以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。本発明に係る不正防止装置を適用した遊技機の一例として、図1及び図2にそれぞれパチンコ機の正面図及び背面図を示しており、まず、これらの図面を参照しながらパチンコ機PMの全体構成について概略説明する。
パチンコ機PMは外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ部材3a,3bを介して横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の各部にはパチンコ機を構成する遊技機構成部材として、前枠2の前側面域に合わせた方形状のガラス扉5および球皿6が正面左側部に設けられたヒンジ機構を利用して横開き開閉および着脱が可能に組付けられ、球皿6の下側に発射ハンドル8および遊技球発射装置などが装備されている。ガラス扉5の背面には、後方に突出して円筒状のボスが形成される一方、前枠2の前面側にはガラス扉5の閉鎖時にボスを検出することでガラス扉5の開閉状態を検出する扉開放検出器45が取り付けられており(図1及び図2において不図示、図7を参照)、その信号が次述する制御装置36に入力されている。前枠2の上方奥部には後方に突出して方形枠状の収容枠が前枠2と一体に形成されており、この収容枠に所定のゲージ設定で構成された遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5に遊技盤正面の遊技領域PAを臨ませている。
前枠2の裏側には、中央に前後連通する窓口を有して前枠2よりもやや小型の方形枠状に形成された裏セット盤30が、前枠2の裏面に設けられた複数のレバーL,L…を利用して着脱可能にセット保持される。裏セット盤30の各部には、遊技球を貯留する球貯留タンク31、球貯留タンク31に貯留された遊技球を整列させるタンクレール32、タンクレール32から導かれた遊技球を整列状態で待機させる待機通路部材33、この待機通路に整列待機された遊技球を払い出す球払出装置34、球払出装置34から払い出された遊技球を球皿6に導く払い出し通路形成部材35などが設けられている。また裏セット盤30の裏面各部に、パチンコ機の作動を制御する制御装置36や、遊技施設側にパチンコ機PMの作動状況等を出力するターミナル基板37、パチンコ機PMの各部に電力を供給する電源ユニット38等の各種基板や電子部品などが取り付けられ、各機器がワイヤーハーネスで接続されてパチンコ機PMが動作可能に構成される。
このように概要構成されるパチンコ機PMにおいて、遊技盤10には、内外の案内レールに囲まれて遊技球が転動落下する略円形の遊技領域PAが区画形成され、この遊技領域PAに、図示しない遊技釘が多数打設されるとともに、中央部に特別図柄表示装置11や演出図柄表示装置12が取り付けられたセンター飾りCD、その下方の各部に、種々の入賞装置が設けられている。
遊技領域PAの下部中央には、遊技球が入球可能な入賞口を有する第1始動入賞装置13が設けられ、その下側に位置して遊技球が入球可能な入賞口を有する第2始動入賞装置14が設けられている。第1始動入賞装置13は固定型の入賞具であり、その入賞口13aが第1種パチンコ遊技機における始動口(以下、第1種始動口という)とされる。第1種始動口13aに落入した遊技球は、この入賞装置13に設けられた遊技球検出器に検出され、遊技盤10の裏面に排出されるようになっている。
第2始動入賞装置14は、それぞれ左右に揺動開閉する羽根を有した開閉型の普通電動役物(いわゆる電動チューリップ)であり、その入賞口14aが第2種パチンコ遊技機における始動口(以下、第2種始動口という)とされる。第2種始動口14aに落入した遊技球は、この入賞装置14に設けられた遊技球検出器に検出され、遊技盤10の裏面に排出される。第2始動入賞装置14は、第1始動入賞装置13の直下に隣接して設けられており、左右の羽根が閉じた状態にあるときには、第2種始動口14aが第1始動入賞装置13に塞がれて遊技球は入球することができず、左右の羽根が開いた状態にあるときに限って第2種始動入口14aに入球できるようになっている。
第2始動入賞装置14の左方に、遊技球が通過可能な入賞口を有する普通図柄作動ゲート15が設けられ、第2始動入賞装置14の下方には、遊技球が入球可能な入賞口を有する第1大入賞装置16が設けられている。普通図柄作動ゲート15は通過形の固定入賞装置であり、入賞口(以下、通過入賞口という)に転入した遊技球が遊技球検出器の検出開口を上下に通過して検出され、そのまま遊技盤面を転動落下する。
