本発明は燃料電池システムの凍結防止装置に関する。
特許文献1には、燃料電池のスタックと、スタックの熱を受熱する冷却水が流れる循環路と循環路内の水を循環されるポンプとをもつ水循環ラインと、水循環ラインの水を検知する水温センサと、スタックが発電運転を停止している場合、水温センサで検知された水循環ラインの水温に応じて、送水ポンプの送水量を制御し、水循環ラインの凍結を抑制する制御部とを備えている燃料電池システムの凍結防止装置が開示されている。このものによれば、スタックの発電運転が停止しているとき、水温センサによる水温が所定値よりも低いとき、凍結に至るおそれがあるとして、送水量を調整することにしている。更に、特許文献1には、外気温を検知する外気温センサが検知した外気温と、水温センサが検知した水温と、スタック内壁温と、熱交換器の冷却側温度とにより、スタックへの送水、熱交換器への送水量を制御する旨が記載されている。
特許文献2には、燃料電池の下部付近に設けられた凍結防止用ヒータと、燃料電池システムの内部を換気する換気ファンとを備え、燃料電池システムの発電運転が停止しているとき、外気温を検知する温度センサがしきい値温度以下を検知するとき、凍結防止用ヒータおよびファンを作動させて、ヒータで暖められた空気を、ファンによる強制対流で上昇させて燃料電池システムのハウジング内部における凍結を防止する燃料電池システムが開示されている。このものによれば、温度センサで検知された外気温が低いと、凍結防止用ヒータの本数を増加させる技術が開示されている。
特許文献3には、燃料電池から水を回収した回収タンクの回収水の水温を検知する凍結防止温度検知手段が設けられ、凍結防止温度検知手段がしきい値温度以下を検知したとき、凍結防止運転として、冷却水循環経路および相互循環経路をそれぞれ循環動作させると共に加熱装置を作動させて、冷却水循環経路、水回収経路、相互循環経路の水の凍結を防止する燃料電池システムが開示されている。このものによれば、貯湯タンクから取り出した温水を循環させて凍結を防止する技術が開示されている。
特許文献4には、装置停止時に水系統が凍結するおそれがあるとき、プロセスガスバーナを燃焼させて貯湯タンクの水温を昇温させ、その温水を水系統の一部または全部に送給して凍結を防止する固体高分子形燃料電池発電装置が開示されている。
特開2002−352835号公報
特開2005−259494号公報
特開2003−282106号公報
特許第3416653号公報
上記した特許文献1、2、3によれば、水循環ラインの凍結抑制性については必ずしも充分ではない。また特許文献4によれば、貯湯槽に貯めた温水が使用されてしまうため、好ましくない。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、水循環ラインの凍結抑制性を向上させる燃料電池システムの凍結防止装置を提供することを課題とする。
(1)様相1に係る燃料電池システムの凍結防止装置は、(i)燃料電池のスタックと、(ii)スタックの熱を直接的または間接的に受熱する冷却水が流れる循環路と循環路内の水を循環させる水搬送手段とをもつ水循環ラインと、(iii)外気温を直接的又は間接的に検知する外気温検知手段と、(iv)水循環ラインの水温を直接的又は間接的に検知する水温検知手段と、(v)水循環ラインの凍結防止運転を実行する制御部とを具備しており、(vi)制御部は、水温検知手段で検知された水循環ラインの水温が所定温度以上であり、水温検知手段により検知された水温では水循環ラインにおける凍結可能性が低い場合において、外気温検知手段により検知された外気温が所定温度未満であり水循環ラインにおける凍結可能性があるとき、水搬送手段を作動させて水を水循環ラインにおいて移動させる処理、および、水循環ラインにおける水を加熱する処理のうちの少なくとも一方を行うことにより、水循環ラインの凍結防止運転を実行することを特徴とする。
外気温検知手段で検知された外気温と、水温検知手段で検知された水循環ラインの水温とに応じて、制御部は、水循環ラインの凍結防止運転を実行する。様相1の特徴として、水循環ラインの水温が凍結温度に到達していなくても、外気温が低く、時間が経過すると水循環ラインの水が凍結するおそれがあるときには、水循環ラインの凍結防止運転を実行する。
様相1の特徴によれば、水循環ラインの水温が凍結温度に到達していなくても、外気温が低く、水循環ラインの水が凍結するおそれがあるときには、水循環ラインの凍結防止運転を実行する。この場合、水温検知手段により検知された水温では凍結可能性が低いときにおいて、外気温検知手段により検知された外気温では凍結可能性があるとき、制御部は、水温検知手段で検知された水温よりも、外気温検知手段で検知された外気温を優先し、凍結防止運転する。
(2)様相2に係る燃料電池システムの凍結防止装置によれば、様相1において、制御部は、燃料電池システムの発電運転が停止しているとき、燃料電池システムの停止後において水循環ラインの水漏れの有無を判定する判定手段と、水循環ラインの水漏れが無く、停止後において凍結防止運転の実行が可と判定されるとき、凍結防止運転を実行する凍結防止運転実行手段とを備えていることを特徴とする。
様相2によれば、燃料電池システムの発電運転が停止したとき、判定手段は、燃料電池システムの停止後において水循環ラインの水漏れの有無を判定する。そして、凍結防止運転実行手段は、水循環ラインの水漏れが無く、凍結防止運転の実行が可と判定されるとき、凍結防止運転を実行する。この場合、凍結防止運転の実行が可と判定されなければ、凍結防止運転は実行されない。このため、凍結防止運転を実行する要素(例えばポンプ、加熱装置)の損傷が抑えられる。
(3)様相3に係る燃料電池システムの凍結防止装置によれば、様相1において、制御部は、水循環ラインにおける水漏れを異状原因として燃料電池システムの発電運転が停止しているとき、燃料電池システムの異状原因(水循環ラインにおける水漏れ)が解消されたか否かを判定する判定手段と、異状原因(水循環ラインにおける水漏れ)が解消されたと判定されるとき、凍結防止運転を実行する凍結防止運転実行手段とを備えていることを特徴とする。
様相3によれば、燃料電池システムの発電運転が前記異状原因で停止しているとき、判定手段は、燃料電池システムの異状原因が解消されたか否かを判定する。そして、凍結防止運転実行手段は、異状原因が解消されたと判定されるとき、凍結防止運転を実行する。この場合、異状原因(水循環ラインにおける水漏れ)が解消されたと判定されなければ、凍結防止運転は実行されない。このため、異状原因(水循環ラインにおける水漏れ)が解消されないまま凍結防止運転が実行されることが回避される。よって凍結防止運転が良好に実行される。
(4)様相4に係る燃料電池システムの凍結防止装置によれば、上記様相2又は3において、水循環ラインは、第1水搬送手段を備えると共に貯湯槽に連通可能な第1水循環ラインと、第2水搬送手段を備えると共にスタックの内部を水が流れる第2水循環ラインとを備えており、第2水循環ラインの水を加熱する加熱装置が設けられており、
