以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る遊技台(例えば、スロットマシン100等の回胴遊技機やパチンコ機等の弾球遊技機)について詳細に説明する。
<全体構成>
まず、図1および2を用いて、本実施例に係るスロットマシン100の全体構成について説明する。図1は、スロットマシン100の外観斜視図を示したものである。
図1に示すスロットマシン100は、本体101と、本体101の正面に取付けられ、本体101に対して開閉可能な前面扉102と、を備える。本体101の中央内部には(図示省略)、外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。これらのリール110乃至112はステッピングモータ等の駆動装置により回転駆動される。
本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール110乃至112は複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示装置として機能する。なお、このような表示装置としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
各々のリール110乃至112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間をリールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ラインは、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって予め定まっている。入賞ライン114は5ラインあり、例えば、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5ラインに限定されるものではなく、また、例えば、メダルが1枚ベットされた場合に、中段の水平入賞ライン、上段水平入賞ライン、下段水平入賞ライン、右下り入賞ラインおよび右上り入賞ラインの5ラインを入賞ラインとして有効としてもよい。
告知ランプ123は、例えば、後述する内部抽選において特定の入賞役(具体的には、ボーナス)に内部当選していること、または、ボーナス遊技中であることを遊技者に知らせるランプである。遊技メダル投入可能ランプ124は、遊技者が遊技メダルを投入可能であることを知らせるためのランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。リールパネルランプ128は演出用のランプである。
ベットボタン130乃至132は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダル(クレジットという)を所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、ベットボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、ベットボタン131が押下されると2枚投入され、ベットボタン132が押下されると3枚投入されるようになっている。以下、ベットボタン132はMAXベットボタンとも言う。なお、遊技メダル投入ランプ129は、投入されたメダル数に応じた数のランプを点灯させ、規定枚数のメダルの投入があった場合、遊技の開始操作が可能な状態であることを知らせる遊技開始ランプ121が点灯する。
メダル投入口141は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、ベットボタン130乃至132により電子的に投入することもできるし、メダル投入口141から実際のメダルを投入(投入操作)することもでき、投入とは両者を含む意味である。貯留枚数表示器125は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技情報表示器126は、各種の内部情報(例えば、ボーナス遊技中のメダル払出枚数)を数値で表示するための表示器である。払出枚数表示器127は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、および、払出枚数表示器127は、7セグメント(SEG)表示器とした。
スタートレバー135は、リール110乃至112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口141に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン130乃至132を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110乃至112が回転を開始することとなる。スタートレバー135に対する操作を遊技の開始操作と言う。
ストップボタンユニット136には、ストップボタン137乃至139が設けられている。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110乃至112に対応づけられている。以下、ストップボタン137乃至139に対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。なお、各ストップボタン137乃至139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137乃至139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。精算ボタン134は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口155から排出するためのボタンである。ドアキー孔140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。
ストップボタンユニット136の下部には、機種名の表示と各種証紙の貼付とを行うタイトルパネル162が設けられている。タイトルパネル162の下部には、メダル払出口155、音孔159およびメダルの受け皿161が設けられている。