第1大入賞装置16は、前後に揺動開閉する横長方形の大型の開閉扉16gを有した開閉型の特別電動役物であり、開閉扉16gが開いたときに開口する大型の入賞口16aが第1種パチンコ遊技機における大入賞口(以下、第1種大入賞口という)とされる。第1大入賞装置16の開閉扉16gは常には閉鎖状態とされ、この前方を落下する遊技球が第1種大入賞口16aに転入することなくそのまま落下する。一方、所定条件成立に基づく特別遊技実行時には、開閉扉16gを前方に傾倒させて第1種大入賞口16aを開口させ、この入賞口の前方を落下する遊技球が開閉扉16gに受け止められて第1種大入賞口16aの内部に導かれるようになっている。第1種大入賞口16aの内部には、遊技球が通過し得る領域(球通路)として、特定領域と一般領域(非特定領域とも称される)の二つの領域が形成されており、それぞれに遊技球検出器が設けられている。このため、第1種大入賞口16aに転入した遊技球は、いずれかの領域を通過して遊技球検出器に検出され、遊技盤10の裏面側へ排出されるようになっている。
第1大入賞装置16を挟む左右には、遊技球が入球可能な入賞口(以下、普通入賞口という)18aを有する複数の普通入賞装置18が設けられている。普通入賞装置18は固定型の入賞具であり、普通入賞口18aに落入した遊技球がこの入賞装置に設けられた遊技球検出器に検出され、遊技盤10の裏面に排出されるようになっている。正面左側の普通入賞装置には、普通図柄作動ゲート15での遊技球の通過を契機として行われる内部抽選の結果に基づいて普通図柄を変動表示する普通図柄表示装置17が回路基板に実装されて取り付けられている。遊技領域PAの下端には、これらの入賞装置に転入せずに落下した遊技球を遊技盤10の裏面側へ排出させるアウト口19が設けられている。
センター飾りCDは、図3〜図6の各図に示すように、液晶表示パネルを利用した演出図柄表示装置12の周囲を囲む多層構成の枠状に形成されており、このセンター飾り全体を利用して、遊技球が入球可能な入賞口を有する第2大入賞装置20が構成される。なお、図3は開閉扉前方のカバー20cを取り外した状態で示すセンター飾りCDの左斜め前方からの斜視図、図4は入賞装置内部の仕切り板28を取り外した状態で示すセンター飾りCDの右斜め前方からの斜視図、図5は図4中のV〜矢視方向の側断面図、図6は図4中のVI〜矢視方向の側断面図である。
第2大入賞装置20は、センター飾りCDの左枠部に設けられ左右に揺動開閉する縦長方形の大型の開閉扉20gを有した開閉型の特別電動役物であり、開閉扉20gが開いたときに開口する大型の入賞口20aが第2種パチンコ遊技機における大入賞口(以下、第2種大入賞口という)とされる。左枠部の後面側には開閉扉20gを開閉駆動する電磁ソレノイドを有する扉開閉機構が設けられており、開閉扉20gの開閉作動(電磁ソレノイドのON/OFF)が制御装置36により制御される。
センター飾りCDの左枠部には、図3及び図5に示すように、第2種大入賞口20aに入球した遊技球を検出する遊技球検出器(以下、入賞球検出器という)41が設けられるとともに、入球した遊技球を枠部内側の内部遊技空間20sに導く導入通路21が形成されており、この導入通路21の終端部が内部遊技空間20sの後部に左右に延びて形成された第1転動ステージ22に繋がっている。第1転動ステージ22は、中央部とその左右に谷部を有して遊技球が転動自在な波形に形成されており、これら3箇所の谷部には、前方に緩く下傾する誘導椀部22b,22a,22bが形成されて、第1転動ステージ22を転動する遊技球がこれら3箇所の誘導椀部から前方に転落しやすいようになっている。
第1転動ステージ22の前方に位置する立設壁面に、左右に並んで2つの回転体23L,23Rが設けられている。左右の回転体は、前後に延びてわずかに先太円柱状に形成されたボス部と、このボス部から90度ピッチで外周方向に突出して形成された長短二種類の羽根部とを備え、長い羽根部同士、短い羽根部同士が対となるように、各ボス部の軸線を中心として左右の回転体23L,23Rが逆方向に、例えば左側の回転体23Lが時計廻りに、右側の回転体が反時計廻りに回転駆動される。
羽根部はボス部の軸線に対して前後に傾斜して形成されており、各羽根部が中央の誘導椀部22a側にあるときに羽根部上面が前方に下傾し、各羽根部が左右の誘導椀部22b側にあるときに羽根部上面が後方に下傾するようになっている。また、羽根部の突出高さは、長い羽根同士が中央寄りの回転角度位置に来たときにボス部の間隙を閉鎖し、短い羽根同士が中央寄りの回転角度位置に来たときには遊技球が通過可能な程度の隙間が形成されるようになっている。このため、中央の誘導椀部22aがら前方に落下した遊技球は、その落下時における回転体の回転角度位置に応じて前方に誘導され、あるいはボス部の間を通って下方に落下する。
