図1は、本発明を適用したパチンコ遊技機の実施形態を示す斜視図である。
パチンコ遊技機は、本体枠を構成する遊技盤保持枠1を遊技場内の島に固定される木製の矩形外枠2のよって包囲される空間部に収容し、前記遊技盤保持枠1を外枠2の側辺部材の上下に取付けたヒンジ金具3a,3bにより開閉可能に支持している。
前記遊技盤保持枠1の前面には、図2に示すように印刷を施したセル板を貼着した面に略直角に外レール4および内レール5が立設され、両レール4、5によって包囲された略円形の遊技盤面6aを有する矩形の遊技盤6が着脱可能に取付けられている。また、前記遊技盤6の前方には、前記遊技盤面6aの円形遊技領域とほぼ等しい大きさを有し、かつ、2枚構成の透明ガラス板7を保持させた丸窓8を有する前扉9が配置され、この前扉9が前記遊技盤保持枠1の左端上下に設けたヒンジ10a,10bによって前記遊技盤保持枠1に対し開閉可能に取付けられている。
前記遊技盤保持枠1の下部前面には、遊技機の背面に配置した図示なき賞球払出装置から払出される賞球を貯留するための上皿11および、この上皿11から図示なき下皿賞球通路を通じてオーバーフローした賞球を貯留するための下皿12が設けられていると共に、前記上皿11に貯留した遊技球を発射するために操作される発射ハンドル13と、一対のスピーカ14,14が夫々設けられている。
15は前記上皿11の前縁に設けられた遊技球貸出スイッチであって、遊技者がパチンコ遊技機本体の左側に配置される図示なき台間玉貸装置に紙幣を挿入した後、遊技球貸出スイッチ15を押下操作すると、遊技機側の賞球払出装置が、度数に応じた個数の貸し球を前記遊技盤保持枠1の前面に設けた賞球出口16を通じて上皿11内に送出するようになっている。なお、前記発射ハンドル13には、タッチセンサが内蔵されており、遊技者が発射ハンドル13を手で握っている場合にのみ遊技球の発射が可能となる。
17は前記下皿12の前面に設けた球抜きボタンであって、この球抜きボタン17を遊技者が押操作することによって、下皿12の底面に設けたシャッター機構18が開口し、前記下皿12内に蓄積した球を、図示なき球箱内に移し替えることが出来る。
次に、前記遊技盤6の構成について図2を参照しつつ説明する。前記外レール4および内レール5によって包囲された略円形の遊技盤面6aの中央部には、大型のセンタ役物20が配置されており、このセンタ役物20の上半部には遊技に関連する画像情報を表示するための液晶画面21が配置されていると共に、センタ役物20の下半部には遊技に関する抽選結果を変動表示するための3個のリール22、23、24を回転可能に保持したターレット盤25が配置されている。このターレット盤25は、前記センター役物20および遊技盤面6aに穿設した円形のタ-レット収納開口26内に収容され、遊技盤6の背面に枢着した4個の支持ローラ27によって回転自在に保持されていると共に、図示なき駆動モータによって、時計方向および反時計方向に駆動されるようになっている。
図中、28は前記外レール4および内レール5によって包囲された遊技盤面6aの最下部に設けられたアウト口であって、後述する入賞口の何れにも入球しなかった遊技球P、所謂、アウト球を遊技盤6の背後に形成した球回収通路29を通じて遊技島内の遊技球回収樋に流下させるようになっている。30は前記アウト口28の直上に配置した第1始動口であって、その入口部には2本の釘31が遊技球Pの直径より僅かに大きい間隙を存して遊技盤面6aに対して略垂直に打ち込まれており、これらが前記第1始動口30の実質的な遊技球の入口を構成している。
一方、前記センタ役物20の左側の遊技球通路の上部には、普図ゲート32が設けられており、ここを遊技球Pが通過したことを契機に、普通図柄抽選が実行され、抽選結果が前記液晶画面21の上部右側に配置された普通図柄表示領域41の普通図柄表示部42に数字、記号あるいは図柄等によって表示される。なお、普通図柄表示領域41には、前記普図ゲート32を遊技球Pが通過する毎に取得される乱数値の記憶を最大4個まで記憶していることを表示するための普通図柄用保留数表示部43が併設されている。