音孔159は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。前面扉102の左右各部に設けられたサイドランプ144は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。前面扉102の上部には演出装置160が配設されており、演出装置160の上部には音孔143が設けられている。この演出装置160は、水平方向に開閉自在な2枚の右シャッタ163a、左シャッタ163bからなるシャッタ(遮蔽装置)163と、このシャッタ163の奥側に配設された液晶表示装置157(図示省略、演出画像表示装置)を備えており、右シャッタ163a、左シャッタ163bが液晶表示装置157の手前で水平方向外側に開くと液晶表示装置157(図示省略)の表示画面がスロットマシン100正面(遊技者側)に出現する構造となっている。
なお、液晶表示装置でなくとも、種々の演出画像や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、複数セグメントディスプレイ(7セグディスプレイ)、ドットマトリクスディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、リール(ドラム)、或いは、プロジェクタとスクリーンとからなる表示装置等でもよい。また、表示画面は、方形をなし、その全体を遊技者が視認可能に構成している。本実施形態の場合、表示画面は長方形であるが、正方形でもよい。また、表示画面の周縁に不図示の装飾物を設けて、表示画面の周縁の一部が該装飾物に隠れる結果、表示画面が異形に見えるようにすることもできる。表示画面は本実施形態の場合、平坦面であるが、曲面をなしていてもよい。
図2は、前面扉102を開けた状態のスロットマシン100を示す正面図である。本体101は、上面板261、左側の側面板260、右側の側面板260、下面板264および背面板242で囲われ、前面に開口する箱体である。本体101の内部には、背面板242の上部に設けた通風口249と重ならない位置に、内部に主制御基板(後述する主制御部300)を収納した主制御基板収納ケース210が配置され、この主制御基板収納ケース210の下方に、3つのリール110乃至112が配置されている。主制御基板収納ケース210およびリール110乃至112の側方、即ち向って左側の側面板260には、内部に副制御基板(後述する第1副制御部400)を収納した副制御基板収納ケース220が配設してある。また、向かって右側の側面板260には、主制御基板に接続されて、スロットマシン100の情報を外部装置に出力する外部集中端子板248が取り付けられている。
そして、下面板264には、メダル払出装置180(バケット182に溜まったメダルを払出す装置)が配設され、このメダル払出装置180の上方、即ちリール110乃至112の下方には、電源基板を有する電源装置252が配設され、電源装置252正面には電源スイッチ244を配設している。電源装置252は、スロットマシン100に外部から供給される交流電源を直流化し、所定の電圧に変換して主制御部300、第1副制御部400等の各制御部、各装置に供給する。さらには、外部からの電源が断たれた後も所定の部品(例えば主制御部300のRAM308等)に所定の期間(例えば10日間)電源を供給するための蓄電回路(例えばコンデンサ)を備えている。
メダル払出装置180の右側には、メダル補助収納庫240が配設してあり、この背後にはオーバーフロー端子が配設されている(図示省略)。電源装置252には、電源コード265を接続する電源コード接続部が設けられ、ここに接続された電源コード265が、本体101の背面板242に開設した電源コード用穴262を通して外部に延出している。
前面扉102は、本体101の左側の側面板260にヒンジ装置276を介して蝶着され、図柄表示窓113の上部には、演出装置160、および、この演出装置160を制御する演出制御基板(後述する第2副制御部500、図示省略)、上部スピーカ272、を設けている。図柄表示窓113の下部には、投入されたメダルを選別するためのメダルセレクタ170、このメダルセレクタ170が不正なメダル等をメダル受皿161に落下させる際にメダルが通過するキャンセルシュート266等を設けている。さらに、音孔159に対応する位置には低音スピーカ277を設けている。また、メダルセレクタ170のヒンジ装置276の反対側の側方(図の左側)には、閉じた前面扉102をロック(施錠)するための施錠部280を設けている。
<制御部>
次に、図3を用いて、スロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は、制御部の回路ブロック図を示したものである。
スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の進行を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて、主な演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、によって構成されている。
<主制御部>
まず、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、この基本回路302には、CPU304と、制御プログラムデータ、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等を記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312と、WDT313を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400についても同様である。
この基本回路302のCPU304は、水晶発振器314が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。さらには、CPU304は、電源が投入されるとROM306の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ312に送信し、カウンタタイマ312は受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU304に送信する。CPU304は、この割込み要求を契機に各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、水晶発振器314が出力するクロック信号を8MHz、カウンタタイマ312の分周値を1/256、ROM306の分周用のデータを47に設定した場合、割り込みの基準時間は、256×47÷8MHz=1.504msとなる。
基本回路302は、0〜65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用している乱数発生回路316と、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路338を設けており、CPU304は、この起動信号出力回路338から起動信号を入力した場合に、遊技制御を開始する(後述する主制御部メイン処理を開始する)。