判定手段は、第1水循環ラインにおける水漏れの有無を判定する第1判定手段と、第2水循環ラインにおける水漏れの有無に基づいて加熱装置の作動が可能か否かを判定する第2判定手段とを備えており、
凍結防止運転実行手段は、第1水循環ラインにおける水漏れがなく、且つ、第2水循環ラインにおける水漏れが有り、加熱装置の作動が可能でないとき、加熱装置を非作動とし第1水搬送手段を作動させ、
第1水循環ラインにおける水漏れがなく、且つ、第2水循環ラインにおける水漏れがなく加熱装置の作動が可能であるとき、加熱装置および第1,第2水搬送手段を作動させることを特徴とする。
各様相によれば、水循環ラインの水温が高く、凍結温度に到達していなくても、外気温が低く、水循環ラインの水が凍結するおそれがあるときには、水循環ラインの凍結防止運転を実行する。
様相2によれば、水循環ラインにおける水漏れが無く、凍結防止運転の実行が可であると判定されなければ、凍結防止運転は実行されない。このため、凍結防止運転を実行する要素(例えばポンプ等の水搬送手段、加熱装置)の損傷が抑えられる。
様相3によれば、異状原因(水循環ラインにおける水漏れ)が解消されないまま凍結防止運転が実行されることが回避される。よって凍結防止運転が良好に実行される。
本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池のセルを積層したスタックと、スタックの熱を直接的または間接的に受熱する冷却水が流れる循環路と循環路内の水を循環される水搬送手段とをもつ水循環ラインと、外気温を直接的又は間接的に検知する外気温検知手段と、水循環ラインの水温を直接的又は間接的に検知する水温検知手段と、外気温検知手段で検知された外気温と、水温検知手段で検知された水循環ラインの水温とに応じて、水循環ラインの凍結防止運転を実行する制御部とを備えている。
外気温検知手段は、外気温を直接的又は間接的に検知する。『外気温を直接的又は間接的に検知する』とは、外気温を直接的に検知する場合、外気温を他のセンサまたは他のパラメータを介して間接的に検知する場合を含む意味である。『水循環ラインの水温を直接的又は間接的に検知する』とは、水循環ラインの水を直接的に検知する場合、水温を他のセンサまたは他のパラメータを介して間接的に検知する場合を含む意味である。
本発明によれば、水温検知手段により検知された水温が高くて水循環ラインにおける凍結可能性が低いときであっても、外気温検知手段により検知された外気温によれば、水循環ラインにおける凍結可能性があるとき、制御部は、水温検知手段による水温よりも外気温検知手段による外気温を優先し、凍結防止運転する。
本発明によれば、水循環ラインは、貯湯槽に連通可能な第1水循環ラインと、スタックの内部を水が流れる第2水循環ラインと、第1水循環ラインの水と第2水循環ラインの水とを熱交換する熱交換器とを備えている形態が例示される。第1水循環ラインおよび第2水循環ラインのうちの一方または双方に加熱装置を設けることができる。加熱装置としては加熱機能を有するものであれば、何でも良い。この場合、第1水循環ラインは第1排水バルブを介して第1排水タンクに繋がり、第2水循環ラインは第2排水バルブを介して第2排水タンクに繋がり、第1排水タンクおよび第2排水タンクは個別に配置されている形態が例示される。貯湯槽に繋がる第1水循環ラインの水は、第1排水バルブを介して第1排水タンクに収容される。また、スタックの内部を流れる第2水循環ラインの水は、第2排水バルブを介して第2排水タンクに収容される。ここで、第2水循環ラインの水は、スタックの内部を流れるため、純水、または、純水に近い水、または不凍液成分を有する水である。また第1水循環ラインの水は貯湯槽で貯湯される飲食用に適する水である。このようにスタックの内部を流れる水と、スタックの内部を流れない水とは用途が異なる。そして各水を別個の排水タンクにそれぞれ収容させるので、水の再利用性が向上する。
本発明によれば、凍結防止運転は、水搬送手段を間欠的に作動させることにより水循環ラインの水を間欠的に移動させる第1処理と、水搬送手段を連続的に作動させることにより水循環ラインの水を連続的に移動させる第2処理と、1処理または第2処理に加えて加熱装置を間欠的または連続的に作動させることにより水循環ラインの水を加熱する第3処理とのうちの1種または2種以上を含む形態が例示される。第1処理において、水搬送手段が一回作動する時間は、水循環ラインの水が水循環ラインを少なくとも1周する時間である形態が例示される。水温または外気温が低いほど、加熱装置による加熱量を増加させることが好ましい。また水温または外気温が低いほど、水搬送手段による搬送流量、搬送速度を増加させることにしても良い。
また、制御部は、凍結可能性が高くなるにつれて、第1処理、第2処理、第3処理の順に実行することが好ましい。また、凍結防止運転としては、水循環ラインの水をライン外部に排出する第4処理を含む形態が例示される。この場合、制御部は、水循環ラインの水の凍結可能性が高くなるにつれて、第1処理、第2処理、第3処理、第4処理の順に実行することが好ましい。
本発明によれば、制御部は、燃料電池システムの停止(例えば異状停止)後において凍結防止運転の実行の可否を判定する判定手段と、停止(例えば異状停止)後において凍結防止運転の実行が可と判定されるとき、凍結防止運転を実行する凍結防止運転実行手段とを備えている形態が例示される。この場合、前記した第1処理から第4処理のうちのいずれか一つの処理、または、二つ以上の処理を行うことができる。
本発明によれば、水循環ラインは、貯湯槽に連通可能な第1水循環ラインと、スタックの内部を水が流れる第2水循環ラインとを備えており、水循環ラインの水を加熱する加熱装置が設けられており、前記判定手段は、第1水循環ラインにおける水漏れの有無を判定する第1判定手段と、第2水循環ラインにおける水漏れの有無に基づいて加熱装置の作動が可能か否かを判定する第2判定手段とを備えている形態が例示される。この場合、凍結防止運転実行手段は、第1水循環ラインにおける水漏れがなく、且つ、加熱装置の作動が可能でないとき、加熱装置を非作動とし水搬送手段を作動させる。この場合、水搬送手段のみが作動して水が移動するため、加熱装置が作動するときの不具合が解消される。
また、凍結防止運転実行手段は、第1水循環ラインにおける水漏れがなく、且つ、第2水循環ラインにおける水漏れが無くて加熱装置の作動が可能であるとき、加熱装置および水搬送手段の双方を作動させる。この場合、凍結防止性が向上する。