左右の回転体23L,23Rの下方には、羽根部に受け止められることなく第1転動ステージ22から前方に落下した遊技球、羽根部に弾かれて下方に落下した遊技球、及び次述する第2転動ステージ25から後方に落下した遊技球を、集合させて遊技盤10の裏面側に流下させる集合排出路24が形成されている。集合排出路24は、この第2大入賞装置20における一般領域とされる。
左右の回転体23L,23Rの前方には、中央に凸部を有しその左右にそれぞれV字状の第2転動ステージ25が形成され、左右の第2転動ステージ25,25に挟まれた中央の凸部に上方に開口して遊技球が転入可能な入賞口26が形成されている。第2転動ステージ25の転動面は緩く後方に下傾しており、この第2転動ステージ25に受け止められた遊技球が集合排出通路24に導かれるようになっている。入賞口26は第2大入賞装置20における特定領域(以下、Vゾーンという)とされ、Vゾーン26内部の球通路には、遊技球を検出する遊技球検出器(以下、特定領域通過検出器という)42が設けられ、その信号が制御装置36に入力されている。Vゾーン内部の球通路は、図6に示すように、終端部で集合排出路24に繋がっており、Vゾーン26に入球した遊技球が特定領域通過検出器42に検出された後、集合排出路24に合流されて遊技盤10の裏面側に排出される。
第2転動ステージ25の前方に第3転動ステージ27が形成され、開閉扉20gの下方に開口形成された導入口20dに落入した遊技球が第3ステージ27に導かれるようになっている。第3転動ステージ27の転動面は中央が低い円弧状に形成されるともに、中央部には前方に下傾する誘導椀部27aが形成されている。誘導椀部27aは前述した第1始動入賞装置13の上方に位置して配設され、この誘導椀部27aから真っ直ぐ前方に落下した遊技球が第1種始動口13aに入球しやすくなっている。
第2転動ステージ25と第3転動ステージ27との間には、これらのステージ間を仕切る仕切り板28が取り付けられている。仕切り板28は、図3及び図6に示すように、上方に高く延びるとともにその上端部が前方に屈曲して形成されており、第2大入賞口20aに入球して第1転動ステージ22に導かれた遊技球が、第3転動ステージ27側に落下しないように、より具体的には、第2大入賞口20aに入球した遊技球が、Vゾーン26を通過するか、またはVゾーン26を通過することなく集合排出路24を流下するか、必ずいずれかを通って遊技盤10の裏面側に排出されるように構成されている。センター飾りCDの裏面側では、集合排出路24の出口部に位置して遊技球を検出する遊技球検出器(排出球検出器という)43が設けられており、その信号が制御装置36に入力されている。なお、仕切り板28は透明樹脂材料を用いて成型されており、パチンコ機PMの正面から左右の回転体23L,23Rや内部遊技空間20s内を転動する遊技球の状態を視認可能になっている。
第2大入賞装置20の開閉扉20gは常には閉鎖状態とされ、この開閉扉の左側方を落下する遊技球は、第2種大入賞口20aに転入することなくそのまま落下し、または開閉扉20gの下方に開口形成された導入口20dから第3ステージ27に導かれる。一方、所定条件成立に基づく特別遊技実行時には、開閉扉20gを左方に傾倒させて第2種大入賞口20aを開口させ、この入賞口の側方を落下する遊技球を開閉扉20gで受け止めて第2種大入賞口20aから導入通路21を介して内部遊技空間20sに導く。内部遊技空間20sには、遊技球が通過し得る領域として、集合排出路24(一般領域)とVゾーン26(特定領域)の二つの領域が形成され、Vゾーン26には、この領域を通過する遊技球を検出する特定領域通過検出器42が設けられている。このため、第2大入賞装置20に転入した遊技球は、入賞球検出器41及び排出球検出器43の信号から入賞した球数と、排出された球数がカウントされ、さらに入賞球のなかにVゾーン26を通過した遊技球があるか否かが検出される。
このような遊技盤10を備えたパチンコ機PMは、第1種パチンコ遊技機の機能と第2種パチンコ遊技機の機能の両方を備えた複合型の遊技機であり、その作動は制御装置36により概略以下のように制御される。なお、初期状態では第1大入賞装置16の開閉扉16g及び第2大入賞装置20の開閉扉20gはともに閉じており、各大入賞口16a,20aは閉鎖された状態になっている。
遊技者の発射操作により遊技領域PAに打ち出された遊技球は、遊技釘に弾かれながら遊技領域PAを転動落下し、遊技領域の下部において、あるものは普通入賞口18aに落入し、あるいはセンター飾りの導入口から第3転動ステージ27を経由して第1種始動口13aに転入し、または普通図柄作動ゲート15を通過する他、大部分の遊技球はこれらの入賞装置に入賞することなく、下端のアウト口19から遊技盤10の裏面側に導出され、裏セット盤30に形成された遊技済み球排出通路を経て遊技島の回収装置に排出される。