また、基本回路302には、センサ回路320を設けており、CPU304は、割り込み時間ごとに各種センサ318(ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、ベットボタン132センサ、メダル投入口141から投入されたメダルのメダル受付センサ、スタートレバー135センサ、ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、ストップボタン139センサ、精算ボタン134センサ、メダル払出装置180から払い出されるメダルのメダル払出センサ、リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、リール112のインデックスセンサ、後述するメダル検出センサ178および動作検出センサ179b等)の状態を監視している。
なお、センサ回路320がスタートレバーセンサのHレベルを検出した場合には、この検出を示す信号を乱数発生回路316に出力する。この信号を受信した乱数発生回路316は、そのタイミングにおける値をラッチし、抽選に使用する乱数値を格納するレジスタに記憶する。
メダル受付センサは、メダル投入口141の内部通路に2個設置されており、メダルの通過有無を検出する。スタートレバー135センサは、スタートレバー135内部に2個設置されており、遊技者によるスタート操作を検出する。ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、および、ストップボタン139センサは、各々のストップボタン137乃至139に設置されており、遊技者によるストップボタンの操作を検出する。
ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、および、ベットボタン132センサは、メダル投入ボタン130乃至132のそれぞれに設置されており、RAM308に電子的に貯留されているメダルを遊技への投入メダルとして投入する場合の投入操作を検出する。精算ボタン134センサは、精算ボタン134に設けられている。精算ボタン134が一回押されると、電子的に貯留されているメダルを精算する。メダル払出センサは、メダル払出装置180が払い出すメダルを検出するためのセンサである。なお、以上の各センサは、非接触式のセンサであっても接点式のセンサであってもよい。
リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、および、リール112のインデックスセンサは、各リール110乃至112の取付台の所定位置に設置されており、リールフレームに設けた遮光片が通過するたびにLレベルになる。CPU304は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。
主制御部300には、リール装置110乃至112に設けたステッピングモータを駆動する駆動回路322を設けており、投入されたメダルを選別するメダルセレクタ170に設けたソレノイド(後述するアクチュエータ177)を駆動する駆動回路324を設けており、メダル払出装置180に設けたモータを駆動する駆動回路326を設けており、各種ランプ338(入賞ライン表示ランプ120、告知ランプ123、遊技メダル投入可能ランプ124、再遊技ランプ122、遊技メダル投入ランプ129は、遊技開始ランプ121、貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、払出枚数表示器127)を駆動する駆動回路328をそれぞれ設けている。
また、基本回路302には、情報出力回路334(外部集中端子板248)を接続しており、主制御部300は、この情報出力回路334を介して、外部のホールコンピュータ(図示省略)等が備える情報入力回路652にスロットマシン100の遊技情報(例えば、遊技状態)を出力する。
また、主制御部300は、第1副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースを備えており、第1副制御部400との通信を可能としている。なお、主制御部300と第1副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は第1副制御部400にコマンド等の信号を送信できるように構成しているが、第1副制御部400からは主制御部300にコマンド等の信号を送信できないように構成している。
<副制御部>
次に、スロットマシン100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主制御部300が送信した制御コマンドを入力インタフェースを介して受信し、この制御コマンドに基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402は、CPU404と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。基本回路402のCPU404は、水晶発振器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作し、第1副制御部400の全体を制御するための制御プログラムおよびデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータ等が記憶されたROM406が設けている。
CPU404は、所定のタイミングでデータバスを介してROM406の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ412に送信する。カウンタタイマ412は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU404に送信する。CPU404は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、第1副制御部400には、音源IC418を設けており、音源IC418に出力インタフェースを介してスピーカ272、277を設けている。音源IC418は、CPU404からの命令に応じてアンプおよびスピーカ272、277から出力する音声の制御を行う。音源IC418には音声データが記憶されたS−ROM(サウンドROM)が接続されており、このROMから取得した音声データをアンプで増幅させてスピーカ272、277から出力する。