前記普図ゲート32の下方には、1個の普通入賞口33が配置され、その下方には入口に電動チューリップ34を備えた大入賞口35が配置され、大入賞口35の更に下方には、入口に電動チューリップ36を備えた第2始動口37が配置されている。図中、38は上記第2始動口37の下方に複数配置された普通入賞口であって、普通入賞口38は、センタ役物20の右側の遊技球流下通路の途中にも適宜配置されている。なお、センタ役物20の左右の遊技球流下通路には、上記の入賞口のほか、図示なき障害釘等が多数植設されている。
上記構成からなる遊技盤6を備えたパチンコ遊技機は、図示なき打球発射装置から外レール4に沿って遊技盤面6aに遊技球Pが発射され、遊技球Pが前記普図ゲート32を通過すると、ゲート内に設けられた図示なき通過センサが遊技球Pを検知し、そのタイミングで普通図柄抽選乱数を取得し、これを乱数値判定テーブルと比較して、取得した乱数値が当り乱数に含まれる場合は、前記普通図柄表示部42にて当りの確定表示を行うと共に、第2始動口37の入口に設けた電動チューリップ36を所定回数開放して第2始動口37に遊技球Pが入球することを許容する。なお、第2始動口37に遊技球Pが入球した場合は、前記アウト口28の直上に配置した第1始動口30に遊技球Pが入球した場合と同様に、各第1、第2始動口30、37に設けた図示なき通過センサが入球した遊技球Pを検出したことを契機に特別図柄抽選乱数が取得され、これが後述する主制御部の記憶エリアに保持される。
この特別図柄抽選乱数は最大4個まで記憶可能となっており、その記憶数が前記液晶画面21の上部左側に配置された特別図柄表示領域45の特別図柄用保留数表示部46に表示される。例えば、図2においては色つきの丸印により特図保留数が3個である旨が表示されている。なお、主制御部の記憶エリアに記憶された特別図柄抽選乱数値は、特別図柄の変動表示開始時に当選乱数値判定テーブルと比較され、取得した乱数値が大当り乱数に含まれる場合は、所定の変動表示時間経過後に前記特別図柄表示領域45の右側に配置した特別図柄表示部47にて数字や記号あるいは図柄にて抽選結果表示を行うと共に、前記大入賞口35の入口に設けた電動チューリップ34を規定ラウンド回数開成して多数の遊技球Pが大入賞口35に入球することを許容し、大当り遊技を実行する。
なお、大入賞口35の電動チューリップ34が規定ラウンド回数開成して大当り遊技が終了した場合は、普図ゲート32を遊技球Pが通過し、普通図柄抽選に当選する毎に第2始動口37の入口に設けた電動チューリップ36が通常遊技時よりも長い約1秒間開放し、第2始動口37への入球確率が高まる。この状態は一般的に時短状態と称され、一回当りの特別図柄の変動時間が通常遊技中より短縮されると共に、電動チューリップ36の開放時間が通常時に比べて延長されることにより前記第2始動口37への入球頻度が高められるので、大当りの期待感が増す。なお、時短機能は、前記特別図柄抽選が100回を経過するまで継続される。
上記図2に示すパチンコ遊技機における前記アウト口28の直上に配置した第1始動口30の両側位置の遊技盤面6aには、図3に示すA−A断面のように2個の通過センサ73、74を挿入可能な取付孔48、49が遊技盤面6aと直交して穿設されており、各取付孔48、49内に通過センサ73.74を遊技盤6の裏面から挿入し、その前端検出部が遊技盤面6aと略面一になるよう固定することで、通過センサ73,74の前方の検出領域を通過する遊技球Pを検出するようになっている。
なお、通過センサ73,74を設ける位置は、図2に二点差線で示す遊技球Pの堆積レベルLより下方に位置させることが必要である。すなわち、第1始動口30の入口の実質的な高さは、入賞役物の入口に配置した2本の釘31の高さに相当するので、もしもアウト口28に球詰まりが生じると、アウト口28に向かって流下する遊技球Pは遊技盤面6aの下部に前記第1始動口30の入口部分に向かって下り傾斜したV字型の堆積斜面を生じるので、この堆積斜面のレベルより下方に通過センサ73,74を配置すれば、前記V字型の堆積斜面が形成されるまでの早い時期に、堆積した遊技球Pが通過センサ73または74の検知領域内に所定時間停滞するためアウト口の球詰まりを早期に検出することが出来る。