普通入賞口18aに遊技球が落入すると、入球した遊技球が普通入賞装置18内部の遊技球検出器に検出され、その検出信号が制御装置36に入力される。制御装置36は球払出装置34に払出指令信号を出力し、普通入賞装置18に入賞した場合の褒賞として定められた所定数量の遊技球を球皿6に払い出させる。普通入賞口18aに落入して遊技盤の10裏面に導かれた遊技球は、アウト球とともに裏セット盤30の遊技済み球排出通路を経て遊技島の回収装置に排出される。なお他の入賞装置に入賞した遊技有も同様にして遊技島の回収装置に排出される。
第1種始動口13aに遊技球が落入すると、入球した遊技球が第1始動入賞装置13内部の遊技球検出器に検出され、その検出信号が制御装置36に入力される。制御装置36は内部抽選を行い、その抽選結果に基づいて特別図柄表示装置11及び演出図柄表示装置12を作動させ、当たり図柄または外れ図柄を所定の演出パターンで変動表示させる。そして、この抽選結果が大当たりである場合に、演出図柄表示装置12に大当たりの図柄(例えば7.7.7)を表示させるとともに、第1大入賞装置16の開閉扉16gを前方に傾倒させて第1種大入賞口16aを開口させ、特別遊技を実行させる。すなわち、第1始動入賞装置13、第1大入賞装置16、制御装置36等により第1種パチンコ遊技機が構成される。なお、以降展開される第1種パチンコ遊技機の特別遊技については既に周知であるため説明を省略する。
一方、遊技球が普通図柄作動ゲート15を通過してこのゲートに設けられた遊技球検出器から検出信号が制御装置36に入力されると、制御装置36は内部抽選を行い、抽選結果に基づいて普通図柄表示装置17を作動させ、当たり図柄または外れ図柄を所定の演出パターンで変動表示させる。この抽選結果が当たりであるときに第2始動入賞装置14の左右の羽根を揺動開閉して第2種始動口14aを0.5秒程度拡開し、この間に第2種始動口14aへの入球が遊技球検出器により検出されると、第2大入賞装置20の開閉扉20gを揺動開閉して第2種大入賞口20aを数秒程度開口させる。
第2種大入賞口20aが開口されると、センター飾りCDの左枠部に沿って落下する遊技球が開閉扉20gに受け止められ、第2種大入賞口の内部に設けられた入賞球検出器41に検出された後、導入通路21を通って内部遊技空間20sの第1転動ステージ22に導かれ、この転動ステージに形成された3箇所の誘導椀部22b,22a,22bから前方に落下する。これらの落下球の大部分は直接集合排出路24に落下し、あるいは回転体23L,23Rの羽根に弾かれた遊技球が第2転動ステージ25を経由して集合排出路24に落下し、この通路下流端の排出球検出器43に検出された後遊技盤10の裏面側に排出される。入賞球検出器41から遊技球の検出信号が制御装置36に入力されると、制御装置36は球払出装置34に払出指令信号を出力し、第2大入賞装置20に入賞した場合の褒賞として定められた所定数量の遊技球を球皿6に払い出させる。
一方、中央の誘導椀部22aから前方に落下する遊技球は、その落下タイミングにおける左右の回転体23L,23Rの羽根の回転角度位置が、長い羽根が略水平になって間の間隙を塞ぐ状態になっている場合には、左右の羽根に受け止められて前方に誘導され、上方に開口するVゾーン26に転入する。Vゾーン26は第2大入賞装置20における特定領域であり、このVゾーン26への入球が特定領域通過検出器43により検出されてその信号が制御装置36に入力されると、大当たりとなって開閉扉20gが左方に傾倒され、第2種大入賞口20aが断続的に開放される特別遊技が展開される。すなわち、センター飾りCDの内部遊技空間20sは、第2種大入賞口20aから入球した遊技球が通過する領域に応じて、入賞状態が当たりか外れかを機械的に抽選する入賞装置であり、第2始動入賞装置14、第2大入賞装置20、制御装置36等により第2種パチンコ遊技機が構成される。なお以降展開される特別遊技については、第2種パチンコ遊技機において既に周知であるため説明を省略する。
さて、以上のように構成されるパチンコ機PMにあって、前枠2に振動検出器51が設けられてその信号が制御装置36に入力されており、この振動検出器51と制御装置36の内部回路を主体として不正防止装置50(50A,50B,50C)が構成される。