本発明によれば、制御部は、燃料電池システムの発電運転が停止(例えば異状停止)しているとき、燃料電池システムの発電運転の停止(例えば異状停止)後における凍結防止運転の実行の可否を判定する判定手段と、停止(例えば異状停止)後において凍結防止運転の実行が可と判定されるとき凍結防止運転を実行する凍結防止運転実行手段とを備えている形態が例示される。この場合、凍結防止運転の実行が可と判定されないとき、凍結防止運転を実行しないことが好ましい。停止の原因が水循環ラインからの水漏れ等であるとき、ポンプや加熱装置を作動させると好ましくないためである。
本発明によれば、制御部は、水循環ラインにおける水漏れを異状原因として燃料電池システムの発電運転が停止しているとき、燃料電池システムの異状原因(水循環ラインにおける水漏れ)が解消されたか否かを判定する判定手段と、異状原因(水循環ラインにおける水漏れ)が解消されたと判定されるとき、凍結防止運転を実行する凍結防止運転実行手段とを備えている形態が例示される。この場合、異状原因(水循環ラインにおける水漏れ)が解消されたと判定されないとき、凍結防止運転を実行しないことが好ましい。この場合、ポンプや加熱装置を作動させると好ましくないことがあるためである。
本発明によれば、水循環ラインは複数設けられており、制御部は、複数の水循環ラインのうち正常と判定されるラインについて凍結防止運転を実行する形態が例示される。この場合、複数の水循環ラインのうち正常と判定されないラインについては、凍結防止運転を実行しないことが好ましい。この場合、ポンプや加熱装置を作動させると好ましくないことがあるためである。
以下、本発明の実施例1について図1〜図4を参照して説明する。本実施例に係る燃料電池システムは、燃料電池のセルを積層したスタック10をもつスタックシステム11と、水が循環する水循環ライン2と、図略の窓を介して外気温を検知する外気温センサ34(外気温検知手段)と、水循環ラインの水温を検知する水温センサ31、32、33(水温検知手段)と、制御部8とを備えている。スタックシステム11においてスタック10は上側に配置されている。
制御部8は、屋外に設置されたスタックシステム11に配置されているが、それ以外の部位でも良い。スタックシステム11に分離した状態で貯湯槽ユニット16が設けられている。貯湯槽ユニット16は屋外に設置されており、貯湯槽17と、流路切り替え機能をもつバルブ18とをもつ。
水循環ライン2は、貯湯槽ユニット16の貯湯槽17に繋がる第1水循環ライン21と、スタック10に内蔵されている内蔵通水路12を水が流れる第2水循環ライン22と、第1熱交換器41とを備えている。第1水循環ライン21の水は貯湯槽17に繋がるため、飲食可能な水である。第2水循環ライン22の水は、スタック10の内部を流れるため、純水または不凍液成分を含む水である。
第1水循環ライン21は、第1循環路21aと、第1熱交換器41の通路41cと、第1水搬送手段としての第1ポンプ51と、第1水循環ライン21の水温を検知する第1水温センサ31と、流路切替弁として機能する三方弁で形成されたバルブ18とを備えている。バルブ18は、第1水循環ライン21の第1熱交換器41の通路41cに繋がるポート18aと、貯湯槽17の上部に繋がるポート18bと、バイパス通路21cを介して第1水循環ライン21の第1ポンプ51および貯湯槽17の下部に繋がるポート18cとをもつ。第1水循環ライン21の水温が高いと、バルブ18のポート18a、ポート18bが連通し、ポート18a、ポート18cが非連通となり、第1水循環ライン21の水が貯湯槽17に供給される。第1水循環ライン21の水温が低いと、バルブ18のポート18a、ポート18bが非連通となり、ポート18a、ポート18cが連通し、第1水循環ライン21の水が貯湯槽17に供給されない。これにより貯湯槽17の水温は、過剰に冷えないように高めに確保される。
第2水循環ライン22は、第2循環路22aと、加熱装置55と、第1熱交換器41の通路41aと、第2水搬送手段としての第2ポンプ52と、第2水循環ライン22のうちスタック10の上流の水温(つまり、スタック10に流入される前の水の水温)を検知する第2水温センサ32と、第2水循環ライン22のうちスタック10の下流の水温(つまり、スタック10から吐出された後の水の水温)を検知する第3水温センサ33とを備えている。
スタックシステム11のケース11a内には、スタック10、第2ポンプ52、加熱装置55、第1熱交換器41、第1ポンプ51、第1水温センサ31、第2水温センサ32、第3水温センサ33、外気温センサ34、燃料ガスのガス漏れを検知するガスセンサ90が内蔵されている。貯湯槽ユニット16のケース16a内には、バイパス通路21c、貯湯槽17およびバルブ18が内蔵されている。第1水循環ライン21は、スタックシステム11のケース11a内にも、貯湯槽ユニット16のケース16a内にも配置されていない露出通路21xをもつ。露出通路21xは、外気に触れる頻度が高いため、内部の水が凍結し易い。
スタック10の通常の発電運転においては、燃料および酸化剤がスタック10に供給されてスタック10は発電する。発電運転中、第2ポンプ52が作動するため、第2水循環ライン22の水が第2ポンプ52、第2水温センサ32、スタック10の内蔵通水路12、第3水温センサ33、加熱装置55、熱交換器41の通路41aの順に循環する。加熱装置55は、燃料電池システムの起動時に作動して第2水循環ライン22の水を加熱し、スタック10の発電運転の立ち上がりを早めるものであり、発電運転時には作動しないのが一般的である。なお、第1水循環ライン21には加熱装置は設けられていない。
更に、第1ポンプ51が作動するため、第1水循環ライン21の水が第1ポンプ51、第1熱交換器41の通路41c、バルブ18、第1水温センサ31の順に循環する。第1水循環ライン21の水が暖かければ、バルブ18のポート18a、ポート18bが連通するため、暖かい水が貯湯槽ユニット16の貯湯槽17に供給される。第1水循環ライン21の水が冷たければ、バルブ18のポート18a、ポート18bが非連通となるため、第1水循環ライン21の水は貯湯槽ユニット16の貯湯槽17に供給されず、バイパス通路21cを経て第1水循環ライン21を循環する。
本実施例によれば、凍結防止運転は、(i)第1ポンプ51および/または第2ポンプ52を間欠的に作動させることにより第1水循環ライン21および/または第2水循環ライン22の水を間欠的に移動させる第1処理と、(ii)第1ポンプ51および/または第2ポンプ52を連続的に作動させることにより第1水循環ライン21および/または第2水循環ライン22の水を連続的に移動させる第2処理と、(iii)第2処理に加えて、加熱装置55を連続的に作動させることにより第2水循環ライン22の水、ひいては第1水循環ライン21の水を熱交換器41を介して加熱する第3処理とを含む。制御部8は、凍結可能性が高くなるにつれて、第1処理、第2処理、第3処理の順に実行するため、外気温度およびシステム内部の温度状態によって消費エネルギを低減させることができ、凍結防止運転のコストが低減される。