ただし、遊技盤面6aの下部における遊技球Pの堆積斜面レベルLは、遊技盤面における役物の構成や障害釘の配置等の関係で遊技機毎に異なるため前記通過センサ73および74の最適な設置高さは、実験的に求める必要がある。なお、上記通過センサ73,74として利用可能なセンサとしては、高周波発信回路の検出コイルを前端に内蔵し、遊技球Pが通過する際のインピーダンス変化によって検出する方式の近接スイッチ(例えば、角型近接スイッチ;オムロン製TL−701型センサ)が適用可能である。勿論、このほか公知のフォトセンサなどの非接触型通過センサを用いて構成することも可能であるが、なるべく遊技球Pの汚れの影響を受け難いものが好ましい。
図4は、上記パチンコ遊技機の主要な制御装置の構成を示すブロック図である。
このパチンコ遊技機には、機体各部の動作を統括制御するための主制御部60が設けられ、この主制御部60に対し中継基板61を介して、前記液晶表示器21の表示制御や、前記リール22、23、24やターレット盤25からなる大型可動役物81の駆動制御を行うための副制御基板62と、前記スピーカ14の音声制御や遊技機の前扉の上部に設けた演出ランプ64を制御するための副制御基板63とが接続され、これら副制御部62、63に対し、前記主制御部60から一方向にのみ制御コマンドが送信されるようになっている。
前記主制御部60には、セキュリティーの向上を目的として、セグメント内にCPU91,ROM92,RAM93を内蔵したワンチップ型マイクロコンピュータが実装されている。ただし、副制御基板62、63については、液晶表示器21などを駆動する必要上、処理速度の速い大容量のCPUが実装されていると共に、ROMおよびRAMについても前記主制御部60より大容量のものが実装される。
前記主制御部60には、前記遊技盤6に設けた第1始動口30への入球を検出するための第1始動口センサ65、第2始動入賞口37への入球を検出するための第2始動口センサ66、大入賞口35への入球を検出するための大入賞口センサ67、遊技球Pが遊技盤6の普図ゲート32を通過するのを検出するためのゲートセンサ68、4個の普通入賞口33および38に夫々設けられた普通入賞口センサ69、70、71、72、前記遊技盤6のアウト口28の周辺に設けられた第1通過センサ73および第2通過センサ74がI/Oポート75を介して前記主制御部60に接続されている。また、前記主制御部60にはドライバ回路76を介して前記液晶画面21の上部に設けた特別図柄表示部47、普通図柄表示部42、特別図柄用保留数表示部46、普通図柄用保留数表示部43、大入賞口35に設けた電動チューリップ34を開閉制御する為の電磁ソレノイドの駆動部77、第2始動口37に設けた電動チューリップ36を開閉制御する為の電磁ソレノイドの駆動部78が接続されている。
前記副制御基板62には、ドライバ回路79を介して前記主制御基板60内にて行われる内部抽選の結果に関連した内容の演出映像を表示するための前記液晶画面21を含む液晶表示部80や、前記複数のリール22、23、24やターレット盤25等の回転式表示部材を含む大型可動役物81の駆動源が接続されており、前記主制御部60から送信される演出コマンドに従って前記液晶画面21と大型可動役物81とにより遊技状態に応じた連動演出を実行する。さらに、前記副制御基板63には、ドライバ回路82を介して前記主制御部60内にて行われる内部抽選処理の結果に関連した報知を行うスピーカ14や演出ランプ64などが接続される。
なお、前記主制御部60に含まれるROM92には通過センサ73、74の監視を行うための制御プログラムが格納されていると共に,RAM93内には通過センサ73、74によって検出される遊技球Pの停滞時間を一時的に記憶する為の通過センサ検知時間一時記憶エリア94と、通過センサ73、74のいずれかによってアウト口28の球詰まりが検出された場合に異常報知を指令する為のフラグを一時的に記憶する為の異常情報フラグ一時記憶エリア95と、アウト口28の球詰まりが検出され警報が発せられてから所定時間後にアウト口28の直上の第1始動口30の入賞を無効にすることを指令する為のフラグを一時的に記憶する為の入賞口無効フラグ一時記憶エリア96とが設けられている。
図5乃至図8は本発明に係るパチンコ遊技機の前記主制御部60のROM92に格納した前記通過センサ検知プログラムに従って実行されるフローチャートを示している。
図5および図6に示すフローチャートは、何れも、一定周期(例えば4ms毎)にて繰り返し実行されるタイマ割込処理を示すもので、図5は遊技盤面6aの第1始動口30の左側に配置された通過センサ73の検知領域を通過する遊技球Pを監視するためのフローチャートを示し、図6は同第1始動口30の右側に配置された通過センサ74の検知領域を通過する遊技球Pを監視するためのフローチャートを示す。