振動検出器51は、パチンコ機PMに加えられた振動を検出する振動検出手段であり、公知の各種振動検出センサを用いることができる。例えば、圧電型や動電式、歪みゲージ式、半導体式などの加速度センサや、動電式の速度センサ、静電容量型の変位センサなどを用いることができるが、本実施形態では、ケース内に金属ボールを有し、ケースが傾斜されたときや振動(加速度)を受けたときに、ケース内部で金属ボールが変位してスイッチ接点を開(または閉)とする、ボール移動型の傾斜・振動検出センサを用いた構成例を示す。このような構成によれば、検出センサ自体のコストが安価であることに加えて、チャージアンプ等の複雑な電子回路を要することなく所要の閾値レベルを超える振動か否かの接点信号が得られ、不正防止装置全体を簡明且つ低コストに構成することができる。
なお、振動検出器51は、パチンコ機PMの何れの場所に設けるものであっても良いが、前枠2に設ける構成によれば、遊技盤10の交換(いわゆる盤面替え)が行われても同一の振動検出器を使用できるため遊技盤の交換費用を低減できることに加え、いわゆる叩きゴトに基づく振動(衝撃)は、不正行為者が叩く球皿6やガラス扉5、発射ハンドル8等から前枠2を経由して遊技盤10に伝達されるため、その伝達経路上において振動を検出することにより、叩かれた場所の如何を問わず叩きゴトによる振動を適格に検出することができる。
図7に、不正防止装置50の概要構成をブロック図として例示する。不正防止装置50は、振動検出器51と、この振動検出器51の信号を受ける制御装置36の内部回路を主体として構成される。制御装置36には、振動検出器51から入力される信号に基づいてパチンコ機PMに加えられた振動が所定閾値以上であるか否かを判定する判定手段57と、判定手段57において所定閾値以上であると判定されたときに警報信号を出力する警報信号出力手段58が設けられている。なお既述したように、制御装置36には、入賞球検出器41、排出球検出器43、扉開放検出器45などからも信号が入力されている。
判定手段57は、例えば、振動検出器51として、スイッチ接点がノーマルクローズタイプの傾斜・振動ボール移動型の傾斜・振動検出センサを用いた場合には、スイッチ接点が閉状態(クローズ)であれば、所定閾値以上の振動が検出されない旨の判定信号(例えばLowレベルの信号)を出力し、スイッチ接点が開状態(オープン)になったときに所定閾値以上の振動が検出された旨の判定信号(例えばHighレベルの信号)を出力する。警報信号出力手段58は、判定手段57から所定閾値以上の振動が検出された旨の判定信号が入力されたときに警報信号を出力し、所定のリセット操作が成されるまでこの警報信号を自己保持する。
警報信号を利用した警報作動には、種々の実施形態があるが、その代表例として、図7に示したように、パチンコ機PM自身において所定の警報を報知する自機警報手段61、パチンコ機PMの外部に警報を報知する外部警報手段62、パチンコ機の所定の作動を規制する作動規制手段63などが例示され、これらの手段を単独で、または複合的に作動させることが可能である。
自機警報手段61は、例えばパチンコ機PMの演出図柄表示装置12に所定の警報画像を表示したり、ガラス扉5や遊技盤10に設けられた装飾ランプを全点滅させたり、スピーカから警報音を発生させるように構成することができる。また、外部警報手段62は、ターミナル基板37を介して遊技施設側に警報信号を出力し、例えば遊技島の警報表示灯を点滅させたり、遊技施設のホールコンピュータにアラーム表示を点滅させたりするように構成することができる。作動規制手段63は、例えば球払出装置34による払い出し作動や遊技球発射装置による発射作動を規制し、あるいは特別遊技の実行を停止させるように構成することができる。
また、制御装置36には、信号処理手段55が設けられている。信号処理手段55は振動検出器51から制御装置36に入力される信号について、その信号を有効として判定手段57に判定処理を行わせるか、あるいはその信号を無効として判定手段57に判定処理を行わせないかを制御する手段であり、具体的には、以下のように構成される。
図8は、第1構成形態の不正防止装置50Aにおいて実行される信号処理の概要をフローチャートとして示したものであり、この処理は、第2種始動口14aへの入球を契機として開放される第2大入賞装置20の開閉扉20gの開放処理とともにスタートされ(ステップS100)、ステップS110に進む。
ステップS110では、入賞球検出器41から入力される信号に基づいて第2種大入賞口20aに遊技球が入球したか否かが判断され、未だ入球していないと判断された場合にステップS105に戻ってこの判断を繰り返し、入球したと判断されるときにステップS120に進む。
ステップS120ではタイマの設定が行われる。設定時間は、第2種大入賞口20aに入球した遊技球について抽選が終了するまでの時間に応じて規定され、例えば、入賞球検出器41において遊技球が検出された後、一般的には15秒以内に抽選が終了するような場合には、開閉扉20gの開放時間を加味して数秒程度の付加時間を加え20秒程度に設定される。