また、第1副制御部400には、駆動回路422が設けられ、駆動回路422に入出力インタフェースを介して各種ランプ420(上部ランプ、下部ランプ、サイドランプ144、タイトルパネル162ランプ、等)を設けている。
また、CPU404は、出力インタフェースを介して第2副制御部500へ信号の送受信を行う。スロットマシン100の第2副制御部500では、演出画像表示装置(液晶表示装置)157や各種演出用駆動装置(演出装置)160の制御を行う。第2副制御部500は、例えば、液晶表示装置157の制御を行う制御部、各種演出用駆動装置160の制御を行う制御部とするなど、複数の制御部で構成するようにしてもよい。
<メダルセレクタ>
次に、図4乃至6を用いて、メダルセレクタ170の詳細について説明する。
まず、図4は、メダルセレクタ170周辺の配置を拡大して示した図である。なお、同図は前面扉102を背面側から見た図であり、部材の図示を一部省略している。
メダルセレクタ170は、前面扉102の背面においてメダル投入口141の下方に配置されている。そして、メダル投入口141に投入されたメダルは、メダルセレクタ170の上部に設けられた導入口170aからメダルセレクタ170内に設けられたメダル通路170bに進入するようになっている。メダル通路170bは図の右側に向けて低くなるように形成されており、メダル投入口141から投入されたメダルは、このメダル通路に沿って起立状態で転動し、メダルセレクタの側面に設けられた排出口170cから受付シュート171へ排出される。受付シュート171は、排出されたメダルを誘導する樋状の部材であり、メダルセレクタ170から排出されたメダルは、受付シュート171に誘導されて払出装置180のバケット182内へ投入される。
また、詳細は後述するが、メダルセレクタ170は、不正なメダル(例えば適正なメダルよりも小径のメダル)や規定のクレジット数を超えて投入されたメダルが、メダル通路170bから外れて脱落し、下方に配置されたキャンセルシュート266内に落下するように構成されている。このため、メダルセレクタ170は、メダル通路170bから脱落させたメダルを案内してキャンセルシュート266内に確実に進入させるための脱落メダル案内カバー172を備えている。換言すれば、本実施形態では、メダルセレクタ170に脱落メダル案内カバー172を備えることにより、脱落させたメダルをキャンセルシュート266以外の部分、特に払出装置180のバケット182内に進入させないようにしている。
キャンセルシュート266は、前面扉102の背面においてメダルセレクタ170の下方に配置された中空状の部材であり、メダルセレクタ170から落下した不正なメダルをメダル払出口155に誘導するための通路を構成している。キャンセルシュート266の上部には、メダルセレクタ170に対向する上部開口部266aが形成されており、メダルセレクタ170のメダル通路170bから脱落したメダルは、この上部開口部266aからキャンセルシュート266内に進入する。キャンセルシュート266内に進入した不正なメダルは、そのままキャンセルシュート266に沿って落下し、メダル払出口155からメダル受皿161に排出される。
なお、キャンセルシュート266は、メダル払出装置180から払出されるメダルをメダル払出口155に誘導する通路ともなっている。すなわち、キャンセルシュート266の中間部やや下側には、メダル払出装置180に接続される下部開口部266bが形成されており、メダル払出装置180から払出されるメダルは、この下部開口部266bからキャンセルシュート266内に投入されるようになっている。払出されたメダルは、キャンセルシュート266内を落下し、メダル払出口155からメダル受皿161に払出される。
図5は、メダルセレクタ170の分解斜視図である。また、図6(a)は、メダルセレクタ170の外観斜視図であり、同図(b)は、メダルセレクタ170の正面図である。
メダルセレクタ170は、メダル投入口141から投入されたメダルが転動しながら通過するメダル通路170bを形成すると共に、正規のメダルよりも小径のメダルをメダル通路の一方側に脱落させることにより正規のメダルを選別し、正規のメダルの通過を検出する。また、クレジットメダルが貯留枚数の上限に達した場合は正規メダルもメダル通路の一方側に脱落させて遊技者に返還する。なお、以下の説明において、上流側、下流側とはメダルが転動しながら流れる方向を基準とし、メダル投入口141側が上流側である。
メダルセレクタ170は、セレクタベース173と、可動通路部材174と、ガイド部材175と、転動メダル案内カバー176と、アクチュエータ177と、メダル検出センサ178と、可動部材179とを備えている。メダル投入口141に投入されたメダルは、まず、セレクタベース173と転動メダル案内カバー176とにより形成される導入口170aからメダル通路170bに導入され、セレクタベース173の右側面に形成された排出口170cから排出される。
セレクタベース173は、通路壁173aを備えている。通路壁173aは、メダル通路170bを通過するメダルの側面と周面のうち、側面に面する通路壁の一方を形成する。通路壁173aには、メダル通路170bの幅方向に互いに離間し、メダルの通過方向に延びる複数条のリブ173a1と、メダル通路170bの幅方向に互いに離間し、メダルの通過方向に延びる複数のスリット173a2と、が形成されている。スリット173a2はリブ173a1の間に形成されている。リブ173a1を設けたことにより、通過するメダルの側面と接する面積が小さくなり、メダルをより円滑に移動させることができる。
通路壁173aの下流側には、メダル通路170bの底部173bおよび当接部173cが形成されている。底部173bにはメダルの周面が転動しながら接し、当接部173cはメダルの側面に当接する。底部173bの一部は移動底部174aにより形成されている。移動底部174aは可動通路部材174の一部であり、可動通路部材174の回動により移動する。可動通路部材174は、アクチュエータ177により駆動されて、クレジットメダルが上限枚数に達した場合にメダル検出センサ178への到達を阻止してメダルの通過を妨げるメダルブロッカを構成している。具体的には、可動通路部材174は、アクチュエータ177により駆動されて回動し、移動底部174bをセレクタベース173の背面側に移動させることにより、メダルをメダル通路170bから脱落させる。アクチュエータ177は、電磁ソレノイドを有するアクチュエータであり、ネジ177aによりセレクタベース173の背面側に取り付けられている。
