以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る弾球遊技機の代表例としてパチンコ機PMの正面図および背面図を図1および図2に示すとともに、このパチンコ機PMに装着される遊技盤10の正面図を図3に示しており、先ずこの図を参照してパチンコ機PMの全体構成について概要説明する。
パチンコ機PMは、図1に示すように、外郭方形枠サイズに構成された縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載枠をなす前枠2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構3a,3bにより横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側縁部に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側には、前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス扉5および球皿ユニット6が正面左側部に設けられたヒンジ機構7a,7b,7cを利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。球皿ユニット6の正面右側下部には遊技球の発射操作を行う操作ハンドル8が設けられている。ガラス扉5の背後に位置する前枠2の上部には、遊技盤10を着脱可能に収容する方形枠状の収容枠(図示しない)が設けられており、この収容枠に所定のゲージ設定で構成された遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5を通して遊技盤10の正面の遊技領域PAを臨ませるようになっている。なお、図1において遊技盤10前面の詳細な記載を省略している。また、ガラス扉5および遊技盤10の各部には、遊技展開を視覚的に演出するLEDやランプ等の光源を用いた電飾装置9が設けられている。
遊技盤10は、板厚19mm程度の積層合板を図示する所定形状に切断およびルータ加工して、その表面に所定意匠のセルを貼り付けて成型される化粧板11を基板として構成される。化粧板11の前面側には、上下2分割のレール飾り12,13がビス止めされ、その内側に略円形状の遊技領域PAが区画形成されるとともに、球皿ユニット6の裏面側に位置する遊技球発射装置(図示せず)から発射される遊技球を遊技領域PAの上部に導く案内レール面14a,14bが形成される。遊技盤10の遊技領域PAには、多数本の遊技釘とともに、ランプ風車や一般風車等の風車15、次述する各種の入賞装置16,17,18などが配設されている。
遊技領域PAの中央下部には始動入賞装置16が設けられており、遊技球が始動入賞装置16に入球すると、この入賞口に連通して化粧板11を前後貫通する球通路を通って遊技盤10の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出センサ26(図4を参照)を通過することによって遊技球の入賞が検出されるようになっている。
さらに、始動入賞装置16の下方には大入賞口17aを開閉可能な大入賞装置17(アタッカー)が設けられる。大入賞装置17は、特別遊技中に大入賞口ソレノイド29(図4を参照)を用いて大入賞口17aを開放し、遊技球を大入賞口17aに対し通過容易にする。大入賞口17aは、遊技領域PAの下部に設けられた横長方形状の入賞口であり、大入賞口17aが閉鎖状態にあるときには、遊技球は大入賞口17aを通過することができず、大入賞口17aが開放状態になったときに、遊技球が大入賞口17aを通過することができる。遊技球が大入賞口17aを通過すると、この入賞口に連通して化粧板11を前後貫通する球通路を通って遊技盤10の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出センサ27(図4を参照)を通過することによって遊技球の入賞が検出されるようになっている。
遊技領域PAの下方部には、左右に並んで4つの普通入賞装置18が設けられ、遊技球が普通入賞装置18に入球すると、この入賞口に連通して化粧板11を前後貫通する球通路を通って遊技盤10の裏面側に排出され、該裏面側に設けられた入賞球検出センサ28(図4を参照)を通過することによって遊技球の入賞が検出されるようになっている。
