以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る遊技台(例えば、スロットマシン100等の回胴遊技機やパチンコ機等の弾球遊技機)について詳細に説明する。
<全体構成>
まず、図1および2を用いて、本実施例に係るスロットマシン100の全体構成について説明する。図1は、スロットマシン100の外観斜視図を示したものである。
図1に示すスロットマシン100は、本体101と、本体101の正面に取付けられ、本体101に対して開閉可能な前面扉102と、を備える。本体101の中央内部には、(図示省略)外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。これらのリール110乃至112はステッピングモータ等の駆動装置により回転駆動される。
本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール110乃至112は複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示装置として機能する。なお、このような表示装置としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
各々のリール110乃至112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間をリールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ラインは、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって予め定まっている。入賞ライン114は5ラインあり、例えば、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5ラインに限定されるものではなく、また、例えば、メダルが1枚ベットされた場合に、中段の水平入賞ライン、上段水平入賞ライン、下段水平入賞ライン、右下り入賞ラインおよび右上り入賞ラインの5ラインを入賞ラインとして有効としてもよい。
告知ランプ123は、例えば、後述する内部抽選において特定の入賞役(具体的には、ボーナス)に内部当選していること、または、ボーナス遊技中であることを遊技者に知らせるランプである。遊技メダル投入可能ランプ124は、遊技者が遊技メダルを投入可能であることを知らせるためのランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。リールパネルランプ128は演出用のランプである。
ベットボタン130乃至132は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダル(クレジットという)を所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、ベットボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、ベットボタン131が押下されると2枚投入され、ベットボタン132が押下されると3枚投入されるようになっている。以下、ベットボタン132はMAXベットボタンとも言う。なお、遊技メダル投入ランプ129は、投入されたメダル数に応じた数のランプを点灯させ、規定枚数のメダルの投入があった場合、遊技の開始操作が可能な状態であることを知らせる遊技開始ランプ121が点灯する。
メダル投入口141は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、ベットボタン130乃至132により電子的に投入することもできるし、メダル投入口141から実際のメダルを投入(投入操作)することもでき、投入とは両者を含む意味である。貯留枚数表示器125は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技情報表示器126は、各種の内部情報(例えば、ボーナス遊技中のメダル払出枚数)を数値で表示するための表示器である。払出枚数表示器127は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、および、払出枚数表示器127は、7セグメント(SEG)表示器とした。
スタートレバー135は、リール110乃至112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口141に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン130乃至132を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110乃至112が回転を開始することとなる。スタートレバー135に対する操作を遊技の開始操作と言う。
ストップボタンユニット136には、ストップボタン137乃至139が設けられている。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110乃至112に対応づけられている。以下、ストップボタン137乃至139に対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。なお、各ストップボタン137乃至139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137乃至139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。精算ボタン134は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口155から排出するためのボタンである。ドアキー孔140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。
ストップボタンユニット136の下部には、機種名の表示と各種証紙の貼付とを行うタイトルパネル162が設けられている。タイトルパネル162の下部には、メダル払出口155、メダルの受け皿161が設けられている。