当接部173cは、セレクタベース173の正面側に突出してメダルの流れ方向に形成されており、後述するガイド部材175と共に正規のメダルの脱落を防止するスリットを形成する。排出口170cは、底部173bの下流端に形成されており、メダルセレクタ170を通過したメダルはこの排出口170cから排出され、受付シュート171(図示省略)により、メダルを貯留するバケット182に導かれる。
セレクタベース173の上部には、転動メダル案内カバー176を揺動自在に固定するための揺動軸173dと、揺動軸173dに固定された転動メダル案内カバー176をセレクタベース173に向けて付勢するねじりコイルバネ型の付勢部材173eが配置されている。また、セレクタベース173の左右側面の下側には脱落メダル案内カバー172を固定するための挿入孔173fが形成され、右側の挿入孔173fの上方には係合孔173gが形成されている。また、セレクタベース173の当接部173cの上方には、ガイド部材175を取付けるための取付孔173hが形成されている。
メダル検出センサ178は、セレクタベース173に支持され、そのスリット178aを通過するメダルの通過を検出する光センサ(フォトインタラプタ)であるが、光センサ以外のセンサを利用可能である。本実施形態では、相対的に上流側、下流側にそれぞれメダル検出センサ178が配置され、これら2個のメダル検出センサ178の検出結果に基づいてメダルの正常投入を判定する。なお、コネクタ178bには電気配線が接続される。
転動メダル案内カバー176は、セレクタベース173の通路壁173aに対向する通路壁176aを備えている。通路壁173aおよび176aによりメダル通路の厚み方向に離間した通路壁が形成され、これらの間をメダルが通過する。通路壁176aにも、メダル通路の幅方向に互いに離間し、メダルの通過方向に延びる複数条のリブが形成されており、メダルとの摩擦を低下させている。
また、転動メダル案内カバー176は、メダル検出センサ178を覆うカバー部176bを備えている。カバー部176bは、メダル検出センサ178の正面側を覆うと共に、メダル検出センサ178の上面側を覆う天井部176b1を備えている。この天井部176b1によりメダル検出センサ178のコネクタ178bが覆われるので、コネクタ178bに対する不正器具の侵入等を防止することができる。
転動メダル案内カバー176の上部には、転動メダル案内カバー176をセレクタベース173に取付けるための取付部176cが設けられている。取付部176cは、揺動軸173dの両端部に嵌合する2つの嵌合部176c1と、付勢部材173eによる付勢力を受ける受圧部176c2から構成されている。付勢部材173eの腕部173e1の先端部分を受圧部176c2に当接させた状態で嵌合部176c1に揺動軸173dに装着することにより、転動メダル案内カバー176をセレクタベース173に取付けることができる。セレクタベース173に取付けられた状態において、転動メダル案内カバー176は揺動軸173d回りに揺動して開閉自在とされているが、付勢部材173eにより常時閉方向に付勢されている。
転動メダル案内カバー176の正面側には、つまみ部176dが形成されている。このつまみ部176dを利用することで、転動メダル案内カバー176の開閉作業や、セレクタベース173との着脱作業を容易化することができる。
ガイド部材175は、例えば、金属製の板材を曲折して形成され、挿入部175aと、スリット形成部175bとを備えている。挿入部175aには複数の係合部が形成されており、挿入部175aをセレクタベース173の取付孔173hに挿入して係合させることで、ガイド部材175がセレクタベース173に固定される。
スリット形成部175bは、セレクタベース173の当接部173cと共に正規メダルの上部が通過するスリットを形成する。このスリットは、正規メダルの上部の僅かな部分のみが挿入されるように、底部173bから正規メダルの直径に応じた距離だけ離間した位置に形成され、正規メダルよりも小径のメダルは挿入されない位置に形成される。
したがって、小径メダルは、スリット形成部175bおよび当接部173cに支持されず、側方に傾倒してメダルセレクタ170(メダル通路170b)から脱落することになり正規メダルと小径メダルとが選別される。正規メダルはスリット形成部175bと当接部173cとに支持されることで、メダル検出センサ178に到達し、その通過が検出されることとなる。
可動部材179は、セレクタベース173の背面側に揺動自在に固定される。可動部材179には、可動部材179を常時一方向に付勢するねじりコイルバネ型の付勢部材179aが取付けられている。また、可動部材179の近傍には、可動部材179の回動位置を検出するための動作検出センサ179bが配置される。動作検出センサ179bは、可動部材179に突設された被検出片179cがスリット内を通過するのを検出する透過型の光センサ(フォトインタラプタ)である。
可動部材179は、メダルの非通過時においては、付勢部材179aの付勢により一部がメダル通路170b内に進入した状態となる。この状態では、被検出片179cは動作検出センサ179bのスリット外に位置しており、その存在が動作検出センサ179bによって検出されない。
一方、メダルの通過時においては、メダルの自重により付勢部材179aの付勢力に抗して可動部材179が回動し、メダル通路170b内に突出していた部分がメダル通路内から退避した状態になる。この状態では、被検出片179cは動作検出センサ179bのスリット内に位置し、その存在が動作検出センサ179bによって検出される。動作検出センサ179bが規定時間(例えば数十秒)継続して被検出片179cを検出している場合、何らかの不正行為(メダルセレクタ170に異物を挿入している等)が行われているとして、エラー処理を実行するようにしてもよい。
メダルが可動部材179上を通過する際、可動部材179からメダルに対して摩擦抵抗が作用するので、メダルの減速効果が得られ、メダルが暴れながら移動することを防止できる。メダルが可動部材179上を通過し終えると、付勢部材179aの付勢力により可動部材179は一部がメダル通路170b内に進入した状態に復帰し、メダルの逆移動を防止する。このため、メダルを吊り糸等で引き上げる不正行為を防止できる。
脱落メダル案内カバー172は、セレクタベース173の正面側の下部に取付けられるコの字状の部材である。本実施形態では、脱落メダル案内カバー172を透明な樹脂から構成しており、メダルセレクタ170内部の視認性を阻害しないようにしている。すなわち、メダルセレクタ170の脱落メダル案内カバー172によって遮蔽される部分を、脱落メダル案内カバー172を取付けたままで外部から視認することができるようになっている。このようにすることで、例えば不正器具が脱落メダル案内カバー172によって遮蔽される部分に取付けられた場合にも、外部から容易にこれを発見することができる。また、容易に発見されないように不正器具を取付けることが困難になるため、不正器具が取付けられる可能性を低くすることができる。
