JP5068569B2 - 排水構造及び排水構造の施工方法 - Google Patents
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ここで、例えば、住宅の施工中において、当該ベタ基礎が完成した後に雨が降ると、当該ベタ基礎の囲繞部に雨水が溜まってしまうという問題があった。このようにベタ基礎内に雨水が溜まった状態で床を構築すると、床にカビや害虫等が発生する原因になるため、雨水はベタ基礎の外部に排水しなければならなかった。排水作業は、例えば、スポンジや吸水ポンプ等を用いて外部に排水しなければならず、作業が煩雑であった。
また、排水構造100によると、排水管103の肉厚P分だけ、雨水が流入する開口部104の位置が基礎スラブ101の上面よりも高くなるので、排水効率が悪いという問題があった。
また、排水構造100に係る施工方法によると、コンクリートの打設工程や養生工程の際に、打設したコンクリートが排水管103の下に回り込むため排水管103が浮き上がってしまい、開口部104の位置がさらに高くなってしまうという問題があった。
このような観点から本発明は、スラブとこのスラブに立設された立上り部とを有する構造物において、排水効率が良好な排水構造及びこの排水構造の施工方法を提供することを課題とする。
かかる構成によれば、スラブと排水管との間を補間部材で封止することにより、スラブと排水管が密着し一体化する。これにより、スラブの上面に集水樋部を設けることによる鉄筋の被り厚の不足分を補うことができる。また、スラブと排水管が密着することで、排水管の浮き上がりを防止し、施工性を高めることができる。また、スラブと排水管の下面との間に水や空気が入り込むことを防止して、スラブコンクリート及びスラブ鉄筋の劣化を防止することができる。
本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、第一実施形態に係る排水構造を示した全体斜視図である。図2は、第一実施形態に係る排水構造を示した拡大斜視図である。図3は、第一実施形態に係る排水構造を示した側断面図である。図4は、第一実施形態に係る排水構造を外側開口部側から示した断面斜視図である。
第一実施形態に係る排水構造1は、例えば、スラブ2と立上り部3とを有するベタ基礎Tに設置する場合を例にして説明する。ベタ基礎Tは、平面視矩形のスラブ2と、スラブ2の外周を取り囲むと共に、図示しない構造壁に沿って立設された立上り部3とを有する。即ち、立上り部3によって、ベタ基礎Tの内部には囲繞部が形成されている。
なお、第一実施形態においては、排水管4は、塩化ビニル管を用いたがこれに限定するものではない。排水管4は、他の合成樹脂材や金属管等他の材料であってもよいが、錆びにくく、コンクリートとの剥離性が高い材料であることが好ましい。また、排水管4は、直線状に形成したが、例えば、本管部5と集水樋部6とで屈折するように形成してもよい。また、排水管4は、一体的に形成したが、2以上の部材を接合して形成してもよい。また、排水管4は、切断加工により形成したが、射出成形などにより一体的に形成してもよい。
蓋部10は、ベタ基礎Tが完成して床の施工に入る場合に、排水管4を塞いで床下空間に害虫等が入らないようにするためのものである。
蓋部10は、ネジ山を有し、外側開口部8の内周に形成されたネジ溝に螺入されている。蓋部10の頭部10aは、平坦に形成されており、スラブ2及び立上り部3の外側面3bと面一に形成されている。蓋部10の頭部10aには、直線状の切欠き溝10bが設けられており、コイン等で簡易に回動するように形成されている。
ここで、例えば、図9に示す従来の排水構造100と対比すると、排水構造100の場合は、例えばレーキなどで水を排水管103側に送り込んだとしても、排水管103の肉厚P分だけ開口位置が高いため、水がスラブ2側に押し戻されてしまう可能性がある。
一方、図2に示す第一実施形態に係る排水構造1によれば、水が流れ込む開口部分が、スラブ2側に張り出すと共に、スラブ2の上面の高さ位置以下に形成されているため、水を本管部5側へ送り込み易く、集水効率及び排水効率を高めることができる。
まず、図5の(a)に示すように、スラブ2を形成するために、スラブ用せき板21,21を固定して、スラブ用型枠20を形成した後、このスラブ用型枠内20にコンクリートCを打設する。
次に、図3の(b)に示すように、打設されたコンクリートCが硬化する前において、排水管4の下半部をスラブ2に埋設する。ここで、埋設工程の前に予め、排水管4の集水樋部6の外周には、ブチルゴムからなる両面接着テープ(図3参照)を貼着し、内周には、図示しないコンクリート剥離剤を塗布する。排水管4を埋設する際には、本管部5の外側開口部8側の端部をスラブ用せき板21に略垂直に当接させると共に、集水樋部6の上縁6eと、スラブ2の上面が面一となるように埋設する。即ち、本管部5の上部側のみがスラブ2の上面から突出するように埋設する。
なお、排水管4は、留板部6bを有するため、コンクリートCが集水樋部6の内部に流入するのを防止することができる。
次に、図5の(c)に示すように、スラブ2のコンクリートCが硬化してスラブ2が完成した後、本管部5の内側開口部7側の端部に立上り部用せき板を略垂直に当接させて、立上り部用型枠24を形成する。
なお、第一実施形態においては、ベタ基礎の犬走り部分は形成しないため、スラブ用せき板21は脱型せず、立上り部用型枠形成工程においてもそのまま用いる。
次に、図5の(c)に示すように、立上り部用型枠24内に立上り部3を形成するためのコンクリートCを打設する。そして、立上り部3が硬化したら、立上り部用型枠24を脱型する。この際、排水管4内には、第二コンクリート打設工程時及び養生時に立上り部用型枠24からはみ出したコンクリートCが流れ込み、硬化している。以下、排水管4内で硬化したコンクリートを余剰コンクリートYとする。
最後に、図5の(d)に示すように、余剰コンクリートYを取り除く。具体的には、集水樋部6又は本管部5が埋設された位置に、ドライバーなどの先の尖った先鋭具Dを当接し、ハンマー等の打込具Eで先鋭具Dを衝打して、余剰コンクリートYを取り除く。この際、スラブ2側から立上り部3に向かって衝打すると、余剰コンクリートYが本管部5を通ってベタ基礎Tの外部へ抜け落ちる。