音孔159はスロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。前面扉102の左右各部に設けられたサイドランプ144は遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。前面扉102の上部には演出装置160が配設されており、演出装置160の上部には音孔143が設けられている。この演出装置160は、水平方向に開閉自在な2枚の右シャッタ163a、左シャッタ163bからなるシャッタ(遮蔽装置)163と、このシャッタ163の奥側に配設された液晶表示装置157(図示省略、演出画像表示装置)を備えており、右シャッタ163a、左シャッタ163bが液晶表示装置157の手前で水平方向外側に開くと液晶表示装置157(図示省略)の表示画面がスロットマシン100正面(遊技者側)に出現する構造となっている。
なお、液晶表示装置でなくとも、種々の演出画像や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、複数セグメントディスプレイ(7セグディスプレイ)、ドットマトリクスディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、リール(ドラム)、或いは、プロジェクタとスクリーンとからなる表示装置等でもよい。また、表示画面は、方形をなし、その全体を遊技者が視認可能に構成している。本実施形態の場合、表示画面は長方形であるが、正方形でもよい。また、表示画面の周縁に不図示の装飾物を設けて、表示画面の周縁の一部が該装飾物に隠れる結果、表示画面が異形に見えるようにすることもできる。表示画面は本実施形態の場合、平坦面であるが、曲面をなしていてもよい。
図2は、前面扉102を開けた状態のスロットマシン100を示す正面図である。本体101は、上面板261、左側の側面板260、右側の側面板260、下面板264および背面板242で囲われ、前面に開口する箱体である。本体101の内部には、背面板242の上部に設けた通風口249と重ならない位置に、内部に主制御基板(後述する主制御部300)を収納した主制御基板収納ケース210が配置され、この主制御基板収納ケース210の下方に、3つのリール110乃至112が配置されている。主制御基板収納ケース210及びリール110乃至112の側方、即ち向って左側の側面板260には、内部に副制御基板(後述する第1副制御部400)を収納した副制御基板収納ケース220が配設してある。また、向かって右側の側面板260には、主制御基板に接続されて、スロットマシン100の情報を外部装置に出力する外部集中端子板248が取り付けられている。
そして、下面板264には、メダル払出装置180(バケット182に溜まったメダルを払出す装置)が配設され、このメダル払出装置180の上方、即ちリール110乃至112の下方には、電源基板を有する電源装置252が配設され、電源装置252正面には電源スイッチ244を配設している。電源装置252は、スロットマシン100に外部から供給される交流電源を直流化し、所定の電圧に変換して主制御部300、第1副制御部400等の各制御部、各装置に供給する。さらには、外部からの電源が断たれた後も所定の部品(例えば主制御部300のRAM308等)に所定の期間(例えば10日間)電源を供給するための蓄電回路(例えばコンデンサ)を備えている。
メダル払出装置180の右側には、メダル補助収納庫240が配設してあり、この背後にはオーバーフロー端子が配設されている(図示省略)。電源装置252には、電源コード264を接続する電源コード接続部が設けられ、ここに接続された電源コード264が、本体101の背面板242に開設した電源コード用穴262を通して外部に延出している。
前面扉102は、本体101の左側の側面板260にヒンジ装置276を介して蝶着され、図柄表示窓113の上部には、演出装置160、および、この演出装置160を制御する演出制御基板(後述する第2副制御部、図示省略)、上部スピーカ272、を設けている。図柄表示窓113の下部には、投入されたメダルを選別するためのメダルセレクタ170、このメダルセレクタ170が不正なメダル等をメダル受皿161に落下させる際にメダルが通過するキャンセルシュート266等を設けている。さらに、音孔159に対応する位置には低音スピーカ277を設けている。また、メダルセレクタ170のヒンジ装置276の反対側の側方(図の左側)には、閉じた前面扉102をロック(施錠)するための施錠部280を設けている。
<制御部>
次に、図3を用いて、スロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。
スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の進行を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて、主な演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、によって構成されている。
<主制御部>
まず、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、この基本回路302には、CPU304と、制御プログラムデータ、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等を記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400についても同様である。
この基本回路302のCPU304は、水晶発振器314が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。さらには、CPU304は、電源が投入されるとROM306の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ312に送信し、カウンタタイマ312は受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU304に送信する。CPU304は、この割込み要求を契機に各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、水晶発振器314が出力するクロック信号を8MHz、カウンタタイマ312の分周値を1/256、ROM306の分周用のデータを47に設定した場合、割り込みの基準時間は、256×47÷8MHz=1.504msとなる。