タイマが設定されてタイムカウントが開始されると、ステップS130に進んで振動検出器51から入力される信号を有効とする有効化処理が行われる。これにより振動検出器51の信号が判定手段57に入力されて判定手段57において所定閾値以上の振動が検出されたか否かが判断され、警報信号出力手段58がその判断結果に基づいて警報信号を出力する。
ステップS140では、ステップS120で設定された時間が経過したか否かが判断され、未だ設定時間が経過していない場合にはステップS135に戻ってタイムカウントを継続し、設定時間が経過したと判断された場合にステップS150に進んで振動検出器51から入力される信号を無効とする無効化処理を行い、ステップS160でエンドとなる。これにより振動検出器51から入力される信号が所定閾値以上の振動を示す場合(スイッチ接点が開状態の場合)であっても警報信号が出力されることがない。
このように、第1構成形態の不正防止装置50Aでは、入賞球検出器51により第2種大入賞口20aに入球した遊技球が検出されたのちタイマに設定された所定時間が経過するまでの期間だけ、換言すれば、パチンコ機を叩いて無理矢理に遊技球をVゾーン26に導き大当たりを獲得しようとする不正行為が行われやすい期間だけ、振動検出器51の検出信号が有効とされて判定手段57により判定が行われる。このため、外来振動に基づく誤警報を抑制しながら、不正行為を確実に検知して警報することができる。
なお、本実施例では、タイマに設定する時間として、一般的に抽選が終了する時間に扉開放の時間を加味した付加時間を加えて設定しているため、図8に示した処理フローでは、第2種大入賞口20aに入球した第1球目を処理基準として規定し、処理を簡明化しているが、タイムアウト前に第2球目以降の入球があった場合にステップS120に戻ってタイマを再セットするように構成しても良い。例えば、Vゾーン26への入球に基づいて開始される特別遊技実行中のように、開閉扉20gの開放時間が比較的長時間となるような場合には、このように処理することが好ましい。
次に、図9は、第2構成形態の不正防止装置50Bにおいて実行される信号処理の概要をフローチャートとして示したものである。この処理は、第2種始動口14aへの入球を契機として、第2大入賞装置20の開閉扉20gの開放処理とともにスタートされ(ステップS200)、ステップS210に進む。
ステップS210では、開閉扉20gの開放処理が実行されたか否か、すなわち開閉扉20gを揺動開閉する電磁ソレノイドに電力が供給されて第2種大入賞口20aが開放されたか否かが判断され、第2種大入賞口20aが開放されていないと判断された場合にステップS205に戻ってこの判断を繰り返し、第2種大入賞口20aが開放されたと判断された場合にステップS220に進む。
ステップS220ではタイマの設定が行われる。設定時間は、開閉扉20gの開放に基づき第2大入賞装置20内に入球した遊技球について一般的に抽選が終了するまでの時間に応じて規定され、例えば、開閉扉20gを開放した後、一般的には15秒以内に抽選が終了するような場合には、開閉扉20gの開放時間を加味して数秒程度の付加時間を加え20秒程度に設定される。
タイマが設定されてタイムカウントが開始されると、ステップS230に進んで振動検出器51から入力される信号を有効とする有効化処理が行われる。これにより振動検出器51の信号が判定手段57に入力されて判定手段57において所定閾値以上の振動が検出されたか否かが判断され、警報信号出力手段58がその判断結果に基づいて警報信号を出力する。
ステップS240では、ステップS220で設定された時間が経過したか否かが判断され、未だ設定時間が経過していない場合にはステップS235に戻ってタイムカウントを継続し、設定時間が経過したと判断された場合にステップS250に進んで振動検出器51から入力される信号を無効とする無効化処理を行い、ステップS260でエンドとなる。これにより振動検出器51から入力される信号が所定閾値以上の振動を示す場合であっても警報信号が出力されることがない。
このように、第2構成形態の不正防止装置50Bでは、開閉扉20gが開放されたのちタイマに設定された所定時間が経過するまでの期間だけ、換言すれば、パチンコ機を叩いて無理矢理に遊技球をVゾーン26に導き大当たりを獲得しようとする不正行為が行われやすい期間だけ、振動検出器51の検出信号が有効とされて判定手段57により判定が行われる。このため、外来振動に基づく誤警報を抑制しながら、不正行為を確実に検知して警報することができる。