なお、除去工程は、余剰コンクリートYが形成されていない場合は、当然行う必要はない。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。説明においては、第一実施形態と重複する部材は同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図6は、本発明の第二実施形態に係る排水構造31を示した側断面図である。第二実施形態に係る排水構造31は、排水管34が水平面に対して下方に傾斜している点で第一実施形態と相違する。
排水管34は、第一実施形態に係る排水管4と略同等のものを使用しているが、傾斜をつけることに伴って、本管部35の両端部が、立上り部3の内側面3aと外側面3bと面一になるように、一部を切断して形成されている。
なお、第二実施形態においては、スラブ2の傾斜角度αと、排水管の傾斜角度βが同等となるように形成したが、それぞれの傾斜角度を変えて形成してもよい。また、スラブ2の傾斜は、均しモルタル等を用いて形成すればよい。
次に、本発明の第三実施形態について説明する。図7は、本発明の第三実施形態に係る排水構造41を示した図であって、(a)は、斜視図、(b)は、側断面図である。第三実施形態に係る排水構造41は、集水樋部46に留板部6b(図3参照)を備えない点で第一実施形態と相違する。
このように、集水樋部46は、留板部6b(図3参照)を設けずにスラブ2の上面から直接傾斜をつけることで、集水樋部6の排水効率を高めることができる。また、排水管44のように、本管部45と集水樋部46とで水の流路の傾斜角度を変えてもよい。
次に、本発明の第四実施形態について説明する。図8は、本発明の第四実施形態に係る排水構造51を示した斜視図である。第四実施形態に係る排水構造51は、排水管54の断面が矩形である点及び本管部55がスラブ2側に全て埋設されている点で、第一実施形態と相違する。
ここで、打設されたコンクリートCが硬化する前において、排水管4の下半部をスラブ2に埋設する埋設工程(図5の(b)参照)においては、排水管4の重量が軽いため、養生中に排水管4が浮き上がってしまう可能性がある。
この点、ポリマーセメントは、接着性に優れるため、排水管4とスラブ2の密着性を高めると共に、比重が大きいため排水管4の浮き上がりを防止することができる。
2 スラブ
3 立上り部
4 排水管
5 本管部
6 集水樋部
6e 上縁
7 内側開口部
8 外側開口部
9 補間部材
10 蓋部
20 スラブ用型枠
21 スラブ用せき板
22 立上り部用せき板
24 立上り部用型枠
T ベタ基礎
Y 余剰コンクリート
Claims (8)
- スラブと、このスラブに立設された立上り部と、前記スラブ及び前記立上り部のうち少なくとも前記スラブに連通して形成された排水管と、を有する排水構造において、
前記排水管は、前記スラブに溜まった水を排水する部材であり、
少なくとも前記スラブに埋設された本管部と、
前記スラブ内に埋設されると共に、前記本管部からスラブ側に向けて延設され、上部が開口された集水樋部と、を有し、
前記集水樋部は、前記立上り部の基端から前記スラブ側に延設されており、
前記集水樋部の上縁の高さ位置は、前記スラブの上面以下に形成されていること
を特徴とする排水構造。 - 前記本管部及び前記集水樋部の少なくとも一方は、排水方向に向かうほど低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の排水構造。
- 前記スラブと前記排水管との間に補間部材が介設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排水構造。
- 前記本管部は、前記スラブと前記立上り部との間の高さ位置に埋設されるとともに、前記立上り部の一端側から他端側に向けて貫通されることにより、一端側に内側開口部が形成され、他端側に外側開口部が形成されており、
前記内側開口部及び前記外側開口部のいずれか一方に、蓋部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の排水構造。 - 前記スラブは、前記排水管に向かうほど低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の排水構造。
- スラブと、このスラブに立設された立上り部と、前記スラブに溜まった水を排水する排水管と、を備えた排水構造の施工方法であって、
前記排水管は、前記スラブと前記立上り部との間に埋設されており、前記立上り部の一端側から他端側に向けて貫通する本管部と、前記スラブ内に埋設されると共に前記本管部からスラブ側に向けて延設され上部が開口された集水樋部と、を有し、
前記集水樋部は、前記立上り部の基端から前記スラブ側に延設されると共に前記集水樋部の上縁の高さ位置が前記スラブの上面以下に形成され、
前記スラブを形成するスラブ用型枠にコンクリートを打設する第一コンクリート打設工程と、
前記集水樋部の上縁の高さ位置が、固まる前のコンクリートの上面以下となると共に、前記本管部の上部が、固まる前のコンクリートから突出するように前記排水管を埋め込む埋設工程と、
前記本管部の両端に立上り部用せき板を当接させて、立上り部用型枠を形成する立上り部用型枠形成工程と、
前記立上り部用型枠にコンクリートを打設する第二コンクリート打設工程と、
前記立上り部用型枠を脱型する脱型工程と、
を含むことを特徴とする排水構造の施工方法。 - 前記脱型工程後に、
前記排水管内に形成された余剰コンクリートを取り除く除去工程と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の排水構造の施工方法。 - 前記排水管の内側は、合成樹脂からなることを特徴とする請求項7に記載の排水構造の施工方法。
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