基本回路302は、0〜65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用している乱数発生回路316と、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路338を設けており、CPU304は、この起動信号出力回路338から起動信号を入力した場合に、遊技制御を開始する(後述する主制御部メイン処理を開始する)。
また、基本回路302には、センサ回路320を設けており、CPU304は、割り込み時間ごとに各種センサ318(ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、ベットボタン132センサ、メダル投入口141から投入されたメダルのメダル受付センサ、スタートレバー135センサ、ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、ストップボタン139センサ、精算ボタン134センサ、メダル払出装置180から払い出されるメダルのメダル払出センサ、リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、リール112のインデックスセンサ、ドアオープンセンサ、リセットセンサ等)の状態を監視している。
なお、センサ回路320がスタートレバーセンサのHレベルを検出した場合には、この検出を示す信号を乱数発生回路316に出力する。この信号を受信した乱数発生回路316は、そのタイミングにおける値をラッチし、抽選に使用する乱数値を格納するレジスタに記憶する。
メダル受付センサは、メダル投入口141の内部通路に2個設置されており、メダルの通過有無を検出する。スタートレバー135センサは、スタートレバー135内部に2個設置されており、遊技者によるスタート操作を検出する。ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、および、ストップボタン139センサは、各々のストップボタン137乃至139に設置されており、遊技者によるストップボタンの操作を検出する。
ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、および、ベットボタン132センサは、メダル投入ボタン130乃至132のそれぞれに設置されており、RAM308に電子的に貯留されているメダルを遊技への投入メダルとして投入する場合の投入操作を検出する。精算ボタン134センサは、精算ボタン134に設けられている。精算ボタン134が一回押されると、電子的に貯留されているメダルを精算する。メダル払出センサは、メダル払出装置180が払い出すメダルを検出するためのセンサである。なお、以上の各センサは、非接触式のセンサであっても接点式のセンサであってもよい。
リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、および、リール112のインデックスセンサは、各リール110乃至112の取付台の所定位置に設置されており、リールフレームに設けた遮光片が通過するたびにLレベルになる。CPU304は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。
ドアオープンセンサは、前面扉102が開錠されたことを検出するセンサである。リセットセンサは、ドアキー孔140に鍵を挿入して行うリセット操作を検出してスロットマシン100をリセットするためのセンサである。ドアオープンセンサおよびリセットセンサの詳細については後述する。
主制御部300は、リール装置110乃至112に設けたステッピングモータを駆動する駆動回路322を設けており、投入されたメダルを選別するメダルセレクタ170に設けたソレノイドを駆動する駆動回路324を設けており、メダル払出装置180に設けたモータを駆動する駆動回路326を設けており、各種ランプ338(入賞ライン表示ランプ120、告知ランプ123、遊技メダル投入可能ランプ124、再遊技ランプ122、遊技メダル投入ランプ129は、遊技開始ランプ121、貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、払出枚数表示器127)を駆動する駆動回路328を設けている。
また、基本回路302には、情報出力回路334(外部集中端子板248)を接続しており、主制御部300は、この情報出力回路334を介して、外部のホールコンピュータ(図示省略)等が備える情報入力回路652にスロットマシン100の遊技情報(例えば、遊技状態)を出力する。
また、主制御部300は、第1副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースを備えており、第1副制御部400との通信を可能としている。なお、主制御部300と第1副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は第1副制御部400にコマンド等の信号を送信できるように構成しているが、第1副制御部400からは主制御部300にコマンド等の信号を送信できないように構成している。
<副制御部>
次に、スロットマシン100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主制御部300が送信した制御コマンドを入力インタフェースを介して受信し、この制御コマンドに基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402は、CPU404と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。基本回路402のCPU404は、水晶発振器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作し、第1副制御部400の全体を制御するための制御プログラム及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータ等が記憶されたROM406が設けている。