なお、上記実施例では、タイマに設定する時間として、一般的に抽選が終了する時間に扉開放の時間を加味した付加時間を加えて設定しているため、図9に示した処理フローでは、第2種大入賞口20aに入球した第1球目を処理基準として規定し、処理を簡明化している。但し、第1構成形態の不正防止装置50Aと同様に、タイムアウト前に第2球目以降の入球があった場合にステップS220に戻ってタイマを再セットするように構成しても良い。また、Vゾーン26への入球に基づいて開始される特別遊技実行中のように、開閉扉20gの開放時間が比較的長時間となるような場合には、この開放時間を加味してタイマの時間を設定することができ、開放時間中に遊技球がVゾーン26を通過して特別遊技のラウンドが更新された場合には、ステップS205に戻って処理を繰り返すように構成することができる。
次に、図10は、第3構成形態の不正防止装置50Cにおいて実行される信号処理の概要をフローチャートとして示したものである。この不正防止装置50Cには、入賞球検出器41により検出される第2大入賞装置20に転入した遊技球の数量と、排出球検出器43により検出される第2大入賞装置20から排出された遊技球の数量とから、第2大入賞装置20の内部に存在する遊技球の数量を算出する差球算出手段56が設けられており、信号処理手段55は差球算出手段56により算出される差球の数量に基づいて振動検出器51から入力される信号の有効、無効処理を行う。この処理は、第2種始動口14aへの入球を契機として、第2大入賞装置20の開閉扉20gの開放処理とともにスタートされ(ステップS300)、ステップS310に進む。
ステップS310では、開閉扉20gの開放処理が実行されたか否か、すなわち開閉扉20gを揺動開閉する電磁ソレノイドに電力が供給されて第2種大入賞口20aが開放されたか否かが判断され、第2種大入賞口20aが開放されていないと判断された場合にステップS305に戻ってこの判断を繰り返し、第2種大入賞口20aが開放されたと判断された場合にステップS320に進む。
ステップS320では、入賞球検出器41から入力される信号に基づいて、第2種大入賞口20aに遊技球が入球したか否かが判断され、未だ入球していないと判断された場合にはそのままステップS325に進み、入球したと判断された場合にはステップS321において、差球算出手段56に内部記憶された差球数に入賞球検出器41により検出された遊技球の球数を加えて差球の数を更新記憶して(差球数=差球数+1)ステップS325に進む。なお、この処理が開始されるステップS300では差球数の初期値がゼロにリセットされている。
ステップS325では、排出球検出器43から入力される信号に基づいて、第2大入賞装置20から遊技球が排出されたか否かが判断され、遊技球が排出されていないと判断された場合にはそのままステップS330に進み、排出されたと判断された場合にはステップS326において、内部記憶された差球数から排出球検出器43により検出された遊技球の球数を差し引いて差球の数を更新記憶して(差球数=差球数−1)ステップS330に進む。
ステップS330では、内部記憶された差球の数量が1以上であるか否か、すなわち、第2大入賞装置20内に遊技球が残っているか否かが判断され、差球の数量が1以上でない場合、より具体的には第2種大入賞口20aに入球した遊技球の全数が既に排出されて第2大入賞装置20内に遊技球が残っていないと判断される場合には、ステップS315に戻り、差球の数量が1以上である場合、すなわち第2大入賞装置20内に遊技球が残っていると判断される場合には、ステップS340に進む。
ステップS340では、振動検出器51から入力される信号を有効とする有効化処理が行われる。これにより振動検出器51の信号が判定手段57に入力されて判定手段57において所定閾値以上の振動が検出されたか否かが判断され、警報信号出力手段58がその判断結果に基づいて警報信号を出力する。ステップS340の有効化処理後、ステップS350に進む。
ステップS350では、振動検出器51の信号の有効化処理を開始した後に、第2種大入賞口20aに遊技球が入球したか否かが入賞球検出器41から入力される信号に基づいて判断され、遊技球が入球していないと判断された場合にはそのままステップS355に進み、入球したと判断された場合にはステップS351において、内部記憶された差球数に入賞球検出器41により検出された遊技球の球数を加えて差球の数を更新記憶し(差球数=差球数+1)ステップS355に進む。