更に説明を加える。制御部8のメモリ8mの所定のエリアには、通水マップおよび加熱マップが格納されている。通水マップは、外気温センサ34で検知した外気温と水温とに応じて制御形態をマップ化したものである。図2に示すように、マップでは、外気温センサ34で検知した外気温T4がTb℃以上Ta℃未満であるときにおける制御形態と、Tb℃未満であるときの制御形態とを分ける。更に、図2に示すように、通水マップでは、水温センサで検知した水温がTb℃以上Ta℃未満であるときにおける制御形態と、Tb℃未満であるときにおける制御形態とを分ける。ここで、Ta℃>Tb℃である。Ta℃は凍結しない温度であり、例えば5℃が例示される。Tb℃は、凍結可能性が高い温度であり、0℃が例示される。
ここで、上記した通水マップに基づいて制御部8は次の(i)〜(iii)の制御を実行する。
(i)水温センサで検知した水温がTb℃(凍結可能性が高い温度)以上、Ta℃未満であり、且つ、外気温が高いとき
この場合、水温センサで検知した水温がTb℃以上であり高めであるため、水温からみて凍結の緊急性が低い。更に、外気温センサ34で検知した外気温T4も、Tb℃以上であり高めであるときには、外気温からみても、凍結の緊急性が低い。このため制御部8は、ポンプを間欠運転させるだけとする。
即ち、上記した水温センサが水温センサ31であるとき、制御部8は、第1ポンプ51を間欠運転させ、第1水循環ライン21の水を間欠的に移動させ、第1水循環ライン21の水の凍結を防止する。また、上記した水温センサが第2水温センサ32および第3水温センサ33のうち水温の低い方であるとき、制御部8は、第2ポンプ52を間欠運転させ、第2水循環ライン22の水を間欠的に移動させ、第2水循環ライン22の水の凍結を防止する。
(ii)水温センサで検知した水温がTb℃(凍結可能性が高い温度)未満であり低めであるとき
水温センサで検知した水温がTb℃未満と低めであれば、凍結のおそれが高い。このため外気温センサ34の検知温度に拘わらず、制御部8はポンプを連続運転させる。
即ち、第1水温センサ31で検知した水温がTb℃未満であるとき、外気温に拘わらず、制御部8は第1ポンプ51を連続運転させ、第1水循環ライン21の水を連続的に移動させ、第1水循環ライン21の水の凍結を防止する。また第2水温センサ32で検知した水温がTb℃未満であるとき、外気温に拘わらず、制御部8は第2ポンプ52を連続運転させ、第2水循環ライン22の水を連続的に移動させ、第2水循環ライン22の水の凍結を防止する。
(iii)水温センサで検知した水温がTb℃(凍結可能性が高い温度)以上、Ta℃未満と高めであっても、外気温が低いとき(実施例1の主特徴)
この場合、水温が高いため、水温だけを考慮すると、本来的には凍結可能性が低いはずである。しかしながら外気温センサ34で検知した外気温T4がTb℃未満と低ければ、水温センサで検知した現在の水温が高くても、そろそろ凍結する可能性が高い。このため、第1水温センサ31で検知した水温がTb℃以上であり高めであったとしても、凍結可能性が高い。このため、制御部8は、水温センサによる水温よりも、外気温センサ34による外気温を優先する。この結果、制御部8は、第1ポンプ51を間欠運転ではなく、連続運転させ、第1水循環ライン21の水を連続的に移動させ、第1水循環ライン21の露出通路21xの水の凍結を抑制する。ここで、水温センサにより検知した水温よりも外気温センサ34により検知した外気温を優先する理由としては、水循環ラインの各部における水温が均一ではないため、つまり、水循環ラインの水が停止していること、部分により通路周辺の雰囲気が異なることが影響しており、特に、外気に露出している露出通路21xは低温になり易いためである。
また、第2水温センサ32または第3水温センサ33で検知した水温がTb℃以上であり高めであり、水温だけを考慮すると、凍結可能性が低いときであっても、制御部8は、第2ポンプ52を間欠運転ではなく、連続運転させ、第2水循環ライン22の水を連続的に移動させ、第2水循環ライン22の水の凍結を抑制する。
なお、燃料電池システムの発電運転が終了した直後では、スタックシステム11内の温度がまだ高く、スタックシステム11内における第2循環ライン22および第1循環ライン21の水温は高い。この場合、水温だけをみると、凍結しない温度領域である。しかしながら水温が高くても、スタックシステム11が設置されている屋外における外気温が低ければ、時間経過により、そろそろ凍結するおそれが高いといえる。凍結すると、ポンプの作動は困難となる。そこで、第2循環ライン22および第1循環ライン21の水温が高くても、外気温が低ければ、高い水温よりも、低い外気温を優先し、凍結防止運転を予め実行する。
図3はポンプの間欠作動の形態を示す。TM1は周期時間を示す。TM2は周期時間TM1内においてポンプがオンして作動しているオン時間を示す。第1ポンプ51または第2ポンプ52について、TM2は、第1水循環ライン21の水がバイパス通路21cを介して、第1水循環ライン21を少なくとも1周する時間以上とすることが好ましい。TM2/TM1としては適宜選択できる。
第2ポンプ52について、オン時間TM2は、第2水循環ライン22の水が第2水循環ライン22を少なくとも1周する時間以上とすることが好ましい。このようにすれば、第1ポンプ51による水搬送により、第1水循環ライン21の各部位における水温を平均化でき、第1水循環ライン21における局所的凍結を防止するのに有利である。第2ポンプ52による水搬送により、第2水循環ライン22の各部位における水温を平均化でき、第2水循環ライン22における局所的凍結を防止するのに有利である。
図4は加熱装置55による加熱マップを示す。加熱マップに基づいて制御部8は(a)および(b)を実行する。この場合、Tc<Tdであり、Tcは例えば3℃、Tdは例えば5℃とする。なお、Tc℃以上、Td℃未満では、ヒステリシスとなっている。
(a)第1水温センサ31で検知した水温がTc℃未満であり、凍結可能性が高いとき、制御部8は、加熱装置55をオンさせて発熱させる。即ち、第2水循環ライン22の水は加熱装置55により直接的に暖められる。第1水循環ライン21の水は第1熱交換器41を介して間接的に暖められる。これにより第1水循環ライン21および第2水循環ライン22の凍結は防止される。殊に、第1水循環ライン21のうち外気により冷却され易い露出通路21xの凍結が抑制される。
(b)第1水温センサ31で検知した水温がTd以上であるとき、制御部8は、加熱装置55をオフさせて発熱を停止させる。即ち、第1水循環ライン21および第2水循環ライン22の水の加熱は停止される。
この場合、なお、第2水温センサ32および第3水温センサ33のうちいずれか低い方の水温がTc℃未満であり、凍結可能性が高いとき、制御部8は、加熱装置55をオンさせて発熱させると共に、第2水温センサ32および第3水温センサ33のうちいずれか低い方の水温がTd℃以上であるとき、加熱装置55をオフさせることにしても良い。