上記の各入賞球検出センサ26,27,28は、遊技球の通過を検出可能な通過型センサにより構成されており、遊技球の入賞を検出して、この入賞検出信号を後述する遊技制御装置100へ出力する。また、遊技領域PAの下端には、各入賞装置16,17,18に入賞せずに流下した遊技球を遊技盤10の裏面側へ排出させるアウト口19が設けられている。
さらに、遊技領域PAの中央部近傍には、特別図柄表示装置41や演出図柄表示装置42が取り付けられたセンター役物(「センター飾り」とも称される)40が配設されている。特別図柄表示装置41は、例えば発光ダイオード(LED)等から構成され、後述する抽選手段112による抽選の結果に基づいて特別図柄(図示せず)を変動表示する。演出図柄表示装置42は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)等から構成され、特別図柄表示装置41と連動して(すなわち、遊技の展開に応じて)装飾図柄(図示せず)を表示面42aに変動表示する。特別図柄表示装置41の特別図柄は、始動入賞装置16への遊技球の入賞を契機として行われる抽選の結果に基づいて表示される図柄であり、大当たりを発生させるか否かを示す役割を担う。また、演出図柄表示装置42の装飾図柄は、特別図柄で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄であり、例えば、スロットマシンの図柄表示を模した複数列の変動図柄として表示面42aの中央領域に表示される。
一方、前枠2の裏面側には、図2に示すように、中央に前後連通する窓口を有して前枠2よりも若干小型の方形枠状に形成された裏セット盤30が、前枠2の背面側に設けられた複数のレバーL,L…を利用して着脱可能にセット保持される。裏セット盤30の各部には、遊技球を貯留する球貯留タンク31、球貯留タンク31から供給された遊技球を流下させる過程で前後2列に整列させるタンクレール32、タンクレール32から導かれた遊技球を整列状態で待機させる待機通路33、この待機通路33に整列待機された遊技球を遊技盤10における入賞状態等に基づいて払い出す球払出装置34、球払出装置34から払い出された遊技球を球皿ユニット6に導く球払出通路35などの遊技球の処理機構が設けられている。また、裏セット盤30の各部には、電子部品等に電力を供給する電源ユニット36、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御基板37、画像表示、効果音の演出、効果ランプ等の表示制御を行うサブ制御基板38、遊技施設側にパチンコ機PMの作動状況等を出力するターミナル基板39等の各種基板や電子部品などが取り付けられ、これらが図示省略するコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成される。
続いて、パチンコ機PMに構成される遊技制御装置100について図4を追加参照しながら説明する。なお、図4は遊技制御装置100の概要構成を機能的に示すブロック図である。この遊技制御装置100は、前述した主制御基板37やサブ制御基板38等から構成される(図4では不図示)。遊技制御装置100には、始動入賞装置16、大入賞装置17、普通入賞装置18、特別図柄表示装置41、および演出図柄表示装置42等が電気的に接続されており、各種検出信号および制御信号の送受信が行われるようになっている。
遊技制御装置100は、各入賞装置への入賞(入球)を判定する入賞判定手段110と、始動入賞装置16への遊技球の入賞に基づき特別図柄抽選を実行する抽選手段112と、特別図柄および装飾図柄の変動表示パターンを保持するパターン記憶手段114と、図柄変動における停止図柄および変動表示の表示パターンを決定する図柄決定手段120と、図柄等の表示を制御する表示制御手段130と、大当たり遊技等の通常遊技よりも遊技者に有利な特別遊技を制御する特別遊技制御手段140と、確率変動遊技等の通常遊技よりも遊技者に有利な特定遊技を制御する特定遊技制御手段150と、大入賞装置17の開閉制御を行う開閉制御手段160と、各入賞装置への遊技球の入賞に基づき所定の賞球の払い出しを行うように球払出装置34を制御する賞球払出制御手段170とを備えて構成される。