CPU404は、所定のタイミングでデータバスを介してROM406の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ412に送信する。カウンタタイマ412は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU404に送信する。CPU404は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、第1副制御部400には、音源IC418を設けており、音源IC418に出力インタフェースを介してスピーカ272、277を設けている。音源IC418は、CPU404からの命令に応じてアンプおよびスピーカ272、277から出力する音声の制御を行う。音源IC418には音声データが記憶されたS−ROM(サウンドROM)が接続されており、このROMから取得した音声データをアンプで増幅させてスピーカ272、277から出力する。
また、第1副制御部400には、駆動回路422が設けられ、駆動回路422に入出力インタフェースを介して各種ランプ420(上部ランプ、下部ランプ、サイドランプ144、タイトルパネル162ランプ、等)を設けている。
また、CPU404は、出力インタフェースを介して第2副制御部500へ信号の送受信を行う。スロットマシン100の第2副制御部500では、演出画像表示装置(液晶表示装置)157や各種演出用駆動装置(演出装置)160の制御を行う。第2副制御部500は、例えば、液晶表示装置157の制御を行う制御部、各種演出用駆動装置160の制御を行う制御部とするなど、複数の制御部で構成するようにしてもよい。
<メダルセレクタ、キャンセルシュート、施錠部>
次に、図4乃至10を用いて、メダルセレクタ170、キャンセルシュート266、および施錠部280の詳細について説明する。図4は、メダルセレクタ170、キャンセルシュート266、および施錠部280を拡大して示した図である。なお、同図は前面扉102を背面側から見た図であり、部材の図示を一部省略している。
同図に示されるように、メダルセレクタ170、キャンセルシュート266、および施錠部280は、前面扉102の背面にそれぞれ固定されている。
メダルセレクタ170は、メダル投入口141の下方に配置され、メダル投入口141に投入されたメダルが落下して直接メダルセレクタ170内に進入するように構成されている。メダルセレクタ170には、図の右側に向けて低くなる斜面が設けられており、メダル投入口141から投入されたメダルは、この斜面に沿って転動しながら各種センサ等によって適正なメダルであるか否かを検査されるようになっている。
投入されたメダルが適正なメダルである場合、主制御部300は、メダルをそのまま右方に向けて転動させ、樋状に形成された案内部材171を通して払出装置180のバケット182内にメダルを投入する。また、投入されたメダルが不正なメダルである場合、主制御部300は、駆動回路324によりメダルセレクタ170のソレノイドを駆動してメダルを下方に落下させ、キャンセルシュート266内に排出する。メダルセレクタ170の下側部分は、セレクタフレーム172によって図の奥側および左右両側を覆われると共に、セレクタカバー173によって図の手前側を覆われている。そして、メダルセレクタ170の下端には、セレクタフレーム172およびセレクタカバー173に囲まれることで形成される排出用開口部170aが設けられている。従って、ソレノイドにより落下させた不正なメダルは、排出用開口部170aからキャンセルシュートに向けて排出され、キャンセルシュート266以外の部分には進入しないようになっている。なお、セレクタカバー173は、メダルセレクタ170内部の清掃を容易にするために、開閉可能に設けられている。
キャンセルシュート266は、メダルセレクタ170の下方に配置された中空状の部材であり、メダルセレクタ170から落下した不正なメダルをメダル払出口155に誘導するための通路を構成している。キャンセルシュート266の上部には、メダルセレクタ170の排出用開口部170aに対向する上部開口部266aが形成されており、メダルセレクタ170が検出した不正なメダルは、この上部開口部266aからキャンセルシュート266内に進入する。キャンセルシュート266内に進入した不正なメダルは、そのままキャンセルシュート266に沿って落下し、メダル払出口155からメダル受皿161に排出される。
また、キャンセルシュート266は、メダル払出装置180から払出されるメダルをメダル払出口155に誘導する通路ともなっている。すなわち、キャンセルシュート266の中間部やや下側には、メダル払出装置180に接続される下部開口部266bが形成されており、メダル払出装置180から払出されるメダルは、この下部開口部266bからキャンセルシュート266内に投入されるようになっている。払出されたメダルは、キャンセルシュート266内を落下し、メダル払出口155からメダル受皿161に払出される。
施錠部280は、メダルセレクタ170のヒンジ装置276の反対側(図の左側)に配置され、ドアキー孔140に挿入された鍵の操作によって前面扉102を施錠または開錠するための部分である。また、施錠部280は、例えばメダルセレクタ170等のスロットマシン100内部の装置にエラー(異常)が発生した場合に、ドアキー孔140に挿入された鍵の操作によってスロットマシン100をリセットすることができるように構成されている。
同図に示されるように、施錠部280は、前面扉102の図の左端部からやや内側に設けられた錠装置281と、前面扉102の図の左端部側に設けられた第1可動部材282と、前面扉102の図の左端部の下側に設けられたドアオープンセンサ283と、前面扉102の図の左端部側において第1可動部材282に重ねて設けられた第2可動部材284と、前面扉102の図の左端部の上側に設けられたリセットセンサ285と、ドアオープンセンサ283の下方に設けられた係合部材286とから構成されている。
錠装置281は、ドアキー孔140に挿入された鍵と共に回動部材281aを回動(回転)させるように構成されている。回動部材281aは、略V字状に構成されており、2つの先端部を当接させて第1可動部材282第2可動部材284を上下動させる。