図5のステップST1においては、主制御部60のCPU91は第1通過センサ73が遊技球検知状態であるか否か、すなわち、第1通過センサ73の検知領域に遊技球Pが存在するか否かを判定する。仮に、第1通過センサ73の検知領域内を遊技球Pが通過中か、または、アウト口28の球詰まりが原因で遊技盤面6aの下部に遊技球Pが堆積し第1通過センサ73の検知領域内に遊技球Pが停滞している等の現象により、結果がYESと判定された場合はステップST2に進んで第1通過センサ用のカウンタ値Aに1を加算しリターンする。
なお、カウンタ値Aに1を加算する処理とは、前記主制御部60のRAM93に設けた通過センサ検知時間一時記憶エリアに割込み周期毎に計数値を1づつ累積記憶させる処理のことを意味するが、ここでは便宜上カウンタの用語を用い、カウンタ値Aに1を加算するという概念で説明している。
一方、前記ステップST1において第1通過センサ73の検知領域に遊技球Pが存在しない場合は、判定結果がNOとなってステップST3に進み、第1通過センサ用のカウンタ値Aを零にリセットしてリターンする。
図6は前記図5において説明したフローチャートと同時進行にて並行処理されるフローチャートを示している。
図6のステップST11において、主制御部60のCPU91は第2通過センサ74の検知領域に遊技球Pが存在するか否かを判定する。もしも、第2通過センサ74の検知領域内に遊技球Pが存在する場合、例えば、第2通過センサ74の検知領域内を遊技球Pが通過中か、あるいは、アウト口28の球詰まりが原因して第2通過センサ74の検知領域内に遊技球Pが停滞している場合は、結果がYESと判定されるのでステップST12に進んで第2通過センサ用のカウンタ値Bに1を加算してリターンする。
一方、前記ステップST11において第2通過センサ74の検知領域に遊技球Pが存在しない場合は、判定結果がNOとなってステップST13に進み、第2通過センサ用のカウンタ値Bを零にリセットしリターンする。
図7は前記主制御部60のCPU91において、前記図5および図6に示したフローチャートと並行処理されるカウンタ監視プログラムのフロ―チャートであり、具体的には前記第1通過センサ73および第2通過センサ74の検出領域を遊技球Pが通過するのに要する時間を常時監視するものである。
すなわち、ステップST21において第1通過センサ用カウンタのカウンタ値Aが750以上の値であるか否かを判定する。すなわち、前記図5および図6に示したフローチャートは4ms周期で繰り返し割込み処理されるので、仮に、第1通過センサ73の検出領域に遊技球Pが停留している場合は、4msごとに第1通過センサ用カウンタのカウンタ値Aがプラス1されることになり、カウンタ値が750以上になるとは、遊技球Pの停滞が3秒以上生じていることを意味する。従って、ステップST21の判定がYESの場合は、アウト口28に球詰まりが生じたと判定されるのでステップST22に進み、前記主制御部60のRAM93に設けた異常報知フラグ一時記憶エリア95にフラグ「1」をセットしてリターンする。
一方、前記ステップST21において、判定結果がNOの場合はステップST23に進み第2通過センサ用のカウンタ値Bが750以上であるか否かを判定する。ここで第2通過センサ74の検出領域に遊技球Pが3秒以上停留している場合は、判定がYESとなるので、前記ステップST22に進み、前記主制御部60のRAM93に設けた異常報知フラグ一時記憶エリア95にフラグ「1」をセットしてリターンする。
なお、前記ステップST23にて判定結果がNOの場合は、遊技球Pが第2通過センサ74の検出領域を短時間で正常に通過しているか、もしくは既に球詰まりが解消されたと判定されるので、ステップST24に進み、前記異常報知フラグ一時記憶エリア95に記憶された異常報知フラグを「0」にリセットしてリターンする。
すなわち、図7のフローチャートにおいては、第1通過センサ73および第2通過センサ74のうちいずれか一方が遊技球Pの3秒以上の停滞を検知した場合は、異常警報フラグを前記異常報知フラグ一時記憶エリア95に記憶させ、第1通過センサ73および第2通過センサ74がいずれも遊技球Pの停滞を検知しない場合は、前記異常報知フラグ一時記憶エリア95に記憶した異常警報フラグを上書き消去することになる。