入賞判定手段110は、入賞球検出センサが各入賞装置への遊技球の入賞を検出することで、この入賞球検出センサから出力される入賞検出信号を受信すると、該入賞装置に遊技球が入賞したことを判定する。入賞判定手段110によって始動入賞装置16への入賞が判定されると、抽選手段112は、保留球数が上限に達していないかを調べる。例えば、保留球数の上限は4つに設定されている。保留球数が上限に達していない場合、入賞判定手段110が始動入賞情報(入賞球検出センサ26からの入賞検出信号)を受信したタイミングで、抽選手段112は始動入賞に対する乱数を取得する。このようにして取得した乱数に基づいて、抽選手段112は特別図柄抽選の当否を判定する。なお、抽選の当否判定は、乱数の取得と同時に行われてもよく、また、特別図柄の変動を開始する直前に行われてもよく、所定の抽選ソフトウェアを利用して行われる。抽選乱数が当たりであった場合、抽選手段112は確率変動付きの当たりであるか否かを決定する。
図柄決定手段120における特別図柄決定手段121および装飾図柄決定手段122は、抽選手段112による判定結果に応じた停止図柄と、図柄変動の表示パターンとを決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示するべき図柄である。パターン記憶手段114は、特別図柄や装飾図柄を変動表示させるときの表示パターンとして複数種のパターンを保持する。表示パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンとが含まれる。また、リーチ状態を経るときのパターンとして、長短様々な表示時間を持つパターンが含まれる。各表示パターンは、その図柄変動の終了条件として表示時間がそれぞれ定められており、その表示時間が経過すると、図柄変動が停止される。
特別図柄決定手段121は、抽選手段112による抽選結果に応じてパターン記憶手段114からいずれかのパターンを選択し、抽選結果に応じた特別図柄の停止図柄を決定する。装飾図柄決定手段122は、特別図柄決定手段121により選択された表示パターンに応じたパターンをパターン記憶手段114から選択し、抽選結果に応じた装飾図柄の停止図柄を決定する。
表示制御手段130は、特別図柄決定手段121において決定された変動パターンおよび停止図柄をもとに、特別図柄表示装置41に特別図柄を変動表示させる。また同時に、表示制御手段130は、装飾図柄決定手段122において決定された変動パターンおよび停止図柄をもとに、演出図柄表示装置42に装飾図柄を変動表示させる。なお、表示制御手段130により特別図柄を表示させる機能は主制御基板37側の処理として実行され、装飾図柄を表示させる機能はサブ制御基板38側の処理として実行される。
特別遊技制御手段140における条件保持手段142は、特別遊技を実行するための条件である作動条件を保持している。本実施形態において作動条件は、表示制御手段130により変動表示される特別図柄が特別図柄表示装置41において所定の図柄で停止されたことに設定される。特別遊技制御手段140における条件判定手段144は、遊技情報を監視し、特別遊技への移行条件である作動条件の成立の可否を判定する。また、条件判定手段144は、作動条件の判定結果をもとに、各種作動フラグのオンまたはオフの設定を行う。
特別遊技制御手段140における特別遊技実行手段146は、作動条件が成立すると、特別遊技を実行する。ここで、特別遊技は、大入賞装置17による大入賞口17aの開閉操作を複数回連続して継続する遊技であり、特別遊技に移行すると、遊技者は特別遊技が行われていることを容易に認識することができるとともに、相当数の賞球を期待することができる。このとき、特別遊技実行手段146は、開閉制御手段160に大入賞口17aの開閉制御を行わせる。開閉制御手段160は、特別遊技中、大入賞装置17の大入賞口ソレノイド29に開放作動信号(もしくは、閉鎖作動信号)を出力し、大入賞口17aを開放(もしくは、閉鎖)させる。
特定遊技制御手段150は、特別遊技とは異なる遊技者に有利な特定遊技、例えば確率変動遊技の実行を制御する。特定遊技制御手段150における特定遊技実行手段151は、抽選手段112による抽選結果に基づいて、特別図柄の確率変動遊技を実行する。例えば、特別図柄の停止図柄が奇数であるときに、特別遊技の終了後、特別図柄の確率変動遊技が実行される。なお、特別図柄の確率変動遊技における当たりの割合は、通常遊技のときよりも高く設定される。
賞球払出制御手段170は、始動入賞装置16、大入賞装置17、普通入賞装置18に遊技球が入賞した旨の入賞信号を入賞判定手段110から受信した場合、各々の入賞に対応する所定の賞球数となるように球払出装置34を作動制御する。