第1可動部材282は、係合部材286を揺動させて前面扉102を施錠または開錠させるための部材であり、回動部材281aの回動に伴って上下にスライド可能に設けられている。本実施形態では、錠装置281によって第1可動部材282が下方に押し下げられた場合に、係合部材286と本体101との係合が解除され、前面扉102が開錠されるようになっている。
ドアオープンセンサ283は、投光部と受光部からなるフォトインタラプタであり、全面扉102の開錠を検出するためのものである。第1可動部材282のドアオープンセンサ283の近傍には遮光片282aが設けられており、ドアオープンセンサ283は、下方にスライドした第1可動部材282の遮光片282aによって光を遮られた場合に、前面扉102の開錠を検出する。
第2可動部材284は、スロットマシン100にエラーが発生した場合にリセットするためのものであり、第1可動部材282と同様に回動部材281aの回動に伴って上下にスライド可能に設けられている。第2可動部材284のリセットセンサ285の近傍には、遮光片284aが設けられており、本実施形態では、錠装置281によって第2可動部材284が上方に押し上げられた場合に、リセットセンサ285が遮光片284aを検出するようになっている。主制御部300のCPU304は、リセットセンサ285が遮光片284aを検出したことを示す信号を、センサ回路320を介して受信した場合、スロットマシン100の制御状態を初期状態にリセットする。
リセットセンサ285は、ドアオープンセンサ283と同様のフォトインタラプタであり、上方にスライドした第2可動部材284の遮光片284aによって光を遮られた場合に、ドアキー孔140に挿入した鍵によりリセット操作が行われたことを検出する。
本実施形態では、このように、メダルセレクタ170、キャンセルシュート266、および施錠部280を、ヒンジ装置276の反対側の全面扉102背面において互いに近接して配置している。このようにすることで、スロットマシン100内のスペースを効率的に利用することができる。また、施錠部280にリセット機能を持たせることにより、全面扉102を開かなくてもスロットマシン100をリセットすることを可能としている。
但し、キャンセルシュート266はメダル払出口155を介してスロットマシン100外部と連通しているため、本実施形態のように、キャンセルシュート266の近傍、特に上部開口部266aの近傍にリセットセンサ285を配置した場合、メダル払出口155から針金等の長尺の不正器具をキャンセルシュート266内に挿入して上部開口部266aから突出させて、リセットセンサ285にアクセスされる可能性がある。
主制御部300は、各種センサ318からの信号に基づいて異常を検出した場合、例えばメダルセレクタ170における適正メダルのカウントに関するエラーを検出した場合、制御状態をエラー状態にすると共に、エラー報知を行う。具体的には、遊技を継続不可能なエラー状態に制御状態を変更した上で、各種ランプ338等を使用してエラー状態であることを周囲に報知すると共に、情報出力回路334を介して外部のホールコンピュータ等の情報入力回路にエラー情報を送信する。遊技店の店員は、エラー報知によりスロットマシン100がエラー状態になったことを知ることができる。
しかし、不正行為者がメダル払出口155からキャンセルシュート266内に挿入した長尺の不正器具をリセットセンサ285に検出させた場合、スロットマシン100がリセットされることとなるため、遊技店の店員が気付く前に不正行為により生じたエラー状態を解除されてしまう可能性がある。すなわち、不正行為を隠蔽することが可能になる場合がある。
このため、本実施形態では、メダル払出口155からキャンセルシュート266内に挿入された不正器具の進入可能範囲、すなわちキャンセルシュート266の上部開口部266aからスロットマシン100内部に進入可能な範囲を制限し、リセットセンサ285へのアクセスを困難にするための折返し壁290を、キャンセルシュート266の上部に設けている。
図5(a)および(b)は、それぞれ異なる方向から見たキャンセルシュート266の斜視図である。これらの図に示されるように、キャンセルシュート266は、略クランク状に形成されたコの字状断面の部材であり、取付孔266cに挿入されたネジ268(図4参照)を介して前面扉102の背面に、凹部を塞ぐように固定されることで中空状の通路を構成する。
キャンセルシュート266の上部には、メダルセレクタ170からメダルを受け入れる上部開口部266aが形成されると共に、折返し壁290および起立壁291が設けられている。折返し壁290は、上部開口部266aの端縁の一部を開口の内側に向けて約90度の角度で折り返して突出させることにより形成した壁であり、起立壁291は、キャンセルシュート266上部の施錠部280側となる端部から上方に向けて突設された矩形状の壁である。
本実施形態では、キャンセルシュート266を前面扉102に取付けた場合にメダルセレクタ170のセレクタカバー173に対向する部分(前面扉102の反対側の部分)に、折返し壁290を設けている。すなわち、本実施形態では、上部開口部266aにおいて不正器具を最も突出させやすい部分に折返し壁290bを設けることにより、不正器具をキャンセルシュート266からスロットマシン100内部に進入させることを困難にしている。これにより、メダル払出口155からキャンセルシュート266内に挿入した不正器具を、リセットセンサ285まで到達させることを効果的に防止している。
さらに、本実施形態では、施錠部280側に起立壁291を設けることにより、キャンセルシュート266から突出した不正器具がリセットセンサ285へ向かわないようにしている。すなわち、不正器具がキャンセルシュート266から突出してしまった場合であっても、起立壁291によって不正器具の進入方向を制限することにより、不正器具をリセットセンサ285まで到達させないようにしている。
図6は、メダルセレクタ170およびキャンセルシュート266の取付角度を示した図である。同図に示されるように、本実施形態では、メダルセレクタ170およびキャンセルシュート266は、メダルセレクタ170の取付面P1がキャンセルシュート266の取付面P2に対して角度を有するように前面扉102の背面に取付けられる。具体的には、キャンセルシュート266の取付面P2は前面扉102の背面に平行な面であるが、メダルセレクタ170の取付面P1は前面扉102の背面に対して角度を有する面となっている。