図8は前記図5乃至図7のフローチャートにより検出された遊技球Pの球詰まり情報にもとづき遊技者に警報を発するための異常処理時のフローチャートを示す。
まず、ステップST31では、異常報知フラグとして「1」が前記異常報知フラグ一時記憶エリア95に記憶されているか否かが判定される。異常報知フラグ「1」が記憶されている場合は、ステップST32に進み主制御部60のCPU91は副制御部62および副制御部63に対し球詰まり報知実行コマンドを送信する。
球詰まり報知実行コマンドを受信した副制御部62は、液晶表示部80において直ちに、「球詰まり発生、打球発射を中止してください。」等のコメントを画像表示すると共に、副制御部63はスピーカ14を通じて「アウト口に球詰まりが発生しました。直ちに打球発射を中止してください。」等の音声情報を流しつつ、演出ランプ64を点滅させるなどして遊技者に発射ハンドル13から手をはなして遊技球発射を中断する旨を報知する。なお、これと並行して主制御部60のCPU91からホールコンピュータ等の外部機器に向けて前記球詰まり情報を外部送信し、複数の遊技台での球詰まり発生を一括管理すれば、ホール従業員による素早い対応を図ることが出来る。
前記ステップST32にて球詰まり報知コマンドを副制御部62および副制御部63に送信したのちステップST33に進んでタイマカウンタ値Tに「1」を加算し、ステップST34にてタイマカウンタ値Tが規定値3750以上か否かを判定する。なお、図8のフローチャートは割込み周期4msにて繰り返し実行されるため、カウンタ値が3750に達すれば、15秒が経過したことになる。
従って、ステップST34では第1通過センサ73または第2通過センサ74のいずれかが球詰まりを検知してから15秒以上が経過したかを判定し、仮に15秒以上経過している場合は判定結果がYESとなってステップST35に進み、アウト口28の直上に配置した第1始動口30内の始動口センサ65を無効化処理してリターンする。なお、前記ステップST34にてカウンタ値Tが規定値3750を下回っている場合は、判定結果がNOとなり、リターンする。
一方、前記ステップST31にて異常報知フラグが「1」以外の数値である場合、すなわち前記異常報知フラグ一時記憶エリア95に異常報知フラグが記憶されていない場合は判定結果がNOとなってステップST36に進むので、主制御部60のCPU91は副制御部62および副制御部63に対し球詰まり報知中止コマンドを送信すると共に、前記ステップST36からステップST37に進んで、前記アウト口28の直上に設けた第1始動口30の通過センサ65を有効化した後、ステップST38にてタイマカウンタ値Tを零にリセットしてリターンする。
一方、前記ステップST36にて前記主制御部60から球詰まり報知中止指令コマンドを受信した副制御部62は、液晶表示部80において画像表示していた警報を直ちに中止すると共に、副制御部63はスピーカ14からの音声による警報を中断し、演出ランプ64の点灯状態を通常遊技時の状態に戻す。これによって前記第1通過センサ73または第2通過センサ74の検知領域での遊技球Pの停滞および前記アウト口28での球詰まりが解消されたことを遊技者に認知させることが出来る。
なお、上記図5乃至図8の実施形態にて開示したフローチャートにおいては、第1通過センサ73および第2通過センサ74のいずれか一方が遊技球Pの停滞を所定時間以上検知した場合に遊技客に対して先に警報を発し、警報を発してから所定時間経過しても遊技球Pの停滞が解消されない場合に、アウト口28の直上に配置した入賞口30の入賞を無効とする場合を例示した。しかし、入賞口30の入賞を無効とするタイマの基準時点は、別段、警報の開始時期である必要はなく、第1通過センサ73および第2通過センサ74のいずれか一方が遊技球Pの停滞を所定時間以上検知した時点とすることも可能で、規定時間が経過しても遊技球Pの停滞が解消されない場合に入賞口30を無効にしても良い。