以上のように構成されるパチンコ機PMは、前枠2、ガラス扉5および球皿ユニット6がともに閉止され施錠された状態で遊技に供され、球皿ユニット6に遊技球を貯留させて操作ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。操作ハンドル8が回動操作されると、球皿ユニット6に貯留された遊技球は遊技球発射装置(図示せず)により1球ずつ遊技盤10の遊技領域PAに打ち出され、遊技球が遊技領域PAを転がり落ちることにより、以降パチンコゲームが展開される。
遊技領域PAを転がり落ちる遊技球が普通入賞装置18に落入すると、入球した遊技球が入賞球検出センサ28を通過する際に入賞が検出され、その入賞検出信号が遊技制御装置100に入力される。遊技制御装置100における賞球払出制御手段170は、球払出装置34に払出指令信号を出力し、普通入賞装置18に入賞した場合の褒章として予め設定された所定個数の賞球を球皿ユニット6に払い出させる。普通入賞装置18に落入して遊技盤10裏面へ導かれた遊技球は、各種入賞装置に入球することなくアウト口19を通過したアウト球とともに、裏セット盤30の遊技済み球排出通路を経て遊技島の回収装置へ排出される。なお、他の入賞装置17,18に入賞した場合も同様にして遊技球は遊技島の回収装置へ排出される。
始動入賞装置16に遊技球が落入すると、入球した遊技球が入賞球検出センサ26を通過する際に入賞が検出され、その入賞検出信号が遊技制御装置100に入力される。遊技制御装置100における賞球払出制御手段170は、球払出装置34に払出指令信号を出力し、始動入賞装置16に入賞した場合の褒章として予め設定された所定個数の賞球を球皿ユニット6に払い出させる。また、遊技球が始動入賞装置16に入賞すると、抽選手段112により所定の抽選ソフトウェアを利用した特別図柄抽選が行われ、特別図柄表示装置41および演出図柄表示装置42において特別図柄および装飾図柄が所定時間だけ変動表示される。抽選結果が大当たりである場合(変動停止時の特別図柄が大当たりの図柄で停止する場合)、演出図柄表示装置42には、例えば、スロットマシンの図柄表示を模した装飾図柄を一致させるような表示態様を有して表示され、特別遊技が実行される。
特別遊技においては、大入賞装置17の作動により大入賞口17aが開放される。そして、例えば、大入賞口17aが約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が大入賞装置17に入賞した後、大入賞口17aが一旦閉鎖され、このような開閉動作が所定回数(例えば15回)継続して繰り返される。大入賞装置17に遊技球が落入する度に、予め設定された所定個数の遊技球が賞球として球払出装置34より払い出される。
さて、このように構成されるパチンコ機PMにおいて、正当な正常遊技では原則として遊技球1球につき1回のみ入賞球検出センサへの通過が検出されるものであるが、近年においては、入賞装置に入球した遊技球が入賞球検出センサを通過する際に、不正行為者が不正部材(ゴト器具)を用いて該遊技球1球を入賞球検出センサに繰り返し通過させる操作を行うことで、何度も入賞球検出センサに遊技球の通過を検出させて、多数の賞球を払い出させる不正行為(ゴト行為)が頻発している。この代表的な手口としては、入賞球検出センサを通過する遊技球に対してゴト器具を用いて不正な外力を付与して、遊技球を入賞球検出センサ内においてサッカーのリフティングの如き連続して弾発し、該入賞球検出センサを何度も繰り返し通過させて遊技球の連続入賞を得る所謂リフティングゴトと称される不正入賞行為が存在する。
しかしながら、上記のような不正行為(リフティングゴト)については、パチンコ機PM自体に振動や磁力等の外力が直接印加されるわけではないためその検出が難しく、遊技球の入賞が正常遊技によるものか、不正行為によるものかを正確に判別することが非常に困難であるという問題がある。
このような不正行為の特徴としては、(A1)通過頻度に関わりなく一定時間内に多数の遊技球が入賞球検出センサに通過したように思わせる、(A2)入賞球検出センサを通過する遊技球間(1球1球の間)の通過間隔がほぼ規則的で極短い時間(例えば、[msec]オーダの時間)である、ということが挙げられる。これに対して、正常な遊技においては、(B1)入賞装置に対する入球頻度に応じて一定時間内に入賞球検出センサを通過する遊技球の個数に差が生じる、(B2)入賞球検出センサを通過する遊技球間の通過間隔が短時間となることは稀である、ということが経験的事実からも認められる。より具体的には、正常な遊技においては、遊技球の発射目標位置のずれや、遊技釘や風車15、役物などとの接触、他の遊技球との接触などによって、遊技球の1球1球の間が非定期的な時間間隔になるという傾向がある。