脱落メダル案内カバー172の左右両側の下部には、脱落メダル案内カバー172をセレクタベース173に揺動自在に固定するための揺動ピン172aが内側に向けて突設されている。また、右側の揺動ピン172aの上方には、係合ピン172bが外側に向けて突設されている。脱落メダル案内カバー172は、セレクタベース173の挿入孔173fに外側から揺動ピン172aを挿入すると共に、セレクタベース173の係合孔173gに内側から係合ピン172bを挿入して係合させることにより、セレクタベース173に取付けられる。
脱落メダル案内カバー172は、セレクタベース173に取付けた状態で、係合ピン172bを内側に向けて押圧して係合を解除することにより、揺動ピン172a回りに回動可能となる。すなわち、本実施形態では、セレクタベース173に取付けた状態のまま脱落メダル案内カバー172を開くことが可能となっており、メダルセレクタ170のメンテナンス性を向上させている。
また、脱落メダル案内カバー172の下側部分には、セレクタベース173に向けて傾斜した傾斜壁部172cが形成されている。この傾斜壁部172cは、脱落させたメダルをメダルセレクタベース173側に誘導し、より確実にキャンセルシュート266内に落下させるためのものである。なお、傾斜壁部172cは、上端172e側に設けるようにしてもよいし、上端172e側および下端172d側の両方に設けるようにしてもよい。
<脱落メダル案内カバー>
次に、図7乃至11を用いて、脱落メダル案内カバー172の詳細について説明する。
図7(a)および(b)は、脱落メダル案内カバー172の高さの設定を示した図である。上述のように、メダルセレクタ170は、投入されたメダルMがメダル通路170bの通路壁176aに覆われた部分から脱出して底部173b上を転動する際に、ガイド部材175のスリット形成部175bと当接部173cの間のスリットで支持しないことにより、正規メダルよりも小径のメダルをメダル通路170bから脱落させる。また、可動通路部材174を回動させることにより、規定のクレジット数以上投入されたメダルをメダル通路170bから脱落させる。
本実施形態では、同図(a)に示されるように、メダル通路170bの一部を構成する底部173bにおいてこのようなメダルMの脱落が可能となる部分の開始点である脱落開始点173b1の高さよりも高い位置に上端172eが位置するように、脱落メダル案内カバー172の高さを設定してセレクタベース173に配置している。換言すれば、本実施形態では、底部173bの脱落可能部分(脱落開始点173b1よりも下流側の部分)よりも高い位置に上端172eが位置するように脱落メダル案内カバー172を配置している。
なお、本実施形態では、ガイド部材175および当接部173cを移動底部174aよりもやや上流側に配置しているため、脱落開始点173b1は小径メダルの脱落可能部分の開始点となっている。すなわち、本実施形態では、小径メダルは、規定のクレジット数を超過したメダルよりも上流側から脱落可能となっている。但し、これに限定されるものではなく、規定のクレジット数を超過したメダルの方が上流側から脱落可能であってもよい。
脱落メダル案内カバー172の高さは、具体的には、セレクタベース173に取付けた状態において、脱落開始点173b1から所定の距離Aだけ上方に上端172eが位置する高さに設定されている。この所定の距離Aは、特に限定されるものではないが、メンテナンス性の点からは、上端172eが転動メダル案内カバー176の取付部176cの高さを超えない距離であることが望ましい。すなわち、上端172eが図のBの領域内に位置し、脱落メダル案内カバー172が取付部176cを覆うことは望ましくなく、上端172eは図のCの領域内に位置していることが望ましい。
例えば、転動メダル案内カバー176をセレクタベース173に取付ける場合、セレクタベース173の背面と取付部176cの正面を親指と人差指で挟んで嵌合部176c1と揺動軸173dに嵌合させることとなるが、脱落メダル案内カバー172が取付部176cを覆っているとこのような作業が非常に困難となる。従って、メンテナンス性を考慮した場合、脱落メダル案内カバー172の高さは転動メダル案内カバー176の取付部176cを覆わない高さであることが望ましい。このように設定することで、メダルセレクタ170を構成する各種部品等の取付け、取外しを容易にし、メダルセレクタのメンテナンス性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、脱落メダル案内カバー172の高さを、転動メダル案内カバー176を開く際に転動メダル案内カバー176と脱落メダル案内カバー172が干渉しない(接触しない)高さに設定している。すなわち、本実施形態では、脱落メダル案内カバー172を閉じた状態のまま、転動メダル案内カバー176を開くことが可能となっており、メダルセレクタ170の清掃等のメンテナンスをきわめて容易に行うことができるようになっている。
このように、上端172eの位置が脱落開始点173b1の高さよりも高い位置となるように脱落メダル案内カバー172の高さを設定することで、同図(b)に示されるように、メダルMがメダル通路170bから脱落する際に、例えばメダルMが勢いよく傾倒したような場合であっても、メダルMが脱落メダル案内カバー172を乗り越えて外側に落下するような事態を効果的に防止することができる。すなわち、メダルMがどのような状態で脱落しても脱落メダル案内カバー172の内側にメダルMを留めることが可能であり、脱落させたメダルMを確実にキャンセルシュート266内に落下させることができる。
図8(a)〜(c)は、脱落メダル案内カバー172の傾斜壁部172cの設定を示した図である。同図(a)に示されるように、傾斜壁部172cは、脱落メダル案内カバー172の上端172eと下端172dの中間よりもやや下側の位置から下端172dにかけて形成されている。この傾斜壁部172cは、同図(b)に示されるように、脱落メダル案内カバー172の一部を所定の角度aで曲折し、下端172dがキャンセルシュート266の側壁266cよりも内側に位置するように構成されている。