従って、本実施形態では、折返し壁290の内側への突出量を調整し、折返し壁290の先端290aがメダルセレクタ170の排出用開口部170aの端縁に沿うようにすることで、不正器具を上部開口部266aからスロットマシン100内部に進入させやすい部分が生じないようにしている。特に、メダルセレクタ170の位置が前面扉102側に離れていく施錠部280側の部分において、不正器具を進入させやすい部分が生じないようにしている。
また、本実施形態では、メダルセレクタ170の施錠部280の反対側の部分において、セレクタカバー173の下部を部分的に内側に向けて曲折した曲折部173aを設けることで、メダルセレクタ170の排出用開口部170aがキャンセルシュート266の上部開口部266aの外側にはみ出さないようにしている。
図7(a)〜(c)は、メダルセレクタ170の排出用開口部170aの寸法とキャンセルシュート266の上部開口部266aの寸法との関係を示した概略図である。なお、同図(b)は同図(a)のX−X線断面図であり、同図(c)は同図(a)のY−Y線断面図である。
これらの図に示されるように、本実施形態では、メンテナンス性や組立性等を考慮し、メダルセレクタ170とキャンセルシュート266の間に隙間を設けている。また、図7(a)に示されるように、排出用開口部170aの長手方向(図4における左右方向)の寸法Aが、上部開口部266aの長手方向の寸法B以下の長さとなるようにしている。また、図7(b)および(c)に示されるように、排出用開口部170aの幅方向(図4における前後方向)の寸法A'、A"が、それぞれ対応する長手方向位置における上部開口部266aの幅方向の寸法B'、B"以下の長さとなるようにしている。
なお、本実施形態では、上述のように、メダルセレクタ170とキャンセルシュート266は互いに角度を有して前面扉102背面に取付けられるため、上部開口部266aに対する排出用開口部170aの幅方向の位置は、図7(b)および(c)に示されるように、長手方向の位置に応じて変化するようになっている。このため、本実施形態では、折返し壁290の突出量を上部開口部266aの長手方向に亘って変化させることにより、折返し壁290の先端290aが、対応する位置における排出用開口部170aの端縁170bの鉛直下方よりやや外側に、常に位置するようにしている。具体的には、排出用開口部170aの端縁170bから下方に引いた鉛直線Cのやや外側(前面扉102の反対側)に、折返し壁290の先端290aが位置するようにしている。
このように、本実施形態では、排出用開口部170aおよび上部開口部266aの長手方向寸法をB≧Aとし、幅方向寸法をいずれの位置においてもB'≧A'、B"≧A"とすることで、メダルセレクタ170からキャンセルシュート266に向けて排出されるメダルの通過領域内に、上部開口部266aの端縁および折返し壁290が存在しないようにしている。これにより、キャンセルシュート266内に挿入された不正器具が上部開口部266aからスロットマシン100内部に進入可能な範囲を、効果的に制限しながらも、メダルセレクタ170からキャンセルシュート266内へのスムーズなメダルの排出を阻害しないようにすることが可能となる。すなわち、メダルセレクタ170からキャンセルシュート266に向けて排出されたメダルが、上部開口部266aの端縁や折返し壁290に衝突して引っかかったり、詰まったりしないようにすることができる。
図8(a)〜(c)は、メダル払出口155からキャンセルシュート266内に挿入された長尺の不正器具700の進入方向を示した図である。同図(a)に示されるように、折返し壁290を設けることにより、キャンセルシュート266内に挿入した不正器具700の先端を上部開口部266aから突出させてスロットマシン100内部に進入させることが可能な範囲は、図の2つの二点鎖線D1、D2の間のきわめて狭い範囲に制限されることとなる。
従って、スロットマシン100の外部から手探りで不正器具700の先端を上部開口部266aから突出させようとした場合、不正器具700の先端は、同図(b)に示されるメダルセレクタ170内への進入、および同図(c)に示される折返し壁290への衝突を繰り返すこととなり、不正器具700の先端を上部開口部266aから突出させることが非常に困難となる。この結果、不正器具700の先端をリセットセンサ285に到達させることが非常に困難になり、不正行為を隠蔽するためにスロットマシン100を不正にリセットさせる行為を効果的に防止することができる。
また、本実施形態では、上部開口部266aのセレクタカバー173に対向する部分、すなわち前面扉102の反対側の部分に折返し壁290を設けているため、キャンセルシュート266内に挿入した不正器具700を、キャンセルシュート266の前面扉102の反対側の内壁面266dに沿わせて上部開口部266aに導いた場合に、不正器具700の先端が折返し壁290に衝突するようになっている。すなわち、本実施形態では、最も誘導しやすい位置から不正器具700を突出させることが不可能となっており、この点からも不正器具700の先端をリセットセンサ285に到達させることが非常に困難になっている。
なお、メダルセレクタ170は、キャンセルシュート266側からの不正器具700の挿入によっては不正行為が行えないように構成されている。また、メダルセレクタ170は、リセットセンサ285とは異なり、このような不正器具700の挿入による不正行為を各種センサが容易に検出することができるように構成されているため、不正器具700をメダルセレクタ170側に導くことによって、このような不正行為を早期に発見することが可能となる。
図9(a)〜(c)は、メダルセレクタ170の排出用開口部170aと折返し壁290との位置関係のその他の例を示した図である。排出用開口部170aと折返し壁290との位置関係は、図7(a)〜(c)に示した例に限定されるものではなく、図9(a)〜(c)に示されるようなものであってもよい。