そこで、本実施形態においては、上記特徴の相違に鑑みて入賞球検出センサへの遊技球の通過頻度に着目して、遊技球の入賞が正当な入賞であったか、不正行為による入賞であったかを正確に判別して、不正行為であると判断した場合には所定の警報作動を行うべく、入賞球検出センサ、遊技制御装置100の内部回路、警報作動手段を主体として、不正防止装置が構成されている。
遊技制御装置100には、前述の入賞判定手段110や抽選手段112等の内部回路の他に、不正防止制御手段180が備えられている。この不正防止制御手段180は、入賞球検出センサを通過する遊技球間の通過間隔時間を計測するタイマ手段181と、タイマ手段181の通過間隔時間を参照して入賞球検出センサへの所定の遊技球の通過個数を計測するカウンタ手段182と、入賞球検出センサへの遊技球の通過が確認されたときに該入賞装置の種類に応じて上記の通過間隔時間および通過個数に対する所定の閾値(後述する検査時間および上限個数)を決定する閾値決定手段183と、上記所定の閾値を一時記憶する閾値保持手段184と、タイマ手段181およびカウンタ手段182の計測値と閾値保持手段184に記憶された所定の閾値とを比較して各入賞装置への連続する入賞が正当な入賞であるか、不正行為による入賞であるかを判定する不正判定手段185と、不正判定手段185において不正行為による入賞であると判定されたときに警報作動手段50に警報信号を出力する警報信号出力手段186とを備えて構成される。
タイマ手段181は、遊技球が入賞球検出センサを次々と通過する際に、この入賞球検出センサから出力される入賞検出信号を受信する度にタイムカウントを開始し、入賞球検出センサを通過する遊技球間の通過間隔時間を計測する。ここで、通過間隔時間とは、遊技球が入賞球検出センサを通過してから、次の遊技球が該入賞球検出センサを通過するまでに要する経過時間(換言すれば、入賞球検出センサからの入賞検出信号を受信してから次の入賞検出信号を受信するまでに要する経過時間)を意味しており、各入賞球検出センサから入力される入賞信号に基づいて、入賞装置単位(入賞装置の種類ごと)で各々計測される。
カウンタ手段182は、各入賞球検出センサを通過する遊技球のうち、タイマ手段181により計測される遊技球間の通過間隔時間が閾値決定手段183により決定された所定の閾値(後述する検査時間)を超えることなく連続的に入賞球検出センサを通過した遊技球の通過個数をカウント値として計測する。すなわち、カウンタ手段182は、遊技球間の通過間隔時間が所定閾値(検査時間)を超えていない場合にカウント値を加算していき、通過間隔時間が所定閾値(検査時間)を超えた時点でそれまで加算していたカウント値をクリアする。
閾値決定手段183は、遊技球が入賞球検出センサを通過した際に、この遊技球の入賞が正常遊技によるものか、不正行為によるものかを判別するための閾値として検査時間および上限個数を決定し、これを閾値保持手段184に一時記憶させる。閾値決定手段183には、例えば入賞装置の種類、個数、配置に基づく入球頻度(入賞球検出センサへの通過頻度)に応じて設定された検査時間および上限個数の情報が入賞装置の種類ごとに内部メモリに格納されており、入賞装置の種類に応じて内部メモリから対応する情報が取り出されるになっている。検査時間としては、正常遊技による遊技球間の通過間隔時間と、不正行為による遊技球間の通過間隔時間とを判別するための閾値として、例えば[msec]オーダの微小時間が設定される。上限個数としては、正常遊技において上記の検査時間程度の間隔で連続的に遊技球が入賞するおそれのない個数(入球頻度を超える個数)が設定される。例えば、始動入賞装置16に対する閾値としては、検査時間=10[msec]、上限個数=10、が例示され、普通入賞装置18に対する閾値としては、検査時間=10[msec]、上限個数=5、が例示される。なおこのとき、始動入賞装置16よりも普通入賞装置18の方が上限個数が少数に設定されているのは、本実施形態では遊技領域PA内において始動入賞装置16よりも普通入賞装置18の方が入球頻度の低い配置構成となっているからであり、遊技領域PA内における入賞装置の種類、個数、または配置などに応じて、適宜な値が設定可能になっている。