すなわち、この場合には第1通過センサ73および第2通過センサ74のいずれか一方が遊技球Pの停滞を検知してから警報が発せられるまでの規定時間と、入賞口30を無効にするまでの規定時間とを夫々、単独に設定することが可能であり、極端には両者を一致させることも可能である。ただし、警報を開始するまでの規定時間より、入賞口30を無効にするまでの規定時間を十分長く設定すれば、球詰まりの発生を遊技者に報知して遊技を中断するように喚起し、その後に入賞口を無効にする処理に移行することになるので、遊技客とのトラブルを回避するには好ましい実施形態である。
図9および図10は本発明にかかる球詰まり検出手段を備えたパチンコ遊技機の第2の実施形態を示したもので、図10は図9におけるB−B断面を示す。ただし、図9および図10において前記図2と同一符号を付した部分は夫々同一部材、同一部分を示している。
図9に示す第1始動口30の左右位置の遊技盤面6aには、アウト口28から独立した形態の第2アウト口101および102が穿設されており、この第2アウト口101および102にて遊技盤6の背後に設けたオーバーフロー通路103および104の上端が開口していると共に、前記オーバーフロー通路103および104の下端は前記アウト口28に連通するアウト球回収通路29の中間部分にて通路に連通している。
また、前記オーバーフロー通路103および104の途中には、通過センサ105,106,107,108が遊技球Pの流下方向に沿って夫々2個づつ二段重ねの状態に配置されている。上記の通過センサ105,106,107,108としてはセンサ本体に設けた遊技球通過孔の周囲に高周波発信回路の検出コイルを配置した公知の通過センサを使用しているが、遊技球Pの通過はアウト口28のように頻繁には行われないので、リミットスイッチを内蔵したタイプの通過センサを使用することも可能である。
前記オーバーフロー通路103および104の共通の構成を、片側のオーバーフロー通路104について説明すると、オーバーフロー通路104の途中に設けられた通過センサ107,108は遊技球Pの整列ピッチ、すなわち遊技球Pの直径Dと異なるピッチにてオーバーフロー通路104の遊技球Pの流下方向に沿って配置されており、好ましくは、遊技球Pの直径Dの1.5倍のピッチで配列される。このように設定すればオーバーフロー通路104に遊技球Pが整列状態で積み重なった場合でも、上下いずれかの遊技球Pが通過センサ107または108の検知領域に位置するため、その停滞を確実に検知することが出来る。
なお、通過センサ105、106、107、108は図4の第1通過センサ73や第2通過センサ74と同様に前記図5乃至図8に示す主制御部60の制御プログラムに従って遊技球Pの通過状況が監視されるもので、主制御部60がアウト口28の球詰まりと判定した場合は、遊技者への球詰まり警報や第1入賞口30の無効化を実行する。
上記構成のパチンコ遊技機によれば、アウト球回収通路29の球詰まりによってアウト口28の入口部に遊技球Pが堆積すると、図10に示すように遊技盤面6aに向けて発射された遊技球Pが、アウト口28の入口に堆積した遊技球Pの上部を伝って第2アウト口101または102のいずれかに流入する。オーバーフロー通路103または104に侵入した遊技球Pは、アウト球回収通路29が合流点Qにて遊技球Pの球詰まりを生じているために行き場を失い、オーバーフロー通路103または104にて数珠繋ぎ状態に堆積する。
このようにしてオーバーフロー通路103または104に堆積した遊技球Pは、通過センサ105、106、107、108のうちいずれか一つの通過センサの検知領域に停滞する為、この状態が3秒以上継続すると主制御部60から副制御部62および副制御部63に対し球詰まり報知実行コマンドが送信され、更に、この状態で規定時間15秒が経過すると、アウト口28の直上に配置された第1始動口30が無効化される。
なお、オーバーフロー通路103、104内において停留した遊技球Pを通過センサ105,106,107,108が検知する位置は、オーバーフロー通路103、104とアウト球回収通路29との合流点Qに近いほど、球詰まり検出までのタイムラグが短くなるので好ましい。
次に、アウト球回収通路29の球詰まりがホール従業員による解除作業によって原因が取り除かれ開通した場合、第2アウト口101、102からオーバーフロー通路103、104に侵入した遊技球Pはアウト球回収通路29を通じて遊技島内のアウト球回収樋に流下するので、オーバーフロー通路103、104は元通り空の状態に戻る。