なお本実施例によれば、貯湯槽17に収容されている温水は凍結防止には使用しないため、貯湯槽17の温水を追い炊きする処理が低減される。
図5は実施例2を示す。実施例1は前記したように上記した(iii)の制御を実行する。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。実施例1の構成に加えて、第1水循環ライン21には第2熱交換器42が設けられている。更に、スタックシステム11内には第3水循環ライン23が設けられている。第3水循環ライン23は、第3循環路23aと、第3ポンプ53と、第5水温センサ35と、第3熱交換器43(〜43n)とをもつ。第5水温センサ35は第3水循環ライン23の水温を検知する。第3熱交換器43(〜43n)の数は特に限定されず、単数でも複数でも良い。第3熱交換器43としては凝縮器が例示される。この凝縮器としては、酸化剤ガス中または燃料ガス中の水蒸気を凝縮するもの、図示されていない改質装置の改質ガス中や燃焼排ガス中の水蒸気を凝縮するものが例示される。
本実施例においても、第1水温センサ31の検知温度が低く、第1水循環ライン21が凍結するおそれがあるときには、第1ポンプ51を間欠的または連続的に作動させ、第1水循環ライン21について凍結防止運転を実行する。更に第2ポンプ52を間欠的または連続的に作動させると共に加熱装置55を発熱させて第2水循環ライン22について凍結防止運転を実行し、加熱装置55で加熱された第2水循環ライン22の水の熱を、第1熱交換器41を介して、第1水循環ライン21に受熱させても良い。
また第2水温センサ32または第3水温センサ33の検知温度が低く、第2水循環ライン22が凍結するおそれがあるときには、第2ポンプ52を間欠的または連続的に作動させ、第2水循環ライン22について凍結防止運転を実行する。
また第5水温センサ35の検知温度が低く、第3水循環ライン23が凍結するおそれがあるときには、第3ポンプ53を間欠的または連続的に作動させ、第3水循環ライン23について凍結防止運転を実行する。このように制御部8は、第1水循環ライン21、第2水循環ライン22、第3水循環ライン23のうち、凍結するおそれがあるラインについて凍結防止運転を個別的に実行する。
本実施例では、加熱装置55がオンすれば、加熱装置55が配置されている第2水循環ライン22の水が加熱される。更に第1熱交換器41による伝熱を介して、第1水循環ライン21の水が加熱される。更に第2熱交換器42による伝熱を介して、第3水循環ライン23の水が加熱される。
図6は実施例3を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。実施例1の構成に加えて、スタック10に繋がる第2水循環ライン22には、第2排水ライン220、第2排水バルブ221を介して第2排水タンク222が繋がれている。第2排水バルブ221が開弁すれば、第2水循環ライン22の水は、第2排水ライン220を介して第2排水タンク222に排出される。
本実施例に係る凍結防止運転は、第1ポンプ51および/第2ポンプ52を間欠的に作動させることにより第1水循環ライン21および/または第2水循環ライン22の水を間欠的に移動させる第1処理と、第1ポンプ51および/第2ポンプ52を連続的に作動させることにより第1水循環ライン21および/または第2水循環ライン22の水を連続的に移動させる第2処理と、第1処理または第2処理を実行しつつ加熱装置55を間欠的または連続的に作動させることにより第2水循環ライン22の水、ひいては第1熱交換器41を介して第1水循環ライン21の水を加熱する第3処理と、排水弁221を開弁して第2水循環ライン22の水を排水タンク222に排出する第4処理とを含む。
この場合、制御部8は、凍結可能性が高くなるにつれて、第1処理、第2処理、第3処理の順に実行する。第4処理は、凍結防止運転が不可である場合に実行される。第4処理が実行されたら、警告表示する。なお、第4処理が実行されたら、第2水循環ライン22の水は排水タンク222に移動しているため、燃料電池システムの再運転時には、メンテナンス者が第2水循環ライン22に給水する。あるいは、排水タンク222の水を排水タンク222から第2水循環ライン22へ戻すため装置(ポンプとライン)を設けることができ、再運転可能と判断されたときには排水タンク222の水を当該装置により自動的に第2水循環ライン22に戻す。
図7は実施例4を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。実施例1の構成に加えて、第1水循環ライン21には第2熱交換器42が設けられている。更に、第2熱交換器42を介して第3水循環ライン23が設けられている。第3水循環ライン23は第3ポンプ53、第5水温センサ35、第3熱交換器43が設けられている。第3熱交換器43(〜43n)の数は特に限定されず、単数でも複数でも良い。
スタック10に繋がる第2水循環ライン22には、第2排水ライン220、第2排水バルブ221を介して共通排水タンク225が繋がれている。第2排水バルブ221が開弁すると、第2水循環ライン22の水は共通排水タンク225に排出される。第3水循環ライン23には、第3排水ライン230、第3排水バルブ231を介して共通排水タンク225が繋がれている。第3排水バルブ231が開弁すると、第3水循環ライン23の水は共通排水タンク225に排出される。
図8は実施例5を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施例においても、第1水循環ライン21には、第1排水ライン210、第1排水バルブ211を介して第1排水タンク212が繋がれている。第2水循環ライン22には、第2排水ライン220、第2排水バルブ221を介して第2排水タンク222が繋がれている。第3水循環ライン23には、第3排水ライン230、第3排水バルブ231を介して第3排水タンク232が繋がれている。
凍結防止運転は、第1ポンプ51、第2ポンプ52、第3ポンプ53の少なくとも一つを間欠的に作動させる第1処理と、第1ポンプ51、第2ポンプ52、第3ポンプ53の少なくとも一つを連続的に作動させる第2処理と、第1処理または第2処理を実行しつつ加熱装置55を間欠的または連続的に作動させる第3処理と、第1排水バルブ211、第2排水バルブ221、第3排水バルブ231を開弁させる第4処理とを含む。
この場合、制御部8は、凍結可能性が高くなるにつれて、第1処理、第2処理、第3処理の順に実行する。
第1水循環ライン21の水は、貯湯槽17に貯める飲食可能な水(一般的には水道水)である。第2水循環ライン22の水はスタック10内を流れるため、水道水ではなく、純水または純水に近い水である。このように第1水循環ライン21、第2水循環ライン22、第3水循環ライン23の水の用途が必ずしも同一でない。ここで、第1排水タンク212、第2排水タンク222、第3排水タンク232は、互いに個別に独立して設けられている。このため、第1排水タンク212、第2排水タンク222、第3排水タンク232に貯められている水を再利用するのに有利である。