本実施形態では、このように脱落メダル案内カバー172に傾斜壁部172cを設けることで、メダル通路170bから脱落させたメダルを暴れさせることなくスムーズにセレクタベース173側(全面扉102の背面側)に誘導することを可能としている。そして、脱落させたメダルをキャンセルシュート266の上部開口部266aを確実に通過させ、キャンセルシュート266内に落下させるようにしている。このようにすることで、例えばメンテナンス性を向上させるためにメダルセレクタ170とキャンセルシュート266の間に大きめの隙間を設けたような場合であっても、この隙間からメダルが外に飛び出してしまうような事態を効果的に防止することができる。
なお、本実施形態では、脱落メダル案内カバー172をセレクタベース173に取付けた状態でメダル通路170bを覆わない位置に傾斜壁部172cを形成している。具体的には、同図(c)に示されるように、メダル通路170bのうちのメダルが脱落可能な領域170b1以外の領域170d内において傾斜壁部172cを形成している。このようにすることで、傾斜壁部172cにおける光の反射や屈折等に影響されることなく、脱落メダル案内カバー172の内側の領域170b1を外部から視認することが可能となる。これにより、領域170b1における不正行為、例えば可動通路部材174やガイド部材175、メダル検出センサ178等に対する不正行為を外部から容易に発見することができる。
図9、図10(a)および(b)ならびに図11は、傾斜壁部172cを設けることによるその他の効果を示した図である。
まず、図9に示されるように、脱落メダル案内カバー172に傾斜壁部172cを設けた場合、傾斜壁部172cとその他の部分に跨って不正部品Xを取付けることが困難となる。すなわち、脱落メダル案内カバー172の内側に不正部品Xを取付ける場合に、傾斜壁部172cとその他の部分に跨る位置では不正部品を確実に固定することが困難となるため、不正部品Xを取付ける位置が限定されることとなる。これにより、不正部品Xが取付けられる可能性が高い位置をピンポイントで特定することが可能となり、不正部品Xを容易に発見することができる。
また、図10(a)に示されるように、上端172eから吊下げる等して傾斜壁部172cとその他の部分に跨る位置に不正部品Xが取付けられた場合には、不正部品Xを外部から容易に発見することができる。すなわち、同図(a)に示されるように、脱落メダル案内カバー172を略水平方向に見る視点1、およびやや上方から見る視点2のいずれにおいても、同図(b)に示されるように、同じように不正部品Xを視認することが可能となっている。このため、脱落メダル案内カバー172の内側に取付けられた不正部品Xを、視点の違いによらず即座に発見することができる。
図11は、所定期間使用後の脱落メダル案内カバー172を示している。脱落メダル案内カバー172には、脱落させたメダルが衝突するため、内側に多数の傷や汚れ(メダルに付着していた手垢等)がつくこととなる。本実施形態では、脱落メダル案内カバー172cを透明な樹脂から構成しているため、これらの傷や汚れは、脱落メダル案内カバー172cをセレクタベース173に取付けた状態のまま、容易に外部から視認することができる。従って、これらの傷や汚れのつき具合を、清掃等のメンテナンスの指標とすることができる。すなわち、本実施形態では、脱落メダル案内カバー172をいちいち取外さなくとも、傷や汚れの状態を確認することが可能であり、これらの傷や汚れの程度に基づいてメダルセレクタ170の状態を推認し、メダルセレクタ170のメンテナンスを行うべきか否かを判断することができる。
なお、脱落させたメダルは傾斜壁部172cに衝突する可能性が高いため、このような傷や汚れは主に傾斜壁部172cに集中することとなる。本実施形態では、傾斜壁部172cをメダル通路170bを覆わない位置に形成しているため、傷や汚れが増えた状態でもメダル通路170bの視認性が阻害されないようになっている。
<脱落メダル案内カバーのその他の形態>
次に、図12および13を用いて、脱落メダル案内カバー172のその他の形態について説明する。
図12(a)および(b)は、脱落メダル案内カバー172の上端172eをメダル通路170bの一部を構成する底部173bに沿って傾斜させた例を示した図である。この例では、傾斜した底部13bに対して一定の距離Aだけ離れた位置に上端172eが位置するように、脱落メダル案内カバー172を構成している。このように、脱落メダル案内カバー172の上端172eをメダル通路170bの一部(底部173b)に沿うように傾斜させた場合にも、メダルが脱落メダル案内カバー172を乗り越えて外側に落下するような事態を効果的に防止することができる。すなわち、脱落メダル案内カバー172の上端172eは、メダルが脱落可能な底部173bの対応する位置の高さよりも高い位置に位置していれば、上記効果を奏することができる。
このように、脱落メダル案内カバー172の上端172eを傾斜させることによりメダルセレクタ170の開放された部分を増やすことが可能となるため、メダルの乗り越えを効果的に防止しながらも、メダルセレクタ170のメンテナンス性を向上させることができる。また、不正部品の取付可能な位置を少なくすることができる。
図13は、脱落メダル案内カバー172の内側面172fに凸状突起部172gを設けた例を示した図である。この例では、傾斜壁部172cおよびそれ以外の部分にそれぞれ1つずつ、三角形状断面の横長の凸状突起部172gを設けている。このように、内側面172fに凸状突起部172gを設けることにより、傾斜壁部172cに加えてさらに不正部品の取付けを困難にすることができる。
なお、凸状突起部172gの形状は特に限定されるものではないが、不正部品の取付けを発見しやすいという点からは、凸状突起172gは、メダルセレクタ170本体、すなわちセレクタベース173の外形線に沿って直線状に形成することが望ましい。例えば、凸状突起部172gの構成によっては、凸状突起部172gの形状に惑わされ、取付けられた不正部品の発見が困難となる可能性が生じる場合があるが、セレクタベース173の外形線等の代表的な線に沿う直線状に構成することにより不正部品の発見を容易にすることができる。
この例では、セレクタベース173の正面視の外形状(脱落メダル案内カバー172側から見た形状)が矩形状であることから、メダルセレクタの上下の外形線に沿った水平方向に伸びる直線状に凸状突起部172gを形成しているが、メダルセレクタの左右の外形線に沿った垂直方向に伸びる直線状に凸状突起部172gを形成するようにしてもよい。また、メダルセレクタ170本体の外形状ではなく、脱落メダル案内カバー172の外形線(例えば上端172eまたは下端172d)に沿って凸状突起部172gを形成するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係るスロットマシン100が備えるメダルセレクタ170は、メダルが転動しながら通過する転動通路(本実施形態では、メダル通路170b)が設けられる本体(本実施形態では、セレクタベース173)と、本体173に固定され、一側面を接触させながら転動通路170bを通過するメダルを案内する転動メダル案内カバー176と、転動通路170bから外れて脱落した脱落メダルを案内する脱落メダル案内カバー172と、を備えて構成されたメダルセレクタであって、脱落メダル案内カバー172は、光透過性材質で構成されると共に、メダルが脱落可能な転動通路170bの高さ(すなわち、メダルが脱落可能な底部173bの高さ)よりも高い位置に自身の上端172eが位置するように配置されている。