なお、通常遊技中において遊技盤面6aを流下する遊技球Pが不規則にバウンドして第2アウト口101、102に偶然侵入したとしても、遊技球Pはオーバーフロー通路103、104内を高速に流下し、通過センサ105、106、107、108の検知領域を一瞬に通過し、アウト球回収通路29に流入するため、遊技球Pの停滞は検出されない。
図11および図12は本発明に係るパチンコ遊技機の更に他の実施形態を示したもので、図12は、図11におけるC‐C断面を示している。ただし、図11および図12において前記図2と同一符号を付した部分は夫々同一部材、同一部分を示している。
図11において第1始動口30の左右位置の遊技盤面6aには、夫々内レール5の球ガイド面5aに沿って通過センサ201および202を挿入保持可能な大きさの取付孔203および204が遊技盤面6aと直交方向に穿設されている。
取付孔203および204内には通過センサ201および通過センサ202が遊技盤6の裏面側から挿入され、その前端の検出部が遊技盤面6aと略面一になるよう固定されているので、通過センサ201および202により前方のレール5に沿って通過する遊技球Pを検出領域内にて確実に検出することができる。
通過センサ201、通過センサ202を設ける位置は、図11に二点差線で示す遊技球Pの堆積レベルLより下方の内レール5に沿った位置とすることが好ましい。すなわち、第1始動口30の入口の実質的な高さは、入賞役物の入口に配置した2本の釘31の高さに相当するので、例えば、アウト口28に球詰まりが生じ、アウト口28に向かって流下する遊技球Pがアウト口28の入口部に堆積する場合は、最初に内レール5に沿って遊技球Pが整列して並び、その上部に流下する遊技球Pの堆積が生じるので、前記遊技球Pの堆積斜面レベルLより下方で、かつ、内レール5に沿った位置に通過センサを配置すれば、堆積斜面レベルLまで遊技球Pが堆積し第1始動口30に球が不正に流入するまでの早い時期に、レール5の上面に停滞した遊技球Pを通過センサ201または202によって検出し、アウト口28の球詰まりを判定することが出来るので極めて有効である。
なお、上記通過センサ201,202として使用する検出器の種類としては、通常、高周波発信回路の検出コイルを前端に内蔵し、遊技球Pが通過する際のインピーダンス変化によって検出する方式の遊技球センサやフォトセンサ等の非接触式のセンサが用いられるが、別段これに限定されるものではなく、その他の球検出手段、例えば、遊技球Pが導体であることを利用し、遊技球Pがアウト口28に向かって内レール5に沿い移動している時に接触して接点間が短絡する方式の接触型センサを用いることなども可能である。
図13および図14は本発明に係るパチンコ遊技機の更に他の実施形態を示したもので、図14は、図13におけるD‐D矢視断面図を示している。ただし図13および図14において前記図2と同一符号を付した部分は夫々同一部材、同一部分を示している。
この実施形態は通過センサとして反射型フォトセンサを用いる場合の遊技盤の構成を例示したものである。すなわち、この実施形態では、図13に示す第1始動口30の左右位置の遊技盤面6aには、夫々内レール5の遊技球ガイド面に沿って通過センサ301および302を挿入保持可能な大きさの取付孔303および304が遊技盤面6aと直交する方向に穿設されており、各取付孔303および304内には夫々通過センサ301および302が遊技盤6の背後から挿入され、その前端の検出部が遊技盤面6aと略面一になるよう固定されていると共に、通過センサ301および302の前方の検出領域内をレール5に沿って遊技球Pが通過するようになっている。
図中、305および306は遊技盤面6aに取付けた飾り役物を示しており、レール5に沿ってアーチ形状に湾曲した所定幅の合成樹脂製装飾板305a、306aの背面にボス部305b、306bを突設したもので、前記ボス部305b、306bの中心に設けた取付孔に貫通させた螺子307によって遊技盤面6aに固定されている。上記の飾り役物305および306は、前記装飾板305a、306aの一部が通過センサ301および302の前面を覆うように配置されており、前記通過センサ301および302と対向する装飾板305a、306aの背面にはメッキを施したりや反射板を貼り付けることで反射面Hが形成されている。