本実施例は図1、図5、図6、図7、図8のシステム図をそれぞれ準用することができる。本実施例によれば、次の制御形態が採用される。
(制御形態1)ポンプ(第1ポンプ51、第2ポンプ52、第3ポンプ53)を作動させる基準温度としては第1水温センサ31の検知温度とする。場合によっては、第2水温センサ32、第3水温センサ33、第5水温センサ35の検知温度を基準としても良い。加熱装置55をオンオフさせる基準温度としては、第2水循環ライン22のスタック10の出口側の水温を検知する第3水温センサ33の検知温度とする。
(制御形態2)ポンプ(第1ポンプ51、第2ポンプ52、第3ポンプ53)を作動させる基準温度としては、第1水温センサ31の検知温度とする。場合によっては、第2水温センサ32、第3水温センサ33、第5水温センサ35の検知温度を基準としても良い。加熱装置55をオンオフさせる基準温度としては、第2水温センサ32の検知温度および第3水温センサ33の検知温度のうちの低い方とする。
(制御形態3)ポンプ(第1ポンプ51、第2ポンプ52、第3ポンプ53)を作動させる基準温度としては、第1水温センサ31の検知温度とする。場合によっては、第2水温センサ32、第3水温センサ33、第5水温センサ35の検知温度を基準としても良い。加熱装置55をオンオフさせる基準温度としては、第1水循環ライン21の水温を検知する第1水温センサ31の検知温度とする。
(制御形態4)ポンプ(第1ポンプ51、第2ポンプ52、第3ポンプ53)を作動させる基準温度としては、第1水温センサ31の検知温度、第2水温センサ32の検知温度、第3水温センサ33の検知温度、第5水温センサ35の検知温度のうち、最も低い温度とする。このように最も低い温度が基準であれば、凍結のおそれが少なくなる。更に、加熱装置55をオンオフさせる基準温度としては、第3水温センサ33の検知温度とする。
(制御形態5)ポンプ(第1ポンプ51、第2ポンプ52、第3ポンプ53)を作動させる基準温度としては、第1水温センサ31の検知温度、第2水温センサ32の検知温度、第3水温センサ33の検知温度、第5水温センサ35の検知温度のうち、最も低い温度とする。更に、加熱装置55をオンオフさせる基準温度としては、第2水温センサ32の検知温度、第3水温センサ33の検知温度のうちの低い方の温度とする。上記したように最も低い温度が基準であれば、凍結のおそれが少なくなる。
(制御形態6)ポンプ(第1ポンプ51、第2ポンプ52、第3ポンプ53)を作動させる基準温度としては、第1水温センサ31の検知温度、第2水温センサ32の検知温度、第3水温センサ33の検知温度、第5水温センサ35の検知温度のうち、最も低い温度とする。加熱装置55をオンオフさせる基準温度としては第1水温センサ31とする。
図9は実施例7を示す。本実施例は上記した各実施例と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図1の実施例、図5の実施例、図6の実施例、図7の実施例、図8の実施例を準用することができる。
図9は制御部8が実行する制御のフローチャートの一例を示す。フローチャートはこれに限定されるものではない。図9に示すように、燃料電池システムは待機状態とされている。ここで、待機状態とは、燃料電池システムの発電運転、発電運転前の起動運転、発電運転後の終了運転といった運転以外の状態をいう。例えば、燃料電池システムが異状停止したときには、最終的に待機状態に移行する。
先ず、燃料電池システムの待機状態(ステップS2)において、外気温センサ34の検知温度を読み込み、外気温T4がしきい値温度Ta(例えば5℃)未満であるか判定する(ステップS4)。外気温T4がしきい値温度Ta以上であれば(ステップS4のNO)、凍結するおそれがないと判定されるので、凍結防止運転を実行せずとも良く、燃料電池システムの待機状態を継続する(ステップS2)。
外気温T4がしきい値温度Ta未満であれば(ステップS4のYES)、凍結するおそれがあるため、前記した通水マップおよび加熱マップに従い、凍結防止運転を実行する(ステップS6)。また凍結防止運転中に、燃料電池システムが起動指示されているか否か判定する(ステップS8)。燃料電池システムが起動指示されていなければ(ステップS8のNO)、凍結のおそれがあるため、外気温T4がしきい値温度Teを超えているか否か判定する(ステップS10)。
外気温T4がしきい値温度Teを超えていなければ(ステップS10のNO)、凍結するおそれがあるため、マップに従い、凍結防止運転を継続する(ステップS6)。ここで、しきい値温度Teは、凍結防止運転解除の可否を判断する温度である。しきい値温度Teは、しきい値温度Taと等しくしても良いが、しきい値温度Taよりも高いことが好ましい。
外気温T4がしきい値温度Teを超えていれば(ステップS10のYES)、凍結するおそれが無いため、凍結防止運転を終了し(ステップS12)、待機状態に戻る(ステップS2)。
ステップS8における判定の結果、燃料電池システムが起動指示されていれば(ステップS8のYES)、凍結防止運転を終了し(ステップS30)、システムの起動を開始する(ステップS32)。燃料電池システムが起動すれば、スタック10は発電反応により発熱して水温が上昇する。更に、第2ポンプ52が作動し第2水循環ライン22の水が移動すると共に、第1ポンプ51が作動し第1水循環ライン21の水が移動するため、凍結が防止される。なお、第3ポンプ53が設けられている場合には、第3ポンプ53が作動し、第3水循環ライン23の水が移動する。
図10は実施例8を示す。図1の実施例、図5の実施例、図6の実施例、図7の実施例、図8の実施例を準用することができる。図10は制御部8が実行するフローチャートの一例を示す。フローチャートはこれに限定されるものではない。本実施例によれば、燃料電池システムが何らかの原因で異状停止した後、凍結防止運転を実行可能か否かの判定を行う。以下、説明を加える。
燃料電池システムが起動指示されたときには、異状停止がシステム起動に問題がないか判定し、問題がなければシステムの起動を開始し、問題があればユーザーに警告すると共に異状停止する。燃料電池システムが異状停止すると、燃料電池システムは待機状態(ステップS2B)とされる。そして燃料電池システムの待機状態(ステップSB2)において、外気温センサ34の検知温度を読み込み、外気温T4がしきい値温度Ta未満であるか判定する(ステップSB4)。外気温T4がしきい値温度Ta以上であれば(ステップSB4のNO)、凍結のおそれが無いため、待機状態(ステップSB2)を維持する。またステップSB4における判定の結果、外気温T4がしきい値温度Ta未満であれば(ステップSB4のYES)、凍結のおそれが有るため、それぞれの水循環ラインについて、凍結防止運転を実行可能か否かの判定を行う(ステップSB6)。従ってステップSB6は、燃料電池システムの異状停止後において、それぞれの水循環ラインについて凍結防止運転の実行の可否を判定する判定手段として機能する。