不正判定手段185は、上記のタイマ手段181やカウンタ手段182等を介して遊技球の入賞状況を常時監視して不正行為を判別するべく、カウンタ手段182の計測するカウント値と閾値決定手段183に予め設定された上限個数とを比較してカウント値が上限個数に達した否かを判定し、カウント値が上限個数に達したときに、連続する遊技球の入賞が不正行為によるものであると判断し、カウントアウトした旨の判定信号を警報信号出力手段186へ出力する。
警報信号出力手段186は、不正判定手段185からカウントアウトした旨の判定信号が入力されたときに警報信号を警報作動手段50へ出力し、所定のリセット操作がなされるまでこの警報信号を自己保持する。
警報信号を利用した警報作動手段には種々の形態があるが、その代表例として、図4に示したように、パチンコ機PM自身において所定の警報を報知する自機警報手段51、パチンコ機PMの外部に警報を報知する外部警報手段52、パチンコ機PMの所定の作動を規制する作動規制手段53などが例示され、これらの手段を単独で、または複合的に作動させることが可能である。
自機警報手段51は、例えばパチンコ機PMの演出図柄表示装置42に所定の警報画像を表示させたり、ガラス扉5や遊技盤10に設けられた装飾ランプ等の電飾装置9を全点滅させたり、スピーカから警報音を発生させるように構成することができる。また、外部警報手段52は、ターミナル基板39を介して遊技施設側に警報信号を出力し、例えば遊技島の警報表示灯を点滅させたり、遊技施設のホールコンピュータにアラーム表示を点滅させたりするように構成することができる。作動規制手段53は、球払出装置34による賞球の払い出し作動や遊技球発射装置による発射作動を規制し、あるいは特別遊技の実行を停止させるように構成することができる。
次に、このように構成される不正防止装置の作動について、図5に示すフローチャートを追加参照して説明する。この不正防止装置において実行される処理では、各種入賞装置における入賞球検出センサへの遊技球の通過を契機としてスタートされる。ここでは、遊技球が普通入賞装置18に連続して入賞する場合を例示して説明する。
まず始めにステップS101では、入賞判定手段110によって、普通入賞装置18の入賞球検出センサ28から入力される入賞検出信号に基づいて、この入賞球検出センサ28に遊技球の通過があったか否かが判定され、未だ通過していないと判断された場合にスタートに戻ってこの判断を繰り返し、遊技球が通過したと判断されるときに次のステップS102に進む。なお、説明の便宜のため、入賞球検出センサ28を通過した上記遊技球を第1球目と称し、以降次々と連続して入賞球検出センサ28を通過する遊技球を第2球目、第3球目…と称して説明する。
入賞球検出センサ28への遊技球の通過が確認されると、ステップS102では、タイマ手段181によって、今回の通過球と次回の通過球(第1球目と次回の第2球目)との間の通過間隔時間を計測するためのタイムカウントが開始される。
ステップS103では、不正判定手段185によって、閾値保持手段184に設定された検査時間が初期値であるか否かが判断される。ここで、第1球目の球通過にあっては、閾値保持手段184には検査時間および上限個数に初期値として「0」が設定されている。このように閾値保持手段184の検査時間が初期値を示し、このステップS103において肯定判定がなされると、ステップS104に移行する。
ステップS104では、閾値決定手段183によって、遊技球が入賞した入賞装置の種類に対応する(すなわち、ここでは普通入賞装置18に対応する)検査時間および上限個数が決定された上で、閾値保持手段184には、閾値決定手段183により決定された情報として、例えば、検査時間には10[msec]、上限個数には5が設定される。この情報が閾値保持手段184に一時記憶され、そのまま正常遊技へと移行する(ステップS105)。
ステップS101に戻って、第1球目に続いて第2球目以降の遊技球が普通入賞装置18の入賞球検出センサ28を通過すると、この入賞球検出センサ28からの入賞検出信号に基づいて、再び入賞判定手段110によって遊技球の通過が判定され、ステップS102に進む。入賞球検出センサ28への第2球目以降の遊技球の通過に伴って、ステップS102では、タイマ手段181によって、それまで計測されていたタイムカウントを停止して、この計測された時間を前回と今回通過した遊技球間の通過間隔時間の情報として不正判定手段185へ出力するとともに、今回と次回通過する遊技球間の通過間隔時間を計測するためのタイムカウントを開始する。