例えば、同図(a)に示されるように、折返し壁290の上面の高さが、排出用開口部170aのあるメダルセレクタ170の下端と略同じ高さ、すなわち同図(a)に示す水平線Eと同じ高さとなるように、折返し壁290を形成してもよい。また、同図(b)に示されるように、折返し壁290の先端290aが、対応する位置の排出用開口部170aの端縁170bの鉛直下方(直下)に位置する、すなわち同図(b)に示す鉛直線C上に位置するように、折返し壁290を形成してもよい。この場合、不正器具の進入可能範囲を最も制限することができる。また、同図(c)に示されるように、折返し壁290の下面の高さ(同図(c)に示す水平線F)が、排出用開口部170aのあるメダルセレクタ170の下端の高さ(同図(a)に示す水平線E)よりも高くなるように、折返し壁290を形成してもよい。但し、この場合、メンテナンス時等におけるセレクタカバー173の開閉を阻害しないようにすることが望ましい。
図10(a)〜(c)は、不正器具をスロットマシン100内部に進入させる行為を困難にするための従来例を示したものである。
このうち、同図(a)に示す例では、突出部800が排出用開口部170aから排出されるメダルの通過領域内に突出している、すなわち突出部800の先端800aの位置(同図(a)に示す鉛直線G)が排出用開口部170aの端縁170bの位置(同図(a)に示す鉛直線G)よりも内側となっていたため、メダルセレクタ170から排出されたメダルが突出部800に衝突し、メダルが詰まりやすいという問題があった。
また、同図(b)に示す例では、突出部810がキャンセルシュート266内に突出していたため、同図(a)の例と同様に、キャンセルシュート266内を通過するメダルが突出部810に衝突して引っかかり、詰まりやすいという問題があった。また、同図(c)に示す例では、段差部820を設けているため、キャンセルシュート266内を通過するメダルが衝突することはないものの、段差部820の位置が外観から容易に分ってしまうため、段差部820を回避されやすいという問題があった。
このような従来例に対し、本実施形態では、キャンセルシュート266の上部開口部266aの端縁を内側に向けて折返して折返し壁290を形成すると共に、メダルセレクタ170から上部開口部266aを通ってキャンセルシュート266内に進入するメダルが衝突しない範囲に折返し壁290を形成しているため、上述した従来例の問題点を解消している。
<その他の態様の折返し壁>
次に、図11〜13を用いて、その他の態様の折返し壁について説明する。
図11(a)および(b)は、折返し壁290にスリット292を設けた例を示した図である。なお、同図(b)は、同図(a)のZ−Z線断面図である。
同図(a)および(b)に示す例では、折返し壁290の先端290aから所定の距離だけ離れた位置に、長手方向に沿う細長い溝状のスリット292を形成している。このように、折返し壁290にスリット292を設けることにより、同図(b)に示されるように、キャンセルシュート266内に挿入された不正器具700の先端をスリット292に引っかけて屈曲させることが可能となる。これにより、不正器具700を上部開口部266aからスロットマシン100内部に進入させることを非常に困難にすることができる。
また、非常に細い不正器具700や薄い不正器具700が使用され、スリット292内を通過して不正器具700がスロットマシン100内部に進入した場合であっても、不正器具700の進行方向を制限することができるため、リセットセンサ285まで不正器具700を到達させることは非常に困難となる。
なお、この例では、折返し壁290に1つのスリット292を設けた例を示したが、複数のスリット292を設けるようにしてもよい。また、貫通孔のスリット292の代わりに、溝や凹部、凸部等の凹凸形状を折返し壁290に形成するようにしてもよい
図12(a)および(b)は、キャンセルシュート266とは別部材にした折返し壁294の例を示した図である。
この例では、同図(a)に示されるように、折返し壁294は、キャンセルシュート266に固定する部分である固定部294aと、固定部294aの幅方向の一端を折返して形成され、不正器具の進入可能範囲を制限する部分である折返し部294bから構成されるL字状の部材であり、キャンセルシュート266とは別体に形成されている。そして、同図(b)に示されるように、折返し壁294は、接着や係合等の適宜の方法によりキャンセルシュート266の上部に固定されて使用される。なお、この例では、キャンセルシュート266を前面扉102に取付けた場合にメダルセレクタ170のセレクタカバー173に対向する部分(前面扉102の反対側の部分)に加えて、施錠部280側となる部分にも折返し部294bを設けた場合を示している。
このように、キャンセルシュート266の別部材である折返し壁294を採用した場合、例えばメダルセレクタ170の形状が変更されたような場合や、不正行為の実態に合わせて折返し壁294の形状を変更したい場合に、キャンセルシュート266全体を作り替えるのではなく、折返し壁294のみを作り替えればよいため、設計の自由度やメンテナンス性を向上させることができる。なお、折返し壁294に、さらに起立壁を設けるようにしてもよい。
図13(a)および(b)は、セレクタカバー173をキャンセルシュート266上部に接続すると共に、セレクタカバー173の上部にも折返し壁296を設けるようにした例を示した図である。
この例では、セレクタカバー173は、同図(a)に示されるように、下部に2つの係止舌片173bが設けられており、この係止舌片173bを係止させることにより、同図(b)に示されるように、キャンセルシュート266の上部に着脱可能に固定される。このように、セレクタカバー173を着脱可能に固定することにより、メダルセレクタ170のメンテナンスを容易にすることができる。
そして、この例では、キャンセルシュート266の上部に折返し壁290を設けると共に、セレクタカバー173の上部に折返し壁296を設けている。このように、セレクタカバー173をキャンセルシュート266に接続すると共に、2つの折返し壁290、296を設けることにより、スロットマシン100内部に不正器具を進入させることが可能な範囲をより狭く制限することができる。