例えば、第2水循環ライン22における水漏れが原因で、燃料電池システムが異状停止している場合には、加熱装置55がオンすると、第2水循環ライン22の水を加熱できないばかりか、加熱装置55周辺が過剰に加熱されるおそれがある。この場合、凍結防止運転(前記した第1処理、第2処理)を実行しない方が好ましい。また第1水循環ライン21における水漏れが原因で、燃料電池システムが異状停止している場合には、第1ポンプ51がオンすると、第1ポンプ51が空運転するおそれがある。この場合、凍結防止運転(前記した第1処理、第2処理)を実行しない方が好ましい。
例えば、スタック10の発電運転中に第2水循環ライン22から水漏すると、スタック10の温度が過剰に昇温する。このためスタック10の温度の過剰上昇により、第2水循環ライン22における水漏が検知され、凍結防止運転可能ではないと判定される。例えば、スタック10の発電運転中に第1水循環ライン21から水漏すると、第1熱交換器41による熱交換機能が低下し、スタック10の出口側の第3水温センサ33の検知温度と、スタック10の入口側の第2水温センサ32の検知温度とが近づくため、第1水循環ライン21から水漏が検知され、凍結防止運転可能ではないと判定される。
そこで凍結防止運転可能でなければ、ステップSB6から待機状態に戻る(ステップSB2)。凍結防止運転可能でないときには、ユーザに警告表示することが好ましい。即ち、ステップSB6における判定の結果、凍結防止運転が実行可能でなければ(ステップSB6のNO)、燃料電池システムは待機状態に維持される(ステップSB2)。
これに対して、ステップSB6における判定の結果、凍結防止運転が実行可能であれば(ステップSB6のYES)、通水マップおよび加熱マップに従い、凍結防止運転を実行する(ステップSB8)。従ってステップSB8は、異状停止後において凍結防止運転の実行が可と判定されるとき、凍結防止運転を実行する凍結防止運転実行手段として機能する。
また、凍結防止運転中に、システムが起動指示されているか否か判定する(ステップSB10)。システムが起動指示されていなければ(ステップSB10のNO)、外気温T4がしきい値温度Teを超えているか否か判定する(ステップSB12)。外気温T4がしきい値温度Teを超えていなければ(ステップSB12のNO)、凍結するおそれがあるため、通水マップおよび加熱マップに従い、凍結防止運転を継続する(ステップSB8)。また、外気温T4がしきい値温度Teを超えていれば(ステップSB12のYES)、凍結するおそれが無いため、凍結防止運転を終了し(ステップSB14)、待機状態に戻る(ステップSB2)。
ステップSB10における判定の結果、システムが起動指示されていれば(ステップSB10のYES)、凍結防止運転を終了し(ステップSB30)、システムの起動を開始する(ステップSB32)。本実施例によれば、制御部8は、複数の第1水循環ライン21、第2水循環ライン22(および第3水循環ライン23)のうち、水漏れ等がなく正常と判定されるラインを判定し、正常と判定される水循環ラインについて、凍結防止運転を実行することができる。
図11は実施例9を示す。図1の実施例、図5の実施例、図6の実施例、図7の実施例、図8の実施例を準用することができる。図11は制御部8が実行するフローチャートの一例を示す。フローチャートはこれに限定されるものではない。本実施例においても、燃料電池システムが異状停止した後、各水循環ラインについて、凍結防止運転を実行可能か否かの判定を行う。以下、説明を加える。
燃料電池システムが異状停止した後、燃料電池システムは待機状態とされている。そして、待機状態(ステップSC2)において、外気温センサ34の検知温度を読み込み、外気温T4がしきい値温度Ta未満であるか判定する(ステップSC4)。外気温T4がしきい値温度Ta未満であれば(ステップSC4のYES)、凍結するおそれがあるため、凍結防止運転を実行可能か否かの判定を行う。
即ち、第1水循環ライン21における水漏れ等の不具合が無く、第1水循環ライン21の第1ポンプ51が作動可能か否か判定する、つまり、第1水循環ライン21が正常か否か判定する(ステップSC6)。従って、このステップS6は、第1ポンプ51(水搬送手段)の作動が可能か否か、つまり、第1水循環ライン21が正常か否かを判定する第1判定手段として機能する。
ここで、第1水循環ライン21に不具合があり、燃料電池システムが異状停止している場合には、第1ポンプ51は作動しないほうが好ましいため、第1ポンプ51を作動させず(ステップSC6のNO)、待機状態に戻る(ステップSC2)。
ステップSC6における判定の結果、第1水循環ライン21が正常で第1ポンプ51が作動可能であれば(ステップSC6のYES)、ステップSC8に進む。ステップSC8では、加熱装置55が作動可能であるか否か、つまり、加熱装置55をもつ第2水循環ライン22が正常か否か判定する。従って、このステップSC8は、第2水循環ライン22の加熱装置55の作動が可能か否かを判定する、つまり、第2水循環ライン22が正常か否かを判定する第2判定手段として機能する。
第2水循環ライン22に不具合があり、燃料電池システムが異状停止している場合には、加熱装置55が作動しない方が好ましい。
加熱装置55が作動可能でないとき(ステップSC8のNO)、通水マップに従い、凍結防止運転を実行する(ステップSC10)。この凍結防止運転では、ポンプを作動させるものの加熱装置55を作動させない。ステップSC10は、異状停止後において第1ポンプ51による凍結防止運転の実行が可と判定されるとき、第1ポンプ51による凍結防止運転を実行する凍結防止運転実行手段として機能する。
このような凍結防止運転中に、システムが起動指示されているか否か判定する(ステップSC12)。システムが起動指示されていれば(ステップSC12のYES)、凍結防止運転を終了する(ステップSC30)と共に、システムが起動を開始する(SC32)。ここで、システムが起動すれば、燃料電池システムの発電運転が実行されるので、第1ポンプ51および第2ポンプ52が作動して水が移動して凍結が防止されるため、凍結防止運転を終了する。
燃料電池システムが起動指示されていなければ(ステップSC12のNO)、凍結するおそれがあるため、外気温T4がしきい値温度Teを超えているか否か判定する(ステップSC14)。外気温T4がしきい値温度Teを超えていなければ(ステップSC14のNO)、凍結するおそれがあるため、通水マップ(加熱マップは使用しない)に従い、凍結防止運転を継続する(ステップSC10)。また、外気温T4がしきい値温度Teを超えていれば(ステップSC14のYES)、外気温T4が高くて凍結するおそれがないため、凍結防止運転を終了し(ステップSC16)、待機状態に戻る(ステップSC2)。