このように、脱落メダル案内カバー172を光透過性材質で構成することにより、外部から容易に脱落メダル案内カバー172の内側を視認することができるため、取付けられた不正器具を容易に発見可能にすると共に、不正器具が隠蔽された状態で取付けられる可能性を低減することができる。
また、脱落メダル案内カバー172の上端172eの位置をメダルが脱落可能な転動通路170bの高さよりも高い位置にすることにより、脱落させたメダルをキャンセルシュート266内に確実に案内し、遊技者に返還することができる。
すなわち、上記構成によれば、不正行為の防止と脱落メダルの確実な案内を両立させることができる。さらに、脱落メダル案内カバー172を取付けた状態のままで、メダル通路170b等の状態を外部から確認することができるため、メダルセレクタ170のメンテナンス性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、脱落メダル案内カバー172はセレクタベース173に取付けられるように構成されているが、これに限定されるものではなく、メダルセレクタカバー172を、例えば全面扉102の背面やキャンセルシュート266等、その他の部材に取付けるようにしてもよい。
また、脱落メダル案内カバー172は、転動メダル案内カバー176の取付部176cを覆わないように、取付部176cよりも低い位置に自身の上端172eが位置するように配置されている。このような構成とすることで、脱落メダルを効果的にキャンセルシュート266内に案内しながらも、例えば転動メダル案内カバー176の取付け、取外しを容易にし、メダルセレクタ170のメンテナンス性をさらに向上させることができる。
なお、本実施形態では、転動メダル案内カバー176の取付部176cは、揺動軸173dの嵌合および付勢部材173eによる付勢力によりセレクタカバー173に取付けられる構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、ボルトやスナップフィット等のその他の構成によりセレクタカバー173に取付けられるものであってもよい。また、脱落メダル案内カバーの材質は、透明な樹脂に限定されるものではなく、例えばガラスやメッシュ状の材質等、その他の光透過性材質を採用することができる。
また、脱落メダル案内カバー172は、自身の上端172e側および下端172d側の少なくとも一方に転動通路170b側に向けて傾斜した傾斜壁部172cを有し、傾斜壁部172cは、転動通路170bを覆わない位置(本実施形態では、領域170d)に形成されている。
このような構成とすることで、メダル通路170bの視認性を阻害することなく、より効果的に脱落メダルをキャンセルシュート266内に案内することができる。また、脱落メダル案内カバー172の内側への不正部品の取付けを困難にすると共に、不正部品の発見を容易にすることができる。
さらに、メダルの衝突による傷や汚れを傾斜壁部172cに集中させることができるため、長期間の使用により脱落メダル案内カバー172に多数の傷や汚れがついた場合にも、メダル通路170bの視認性を阻害しないようにすることができる。
また、脱落メダル案内カバー172は、自身の上端172eの少なくとも一部が転動通路170bに沿って傾斜した形状に構成するようにしてもよい。このような構成とすることで、メダルセレクタ170の開放された部分を増やすことが可能となるため、脱落メダルを効果的にキャンセルシュート266内に案内しながらも、メダルセレクタ170のメンテナンス性を向上させることができる。
また、脱落メダル案内カバー172は、本体173側の面172fに凸状突起部172gを形成するようにしてもよい。このような構成とすることで、脱落メダル案内カバー172の内側への不正部品の取付けをさらに困難にすることができる。
また、この場合、本体173は、脱落メダル案内カバー172側から見た形状が矩形状に構成され、凸状突起部172gは、本体173の矩形状の外形線のいずれかに沿って形成するようにしてもよい。このような構成とすることで、不正部品の発見を阻害することなく、不正部品の取り付けを困難にすることができる。
また、本実施形態のスロットマシン100は、上記いずれかの構成のメダルセレクタ170を備えている。このため、不正行為の標的として狙われやすいメダルセレクタ170に対する不正行為を効果的に防止すると共に、メダル返還に関する不具合を低減させることができる。また、メダルセレクタ100のメンテナンス性が向上することにより、スロットマシン100のメンテナンス性を全体的に向上させることができる。
なお、本発明に係る遊技台は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
また、上記実施形態では、メダル(コイン)を遊技媒体としたスロットマシンの例を示
したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、遊技球(例えば、パチンコ玉
)を遊技媒体としたスロットマシンやパチンコ機などにも、本発明は適用可能である。
具体的には、本発明に係る遊技台は、「所定の遊技領域に遊技球を発射する発射装置と、発射装置から発射された遊技球を入球可能に構成された入賞口と、入賞口に入球した遊技球を検知する検知手段と、検知手段が遊技球を検知した場合に遊技球(賞球)を払出す払出手段と、所定の図柄(識別情報)を変動表示する可変表示装置を備え、入賞口に遊技球が入って入賞することを契機として、可変表示装置が図柄を変動させた後に停止表示させて、遊技状態の推移を告知するようなパチンコ機」にも好適である。
さらに、本発明をアレンジボール遊技機、じゃん球遊技機、スマートボール、およびカ
ジノマシン等に適用しても、同様の効果を得ることができる。
また、本発明の実施形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、不正器具が隠れた部分に取付けられる可能性を低減することが可能なメダルセレクタ、およびこのメダルセレクタを備えるスロットマシンを提供しようとするものである。