ステップS355では、振動検出器51の信号の有効化処理開始後に、第2大入賞装置20から遊技球が排出されたか否かが排出球検出器43から入力される信号に基づいて判断され、遊技球が排出されていないと判断された場合にはそのままステップS360に進み、排出されたと判断された場合にはステップS356において、内部記憶された差球数から排出球検出器43により検出された遊技球の球数を差し引いて差球の数を更新記憶して(差球数=差球数−1)ステップS360に進む。
ステップS360では、再び差球の数量が1以上であるか否かが判断され、差球の数量が1以上である場合、すなわち第2大入賞装置20内に遊技球が残っていると判断される場合にはステップS345に戻り、差球の数が1以上でない場合、より具体的には第2種大入賞口20aに入球した遊技球の全数が既に排出されて第2大入賞装置20内に遊技球が残っていないと判断される場合には、ステップS370に進む。
ステップS370では、開閉扉20gの閉止処理が実行されたか否か、すなわち開閉扉20gを揺動開閉する電磁ソレノイドに供給されていた電力がOFFになって第2種大入賞口20aが閉鎖されたか否かが判断され、第2種大入賞口20aが閉鎖されていないと判断された場合にステップS315に戻り、第2種大入賞口20aが閉鎖されていると判断された場合にステップS380に進む。
ステップS380では、振動検出器51から入力される信号を無効とする無効化処理が行われ、ステップS390でこの処理がエンドとなる。これにより振動検出器51から入力される信号が所定閾値以上の振動を示す場合であっても警報信号が出力されることがない。
このように、第3構成形態の不正防止装置50Cでは、開閉扉20gが開放されたのち差球の数量が1以上である期間だけ、換言すれば、パチンコ機を叩いて無理矢理に遊技球をVゾーン26に導き大当たりを獲得しようとする不正行為が最も行われやすい遊技球の転動期間だけ、振動検出器51の検出信号が有効とされて判定手段57により判定が行われる。このため、外来振動に基づく誤警報を抑制しながら、不正行為を確実に検知して警報することができる。
このように、不正防止装置50(50A,50B,50C)では、パチンコ機PMを叩いて無理矢理に遊技球をVゾーン26に導こうとする不正行為が行われやすい期間だけ振動検出器51の検出信号が有効となるように構成される。従って、このような不正防止装置50によれば、外来振動に基づく誤警報を抑制しながら、不正行為を確実に検知して警報することができる。
一方、上記のように振動検出器51から入力される信号が有効とされている状況下において球詰まりが発生し、その処理のために遊技施設の係員がガラス扉5を開閉した場合や、一般遊技中に発生した球詰まりにより遊技を中断させたことに対するお詫びとして球詰まり処理後に第2種始動口14aに遊技球を入球させ、その結果として振動検出器51から入力される信号が有効となるような入賞状態が形成された状況でガラス扉5を閉鎖した場合などでは、ガラス扉5を開閉させたときの振動に起因して警報が発生されたり、警報信号に基づいて遊技者にとって有利な遊技が強制終了されたりする可能性が生じる。
そこで、不正防止装置50では、扉開放検出器45から制御装置36に入力される信号に基づいて、信号処理手段55が振動検出器51から入力される信号を有効として判定手段57に判定処理を行わせるか、あるいは無効として判定手段57に判定処理を行わせないかを判断し、扉開放検出器45の信号からガラス扉5が開放されたと判断される場合には、振動検出器51から入力される信号を無効として判定手段57に判定処理を行わせないように構成している。
すなわち、不正防止装置50では、ガラス扉5が閉鎖された状態であれば振動検出器51の信号が有効とされるような場合であっても、ガラス扉5が開放された状態の場合には振動検出器51の信号が無効とされ、警報信号が出力されることがない。このため、他の条件判断において振動検出器51から入力される信号が有効とされている状況下で球詰まりが発生し、その処理のためにガラス扉5を開閉したときや、球詰まりにより遊技を中断させたことに対するお詫びとして、球詰まり処理後に上記信号が有効となるような入賞状態を形成してガラス扉5を閉鎖したときなどに、警報が発生されたり、遊技者にとって有利な遊技が強制終了されたりすることがなく、不適当な警報の発生を抑制した不正防止装置を提供することができる。
なお、以上説明した実施形態では、本発明に係る不正防止装置が適用される弾球遊技機の一例として、いわゆる第1種+第2種のパチンコ機を例示したが、本発明はこのような形態のパチンコ機に限定されるものではなく、遊技球の転動経路により抽選が機械的に行われるような弾球遊技機であれば良く、例えば、第1種、第2種、第3種の各パチンコ機や各種複合形態のパチンコ機、アレンジボール、雀球遊技機等の弾球遊技機についても同様に適用し同様の効果を得ることができるものである。