ステップSC8における判定の結果、加熱装置55が作動可能であれば(ステップSC20のYES)、通水マップおよび加熱マップに従い、凍結防止運転を実行する(ステップSC20)。この場合、凍結するおそれが高ければ、加熱装置55を作動させる。従ってステップSC20は、異状停止後において加熱装置およびポンプによる凍結防止運転の実行が可と判定されるとき、加熱装置およびポンプによる凍結防止運転を実行する凍結防止運転実行手段として機能する。
そして、このような凍結防止運転中に、システムが起動指示されているか否か判定する(ステップSC22)。システムが起動指示されていなければ(ステップSC22のNO)、凍結するおそれがあるため、外気温T4がしきい値温度Teを超えているか否か判定する(ステップSC24)。外気温T4がしきい値温度Teを超えていなければ(ステップSC24のNO)、外気温が低下しており、凍結するおそれがあるため、通水マップおよび加熱マップに従い、凍結防止運転を継続する(ステップSC20)。また、外気温T4がしきい値温度Teを超えていれば(ステップSC24のYES)、外気温T4が高くて凍結するおそれがないため、凍結防止運転を終了し(ステップSC16)、待機状態に戻る(ステップSC2)。
上記したように本実施例によれば、ポンプの作動が可能か否かの判定(ステップSC6)と、加熱装置55の作動が可能か否かの判定(ステップSC8)とを分割している。このため加熱装置55の作動ができず、第3処理による凍結防止運転を実行できないときであっても、第1ポンプ51および第2ポンプ52を作動させて第1処理および第2処理による凍結防止運転を実行することができる。
図12は実施例10を示す。図1の実施例、図5の実施例、図6の実施例、図7の実施例、図8の実施例を準用することができる。図12は制御部8が実行するフローチャートの一例を示す。フローチャートはこれに限定されるものではない。本実施例においても、燃料電池システムが異状停止した後、凍結防止運転を実行可能か否かの判定を行う。以下、説明を加える。
燃料電池システムが異状停止した後、燃料電池システムが待機状態(ステップSD2)とされている。そして、待機状態(ステップSD2)において、外気温センサ34の検知温度を読み込み、外気温T4がしきい値温度Ta未満であるか判定する(ステップSD4)。外気温T4がしきい値温度Ta未満であれば(ステップSD4のYES)、凍結防止運転を実行することが好ましい。そこで、燃料電池システムの環境が異状範囲にあるか否かの判定を行う(ステップSD6)。ステップS6における判定の結果、燃料電池システムが異状範囲にあると判定されるときには(ステップSD6のYES)、待機状態を継続する(ステップSD2)。
そして、システムが異状範囲を逸脱して正常範囲に復帰していたと、制御部8により判定されるとき(ステップSD6のNO)には、凍結防止運転を実行する(ステップSD8)。例えば、しきい値濃度を超えるガス(燃料電池に使用されるガス、図示されていない改質装置の改質部に供給される改質用燃料ガス、改質装置の燃焼部に供給される燃焼用燃料ガス等)をスタックシステム11内のガスセンサ90が少しでも検知したとき、安全性を考慮し、制御部8は、燃料電池システムを一旦異状停止させる。しかし、その後の事情によりスタックシステム11内のガス濃度が低下するような場合には、つまり、スタックシステム11内のガス濃度がしきい値濃度未満であることをガスセンサが確認した場合には、システムが異状範囲を逸脱したと制御部8は判定し(ステップSD6のNO)、つまり、凍結防止運転することは支障がないと判定し、凍結防止運転を実行する(ステップSD8)。更には、スタックシステム11の内部においてある部位の温度が高温となって一旦異状停止するときにおいても、その後、温度が降下して異状範囲を逸脱して正常範囲に復帰していると判定されれば(ステップSD6のNO)、凍結防止運転を実行する(ステップSD8)。
このような凍結防止運転中に、システムが起動指示されているか否か判定する(ステップSD10)。システムが起動指示されていれば(ステップSD10のYES)、凍結防止運転を終了し(ステップSD30)、システムの起動を開始する(ステップSD32)。燃料電池システムが起動指示されていなければ(ステップSD10のNO)、外気温T4がしきい値温度Teを超えているか否か判定する(ステップSD12)。外気温T4がしきい値温度Teを超えていなければ(ステップSD14のNO)、凍結するおそれがあるため、通水マップに従い、凍結防止運転を継続する(ステップSD8)。外気温T4がしきい値温度Teを超えていれば(ステップSD14のYES)、凍結するおそれがないため、凍結防止運転を終了し(ステップSD14)、待機状態に戻る(ステップSD2)。
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。スタックシステム11と貯湯槽ユニット16とが一体化されているものでも良い。
(付記項1)燃料電池のスタックと、スタックの熱を直接的または間接的に受熱する冷却水が流れる循環路と前記循環路内の水を循環させる水搬送手段とをもつ水循環ラインと、外気温を直接的又は間接的に検知する外気温検知手段と、水循環ラインの水温を直接的又は間接的に検知する水温検知手段と、
外気温検知手段で検知された外気温と水温温検知手段で検知された水温とに応じて水循環ラインの凍結防止運転を実行する制御部とを具備している燃料電池システムの凍結防止装置。
本発明は定置用、車両用、電気機器用、電子機器用の燃料電池システムに利用できる。
実施例1に係り、燃料電池システムを示す構成図である。
実施例1に係り、ポンプマップを示す構成図である。
実施例1に係り、ポンプの作動形態を示すグラフである。
実施例1に係り、加熱装置マップを示す構成図である。
実施例2に係り、燃料電池システムを示す構成図である。
実施例3に係り、燃料電池システムを示す構成図である。
実施例4に係り、燃料電池システムを示す構成図である。
実施例5に係り、燃料電池システムを示す構成図である。
実施例7に係り、燃料電池システムを示す構成図である。
実施例8に係り、燃料電池システムを示す構成図である。
実施例9に係り、制御部が実行するフローチャートである。
実施例10に係り、制御部が実行するフローチャートである。
10はスタック、11はスタックシステム、16は貯湯槽ユニット、17は貯湯槽、2は水循環ライン、21は第1水循環ライン、21xは露出通路、22は第2水循環ライン、23は第3水循環ライン、34は外気温センサ(外気温検知手段)、31、32、33、35は水温センサ(水温検知手段)、51、52、53はポンプ(水搬送手段)、8は制御部を示す。