なお、この飾り役物305、306は、通常、透明な合成樹脂により成型され背面と遊技盤面6aとの間隙を通過する遊技球Pが遊技者側から視認可能となっていると共に、前記装飾板305a、306aの上部には前記図2で開示した普通入賞口38が一体に成型されている。
上記構成からなるパチンコ遊技機は、前記各通過センサ301、302が内レール5に沿った部分に位置しているため、アウト球回収通路29の球詰まり等によりアウト口28に向かって流下する遊技球Pがアウト口28の入口部に堆積すると、内レール5に沿って整列した遊技球Pが通過センサ301または302の検知領域内で停滞し、反射型フォトセンサからなる通過センサ301または302の発光部から照射された光が遊技球Pに遮られて受光部に到達しないため、所定時間以上、受光部が受光しない場合は、アウト口28の球詰まりと判定される。
また、通過センサ301、302はそれぞれ図13において二点差線で示すように遊技球Pの堆積レベルLより下方に配置されているため、堆積斜面レベルLまで遊技球Pが堆積し第1始動口30に球が不正に流入するまでの早い時期に、レール5の上面に停滞した遊技球Pを通過センサ301または302が検出し、アウト口28の球詰まりを判定することが出来る。
図15および図16は本発明にかかるパチンコ遊技機における通過センサの取付けに関する他の実施形態を示したもので、図16は、図15におけるE‐E矢視断面図を示している。ただし図15および図16において前記図2と同一符号を付した部分は夫々同一部材、同一部分を示している。
図15に示す内レール5の上面の球ガイド面5aには、アウト口28の両側の位置に、前記球ガイド面5a上を通過する遊技球Pの存在を検知するための検知孔401および402が穿設されており、各検知孔401、402の下方には、上端の検出部が前記検知孔401および402を通じて遊技盤面6a前面の遊技空間に望むように2個の反射型フォトセンサからなる通過センサ403および404が配置されている。前記内レール5に設けた2個の検知孔401、402は、図16に横断面で示す如く、遊技球Pと内レール5の球ガイド面5aとの接触ラインより遊技盤面6a側に近く僅かに偏倚して設けられており、レール5に沿って通過する遊技球Pの障害にならないようになっていると共に、その下方に設けた通過センサ403および404から発せられる検出光が遊技球Pの表面で反射して受光部まで確実に届くように内レール5の長さ方向に沿った大きさの長孔形状となっている。
上記構成からなるパチンコ遊技機は、前記各通過センサ403、404が内レール5に沿った部分に位置しているため、アウト球回収通路29の球詰まり等によりアウト口28に向かって流下する遊技球Pがアウト口28の入口部に堆積すると、内レール5に沿って整列した遊技球Pが通過センサ403または404の検知領域内で停滞し、反射型フォトセンサからなる通過センサ403および404の発光部から照射された光が遊技球Pの表面で反射して受光部に到達するため、受光部に光が所定時間以上にわたって受光されつづけた場合は、アウト口28の球詰まりと判定される。
すなわち、通過センサ403および404をこのように配置すれば、アウト口28の球詰まりに遊技球Pが堆積斜面レベルLまで堆積し第1始動口30に球が不正に流入するより遥かに早い時期に、レール5の上面に停滞した遊技球Pを通過センサ403または404が検出し、アウト口28の球詰まりを判定することが出来る。
なお、上記通過センサ403および404として使用する検出器の種類としては、通常、反射型のフォトセンサが用いられるが、例えば、内レール5を合成樹脂等の非磁性体で構成した場合は、高周波発信回路の検出コイルを前端に内蔵し、遊技球Pが通過する際のインピーダンス変化によって検出する方式の非接触センサを図15および図16と同様な態様で取付けることが可能であり、この場合は、前記検知孔401、402を省略することが可能である。
また、上記の各実施形態においては、いずれもアウト口28の直上に特別図柄抽選の始動契機となる始動口30を設けた場合の不正入球防止について説明したが、本発明はこれ以外に、例えば、アウト口の直上にV入賞口を配置し、V入賞口への入球によって大当りを発生させるゲーム性のパチンコ遊技機に適用すれば、アウト口の球詰まりによる入賞口への不正入球や、不正入賞による権利獲得を未然に防止することが可能となり、パチンコ遊技機の公平性を維持することが出来る。