再び、ステップS103において、閾値保持手段184に設定された検査時間が初期値であるか否かが判定される。第2球目以降の球通過においては、第1球目の球通過の際にステップS104にて閾値保持手段184には検査時間として所定の値(上記例示した10[msec])が既に設定されているためステップS103では否定判定がなされ、今度はステップS106に移行する。
ステップS106では、不正判定手段185によって、タイマ手段181で計測された遊技球間の通過間隔時間が閾値保持手段184に設定された検査時間(10[msec])を超えているか否かが判断される。通過間隔時間が検査時間を超えていないと判定されると(否定判定されると)、ステップS107では、それまで閾値保持手段184に設定されていた検査時間の値が一旦クリア(ゼロにリセット)された上で、新たな値が検査時間として閾値保持手段184に再設定される。なお、このとき検査時間に設定される値としては、カウント値に関わらず一定であっても、カウント値に応じて増減したものであってもよい。
ステップS108において、カウンタ手段182によって、遊技球の通過個数としてカウント値がカウントアップ(+1加算)される。例えば、第2球目の球通過ではカウント値=1、第3球目の球通過ではカウント値=2、となるように加算されていく。そして、ステップS109では、不正判定手段185によって、カウンタ手段182で計測されたカウント値が、閾値保持手段184に設定された上限個数に達しているか否かが判定される。カウント値が上限個数に達していない場合には、このステップS109では否定判定がなされ、次のステップS113において正常遊技に移行して、再びステップS101の処理に戻る。
このような処理が繰り返されて、ステップS109において、不正判定手段185によって、カウント値が上限個数に達していると判断された場合、すなわち、通過間隔時間が検査時間内である連続する遊技球の入賞が上限個数の分だけ確認された場合、この普通入賞装置18への連続する入賞が不正行為によるものであると判断される。
ステップS110では、警報信号出力手段186が不正判定手段185の判断結果に基づいて警報信号を出力し、警報作動手段50によって所定の警報作動が行われる。
一方、ステップS106において、通過間隔時間が検査時間を超えていると判断され肯定判定がなされると(入賞が正当な遊技によるものであると判定されると)、ステップS111では、閾値保持手段184に設定されていた検査時間および上限個数がクリア(0にリセット)され、ステップS112では、カウンタ手段182によって通過個数のカウント値がクリア(0にリセット)され、その後ステップS113において、正常遊技に移行する。そして、正常遊技に移行して、新たに遊技球が入賞球検出センサ28等を通過すると、この不正防止装置によって、再び第1球目の遊技球としてステップS101からの処理が実行される。
なお、上述したフローチャートの説明では普通入賞装置18における入賞球検出センサ28への球通過のみについて説明したが、不正防止装置では、各入賞球検出センサから入力される入賞検出信号に基づいて、全ての入賞球検出センサに対して遊技球の通過が同時に監視されており、入賞装置単位で(入賞装置の種類ごとに)遊技球の通過間隔時間および通過個数(カウント値)が計測されて、遊技球の入賞が正常遊技によるものか、不正行為によるものかが判定されるようになっている。従って当然ながら、入賞装置としては、普通入賞装置や始動入賞装置等に限定されず、普通電動役物や特別入賞装置(Vゾーン)、ゲート型の入賞装置等であっても適用可能である。
以上のように構成されるパチンコ機PMでは、入賞装置への遊技球の入球頻度(入賞球検出センサへの通過頻度)に着目して、連続する遊技球間の通過間隔時間が所定の検査時間を超えずにその通過個数が上限個数に達した場合に不正行為であると判断する構成であるため、連続する複数回の入賞があった場合に、この遊技球の入賞が正当な遊技(偶発的)によるものであるか、不正行為によるものであるかを正確に判別することができ、不正行為を有効に抑止することが可能になる。そのため、不正行為を確実に検知して警報することで損害の発生を未然に防止することができるとともに、正常遊技が誤判定によって強制的に中断されるのが防止され、正当な遊技者に不快な思いをさせたり予期せぬ不利益を被らせたりするおそれもない。また、従来構成のパチンコ機に対して制御構成を変更するのみの簡便な構成であるため、部品点数やコストの増大を防止しつつ不正行為を抑止することができる。