なお、この例では、キャンセルシュート266を前面扉102に取付けた場合に前面扉102の反対側となる部分にのみ折返し壁290、296を設けた例を示しているが、図12の例のように、施錠部280側となる部分にも折返し壁290、296を設けるようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係るスロットマシン100は、遊技装置を収容する開口部を有する箱型の収容体(本実施形態では、本体101)と、開口部を覆う扉体(本実施形態では、前面扉102)と、扉体102に設けられたメダル投入口141より投入された投入メダルについて、適正メダルを選別してカウントするメダルセレクタ170と、メダルセレクタ170により適正メダルをカウントして所定量の適正メダルを貯留し、払出条件の成立によりメダルを払い出す払出装置180と、メダルセレクタ170の近傍に配置され、メダル投入口141より投入された投入メダル及び払出装置180から払出される払出メダルを扉体102に設けられたメダル払出口155に誘導するためのメダル誘導シュート(本実施形態では、キャンセルシュート266)と、メダル誘導シュート266の上部開口部266a近傍に備えられ、少なくとも、メダルセレクタ170における適正メダルのカウントに関する不正エラーを含むエラー状態を解除するためのリセットセンサ285と、を備え、メダル誘導シュート266の上部開口部266aには、メダル払出口155から挿入された不正器具がメダル誘導シュート266の上部開口部266aから遊技台内部に進入する場合に、不正器具の進入可能範囲を制限して不正器具のリセットセンサ285へのアクセスを困難にするための折返し壁290、294が形成され、折返し壁290、294は、メダル誘導シュート266の上部開口部266aの端縁を内側に向けて折返して形成されると共に、メダルセレクタ170から上部開口部266aを通ってメダル誘導シュート266内に進入するメダルが衝突しない範囲に形成されている。
このような構成にすることで、メダル誘導シュート266を通過した不正器具が、メダル誘導シュート266から外にでる水際で阻止することができる。これにより、不正行為の対象となる箇所に対する直接的な不正行為を効果的に防止することができるだけではなく、不正行為により生じたエラー状態を解除することによって不正行為を隠蔽する行為までも効果的に防止することができる。また、不正行為を効果的に防止しながらも、メダルセレクタ170からメダル誘導シュート266内へのスムーズなメダルの排出を阻害しないようにすることができる。
また、メダルセレクタ170は、メダル誘導シュート266にメダルを排出する排出用開口部170aがメダル誘導シュート266の上部開口部266aに対向して設けられており、折返し壁290は、基端が排出用開口部170aの端縁170bの鉛直下方よりも外側に位置し、先端290aが排出用開口部170aの端縁170bの鉛直下方、または排出用開口部170aの端縁の鉛直下方よりも外側に位置するように形成されている。
このような構成とすることで、メダル誘導シュート266からスロットマシン100内部への不正器具の進入可能範囲の制限と、メダルセレクタ170からメダル誘導シュート266内へのスムーズなメダルの排出とを、高レベルで両立させることができる。
また、折返し壁290は、先端290aが排出用開口部170aの端縁170bの形状に沿うように形成されている。このため、メダル誘導シュート266からスロットマシン100内部への不正器具の進入可能範囲を確実に制限することができる。
また、折返し壁290には、少なくとも1つのスリット292を形成するようにしてもよい。このようにすることで、不正器具の先端をスリット292で捕らえて不正器具を屈曲させることが可能となり、メダル誘導シュート266からスロットマシン100内部への不正器具の進入を効果的に阻止することが可能となる。
また、折返し壁294は、メダル誘導シュート266とは別部材であり、メダル誘導シュート266に固定されるようになっている。このため、メダルセレクタ170の形状や不正行為の実態に合わせて容易に折返し壁294の形状を設定または変更することが可能となり、設計の自由度やメンテナンス性を向上させることができる。
また、メダルセレクタ170の側方の少なくとも一部を覆うカバー部材(本実施形態では、セレクタカバー173)が、メダル誘導シュート266に接続され、折返し壁296を、カバー部材173の上部にさらに備えるようにしてもよい。このように、カバー部材173をメダル誘導シュート266に接続すると共に、2つの折返し壁290、296を設けることにより、スロットマシン100内部に不正器具を進入させることが可能な範囲をより狭く制限することができる。
なお、本発明に係る遊技台は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、折返し壁290、294、296の形状は、上記実施形態において示した形状に限定されるものではなく、例えば先端部を下方に向けてさらに折返したもの等、その他の形状のものであってもよい。
また、折返し壁290、294、296を設ける部分は、上記実施形態において示した部分に限定されるものではなく、前面扉102の反対側の部分以外にも、前面扉102側の部分、施錠部280側の部分および施錠部280の反対側の部分等に設けるようにしてもよい。
また、メダルセレクタ170、メダル誘導シュート266、およびリセットセンサ285の相対的な位置関係は、上記実施形態において示した例に限定されるものではなく、その他の配置であってもよい。この場合、折返し壁290、294、296は、メダルセレクタ170やリセットセンサ285等の位置関係に応じた適宜の位置に設けるようにすればよい。
また、上記実施形態では、メダル(コイン)を遊技媒体としたスロットマシンの例を示
したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、遊技球(例えば、パチンコ玉
)を遊技媒体としたスロットマシンやパチンコ機などにも、本発明は適用可能である。
具体的には、本発明に係る遊技台は、「所定の遊技領域に遊技球を発射する発射装置と、発射装置から発射された遊技球を入球可能に構成された入賞口と、入賞口に入球した遊技球を検知する検知手段と、検知手段が遊技球を検知した場合に遊技球(賞球)を払出す払出手段と、所定の図柄(識別情報)を変動表示する可変表示装置を備え、入賞口に遊技球が入って入賞することを契機として、可変表示装置が図柄を変動させた後に停止表示させて、遊技状態の推移を告知するようなパチンコ機」にも好適である。
さらに、本発明をアレンジボール遊技機、じゃん球遊技機、スマートボール、およびカ
ジノマシン等に適用しても、同様の効果を得ることができる。
また、本発明の実施形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。