
ジェット記録シートを製造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原紙上にインク受理層を塗設してなるイ
    ンクジェット記録シートにおいて、該原紙が、平均粒子
    径0.1〜5.0μmの填料及び保水度が2.0〜3.
    0の針葉樹パルプを定着剤と共に混合して後、保水度が
    1.1〜1.4の広葉樹パルプと混合して抄紙した該原
    紙であり、該インク受理層組成物が、主成分として非球
    状カチオン性コロイダルシリカであることを特徴とする
    インクジェット記録シート。
  2. 【請求項2】 針葉樹パルプNと広葉樹パルプLの重量
    比N/Lが、5/95〜20/80であることを特徴と
    する請求項1記載のインクジェット記録シート。
  3. 【請求項3】 平均粒子径0.1〜5.0μmの填料P
    と針葉樹パルプNの重量比P/Nが、1/2〜5/1で
    あることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェ
    ット記録シート。
  4. 【請求項4】 非球状カチオン性コロイダルシリカが、
    針状或は繊維状のものであることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか記載のインクジェット記録シート。
  5. 【請求項5】 原紙上にインク受理層を塗設してなるイ
    ンクジェット記録シートの製造方法において、平均粒子
    径0.1〜5.0μmの填料及び保水度が2.0〜3.
    0の針葉樹パルプを定着剤と共に混合して後、保水度が
    1.1〜1.4の広葉樹パルプと混合して該原紙を抄造
    し、該原紙上に、主成分として非球状カチオン性コロイ
    ダルシリカからなる該インク受理層組成物を塗工するこ
    とを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6047674A (en) * 1997-09-12 2000-04-11 Denso Corporation Valve timing control apparatus for internal combustion engine
US6109224A (en) * 1997-09-24 2000-08-29 Denso Corporation Valve timing control apparatus for an internal combustion engine
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