このとき、正当な遊技状態において、所定時間内にトータル的には上限個数に達するような遊技球の入賞が偶発的に発生した場合でも、遊技球間の通過間隔時間が検査時間を超えることなく連続的に入賞球検出センサを通過した遊技球の個数のみをカウントの対象とすることで、この通過間隔時間の長短や規則性に基づいて不正行為との差別化が容易になり、不正行為の判別の精度を高めることが可能になる。
また、正常遊技と不正行為とを判別するための所定の閾値となる検査時間および上限個数は、遊技領域PA内における入賞装置の種類、個数、配置に応じて、換言すれば、該入賞装置への遊技球の入球頻度に応じて適宜な値として設定されている。本実施形態では、遊技領域PA内において相対的に入球し易い位置に配置されている始動入賞装置16については、入賞球検出センサ26への通過頻度が比較的高くなるため上限個数を高く設定し、相対的に入球し難い位置に配置されている普通入賞装置18については、入賞球検出センサ28への通過頻度が比較的低くなるため上限個数を低く設定している。また、上述の実施形態では、始動入賞装置16および普通入賞装置18共に検査時間を同じ値に設定しているが、始動入賞装置16と普通入賞装置18とで異なる値に設定してもよく、この場合においても遊技球の入球頻度に鑑み、始動入賞装置16では検査時間を短く設定し、普通入賞装置18では検査時間を長く設定することができる。従って、このように不正行為の判別を入賞装置の種類や個数、配置に応じて異なる基準で行うことにより、入賞装置への現実の入球状況に適合させた正確な判別を実現することができる。なお、入賞装置の種類、個数、または配置に限定されず、遊技球発射装置による遊技球の発射間隔や打球発射力などに応じて、検査時間および上限個数を設定するように構成してもよい。
また、本実施形態においては、遊技領域PA内には4つの普通入賞装置18が設けられているが、この普通入賞装置18への遊技球の入賞を検出する入賞球検出センサ28の個数については、普通入賞装置18の個数に応じた分だけ設ける構成(すなわち、普通入賞装置18と入賞球検出センサ28とを1対1の関係で設ける構成)であっても、4つの普通入賞装置18に入球する遊技球を1つの入賞球検出センサで集約して検出する構成や、遊技盤10において左側および右側各2つずつ配置された普通入賞装置18に対して入賞球検出センサ28を各々1つずつ設ける構成であってもよい。このような構成において、普通入賞装置18の入賞球検出センサ28への遊技球の通過に関する情報の取得は一括して行われる構成が好ましい。つまり、入賞球検出センサ28の個数に関わらず、普通入賞装置18用の入賞球検出センサ28のいずれかに遊技球が通過する度に、一括して通過間隔時間および通過個数をカウントし、所定の閾値との比較によって、不正行為の判別を行う構成であってもよい。このような構成によれば、始動入賞装置16と複数の普通入賞装置18とを2ポートのみで監視することができるため、制御系の監視負担を軽減して、不正行為の判別のために遊技球の入賞を常時監視する際に必要となるメモリ容量を削減することが可能になる。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、入賞球検出センサについては、遊技球の通過を検出可能な通過型センサである限り特に限定されず、例えば、磁気センサや光センサ、近接スイッチ等の非接触動作型でも、マイクロスイッチのような接触動作型でもよい。
さらに、上述の実施形態においては、遊技領域PA内の全ての入賞装置に対して不正行為の監視を行う場合を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、パチンコ機PMにおける入賞球検出センサ自体の配置に基づいて不正行為の監視の有無や監視の優先度を決定してもよい。より具体的には、ゴト器具をアクセス容易な位置に配置されている入賞球検出センサについては優先的に監視を行い、アクセス不能な位置に配置されている入賞球検出センサについては監視を行わない構成であってもよい。このような構成によれば、制御系の監視負担を軽減することが可能になる。
なお、以上説明した実施形態では、本発明に係る弾球遊技機の一例として、パチンコ機を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、アレンジボール、雀球遊技機などについても同様に適用し、同様の効果を得ることができるものである。